バカとテストと短編if集   作:悠哉

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三作目です。

今回の時系列も、3年との戦いが終わった後の一週間後、となっています。

ですが、二作目とは繋がっていません。

また、今回は明久と雄二しか出てきません。
明久×姫路、雄二×霧島、を匂わせる発言はありますが、女子二人は出てきません。

前二作とはまた違った感じになっていると思いますが、よろしくお願いします(?)

それではどうぞ。


俺と明久と素直な心

Side 雄二

 

学園長(ババア)に異例の校則を作られて、今日でちょうど一週間。

 

そろそろ動かないと翔子のやつが脅しをかけてくる頃だ。

"付き合えないならば結婚しよう"だのなんだの。そうなるのも面倒だ。それなら早めに動いておこうと思う。とはいえ相手はあのババア(学園長)、一筋縄では絶対にいかない。誰か協力者が必要だ。

 

なら誰にするか。

 

「で、頭に思い浮かんだのが僕ってことだね。」

 

「その通りだ。」

 

協力者となってもらうために、鉄人に借りた補習室に呼び出した明久…もとい馬鹿に向かって大きくうなずく。

 

「なんか凄く失礼なことを思わなかった?」

 

「思ってないぞバカ久。」

 

「おもいっきりいってるじゃないかバカ雄二!」

 

「まぁ、冗談はこんくらいにして。」

 

「冗談!?」

 

「冗談に決まっているだろう。それよりもだ、お前はあの校則についてどう思っているんだ、明久。」

 

「えぇっと!ななななんのことかな!?」

 

露骨に顔を赤くする明久。

こんな風に素直だからバカって言われるんだよ。

そこが羨ましくもあるんだがな。

 

「姫路と付き合いたいと思ってんのかどうかだよ、わかってんだろ。」

 

「う…そりゃあ、もちろん…思ってるよ。」

 

だけどさ、と明久は言葉を続けた。

 

「僕なんかで良いのかな、って思ったり、もしかしたら、アッチは小学校で一緒だったから友情を恋愛感情と間違ってるんじゃないかとか、だったら関係性に名前をつけないことで誤解から目が覚めるかもしれないとか、思った。」

 

明久にしては珍しく沈んだ顔だった。

俺は声をかける相手を間違えたか。

コイツは付き合うことに乗り気じゃないらしい。

 

「すまん、明久。他を当たる。」

 

「ちょっと雄二、最後まで聞いてよ!」

 

「は?」

 

慌てた様子で呼び止められ振り替えるととても固い意思の宿った目をした馬鹿がはにかみながら、だけどはっきりと。

 

「そういう風に思っていた時期もあった。というか最初だけはそうだった。だけど、姫路さんはまっすぐに僕のことを見てくれていたんだ、だから…彼女の思いに答えたい。」

 

あぁ、俺は。

 

お前が羨ましいよ、明久。

 

そんな風にまっすぐに誰かへの想いを語ることができて。

 

「…雄二?」

 

不安そうな顔を向けられてしまった。

 

「いや、なんでもねぇよ。」

 

「ふーん…それなら良いんだけど。」

 

言えるわけがない。

 

言えるならば俺はこんな風にはなっちゃいない。

 

「さて、と…じゃ、どうやってババァを始末…もとい説得(始末)出来るかを考えるか。」

 

「それいってること同じだよね。」

 

呆れたように言いながらも、まったく反対の意思はなくむしろ全面的に賛成している顔つきだった。

あのババァは俺らの話なんて耳を傾けないだろうし、ならば力ずくしかないと思う。

では、その作戦をどうしようか。

 

ー作戦考え中

 

今回の問題は、力ずくとはいえやり過ぎればもっと面倒な状況に陥ってしまうことだ。

俺達二人に何かが来るのはもう慣れているが、翔子や姫路に被害が来るのは困る。

翔子や姫路は何も悪くないのだから。

 

「そういえば雄二。」

 

作戦について考えていると、目の前で同じように唸っていた明久からいきなり声をかけられた。

 

「なんだ明久。」

 

明久の方を向かずに自分の手元を見ながら答える。

 

「さっき僕に"校則についてどう思うか"って聞いたよね。」

 

「あぁ。聞いたな。」

 

「雄二はどうなの?」

 

「…ッ!!?」

 

コイツいきなりなんて質問しやがる…!

