「ボルテックサンダー!!」
「きゃあああああああああああああ!!」
信じられない気持ちだった。
幼馴染である明日香。ここデュエルアカデミアでは「女王」と呼ばれ、私以外には負け知らずだった明日香がたった今ライフを0にされ負けた…。
十代のボウヤは翔のボウヤとハイタッチして喜んでいる。それに対しこちらは…
「そんな…」
「明日香さまが…信じられませんわ」
2人とも私と同じく信じられない気持ちのようだ。まぁそれもそうよね。
「はぁ…負けちゃった。」
明日香がこっちを振り向いて座る。
「お疲れ様。どうだった?」
「…強かったわ」
明日香はそういい十代を見る。
少ししてこっちへ顔を戻す
「次は貴女の番よ。…“八神遊斗”ならもしかしたら貴女の…いえ、やめとくわ。頑張って。」
明日香が何か言いかけたけど…まぁいいわ。このデュエルに集中しましょうか。
ーー従兄に強い男がいた。彼は私がどんなデッキを組んでも倒せなかった。
憧れだった。
でも私が中等部2年に上がった頃彼はいなくなった…行方不明になってしまったのだ
それから2年…手掛かりを求めてここアカデミアに来た。でもまったく進展がないまま今に至る。
明日香の兄も同様らしい。
らしいというのは従兄の同級生である先輩に聞いたからだ。
憧れだった、大好きだった従兄がいなくなってしまい、私は荒れた…。
大好きだった従兄の前では素でいられたのに…心にぽっかりと穴が空いてしまった。心の穴を埋めたくて男に対して誘惑をし始めたりもした。
でも誰も彼も私より弱い…。
心の支えになってくれるような人が欲しい…でも弱い男は要らないわ
私は…もう自分を偽るのは疲れたのよ…
ねぇ…“八神遊斗”…ボウヤはどうなのかしら?
ーーーー
ーーー
ーー
ー
「十代君お疲れ」
翔とハイタッチした十代にねぎらいの言葉をかける。
「おぅ!少しヤバかったぜ」
「ホントっスよー」
「さて、次は俺だけど…相手は誰なのかな」
このメンバーだと雪乃だろうが…
「私よ。楽しませて頂戴ね。」
やっぱり雪乃か。
向こうがデュエルディスクを展開したので、こちらも展開し構える。
「「デュエル!」」
遊斗:4000
雪乃:4000
「私の先攻ね。ドロー。私は【黄泉ガエル】を守備表示で召喚、何も伏せずターンエンドよ」
【黄泉ガエル】
効果モンスター
星1/水属性/水族/攻 100/守 100
自分のスタンバイフェイズ時にこのカードが墓地に存在し、自分フィールド上に魔法・罠カードが存在しない場合、このカードを自分フィールド上に特殊召喚する事ができる。
この効果は自分フィールド上に「黄泉ガエル」が表側表示で存在する場合は発動できない。
【黄泉ガエル】!?「デミスドーザー」じゃないのか…?
「俺のターン、ドロー。まいったな」
今の手札にこいつを除外できるカードがない、…仕方ない
「んー、このカードを裏側守備表示でセット。さらに3枚伏せてターンエンド」
「あら、動かないなんて手札が悪かったのかしら?」
「…藤原さんのターンだよ」
「つれないのね。私のターン、ドロー…あら、このカードは…ボウヤに止められるかしら?」
「ほう?何を出してくるのか楽しみだ」
「【ネフティスの導き手】を召喚する」
【ネフティスの導き手】
効果モンスター
星2/風属性/魔法使い族/攻 600/守 600
このカードと自分フィールド上に存在するモンスター1体を生け贄に捧げる事で、自分の手札またはデッキから「ネフティスの鳳凰神」1体を特殊召喚する。
ネフティス…もしや「推理ゲート」…?
