今後も月1ペースで投稿できたらなと思っています。
今回登場する一部のオリキャラの設定は、
ミックラックさんの小説(リメイク前)のものを使わせて頂いています。
なので、もしかしたら後日修正するかもしれませんので、ご了承下さい。
カナンリーグへ挑戦するため、中国へとやってきたソウマ。
乗っていた飛行機が何かと衝突しそうになると、いきなりトラブルに巻き込まれたものの、
無事にカナンリーグへの参加登録を済ませる事ができたのだが……その翌日、
今度は誘拐事件に遭遇したソウマは、ポケモン達の力を借りて誘拐犯達を叩きのめし、
『ユエ』と『エイ』という少女を助け出すのであった。
・・中国河南省鄭州市 警察署前
「しっかし、お前も物好きだな。わざわざ誘拐事件に首突っ込むなんてよ。」
「しょうがないじゃないですか……目の前で起こられたら、放っておけませんもん。」
ソウマが誘拐事件に巻き込まれた……と言うより、自分から事件の渦中に飛び込んだ翌日……
やって来たレイウォンのおかげで、ようやく警察署から出る事ができた。
ユエとエイの2人は、昨日の時点で迎えが来たために既に洛陽へと帰っていたが……
ユエは相当なお嬢様らしく、両親がSPの様な屈強な男達を連れてやって来たらしい。
尚、エイの親も一緒に来たそうだが、ソウマはその時はジュンサーと話していたため、
ユエとエイが帰る際に、改めてお礼を言っていた事を後から聞いたのであった。
「まっ、事件の翌日に釈放してもらったんだ。良かったじゃねぇか。」」
「別に僕が悪さしたわけじゃないんですからね……それで、どうして少林寺に?」
「特に大きな意味は無ぇが、中国のトレーナーのレベルを知るには丁度良いだろ?」
「まぁ、そうですけどね。」
「ほら、後ろ乗りな。」
「……っと、どうも。」
ソウマはレイウォンからヘルメットを受け取り、レイウォンのオートバイの後ろに乗った。
ちなみに、ゾロアはモンスターボールに戻している……文句は散々言われたが……
「乗ったな?しっかり掴まってろよ。」
「はい。」
ソウマを乗せたレイウォンは、そのままオートバイを走らせたのであった。
・・嵩山 山中
「よし、着いたぞ。と言っても、ここからは歩きなんだがな。」
オートバイで走る事数時間……ソウマとレイウォンは少林寺へと続く山門に到着した。
「ん、ん~~……ずっと後部座席に座ってたから、お尻痛いですよ……ゾロア、出て来な。」
『(やっと出られたぞぉ。)』
オートバイの後部座席から降りたソウマは、ゾロアをモンスターボールから出した。
「……うわぁ~……随分長い石段ですねぇ。」
『(霧の中に道が続いてて、その少林寺ってのが見えないぞ……。)』
「ほらっ、行くぞ。」
「あっ、はい。」
ソウマはゾロアを肩に乗せ、レイウォンの後を追って石段を登り始めた。
・・数十分後
霧に包まれた山岳地帯を歩いていくレイウォンの後を追い掛けるソウマ。
『(まだ着かないのかぁ~?)』
「人の肩に乗ってて文句言わない。けど、空気は少し薄いけど気持ち良い所ですね。」
「だろ?流石にここまでは土地開発ができねぇからな……おっ、見えてきた。」
レイウォンが指差した場所に見える少林寺は、まるで雲の上に立っている様にそびえていた。
「うわぁ……。」
「中々なもんだろ?ほら、行くぞ。」
レイウォンについて行き、少林寺の門を潜ると……
「「「セイッ!セイッ!」」」
数多くの少年少女が厳しい修行を少林寺のあちらこちらで行っていた。
中には水の中で修行している者や、ポケモンと組み手をしている者もおり、
高名ながらも修行が過酷な事で有名な少林寺ならではの光景だった。
「うわぁ~……。」
それでも真剣に取り組む彼等の姿に、ソウマは思わず目を奪われた。
「ソウマ、行くぞ。」
「あっ、はい。」
レイウォンに呼ばれ、ソウマは寺の中へと入って行った。
