魔法科高校の劣等生 -Masquerade Devil Hunter- 作:スダホークを崇める者
さて、何とか月1更新は守ることは出来ました。
11話の執筆はどうしても話の区切れ的に独自の場面を多数執筆してしまったので遅れました。
後は、ここに来て九校戦編を書くモチベが若干減少してしまったのも大きいです
まあ、理由はスケートシーズンが本格的に始まったためスケートシーンを書きたいという欲望が大きくなったからなんですが
何とか適度に飛ばしつつ九校戦編は早めに終わらせたいところです。
ここさえ終われば色々とはっちゃけることが出来るので……夏休み編で。
7月18日に九校戦の代表チーム発足式を終え、達也と深雪はますます忙しくなる。
特に達也はCADの調整だけでなく、トレーニングメニュー等も担当するのでその忙しさはかなりのものだ。
……そして、この九校戦前特有の忙しさとはまるで関係なくヒートアップしつつあるクラブもまたある。
言うまでもなく、紫輝を筆頭とするスケート部だ。
7月に入った時点で新シーズンは始まっているので当然と言えば当然だろう。
(……本番にならないと何とも言えないが、ひとまずは様になっては来たな。 ……だが、やはりしっくり来ないな)
やはりまともに悪魔を狩ることが出来ていないことが予想以上に来ている。
悪魔を狩るという非日常は、紫輝にとって必要不可欠なスパイスなのだ。
「……それで、だ。 そんなに見つめられると非常にやりにくいんだがなあ……俺に穴でも空けるつもりか?」
「お気になさらず、やりにくいならいっそのこと一発派手に転べばいいんじゃないかしら?」
紫輝の毒にきっちりと毒を返すのは、深雪やエリカとはまた違った、小悪魔な雰囲気の美少女。
名は桜野タズサ、1年B組所属の一科生だ。
実技成績は上位に位置するのだが、座学嫌いなことが災いして総合成績は50位台というところに落ち着いている。
ちなみに、九校戦の選手としては選ばれていない。
スケーターとしての実力も申し分なく、ジュニア時代から国際大会で活躍を見せている。
「毎度毎度何で俺に突っかかるんだか……『100億ドルの美貌』が霞むぜ?」
「いつもながらのその物言いが腹立つからよ、こんの軽口男! すけこまし! ヘラヘラ仮面!」
……なお、紫輝に対しては初対面時からこのように突っかかっている。
普段は何かかしらかやらかす紫輝だが、彼女に対しては別に何もしていない。
原因は至って単純で、スケート部内で紫輝を神輿を担ぐような扱いになっていることが気に入らないだけだ。
別に自分が実績程評価されないのは仕方ない。
世間一般では『氷上の悪夢』と言われているのは理解しているし納得しているのだから。
単純に、普段から口が軽く人を食ったような態度な紫輝が見事に受け入れられているのか腹立たしいのだ。
「ヘラヘラ仮面って雑なネーミングだな、もう少しまともなあだ名つけてくれよ石膏仮面ちゃん。」
「だ・れ・が石膏仮面だー! どこぞのイヤミ三代と同じことを、似たような表情で言うな!」
なおもまだ続く言い争い……というより、片方が一方的に言うだけ言って紫輝が茶々を入れる状態なのだが。
周りも止めるに止めづらく、一方的なヒートアップは続く……と思いきや。
「タズサ、お前はまた紫輝に絡んで……彼はジュニアグランプリシリーズは初戦からとハードスケジュールだから練習に集中させてやってくれ。 紫輝もあまり煽らないでくれ……」
手慣れたようにタズサを咎める男性が一人。
彼は高島優司、幼い頃からタズサのコーチを務めていて、タズサの最大の理解者だ。
ちなみに、紫輝のコーチでもある。 ただ、付き合いの長さからかタズサの方に帯同することが多いのだが……。
「コーチ、こいつはいつもいつも憎たらしいくらいキッチリ仕上げてくるからこの程度何ともないわ。 そうでしょ? プレッシャー知らずで心臓どころか全身鋼鉄の紫輝君。」
「ハッハッハ、すげぇな。 俺の正体はサイボーグだったってか。 後コーチ、煽ってるんじゃなくて構ってやってるだけですよ。 無視したらそれはそれで面倒ですからね、タズサは。」
「あーもう、その上から目線も腹立つ! 構ってやってるって何よ一体!」
「毎回先に来るのはお前だろうに……。 まぁいいや、続けるぜ俺は。」
売り言葉に買い言葉というか、紫輝が完全に柳に風を地で行っているからなのか……やはり収束する気配がなかった。
流石に埒が明かないと判断したのか、それとも面倒になったのか、紫輝は適当にタズサをあしらって練習を再開した。
丁度ステップを終えて後半に入るところなので、再開は容易い。
後半冒頭のジャンプ、ダブルアクセル、シングルループ、トリプルサルコウの変則三連続(通称ハーフループコンボ)を決める。
