遊戯王ー転生した決闘者ー   作:遊戯王を愛する者

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試験<後編>

 

ーーーーーリベンジよーーーーー

 

 

 

 

 

 

 

彼女…藤原雪乃は確かにそう言った。

 

初めてのデュエルは1週間以上前に、翔がハメられたことで起きた“女子寮の覗き事件”で行われた。

 

結果はモンスターカードの効果によって防御カードを引けた俺に軍杯が上がった。

 

「推理ゲート」デッキだったことも助けられた要因のひとつではあるが、それはともかく聡明な彼女のことだ…リベンジを申し込んで来たということは恐らく同じデッキではない…。

 

それはつまり、今回“あの”デッキを使ってくる可能性が高いということ。

 

ならばズルいが俺の居た世界で使っていたカードをいくつか入れたデッキで相手したほうがいいな。

 

…彼女のことだ。賭けをしてくる可能性がある。万が一にも負けたら俺、相当マズイ命令されそうだしな、うん。仕方ない…よな?

 

そんなことを考えていると

 

「ねぇ、ボウヤ」

 

「ん?何だい?」

 

「賭けをしましょうか」

 

…ホラ、やっぱり来た。それに伴って観客席の男子生徒から悲鳴が…うるさい。

 

「賭け…?」

 

「そう、勝った人が負けた人にひとつ命令をすることが出来る。そしてその命令は拒否することはできない」

 

雪乃がそう言った瞬間男女問わず生徒達が騒ぎ始める。

 

「…つまり絶対服従の命令の権利をかけたデュエル…?」

 

マジで爆弾ぶっこんできたよこの人

 

「そう、理解が早くて助かるわ」

 

チラと観客席にいる友人達を見ると明日香と三沢、翔は…真っ赤な顔しているな。そうか、君たち“そっち”の意味で捉えたか。

 

ジュンコとももえは手を取り合ってキャーキャー言ってる…そういやこういう話好きだものな。

 

ゆま、十代はなんで皆が悲鳴あげたのかわかってない顔…君たち良くも悪くも純粋だね…。

 

さて、どうしたものかな…

 

そう思って雪乃を見ると少し緊張しているようだ。雪乃の目が怯えてるようにも見えるが………

 

事情は知らないが、この賭けは真剣に乗ったほうがよさそうだ。

 

「…分かった。その賭け乗ろう」

 

一層騒ぎ始める観客。…無視だ。

 

「そう、よかったわ」

「さぁ…始めようか」

 

デュエルディスクを展開し向き合う2人

 

 

 

「「デュエル!」」

 

 

 

遊斗:4000

雪乃:4000

 

 

 

俺の先攻のようだ。暴れさせてくれよ?

 

「俺のターン、ドロー!」

 

手札は…少し悪いが問題はないな。

 

「【召喚僧サモンプリースト】を攻撃表示で召喚する!」

 

 

【召喚僧サモンプリースト】

効果モンスター

星4/闇属性/魔法使い族/攻 800/守1600

このカードが召喚・反転召喚に成功した場合に発動する。

このカードを守備表示にする。

このカードがモンスターゾーンに存在する限り、このカードはリリースできない。

1ターンに1度、手札から魔法カード1枚を捨てて発動できる。

デッキからレベル4モンスター1体を特殊召喚する。

この効果で特殊召喚したモンスターはこのターン攻撃できない。

 

 

「【サモンプリースト】の効果発動!召喚に成功した時守備表示になる。もうひとつの効果発動!手札より魔法カードを捨て、デッキからレベル4モンスターを特殊召喚する」

 

デッキから1枚弾かれそれを手に取り、ディスクへ置く。

 

「【クィーンズ・ナイト】を攻撃表示で召喚!」

 

 

【クィーンズ・ナイト】

通常モンスター

星4/光属性/戦士族/攻1500/守1600

しなやかな動きで敵を翻弄し、相手のスキを突いて素早い攻撃を繰り出す。

 

 

女性の騎士が現れ、剣を雪乃へ向ける。

 

「カードを2枚伏せてターンエンドだ!」

 

「【クィーンズ・ナイト】…決闘王が神を呼ぶ為に使われた絵札の三銃士のうちの1枚…まさか生で見れるとは思わなかったわ。」

 

「退屈はさせないよ藤原さん」

 

そういうと雪乃はクスっと笑った。

 

「ええ、楽しみにさせてもらうわ。私のターンね。ドロー」

 

雪乃、何を出してくる…?

