インフィニット・ストラトス~前世の記憶を持つ者~(完結)   作:ダーク・シリウス

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突入

世界からISとコアが奪われたその日の夜。束によって知らされた宇宙船がある海域、太平洋へ国際条約など無視して軍艦や空母で現地へ集い始めている頃だった。千冬達は帰る場所も行く場所も無い為、対暗部用の暗部の家系こと更識家に匿われていた。匿われているというより、しばらく衣食住が確保された保護の形で更識家に身を委ねている。政府から無き学園に対する責任は保留されているが、全てが終わった頃には蒸し返して追求するだろうと楯無は予想して指摘の言葉を発した。

 

今現在、広間で集まって真剣な面持ちで今後のことを顔を突き出し合いながら語っている。

 

「太平洋に巨大な建造物があるのは既に海軍からの情報で確認しているわ。だけど、侵入を拒む光るドーム状の何かによってどの船も進行ができないで足止めを食らってるの」

 

「光るドーム状ってなんだろう?」

 

「おそらく結界の類のようなものだろうよ。そう思えば納得ができる」

 

「先輩。それって海から行けれないんですか?」

 

「海からは行けれないわ。なんせ宇宙船があるのは指定された海域にあるはずのない直径40キロの大陸の場所だもの。地面を掘って地中からの侵入を試みたそうだけれど、地中までその結界があって360度、四方八方、空や地、海からの侵入は完全に不可能」

 

これを見てと楯無は現在の映像をモニターとして空中投影した。

 

戦闘機や船からのミサイル攻撃が光るドームに直撃しているが、一瞬たりとも揺れるどころか罅すら生じないほどの強固さを誇っている様子を目の当たりにした。

 

「旧式の物じゃあ絶対に破れないってワケね」

 

「ISもな」

 

すると、宇宙船から視覚化するほどに何らかの電波が生じた。それを食らった戦闘機が急にエンジンが止まって次々と海面や地面へと不思議で不自然な墜落が起き始めた。

 

「―――電磁パルスっ!?」

 

機械に対して絶大的な威力を有する電波に戦慄する。ISを装着したまま近付けば見た映像の二の舞になっていたに違いない。最強の兵器とは言え様々な機器と金属の塊。旧式の兵器と同じように電子パルスを放たれてしまえばただの金属の塊と化するのだ。束が言っていた通りムリゲーである。侵入を阻む結界と機械を無力化する電磁パルスの最凶のコンボは世界中の軍事力を圧倒している。

 

「楯無さん。どうしようもないじゃないですよ・・・・・」

 

「どうやってこれから行くんですか」

 

乗り込む気でいる楯無しでも電磁パルスの存在に言葉を失った。確かにこれはどうしようもない。電磁パルスはともかく、あの結界は何時まで保っていられるのかわからない。自分達は指を銜えて見ているだけなのか・・・・・。ISを奪われ、月に行く手段であるロケットは侵入不可能。思い通りにする為には前途多難すぎて、これからどう行動を起こせばいいのか分からないどころか手詰まりなのだ。

 

「くそ、どうすればっ」

 

悔しげに一夏が吐露するその言葉は誰も返さなかった。

 

―――はずだった。

 

「お困りのようですね」

 

静かに響き渡る声音が広間に発声した。皆その声がした方へ声の主に視線を向けると見たことがない女性が佇んでいて、楯無は警戒心を抱いた。翡翠の髪に翡翠の角、絢爛たる着物を身に包む女性はただ者ではないと察して。

 

「どちら様かしら。この家を知っていようがいまいが不法侵入してくるなんて常識がない人ね」

 

「それについては申し訳ございません。が、無力な人間達の嘆き落ち込む姿を見ても始まらないのでこうして現れました」

 

「無力ですって?」

 

「―――織斑一誠と一戦も交えず、ISとやらを奪われたあなた方では到底勝てません」

 

どこかであの時のことを見ていたかのような風な発言をする女性にカチンときた楯無が女性に対して戦意を露わにした矢先だった。

 

「待て更識姉」

 

千冬が制止の言葉を掛けた。一夏達は千冬に目をやり、成り行きを見守る。

 

「京都にいた者だな。また現れるとは思わなかった。しかも我々の前にだ。何を目論んでいる」

 

答えろ、と鋭い目付きで催促する千冬の前にして女性は当然のように答えた。

 

「あなた方の願いを叶えて差し上げようかと思っています」

 

「なに?」

 

「その代わりに私達は彼を、織斑一誠を引き取らせてもらいたいと思っております」

 

願いを叶える代わりに一誠を引き取るという女性の発言で過敏に反応する一夏と秋十。

 

「待てよ。あんたは一誠の何なんだよ」

 

「俺達の願いは確かに一誠とISに関係してるが、なんで引き取るなんて言うんだ」

 

二人の疑問は尤もだと訝しい目で見つめられる女性は一同を見回して口開く。

 

