勇騎「どうも、本導勇騎です。今回も長いな、特にデュエルに入るまでが」
政実「船での会話から万丈目達とのやり取りまで全部やろうとしたからね」
勇騎「正直むちゃくちゃだと思うけどな。さて、今回はあのクランのデッキだな」
政実「うん、効果とか考えるのには苦労したよ……」
勇騎「まあその辺は後で話すとして、そろそろ始めていこうぜ」
政実「だね」
政実・勇騎「それでは、第3話をどうぞ」
第3話 デュエルアカデミア入学! 青の洗礼と暴龍の咆哮
「おおーー!! 勇騎、見てみろよ! 海だぜ、海!」
「分かったから、少し落ち着け。今そんなにスタミナ使うと、後からバテるぞ」
隣ではしゃいでいる十代に対して、俺は少し呆れ気味に言う。
全く……元気過ぎるのはやっぱり考えものだな。
まあ、でも……この潮の香りを感じながらっていうのは、悪くはないよな……
十代の様子に少しだけ苦笑いを浮かべながら、船が進む毎に感じる潮の香りを楽しんでいたその時、俺達の近くから声がした。
「あっ、君達はもしかして……」
その声に振り向くと、そこには眼鏡の少年がいた。
……というか、こいつは確か……丸藤翔だったよな。デュエルアカデミアのカイザー、丸藤亮の弟の。
俺がそんな事を考えていると、翔は顔をぱあっと輝かせながら俺達に近付いて来た。
「やっぱりそうだ! 試験デュエルでクロノス先生を倒してた、遊城十代君と本導勇騎君だ!」
翔は少し……いや、だいぶキラキラした目で俺達にそう言う。
「……ん? おう、そうだぜ!
それで、えっと……お前は……?」
翔の声に気づいた十代が、少し誇らしそうに言った後、翔に名前を聞くと、翔はニコッと笑いながらそれに答えた。
「僕は丸藤翔。君達と同じくデュエルアカデミアの新入生だよ」
「おお、そうなのか!
なあ、到着したらデュエルしようぜ!」
「十代、到着したらすぐに入学式があるから、デュエルやるならその後にしとけよ」
「入学式か……ちぇっ、それなら仕方無いか。
それじゃ、その後にデュエルしようぜ!」
「うん!
……あっ、そうだ。お願いがあるんだけど良いかな?」
「ん? 何だ?」
「十代君のことをアニキって呼ばせてもらっても良いかな?」
「ん? 何でだ?」
「僕、試験デュエルの時に十代君のデュエルを見て、とてもカッコいいと思ったんだ! だからお願い! アニキって呼ばせてもらえないかな?」
「おう、良いぜ!」
「ありがとう、アニキ!」
そう言った後、二人は笑いあった。
(はい、無事にアニキ呼びイベント回収っと)
俺はそんな事を考えながら二人の様子を見た後、船の行先に顔を向けた。
すると目的地のデュエルアカデミアがすぐそこに見えていた。
(そろそろか……)
「二人ともそろそろ着くみたいだから、降りる準備をしとけよ」
「「はーい」」
それから数分後に船は到着し、俺達はそのまま入学式の会場へと向かった。
「……それでは皆さんの生活が、とても実りある学園生活になることを祈っています。これで私の話を終わりとします」
そう言って鮫島校長は話を終えた。
“校長先生の話は長い”、学校のあるあるだな。
さてと、そろそろ起こすか……
「はぁ……十代。校長先生の話が終わったぞ。そろそろ起きろ」
「……ん、やっと終わったか」
「ああ、終わったよ。
……全く先生達に気付かれなかったのは幸運だったな」
十代の運の良さに少しだけ感心しつつ、俺達が話していると、クロノス先生が立ち入り禁止区域等について話を始めた。
一応聞こえていたけど、後で確認しとこ。たぶん校則とかに書いてるだろうし。
「これにて入学式を閉式します。新入生の皆さんは自分の所属する寮へと向かってください」
そして先生からの指示に従い、次々と他の入学生達が会場から出ていく。
「さて……十代、翔。俺達も行くか」
「そうっすね」
「だな!