 

「【共鳴虫】を守備表示で召喚するわ。」

 

 

【共鳴虫-ハウリング・インセクト-】

効果モンスター

星3/地属性/昆虫族/攻1200/守1300

このカードが戦闘によって破壊され墓地に送られた時、デッキから攻撃力1500以下の昆虫族モンスター1体を自分フィールド上に特殊召喚する事ができる。

その後デッキをシャッフルする。

 

 

「カードを1枚伏せてターンエンドよ」

 

共鳴虫…?なるほど、デビルドーザーの為の下準備か?儀式をしてこなかったということはまだそっちの準備が足りないのだろう。

 

「俺のターン!魔法カード【増援】を発動!この効果で【キングス・ナイト】を手札に。そしてそのまま攻撃表示で召喚」

 

 

【増援】

通常魔法

デッキからレベル4以下の戦士族モンスター1体を手札に加える。

 

【キングス・ナイト】

効果モンスター

星4/光属性/戦士族/攻1600/守1400

自分フィールドに「クィーンズ・ナイト」が存在し、このカードが召喚に成功した時に発動できる。

デッキから「ジャックス・ナイト」1体を特殊召喚する。

 

 

「【キングス・ナイト】の効果発動!場に【クィーンズ】と【キングス】がいるのでデッキより【ジャックス・ナイト】を攻撃表示で特殊召喚!」

 

2人の剣士が剣を合わせたかと思うと背景に穴があく。その穴から若く屈強な剣士が飛び出る。

 

 

【ジャックス・ナイト】

通常モンスター

星5/光属性/戦士族/攻1900/守1000

あらゆる剣術に精通した戦士。

とても正義感が強く、弱き者を守るために闘っている。

 

 

「こんなにも早く三銃士を揃えるなんて…」

 

雪乃が少し驚いている。

 

「言ったでしょ?楽しませる、って。…行くよ!【クィーンズ】で【共鳴虫】に攻撃!」

 

クィーンズが共鳴虫を切り裂くが共鳴虫が音を震わせ爆発する。爆発の煙が晴れるとそこには撃破したのと同じ虫がいた。

 

「【共鳴虫】の効果で【共鳴虫】を呼び出す!」

 

二たび現れる虫。

 

「【キングス】で【共鳴虫】に!」

 

三たび同じ虫が現れる。今度こそ!

 

「【ジャックス】で【共鳴虫】だ!」

 

「最後の【共鳴虫】の効果で【アルティメット・インセクト LV3】を守備表示で特殊召喚!」

 

【アルティメット・インセクト】だと!?

 

 

【アルティメット・インセクト LV3】

効果モンスター

星3/風属性/昆虫族/攻1400/守 900

「アルティメット・インセクト LV1」の効果で特殊召喚した場合、このカードがフィールド上に存在する限り、全ての相手モンスターの攻撃力は300ポイントダウンする。

自分のターンのスタンバイフェイズ時、表側表示のこのカードを墓地に送る事で「アルティメット・インセクト LV5」1体を手札またはデッキから特殊召喚する(召喚・特殊召喚・リバースしたターンを除く)。

 

 

「…ターンエンド」

 

「私のターン、ドロー。スタンバイフェイズに【アルティメット・インセクト】の効果発動。このカードを墓地へ送ることで進化する!」

 

 

【アルティメット・インセクト LV5】

効果モンスター

星5/風属性/昆虫族/攻2300/守 900

「アルティメット・インセクト LV3」の効果で特殊召喚した場合、

このカードがフィールド上に存在する限り、全ての相手モンスターの攻撃力は500ポイントダウンする。

自分のターンのスタンバイフェイズ時、表側表示のこのカードを墓地に送る事で「アルティメット・インセクト LV7」1体を手札またはデッキから特殊召喚する(召喚・特殊召喚・リバースしたターンを除く)。

 

 

マズイ、あのカードが居るだけで俺のモンスターは全て弱体化してしまう!