「そうですね。その疑問を答える前に一つ質問を答えてください。―――織斑一誠とIS。どちらがこの世界にとって大切なのでしょうか?」

 

「「「「「っ!?」」」」」

 

個ではなく全で優劣を問うた女性。

 

「はぁ?アンタ何言ってんのよ。そりゃ、あいつは幼馴染だけどISも大事でしょうが。奪われちゃったし」

 

「そうですわ。今の織斑一誠は壊滅した世界各地の基地や研究機関、企業からISを破壊しコアを奪い取ったことでテロリストとみなされ、今こうして世界各国の軍事力がコアの奪還に動いていますのよ」

 

ISが大事だと、鈴とセシリアは当然のように返答した。

 

「家族を、一誠に会って話し合いたい。それが今の俺の気持ちだ」

 

「そうだな。あいつと話しなんてしてないな。できることならあいつの言う通り、家族全員で暮らしたい」

 

一夏と秋十等は一誠が大事だと告げた。女性は真っ直ぐ二人に向かって問う。

 

「あなた方は?」

 

「お、織斑一夏だ。一誠の兄」

 

「・・・・・織斑秋十。同じく一誠の兄だ」

 

これは意外、と女性は内心驚いた。・・・・・前世の一誠の兄はアレだったのにこの世界の兄は思いやりの心がある。

 

「・・・・・不思議なものですね」

 

「え?」

 

「いえ、こちらの話です。ですが分かりました」

 

女性は腕を軽く動かすと空間が裂くように広がりポッカリと開く穴の向こうは夜空。

 

「―――織斑一誠を大切だと思う者だけ潜ってください。彼がいる月に向かいます」

 

「えっ?月に行けるのか!?」

 

「はい。私も彼に会いたいので」

 

そう言って先に穴の中へ潜る女性の背中を追うラウラを筆頭に一夏達も続くが、残りの半数は千冬に止められた。

 

「お前達はこの場で待機だ」

 

「織斑先生!?」

 

「そんな、僕達も!」

 

「そうよ。どうして一夏達だけ!」

 

「あの女が言っていただろう。織斑一誠を大切だと思う者だけだと。お前達はISが大事だと言ったことで結果は決まったいたのかもしれない。更識姉、いいな」

 

「・・・・・はい」

 

最後に千冬が潜れば空間の穴が閉じ、何かの上に乗っているのか全身は風に当たって髪がなびく。そして、千冬達だけじゃない。先に潜った一夏達を除けば見知らぬ男性や女性、はたまた幼女までも千冬達の前に立っていた。

 

「お、来たか」

 

中年の男性から朗らかに声を掛けられた。誰だと思うが急に足場が加速した。

 

「全員揃ったな!そんじゃ、ロケットに乗りこんで宇宙旅行でもしに行くぞぉー!」

 

「「「「ええええええええええええっ!?」」」」

 

というかあなたは誰!?と絶叫と疑問は何時の間にか太平洋にロケットがある現地にいたらしく、目と鼻の先には光の膜に包まれている件のロケットが視界に飛び込んだ。

 

「さーて。再会の前にド派手に破ってやる」

 

パンッ!と掌で拳を受け止める黒い長髪に赤の瞳の女性が不敵の笑みを浮かべながら、凄まじい跳躍力で光の膜に向かって。

 

「―――川神流、無双正拳突きぃっ!」

 

拳を突き出しだ。旧世代の兵器ですら破れなかった結界が叩きこまれた拳で広がる罅の直後。甲高い音を立たせながら結界が硝子細工のように砕け散った。

 

「なっ―――――!?」

 

ただのパンチで結界を破った異常な彼女に千冬達は開いた口が塞がらなかった。

それは月のところにいる者達も同じ心情だった。

 

「馬鹿な。今まで防いでいた結界が・・・・・」

 

「砕けた・・・・・」

 

「・・・・・何が起きたと言うのサ?」

 

「おー!」

 

「・・・・・!」

 

 

 

結界は砕けたことで建造物の入口の前に立つことができた千冬達。今まで足場にしていたのは幾何学的な円陣である。それが魔方陣であることに後で気づくがそれよりも気になることがある。

 

「あなた達は一体・・・・・」

 

「その疑問は後で答えてあげるよ。今はこの中にあるロケットに乗りこむことを集中するんだ。ほら、後ろから団体さんが来るぞ」

 

武装した兵士達がなだれ込んでこようとするのが船から照らされるライトで分かる。この場に敵味方関係なく奪われたコアを奪還する為に国から派遣された兵士達に何を言っても無意味なのかもしれない。千冬達はただ前に進む為、中に侵入をする。

 

「この中にロケットがあるんだよな?」

 

「話によれば」

 

「よーし、だったら早く探し出して乗らないとな!」

 

道はたったの一本。あまりにもこんな簡単にロケットがある空間まで辿り着けれるのかという不安が過ぎる。しかし、目の前で走る留年男性達から不安の雰囲気も様子も感じられない。千冬達の足音だけでなく後方からも多くの足音が聞こえる。追いつかれるのは時間の問題だと言うところで一つの扉と鉢合わせした。