4回転トウループ同様、今季から取り組んでいるコンビネーションジャンプだ。
通常の2回転トウループ、ないし2回転ループを合わせて2回飛ぶコンビネーションより、基礎点が高いしザヤックルールに引っかかるリスクも少ない。
まさに、習得さえすればお得な技術の1つ。
「なかなか好調だな、紫輝は。 技術面もそうだが、表現面も気を使うようになってすっかり別人になっている。」
「……それでも、まだまだ粗削りでしょ。 まぁ、前の棒人間よろしくな演技よりはマシだけど。」
その後もカウンターからのトリプルアクセルを決め、中断前の勢いを完全に取り戻す紫輝。
このフリープログラムは、初めて入れる4回転トウループを冒頭で、二つのトリプルアクセルを後半に入れるという、この時代ではそれなりにリスクを伴う構成だ。
そんな代物を確実に、しかし淡々とではなく余裕さえ感じられるようにこなしてきている。
高島コーチはそんな紫輝の変化を静かに喜び、タズサも渋々ながらも成長を認めてはいた。
しかし、タズサの表情はどこか浮かない。
(それに比べて、私はまだ……)
紫輝が明らかな成長曲線を描いている中、自分は完全に横ばい……いわば停滞。
少なくとも、タズサは己の現状をそう分析していた。
今年からジュニアとしての本格参戦(国際大会的な意味で)の紫輝とは違い、タズサはシニア参戦だから時間的余裕はある。
ジュニアのグランプリシリーズは8月からのスタート、それに対してシニアのグランプリシリーズは10月スタートと、2カ月も違うのだから。
だが、性別こそ違えど同年代というか同い年。 しかも目の敵というかライバル視している人物がこうも急成長していては、焦るのも無理はない。
「タズサ、焦っても仕方ないぞ。」
「紫輝は紫輝、私は私、でしょ? 分かってるわよそれくらい。 でも、アイツにはどうしても負けたくないのよ。 例え性別は違えども、ね。」
高島コーチの言わんとすることは重々理解しているが、譲れないものもある。
それだけを告げると、タズサも負けじと己のプログラムの滑り込みを開始する。
……と、今度はフリープログラムを一通り滑り終えた紫輝が高島コーチの元へと戻ってくる。
「さっきタズサとも話していたが、なかなか好調じゃないか。 これならいきなりファイナルもあるぞ。」
「いや、今のままじゃあまだジャンプ一点特化のイメージは拭えない。 アイツとまた当たっても、PCSで大きく差が出そうだ。」
「黒須柊君……か。 まあ、一朝一夕で彼とPCSの真っ向勝負が出来たら苦労はしないな。」
国際大会ならば紫輝より一足早くジュニアグランプリシリーズに参戦して、2大会共に3位台乗り。
ふとしたきっかけで紫輝の闘争心に火を点けた稀有な人物だ。
両親共に俳優というサラブレッド。 その血筋が要因なのかは定かではないが、表現力が特に優れているスケーター。
まさに、紫輝にとっては国内で最も手強いライバルと言える存在である。
「少しでもPCSは貰いたいし、時間も無限じゃあない。 ミドル直前の時みたいにビシビシ問題点は起こしてくれよ、コーチ。」
「分かった、ならタズサの時くらいに遠慮なく行かせてもらおう。 ……そういえば、九校戦は観に行くんだったな。」
「深雪は選手で達也もエンジニアですし、気になることもちょっと……ね。」
本来ならば練習に専念したいが、九校戦では例の香港系犯罪シンジケート『無頭竜』が暗躍する危険性が高いことは既に聞いている。
更に悪魔も絡んでくるという可能性を考慮すれば、流石に目を光らさざるを得ないのだ。
「まぁ、紫輝はタズサと違って文武両道向きであることは理解しているから心配はしていないが……。」
「それは嬉しいお言葉だな。 まあ、スケートリンクについては当てがあるからどうにかするし、練習も逐一動画を上げますので。」
「なるほど。 それなら俺からは言うことは無しだ。 そうなると、心配すべきはむしろ……。」
そう言いながら高島コーチと紫輝の視線は同じ方向へと向いた。
丁度ショートプログラムを通しで滑っているタズサの方向に。
「……普段以上に俺に突っかかってくるのは普段の対抗意識に加えて焦りもあるのかね。」
「あれでもお前のことは認めているんだぞ、タズサは。 特に本番に強い点については羨ましがってたくらいだ。 ……だからこそお前に突っかかってくるし、焦りもする。」
「……え、アイツ俺のこと何が何でも認めないってわけじゃなかったのか?」
裏ではタズサが自分を認めている……それを聞いて紫輝のポーカーフェイスが珍しく崩れた。
流石にそればかりは予想外だったか、鳩が豆鉄砲を食らったような顔をしてしまう。
「普段は聡い紫輝が珍しいな、全く気付かないとは。」