・・鄭州市~少林寺間 車道
「……はい。例の少年は、どうやら少林寺の方へ向かった様です。」
車を運転する女性が、車に装着した携帯電話で会話している。
『そうか……できる事なら直接会ってみたい。同行してくれるなら失礼の無い様にな。』
「分かっています。」
そう言いながら、女性は車道を更に進んでいくのであった。
・・少林寺 応接間
「ど、どうぞ。」
「オウ、ありがとよ。」
「し、失礼します。」
チャイナリーグチャンピオンにして大先輩であるレイウォンがいるためか、
お茶汲みの少年は緊張した様子で急須をテーブルに置き、部屋を出て行った。
「流石の人気ですね。」
「よせよ。それより、この間お前が乗った飛行機にぶつかりそうになった影の件だが、
警察もあの辺の上空を中心に調べてはいる様だが、まだ有力な情報は入ってねぇ。」
「そうですか……。空を飛べるって事は、ひこうかドラゴンタイプだと思うんですけど……。」
「それが妥当な線だが……飛行機並のサイズだと、伝説級のポケモンかもしれねぇが、
あの一帯にその類の噂は無かったから、その可能性も薄いかもしれないな……
とりあえず、引き続き情報を集めてみる。お前はひとまずカナンリーグに集中しろ。」
「はい。」
「……さてと、俺は後輩達に挨拶してくる。お前も少し少林寺を回ってみな。」
「部外者の僕が歩き回って大丈夫なんですか?」
「俺の客って言えば文句言えねぇだろうよ。じゃ、後でな。」
そう言って、レイウォンも部屋を出て行った。
「さてと……そういう事なら、お茶飲んだら少林寺の中を色々見て回るか。」
『(オウ!)』
そう言ってお茶を飲んで一息付いた所で、ソウマはゾロアと共に見学を始めたのであった。
・・廊下
広い庭らしき場所が見える廊下に辿り着き、歩いていると何かの音が聞こえ、
その音がした方に近寄ると、バトルフィールドでポケモンバトルが行われており、
戦っているのはハリテヤマとチャーレムで、流石と言うべきかレベルの高さが伺えた。
「わぁ~、流石少林寺で修業するポケモンだ。皆レベル高いなぁ……。」
『(凄い迫力だぞ。)』
「……ん?」
ソウマがバトルを見ていると、近くにいたトレーナーがソウマに気が付いた。
「オイ、あれ……。」
「えっ?……誰だ、アイツ?」
「見た事無い奴……ていうか、少林寺の門下生じゃないぞ。」
「ん?」
バトルをしていないトレーナー達がざわめき出した事に気が付くソウマ。
「お前、誰だ?」
「ここは関係者以外入れないはずだ。」
「あぁ、レイウォンさんに連れて来られただけだからお構いなく。」
「レイウォンさん、だと!?」
まさかの名前が出てきた事に、周囲のトレーナーも注目していた。
「……お前、一体何者だ。」
「僕?日本からカナンリーグに挑戦しに来たソウマだけど……。」
「日本人か……なぁ、丁度良いんじゃないか?」
「そうだな。」
「決まりだ……お前、俺達のバトルに付き合わないか?」
「えっ?」
「これから俺達でトーナメントするんだが、1人急病で人数が合わなかったんだよ。
レイウォンさんと知り合いってんなら、日本人でもそれなりの腕なんだろ?」
「う~ん……まぁ、そこそこはあると思うけど。」
「だったら、付き合えよ。俺達少林寺の力をみせてやる。」
「……確かに良い機会、かな。分かったよ、そのトーナメントに参加する。」
「決まりだ。」
こうしてソウマは、少林寺のトレーナーに混じってトーナメントに参加する事となり、
くじ引きの結果、いきなり第1試合から出る事になるのであった。
「使用ポケモンは1体。試合ごとに違うポケモンを出しても良いし、タイプの制限も無い。
どちらかのポケモンが戦闘不能になったら試合終了だ、良いな?」
「分かった。じゃあ、僕のポケモンは……フライゴン、Let’s Say go!」
『フラァイッ!』
