ライは冷静に今の状況を分析した。
(バベルタワー上層での爆発……カレンの失踪……恐らくこの二つの出来事は無関係ではないはず。となれば導かれる答えはひとつ……)
「黒の騎士団!」ライはひとつの答えにたどり着いた。この爆発は黒の騎士団によるもので、カレンが居たのはここにあるもの、もしくは自分と同じでここにいる誰かと接触する。もしくは拉致するために潜入していたと考えた。
そう判断したライは直ぐに地下に向かった。理由はゲットーで受け取ったアレを使うためだった。
階段で地下の駐車場に向かった。地下に向かう途中の階層にある広いフロアーにライは出た。あることを確認するためだ。そこには予想通りの物がいた。
「やっぱりKMFを使っているか」
ライの目の前で2体KMFが闘っていた。
片方はブリタニア軍が運用している量産モデル「サザーランド」もう片方はブリタニア軍がかつて運用していた「グラスゴー」のコピー機体で、エリア11のレジスタンスが運用する機体、「無頼」だ。その無頼を見てライは確信した。この騒ぎの主犯は黒の騎士団だと。理由は今目の前で動いている無頼だ。粛正エリアとなったエリア11の現総督、カラレスは「教育」と称して、エリア11の武装勢力に有無を言わせず、武力的制裁をおこなっていた。そんな状況で強力な武器であるKMFを所有出来るとしたら、日本のレジスタンスのスポンサーであった『京都六家』に多大な援助を受けていた黒の騎士団以外にあり得なかった。
「やっぱり用心しておいて良かった」
ライは地下駐車場に急いで向かった。
駐車場に着いたライは直ぐにトラックの荷台にあるもの外に出した。シュナイゼル殿下に頼んで事前に運んでおいてもらったKMFを。
だがそこにあるのはクラブではなかった。クラブは先日の事件で鉄屑の状態のままだった。そもそも内密にエリアにきたライがクラブを使えば全ての計画が意味をなさなくなる。
それでもライはKMFを用意したかった。妙な胸騒ぎがあったからだ。以前にもこの妙な胸騒ぎはあった……ユフィが虐殺をする前日にも……
その時ライは思い出したのだ。かつて親衛隊にいたときにコーネリア殿下から与えられた機体がエリア11で保管されていることに。それが今目の前にある。
「久しぶりだね。『グロースター』」
ブリタニア軍で使用されているサザーランドの上位機体である。第五世代KMF『グロースター』
かつて親衛隊で使っていた時に黒の騎士団に大破されてしまったはずだが完全な状態になっていた。いや完全以上になっていた。グロースターにはMVS2本ににアサルトライフル、極めつけは対KMF用狙撃ライフルが用意されていた。恐らくカノンの計らいだろう。
「さすがシュナイゼル殿下の副官だね。良い仕事をする」
ライはグロースターを起動し、バベルタワーの状況を確認した。事前にカノンがハッキングして手に入れていた機密情報局のコードを入力し、作戦情報をモニターに表示した。
「バベルタワー内部にいる機情のKMFは全部で15機……やっぱり少数精鋭できたか……大半が中間階層に向かっているようだな……よし!」
ライも中間階層に向かう事にした。ライはそこに本来の要件があるのを確信した。グロースターを中間階層に向け動かした時、モニターにある光景が目に入ってきた。そこではサザーランドが対人弾を使い、人間を虐殺していた。日本人だけではなくブリタニア人すら殺していた。ライは何がおこなわれているか瞬時に理解した。
「目撃者を消して作戦を隠蔽するつもりか!どこまで腐っているんだブリタニアは!」
「あれはグロースター!?」
「なぜ黒の騎士団に!?それにあの装備!」
「ちっ!!気が付いたか!仕方ない!」
ライはサザーランド2体と対峙した。そしてライは自分の心にあるスイッチをいれた。優しさを捨て、冷酷に残忍に敵を殲滅する『亡霊』としてのスイッチを……