よぉーし……! 寮に着いたら、早速デュエルだ!」
その前に荷物の整理があるだろうに、全くこいつは……
キラキラした顔をしている十代の横で、翔は苦笑している。
まあ、それが普通の反応だよな。
「そうと決まれば、さっさと行こうぜ!」
そう言うと十代は、走って会場から出ていく。
「まあ……いつも通りだな。それじゃ、俺らも行こうぜ、翔」
「うん!」
俺達も十代の後を追うように、会場を後にした。
「十代はどこかなっと……おっ、いたいた」
「あれ? 他に誰かいるっすよ?」
翔の言う通り、十代は誰かと話していた。俺達が十代達に近づいて行くと、
「おっ! やっと来たか、二人とも。遅かったな」
俺達に気づいた十代が、他の二人を連れて、逆にこっちへと近付いて来る。
「お前が走っていくからだろ、全く……」
「悪い悪い、次から気を付けるよ」
十代は笑いながらそう謝った。まあ、いつものことだから良いとするか。
俺がそんなことを考えていると、
「ん? 君は……本導勇騎君じゃないか?」
オールバックの方がそう聞いてきた。この時にいるってことは三沢だな。
「そうだけど、何で俺の名前を?」
「試験デュエルでクロノス先生を倒してたのは、君とこの十代だけだからね。
おっと、自己紹介がまだだったね。俺の名前は三沢大地、よろしくな」
「ああ、よろしく。三沢はどこの所属なんだ?」
ところでこのデュエルアカデミアには三つの階級があり、下から『オシリスレッド』、『ラーイエロー』、『オベリスクブルー』となっている。
因みに俺と十代と翔はオシリスレッドの所属だ。
「俺はラーイエローさ。
……といっても、君達のことを下に見る気は一切無い。同じ学生同士、切磋琢磨していこう」
「ああ、もちろん」
俺達はそう言いながら、握手を交わした。
原作だと空気とか言われてたみたいだけど、基本的には良いやつみたいだな。
俺がそんな事を考えていると、もう一人の方が話しかけてきた。
「次は俺だな。俺の名前は毛利雨竜、お前達と同じオシリスレッドだ」
「ああ、よろしく」
毛利雨竜か……苗字といい名前といい、何か古風な感じだな。
雨竜と握手を交わしながらそんな事を考えていると、雨竜が微笑みながら話し掛けてきた。
「その顔を見るに、恐らく古風な名前だと思っただろうな」
「え? ああ、まあな」
「俺の家は昔から続いている家でな。昔から俺の家では男子が産まれると、古風な名前を付ける慣わしがあるらしくてな。それで俺もこのような名前というわけだ」
「へぇ……なるほどな」
そういうことを聞いてから、雨竜を改めて見てみると、確かに和服とかが似合いそうな気がする。毛利という名字のイメージも手伝ってな。
「さて、話はここまでにしようか。勇騎達もまだ寮に行ってないだろ?」
三沢の声を聞き、俺は今何をすべきかを思い出した。
すっかり忘れてたな。三沢が言ってくれなかったら、まだ話し続けるところだった。
「君達のオシリスレッド寮はもう少し先だ。さてと、俺はもう行くよ」
「ああ、ありがとうな」
「別に良いさ、それじゃあ」
そう言って三沢はラーイエロー寮の方へと歩いていった。
「よし、俺達も行くか」
「だな!
あっ、そうだ。雨竜、寮に着いたらお前もデュエルしようぜ!」
「そうだな……俺もお前達の実力を直に見たいしな。良いだろう」
「よっしゃあ! 楽しみがまた増えたぜ!」
十代はとても嬉しそうな顔で喜びの声を上げる。
まあ、嬉しそうなのは良いとして、とりあえず寮に着かないとな。
「十代、楽しみなのは分かるけど、まずは寮に着かないとデュエルも何も出来ないからな」
「分かってるよ!
だから早く行こうぜ、俺もう待ちきれないぜ!」
「了解した。それじゃ、皆行こうか」
「「おー!」」
「承知した」
こうして俺達は再びオシリスレッド寮へ向けて歩き出した。
「これがオシリスレッド寮か……下調べ通りの見た目だな」
歩き出してから数分後、俺達はオシリスレッド寮の前に立っていた。
オシリスレッド寮は良い言い方をすれば、オーシャンビューだが、正確には崖の上に立っていると言うのが正しいかもしれない。
「……話には聞いていたが、これ程とはな」
「これが僕達の寮なんすね……」
「ここで俺達は生活するんだな!」
十代達から三者三様の感想が聞こえる。まあ、俺も下調べした時にはこんな感じかって思ったけどな。
「とりあえず各々の部屋に行こう。このまま立っててもしょうがないし」
「だな。
えっと……おっ、俺は勇騎と同じだな!」
「それで僕が……」
「俺と同じ、だな。よろしくな、翔」
「うん、こちらこそ!」
「よし、それじゃまずは荷物整理をして、それが終わったら寮の前に集合で」
「「了解!」」
「了解した」
声を揃えて皆が返事をした時、後ろから妙な声が聞こえた。
「おやおや、中々元気の良い新入生ですニャ~?」
そちらを見てみると、そこには大きな猫を抱いた眼鏡の男性が立っていた。
確かこの人は……オシリスレッド寮の寮長の大徳寺先生だったな。
「私の名前は大徳寺と言いますニャ。そしてこの子はファラオですニャ」
大徳寺先生は俺達の方へ歩いてきながら、自己紹介をしてくれた。
っと、俺達も自己紹介をしなくちゃな。
「俺は本導勇騎と言います。これからよろしくお願いします」
俺の自己紹介に続けて、十代達も自己紹介をする。
「うんうん、よろしくニャ。何かあったら私に言ってほしいニャ。出来る限りのことはしてあげられるかもしれないからニャ」
「ありがとうございます、大徳寺先生」
「別に構いませんニャ。さて、私は少し学校の方に行ってきますニャ。それではまた後でニャ~」
そう言って、大徳寺先生は校舎の方へと歩いていった。
(……何というか、変わった先生だな。
まあ、それはさておき、そろそろ荷物の整理をしないとな)
「さて、俺達も行動開始しよう。さっきも言ったけど、荷物の整理が終わったら、寮の前に集合な」
「「了解」!」っす」
こうして俺達は各々の部屋へと入っていった。
「中は思ったより広いな」
部屋の中を見てみると、壁際に机、その向かいに三段ベッドがあった。そして俺達の荷物は三段ベッドの下に置かれていた。
「まずはデッキを机に全部出しとくか。そしてこれはこっちで……」
「なあ、これはどうする?」
「そうだな……それはあっちにするか」
そんな風に荷物の整理を始めてから数十分後、ようやく整理が終了した。
(ふぅ……こんなもんかな)
「こんなもんで良いかな」
『お疲れ様です、
自分の机の椅子に座っていると、荷物の配置について知恵を貸してくれたカードの精霊、『ブラスター・ブレード』のアーメスが労ってくれた。
「うん、アーメスもお疲れさま 。さて、十代の方はどうだ?」
「俺も終わったぜ!」
「了解。
それじゃお待ちかねのデュエルタイムと行きますかね」
俺がゆっくりと椅子から立ち上がろうとした時だった。
「勇騎」
十代が微笑みながら俺に声をかけてきた。
「ん? どうした?」
「へへっ、これからもよろしくな」
「……ああ、こちらこそよろしくな。十代」
「おう!」
そして俺達は笑いあった後、デッキを持って外に向かった。
「翔達は……まだみたいだな」
「みたいだな」
翔達はどうやらまだ荷物の整理をしているらしく、外にはまだ出てきていなかった。
「まあ、とりあえず待つとするか」
「だな。
……ん?」
「どうした? デュエルの臭いでもしたか?」
「その通りだぜ、勇騎。方向は……あっちだ!」
そして十代が指差したのは校舎の方だった。
「本当にしてたのか、デュエルの臭い……」
十代の持つ特殊能力に俺は苦笑いを浮かべた。
何だか原作よりもデュエルの臭いに敏感な気がするけど、これも転生者の介入の影響なのか?