ソウマが1回戦のポケモンとして選んだのはフライゴンであった。
「色違いのフライゴンか。だったら俺は……行け、ヘラクロス!」
『ヘラッ!』
対して相手のトレーナーは、1ぽんヅノポケモン『ヘラクロス』を呼び出した。
「メガホーンだ!」
『ヘラクロッ!』
「すなあらし!」
『フゥラァァァッ!』
『ヘラッ!?』
ヘラクロスの【メガホーン】をかわしたフライゴンは【すなあらし】を発動し、
フィールド全体に砂嵐を巻き起こし、ヘラクロスも飛ばされない様に地面を踏み締めた。
「そのままおいかぜで、すなあらしに乗れ!」
『フライッ!』
更に【おいかぜ】を発動したフライゴンは、砂嵐の流れに乗って飛び回り、
【すなあらし】の効果で上手く身動きできないヘラクロスを翻弄する。
「クッ……タネマシンガンだ!」
『ヘラ、クロロロッ!』
口から【タネマシンガン】を放つヘラクロスだが、フライゴンは次々とかわしていく。
「反撃だよ、りゅうのいぶき!」
『フゥラァァイッ!』
『ヘラァッ!?』
フライゴンの【りゅうのいぶき】を受けて吹き飛ぶも、すぐに体勢を立て直すヘラクロス。
「ヘラクロス、すなあらしに突っ込んで奴を捕まえろ!しんどいだろうが耐えてくれ!」
『ヘラッ!ヘラァァァァッ!!』
ヘラクロスはトレーナーの指示に従って砂嵐の中へと突っ込み、
ダメージを受けながらも飛んでいるフライゴンを捕まえた。
「そのままミサイルばり!」
『ヘェラッ!』
『フラッ!?』
ヘラクロスの角が輝き出し、そこから飛び出した【ミサイルばり】を受けながら、
フライゴンは地面スレスレまで高度を落とされてしまった。
「(流石少林寺で修行してるポケモン、凄いタフさ……けど!)連続でグロウパンチ!」
『フゥラッ!ラッ!ラァッ!』
『ヘラッ!?ヘ、ヘラァッ!?』
フライゴンは抱き付く様に捕まえているヘラクロスのボディに【グロウパンチ】を放ち、
効果はいまひとつながらも何度もボディブローの様に叩き込まれて苦しみ出し、
ついにはフライゴンから手を離し、【グロウパンチ】を受けた腹部を押さえた。
「ねっぷうで決めるよ!」
『フラァイ、ゴォォンッ!』
『ヘラァァッ!?』
フライゴンが羽ばたきで起きた強烈な熱風が、そのままヘラクロスを飲み込んだ。
「ヘラクロス!?」
『ヘ、ヘラァ……』
こんがり焼けたヘラクロスは、その場で引っ繰り返って気絶した。
「ヘ、ヘラクロス戦闘不能!フライゴンの勝ち!」
ソウマが勝つとは思わなかったのか、審判をしていたトレーナーが戸惑った様子で宣言した。
「うし!フライゴン、お疲れ様。」
『フラァイ』
目の前に来たフライゴンの頭をソウマが撫でると、フライゴンは気持ち良さげに鳴いた。
「ゆっくり休んでくれ、ヘラクロス……くそっ、まさかねっぷうを覚えてたとは。」
「油断し過ぎだ。ほとんど向こうのペースに飲まれっぱなしだったじゃねぇか。」
「うるさいな。あのスピードを正面から見てみろ。見失わないのがやっとだったんだぞ。」
周りに駄目出しされる中、悔しそうにソウマを睨むトレーナー。
数分後、ソウマとトレーナーがバトルフィールドを出て、トーナメントは進行した。
・・少林寺 廊下
「ハッハッハッ!そうか、チャウシンの奴は相変わらずか。」
「笑い事ではありませんよ、レイウォンさん。アイツは修練の時間になると少林寺を抜け出し、
麓の町で女子達と遊び歩く……頻繁にその様な事をされれば、周りにも示しがつきません。」
「少林寺のトレーナーとしての自覚が足りなさ過ぎる。」
レイウォンは拳法着を着た少年とキョンシーの様な服装の少年と話しながら歩いていた。
「そう目くじら立てるな、ダーシャン、チーユン、お前等は真面目過ぎるんだよ。
まぁ、チャウシンの奴には今度会った時に少しは修練にも参加しろって言ってやるよ。」
「お願いします。それで、レイウォンさんが連れてきた日本人のトレーナーというのは?