 

 

サモンプリースト

攻 800→ 300

クィーンズ

攻1500→1000

キングス

攻1600→1100

ジャックス

攻1900→1400

 

「これで倒せるわね。【マンジュ・ゴッド】を攻撃表示で召喚する!」

 

 

【マンジュ・ゴッド】

効果モンスター

星4/光属性/天使族/攻1400/守1000

このカードが召喚・反転召喚に成功した時に発動できる。

デッキから儀式モンスター1体または儀式魔法カード1枚を手札に加える。

 

 

「効果で儀式魔法【エンド・オブ・ザ・ワールド】を手札に加える!」

 

これであのカードが来たら大ダメージは必須だが…

 

「バトル!【アルティメット・インセクト】で【ジャックス】を、【マンジュ・ゴッド】で【クィーンズ】を攻撃!」

 

「ぐぅっ!」

 

遊斗:4000-900-400=2700

 

「前回は途中でボウヤの事舐めてた。…今回は最後まで油断せず行くわ!」

 

…やってくれるね!

 

「俺のターン、ドロー!【強欲な壺】を発動!」

 

 

【強欲な壺】

通常魔法

デッキからカードを2枚ドローする。

 

 

こっちの世界じゃ制限カードなのでデッキに入れていたが…このタイミングで来るのはありがたい。

 

「2枚ドローし、…【キングス】を守備表示に変えてターンエンドだ」

 

「私のターン、ドロー。…来たわ」

 

進化しない…?LV7はデッキに入っていないのか?…疑問はあるがこの際忘れよう。もっとヤバいのが来ようとしているのだからな!

 

「手札より2枚目の【マンジュ・ゴッド】を攻撃表示で召喚、効果発動!この効果で手札に加えるのは…儀式モンスター【終焉の王デミス】よ!」

 

ついに揃ったか。

 

デミスと聞き観客席にざわめきが広がる

 

耳を傾けると

 

 

「ついに藤原さんが女帝たらしめるカードを拝めるのか」

「いかん、震えが…」

「ハァハァ…」

 

 

なんかよく分からない発言してる人がいる…ええい、無視だ!ってこんなこと前もあったような…

 

 

「【エンド・オブ・ザ・ワールド】を発動!場の2枚の【マンジュ・ゴッド】を生け贄に【終焉の王デミス】を特殊召喚!」

 

 

【エンド・オブ・ザ・ワールド】

儀式魔法

「破滅の女神ルイン」「終焉の王デミス」の降臨に使用する事ができる。

フィールドか手札から、儀式召喚するモンスターと同じレベルになるように生け贄を捧げなければならない。

 

【終焉の王デミス】

儀式・効果モンスター

星8/闇属性/悪魔族/攻2400/守2000

「エンド・オブ・ザ・ワールド」により降臨。

フィールドか手札から、レベルの合計が8になるようカードを生け贄に捧げなければならない。

2000LPを払う事で、このカードを除くフィールド上のカードを全て破壊する。

 

 

「【デミス】の効果使われる前にリバースカードオープンだ!」

 

 

【ご隠居の猛毒薬】

速攻魔法

以下の効果から1つを選択して発動できる。

●自分は1200LP回復する。

●相手に800ダメージを与える。

 

 

「効果は2つあり、選択できるが俺が選ぶのは回復効果!」

 

無傷の雪乃にダメージ与えたところで3200、どの道デミスの効果発動されるからな…なら回復したほうがマシだ。

 

遊斗:2700+1200=3900

 

「あら…まぁいいわ。【デミス】の効果発動!ん…はぁぁ…!」

 

デミスから黒い波動が出てフィールドのあらゆるものを消して行く。

 

黒い波動が収まると立っていたのはデミスのみ。まさに「終焉の王」…!

 

…だが雪乃相変わらず色っぽい声出すねぇ。観客席の男子生徒皆赤くなってるじゃないか。…いや1人だけ違ったな。言わずもがな、十代だ。

 

雪乃:4000-2000=2000

 

だけどそれでも雪乃の目は…

 

「これで場はガラ空「罠カード発動!」っ!?」

 

 

【黄金の邪神像】

通常罠

セットされたこのカードが破壊され墓地へ送られた時、自分フィールド上に「邪神トークン」(悪魔族・闇・星4・攻/守1000)1体を特殊召喚する。

 

 

「セットされたカードが破壊されたことをトリガーに発動する罠カード…!!【デミス】の効果を利用するなんて抜け目のないボウヤね」

 

驚いてるねぇ。雪乃は俺とデュエルするとき驚く回数多いがなんでだ?