……そういえばこの後って確かあのイベントだな。
「なあなあ! 行ってみようぜ!」
「まずは少し落ち着け、十代。それにデュエルはどうするんだ?」
「あ、それもそうだな……
んーと……じゃあ、行ってみて戻ってきてからデュエルでどうだ?」
「行ってみて戻ってきてから、ねぇ」
確かに向こうにはデュエルフィールドがあるけどな……まあ、良いか。
「分かった、だけどまずは翔達が来てからな」
「ありがとうな、勇騎!」
「どういたしまして」
それからすぐに翔達が部屋から出てきたので、事情を説明して俺達は校舎の方へと歩き出した。
「うおーー!! でっかいデュエルフィールドだな!」
「確かにかなりの大きさだな」
校舎の探検をしていた俺達の目の前に現れたのは、とても大きなデュエルフィールドだった。
「ふむ、設備も最新のものみたいだな」
「これでデュエルしたら凄そうっすね……」
「良いな、それ!今からこれ使ってデュエルしようぜ!」
「十代、流石に勝手に使うのはダメだろ」
そう俺達が話していると、
「ここで何をしている! ここはオベリスクブルーの生徒のみが使うことを許された場所だ!」
「その通り、お前らオシリスレッドが来て良い場所じゃないぞ!」
そう言いながら、オベリスクブルーの制服を来た三人組が歩いてくる。
「使うことを許された、って誰がそんなことを?」
「はっ、そんなことはどうでも良いだろう! オシリスレッドはさっさと消えろ!」
オベリスクブルーの生徒の一人がそう言った時、真ん中にいた生徒が前に出てくる。
見た目的にたぶん万丈目だな。
「静かにしろ、お前達」
「でも、万丈目さん……!」
「聞こえなかったか? 静かにしろと言ったんだ」
「はい……」
万丈目の言葉でオベリスクブルーの生徒が黙り混む。そしてその様子を見て、十代がひそひそ声で話し掛けてきた。
「勇騎、こいつが誰か知ってるか?」
「万丈目準、万丈目グループの末っ子だよ」
「へぇ……強いのか?」
「確かな、俺も詳しくは覚えてないし」
「そっか。なら確かめた方が早いよな!」
そう言うと十代は、万丈目の目の前に立った。
「なあ、俺とデュエルしようぜ!」
「お前は……試験デュエルでクロノス先生を倒した遊城十代か。そしてその後ろのは同じくクロノス先生を倒した本導勇騎だな」
「ああ! だから……」
「断る。俺が何故オシリスレッドなぞの相手をしなければいけない」
思った通り、万丈目は十代からの申し出を断った。
ふむ、ならこうしてみるかな。
俺はニヤッと笑った後、馬鹿にするような調子で声を掛けた。
「……怖いのか?」
「……何だと?」
「そりゃあ怖いよなぁ……試験デュエルでクロノス先生を倒した相手だからなぁ。
まあ、そんなやつにどう言われようと俺達は何とも思わないけど?」
(さーて、どう来るかな?)