以前、レイウォンさんが密猟者を殺そうとしたのを止めようとしたとは聞いてますが……。」
「流石にお前達には及ばねぇが、筋はかなり良いぜ?それにトレーナーとしても真っ直ぐで、
トリッキーな手を使う事はあるが卑怯な事は決してしない。お前等も気に入ると思うぜ。」
そう話しながらレイウォンが先程の部屋に入るが、部屋には誰もいなかった。
「ソウマの奴、少林寺の中を見に行ってるみたいだな。」
・・本当かよ!?・・
・・あぁ!ヨウタンだけじゃなくてテイスゥやショウカンも負けたんだってさ!・・
「何だ?」
レイウォン達が出ると、数人の少年が廊下を走っていた。
「オイ、何の騒ぎだ?」
「ダーシャンさん。今日、ヨウタン達がトーナメントやってるのは知ってますよね?」
「あぁ。この間、『アレ』を誰が使うかで揉めた末に決まったトーナメントだな?」
「そのトーナメントに日本人が飛び入り参加する事になったんですが……
ヨウタンやテイスゥがその日本人に負けて、決勝戦まで勝ち上がったんですよ。」
「日本人?……レイウォンさん。」
「あぁ、おそらくソウマの奴だな。ところで、『アレ』って何の事だ?」
「メガストーンのキーストーンですよ。ほら、あなたがこの間……。」
「あぁ~……俺が素性隠してフラッと参加して優勝しちまった大会の景品だったアレか。
確かに俺はもう持ってるからこっちに送ったが、まだ持ち主決まってなかったのか?」
「俺達はもう持ってますから……で、立候補が何人もいたので。」
「トーナメントで優勝した奴が……ってわけか。とりあえず見に行ってみようぜ。」
「はい。」
レイウォン達はトーナメントが行われているバトルフィールドに向かった。
・・バトルフィールド
トーナメントは決勝戦を向かえ、少林寺のトレーナーの1人とソウマが向かい合っていた。
『(ソウマ~、頑張れよぉ~~!)』
前の試合で勝利したゾロアは近くのベンチで丸くなりながらソウマを応援していた。
ちなみに、ゾロアの前の試合はグレイシアが戦い、勝利している。
「リュウアン、負けるな!少林寺の意地を見せてやれ!」
「分かってる!このまま日本人に良い様にされてたまるか。」
「じゃあ、僕は……ルカリオ、Go!」
『ワウッ!』
ソウマが呼び出したのは、ルカリオであった。
「頼んだよ。」
『(待たされてウズウズしていたからな。溜まった鬱憤、全部晴らさせてもらうぜ。)』
テレパシーでそう言いつつ、ルカリオは身構えた。
「俺はコイツだ。行け、チャーレム!」
『レェムッ!』
一方少林寺のトレーナー『リュウアン』のポケモンは、めいそうポケモン『チャーレム』……
相性では、はがねタイプを持つルカリオがやや不利であるが、果たして……
「チャーレム、ほのおのパンチ!」
『レムッ!』
「迎え撃つよ、ボーンラッシュ!」
『(ハァァッ!)』
効果が抜群な【ほのおのパンチ】に対し、ソウマはルカリオに【ボーンラッシュ】を指示し、
ルカリオは波導の棍による【ボーンラッシュ】でチャーレムを接近させずに攻撃した。
「チャーレム、みきりでかわせ!」
『レムッ!』
【ほのおのパンチ】を止めたチャーレムは、【みきり】で【ボーンラッシュ】をかわした。
「こころのめからとびひざげり!」
『……レムッ!』
距離を置いたチャーレムは【こころのめ】を発動してルカリオの姿を捉え、
そのまま駆け出してジャンプし、ルカリオ目掛けて【とびひざげり】を放ってきた。
「(下手な姿勢はかえって逆効果だな。)ルカリオ!」
『(ヘイヘイ。)』
ソウマは細かい指示を出さなかったが、言いたい事を理解しているかの様に構えるルカリオ。
「(チャーレムの特性は物理技の威力が倍増する『ヨガパワー』だ。これが決まれば……。)」
威力の倍増した【とびひざげり】なら、万が一倒せずとも深手は負わせられる……
リュウアンがそう考えている間に、【とびひざげり】がルカリオに迫った。
『(こころのめでかわせないなら!)』
迂闊に防ぐ事もできない上に【こころのめ】によってかわす事もできないならばと、
ルカリオは波導の棍を盾代わりにしてチャーレムの【とびひざげり】を受け、
そのまま棍をズラす事で受け流し、そのままチャーレムの懐に飛び込んだ。
「グロウパンチ!」
『ワァウッ!』
『レムッ!?』
「なっ!?」
無防備となったチャーレムの鳩尾に【グロウパンチ】を鳩尾に叩き込んだ。
効果はいまひとつながらも、【グロウパンチ】の効果で『こうげき』が高まり……
「か~ら~の、ブレイズキック!」
『(ハァァァァツ!)』
『レムゥッ!?』
【グロウパンチ】で地面に叩き付けられ、バウンドした所に【ブレイズキック】が決まり、
チャーレムは後方へ吹き飛ばされるが、すぐに立ち上がって抱え直した。
「クッ……どういう事だ。日本のトレーナーにこれほどの奴がいたってのか?」
日本のレベルは、世界では決して高いとは言えないレベル……しかし、
今目の前にいるソウマは、強国の1つである中国のトレーナー自分と渡り合っている……
リュウアンにはそれが信じられずにいたのであった。
「……確かに日本はまだレベルが低いって言われる……けど、だからって実力が劣るとでも?
