やはり俺が魏で働くのはまちがっている。   作:いけし

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こうして彼の仕事は始まっていく。

 

 

 曹操が部屋を後にしてからずっと猫耳は表情をころころ変えながら何やらつぶやいている。俺としては早いとこ草案書類をまとめて、街なり警備部隊なりを見てまわりたいのだが……

 

 

「おい、ちょっといいか」

 

「……なによ、気安く話しかけないで。いま、あんたをどうやって追い出すか考えるので忙しいの」

 

「まだ入ってもいないのに追い出されちゃうのかよ」

 

「話しかけないでって言っているでしょっ! 感染るからっ!」

 

「何がだよ」

 

 もしかして比企谷菌のこと言ってるの?

 

「何もへったくれもあるもんですか!感染るっていったら感染るに決まっているでしょう!」

 

「だから何がだよ」

 

「私の口からとても言えないなにかよ!」

 

「……まあ、いいけどよ。そんなことより草案の詳しい内容を教えてくれ」

 

「いやよ。あんたなんかに手を貸すもんですか。せいぜい、ごみ虫のように地の底を這いずり回って足掻きなさい」

 

「べつに今晩見積もりを報告する時に、猫耳が協力を拒んだためできませんでしたと言うことなるだけだし、俺は構わんがな」

 

「ちょっとあんたっ!そんなこと言ったら、ただじゃおかないわよ」

 

「なら、協力してくれるな?」

 

「……くっ。覚えておきなさいよ」

 

「へいへい」

 

 

 

 

 

 1日かけて色々見てまわった結果、この街の治安はお世辞にも良いとは言えなかった。表通りから逸れると仕事のない浮浪者が目立ち、人通りの多い場所でもトラブルが頻繁に発生していた。このレベルだと治安の維持だけじゃなく、改善もしなければならないだろう。ただ計画書を見る限りそんな資金的余裕はない。

 

 

「これら諸々の改善案を練るのに警備部隊で働かせてくれないか。実際に働いてみないと見えんものもあるしな。期間は半月程でどうだろう」

 

「秋蘭、あなたはどう思う?」

 

「悪い案ではないかと思います」

 

「ではその案を認めましょう。ただし期間は10日よ。警備部隊には私から連絡しておくわ。桂花には空いた時間で良いから引き続きこの男の読み書きの補助を命ずるわ」

 

「そ、そんなっ!」

 

「桂花がついている間にできるだけ読み書きができるようになりなさい。私の部下に読み書きのできない文官などいらないわ」

 

「わかった」

 

 

 この日から俺は警備部隊の一員となった

 

 

 

 

 

 警備部隊で働き始めて3日が過ぎた。元の世界じゃバイトなんてしたことのない身、仕事に慣れたとは言えんが、警備隊がどんな仕事をしているのか、どんな問題があるのかは見えてきたと思う。

 

 

「なんだとっ!華琳様にはこの服は可愛すぎるだと?貴様は華琳様が可愛くないと言いたいのか!」

 

 

騒ぎに駆けつけると黒髪の背の高い女が剣を抜こうとしていた。会話から察するに曹操の部下だろうか。

 

 

「おいやめろ。いったん落ちつけ」

 

「なんだお前は。華琳様を愚弄する者を庇うつもりかっ!」

 

「ちげーよ。俺は警備隊だ。ここで暴れている奴がいると通報を受けて来たんだ」

 

「私が獣の様に暴れ回っているだとっ!」

 

「そこまでは言ってねえだろっ」

 

「えーい、細かいことはどうでもいい。剣の錆にしてやる」

 

「っ!少しは話を聞け」

 

「黙れ、黙れっ、聞く耳もたん!」

 

「待て姉者、少し落ち着くんだ」

 

「春蘭っ!なぜ止める」

 

「姉者」

 

「わ、わかった」

 

 

 ……あ、危ねえ。夏侯淵が止めてくれなかったら本当に刀の錆にされるところだった。

 

 

「助かったわ。夏侯淵」

 

 

 夏侯淵とは、草案の見積もりを曹操に報告に行った際に会って以来、数回程俺の考えた警備部隊の問題点や改善案が大きく外したものになっていないか相談に乗ってもらっている。これが俺を試す試験だということを加味して上手く、手助けにならない程度にアドバイスをくれるので正直、助かっている。猫耳のやつ、読み書き以外全く話を聞いてくれないしな。夏侯淵まじでいい上司。

 

「なに、察するに元はと言えば姉者が悪いのだろう?なら礼など無用だ」

 

「秋蘭は、そいつと知りあいなのか?」

 

「ああ、比企谷は例の新しい文官候補だ」

 

「こいつが最近、華琳様の周りを這いずり回っているという奴か」

 

 

 姉者と呼ばれた女は、ぐるぅぅと犬の様に威嚇してきている。

 

 

「すまない比企谷。姉者は今、腹が減っていて虫の居が所悪いんだ。多めに見てやってくれ」

 

 

 なんだその理由。本当に獣レベルじゃねえか

 

 

「はあ……えっと、比企谷八幡です」

 

「お前に名乗る名などない!」

 

「姉者」

 

「うくっ……夏候惇だ」

 

「うむ。ところで姉者、なんでそんなに揉めていたんだ?」

 

「この店員が華琳様が可愛くないと言ったんだ!」

 

「……たぶん、曹操様にはもっと大人っぽい服の方が似合うと言いたいんじゃないか?たぶん……知らんけど」

 

 

 店員はぶんぶんと顔を縦に振っている。相当怖かったんだろうな。

 

 

「なんだ、そうならそうと最初から言え!」

 

 

 たぶんあなたが話を聞かなかったんじゃないですかね……

 

 

「比企谷八幡、お前も華琳様の良さがわかっているではないか!今、華琳様に似合う服を探しておるのだ!お前も付き合え、男の立場からの意見を言ってくれ」

 

「いや、俺いま仕事中」

 

「では行くぞ!ほらほら何をしておる。さっさとついてこんか!」

 

「いや、ちょ、話を……夏侯淵ったすけ」

 

 

 ちょっと夏侯淵さん!なんだか嬉しそうに苦笑してないでこの猪娘を止めてくれ!

 

 

 この後、警備部隊の先輩方に怒られたのは言うまでもない。

 

 

 





 自分、この作品が初めてなんですけど、たくさんの方(当社比)に読んでもらえて嬉しい限りです!本当にありがとうございます。

 もっとこうした方がいいなどのご指摘がありましたら、どんどん言ってくれると作者助かります。少しでもレベルアップして良い作品を投稿していこうと思うのでこれからもよろしくお願いします。


 ps話の展開遅いですか?早いですか?なかなか良い塩梅が掴めないので読者さんの感じた印象を教えてくれると助かります
 

 
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