これとはまた別の作品も連載させてもらっています。
タグにもありますが、遊戯王に関しては初心者ですので、拙い箇所などがあるとは思いますが、その際には指摘などをして頂けたら、とてもありがたいです。
それでは、第0話を始めていきます。
※この話はプロローグに当たるため、第0話としています。
「ここは……どこなんだろう……?」
目が覚めると、そこは全く知らない場所だった。周り一面が真っ白な空間で、他に見える物といえば少し先にポツンとある青色の扉だけだった。
「あそこに行ってみようかな、このまま立っていても何も始まらないだろうし」
そう思った俺は青い扉に近づき、その扉を開けた。扉の先は目が覚めた場所と同じく、真っ白な空間だったが、中心には何故か炬燵と木で出来た戸棚が置いてあった。
「えっと、何で炬燵と戸棚があるんだ?」
あまりにもミスマッチだったため、俺は首を傾げながら呟いた。
すると、
「うーん、そうだね……まぁ趣味みたいなものと考えて貰えたら嬉しいかな」
いきなりそんな声が聞こえてきたため、声の方に顔を向けると、そこには同い年くらいの少年が立っていた。
あ、もしかして……
俺はこの状況に思い当たる節があったため、彼に向かってあることを聞いてみた。
「もしかしなくても神様……とか?」
「うん、まあそうだよ。
……ただ、名乗る前に言われちゃうと、名乗った時の衝撃が薄れちゃう気がするんだけど……まぁいっか」
神様はそんな事を言いながら、俺に近づいてくる。
「とりあえず自己紹介だけはしておくね。僕は神様で、一応君のいた世界の関係者……いや、関係神って言うのが、正しいのかな……?」
神様はそんな神様っぽく無い口調で自己紹介をした。
神様って、もしかしてみんなこんな感じなのか?
俺が少し訝しげにしていると、
「そういうわけでも無いんだけどね、むしろ僕みたいなのが特殊といえば特殊だし」
神様はまるで俺の心を読んだかのように、俺の疑問について答えた。
「実際のところ読んだんだけどね。
……さて、雑談はここまでにして、そろそろ本題に入りますね」
神様がそう言うと、周りの雰囲気が張りつめたものへと変わった。さっきまで笑顔だった神様の顔付きも真剣なものへと変わっていた。
「本題っていうのは?」
「それは……貴方の死の原因が、私達であるということです」
その言葉を聞いた瞬間に、俺の脳裏にある映像が映し出される。俺に向かって走ってくる自動車、そして倒れている俺の周りに集まってくる知らない人達……
「そっか、やっぱり俺は死んでたんだ。薄々そうなんじゃないかとは思ってたけど……」
俺は自分が死んでいることを自覚し、少しだけ茫然とした。
わかっていたこととはいえ、いざその事実を直接的に突き付けられると、やっぱり堪えるな……
「すべては私達の失態によるものです、本当に申し訳ありませんでした……」
神様が深々と頭を下げてくる。その姿からは本当に申し訳無いと思っていることがひしひしと伝わってくる。
「神様、もう謝らなくても良いですよ」
そんな姿を見て、俺はふとそんな事を言っていた。でもそれは俺の本心でもあった。
「しかし……!」
「俺はもう気にはしてないですよ、確かに死んでしまったのはあなた方のせいかも知れない、でも貴方はそれを包み隠さずに話してくれた。それだけで十分です」
正直まだ少しショックではあるけど、でも死んだことをいつまでも恨めしく思うくらいなら、いっそのことすんなりと受け入れて、次にどうしたら良いかを考えた方が良い気がした。
「だから顔を上げてください、神様。俺は大丈夫ですから」
「……ありがとうございます、本来であればもっと責められても仕方がないのに……」
「これ以上この事を気にしていても、何も始まらない気がしましたから。
後、敬語じゃなくても良いですよ、神様。敬語だと何だか背筋がむずむずするというか、ちょっと違和感があるので」
そう言うと、神様は少し驚いた顔をしたが、すぐに笑顔になってこう言った。
「わかりま……じゃないね、わかったよ。それと僕にも敬語じゃなくても良いよ。僕も敬語は苦手でね」
「ん、了解」
そう言って俺達は笑いあった。まるで昔からの友達みたいに感じるほどに俺達は気が合い、様々な事を話し合った。
……それから数分後のことだった。
「そういえば自己紹介の途中だったね、僕の本当の名前はファルっていうんだ」
「ファルか、よろしくな。
俺の名前は……えっと、何だっけ……?」
何故か名前が出てこなかった。
名前なんて当たり前のこと過ぎて、出てこないわけ無いのに……
「……家族の名前とかは?」
「家族の名前は……ダメだ、全く出て来ない……」
「……もしかしたら死んだ時のショックで記憶の一部が消滅してしまったのかも……」
「そう、なのか……?」
……参ったな、いくら気にしないことにしたとはいえ、前世についての記憶の一部が無いとなるとなぁ……
「本当にごめん、こうなると僕にもどうしようも無いんだ……」
ファルが申し訳無さそうに謝ってくる。
「いや、良いよ。ちょっとだけショックだっただけだから気にしないでくれ。
……でもそうなると、名前が必要になるな……」
名前、名前なぁ……何にしたもんかな……
俺は名前決めの案についてファルに聞いてみることにした。
「ファル、何か良い案は無いかな?」
「え? えーと、そうだね……何か好きだったものから取るのはどうかな?」
「好きだったもの、か……」
そうなると、あれかな? あれっぽい名前にするなら……
少し考えた後、ある一つの名前が浮かんだ。
「よし、これにしよう」
「お疲れ様、それでどんな名前にしたの?」
「あぁ、本導勇騎にしたよ。本当の本に誘導の導、勇気の勇に騎士の騎で本導勇騎」
「本導勇騎……うん、良い名前だと思うよ」
「ありがとう、ファル」
「どういたしまして、勇騎」
何とか新しい名前も決まって、また俺達の間に和やかな雰囲気が流れる。そして俺達はまた話を始めた。
それから何時間か過ぎた時だった。
「っと、そうだ。そろそろもう一つの本題に入らないと」
ファルが思い出したように、そんなことを言い出した。
「もう一つの本題?」
いったい何だろう……?