 

「このターン決めるのは無理だけど大ダメージは受けて貰うわ。墓地の昆虫族を2枚除外して手札より【デビルドーザー】を特殊召喚する」

 

 

【デビルドーザー】

効果モンスター

星8/地属性/昆虫族/攻2800/守2600

このカードは通常召喚できない。

自分の墓地の昆虫族モンスター2体をゲームから除外した場合のみ特殊召喚する事ができる。

このカードが相手ライフに戦闘ダメージを与えた時、相手のデッキの上からカードを1枚墓地へ送る。

 

 

やはり来たか!回復を選択して正解だったな

 

「【デミス】で【邪神像】を破壊!【デビルドーザー】でダイレクトアタックよ!」

 

大きなムカデが俺を押しつぶさんと這ってくる。デカいとソリッドヴィジョンといえど怖いな!

 

「ぐぉっ!」

 

遊斗:3900-2800=1100

 

「【デビルドーザー】が戦闘ダメージを与えたとき効果発動!デッキの上から1枚墓地へ送って貰うわ!」

 

墓地へ落ちたカードは…!良いカードが落ちた!

 

「1枚伏せてターンエンドよ」

 

よぉし、このドローであのカードが来れば…!

 

 

ーーーー

ーーー

ーー

 

 

全く…“八神遊斗”、彼とのデュエルは驚かされっぱなしだわ。

 

このデッキは従兄を追い込んだこともあるというのに。従兄に勝ったことはなかったけれど…。

 

中等部から使っている“アカデミアでは無敗”のデッキ。同級生のブルー生徒でトップの万丈目のボウヤもこのデッキの前には歯が立たない。そういう自信はあった。

 

でも…彼は違う。前回、このデッキと戦うに相応しいか見極める意味も込めての「推理ゲート」でデュエルしたけど、最後は押し切られた。それも扱いが難しいスピリットモンスターを上手く使って。

 

彼なら…、彼ならきっと…私じゃない“私”を受け止めてくれる。

 

「俺のターン、ドロー!」

 

いけない、自分の世界に入り込んじゃってたわ。集中しなきゃ!

 

「よし!…藤原さん!」

 

ーーーー

ーーー

ーー

 

やった!遂にキーカードが揃った!

 

「よし!…藤原さん!」

 

呼びかけると雪乃は驚いた顔でこっちを見る。いきなり呼んだからびっくりしたのかな?

 

「このターンで決めるよ!」

 

ざわめく観客席…君たちもう少し静かにできないのかね?

 

「墓地の光属性の【ジャックス】と闇属性の【サモンプリースト】を除外する!…現れろ【ライトパルサー・ドラゴン】!!」

 

 

【ライトパルサー・ドラゴン】

効果モンスター

星6/光属性/ドラゴン族/攻2500/守1500

このカードは自分の墓地の光属性と闇属性のモンスターを

1体ずつゲームから除外し、手札から特殊召喚できる。

また、手札の光属性と闇属性のモンスターを1体ずつ墓地へ送り、このカードを自分の墓地から特殊召喚できる。

このカードがフィールド上から墓地へ送られた時、自分の墓地のドラゴン族・闇属性・レベル5以上のモンスター1体を選択して特殊召喚できる。

 

「攻撃力2500…」

 

雪乃が何か呟いてるが続行だ。

 

「さらに魔法カード【おろかな埋葬】!デッキから【レベル・スティーラー】を墓地へ!」

 

その瞬間観客席から嘲笑が起こる。そういえばこの世界に墓地肥やしの概念ないんだっけか…構わん。スルーだ!

 

 

【おろかな埋葬】

通常魔法

デッキからモンスター1体を墓地へ送る。

 

 

「デッキから墓地へ…何をして来るのかしら」

 

「まだまだ行くよ!墓地におかれている2枚の【レベル・スティーラー】の効果発動!【ライトパルサー】のレベルを1つずつ下げ墓地から特殊召喚!」

 

【ライトパルサー・ドラゴン】

レベル6→5→4

 

 

【レベル・スティーラー】

効果モンスター

星1/闇属性/昆虫族/攻 600/守 0

このカードはモンスターゾーンに存在する限り、生け贄召喚以外のためにはリリースできない。

このカードが墓地に存在する場合、自分フィールドのレベル5以上のモンスター1体を対象として発動できる。

そのモンスターのレベルを1つ下げ、このカードを墓地から特殊召喚する。

 

 

「2枚目!?いつの間に墓地に…【デビルドーザー】の効果ね。裏目に出ちゃったのね」

 

「おかげさまで。…これで場に3体のモンスターが揃った。俺はこの3体を生け贄に捧げるっ!」

 

 

 

ーーーー

ーーー

ーー

 

「俺はこの3体を生け贄に捧げるっ!」

 

3体生け贄のモンスター…まさか神のカード!?

