ここは東京某所にある純和風の屋敷、その離れにある板張りの道場その中で二人の男が正座で向き合って座っている。
そのうち一人は少年期を抜け出たばかりの青年といった風貌、細見ながらもしっかりとした筋肉で、鍛えているのがよくわかる。だが、なぜか半裸だ。
その男がもう一人の男に話しかける。
「して、師匠、話とはいったいなんでござろうか?」
おおよそ平成の世にはふさわしくない古風な話し方で青年が問う。
もう一人の男、中年と呼ぶのがふさわしい筋骨隆々のこの男もまた半裸だ。そしてこれまた古風な言い回しで話し始める。
「ふむ…話というのはほかでもない、ハヤト、おぬしにはこの家を出てもらおうと思うでござる…。」
「なんとぉっ!拙者ついに破門!?バング殿ぉー拙者もういらない子でござるか!?」
ハヤトと呼ばれた青年はおもわず片膝立ちになって叫ぶ、その声の大きさに道場の庭にある立派な木にとまって休んでいた小鳥がほとんど飛んで行ってしまった。
「喝ッーーーーーーーーーーー。」
「はいーーーーーーっ。」
今度はバングと呼ばれた男が叫ぶ、そのあまりの声量に未だに木にとまっていた図太い小鳥も飛んで行き、ハヤトも反射的に居住まいを正した。
「落ち着いて聞けぇいハヤトぉ!なにも破門とは言ってござらん!おぬしには少し外の世界を見てきてもらおうとおもったのだ、ようは武者修行にいけということでござる!」
「し、しかし、師匠!拙者はまだ高校一年目を終えたばかりでござる。学業を疎かにしてはならぬと言っておられたのは、他ならぬ師匠ではござらんか!?」
少し老け顔ではあるがハヤトは間違いなく、ついこの間終業式を迎え春休み中の現役高校生15才である。この歳で学校をやめ武者修行というのは社会的にも、遊びたい盛りの精神的にもいろいろ厳しい。
「安心するがいいハヤトよ、武者修行といっても旅にでろとは一言も言っておらんでござろう。ただ他の土地で一人暮らしをして学校にも行き世間のことを学びながら、武にも学業にも励めばいいのでござる。おぬしには山やジャングルや戦場で生き延びるすべは教えても、社会で生き延びるすべは教えておらんからなぁ…。」
最後の方はしみじみといった感じでバングは言う。
それに対してハヤトが不安そうにバングに問いかける。
「しかし・・・、あまりにも突然なので、転入試験などの準備はしていないのでござるが・・・。」
ふむ・・・、とバングは腕を組み少し考えるしぐさをすると
「いい機会でござるからおぬしに社会で生き抜くためになにが一番大切かを教えておくでござる。」
突然話が変わったのでハヤトの頭の中は ? でいっぱいになった。
「バング殿一体なにを・・。」
ハヤトの言葉を遮りバングは言う。
「社会でこの先生きのこるのに大事なものそれは・・・。」
バングがここで言葉をタメるので思わずハヤトも息をのむ。
「人と人とのつながり・・それすなわち・・・
コ ネ で ご ざ る !」
ババーン!と擬音がつきそうなほど大きな声で、人を導く者とは思えないことをぬかす男がここにいた。
「なんとぉ!し、しかしそれはちょっと卑怯ではござらんか!?」
弟子も弟子で、ガーン!といった感じのオーバーリアクションで返す。なんとも似た者同士の師弟であるがこの二人親子でもなければ血縁関係もない。弟子が師匠をリスペクトし過ぎた結果、似た口調と感性を持ってしまったのだ。
しかし実際のところ、コネということは学校の関係者である権力者にたのんで正規の手順でない入学方法・・・、裏口入学ということになる。それは確かに卑怯と呼べる手段だ。
「なにを言うかハヤト!生き残るためにはなんでも使えと教えたでござろう!それは戦場でも社会でも同じ・・・否!社会とは戦場なのでござるぅぅー!」
「なるほどぉう・・・。」
無茶苦茶で支離滅裂な論理でハヤトは論破されかけている。確かにこの頭のできでは正規に転入試験をパスするのは難しいかもしれなかった。
「それにコネとは人とのつながりの力と言ったでござろう!つながりの力、つまりそれは絆の力!キズナパワーでござる!」
「うおおおおおおぉぉ拙者が、拙者が間違っていたでござるぅぅぅ!」
すごい勢いで丸め込まれて涙まで流している男がここにいた。
「この獅子神隼人、裏口上等!バング殿のキズナパワーありがたく使わせてもらうでござる!」
感極まりすぎてとんでもないことを口走っていた。まあしかし絆とか友情とか仁義といったたぐいの言葉にこの男はめっぽう弱いのだ。
もっとも、それは師匠にもいえるのだが・・・。
「わかってくれたかハヤト!」
ハヤト以上に涙を流して喜んでいる男がいた、というかバングだった。
「バング殿!」
「ハヤト!」
ひっしと涙を流しながら抱き合うハヤトとバング。筋肉質で半裸の男が二人抱き合っているのは暑苦しいことこの上なかった。もしこの場に第三者がいたならその人物の体感温度は、実気温とくらべ五度は上がっているだろう。
この後も抱き合いながら叫んでいた二人だが暑苦しいので描写は省くことにする。
ひとしきり泣いた後二人は居住まいを正した。そうしたところでハヤトが重要なことに気付く。
「・・・そういえば師匠、拙者すっかり聞きそびれていたのでござるが。」
「む?なんでござるか。」
「拙者どこに行けばよいのかまだ聞いていなかったでござる。」
最重要項目とでも言うべきことを話さずなにをしていたのか、といえば抱き合い叫び合っていたのだが、やはり暑苦しいので省く。想像したい方は松岡修造と照英が一緒にいるところを想像してほしい。
「おお、そうでござった。」
バングの方も忘れていた、といった風な反応をする。
「おぬしを行かせるのはこの国の武の総本山ともいうべきところと言えば、わかるでござろう。」
「なんと・・・、それは・・・。」
ハヤトも知っていた。そこは武道の権威とでも呼ぶべき寺院があり、その総代が理事長を務める学園があり、なにより武神と呼ばれる女性がいるところだ・・・。
「そう、ハヤトおぬしには川神に行ってもらうでござる。」
思いつきで書いたのでまだ続きできてないです。
あと他のブレイブルーキャラは出す予定ないです。