俺が万丈目達の反応を待っていると、万丈目の取り巻き達が予想通り噛みついてくる。
「お前失礼だぞ! この人は未来のデュエルキングと呼び声高い、万丈目さんだぞ!」
「お前らオシリスレッドとはわけが違うんだよ!」
「それなら尚更だろ。未来のデュエルキング様がデュエル申し込まれて、それを断るのはおかしい話だからな」
取り巻き達の言うことを利用して更に煽ると、万丈目の顔が赤くなっていく。
「貴様ぁ! オシリスレッドの分際で俺を愚弄するのか!」
「愚弄も何もそのままだろ。それにここはデュエル・アカデミアだ。実力を示したいなら、デュエルで示せよ」
「良いだろう……お前達二人に俺の強さを叩き込んでやる!」
万丈目が静かな怒りを込めながらデッキを取り出した時、近くから凛とした声が聞こえた。
「貴方達、ここで何をしているの?」
声の先には長い金髪のオベリスクブルーの女子生徒ー天上院明日香がいた。
「天上院君か。俺達は今このドロップアウト達に身の程を教えてやろうとしていたんだ」
「そんなことはどうでも良いし、そろそろ歓迎会が始まるわよ。早く戻ったらどうかしら?」
万丈目の様子に目もくれず、天上院は淡々とした様子で答えた。
「ちっ! 行くぞ、お前達」
万丈目は忌々しそうに俺達を見た後に、取り巻き達と共に去っていった。そして万丈目達が去った後、天上院は俺達に話し掛けてきた。
「貴方達、彼らの挑発に乗らない方が良いわよ。
……あいつら、ろくでもない連中だから」
「いや、どちらかと言えば俺の方が挑発……というか煽ってたけどな」
「そう。まあそれは良いとして……オシリスレッドの歓迎会もそろそろ始まるから、貴方達も戻った方が良いわよ」
「わざわざありがとな、えっと……」
「私の名前は天上院明日香。明日香で良いわ」
「そうか、俺は本導勇騎だ」
「俺は遊城十代だ! よろしくな」
「僕は丸藤翔っす」
「俺は毛利雨竜、よろしくな」
「ええ、よろしく。それじゃ、私も行くわね」
「おう、またな」
明日香が去っていった後に、俺達もオシリスレッド寮へと戻った。
ピピピ……ピピピ……
歓迎会が済み、俺と十代が部屋でゆっくりしていた時、俺と十代のPDAが鳴り出した。確認してみると案の定、万丈目からの呼び出しだった。
「今晩0時にアンティルールでデュエルか」
「だいぶ勇騎に色々と言われて、怒ってたもんな」
「思ったことを言っただけだよ。さて、行かないわけにもいかないし、さっさと行って終わらせてくるかな」
「それなら早く行こうぜ! デュエルが出来るんだったら、何でも良いぜ!」
十代は平常運転なり、だな。さて、今回はこいつらに活躍してもらおうかな。
そして俺は『
「お前らにも来てたんだな」
「ああ、どうやら俺達も目を付けられたらしいな」
部屋を出たところで、翔と雨竜と会ったため、俺達は一緒にデュエルフィールドへと向かった。デュエルフィールドに着くと、既に万丈目達が待っていた。
「よく来たな、ドロップアウト共。逃げずに来たことは誉めてやる」
「誉めてもらわなくても結構。やるならさっさとやろうぜ?」
俺が万丈目にそう言った時、取り巻きの一人が前に出てきた。
「万丈目さん、ここは俺にやらせて下さい。万丈目さんの手を煩わせる必要は無いことを証明して見せます」
「……分かった。だが、オシリスレッド相手に負けるんじゃないぞ」
万丈目はもう一人の取り巻きと共にデュエルフィールドの下へと下りた。
「十代、翔、雨竜。先にやらせてもらっても良いか?」
「俺は構わない」
「僕もっす」
「良いけど、俺の時間も残してくれよ~……」
「サンキュ。それじゃ行ってくるよ」
俺がデュエルフィールドに上がると、取り巻きの一人は既に準備万端のようだった。
「お前達オシリスレッドごときが、俺達とデュエル出来ることを感謝するんだな」
「感謝とかどうでも良いから、さっさとやろうぜ?」
「貴様……! その態度を改めさせてやる!」
取り巻きの一人が怒りに震えながら、デュエルディスクを構えた。俺もデッキをディスクにセットし、ディスクを構えた。
さて……頼んだぞ、皆。
「「デュエル!!」」
本導勇騎 LP 4000
VS
取巻太陽 LP 4000
先攻は……あいつか。というかあいつの名前、取巻だったのか……
「俺のターン、ドロー!
俺は手札から【ゴブリン突撃部隊】を召喚!」
【ゴブリン突撃部隊】
効果モンスター
地属性/戦士族/☆4/ATK 2300/DEF 0
このカードは攻撃した場合、バトルフェイズ終了後に守備表示になり、次の自分のエンドフェイズ終了時まで表示形式を変更できない。
「そして【ゴブリン突撃部隊】に装備魔法【デーモンの斧】を装備する!」
【デーモンの斧】
装備魔法
(1):装備モンスターの攻撃力は1000アップする。
(2):このカードがフィールドから墓地へ送られた時、
自分フィールドのモンスター1体をリリースして発動できる。
このカードをデッキの一番上に戻す。
【ゴブリン突撃部隊】
ATK 2300→3100
ゴブリン突撃部隊の全員が武器をデーモンの斧に持ち替え始める。
何というかピッタリだよな、この組み合わせ。
「先攻は攻撃出来ないから、俺は一枚カードを伏せて、ターンエンドだ。命拾いしたな、ドロップアウト」
取巻太陽 LP 4000
手札 ?
モンスターゾーン ・【ゴブリン突撃部隊】(表側攻撃表示)
魔法・罠ゾーン ・【デーモンの斧】 ・?