 

「【神獣王バルバロス】!」

 

神じゃ…ない?でも…なんて力強さを感じるモンスターなの

 

「3体の生け贄召喚に成功した時、相手の場のカードを全て破壊する!」

 

なんですって!相手の場のカード全てを対象にした破壊効果!?

 

「目には目を、歯には歯を…破壊には破壊を!!トルネード・ブレイク!」

 

竜巻が現れ、私のモンスターを粉々にする。

 

伏せた【ドレインシールド】までも…

 

「あ、この状況…前回と一緒になっちゃったな」

 

そういえばそうね。あの時も私の場を丸裸にしてくれたわね。

 

「…楽しんでくれた?今回も俺の勝ちだよ」

 

ええ、楽しかったわ。…見てなさいよ。こうなったら勝つまでつきまとってあげるんだから。

 

「藤原さんにダイレクトアタック!トルネード・シェイバー!!」

 

 

 

 

 

 

雪乃:2000-3000=-1000

 

 

 

 

 

 

 

私のライフが0になり、ブザーが鳴った瞬間、歓声と悲鳴が湧き上がる。

 

「ふふっ、負けちゃったわ」

 

でもなんだかスッキリしちゃった。

 

遊斗は笑顔でこっちを見ている…。

 

「さぁ、“遊斗”、貴方は私に勝った。…どんな命令をしてくれるのかしら?」

 

そういうと遊斗は少しびっくりした顔をする…私変なこと言ったかしら?

 

「んー…しまった。考えてなかったな。」

 

苦笑いして頭をかく遊斗。

 

しばらく考え込んでいると意を決して顔をあげてこっちを見つめる。

 

「…藤原さんの誰にも言えない気持ち…機会があれば俺に言って欲しい。」

 

私は固まってしまった。

 

あの気持ち…明日香しか知らないこと…何故それを?明日香が遊斗に言ったの?

 

混乱してると遊斗がいつの間にか近くまで来た。

 

「これまでの行動の節々に悲しそうな顔をしてた…」

 

…っ!気付いてた…!?

 

「何があったかは知らない。だから、俺に話してくれない?何か助けになれるかも」

 

いけない、視界が…もう私のバカ…!なんで嬉しくなっちゃうのよ…!

 

ここから離れなきゃ…私は「女帝」よ…!

 

「ふふっ、分かったわ。敗者ですものね。…敗者は今はこの場にふさわしくないわ。下がらせて貰うわね」

 

声が震えてるのが自分でもわかる。彼に伝わってしまったかしら…

 

「分かった。…また後で」

 

返事をせず後ろを向いて歩き出す。

 

まだよ私…あともう少し…私の姿が皆から見えなくなるまで…!

 

お願いだから持って…!

 

 

 

ーーーー

ーーー

ーー

 

 

 

「お疲れ様、雪乃」

 

通路まで辿り着き、観客席も見えない場所まで来た時、私を呼ぶ者がいた。

 

「明日…香」

 

私の幼馴染の明日香だ。

 

明日香は微笑んでこっちへ歩いてくる。

 

「酷い顔よ。とても皆に、特に遊斗には見せられないわね。」

 

そう言い頭を撫でてくる。

 

「…遊斗…“私”を見てくれてた…!演技に気付いてくれてた…!それで…!」

 

「助けになる、そう言ってくれたんでしょ…良かったわね」

 

私を抱き締める。

 

ふと明日香の顔を見上げると明日香も涙目になっている。

 

「今は泣きなさい。ほら、胸貸してあげるから」

 

それを聞き、遂に堪えられなくなり泣き出す

 

 

 

 

 

「ーーーーーーーーーーっ!」

 

 

 

 

 

 

 

「…本当に良かったわね」

 

明日香の涙声を聞きながら。




あれ…最初に書いたおおまかなあらすじではもっとライトな話のはずだったのに書いてるうちに重く…あれー?


修正点
まだS召喚はしないのでジャンク→バイスに変更します。
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