「さて小娘ども何時まで惚けている。さっさと始めるぞ」
山田先生の射撃の腕に呆然としていたセシリア達は、半開きになった口で言う。
「あの…三対一で…?」
「いやさすがにそれは……」
「安心しろ。今のお前達ならすぐに負ける」
その言葉が琴線に触れたのか、代表候補生二人は千冬さんを睨みつけながら神経を尖らせていく。
俺は反対に、やる気の無さが鰻登りの真っ最中だ。ビット等を用いるセシリアは照準とビット操作の際に動きが止まる為遠距離戦をメインにしないといけない。
鈴は近距離から中距離をこなすが基本的にパワープレイの近距離と、衝撃砲に頼る癖がある。加えて、推測だが二人共まともに戦略的行動や集団戦術を受けていないだろう。
加えて俺の弱点は、遠距離型の弾幕がはれる射撃タイプだ。こんな即席チームでは勝てるどころかまともな勝負にもならない結果の見えたおままごとだ。
「では、始め!」
鋭い合図にセシリア、鈴、山田先生が上空に飛翔していき、早くも盛大な戦闘音が響き渡った。
呑気に眺めていると千冬さんから横目で睨まれ、
『はぁ……行きますよ……』
溜め息をつきつつ待機状態のアトを指で叩いて展開し、中型連射性ライフルのグリントを片手にセシリア達の後を追った。
丁度山田先生が背中を向ける瞬間だった為、そのまま赤色のレーザーを放ったが、
「っ!」
死角から撃った筈なのに寸前でシールドで防がれる。流石に反応が早いな…
「今日は接近戦で来ないんですね、御剣君」
『完成したこのライフルの試運転、という言い訳でこのお遊びは適当にやります』
鈴とセシリアのチャンネルが開かれ、耳鳴りがするほどの大音量で次々に文句を言われる。うるさいから切るぞ。
そもそも、俺はお前達を”巻き込みたくない”からこの方法をとっているのであって更にはこうしてお前達のデータを…
『げっ』
視界を埋め尽くす量のウィンドウで二人のデータを眺めていたら、豪快な音と共にミサイルが射出され、高速で迫ってきていた。
『アイアス』
俺は迫るミサイルに手をかざし、直後に爆炎と爆音が鳴り響く。
「彰!?」
「彰さん!?」
チャンネルではなく肉声で俺を呼ぶ声が聞こえた。その行動が致命的なのだから、少しは自重してくれると助かるんだがな。
『教訓その壱、決して敵から目を離すな。ここが戦場ならば死ぬぞ』
二人に軍で学んだ教訓を叩きつけることで返事とし、俺は目の前に展開された六枚花の紅い盾、その内側に収納されたジャッジメントの一振りを引きずり出した。
こいつの名称は”アイアス”と言い、俺が作り出した拡張領域付きの展開装甲だ。六枚花である為収納できる領域はまだ三つ残っているのだが、アトのせいでロックされている。
『……ほら、言わんこっちゃない』
なんて説明をしていたら、鈴とセシリア陣形を上手くとれず、もみくちゃになっているところで山田先生のグレネードを食らってリタイア。
「さあ、残るは御剣君だけですよ?」
にっこりと笑う山田先生に、俺は両手を上げて降参の意志を示した。
「これで諸君にも学園の教員の実力は理解できただろう。以後は敬意を持って接しろ」
教員の実力を示すだけなら、俺いらなかったんじゃ…?
――――――――――
「次は五人グループに別れて訓練を行う。リーダーは鳳、オルコット、デュノア、織斑、ボーデヴィッヒ、御剣の専用機持ちがやれ」
千冬さんの言葉を合図に、軍隊のように動く生徒達。
「織斑君、一緒に頑張ろ!」
「デュノア君の操縦技術も見たいなぁ~!」
「手取り足取り腰取り、何でも教えて御剣君!!」
…………俺に寄ってきた女子は何を口走ってんだ?
綺麗に別れた生徒達に、俺達は説明をしていく。
一通りの基礎を少々簡単に説明した俺達は千冬さんの指示を受け、実装訓練に移行する。
『では出席番号順に、ISの装着と歩行をしよう。最初は………』
「はーい!私です!」
元気一杯に返事をしたスポーツ系のクラスメート。何やら自己紹介がはじまって、最終的に…
「第一印象から決めてました!」
お願いします、とお辞儀して手を出された。
一夏とシャルルを見ると、全く同じ状況に陥っている。
困ったな………