日本人だからって、日本でしか戦ってないから大した事無いって思ってるなら心外だな。」
「グッ……。」
「僕には目標としている人達がいる……その人達の影にすら、僕はまだ指が届いてない……
けど、その人達を追うって……超えるって決めたから……立ち止まってなんかいられない。」
ソウマにとって、目標としている人は2人いる、1人はレイウォン……
もう1人は、幼い頃何時も自分を引っ張り回してエンジュシティを走り回り、
トレーナーとなって地方リーグで優勝した後、単身海外へ武者修行に出た姉貴分……
たまにフラッと帰って来て、その度に顔を合わせては引き離されていくと思い知らされる。
怒ると正に『鬼』と言えるほど怖いし、一生頭が下がらないとも思える相手だが……
戦うたびに常識に囚われない変幻自在なバトルを見る度に何時もドキドキさせられた。
尊敬し、憧れるその背中に追い付き、追い越したい……ソウマの心に宿る目標……
「だからこそ、相手が誰であっても僕は……僕達は退くわけにはいかないんよ。」
「ググ……俺達は、この少林寺で厳しい修行を何年も続けてきたんだ!
ぽっと出のトレーナーなんかに負けるかよ!チャーレム、お前の実力を見せてやれ!
ビルドアップから連続でほのおのパンチだ!」
『レェムゥッ!レムッ!』
「かわして!」
【ビルドアップ】によってパワーアップしたチャーレムがルカリオに突っ込み、
ルカリオはチャーレムが繰り出す【ほのおのパンチ】を次々にかわしていく。
「そこだ、ローキック!」
『レェムッ!』
『ワウッ!?』
【ほのおのパンチ】をかわした直後に【ローキック】を放たれ、
避け切れなかったルカリオはそのまま体勢を崩して倒れそうになる。
「貰った、とびひざげりだ!」
「体術で迎え撃って!」
『ワァウッ!』
『レムッ!?』
体勢を崩しそうになったルカリオは、地面に片手を付いてチャーレムに足払いを放ち、
【とびひざげり】を放とうと片足を上げていたチャーレムの方が地面に倒れ込み、
チャーレムが起き上がる前にルカリオはチャーレムから距離を置いて体勢を立て直した。
「(クッ、まさか体術を使って逆にこっちの体勢を崩してくるなんて……。)」
技だけでなく、人間の使う体術まで習得していた事に驚きを隠せないリュウアン。
「ルカリオ、一気に勝負を決めるよ!シャドークローからブレイズキックだ!」
『(はいよ!)』
「(マズイ!)チャーレム、みきりだ!」
『ワァウッ!』
『レムッ!』
効果が抜群な【シャドークロー】を【みきり】を使って回避したチャーレムだが……
『ワァァウゥッ!』
『レムッ!?』
【シャドークロー】を空振りした際の遠心力を利用して【ブレイズキック】を放ち、
【みきり】の後で動けなかったチャーレムに命中させて後方に吹き飛ばし……
「ラスターカノンでトドメだよ!」
『ワウッ……ワァウゥッ!!』
『レムゥッ!?』
ルカリオは胸の前で両手の指先を合わせる構えを取ると、
空いている手の平同士の間にエネルギーが集まり、それをチャーレムに向かって放ち、
吹き飛ばされた先で体勢を崩して避けられないチャーレムに直撃して爆発を巻き起こした。
