前回
主人公、死す?
◆
「しまった……」
ここまで来るような人間がいるからとりあえず斬ってみたけど、何かあって白玉楼に迷いこんだだけみたいね……
今のをまともに受けて倒れて……死んではいないようね。思ったより厚着してたのかしら?
でも……流れてる血の量をみる限りじき死ぬみたいね。
これは面倒な事になりそう。ここで死人が出たなんてことがわかったらあっちが黙ってないでしょうし……
「妖夢、どうかした?」
「あ…幽々子様、実は…その……」
「どうかした?」
「……先ほど、生きた人がここに入りこんでいて…それでとりあえず斬ってみたら倒れて…じき死ぬと思いますけど……どうしましょう?」
「………………」
「ゆ、幽々子様?」
「『とりあえず』で斬られた方に心から同情したくなるわね」
「す、すみません…」
「まあやったものは仕方ないし、これからどうするかよ。ここで人が死んだとなればあちこち面倒なことになるし……妖夢。これまだ死んではいないのよね?」
「…?はい。死ぬのも時間の問題ですけど……それがどうかなさいました?」
「なら、どうにかなるかも知れないわね。妖夢、たしかこの前妙な薬貰ってたわよね?」
「はい……『どんな傷もすぐ治す』なんて触れ込みでしたけど、あんなので治すつもりですか?」
「何もしなくてもどうせ死ぬのだから効かなくても構わないしいいのよ。私は準備があるから早く持ってきてくれる?」
「わかりました」
……幽々子様はああ言っていたけれど、一体どうなさるおつもりなのかしら?
「死を操る程度の能力」ではさっさと死なせることしかできないし……
仮にあの薬が効いたところで多分魂の方が留まれないし……あ、あったあった。
「幽々子様、薬持って……って何してるんですか?」
「ああこれ?ちょっと能力を応用させてこいつの『死』を妨げてるの。こうすれば一部は死霊化するでしょうけど、魂の核は体に封じられたまま出られない、というわけ。」
「なるほど…」
「でも思ったより余裕がなさそうなのよ。もう魂が7割方出てきてるから早くしましょう?」
「わかりました。
……薬液を患部に直接かけて…10秒ほどで治ります?そんなことあるわけが………あら?」
「とんでもない薬ね。もう跡も無いじゃない。」
私が斬ったところは傷痕も残さずに完治していた。
一体どうやっているのかしら?私には関係ないけど少し気になります…そのうち薬押し付けてきた兎に聞いてみるとしましょう。
「あとはこの霊だけど……戻すのも面倒だからこのままこれに取り憑かせちゃいましょ」
「ゆ、幽々子様…そんなことして大丈夫なんですか?」
「大丈夫よ?魂が同じ器についてれば内も外も変わらないの。半分人外になるけど死ぬよりはましだから気にしなくていいのよ。」
「まあ…言われてみれば確かにそうですね。」
「じゃ、さっさとやるわよ。
………………はい、おしまい。空いてる部屋に寝かせておきましょう。」
「そうですね。」
客間に床を敷き、人(幽々子様曰く半分人外)を横にさせた。
改めて見てみると、何もできそうにないくらい細い人ですね……身長は私より少し高い程度かしら。
「妖夢〜?その子あと数時間はそのままだし夕食にしちゃいましょ?流石に疲れたわ〜」
「はい。ただいま」
……当分目覚める様子もないし、ひとまず放っておきますか。今夜は何かしら…………
「幽々子様〜?夕食の用意が」
「お疲れ様。今日は何かしら?」
「…そこでしたか。」
相変わらず食にこだわる方です…
そこが幽々子様の美点なのですけど。
「今日は鮭のみぞれ煮だそうです」
「へえ。期待できそうね」
「はい。………って幽々子様!?」
あっというまに行ってしまいました……
-夕食後-
「さて、そろそろかしらね。ちょっと様子見にいきましょうか」
「はい。…流石にもうしばらくかかるのでは?」
「んーどうかしらねー?」
もし幽々子様の言うとおりなら、尚のことあの薬の効果が気になります……
「さて、どうかしら……あら?お目覚めのようね」
「…?幽々子様?………あら。」
幽々子様の後から客間に入ると、そこには……
「……………?…??」
訳が分からないといった風情の少年がいたのです。
◆
…………
………………
………………………?
あれ…?
身体の感覚が……ある?
何故?
僕は死んだはずじゃあ………
「お目覚めのようね」
話しかけられた方向を向く。するとそこには、2人の少女とそのまわりを舞う幽霊の群れが見えた。
……………………
ええと……………
……うん。
やっぱり死んでるみたいだ。
そこの人達は冥土の渡し守と奪衣婆ってとこか。「婆」なんて呼ぶような外見してないけど……
「ねえ、貴方?」
「はい?」
「貴方がどうしてここにいるのかわかるかしら?」
「……死んだから…では?」
「…違うわね。貴方はまだ生きている」
「…えっ?じゃあ何故そこに幽霊が?」
「………それに答える前に、貴方の現状を話しておきましょうか。」
「現状?」
「そうよ。貴方、ここが何処かわかっていないでしょう?」
「それは……まあ」
ここが何処かわからないのも確かだし……
「ここは白玉楼よ。幽霊たちがいるのは、此処が冥界に存在するから」
「……冥界?」
「そうなのよ。で、貴方に聞きたいんだけれど、貴方どうやってここまで来たのかしら?」
「どうやって……迷ってたところに足跡見つけて辿ってきたらここに着いたnですけど。」
「そう………それは妙な話ね」
「どこがです?」
「…この冥界は、幻想郷と結界で隔離されているの。生きた人間が来れるようなじ場所じゃないのよ。」
「幻想…郷?」
「そう。幻想郷。人々から忘れ去られたものが辿り着く里。」
……だめだ。話がさっぱりわからない。
「貴方……もしかして幻想郷の外から?」
「幻想郷なんて場所に心当たりはないんでね」
「そう……となると、説明が少し面倒ね」
「面倒?」
「貴方の横に霊がいるでしょう?」
「ん?…ああこれか?」
全く気づかなかった。
「これが何かするのか?」
「それ貴方の魂なのよね」
「………………………………はい?」
「それ貴方の霊魂なのよ。」
「………………やっぱり死んでるんじゃ」
「それで全部じゃないのよ?2〜3割は残っているはずだから」
「………」
「……ああ言い忘れてたわ。さっきはごめんなさい」
「…………何が?」
「何って…この子が貴方を斬ったのよ」
そう言って後ろの娘を示した。
入ってきた時から硬くなってたのはそういう訳か。
「ところで貴方」
「はい?」
「これからどうするの?元の場所に行くのは難しいけど」
「…………」
見覚えのない場所に来た時から予感はしていたけど、戻るのは無理……か。
「なら、しばらく厄介になっても?他に行くあてもないし」
「いいわよ。」
「…よろしいのですか?」
「いいじゃない。原因作ってるんだし、ね?」
「まあ…幽々子様がそうおっしゃるなら…」
「…じゃあ、お世話になる……っと、そういや自己紹介もしてなかったか」
「そういえばそうね。私は西行寺 幽々子。こっちは魂魄 妖夢」
「僕は
「じゃあよろしく。冷泉」
「こちらこそ」
こうして、僕は人ならざる者として生きることになった。
という訳で第2話でした。
「おい作者さんよ」
おやこれは冷泉。何か?
「何かって……前回20日後って言ってたのはどうしたのさ」
ごめんなさい。先月は忙しくて…………ね?
「まったく……次回からはしっかりしてよ?」
頑張ります……
次回
……なるべく急ぎます。