夕食の時間になり、レッド寮の食堂に集まったときのことだ。
「ハイ、注目。今日からアカデミアに編入した人を紹介するんだにゃ」
誰もが注目する。小柄で帽子を目深にかぶっている少年がいた。
頭に何かが引っかかり、思い返してみると
「早乙女だ、よろしくね…な」
早乙女…あ!男装した早乙女レイ!
十代の部屋を使う事になりそうだが、そもそも十代の部屋は他に丸藤翔と前田隼人がいる。
4人はさすがにせまいし、レイも気が詰まるだろうな…しょうがない。後で女子2人に連絡入れるか
「大徳寺先生、ちょっといいですか。俺の部屋は俺しかいないので、こっちに入れませんか?」
「うーん……早乙女君はいいのかにゃ?」
「え、あ、う、うん……」
「じゃあ八神君お願いするにゃ」
夕食も終わり、解散の流れになったのでレイを連れて自室へ入る。
「あ、早乙女さん、少し待ってて。会って欲しい人達に電話かけるから」
「え、あ、はい」
(緊張してるね…まぁよく分からない部屋に見知らぬ男と2人っきりという状況だし仕方ないかな…)
「もしもし…雪乃?申し訳ないんだけど、レッド寮でちょっと問題が起きた。明日香にも声かけて連れてきてほしい」
『え、ええ…いいけど…わかったわ。今すぐ行くわ』
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「お邪魔するわね」
「雪乃に呼ばれてきたんだけどどうしたの?」
「はわっ、美人さんがふたりも…!」
「「…この子は?」」
雪乃と明日香がレイへ訝しげに目を向ける
「まぁそこに座ってくれ…今から説明するから」
「ええ」
「わかったわ」
そういい座る二人
「さて…そこにいる子は今日レッド寮に来た早乙女という人だ。編入試験突破したそうだよ。ただ…雪乃に伝えた問題というのは…」
チラとレイを見て伝える
「この子、多分だけど女の子なんだよね…」
「「え?」」
雪乃と明日香がレイのほうを同時に見る
「な……あ……何故女の子だと…?」
指を1本立てる
「んとね、まず暑くなってきてるこの部屋で帽子を取らないということは『取れない事情』があるだろうということ。」
2本目を立てる
「もうひとつは夕食の後、ここに連れてくる前にお手洗い行ったけどドアの前で躊躇していたことなんだよね…。」
床に座ってレイのほうに顔を向ける
「ほかにもいくつかあるけど…男装している事情は知らないが、聞かせてくれるかな?」
俺は原作を知っているので分かりきっていることだがポーズとしてレイの事情を聞くことにする
レイ曰く、
"帝王"丸藤亮に惚れ、告白する為に難易度の高い編入試験を受けて来た
実際は小学5年生であること
恋する乙女は強い、とのこと
ここまで聞いて一言ポツリと呟く
「えー…馬鹿だ」
「な、なんでよ!」
「まず第一…どうやって年齢をごまかしたかは知らんがこのことが発覚した場合、試験を担当した試験官に何かしら処分が行われる」
「え!?」
「そして書類を捌いた担当者にも処分が降りる」
「な、なんで…」
「君がやったことは不正行為に当たるから。」
固まるレイ。
「第二…これは第一にも関係あることだけど、君、両親に何も言わずここに来てるだろ」
すると目をサッと逸らすレイ
「目を逸らすな!俺を見ろ!」
ビクッとしながらきちんと目をみてくるレイ。うん、素直で良い子だ
「家族に何も言わずここに来てるということは家出同然ということだ。そして家出されたら両親はどういう行動起こすかな…?それ考えたことある?」
「それは……」
「警察に届ける。届けるといろんな人が動く。両親だって働いていたら休まなきゃいけない。その際に面倒事も発生するんだよ」
「そんな…」
「それだけじゃない。君の友達だってなんの連絡も無くいなくなったら心配するだろう」
そこまで思い至らなかったのか声を出すことすらできず俯いてしまうレイ
「…恋する乙女だから?そんなのは理由にならない。どんな理由だろうと、人に迷惑かけていい理由にならない」
「…………」
レイは唇をぎゅっと噛んでいるがこらえきれず涙がポロポロこぼれている
「遊斗…そこまでで」
雪乃の声を聞いてふっと表情を緩める
「叱るのはここまでだな」
レイの頭に手を乗せ撫でる
「……今から両親に電話しようか。現状を知らせて安心させないと、な?」
「…………うん」
「それで、雪乃と明日香を呼んだ理由だけど、レイは女の子だから男共の巣窟に置いておく訳にはいかない」