 

「…なんだ、いきなり。」

 

そういいながら顔をあげると、そこにあったのは真剣な表情。

 

「だって僕は答えたし、雄二の考えはどうなのかと思って。」

 

「…俺は深い意味はない。一番最初にいった通り、そろそろ翔子のやつが脅してくる頃だからな。」

 

嘘をついた。

 

自然と明久から目を背けてしまう。

すると先程よりも鋭い声音で。

 

「嘘だね。」

 

「違う、本音だ。」

 

「さすがに(バカ)でもわかるよ。雄二は嘘をついた。」

 

「…根拠は。」

 

「霧島さんは、あれから脅すような行為をしてないし、これからもしないだろうってことを、雄二はわかってるはずだから。」

 

…痛いところをつかれた。

 

そうなのだ。アイツは、あの校則が出来てから…いや、正確に言えば3年の奴等との戦いが終わってから、脅しめいた行為を一切してこなくなった。

 

だから、脅されるから、なんて理由は通用しない。

 

最初からこのバカはそこに気づいていたんだろう。

 

そして、この質問をするタイミングをはかっていた…。

 

バカのくせに、随分と頭が回るようになったもんだ。

 

「…で、どうなの、雄二。本当に君は霧島さんに脅されるから、なんて馬鹿げた理由で学園長に抗議しにいくの?それとも。」

 

「ったく、そんなことより学力伸ばせってんだ…。降参だよ。そんな馬鹿げた理由じゃねえよ。」

 

「やっぱり。さぁ、雄二、話してもらうよ。僕だって話したんだからさ。」

 

俺がようやく認めると、先程までの鋭く冷たい声音とはうってかわって、柔らかいコイツ本来の声音で話を促す。

 

前までの俺なら、きっと"お前に話すことじゃない"といって突き放していただろう。

 

だけど今は違う。

 

「…笑うんじゃねえぞ。」

 

「雄二…!」

 

嬉しそうにしやがって…。

色々と心配をかけたようだが、コイツ(鈍感)に心配されちゃおしまいだな。

 

「…俺も、翔子の想いが俺自身にまっすぐ向けられたものだって信じられなかった。それに、最初はアイツがうっとおしかった。アイツが言い寄ってくる訳も罪悪感からだと思ってアイツの目を覚まさせようとしていた。だけど、ずっと、過ごしていくなかで、その好意がアイツの罪悪感からではないことがわかった…けど、俺が今さらどのツラさげてアイツの隣に行けるのか、そう思った。」

 

あんだけアイツのことを拒否してた俺が、やっぱり貴女のことが好きでした、なんて都合がよすぎるだろ、と自嘲気味に笑いながら呟く。

 

「そんなこと…!」

 

「あるんだよ、明久。…とはいえ、それをネガティブにとらえたつもりは一切ない。だから、Aクラスに戦争で勝って、改めて俺から告白したい、そう思った。」

 

明久の言葉を遮り、言葉を紡いでいく。

俺の、本音を。

 

「3年の連中への怒りは収まっちゃいねえ。八つ当たりだってわかってるがな。あの時にアイツらが乗り込んでこなきゃ、俺達(Fクラス)の勝利で、俺は気持ちを伝えて、妙な校則もできなかった。」

 

「雄二…。」

 

「だけど今の状態はどうだ。やっと俺も…ほんの少しだが、素直になれて、翔子もこんな俺を受け入れてくれてくれると言った。なのに、校則が、邪魔をするんだ。そして、明確な関係が築けなければ周りのバカども(男子生徒)は、翔子に言い寄り続ける。」

 

そう。翔子はココ最近、何人かの男子からストーカーじみた行為を受けている。

俺がそれを止めようとすると、"お前は霧島さんとただの幼馴染みでそれ以上でもそれ以下でもない"と言われてしまっている。

…俺は正直に言えば、関係性に名前をつけることよりも気持ちが大事だと思っている。案外俺はロマンチストであったりするから。

そんな俺だが翔子に迷惑がかかるなら話は別だ。

 