「【ネフティスの導き手】の効果発動!このカードと【黄泉ガエル】を生け贄に【ネフティスの鳳凰神】をデッキから特殊召喚!」
【ネフティスの鳳凰神】
効果モンスター
星8/炎属性/鳥獣族/攻2400/守1600
このカードがカードの効果によって破壊され墓地へ送られた場合、次の自分のスタンバイフェイズ時にこのカードを墓地から特殊召喚する。
この効果で特殊召喚に成功した時、フィールド上の魔法・罠カードを全て破壊する。
「【ネフティス】でそのセットモンスターに攻撃!」
「セットモンスターは【月読命】だ」
【月読命-ツクヨミ-】
スピリットモンスター
星4/闇属性/魔法使い族/攻1100/守1400
このカードは特殊召喚できない。
召喚・リバースしたターンのエンドフェイズ時に持ち主の手札に戻る。
このカードが召喚・リバースした時、フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択し、裏側守備表示にする。
「リバースしたことで効果が発動する。俺が選ぶのは【ネフティス】だ」
「裏側守備表示に…私はターンエンドするわ」
「俺のターン、ドロー。よし、まずは永続魔法【エレメントの泉】を発動、その後で【阿修羅】を召喚する」
【エレメントの泉】
永続魔法
フィールド上に存在するモンスターが持ち主の手札に戻った時、自分は500ライフポイント回復する。
【阿修羅】
スピリットモンスター
星4/光属性/天使族/攻1700/守1200
このカードは特殊召喚できない。
召喚・リバースしたターンのエンドフェイズ時に持ち主の手札に戻る。
このカードは相手フィールド上に存在する全てのモンスターに1回ずつ攻撃をする事ができる。
「またスピリットモンスター…」
「【阿修羅】で裏側守備表示になった【ネフティス】を攻撃!」
「く…まさかこんな方法で【ネフティス】の効果を回避するなんて」
「これでターンエンド…召喚したターンなので【阿修羅】は手札に戻る。そしてスピリットモンスターが手札に戻ったことでライフが回復する。」
遊斗:4000+500=4500
「私のターンね、ドロー。スタンバイフェイズに【黄泉ガエル】が墓地から特殊召喚される。ふふっ、覚悟はいいかしら?」
来るか…!?
「手札より【名推理】発動!」
【名推理】
通常魔法
相手プレイヤーはモンスターのレベルを宣言する。
通常召喚可能なモンスターが出るまで自分のデッキからカードをめくる。
出たモンスターが宣言されたレベルと同じ場合、めくったカードを全て墓地へ送る。
違う場合、出たモンスターを特殊召喚し、それ以外のめくったカードは全て墓地へ送る。
「【名推理】…!」
そのカードは苦手だ…!
「…レベル7を宣言する!」
「レベル7ね。じゃめくるわよ」
1枚目、魔法カード
2枚目、罠カード
3枚目、罠カード
4枚目…まずい、レベルを外した!
「4枚目で出たカードは【創造神】!星は8…よって特殊召喚される!」
【創造神-ザ・クリエイター-】
効果モンスター
星8/光属性/雷族/攻2300/守3000
自分の墓地からモンスターを1体選択する。
手札を1枚墓地に送り、選択したモンスター1体を特殊召喚する。
この効果は1ターンに1度しか使用できない。
このカードは墓地からの特殊召喚はできない。
「手札を1枚捨て、【ネフティス】を墓地から特殊召喚する。さらに通常召喚で【黄泉ガエル】を生け贄に【冥界の魔王ハ・デス】を攻撃表示で出すわ」
分かっていたことだけど除外対策なしで黄泉ガエル相手にすると面倒だなぁ。特に帝デッキとか…
【冥界の魔王ハ・デス】
効果モンスター
星6/闇属性/悪魔族/攻2450/守1600
このカードは墓地からの特殊召喚はできない。
このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、自分フィールド上に存在する悪魔族モンスターが戦闘で破壊した効果モンスターの効果は無効化される。
「伏せカードが怖いわね…【サイクロン】で右の伏せカードを破壊するわ」
破壊されたのは【聖なるバリアーミラーフォースー】だ。オイ、仕事しろよ。
【聖なるバリアーミラーフォースー】
通常罠
相手モンスターの攻撃宣言時に発動できる。
相手フィールドの攻撃表示モンスターを全て破壊する。
「まだ伏せが2枚あるけど…【創造神】【ネフティス】【ハ・デス】の順でダイレクトアタック!」
「ぐぅ!【創造神】は通す…【ネフティス】の攻撃は通さない!リバースカードオープン!」
【ドレインシールド】
通常罠
相手モンスターの攻撃宣言時、攻撃モンスター1体を対象として発動できる。
その攻撃モンスターの攻撃を無効にし、そのモンスターの攻撃力分だけ自分はLPを回復する。
遊斗:4500-2300+2400=4600
「残る【ハ・デス】の攻撃は通す…ぐぅっ!」
遊斗:4600-2450=2150
「耐えられたわね。これ以上できることはないしターンエンドよ」
あっぶねぇ、なんとかライフを2000以上残せた…!