 

「あそこか!」

 

中年男性が誰よりも前に飛び出して、飛び蹴りで扉をブチ破いて中に侵入したその部屋は巨大で広大な空間だった。天井は解放されていて夜空に煌めく星が窺える。

 

「って、ロケットがないな?」

 

「あなた、奥に扉があるわ」

 

女性が指摘する扉は入って来た入口の斜め右に存在していた。その意味は―――こんな空間がもしかしたら他にもあると言うことかもしれない。

 

「うし、行くぞ」

 

みな足を前に出したその直前。深い緑色の魔方陣が目の前で発現して最高潮に達した光が弾けたと同時に聞こえる哄笑。

 

『グハハハハッ!グアッハッハッハッー!』

 

浅黒い鱗に覆われた巨人型のドラゴン、グレンデルが姿を魔方陣から千冬達に晒した。

だが、グレンデルの銀の目の視界は千冬達でに入っておらず。名も知らぬ者達にしか入っていない。

 

 

『笑いが止まらねぇなぁオイッ!結界を壊した人間は誰かと思えばてめぇらかよぉっ!十数年振りだなぁっ!歯応えのある殺し合いが久し振りにできるなんて最高だっ!』

 

ギラギラと狂喜と歓喜、殺意の色を孕ませた目を見て一夏達はたじろぐ。十数年振り?何を言っているんだこの怪物は―――?

 

「久し振りだなグレンデル。戦う前に教えろ。一誠は月にいるのだな?」

 

『知りたきゃ俺を満足させるこったぁ!それと伝言があるぜ。あいつのところまで行くには俺達を倒さなきゃ起動はできないってよ!』

 

「なるほど、試練のようなものも用意してあるのか」

 

『だが、てめぇらの相手は後だ。俺が相手にするのはこの世界の人間共。ここに来た人間共も滅茶苦茶にしていいって言われてるからよぉ』

 

嬉々として口の端を吊り上げるグレンデルは大きく翼を広げて―――壁に向かって飛び掛かった。

 

『んじゃ、始めようか!外でよぉっ!』

 

分厚い壁を破って外へ躍り出たグレンデルと同時に、建造物の周囲に様々な色の幾何学的な魔方陣が出現し、グレンデル同様の巨大なドラゴン達が出現した。

 

《グヘヘヘッ!た、食べ放題だぁ~っ!》

 

『久し振りな者達もおりますねぇー』

 

『だが、再会を浸っている場合ではない。我々はここを守る使命なのだからな』

 

『相手が誰であろうと』

 

『我らを倒してから』

 

『通ってもらおうかっ!』

 

ドラゴン達の出現は軍人や兵士達に絶望と恐怖を陥れた。重火器で戦うも硬い鱗に弾かれ、ロケットランチャーが直撃しても本体はピンピンして人間に襲いかかるのを止めない。

 

「うわぁっ・・・・・・」

 

「放っておくわけにもいかないでしょうこれ」

 

「あ、軍艦が沈んだ」

 

「原始龍。厄介なドラゴンだけ足止めをお願いだ。後はこっちで相手するから」

 

「分かりました」

 

一方的に人間達を蹂躙するドラゴン達へ自ら飛び掛かる面々の姿を千冬達は目を張って驚愕する。

ISでも勝てない生物に生身のまま死地へ飛び出すなんて自ら死にに行くようなものだ。

 

「まて―――っ!?」

 

しかし、想像していた未来とは次元が超えた。

 

「ふんっ!」

 

「はぁああっ!」

 

『グハハハハッ!』

 

『久しいなお前達!』

 

―――――ドラゴン達と真正面から戦っては互角かそれ以上の戦闘をして見せているのだった。IS無しでだ。中には一誠と同じ天使の姿だったり鎧を纏って戦っている者達がいる。

 

「嘘だろ・・・・・」

 

「なぜ戦っていられる・・・・・奴等は一体・・・・・」

 

驚愕と疑問が混ざった言葉と思いは目の前の光景を見て信じられない気持から湧き上がった。そして何よりもあのドラゴン達と戦い慣れているかのような動きだ。ドラゴン達も本気か全力の動きで対応している。

 

「そんなの決まってるじゃない」

 

「えっ・・・・・?」

 

振り向けば、まだというより戦いに赴く気がない姿勢でいる数人の女性達が千冬達の背後にいた。

 

「戦い慣れているのは。何度も戦ったことがあるからよ」

 

「何度も戦った・・・・・?」

 

「嘘だろ!だってあの化け物は―――」

 

秋十の言いたいことを分かっているかのような風で言葉を遮る女性。

 

「一誠の中に宿っている、でしょ?」

 

どうしてそれを知っている!?等と当惑する秋十。

 

