エリア11からカレンと共にブリタニアへ戻ってきたライには想像を越える日常が待っていた。
1つはカレンの事である。
カレンはブリタニアに亡命する形でブリタニアに入国した。だがカレンの今後の事を考えてライはカレンをシュタットフェルト家に還すことにした。
カレンをシュタットフェルト家に還すため本国にいたカレンの養母にカレンと共に会ってみたが、正直カレンと養母は正に水と油だった…‥
二人はライが居ることなどお構い無しにライの目の前で罵詈雑言で互いを罵りあっていたのだ。
正直帰りたかった……
ライは二人の間に割り込んで話を進めることにした。ライとカレンの養母はお互いの要求を話した。
ライはカレンをシュタットフェルト家の一員にする事。
カレンの養母はカレンの相続権の放棄とシュタットフェルト家の私財を全て自分の物にする事を要求した。
カレンはシュタットフェルトの私財などに興味が無かったのでお互いの要求を飲む形でこの問題は片付いた。
カレンのIDや軍への申請はシュナイゼル殿下の副官カノンに内密にお願いすることにした
もう1つの問題はモニカだ
ライはモニカに事情を説明し別れた。
当然モニカは納得せず、修羅場となった。
たまたまその時の光景を見ていたスザクは後に「女性の中には僕らの知らない生き物がいる…‥」っと言っていた…‥
ライはもうあの惨劇を思い出さない事をここに誓った……
いや……あまりにも殴られ過ぎて記憶を無くしていた……
最後の問題はエリア11の事だ
ゼロは捕まっていた黒の騎士団メンバー全員を助け出していた。
そのニュースを見たスザクがエリア11に向かうことを皇帝に進言したようだ。
スザクの気持ちは分かるがゼロがルルーシュと知ってしまったライはスザクにどう接すればいいか悩んでいた。
そんななか皇帝陛下はエリア11にスザクを含め数名のラウンズを派遣する事にきめたようだ。そのメンバーの中にライの名があった…‥
そして……
「ナナリーが総督に!?」
「はい!今日お父様が正式に任命して下さいました」
今日はナナリーの宮にカレンと一緒に来ていた。
ブリタニアに帰ってきてから数日たっていたが、ここ数日のゴタゴタでナナリーの所に来ることが出来なかった。
ライはルルーシュの件をナナリーに報告することとカレンを連れていきナナリーをビックリさせようと思っていた。
だがナナリーに逆にビックリさせられてしまった。
ちなみにカレンの事を知ったときはまるで自分の事のように泣いて喜んでくれた。
「ナナリーが総督か~何か心配だな……」
「ひどいですライさん……私泣いちゃいますよ」
「そうよライ!ナナリーならきっといい総督になるわ」
ライはこの雰囲気を懐かしんでいた。
アッシュフォード学園に居たときは気が付かなかった。
誰かと居るということがこんなにも難しい事に…‥
誰かと居ることが当たり前だったから……
「ライさんもカレンさんと居られるようになって私は嬉しいです!やっぱり大切な人は近くにいて欲しいですよね……」
そう言ってナナリーは下を向いてしまった…‥
ルルーシュの事を考えているのだろう。ライはルルーシュの事をナナリーに話した。
ルルーシュに会ったこと、ルルーシュが自分の意思でエリア11に残ったこと、ゼロのこと以外は嘘偽り無しに話した。
ナナリーはただ静かにライの言葉に耳を傾けていた。
ナナリーは一言も話さなかったがその顔には寂しさが滲み出ていた。ライはナナリーの心中を察した。
「……ナナリーすまない……ルルーシュもきっと同じ気持ちのはずだ……だから一緒に頑張ろう」
「ナナリー。私も貴女の力になるわ……一緒に頑張りましょう」
カレンとライはナナリーの両手をそっと握った……
「ライさん……カレンさん……そうですね……お兄様の為にも頑張りましょう!」
ナナリーはその手を力強く握り返した……
ライはカレンと一緒にブリタニア首都の繁華街を歩いていた。
二人ともさっきのナナリーの事を考えていた。
「ナナリー……寂しいよな」
「そうね……たった一人のお兄さんだもんね……」
二人はまた考え込んでしまった。