「だから、あの校則を撤廃したい。手伝ってくれ、明久。頼む!」

 

そう言って俺は、珍しく明久に頭を下げた。

 

「ちょ!雄二!やめてよ!…僕だって、目的が一緒なんだからさ。僕からもよろしく。」

 

明久は俺の頭を無理矢理持ち上げ、右手を出してきた。

 

あぁ、本当。

 

コイツには敵わない。

 

「すまんな。よろしく頼む。」

 

ガシッ、と明久の右手を右手でつかむ。

 

「やっと、雄二らしくなってきたね。」

 

「心外だな。まるで今までは気が抜けてたみたいじゃねえか。」

 

「いや、ぬけてたけど。」

 

「は?」

 

「口調とかは変わりないけど、なんか、内面が揺れてるっていうの?なんていえばいいんだろう。雄二らしくなかったよ。」

 

「…他の奴は気づいてたか?」

 

「いや、僕と霧島さんぐらいだと思うよ。」

 

コイツと翔子には気づかないところで心配をかけていたらしい。

 

「…ありがとな。」

 

ボソッと呟くと、明久は聞こえていなかったようで、慌てて聞き返した。

 

「え?何?」

 

「なんでもねぇよ。それより、早くババアを始末しようぜ。」

 

明るくいいながら、明久に金属バットを投げ渡す。

 

「え、雄二!?この金属バットと、そのメリケンサックどこから出したの!?ていうか待って!!?」

 

素直な気持ちをさらけ出しすぎて、気恥ずかしくなり、早足で部屋の外へと出ようと、ドアノブに手をかける。

 

ーガチャリ

 

「坂本、吉井。」

 

勢いよく扉を開けると、そこにはこの部屋の管理人(鉄人)が。

 

「「ゲッ!鉄人!!?」」

 

「お前らがあやしいことをしていないかと様子を見に来てみれば!お前らにはやはりまだ指導が足りないようだな…!」

 

俺の手には、メリケンサックが。

明久の手には、金属バットが。

 

こういうときの合言葉。

 

「これを企んだのは明久なんで!」

 

逃げるが勝ち!

 

「あ!僕を囮にしやがったな!鉄人!この武器を用意したのは雄二なんです!!」

 

あのバカ、俺と同じ方向に逃げてきやがった!

 

「このバカどもが!二人とも俺が補習室でみっちり指導し直してやる!!」

 

「「うわぁぁぁ!!!」」

 

 

…すまない翔子。まだもう少し、時間がかかりそうだ。

 

終わり




いかがでしたでしょうか。

それでは恒例のこの話が出来たわけ、のコーナーです。

男子キャラの中では雄二が一番好きだからです、以上。

今回は一番シンプルでした。

ですが、何気に書きにくかったり。

今のところ一番苦労した話でした。

またご報告ですが、活動報告の方で、文字数について意見を聞いていました。
意見をくださった、Shirohidaさん、ラビ@その他大勢さん、K-15さん。ありがとうございました。足りなかった知識が三人の方々のおかげで補われました。 

それで、文字数については、自分の書けるところまで、なおかつ話の区切りの良いところまで書くようにしていきます。

今は少しリアルの方が忙しいので、おそらく書いたとしても5000字までとなると思います。
…と言いつつも、もしかしたら話によっては短くなるかもしれませんが。

リアルの方が一旦落ち着いたら、10000字目指して書いてみたいなーとも思ったりしていますのでその時はよろしくお願いします。

というか、何の気なしにUAを見たら、500を越えてて驚きました。
なんかもう、本当ありがたいです。
お気に入り登録してくださっている方もいらっしゃって…。
本当恐れ多いし、ありがたいです。

読者の皆様、こんな俺ですが、これからもよろしくお願いします。

誤字脱字助言感想等ありましたらお気軽にいっていただけると幸いです。
(前回mamさん誤字指摘ありがとうございました。)
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