「あいつが、あいつ自身がドラゴンであることや家族想いなこと、理不尽なことが嫌いなことも何でも知ってるのよ私達は」

 

「「「―――――っ」」」

 

一誠のことを知っているものであれば知っている情報を名も知らない見ず知らずな女性が良い当てた。

 

「ドラゴン達を召喚したってことは、私達のこと警戒している様子ね一誠は」

 

「警戒だと?」

 

「そ、だって私達なら一誠を倒すことなんて難しくないからね。でもまぁ、グレンデル達を召喚しても時間稼ぎでしからならないのだけど」

 

床が揺れるほどの震動が生じる。その原因を確認すれば一体のドラゴンが地に平伏した様子が窺えた。

 

「こっちには最強のドラゴンが二人もいるもの。負けるはずがないわ」

 

当たり前のように言う女性の気持ちを代弁するかのように―――月にいる一誠は苦虫を噛み潰したような表情を浮かべたていた。

 

「じょ、冗談でしょ?」

 

「一誠のドラゴン達が負けてる・・・・・」

 

「ば、化物なのサ・・・・・」

 

ISを蹂躙したドラゴンが逆に人間達に蹂躙されていく。そんな光景は誰が現実になると思ったか?ドラゴン達を倒したと言うことは、ISで挑んでも勝敗は明白。一度戦えば敗北するのは自分達の方だと悟るに禁じ得ない。

 

 

『チクショウォッ!まだ暴れ足りてねぇぞぉおおおおおおおおおおおおっ!』

 

小一時間もしない内に全てのドラゴン達は巨大な鎖で拘束され身動きを封じられていた。

ジャラジャラと激しく音を立たせてもがくドラゴン達だが、空間に生じる巨大な穴から出てきた大きな手に鷲掴みされ―――。

 

「しばらく私の世界の牢獄にいてもらいますよ」

 

穴の中に引きずり込まれるドラゴン達を見つつ言う原始龍の前では赤子当然だったかもしれない。

 

「さて・・・・・」

 

地獄絵図と化した周囲を気にせずロケットへ真っ直ぐ見据える一同。ドラゴン達を倒したからか蕾が咲いた花のように展開して、ロケットが月明かりに照らされながらその姿を晒した。

 

「月へ行きましょう」

 

それから十数分後。千冬達はロケットに乗り込む際、駆けつけてきた兵士達といざこざがあったものの一蹴してコックピットまで無事に侵入を果たして起動させたところで一人、誰も気付かないところでネズミのように侵入していた者がいた。

 

 

 

「・・・・・腹を括るしかないか」

 

「兄さん・・・・・」

 

「最初から決まった運命だとしてでも、ただ待って受け入れるつもりはない。最後まで足掻いて抵抗して・・・・・」

 

遠い目をしてこれから近い内にやって来るだろう千冬達を思い、目から決意の光を宿す一誠を見上げるマドカ。

 

「強いのか?あいつらは」

 

「純粋に強いよ。肉弾戦でも俺やちぃーねぇーちゃんなんて赤子のように倒しちゃう奴もまじっているんだ。気付いたら倒されていた、なんて経験を体験させられるほどに」

 

倒された後はどうなるだろうか?マドカはそんな事を想像した。テロリスト集団扱いされている一誠と束達の未来は枝分かれしてるように 運命(さだめ)られた結果を辿ることになるだろう。監獄や牢獄行き、束は新たなコアの製造を強いられる毎日か、一誠はドラゴンになれる秘密を探る為に全身を解剖してホルモン漬けにされるか、凶悪で圧倒的な力を恐れ処刑されるか・・・・・捕まった後のどんな未来でもハッピーエンドは存在しない。

 

 

「そろそろ答えてもらいたい。お前達は一体何者だ」

 

宇宙空間に突入して間もなく。固定ベルトを外して原始龍達に問う千冬。

 

「お前達は何者だ、かぁ・・・・」

 

中年男性は最初は苦笑いを浮かべたが、次は朗らかに笑みを浮かべた。

 

「少なくとも君達と同じ目的と共通点があることは間違いない」

 

「なに?」

 

「俺達もこれから会いに行く少年と関わりがあるんだ。まあ、信じられないだろうがな」

 

当たり前だ。ドラゴンを相手に戦って生き残り、勝利して見せた目の前の者達と一誠が関わっていただなんて、知っている限り千冬は、一夏と秋十も知らない。

 

「そう言えば自己紹介してなかったな。俺は兵藤誠。こっちは俺の妻の兵藤一香だ」

 

「よろしくね」

 

中年の男性と女性の名前が分かったところで目的の意図が分からない。

 

「ぶっちゃけ言うと―――俺達は『元』一誠の家族だったんだ」

 

「「はっ?」」

 

「・・・・・」

 

織斑家の一誠の二人の兄は呆け、長女は顔から表情が消えて帯剣している刀を鞘から抜刀。

 

「ほざくな。『元』家族だった?」

 