「俺のターン、ドロー。ライフアドバンテージが更に不利になってしまうが止むを得ないな。フィールド魔法【死皇帝の陵墓】を発動!」
【死皇帝の陵墓】
フィールド魔法
お互いのプレイヤーは、生け贄召喚に必要なモンスターの数×1000ライフポイントを払う事で、リリースなしでそのモンスターを通常召喚できる。
「この効果で俺は2000ライフポイント支払って【八俣大蛇】を攻撃表示で召喚!」
【八俣大蛇-ヤマタノドラゴン-】
スピリットモンスター
星7/炎属性/ドラゴン族/攻2600/守3100
このカードは特殊召喚できない。
召喚・リバースしたターンのエンドフェイズ時に持ち主の手札に戻る。
このカードが相手ライフに戦闘ダメージを与えた時、自分の手札が5枚になるまでデッキからカードをドローする。
遊斗:2150-2000=150
「【創造神】は残しておくと面倒だ、潰させてもらう!【八俣大蛇】で【創造神】を破壊!」
「んっ!あぁ…」
雪乃:4000-300=3700
色っぽい声出すのやめていただけませんかね。そして翔、反応するなや!
「戦闘ダメージを与えたことで【八俣大蛇】の効果発動!5枚になるまでドローする!手札が1枚なので4枚ドロー…よし、1枚伏せてターンエンド。【八俣大蛇】は手札に戻りライフポイント500回復する」
遊斗:150+500=650
「私のターン、ドロー。スタンバイフェイズに【黄泉ガエル】特殊召喚…手札に出せるモンスターがいないわ…仕方ない。…期待外れだったかしら?」
ん…?今悲しそうな顔をしていたな。一瞬だけであとはいつもの表情…
「どうかな…最後まで分からないよ」
「…これで終わりね。【ネフティス】、【ハ・デス】の順で攻撃!」
「最後まで足掻かせてもらうよ!リバースカードオープン!!」
【体力増強剤スーパーZ】
通常罠
自分が2000以上の戦闘ダメージを受ける場合、そのダメージ計算時に発動できる。
自分は4000LP回復する。
遊斗:650+4000-2400=2250
「【ネフティス】の攻撃を受けた時、最後のリバースカードをオープン!」
【フリッグのリンゴ】
通常罠
自分フィールド上にモンスターが存在しない場合、自分が戦闘ダメージを受けた時に発動する事ができる。
自分が受けた戦闘ダメージの数値分だけ自分のライフポイントを回復し、自分フィールド上に「邪精トークン」(悪魔族・闇・星1・攻/守?)1体を特殊召喚する。
このトークンの攻撃力・守備力は、この効果で自分が回復した数値と同じになる。
遊斗:2250+2400=4650
邪精トークン(守備表示)
攻/守?→2400
「く…!ならその邪精トークンに攻撃!」
リンゴの形をしたトークンが攻撃され爆散するが…ふと雪乃を見ると驚愕の表情を浮かべている
「…また耐えられた。」
ふと周りに意識を向けると
「さすが遊斗ね…」
「耐えられるどころか、回復まで行うとは」
「しぶといですわね」
「すっげぇ、あの攻撃を耐えるなんて!」
「…凄いっス」
あー、集中してたから皆がいたこと忘れてた…
「いやいや、冷や汗ものだったよ…」
「1枚伏せてターンエンドよ」
「俺のターン、ドロー!」
ドローしたカードに目をやると、そのカードはこのデュエルを終わらせることができるカードだった。
「藤原さん、このデュエル、このターンで終わらせる!」
そういうと皆様々な表情を浮かべる
「【サイクロン】でさっき藤原さんが伏せたカードを破壊する」
破壊したのは…【攻撃の無力化】か
「【死皇帝の陵墓】の効果でライフポイントを1000払い【砂塵の悪霊】を攻撃表示で召喚する」