不思議そうな俺にファルが説明してくれた。
「勇騎には転生をして貰おうと思ってるんだけど、ちょっと困ったことがあってね」
「困ったこと?」
「うん、実は転生先が一つだけしか選べなくなってるんだ」
「えっと、つまり……どういうことだ?」
「本来なら僕達、神様が転生先を選ぶんだけど、今回に関しては特例として勇騎に選んで貰おうとしてたんだ。でも何故だか他の世界に転生者を送れなくなっているんだよ。ある一つの世界を除いてね」
「その世界は?」
「『遊戯王』の世界だよ」
「遊戯王って、あの遊戯王だよな」
「そうだね、勇騎がいた世界でもプレイヤー人口が多いやつだね」
「原因の目星も付いてないのか?」
「考えられるのは次元の歪みかな。強力な次元の歪みが発生すると、別の世界への扉が閉ざされることがあるんだ」
「なるほど、たしかにその可能性は高いかもな」
「それで勇騎には遊戯王の世界に転生をして貰って、そこで原因を突き止めてほしいんだ」
「それは構わないけど、遊戯王は昔やってたくらいで、ルールとかはうろ覚えだし、カードなんて一枚も無いぞ?」
「そっか……
よし、それなら。ちょっとだけ待ってて」
そう言うとファルは姿を消した。
数分後、ファルが帰ってきた。そしてその後ろには、何人もの人達を引き連れていた。
「お待たせ、ちょっとだけ手間取ったけど、何とかなりそうだよ」
「おかえり……って、もしかしてその人達は」
「勇騎にとってはとっても馴染み深い人達を連れてきたよ」
「確かにそうだけど、本当に良いのかな?」
俺がファルにそう聞くと、
「うん、大丈夫だよ。それにこれは本人達の希望でもあるから」
「本人達の希望?」
俺がそう聞くと、一番馴染みのある白い色の鎧の騎士が進み出て来た。
「その通りです、新たな先導者よ。今は我々の世界には影響はありませんが、これからはどうなるかはわかりません。
ですので、我々にも貴方を手伝わせて頂きたいのです」
「それはとっても助かるけど、本当に皆それで構わない?」
俺がそう聞くと、集まっていた皆が頷く。
「そっか、わかった。
皆、これからよろしくな」
俺がそう言うと、皆はもう一回頷き、光に包まれた。そして光が消えると、そこにはいくつものデッキが浮いていた。デッキ達は炬燵の上まで飛んでいくと、そのまま炬燵に着地した。
「ファル、ありがとうな、最高の助っ人達を連れてきてくれて」
「どういたしまして、勇騎。
彼らは一応向こうの世界では、カードの精霊として勇騎のそばにいてもらうことになってるよ。後はルールだけど、これは転生後に何とかするしかないね」
「そうだな。記憶が正しければ、だいぶ複雑だったような気はするけど、やってく内に何とかなるとは思う」
「そうだね。
後、勇騎には転生特典を三つ選んで貰おうと思うんだけど、何が良い?」
転生特典か……まず精霊を視る能力は必須だよな、そうじゃないと助っ人達とコミュニケーションすら取れないし。あと二つは……よし、これとこれかな。一つはかなり危ないけど、悪用さえしなければ良いとは思うし、たぶん大丈夫だろう。
「えっと……まず『精霊を視る能力』と『
「うん、わかったよ。それじゃあこれらを使えるようにしておくね」
ファルはそう言うと、俺が最初に入ってきた扉の方へと歩いていき、扉の前で何かを唱え始めた。
それを見ながら俺は炬燵の上のデッキ達を取り、ファルの近くまで歩いていった。そして俺が近くで止まると同時に、ファルはクルッと俺の方へ振り返った。
「……よし、これでこの扉から転生が出来るようになったよ」
「……ということは、ここをくぐると俺の転生者としての生活が始まるわけか」
俺が少し緊張しながら聞くと、ファルは笑顔で答えた。
「その通り、後はこれも渡しておくね」
ファルが渡してきたのは、白い携帯電話だった。
「これは僕へと繋がる直通の電話だよ。一応僕も様子を見に来たりはするけど、何か急に困ったことがあったら、これを使ってね」
「わかった、ありがとうな。
……それじゃあ、そろそろ行ってくるな」
俺はそう言いながら、扉へと近づき、迷うこと無く扉に手を掛けた。
「色々とありがとう、ファル。
そして、行ってきます」
「うん。行ってらっしゃい、勇騎」
俺が扉を開けると、中から眩しいほどの光が広がった。俺はそのまま光の中へと進んで行った、そして目の前が光に包まれたと思った瞬間、俺の意識は光の中へと溶けていった。
どうも、片倉政実です。
第0話、いかがでしたでしょうか。もし楽しんで頂けたなら幸いです。
さて、前書きにも書きましたが、別の作品も連載させてもらっています。もしそちらも読んでいただけたら、とてもありがたいです。
両作品とも皆さんに楽しんで読んで頂けるように、力を尽くしていくつもりです。
それでは、また。