誠の首筋に刀身の切っ先を添える感じで突き付ける千冬の声音はどこまでも冷たく感情が籠ってなかった。

 

「ふざけるな。私達の両親はこの世界でただの一組だけだった。一誠に家族は他に存在しない」

 

「ああ、最初から信じてもらおうなんて思ってないさ。信じてもらう方が難しいのも分かっている」

 

命を奪われる瀬戸際だというのに平常心で真っ直ぐ睨みつけて来る千冬を見つめる誠。

 

「この世界の一誠は確かに君の家族だろう。でもな、俺達は一誠と家族だった頃の確固たる証拠があるんだ」

 

懐から取り出すのは一枚の写真だった。それを見せ付けられる千冬の目は驚きの色でいっぱいになった。

―――目の前にいる誠と一香。その他の面々と写っている瓜二つな一誠の写真。ただし、右目に眼帯をつけている一誠だった。

 

「この世界では織斑一誠として産まれたが、俺達の世界では兵藤一誠として生まれたんだ」

 

「兵藤、一誠・・・・・俺達の世界?」

 

「そうだ。俺達は―――違う世界、パラレルワールドから次元を超えてやってきた存在なんだ」

 

異世界から来た者達―――。一夏達は心底仰天した。だが、千冬だけは・・・・・。

 

『前世の記憶があるんだ』

 

その昔、変わり果てた姿の一誠が吐露した言葉を思い出して動揺で目が揺れる。

 

「じょ、冗談だろう・・・・・違う世界から来た?」

 

「しかも一誠の家族?冗談でも笑えないことを言うなよあんた。一誠は産まれた瞬間から俺達の家族だったんだぞ」

 

「俺は冗談も嘘も言わない主義だ。それに見ただろ?一誠のドラゴン達と戦った様子を。ただの人間じゃできない力と行動力が俺達にあるんだ」

 

前世の一誠の家族。それが事実ならこの世界に来て一誠に会う目的は何となくだが察する。しかし・・・・・。

 

「・・・・・だ」

 

「うん?」

 

「何故、今頃のこのことこの世界に来たのだ」

 

湧き上がる疑問を怒りを抑え込むが逆に刀を持つ手に力が籠った。

 

「今世界がどうなって一誠がどんな気持ちで世界を敵に回したのか分からない貴様等が、ただ会いたいが為に来た程度の貴様等に今更家族面して一誠の前に立つ気なのか」

 

「・・・・・」

 

「貴様らには感謝しているが、私達は止められなかった一誠ともう一度会って今度こそ止めたいと行動をしているんだ。説得が駄目なら例え負けるとしてでも実力行使で止める気持ちでいるのだ」

 

その程度の気持ちで一誠に会うな。と目で訴える千冬。

 

「今度は私達が戦う。貴様等は黙っていてもらうぞ」

 

それから数時間後―――ロケットは兎型の束の秘密基地に到着する。

 

 

「来たか・・・・・決着をつける気だよなちぃーねぇーちゃん?」

 

モニターに映る基地内に侵入する実の姉達を見た一誠は行動に移った。

 

 

「何時の間に月面でこんな基地を創っていたんだ束さん」

 

「あの人ならなんでもアリだと思っていたがな」

 

無重力にいるはずなのに重力を感じさせる足取りで通路内を走る千冬達。どんな仕掛けが作動するか警戒しつつ駆け回っていると十字路にぶつかった時だった。

 

『ハロ~!皆のアイドル束さんの生放送だよー!ちーちゃんいっくんあっくん、ほうきちゃんようこそ!束さんといっくんの秘密基地に!』

 

ドンドンパフパフ!と音も聞こえる。まるで遊園地に来たような歓迎であった。

 

『こっちから見ているけど初めて来たちーちゃんたちに案内してあげるよ!右はいっくんが集めに集めたISコアの保管庫だよ!そこにいっくん達のISもあるから安心してね?それからそのまま真っ直ぐ行けば地球を眺められるリビングキッチン!いっくんに用意して貰った手料理があるから一緒に食べようねー。そして左側は―――いっくん達が待ち構えている部屋だよ。皆、好きなところに行って来ても構わないから楽しんでね!以上、皆のアイドル束さんからでした!』

 

放送は終わり、千冬達は顔を見合わせる。これからどう動くかだ。

 

「教官。ISを先に回収した方が賢明かと」

 

「・・・・・ああ、そうしよう」

 

ISコアがある場所を教えた束の考えが読めない。が、回収されても何ら問題視していないようだ。全てのコアを回収するのは後回しだ。戦う力を取り戻すべく右の通路へと足を動かした。長い通路かと思えばそうでなく、直ぐに『コアの保管庫だよ~ん』とふざけたプレートがある扉を見つけた。施錠されていない扉を開け放てば、確かに並べられた世界各地の基地や企業から奪った全てのコアが鎮座していた。

 

「・・・・・このコアの光景。我々が最初で最後の見た者となるだろうな」

 

