IS―インフィニット・ストラトス―灰色の騎士   作:芦屋戒

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2P目

 

 

『……ふぅ』

 

「これで一段落だ、お前もしっかり遊ぶんだな」

 

『誰かさんの采配のせいでバス上っていう席に送られてなければ遊ぶ元気もあったんですがね』

 

「だから特別にISの使用許可を出しただろう」

 

この人は…俺の立場で軽率にIS展開なんてしたら戦闘の合図代わりになってしまうと知っているだろうに。

 

ふん、と鼻を鳴らした千冬さんに若干の呆れを覚えながら俺は本日の宿泊先への挨拶回りを終わらせたところだった。

 

荷物を置きに指定された部屋に行けば、ネームプレートには織斑一夏と織斑千冬、そして俺の名前が書かれている。

 

書類の整理は後でやるとして、とりあえずは海に向かうとしよう。一夏達が先に行ってから大分時間が経ってしまっている。

 

『それでは俺は一夏達の所へ行きます。何かあれば連絡下さい』

 

「精々遊べよ、若人」

 

にやりと笑った千冬さんに笑みを返して、俺は更衣室へと向かう。

 

さて、一夏達は……と思考に入ろうとした時、俺は視界の端で見慣れたウサ耳を捉えた。

 

『まさか…!』

 

全力で駆け出し、旅館の陰に消えていったその場所を覗き込むと、そこには人どころか木の一本もない。

 

『…白昼夢を見るほど疲れているのか、俺は……』

 

あの人は会いに行くと言った。どこでかもいつなのかもわからないが、それが無意識に期待として膨らんでいたのだろう。あの人がこんな所に居るはずがないのに。

 

『……何を期待しているんだ、アホか』

 

自分自身に毒づいて、俺は更衣室へと入っていく。俺は俺の使命を果たす、それであの人が会いに来てくれるのだから、まだ早い。

 

 

「………大きくなったねー、あーくん」

 

――――――――――

 

「お、彰こっちだ、ぞ……」

 

「彰さー……まぁ……」

 

「遅いわよ……わぁ…」

 

更衣室から出て数分、一夏達が見つからずに浜辺を歩いていたら俺の周りには誰もいなくなっていた。

 

そう、IS学園の一年生が全員集まっているにも関わらず一斉に俺から離れていったのだ彼女達は。何か避けられるような事をした覚えはないのだが……

 

「すごい……」

 

「まるで映画……綺麗……」

 

「…なんか恐れ多い…」

 

終いには陰で何かを言われる始末……このIS化した右腕のせいなのか?既に帰りたくなってきたぞ。

 

『はぁ……あぁ、こっち側にいたのか』

 

「お、おう……彰、凄い目立つな。ハリウッドスターかと思った」

 

『アホか』

 

一蹴すると俺はかけていたサングラスを外し、胸ポケットにしまう。

 

しかし、海で遊ぶ……とは一体どういう事をすればいいのだろうか?海に来たことはあっても訓練等で訪れただけで、遊ぶとなるとよくわからないのが現状だ。

 

『ところで、大丈夫か鈴?』

 

「だ、大丈夫大丈夫!ちょっと足つっただけだから!」

 

足をマッサージしている鈴にそう問いかければ、焦って言葉を返す鈴。そこでセシリアが一歩前に出てきて、

 

「私が別館までお連れ致しますわ!ささ、行きますわよ鈴さん!」

 

ガシッ!と鈴の腕を巻き取り、引きずりながら走り出した。鈴の悲鳴のような絶叫が響き渡り、俺達は唖然としたままそれを見届ける。

 

『………まぁ、元気そうでなによりだ』

 

「あ、彰達ここにいたんだ」

 

振り返ると、そこにはシャルと……何やら珍妙なものが立っていた。全身をバスタオル数枚で包み込み、ミイラのようになった小さなものだ。

 

「なんだそのバスタオルおばけ…」

 

「ほーら、せっかく着替えたんだから見てもらわないと」

 

「ま、待て。私にも心の準備があってだな……」

 

もごもごと喋るバスタオルおばけの聴き慣れた声に首を傾げ、俺はもしかして、と口にした。

 

『ラウラか?』

 

「う………」

 

水着を見せるのが恥ずかしい……という事なのだろうか。やはり俺にはよくわからないな…と思考していると、シャルが耳元に顔を寄せ、悪戯めいた顔で俺にひっそりと告げてくる。

 

「もーしょうがないなぁ。それじゃあ僕は彰と”二人で”遊びに行ってくるね」

 

『ラウラがそんな状態じゃ遊べないからな。仕方ないか』

 

するりと腕を絡めてきたシャルに合わせて、わざと大きな声で告げると、ラウラはバスタオルの中でしばらく暴れた後ようやく動き出す。

 

「~~っ!脱げばいいのだろう、脱げば!」

 

半ばヤケクソ気味にバスタオルをかなぐり捨てたラウラに俺とシャルは目を合わせて笑った。そして肝心のラウラはというと、

 

「わ、笑いたければ笑うがいい…」

 

レースをふんだんにあしらったランジェリーのような黒の水着に、可愛さを引き立てるようにアップにされた銀髪のツインテールが人形のような美しさを演出していて、一夏が思わず「おぉ…」と唸った。

 

『なに言ってるんだ、可愛いぞラウラ』

 

「か、かわい…っ!?」

 

真っ赤になってしまったラウラに首を傾げれば、ぐいっと俺の腕を引くシャルが眉を寄せてこちらを睨んでくる。

 

『シャルは可愛いだけじゃ言い表せないだろ?それ以上の言葉は俺には思いつかないんだが』

 

「うっ……彰の、バカ…」

 

これまた真っ赤になってしまい、身動きが取れずにいると、俺達を呼ぶ声が後ろから叩きつけられた。

 

 

 

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