サザーランドは2体同時に射撃攻撃を仕掛けてきた。ライは瞬時にグロースターを操作した。人体改造の結果で得た人体が反応出来る限界で機体を操った。ライのグロースターはサザーランドを凌駕する機動力を見せ弾丸を全て紙一重でかわした。
「何で当たらない!?」
「遅いんだよ!」
ライはサザーランドのコックピットに対KMF用狙撃弾を撃ち込んだ。サザーランドの胴体に大きな風穴が空いた。
「弾がすり抜ける!?これじゃあまるで『亡霊』じゃないか!」
ライすぐにもう一体のサザーランドにグロースターを向け、コックピット横側に装備されていた。MVSを引き抜いた。
刀身が振動を始め赤く輝き始めた。
「うわぁ!?来るな化け物ぉ!!」
サザーランドは狙いを定めずにアサルトライフルを乱射した。そんな弾丸がライのグロースターに当たるはずもなくライはサザーランドをコックピットごと縦に両断した。
「他のサザーランドは全部中間階層か……直ぐに向かわないと正規軍のサザーランドが突入してきてしまう」
ライはバベルタワーの見取り図のデータを開いた。どうにか中間階層に行けないか考えた。そしてあることに気が付いた。見取り図ではあるはずの階層が吹き抜け状態になっていることに。バベルタワーはまだ未完成の建物だった。
「ここを使えば敵に気が付かれず一気に中間階層に行ける!」直ぐにそのポイントに向かった。上の階層部分の柱にスラッシュハーケンを打ち込み、グロースター本体を引き上げた。中間階層に着いたライは機情のKMFが集まるポイントきらギリギリ探知されない位置にグロースターを配置し狙撃ライフルに着いている望遠スコープを使い様子を伺うことにした。
そこには一体の無頼と学生がいた。見覚えがある制服を着て……
(あの制服……アッシュフォードの学生か……まさか……)
無頼のコックピットから1人の女性が出てきた。緑色の髪を持つ女性にライは見覚えがあった。
(あれは……C.C.!!)
するとC.C.が打たれ、崩れ落ちた。それを皮切りにブリタニア兵がC.C.と学生を囲んだ。そして回りの死体を燃やし始めた。
(証拠隠滅か!!人間は物じゃないんだぞ!)
ライは今すぐにそこに飛び込みたいがナナリーとの約束を果たすため堪える事にした。機情のサザーランドから以下にも貴族といった感じの男が現れ、手帳を開きそれを読み上げているようだ。この距離では声を拾う事が出来ないので会話の内容までは解らなかった。すると学生がC.C.共に立ち上がった。そしてその一瞬、学生の顔が見えた……見覚えがあった顔だ……
(やっぱり……ルルーシュ……生きていた……)
そしてブリタニア兵が一斉に自殺を始めた。ライはその光景に見覚えがあった……かつての自分もおこなったからだ……
(あれはまさかギアス!?何でルルーシュが!?)
その答えは直ぐに解った……同時になぜスザクが自分に嘘をついていたかも……
そこに表れたカレンのKMF『紅蓮ニ式』と黒の騎士団幹部四聖剣が扱うKMF『月下』がルルーシュに膝間付いた。それを何を意味をするかはよくわかっていた。それが彼のもう1つの姿だと理解した。
「そういう事か……彼が……ルルーシュが……ゼロの正体!!」
ライはグロースターをルルーシュに向かわせて動かした。
紅蓮と月下がこちらに気が付き、警戒体制になった。
ライは外部スピーカーのスイッチを入れた。
「こちらに戦闘行為の意思はない!」
そういうとライは手にしていたライフルを地面に落とし、コックピットの外に出ることにした。カツラとコンタクトを外し、彼に自分だとわかってもらうために……そしてライは外に出た……
「なっ!?お前は!?」
ルルーシュのその反応にライは懐かしさを覚えた。
「久しぶりだね……ルルーシュ……」
その日魔神は忘却の中から目覚めた……そして……欠けがいのない友と再開した……