「すげぇ・・・・・こんなにコアがズラリと置かれてるぞ」

 

「思わず写真を撮りたくなるほどにな」

 

ご丁寧にどこで奪ったのかもコアの前で書かれてるプレートを頼りに探し回っていると、コアじゃなく奪われたISが見つかり一夏達は安堵の思いで駈け出した。

 

「白式!」

 

「紅椿!」

 

何故かそのISだけはコアが抜き取られておらず、一夏達の元に戻される瞬間を待っていたかのように置かれていた。

 

「よかった。壊されてなかったんだな・・・・・」

 

「でも何でだ・・・・・?」

 

ISを壊してコアを抜きとるのが一誠を突き動かしていたはず。一夏達のIS以外にもこの場に来ていないセシリア達のISも破壊されておらず鎮座している。

 

「・・・・・教官?」

 

ラウラの視界にとあるISの前に佇んでいる千冬が入る。声を掛けられても千冬は返答しない。なので一夏と秋十に知らせて話しかけさせた。

 

「千冬姉?」

 

「あれ、このIS・・・・・」

 

見覚えがある。秋十が思ったところで一夏も同じ気持ちを抱いた。二人の弟を他所に千冬はそっと手を動かして金属の装甲の硬く冷たい感触を指で確かめた。

触れた瞬間。そのISは光に包まれて千冬の手の中に待機状態のアクセサリーとして収まる。

 

「千冬姉・・・・・」

 

「感傷を浸っている時じゃない。自分のISを回収したら直ぐに行くぞ」

 

一夏達は自分のISを手にすると保管庫を後にしてそのまま真っ直ぐ一誠達が待ち構えている部屋へと向かった。誠達は―――。

 

「一誠の手料理か。食べずにいられないな!」

 

「久々に堪能できるのね」

 

保管庫からリビングキッチンの部屋に繋がる通路へと目指して行った後、一つの影が十字路に差しかかった。

 

「―――一誠っ!」

 

「・・・・・来たな」

 

マドカ、ナターシャ、アリーシャの四人がISを展開した状態で千冬達を待ち構えていた。そしてその中に一誠もいた。

 

「一誠、もうこんなことは止めろ!」

 

「止めろ?ISがない世界にこれ以上のことを俺は何をすると想像しているんだ?コアを奪えたらそれで充分なんだ。だから俺はもう何もしないつもりだが?」

 

やることはやった。後は何もする気はないと言う一誠を問うた。

 

「じゃあ、何で俺達にISを・・・・・」

 

「どうせ納得できてないだろうからな。だったら言葉よりも行動で決着をつけようと思っただけだ。あの時のようにな」

 

「じゃあ・・・・・」

 

勝てば言うことを聞く、負ければこのまま―――そんな前回と同じ感じな戦いを臨んでいる一誠を千冬達は微かな希望の光が見えた気がした。

 

「一誠、教えて欲しいことがある」

 

千冬は誠達のことを聞いた。今頃、一誠の料理に懐かしみながら頬張っているだろう誠達のことをだ。

 

「お前の家族と名乗る者達が異世界から来た。お前は奴等のことを・・・・・」

 

「・・・・・」

 

問いに対して一誠の首は静かにコクリと頷いた。

 

「ちぃーねぇーちゃんの思っている通りだ。今の俺は織斑一誠としてこの世界に産まれたけど、前世の俺は兵藤一誠として違う世界に産まれていた。だからあの人達とは『元』家族だったことは事実だよ」

 

「・・・・・マジかよ、一誠」

 

「真実さ夏兄。秋兄や箒達には教えなかったけど俺は前世の記憶があるんだ。そして前世の俺が持っていた力、能力や身体に宿していたドラゴンがある切っ掛けで喪失していた記憶が甦ったかのようにこの赤髪と金色の目に代わった瞬間と同時に思い出して手に入れたんだ」

 

それは、第二回目のモンド・グロッソの時だと告げられた時の一夏と秋十の反応は驚愕だった。

 

「―――あの時、俺を誘拐した女に殺されて手に入れた」

 

「「なっ!?」」

 

「手に入れて、暴走して俺は誘拐犯とその仲間の人間を―――」

 

何を言い出すのかあの現場にいた千冬が気付き、一瞬でISを纏って飛び掛かった。

 

「ISを展開しろ!」

 

一誠の前までは行かず、途中でアリーシャに止められた千冬は一夏達に疾呼する。

 

「織斑千冬、久々に勝負するのサ」

 

「邪魔だ!」

 

「やれやれ、かのブリュンヒルデは冷たいのサ」

 

テンペスタのワン・オフ・アビリティーが―――否。

 

「この新たなテンペスタの性能と能力を味わってから行くのサ!」

 

ISから魔力が迸り、全身から生じた竜巻が千冬を押し返した。

 

「一誠のISをベースにして再構築されたテンペスタは未知の力を手に入れたのサ。それが魔力。通常のISではできないことをできるようになったテンペスタは以前のテンペスタを凌駕する!」