(技の放ち方のイメージとしては、ドラ○ン○ールのピッ○ロの『激烈光弾』の様な形))
「チャーレム!?」
『……レ、レム……』
【ラスターカノン】による爆風が晴れると、チャーレムは目を回して気絶していた。
「勝負あり、だね。」
「クッ……。」
チャーレムの戦闘不能を確認し、勝負が決まったと告げるソウマを睨むリュウアン。
「……戻れ、チャーレム……ご苦労だったな。」
労いながらチャーレムをモンスターボールに戻すリュウアン。
「リュウアンまで負けるなんて……じゃあ、賞品はアイツが?」
「クッ……そんな事、あってたまるか!」
すると、トレーナーの1人がモンスターボールを取り出して投げ、
中から現れたきんこつポケモン『ローブシン』を呼び出した。
「キーストーンを日本人なんかに横取りされてたまるか!ばくれつパンチだ!」
『ロォォブッ!』
ローブシンは持っていたコンクリートの柱を置き、ソウマのルカリオに襲い掛かってきた。
「!?かわして!」
『ワウッ!』
それに気付いたソウマは咄嗟に指示を出し、ルカリオは【ばくれつパンチ】をかわした。
「どういうつもり!?バトルの終わった直後に襲ってくるなんて!」
「オ、オイ、流石にそれはマズイって。」
「ウルセェ!後で黙らせれば同じだ!ローブシン、今度はアームハンマーだ!」
『ロォブ……ロオォォッ!』
周りの言葉に聞く耳を持たないトレーナーの指示で、再びローブシンが襲い掛かる。
「ルカリオ!」
『(オウッ!……?)』
迎え撃とうとするルカリオだったが、ふと頭上から何かが来る事に気付いた。
『ロォブッ!……ロッ!?』
ローブシンは気付かずに腕を振り下ろすが、空からルカリオの前に何かが降り立ち、
ルーブシンの【アームハンマー】をいとも簡単に受け止めてしまった。
『……コジョ』
ルカリオの前に現れたのは、ぶじゅつポケモン『コジョンド』であった。
『コオォォ、ジョッ!!』
『ロブッ!?』
ローブシンの腕を払った後、コジョンドはそのままローブシンの懐に飛び込み、
【とびひざげり】を鳩尾に叩き込みで吹き飛ばし、ローブシンは飛ばされた先で気絶した。
「(凄いとびひざげりだ……ローブシンを一撃であんなに遠くまで……。)」
ローブシンはバトルフィールドを抜けて更に後方まで吹き飛ばされており、
それだけ今の【とびひざげり】がとんでもない威力だったのだと、ソウマはすぐに理解した。
・・そこまでにしておけ。・・
「「!」」
声がした方を向くとレイウォンとダーシャン、チーユンが立っていた。
「……今のは一体どういうつもりだ?」
「え、いや、その……。」
先ほどの不意討ちについてダーシャンが問い質されて狼狽えるトレーナー。
「……レイウォンさんの客人をトーナメントに参加させた事は良いとしてもだ。
優勝されたからと腹いせに不意討ちをするとは……。」
「し、しかし、ダーシャンさん!」
「そんな言い訳が通ると思っているのか!!」
「ヒッ!?」
「バトルを終えて疲労しているポケモンに不意討ちするなど言語道断だ!」
ダーシャンの大声に少林寺のトレーナーはビクッと肩を振るわせる。
「罰として1ヶ月間の寺全体の掃除!それを終えるまで一切の修練への参加を禁じる!
