俺はパニッシュメントのハンマーを引き、引き金に指をかける。
「俺が合図したらアイツに向かって衝撃砲を撃ってくれ。最大威力で」
「いいけど………当たらないわよ?」
「いいんだよ。当たらなくても」
なるほど、一夏の考えが読めた。
瞬時加速は、エネルギーを内部に取り込んで圧縮して放出する。つまり、外界からのエネルギーでも構わないのだ。
『なら俺が初撃で奴の隙を作る。ぶちかませ』
「おう、しくじるなよ」
『ぬかせ、バカ』
俺は推進翼にエネルギーを最大まで貯める。瞬時加速を使わずとも、アトにはそれと同等の加速力が備わっているから問題はない。
また一夏と顔を見合わせ、翼をはためかせた瞬間。
「一夏ぁっ!」
ピットからハウリングと一緒に声が響いた。拡声器を使った箒の声だ。
何やってんだアイツは…!
「男なら……そのくらいの敵に勝てなくてなんとする!!」
『マズイ…!』
予想通り、Unknownのロックが俺達から箒へと移行し、銃口が箒に向けられた。
「箒!逃げろ!!」
言っても間に合わない。
なら、迷ってる暇もない。
『行くぞ一夏!』
推進翼のエネルギーを一気に放出し、爆音を轟かせながら奴に肉迫する。
「鈴!今だ!!」
「ってアンタ!そこじゃ当たっちゃうわよ!?」
「いいからやれ!!」
「あーもう!どうなっても知らないわよ!!」
ドン!と重い衝撃を背中に受けた一夏は、そのエネルギーを後部スラスター翼に取り込む。
そして、零落白夜を発動した。
俺はトリガーを引き、パニッシュメントに新たな力を加える。
刀身が赤いエネルギーに包まれ、二倍は長い芯のあるレーザーサーベルを作り上げた。
『「うぉオオォォオ!!」』
二人同時に瞬時加速を使い、一夏は右腕を、俺は首上を、斬り裂いた。
しかし、偶々射程圏内に俺がいたのであろう、残った左腕の反撃をモロにくらい、
『がっ…あ………!?』
的確に狙ったかのように首を締め上げられる。そして絶望的な事にその左腕の先にはレーザーの砲口が最後の余力とばかりに光を集め始めていた。
『………狙いは?』
「完璧ですわ!!」
瞬間。
客席から、ブルー・ティアーズの四機同時射撃による青い閃光が奴の体を正確に射抜いた。
『流石はセシリア。やってくれると思った』
「当然ですわ!私はイギリスの代表候補生ですから!」
高々と誇るセシリアに苦笑いしながら、戦いは無事に終わった。
―ISの再起動を確認!ロックされています!―
筈だった。
奴は左腕を最大出力形態にし、ゆらりと俺に標準を合わせた。
瞬時に状況を確認する。俺の背後には箒、隣には一夏がいる。避ける選択肢は、ない。
『オオオオオオオオオオオォオォオ!!』
俺は一瞬でパニッシュメントのハンマーとトリガーを引き、奴に向かっていく。
眩い光の中で何かを斬った感触がしたが、俺の目の前は、
真っ白になった。