取巻がニヤニヤしながらそう言う。
伏せが気になるけど、【ゴブリン突撃部隊】くらいなら何とかなるな。
「俺のターン、ドロー」
手札
【帝国の竜兵士 コンロー】
【スタンピング・クラッシュ】
【帝国の魔竜導師 キンナラ】
【竜の帝国 ドラゴンエンパイア】
【帝国の補給部隊】
ドローカード
【帝国の双頭竜 バーサーク・ドラゴン】
あいつはまだ来ないか。ならまずは、
「俺は手札からフィールド魔法【竜の帝国 ドラゴンエンパイア】を発動する」
【
フィールド魔法(オリカ)
名前に【帝国】と付くモンスターは攻撃力と防御力を500ポイントアップする。
名前に【帝国】と付くモンスターが効果によって相手のカードを破壊した時、自分はデッキからカードを一枚引くことが出来る。
「試験デュエルの時と違うデッキだと!?」
「生憎俺の仲間は【
そして手札から【帝国の魔竜導師 キンナラ】を召喚!」
【
効果モンスター(オリカ)
闇属性/魔法使い族/☆4/ATK 1600/DEF 1400
このモンスターが召喚、反転召喚、特殊召喚に成功した時、手札を一枚墓地に送ることで、相手モンスターを一体破壊する。
「【帝国の魔竜導師 キンナラ】の効果発動。このモンスターが召喚、反転召喚、特殊召喚に成功した時、手札を一枚墓地に送ることで、相手モンスターを一体破壊する。俺は手札から【スタンピング・クラッシュ】を墓地に送り、【ゴブリン突撃部隊】を破壊する!」
キンナラが何事か呟くと、ゴブリン達が苦しみ始めた。そしてそのまま倒れていき、その姿は消えていった。
……何というか、見た目がものすごくエグいな、この効果。
「【帝国の魔竜導師 キンナラ】が自身の効果で相手のカードを破壊したことで、【竜の帝国 ドラゴンエンパイア】の効果を発動」
「何!?」
「名前に【帝国】と付くカードが相手のカードを破壊した時、俺はデッキからカードを一枚引くことが出来る」
「ドローソースを兼ねたフィールド魔法だと!? ふざけやがって!」
「ふざけてなんかねぇよ。そしてドロー!」
ドローカード
【仮面竜】
【仮面竜】……リクルーターか。引きとしては悪くないな。
「そして【竜の帝国 ドラゴンエンパイア】により、【帝国の魔竜導師 キンナラ】は攻撃力と守備力がアップする」
【帝国の魔竜導師 キンナラ】ATK 1600→2100 DEF 1400→1900
「行くぞ、【帝国の魔竜導師 キンナラ】でダイレクトアタック!」
「ぐあっ!」
取巻太陽 LP 4000→1900
「俺はこれでターンエンドだ」
本導勇騎 LP 4000
手札
・【帝国の竜兵士 コンロー】
・【帝国の補給部隊】
・【仮面竜】
モンスターゾーン 【帝国の魔竜導師 キンナラ】(表側攻撃表示)
魔法・罠ゾーン 無し
フィールドゾーン 【竜の帝国 ドラゴンエンパイア】
さて、こっからどう出るかな?
そんなことを考えていると、十代達の方から聞き覚えのある声が聞こえた。
「どうやら間に合ったみたいね」
声の方を見ると、明日香が十代達のそばに立っていた。
「デュエルを観に来たのか?」
「ええ。試験デュエルでクロノス先生を負かした貴方達の実力を見たくてね」
十代からの質問に答え、明日香は俺達の方へと再び顔を向ける。そしてそれと同時に俺も取巻の方へ向き直る。
まあ、ギャラリーが増えたところで、やることは変わらないけどな。
「俺のターン、ドロー!」
取巻が力強くドローする。
「俺は手札から通常魔法【戦士の生還】を発動!」
【戦士の生還】
通常魔法
自分の戦士族モンスターを一体を対象として発動出来る。
その戦士族を手札に加える。
「俺はこれにより【ゴブリン突撃部隊】を手札に加え、そのまま【ゴブリン突撃部隊】を召喚する!」
再びフィールド上に【ゴブリン突撃部隊】が現れる。これだけならまだ良いんだけど、そうはいかないだろうな。
「そして手札から 装備魔法【融合武器ムラサメブレード】を発動! 」
【融合武器ムラサメブレード】
装備魔法
戦士族モンスターにのみ装備可能。
装備モンスターの攻撃力は800ポイントアップする。
モンスターに装備されているこのカードは、カードの効果では破壊されない。
【ゴブリン突撃部隊】ATK 2300→3100
攻撃力3100か。流石にこれはマズイな。
「そしてリバースカードオープン! 【最終突撃命令】!」
【最終突撃命令】
永続罠
このカードがフィールド上に存在する限り、フィールド上に存在する表側表示モンスターは全て攻撃表示となり、表示形式は変更できない。
【最終突撃命令】……! 【ゴブリン突撃部隊】のデメリットを無くしてくれるカードか。
「くらえ、ドロップアウト!
【ゴブリン突撃部隊】で【帝国の魔竜導師 キンナラ】に攻撃!」
「ちっ……!」
本導勇騎 LP 4000→3000
一気に削られたな……俺のターンでどうにかしないと……
そう俺が思った時だった。
「どうだ! お前の雑魚がいとも簡単に破壊されたぞ!」
……雑魚? コイツ、今そう言ったのか……?
「サレンダーするなら今のうちだぞ、ドロップアウト!」
サレンダー……? 俺が……?