「ねぇライ!何とかならないの!?あれじゃナナリーの為でも可愛そうよ……」
カレンはナナリーの気持ちがわかるのだろう。
カレンにも兄がいたから親近感を抱いたに違いない。
「今はまだ僕らに出来ることはなにもないよ……それよりも今はカレン……君の事が心配だ」
ライはそう言って歩くのを止め、カレンを見つめた
「私の事?一体何が心配なのよ……」
ライはカレンが自分が言おうとしている事に気が付いていることは分かっていたがあえて口にした。
「扇さん達と戦えるのかい……もし無理なら言ってくれ……俺一人で戦うよ……」
ライはかつて扇達に会ったことがある。
そのときのカレンはとても生き生きしていた……その時のカレンの顔は今でもライの心の中で輝いていた。
それほど大切な人達と戦わなければならないのだ
「……もう私は『紅月カレン』じゃあない!『カレン・シュタットフェルト』なのよ!覚悟はできてるわ!」
カレンはライに……そして自分にも言い聞かせていた。
ライはその言葉からカレンの覚悟を感じた。
カレンはライと共にいる覚悟を決めていた…‥
「……心配してくれてありがとう。嬉しかったわライ……」
カレンはそう言ってライの腕を強く抱き締め、肩に頭をおいた。ライはカレンの温もりを感じた……
ライはカレンにこれからの事を話す事にした。
ライとカレンは明日、エリア11に向かう事になっていたからだ。そしてカレンがブリタニア軍人としての初任務だ
「君の機体はまだ完成してないからしばらくは副官としてのデスクワークだから頑張ってくれよ」
「私の機体?」
カレンはライの副官としてブリタニア軍で働く事になっている。
最初はカレンにもヴィンセントを使ってもらうつもりでいたが、ロイドがカレンをシュミレーター乗せた時カレンの実力を見てデヴァイサーとして興味を示してしまったのだ。
ロイドの悪い病気が出てしまい、ロイドは勝手にカレンの機体製作をシュナイゼル殿下に申請してしまったのだ…‥
そのためヴィンセントを回してもらう事が出来なくなり、ライは渋々了承した。
「あぁ。紅蓮は置いてきてしまったからね。代わりの物をロイドさんに造ってもらっているんだ。何か希望はあるかい?」
本当はそうではないがそれはカレンには関係がないので、ライはそれらしい理由をつけた。それを聞いたカレンは食い気味でライに訴えた。
「色は赤にして!」
ライは思わず笑ってしまった。
普通ならどんな機体か気になるはずなのに機体の色を指示してきた。
そのカレンらしい発言に色々気にしている自分が馬鹿らしくなってきた。
「了解。明日ロイドさんに伝えておくよ」
そう言ってライはカレンと手を繋ぎ、二人の部屋に向かっていった……
翌日、カレンは初任務に緊張していた
カレンとライはエリア11に向かっている最新浮遊航空艦『クラレント』の中にいた。
『クラレント』今現在ブリタニア軍のみが所有する技術フロートシステムを搭載した最新鋭の航空艦だ。
カレンはそのなかにライともう一人の副官マリーカと共に乗船した。
何時もの黒い団服ではなく、白と青で基調された軍服に身を包んでカレンはマリーカと共にソファーにすわっていた。
彼女達がいるのは戦艦の中央区画にもうけられたラウンズ専用のレクリエーションルームだ。
そこにはライと自分達以外にも二人くつろいでいた。
ソファーでくつろいでいたライと同じ騎士服を着た金髪で長身の男性がカレンに微笑みかけ、直ぐに立ち上がると一目散にライのもとにいき彼の肩に肘をおいて話し出した
「なぁライ。お前の新しい副官、美人だな紹介してくれよ!」
彼の名前はジノ・ヴァインベルグ。ライと同じラウンズの一人、ナイトオブスリーだ。どうやらカレンがライの彼女だと気が付きライをイジリにきたのだ
「ジノ……僕の彼女に手を出すなら覚悟した方がいいよ……」
そういうとライはジノの腹部に拳を打ち込んだイジられているのには気が付いてはいたが、ジノの態度に腹がたった。先日のモニカと破局時の修羅場を散々ジノにイジリ倒されていたからだ
「ちょ!?冗談じゃないか!何でそんなに怒ってるんだ!