もう一度、基礎から心身を全て鍛え直せ!良いな!!」
「は、はい!」
トレーナーは逃げる様にその場を走り去っていった。
「……うちの者の非礼、深くお詫びする。申し訳ない事をした。」
「いえいえ。そちらでちゃんと罰してくれた様だから、この件はこれでおしまいにしよう。」
頭を下げるダーシャンに対し、ルカリオをボールに戻したソウマは笑いながら返した。
「……ところで、君は?」
「コイツはダーシャン、そしてこっちがチーユン。俺の後輩だ。」
ダーシャンの横に立ったレイウォンがダーシャン達を紹介した。
「ダーシャンは去年のチャイナリーグの優勝者なんだぜ。」
「へぇ~……じゃあ、さしずめレイウォンさんの後継者って事ですね。」
「人を引退前の年寄り扱いすんじゃねぇよ。」
「アタッ」
レイウォンに軽く頭を小突かれるソウマ。
「まだまだチャンピオンの座を譲り渡すつもりはねぇ。」
「分かっています。今はまだレイウォンさんに劣りますが……何時か、必ず超えてみせます。」
「ヘッ、言うじゃねぇかよ、ガキンチョが。」
後輩の言葉に嬉しそうに返すレイウォン。
「そっか……君もレイウォンさんを目標にしてるんだ。」
「ん?もしかすると、お前もそうなのか?」
「うん。レイウォンさんにも君にもまだ勝つ事はできないし、他にも目標にしてる人がいる。
……けど、追いかけがいのある背中だと思ってる。だから、強くなるために中国に来たんだ。」
「……そうか。なら何時か、お前とも手合わせしてみたいものだな。」
「うん。まだ先になるだろうけど……今よりもっと強くなったら、必ず。」
「楽しみにしている。」
「その時は、チーユンとも手合わせして欲しい。」
ソウマとダーシャンが互いにニッと笑い合っていると、そこにチーユンもやって来た。
「チーユンに勝てない様では、ダーシャンに勝つなど夢のまた夢だ。」
「勿論、喜んで。けど、ダーシャンの前座としてじゃない。1人のライバルとしてならね。」
「……なら尚の事、チーユンもお前と戦いたい。」
ソウマと後輩達がライバルとなった事にレイウォンが笑みを浮かべていると……
・・ダーシャンさん!・・
建物の中から出てきた少年が、ダーシャンに駆け寄って来た。
「何事だ?」
「『奴』が出たんです!今日の昼食用の野菜がまた……。」
「またか……。」
「奴って?」
「この近辺の山に住んでいるポケモンだ。たまに潜り込んでは、野菜で試し切りしたり、
うちのトレーナー達に勝負を仕掛けてきたりしているんだ。」
「へぇ~……ゲットとかしないの?」
「試みた奴もいた様だが、モンスターボールを技で真っ二つにされて以降、
誰もゲットしようとしなくてな……そろそろ俺達も動こうとしていた所だ。」
「そうなんだ。どんなポケモン?」
「あぁ、それは……。」
と、ダーシャンが告げようとすると……
「ダーシャンさん、あれ!」
少年が指差した方を一同が見ると……
『ツ~キ、ツッキィ~♪』
そこには剣の様な形をしたポケモンが浮かんでいた。
「あれって、確か……あった。とうけんポケモン『ヒトツキ』……って、あれ色違いじゃん。」
「あぁ。それもうちの者がゲットしようとした理由の1つだ。」
ソウマがポケモン図鑑と見比べると、本来のヒトツキは白い刀身と青い布が特徴であるが、
現れたヒトツキは刀身や布が赤く、色違いである事がすぐに分かった。
『ツキツキッ……ツ~キィッ!』
色違いのヒトツキは、何やらソウマに興味を持ったのか、ソウマの方を見ながら声を上げた。
『(アイツ、ソウマと戦いたがってるぞ。)』
ゾロアがソウマの肩によじ登りながら、ヒトツキの様子を解説した。
「えっ、僕と?」
「どうやら、お前のバトルを見て興味を持った様だな。」
「そうなのかな?……よし、だったら受けて立つよ。ゾロア!」
『(オウ!)』
『ツキィッ!』
ソウマはゾロアで戦う事にし、色違いのヒトツキがゾロアと向き合って睨み合った。
果たして、少林寺のトレーナー達をも手玉に取るこのヒトツキの実力とは……
ゾロアの中国での初バトルが、今始まろうとしていた。
そして、ソウマの後を追う謎の人物の目的とは……
ソウマの中国を巡る旅は、まだまだ始まったばかりである!
……To be Continued!
もう少ししましたら、ソウマを始めとしたキャラ設定を投稿予定です。