そう思った瞬間、俺の脳裏に青い光の球体のイメージが浮かぶ。そしてその瞬間、俺の頭がクリアーになると同時に取巻に対しての強い怒りを感じた。
「……俺の仲間達を雑魚呼ばわりした挙げ句、サレンダー……だと?
図に乗るなよ、
「な!?」
「ははっ……ならお前に見せてやるよ……
お前が雑魚と言った俺の仲間達の力を!」
そうだ。サレンダーなんてあり得るわけがない。
俺が今望むのは、アイツへの完膚無きまでの勝利のみだからな……!
「……それで? まだターンを続けるか?」
「ドロップアウト風情がナメやがって……!
俺は手札からカードを一枚伏せて、ターンエンドだ」
取巻太陽 LP 1900
手札 ?
モンスターゾーン 【ゴブリン突撃部隊】(表側攻撃表示)
魔法・罠ゾーン 【融合武器ムラサメブレード】 【最終突撃命令】 ?
「俺のターン、ドロー」
ドローカード
【帝国の増援部隊】
【帝国の増援部隊】か……中々良いタイミングで来てくれたな。
「俺は手札から通常魔法【帝国の増援部隊】を発動」
【
通常魔法(オリカ)
デッキから攻撃力1500以下の名前に【帝国】と付くモンスターを一体選択し、特殊召喚する。
その後、デッキをシャッフルする。
「このカードにより俺はデッキから攻撃力1500以下の名前に【帝国】と付くモンスターを一体特殊召喚出来る。俺は【帝国の竜兵士 コンロー】を特殊召喚する」
効果モンスター(オリカ)
炎属性/ドラゴン族/☆4/ATK 1500/DEF 1200
このモンスターを生け贄素材としてモンスターを召喚した時、このモンスターを自分フィールド上に特殊召喚する。
「更に【竜の帝国 ドラゴンエンパイア】によりコンローの攻撃力と守備力がアップする」
【帝国の竜兵士 コンロー】ATK1500→2000 DEF1200→1700
「それがどうした! たったの攻撃力2000で【ゴブリン突撃部隊】を倒せると思ったのか!」
「……そして【帝国の竜兵士 コンロー】を生け贄に捧げて、手札から【帝国の双頭竜 バーサーク・ドラゴン】を召喚」
【
効果モンスター(オリカ)
炎属性/ドラゴン族/☆6/ATK 2400/DEF 2000
このモンスターが召喚、反転召喚、特殊召喚に成功した時、手札を一枚墓地に送ることで、相手フィールド上のカードを一枚破壊する。
「【帝国の双頭竜 バーサーク・ドラゴン】も【竜の帝国 ドラゴンエンパイア】の効果で攻撃力と守備力がアップする」
【帝国の双頭竜 バーサーク・ドラゴン】ATK 2400→2900 DEF 2000→2500
「生け贄素材となった【帝国の竜兵士 コンロー】の効果で【帝国の竜兵士 コンロー】は墓地へと行かず、俺のフィールド上に特殊召喚される。そして【帝国の双頭竜 バーサーク・ドラゴン】の効果、手札から【帝国の竜兵士 コンロー】を墓地に送り、【ゴブリン突撃部隊】を破壊する」
【帝国の双頭竜 バーサーク・ドラゴン】が【ゴブリン突撃部隊】に対して炎を発射する。
そしてその炎を受けたゴブリン達は次々と姿を消していった。
「【帝国の双頭竜 バーサーク・ドラゴン】が効果で相手のカードを破壊したことで、【竜の帝国 ドラゴンエンパイア】の効果を発動」
ドローカード
【帝国の暴竜 ドラゴニック・オーバーロード】
ようやく来てくれたか、ロード。
「そして手札から【帝国の補給部隊】を発動」
【帝国の補給部隊】
通常魔法
自分の手札が5枚以下の場合、枚数が5枚になるようにデッキからカードを引く。
「これにより俺は手札が5枚になるようにデッキからカードを引くことが出来る」
ドローカード
【帝国の竜騎士 バリィ】
【ドライブチェック!】
【超再生能力】
あのカードは来てない、か。
まあ良い、今回はロードだけでも事足りるからな。
「【帝国の双頭竜 バーサーク・ドラゴン】でダイレクトアタック!」
「させるかよ! リバースカードオープン!【和睦の使者】!」
【和睦の使者】
通常罠
このターン、相手モンスターから受ける
全ての戦闘ダメージは0になり、
自分のモンスターは戦闘では破壊されない。
「このカードの効果で俺はこのターン、戦闘ダメージを受けない! 残念だったな、ドロップアウト!」
……へぇ、それくらいなら想定の範囲内だな。まだ焦るとこでも無い。
「俺はカードを一枚伏せて、ターンエンドだ」
本導勇騎 LP 4000
手札
・【仮面竜】
・【帝国の竜騎士 バリィ】
・【超再生能力】
モンスターゾーン 【帝国の双頭竜 バーサーク・ドラゴン】 【帝国の竜兵士 コンロー】
魔法・罠ゾーン 【ドライブチェック!】(リバース)
フィールドゾーン 【竜の帝国 ドラゴンエンパイア】
「俺のターン、ドロー!