 

「っ・・・・・」

 

アリーシャと千冬の戦いが始まった頃、ナターシャとマドカは複数対二で一夏達と戦っていた。

 

「と、そんなわけで私達も魔力という力を手に入れたのよ。だから前回よりもパワーアップしてるわ」

 

「弱いな。第四世代のISの性能はその程度か?」

 

白銀の全身装甲で天使を彷彿させる銀の福音(シルバリオ・ゴスペル)を纏うナターシャに二対四枚の漆黒のエネルギーの翼を生やし、背部スラスターにもなる四基のランサービット、スカートアーマーには偏光制御射撃(フレキシブル)可能なビームビット六基、ビーム兵器を無効化にするシールドビット二機、大型のバスター・ソードを装備してるマドカ。まるで天使と堕天使がそこにいるかのような出立ちだ。

 

「そこをどけ!」

 

「どいて兄さんに何を求める。兄さんは己の平穏を引き換えに全てのコアを奪った。もう兄さんは表に出られない。なのにお前達は何を望んでいる」

 

「一誠を兄と呼ぶなら、お前は俺達の妹、家族だろう!?だったら一誠を説得するのを協力したって!」

 

「兄さんに劣る貴様等のような兄と呼ぶなど生理的に嫌悪する」

 

「「口の悪い妹だなっ!?」」

 

攻撃を仕掛ける二人に対してマドカは蝶のように舞ってかわし、ビームビットを展開して死角から射撃し翻弄する。

 

「答えろ。何を望んでいる。話し合いか?説得か?例えそれができたとして兄さんのその後はどうなるか、その後どうするのか分かって、考えていてこの場にいるのか?」

 

ビームビットからの射撃をかわし攻撃も加えながらマドカに言い返した。

 

「まだだ!」

 

「この先の未来なんて、想像したところで結果が同じになるとは限らないからな!まずは今俺達が何をしたいのかを追求して実現にするまでだ!」

 

「「半ば家で当然の弟を連れ戻すのに理由なんて必要か!」」

 

断言した二人からのビームによる射撃がシールドビットに守られたマドカまで届かなかった。心もである。

 

「・・・・・断言しよう。雑魚の貴様らでは兄さんには届かん」

 

「殴ってでも連れて帰るさ」

 

「特に千冬姉の拳はキツイからな」

 

「その織斑千冬は押されてるが?」

 

嵐を纏っているアリーシャにブレードの刃が届かず弾き返されている千冬の姿が視界に入る。ISのエネルギーとは異なるエネルギーで嵐を起こしているアリーシャに千冬の攻めは手こずっていた。

 

「アーリィ、何故お前も一誠に加担する。お前とて基地を襲撃された側だろう」

 

「そうサ。その後、勝負して負けて篠ノ之束の秘密基地に連れられたのサ。だからあの子に対して同情なんて感じても無いし持っても無い。けど、世界を敵に回してでも千冬達のことを想って行動する弟君を見て協力したくなったのサ」

 

風で創った球体を投げて暴発、爆弾の嵐が千冬を薙ぎ払う。

 

「私は弟君の真っ直ぐなとこをに魅かれたのサ!ただの子供よがりな理由でも、ここまで実行した人間を見て何も感じずにはいられないサ織斑千冬!」

 

「っ・・・・・!」

 

「家族の為に人一倍努力した子がISと大人の都合で奪われた。他人の私より身内のお前達が何もせずにいたことが感心したのサ。本当に弟君の姉で家族?」

 

心を抉る発言は千冬の動きを一瞬だけ鈍くさせて、その隙を逃さず叩きこんだ。装甲が弾け飛び、千冬も吹き飛ぶ。

 

「何もせず、ただ実力行使しかできないあなた達に一誠君の心を解放できるのかしら?」

 

箒、ラウラ、本音に簪へ投げかける言葉。エネルギーの翼から放たれる豪雨のようなエネルギー弾を防ぐことしか精一杯な箒達。本音のシールドで何とか保っているものの攻撃に移ることができない。言葉の攻撃と高威力のエネルギー弾で箒達は足止めを食らっている。

 

「できる!」

 

「どうやって?」

 

「夫として嫁と話しあわねば分からないままだ!」

 

「・・・・・逆じゃない?」

 

戦いの最中でも我を貫くラウラの常識の違いに半ば呆れるナターシャ。

 

「話し合ってもどうすることできない状況だったらどうするのよ」

 

「愛さえあれば何でも乗り越えられる!」

 

「・・・・・」

 

―――五倍以上。エネルギー弾の量を増やして降らすナターシャに防御し続ける本音のエネルギーが瞬く間に減った。

 

「ラウラ!相手を刺激する発言はよせ!」

 

「何を言う?刺激する言葉など言ってないぞ」

 

「自覚がないって、性質悪い・・・・・」

 