」
「……今のはジノが悪い」
バーカウンターで携帯端末をいじっていた少女がジノに喋りかけていた。
特徴的なピンクの髪にへその部分が大胆にも露になった騎士服を来ていた少女。
ナイトオブラウンズの一人で数少ない女性のラウンズ。ナイトオブシックス、アーニャ・アールストレイムだ
「アーニャまで!悪いのは私ひとりか?」
「当たり前だろ!他に誰がいる!」
目の前で繰り広げられる学生の放課後のような光景。
その光景を目の当たりにしたカレンは思わずライに問いかけた
「……ねぇライ?貴方たち本当にナイトオブラウンズなの?」
何とも緊張感と威厳のない光景にカレンは緊張していた自分が馬鹿らしくなり、ライの隣にすわるとまるで当然のようにライの腕に巻き付いた。
一気に何時もの自分に戻っていた。
「カレンさん大胆だなぁ」
マリーカはその光景を憧れの眼差しでみていた。
「ライ……見せつけてくれるじゃないか……」
「……記録」
「……アーニャ写真は止めてくれ恥ずかしい……」
ライは恥ずかしさと馬鹿馬鹿しさにため息をついた。
もう注意する気もなかった。
エリア11に着いた一行はまだ戦艦『クラレント』の中にいた。入国の手続きに少し時間がかかっている状況にライ達は呆れ果てていた。
「暇だなぁ~なぁライ。あれをやってもいいか?」
「勝手にしろ。僕は責任を取らないからな……」
ジノは小さくガッツポーズを取るとソファーで寝ながらブログを打つアーニャを、何とか説得し何処かに連れていった。
「彼らは何処にいったのでしょう?」
マリーカはカレンとライに問いかけた。カレンは勿論知らなかったが、何をするか知っていたライはマリーカの問い掛けに答えた
「格納庫さ。今から政庁を攻撃するんだよ」
それを聞いた瞬間、マリーカとカレンの思考が完全に停止した…‥
そしてすぐに意識を取り戻し、ライが言ったことの意味を理解した
「政庁を!?なら止めなきゃ!?」
するとライから意外な言葉がかえってきた。
「大丈夫だよ。何時もの事だから。それに政庁の防衛力を確認するのに役立つんだよ」
そういうとライはテレビをつけてバラエティー番組を見始めた。
カレンとマリーカは呆気を取られた……
ジノ、アーニャがKMFで突撃してから十数分後、政庁から轟音が聞こえなくなったのを確認し、ライ、カレン、マリーカは政庁に降り立った。
「やっばりスザクか。二人を止めたのは」
政庁に着くと中はひどい有り様だった…‥
政庁天井部分には大きな穴が開き、建物内部にはあちらこちらにサザーランドの残骸が落ちていた。
その中でそびえ立つ4体のKMFの回りに人だかりができていた。
グロースター2機を制している可変KMF「トリスタン」の下にライが名前を上げた人物がいた。
彼も此方を見つけたようだ
「ライと……え!?カレン!?何で君がここに!」
スザクは驚いたライの後ろにいる二人の女性。
マリーカの事は前からライの副官として働いていたから知っていたが、もう一人の女性は知ってはいるがここにいるはずのない人物だった。
彼女は済ました顔で自己紹介を始めた。
「初めまして枢木卿。ライ・アッシュフォード卿の副官に任命されました。カレン・シュタットフェルトです。」
(カレンがライの副官!しかも紅月ではなくシュタットフェルト!?一体なにが!?)
スザクは状況を飲み込めなかった。
「ライ!どういう事か説明してくれ!なんでカレンが君の副官になっているんだ!」
スザクは事実を知る人物に直接聞くことにした。
すると彼から思いもよらない答えがかえってきた。
「ならスザク。君も僕の質問に答えてくれ。」
政庁の後始末をグラストンナイツとジノそれにマリーカに押し付けてスザク、ライ、カレンは人気のない部屋に入った。
そしてライは遂にスザクにあることを聞くことにした。
「スザク……君は何処まで関わっている。」
ルルーシュのこと、機密情報局のこと、ギアスのこと、生徒会メンバーの記憶が書き換えられている事、アッシュフォード学園を機情が監視している事はカレンから聞いていたが、あえてどの事かは言わなかった。
スザクが聞き返してくればどの事に関わっているかわかるからだ。
だがスザクは黙り、ライを殺気の混じる視線を送った。
その冷たい眼差しをみて、ライとカレンは悟った……
『どこまで』ではなく、『どこから』だと言うことに……
スザクは全てに関わっていた……
ライは今その事に気が付いた……