「なるほど、私達でレイのサポートということね」
「そういうこと。ずっとは大変だろうから言ってくれれば昼間や夕方は俺も付き添うぞ。レイ、電話かけるから番号教えてくれ」
「あ、うん」
番号を教えてもらいコールする
「もしもし、早乙女さんですか?」
『そうですが…貴方は?』
「デュエルアカデミアの1年生、八神遊斗と言います」
『そうか。…それで、八神君、何の用かね?』
(なんだか疲れてる声だな…無理も無いか)
「あ、はい。今デュエルアカデミアにレイちゃんが来ています」
『何だと!?おい!レイがそこにいるのか!?』
「あの、声が大きいです…」
『レイ!?そこにいるの!?』
(母親か)
「はい、今から代わりますので少しお待ちを…レイ、交代」
「う、うん…」
PDAをレイに渡して少し離れる
レイはその間何度も涙ぐみながら頭を下げている
「雪乃、明日香。また電話代わったときに紹介するから頼むな。」
「わかったわ」
「ええ」
「八神…さん。代わって、と」
「はいよ。…もしもし、代わりました」
『それで、どうするつもりかね?』
「レイちゃんは小学生と言えど女の子です。男である私と一緒だとそちらも色々不安なこともあるかと思いまして、2人の友人にお願いしています。」
『2人とは…その友人は女性かね?』
「ええ、もちろんです。今からその2人に代わります…雪乃」
「はい、もしもし。藤原雪乃です。………」
2人から離れてレイの近くへ行きまだ泣いているレイの頭を撫でて落ち着かせる
しばらくすると明日香にも変わっており、明日香も話し終えたのか俺に向かってPDAを差し出している
「もしもし、また代わりました八神です。これからのことですが、次にアカデミアに来る船が1週間後ですので…その間勉強とか便宜をはかっておきます」
『1週間後か。分かった。それまで娘をよろしく頼む。』
「はい、それでは。」
ピッとPDAの操作を終える
「八神さん…」
安心させるように笑顔を見せてまた頭を撫でる
「とりあえず、父さんから1週間頼まれた。寝泊りはそちらのお姉さん達とね。」
「えっと…雪乃さん、明日香さん…よろしくお願いします」
「ええ、よろしくね」「ええ、任されたわ」
「とりあえず、明日は日曜日だからレイと一緒にいてくれ。俺は校長先生と相談してくる。」
「あ、八神さ…」
「遊斗でいいよ?」
「あ、じ、じゃ遊斗さん…その…ごめんなさい」
「はい、次は思いつきですぐ行動しないようにね。2人ともあとはお願いね。…と、もうこの時間か。送っていくよ」
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校長先生に事情を説明した後、モクバ副社長にも電話をかけ同様に説明する
説明を終え、レッド寮まで戻った俺が見たものは
「うわぁああああ!くそぉっ、【フェザーマン】!女の子にメロメロになるなんて、それでもヒーローか!」
なにやら変なことを叫んでる十代と、ドヤ顔しているレイだった
――――――何これ?
「あら、遊斗おかえり」
「あ、ああ…どうしてこうなったのか説明が欲しいんだが…」
「十代がどういう流れでそうなったのか分からないけどデュエル挑んで、レイちゃんがそれを受けたのよ」
雪乃に問うと、明日香から説明が入った。…なぁ、明日香さっきまで少し離れたところにいたよな?なんで隣に来るんですかねぇ?
それはさておいて…場の状況はどうかなっと。
十代:3000
モンスターなし
丸裸だな…そんな十代の場に対し、レイの場は…
レイ:3400
【恋する乙女】(アニメオリカ)
星2/光属性/魔法使い族/攻/守 400/ 300
効果モンスター
このカードは表側攻撃表示でフィールド上に存在する限り、戦闘で破壊されない。
このカードを攻撃した相手モンスターに乙女カウンターを1つ乗せる
【キューピッド・キス】(アニメオリカ)
装備魔法
装備モンスターのコントローラーが戦闘ダメージを受けた時、ダメージステップ終了時に攻撃を行った乙女カウンターを置いているモンスターのコントロールを得る
【E・HEROフェザーマン】(乙女カウンター1)
伏せカード1枚
ふむ、ダメージ覚悟の特攻でフェザーマンを奪ったのか…
「カードを1枚伏せターンエンドだよ」
「くっ、なんか調子狂うぜ。とにかくドローだ。ようし【E・HEROスパークマン】を召喚!