三つの戦いの戦況はマドカ達が有利でいるものの寝首を掻かれる恐れがあるから油断はできない。

戦いを見守る一誠はその視線を変えざるを得ない事態となった。

 

「お、食ってる間に戦っていたんだな。これがISの戦いってやつか」

 

「一誠の魔力が感じるわ。機体に何らかの方法で使えるようにしたのね」

 

異世界から来た元一誠の家族の誠達がこの場にやって来たのだ。

 

「―――久し振り。いや、ここは初めましてというべきか。元俺と一香の息子よ」

 

「お父さんとお母さんのこと、覚えてる?」

 

「・・・・・」

 

目を細め、冷たく言い放つ。

 

「赤の他人が俺の両親の筈がないだろう」

 

「ああ、そうだな。でも、俺達の息子だったという証は確かにあるぞ」

 

「それは生まれ変わっても受け継いでいるわ」

 

受け継いでいる。それは前世の一誠の全ての力。その力のおかげで一誠は世界を相手に全てのコアを奪えたのだ。とてもこれ以上の無い皮肉なことである。

 

「何をしにこの世界にやって来たんだ。俺は兵藤一誠じゃない、織斑一誠だぞ。前世の家族だったお前らと言葉が交わしても気持ちと心だけは交わせない」

 

「今は確かにそうかもしれないな。だが、時間を掛ければ何時かきっと」

 

「あなたは織斑一誠のままでもいいの。ただ、私達の傍にいて欲しいだけなの」

 

「兵藤一誠の代わりとしててか」

 

同じ容姿と力だけ求めているのだろうと皮肉気に相手や自分に対して嘲笑う。

 

「元の世界に帰れ過去の存在!俺はこの世界で生まれた織斑一誠だ!昔の家族は今の俺には存在せず、今の俺にはこれから幸せに過ごす家族がいる!」

 

ナターシャとマドカとアリーシャが一誠の傍に舞い降りて戦闘の意志を見せる。

 

「・・・・・過去の存在か。確かにお前にとってはそうだな」

 

「だけど、それを認めていると言うことはあなたは兵藤一誠であることも自覚しているわ」

 

「今の俺達は今のこの世界の状況はまだ把握してないが」

 

「私達には関係ないの。私達はただ―――」

 

「「息子を元の世界に連れ戻す願いを叶えるだけ」」

 

異世界に連れ戻す。半ば置いてけぼりの千冬達は一誠をこの世界から連れて行かれて二度と会えない状況となると察するや否や、誠達に戦意を露わにする。

 

「ふざけるな!」

 

「俺達の弟を訳の分からない場所に連れて行かせるかよ」

 

「私の、私達の唯一の家族を連れて行かせんぞ」

 

敵の敵は味方という状況下になった。だがしかし、相手が悪過ぎるのを一誠しか気付いていない。前世の力を受け継いだ織斑一誠でも兵藤一誠だった頃のスペックほどない上に格段に落ちている。勝てる見込みがないに等しい。それどころか勝ったことがない相手もいるので結果は火を見るより明らかだ。

 

「弟?え、一誠の兄なのか?」

 

信じられないと誠は目を張る。一香も驚いた様子で開いた口を手で覆った。

 

「誠、この世界の一誠の兄弟は良好らしいわね」

 

「ああ、そのようだなまったく。元の世界でもそうだったらよかったのにな・・・・・」

 

何やらぶつぶつと夫婦が話し始めたのでどこか気が抜けてしまう。

 

「束ねーちゃん!」

 

虚空に向かって叫びだす一誠の意図を察した束は『はいはーい!』と返事をした直後壁が両開きに開きだした。

 

「生憎だが。俺はあんたらを構っている暇じゃないんだ。ちぃーねぇーちゃん達。―――今度は本来飛ぶべき場所で戦おうか」

 

「なんだとっ?」

 

壁が開きその向こうに見えるのは・・・・・常闇と彷彿させる真っ暗な宇宙空間だった。そこへ一誠は初めてISを装着してマドカ達と飛び出したのだった。

 

「馬鹿な!?生身のまま宇宙空間に行くだと!」

 

『因みにちーちゃん達も宇宙でも活動できるようにちょちょいと改造してあるよーん。だから出ても平気だから思う存分飛んでねー』

 

そんな声が聞こえた。見た目は変わっていないと言うのに中身が変わっていたようだ。

 

「・・・・・今日は驚かされることが多い」

 

「本当に宇宙の環境に適しているのかよ」

 

「でも現にあいつらは宇宙にいるぞ」

 

その宇宙からミサイルが飛んできたことで千冬達は一誠達に催促された感じがした。

 

「騙されたと思って行くしかない。こうして宇宙と隔離していた壁が解放されている時点で酸素はなくなっているのだ」

 

「「あ、そういえば」」

 

そして同時に気付いたのは。異世界の誠達は大丈夫なのだろうか?振り向けば摩訶不思議な膜の中に包まれていた。宇宙の環境に対して対応力があるようだ。

 

「行くぞ」

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