俺は手札から通常魔法【二重召喚】を発動する!」
【二重召喚】
通常魔法
このターン自分は通常召喚を二回まで行うことが出来る。
【二重召喚】……来るならアイツだな。
「【二重召喚】で俺はこのターン二回まで召喚が出来る。俺は手札から【神獣王 バルバロス】を妥協召喚!」
【神獣王 バルバロス】
効果モンスター
地属性/獣戦士族/☆8/ATK 3000/DEF 1200
(1):このカードは生け贄なしで通常召喚できる。
(2):このカードの(1)の方法で通常召喚したこのカードの元々の攻撃力は1900になる。
(3):このカードはモンスター3体を生け贄に捧げ召喚する事もできる。
(4):このカードがこのカードの(3)の方法で召喚に成功した場合に発動する。
相手フィールドのカードを全て破壊する。
やっぱりか、そして次は……
「【神獣王 バルバロス】は生け贄無しで召喚した時、攻撃力が1900になる。だがこいつに繋げるためだから、問題はない!
【神獣王 バルバロス】を生け贄に捧げ、【偉大魔獣 ガーゼット】を召喚!」
【
効果モンスター
闇属性/悪魔族/☆6/ATK 0/DEF 0
このカードの攻撃力は、生け贄召喚時に生け贄に捧げたモンスター1体の元々の攻撃力を倍にした数値になる。
「【偉大魔獣 ガーゼット】の効果、このモンスターの攻撃力は生け贄に捧げたモンスターの元々の攻撃力の倍になる。生け贄に捧げたのは【神獣王 バルバロス】、よって攻撃力は6000になる!」
【偉大魔獣 ガーゼット】ATK 0→6000
「……」
「これがオベリスクブルーの力だ!
【偉大魔獣 ガーゼット】で【帝国の竜兵士 コンロー】を攻撃!
これでゲームセットだ、ドロップアウト!」
【偉大魔獣 ガーゼット】が拳を振り上げ、【帝国の竜兵士 コンロー】へと降り下ろす。
だが、それは赤い機械竜に乗った竜騎士によって阻まれる。
「何だと!?」
「……手札から【帝国の竜騎士 バリィ】の効果を発動。このカードを墓地に送ることで、その攻撃を無効にする」
【
効果モンスター(オリカ)
炎属性/戦士族/☆4/ATK 1000/DEF 2000
相手モンスターの攻撃宣言時に発動することが出来る。
このカードを墓地に送ることで、その攻撃を無効にする。
「ちっ! だが、【偉大魔獣 ガーゼット】を越えることなんて不可能だ! 俺はこれでターンエンドだ」
取巻太陽 LP 1900
手札 無し
モンスターゾーン 【偉大魔獣 ガーゼット】(表側攻撃表示)
魔法・罠ゾーン 無し
「俺のターン、ドロー」
ドローカード
【帝国からの援護砲撃】
ははっ、このターンで全てのピースは揃った。
後は……栄光のエンディングを迎えるだけだ。
「ファイナルターンだ、取巻」
「……は? 状況が絶望的過ぎて、おかしくなったのか?」
おかしくなった……? いや、むしろ今はとても愉快で仕方ない……!
さあ……その力を以て、共に奴を下そう、ロード!
「イメージしろ……戦場を駆け、数多の敵を滅ぼした雄々しき竜の姿を!
俺は【帝国の双頭竜 バーサーク・ドラゴン】と【帝国の竜兵士 コンロー】を生け贄に捧げ、こいつを召喚する。この世の全ての物を焼き尽くす黙示録の炎、【帝国の暴竜 ドラゴニック・オーバーロード】!」
【
効果モンスター(オリカ)
☆8/炎属性/ドラゴン族/ATK 3500/DEF 2800
この効果は一ターンに一度しか使うことが出来ない。
このモンスターが攻撃に成功した時、手札を一枚墓地に送ることで、もう一度攻撃を行う事が出来る。
その言葉と共に、俺のフィールド上に大君主の称号、『オーバーロード』を冠する赤き竜が降り立つ。
『ようやく私の出番か。
「ああ。お前の力を貸してくれるか、ロード」
『良いだろう。我々の部下を雑魚と呼んだ愚者を共に滅ぼすとしよう!』
ロードはそう言うと相手を見据え、相手へ向けて唸り声をあげた。
「何かと思えばただの攻撃力3500じゃないか! そんなもの【偉大魔獣 ガーゼット】の足元にも及ばない!」
取巻は強がっているが、その声は震えており、恐怖の感情を隠しきれていない。
さて……次だ。
「【帝国の暴竜 ドラゴニック・オーバーロード】も【竜の帝国 ドラゴンエンパイア】の効果で攻撃力と守備力がアップする」
【帝国の暴竜 ドラゴニック・オーバーロード】ATK 3500→4000 DEF 2800→3300
「そして俺は手札から通常魔法【帝国からの援護砲撃】を発動」
【帝国からの援護砲撃】(ていこくからのえんごほうげき)
通常魔法(オリカ)
相手モンスターを一体選択する。ターン終了時まで選択されたモンスターの効果は無効になる
「【帝国からの援護砲撃】の効果、俺は相手モンスターを一体選択する。ターン終了時までそのモンスターの効果は無効になる」
「そ、そんな……」
【偉大魔獣 ガーゼット】ATK 6000→0
さあ、
「さぁ……イメージしろ。永遠の焔に焼き尽くされし、己の魔獣の姿を!