(スパークマンの使用率高いなー)
「【スパークマン】で【フェザーマン】にスパークフラッシュだ!」
「簡単にはやらせないよ!罠カード【ディフェンス・メイデン】発動!」
【ディフェンス・メイデン】(アニメオリカ)
永続罠
自分フィールド上に「恋する乙女」が表側表示で存在する限り、相手モンスター1体が自分フィールド上のモンスターに攻撃宣言をした場合、その攻撃対象を自分フィールド上の「恋する乙女」1体に移し替える事ができる。
「【ディフェンス・メイデン】の効果により【スパークマン】の攻撃対象は【恋する乙女】へ!」
フェザーマンへ向けた腕が直前で乙女の方へ向き、電撃を飛ばす
「きゃっ!」
レイ:3400-1200=2200
「な、何なんだ!?お前たち!!」
「まただ……アニキしっかりしてくれよ……」
「一体何が起きてるんだな……」
「明日香、雪乃、あいつどうしたんだ?」
(恐らく十代にはアレが見えているのだろうが、俺は精霊が見えないせいか普通のヴィジョンしか見えない…)
「前に十代が言ってたけど精霊が見える、らしいわ」
「私もその場にいたから聞いてるわ。戯言だと思って聞き流したけど」
「……精霊か」
「ターンエンド、だ」
「ボクのターン、ドロー!装備魔法【ハッピー・マリッジ】発動!」
【ハッピー・マリッジ】(アニメオリカ)
装備魔法
自分フィールド上に相手からコントロールを得たモンスターが表側表示で存在する場合に発動する事ができる。
装備モンスターの攻撃力はそのモンスターの攻撃力の数値分アップする。
「その効果により、【フェザーマン】の分だけ【恋する乙女】の攻撃力がアップする」
恋する乙女
攻撃力:400 → 1400
「【スパークマン】に攻撃!一途な思い!」
レイ:2200-200=2000
「ダメージは受けたけどこれで【スパークマン】は乙女の虜!いっけー!」
「ぐわあああ!」
十代:3000-1600=1400
「追撃!【フェザーマン】!」
「ぐうううう!」
十代:1400-1000=400
「女の子は恋をすると強くなる。不可能なんてないの!」
「さすがの十代もレイにかかっちゃタジタジになるかー」
「デュエルのモンスターを夢中にさせるくらい簡単でしょ。初恋の人を追いかけて南の島まで飛んできちゃうくらいだもの」
「…そういうものか?」
「ターンエンドだよ」
「ああ……女の子に男のヒーローをぶつけたのが間違いだったぜ。俺のターン、ドロー!【バーストレディ】を召喚!」
おや、赤い女性のヒーローが場に現れたが…珍しいな?
「おぉぉ……なんか【バーストレディ】、いつもより迫力あるぜ……【バーストリターン】を発動!」
「また何か見えてるのか十代…しかしなるほど。これがあったから【バーストレディ】をわざわざ通常召喚したんだ」
【バーストリターン】
通常魔法
「E・HERO バーストレディ」が自分フィールド上に表側表示で存在する時のみ発動する事ができる。
フィールド上の「E・HERO バーストレディ」以外の「E・HERO」と名のついたモンスターを全て持ち主の手札に戻す。
「このカードは自分の場に【バーストレディ】が存在するとき発動可能!【フェザーマン】と【スパークマン】を手札に戻す」
「ええーっ!」
「ヒーローの絆はこんな恋愛ごっこより強いって事さ」
「それはなんか違うと思う…」
ボソッと呟くと隣にいる雪乃と明日香は苦笑いする
恋する乙女
攻撃力:1400 → 400
「さらに手札から【融合】を発動!【バーストレディ】と【フェザーマン】を融合して【フレイム・ウィングマン】を召喚!」
(いつもの切り札が出たな。でもこのままではレイのライフは0にできんぞ…どうする十代)
「手札より速攻魔法を発動する!」
【突進】
速攻魔法
フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターの攻撃力はターン終了時まで700アップする。
(ずいぶんと懐かしいカードを入れてたな…)
「行け、フレイム・シュート!」
「きゃあああ!」
レイ:2000-2400=0
「あー、負けちゃったかぁ」
「ガッチャ!楽しいデュエルだったぜ!」
「さて、改めて紹介するか。この子は早乙女レイ。デュエルの腕はさっき見た通りだね」
「うん?どうしたんだ遊斗」
「1週間後にはレイは家に帰るからな」
「え?」
「あれ、雪乃や明日香から聞いてないのか?レイは小学5年生だぜ」
「……え?」
「ええ~、それであの強さ…」
「すごいんだなー」
「うわぁ、なんだよ!俺、小学生に苦戦したってのか?」
「ごめんね。ガッチャ、楽しいデュエルだったよ」
「…ははは、これだから含めてデュエルは楽しいんだよ!ははははっ」
十代の笑い声が辺りへ響き渡る