【砂塵の悪霊】
スピリットモンスター
星6/地属性/アンデット族/攻2200/守1800
このカードは特殊召喚できない。
召喚・リバースしたターンのエンドフェイズ時に持ち主の手札に戻る。
このカードが召喚・リバースした時、このカード以外のフィールド上に表側表示で存在するモンスターを全て破壊する。
遊斗:4650-1000=3650
「召喚した時、効果発動…このカード以外の表になっているモンスターを全て破壊する!」
どこからか砂嵐が発生し、皆あまりの勢いに目を開けていられず目をつぶった。
やがて砂嵐が止んだ時には悪霊以外は水分を奪われたのか塵になって風に飛ばされて行った。
「…でも攻撃力は2200よね?私のライフを削り切るには後1500足りないわよ。スピリットは特殊召喚が出来ない。しかも効果による破壊を行ったことで次のターン【ネフティス】も復活するわ!さぁ、どうするの?」
「確かに。だから決着をつけるならこのターンだ。…このカードでそれも解決出来る。【二重召喚】!」
【二重召喚-デュアルサモン-】
通常魔法
このターン自分は通常召喚を2回まで行う事ができる。
このカードを発動した瞬間、雪乃は自分の敗北を悟ったようで目を瞑った
ーーーー
ーーー
ーー
ー
“八神遊斗”
青山とかというブルー生徒を倒したと聞いた時は“たまたま”だろうとは思っていた。
でも実際にデュエルしてみたらボウヤは…いえ、彼は強かった。
今までデュエルした男の誰よりも…明日香の言うとおり彼ならもしかしたらーーーーー
「【二重召喚】の効果で【阿修羅】を召喚!」
ふふふ、このデュエル…楽しかった。こんな気持ち、忘れてたわ。男とのデュエルで笑ったのは久しぶりよ…
「藤原さん、貴女は強かった。防御カードが【八俣大蛇】でドロー出来なかったら俺の負けだった。…でも今回は俺の勝ちだ」
ええ、そうね。次は私が勝つわ
「【砂塵の悪霊】と【阿修羅】でダイレクトアタック!」
雪乃:3700-2200-1700=-200
ーーーー
ーーー
ーー
ー
「これで翔は無罪放免…でいいのか?」
「ええ、2人とも私と雪乃に勝ったことだし、約束は守るわ。ジュンコにももえもいいわよね?」
「ええ…」
「はい…」
「翔君、皆にとりあえず言うことあるんじゃない?」
そう言い、翔のほうを見ると翔は申し訳なさそうに頭を下げた
「皆、申し訳ないっス」
この言葉に女性陣は頷く。ジュンコはまだ納得いってないっぽいが空気を読み黙っている
「…これでとりあえずは一件落着かな…帰ろうか?十代君、翔君」
「あぁ」
「うん」
同意を得て漕ごうとしたのだが、明日香に呼び止められた
「明日香さん?」
「…雪乃のことお願いね」
雪乃のほうを見てお願いしてくる明日香。
「え?何の事かよく分からないけど…分かった」
あの一瞬の表情のことといい、何か事情ありっぽい…ほっとく訳にもいかなさそうだな。
「ありがとう」
その言葉を聞き、今度こそ漕ぎ始める一行だった。
ーーーー
ーーー
ーー
ー
ジュンコとももえは眠くなったと言い、部屋に戻っていった。
残された2人はボートが去っていった方角を見つめたまま動かない
「…彼どうだった?」
しばらくして明日香はそう聞くが何も語らない雪乃
「彼、貴女の支えになれるといいわね」
「…いつから気付いてたの?」
「中等部の件ならあからさまだしね。…同じ境遇だもの。分かるわよ」
「そう」
「…色々思うことはあるだろうけど、今日はひとまず寝ましょう。明日から考えて行けばいいのよ」
「それもそうね」
そう言い寮の中へ入っていく2人。
あれ…どうしてこんな話になった…?