【帝国の暴竜 ドラゴニック・オーバーロード】で【偉大魔獣 ガーゼット】を攻撃」
【帝国の暴竜 ドラゴニック・オーバーロード】から放たれた炎は【偉大魔獣 ガーゼット】の体を瞬時に包み込み、そのまま焼き付くしていく。そしてその姿が焼き付くされたと同時に【偉大魔獣 ガーゼット】の体は崩れ落ち、破壊された。
「う……うわぁーー!!」
取巻太陽 LP 1900→0
デュエルディスクからブザーが鳴り、俺達のデュエルは終了した。
それと同時に俺の体の力が抜け、さっきまでの怒りや憎しみが綺麗に消え去った。
……ふぅ、やっぱり怒りに任せて使うのは良くないな。
『大事無いか、
「ああ、何とかな……」
『なら良い。だが、今のお前には、お前の身を案じる者もいる。
それを
「分かってるよ……今回みたいな使い方は今後は控える気だからさ」
『そうか。ならば私が言うことは何も無い。
ではな、勇騎よ』
静かに言うと、ロードは姿を消した。
「さて、アイツの様子は……」
俺が取巻の様子を見てみると、取巻は未だに信じられないといった顔つきだった。
「あり得ない……俺がオシリスレッドに負けるなんて……」
取巻はそう言いながらフィールドを降りていった。それを見届けてから、俺もフィールドを降りた。その瞬間、十代達が駆け寄ってくる。
「何とか勝ってきたよ……」
「お疲れ様、って大丈夫? 何だかフラフラしてるけど……」
「大丈夫だよ、ちょっと眠いだけだ」
心配してくる明日香に俺はそう答えた。
「それなら良いけど……そういえば貴方、デュエルの途中で何だか雰囲気が変わらなかった?」
「あ、それ僕も思ったっす」
明日香と翔が聞きたそうにしているが、本当のことは言えない。だから、
「あー……たぶん気のせいだろ。
アイツにあんなこと言われて少し気が立ってたからそう見えたんじゃないかな?」
俺は転生特典の一つ、『
少し心苦しいけど、こうする他無いしな。
「さて、次は十代の番だな」
「だな。それじゃ気合いを入れていくか!」
十代は楽しそうに言うと、フィールドへ上がっていった。それと同時に万丈目もフィールドに上がり、デュエルを始めようとしたその時だった。
「……! ガードマンが来たわよっ!」
明日香が急にそう叫ぶ。それを聞き、万丈目は忌々しそうな顔になりながら、俺と十代を見てこう言った。
「ちっ! 勝負はお預けだ! だが、貴様らとは絶対に決着を付けてやるからな!」
そう言った後、万丈目と取り巻き達はフィールドを去っていった。そしてその後、俺達もすぐにその場を立ち去った。
「どうだった? オベリスクブルーの洗礼を受けた感想は」
校舎から出た俺達はお互いの寮へと向かいながら、話をしていた。
「ガーゼットが出た時はヒヤッとしたけど、それ以外はあまり大したこと無かったかな」
「ふふ、貴方はそのガーゼットすら平然と乗り越えていったけどね」
平然ととはまた違う気がするけど、ここは黙っておこう。
「十代は残念だったわね、もう少しでデュエル出来そうだったのに」
「ああ、折角デュエル出来ると思ったのにな……」
「それじゃその分、寮に帰ったら付き合ってやるよ」
「おっ、本当か!?」
「ああ、先にやらせてもらったからな」
「ありがとな、勇騎!」
「良かったっすね、アニキ」
「ああ! 寮に帰るのが待ち遠しいぜ!」
その後、俺達はオベリスクブルー寮の近くまで明日香を送ってから、オシリスレッド寮まで戻ってきた。
寮に帰った後、約束通り俺は十代とデュエルをしていた。
「何とか終わったな」
「そうだな。あー、万丈目ともデュエルしたかったぜ」
「勝負は御預けって言ってたし、何かの折りにやることくらいあるだろ」
「かもな。
……なあ、勇騎」
「何だ?」
「お前、デュエル中に“アレ”使ってなかったか?」
「……やっぱり気づいてたか」
「そりゃな。何年も一緒にいれば気づくよ」
「俺も使う気は無かったけどな。それに不完全な形で発動してたから、正確には使えてなかったかな」
俺は今日のデュエルを思い返しながら、十代にそう言う。
あのまま怒りに任せて使ってたら、取り返しのつかないことになってたかもな。
「まあそれについては勇騎が一番分かってるとは思うから、これ以上は言わないぜ。
よし、もう一回やろうぜ、勇騎!」
「もう一回って……はあ、これは明日は寝不足かな……」
俺はため息をつきながらも、デュエルの準備を始めた。
こうして俺と十代のデュエル漬けの夜は更けていった。
政実「第3話、いかがだったでしょうか」
勇騎「今回もオリカ無双みたいになってるな」
政実「一応既存カードとも組み合わせようとしたんだけど、書いてる内にどんどんオリカだけで進んじゃって……」
勇騎「まあ良いや。そして今回はヴァンガードでいうところの『かげろう』のデッキだったな」
政実「最初は陽炎とか炎竜みたいな名前にしようとしてたけど、最終的にしっくり来たのが帝国だったんだよね」
勇騎「なるほどな。そして次回はいつ出来そうなんだ?」
政実「正直まだ未定……」
勇騎「そんなんで大丈夫か心配になるけど、まあ良いことにして、そろそろ締めるか」
政実「了解」
政実・勇騎「それでは、また次回」