「俺だっていつもいつも人の心読めるってわけじゃないって。 やれやれ、人それぞれだからそれこそ俺を羨んだってしゃあねぇだろうに……って、危なっかしいってのあんの意地っ張りめ。」
冒頭のトリプルフリップで勢いをつけすぎて空中姿勢が危うくなり、着氷もかなりリスキーになる。
ジャンプは確かに助走の勢いも大切だが、それはスピードコントロールが問題ないことが前提。
「これは、割と手強いかもしれないな……。」
「ま、アイツの負けん気はよく知ってるからどうにかするだろ。 そうじゃないと俺も張り合いがねぇしな。 いざって時は発破かけてやる。」
紫輝にとっての桜野タズサという存在は、悪友兼戦友。
いつも悪態をつかれているが、そのやり取りも嫌がるどころかむしろ歓迎しているくらいなのだから。
その親愛の証があの軽口というのが、素直じゃないというか捻くれているというか……それでこそ獅燿紫輝なのだが。
九校戦に関係なく盛り上がる者もいるが、手持ち無沙汰になる者もいる。
特に、文科系の美術部に所属している美月はまさにそんな状態だった。
部活も今日は無いので、九校戦の練習に精を出している生徒たちを遠巻きに眺めるくらいしかやることが無かった。
無論、そんなことをするくらいならもう少し有意義な時間の使い方はいくらでもあるのだが。
「……あれ、今何か……。」
違和感を感じたのは丁度その時だった。
霊子をシャットアウトするレンズ越しでも感じることが出来る程の波動。
あまりに唐突だったので、眩しさに構わず眼鏡を外して違和感の元を探る。
「……こっちは、実験棟の方?」
発生元の場所はすぐに割り出せた。
一瞬、4月のテロのようなことが起こったのかと思ったが、それでも好奇心が勝って赴くままに実験棟の方へ歩いていく。
言うまでもないが、4月の校内テロの際に悪魔が発生した際、美月もその兆候は察することは出来ていた。
ただ、状況が状況だったから状況は分からず、校内の乱戦が原因だと断定していたのだが。
実験棟に入ってからも眼鏡は外したまま細かい発生場所を探り続ける。
暫く歩いていると、霊子の波動に加え、今度は嗅覚が刺激される。
(この香り……魔法薬学の授業で嗅いだことがある気が……誰かが実験しているとか……?)
香りによって、魔法薬学実験室が違和感の大元の場所であることはすぐに分かった。
そして、実験室のドアがほんの僅かに開いていることから、誰かが中にいるのは明白だった。
ドアの隙間から覗き込むように室内を見回す。
(青、水色、藍色……あれは、精霊?)
実験室の中には青系統の色の光の玉らしきものが飛び回っていた。
確証こそないが、美月はこの光の玉が古式魔法でいう『精霊』と断定していた。
そして、その精霊たちの中心にいる術者らしき人物が目に入る。
「あれ、吉田君……?」
「え、ちょ……。」
「誰だっ!?」
中にいた二人は声をかけた美月に驚き、術者である幹比古に使役されている精霊が美月の方へ向かってしまう。
精霊の襲撃に、美月は自己防衛のためにしゃがみこんでしまう。
……が、それは杞憂に終わった。 背後から吹き荒れる想子の奔流によって。
「幹比古、達也と美月だから大丈夫だぞ。 ……全く、まさか声かけてくるとは思わなかったぜ。」
「確かに、わざわざ人除けの結界をするくらいだからな。 今回は明らかに美月が悪い。」
「ええ!? わ、私がですか!?」
「ま、まぁそれについては取り乱したこっちも非があるってことで……結界まで感知できるなんて、達也も割と規格外だよね。」
規格外という割には驚いていないのは紫輝という前例があるからだろう。
だが、紫輝と同類に思っていることに変わりは無く、達也はただただ苦笑するしかなかった。
「ところで、今のは精霊魔法……自然霊の喚起魔法か?」
「そうだよ。 ちょっと水精を使って練習をしていたんだ。」
「で、紫輝はいいのか? 練習に行かなくて。」
「いやいや流石に行くぜ? ちゃんとあっちにも連絡はしてあるし。」
サボっているわけではないようなので、達也もそれ以上の追及はしなかった。
幹比古の練習をなぜ見ているのか、ということも特に突っ込むことでもない。
形だけの見張りなのか、はたまたアレ関係なのかはこの際は別に些細なことなのだから。
「この青系統の光の玉が水精なんですね。 若干の色の違いはあってもやっぱり同じタイプってことなんですか?」
「うん、同じ水精でも性質は微妙に……って、色の違いが見えた!?」
美月の質問の中に思いがけない発言が混ざっていたのか、反射的に美月に迫っていた。
あまりのことに全員が固まってしまう(美月は当然赤面中)が、紫輝が割とすぐに立ち直る。
(美月の眼はガチの霊視系か……。 こりゃあ、悪魔のことがバレるのは時間の問題かもな。)
しかも、紫輝でも視認できない精霊の色の違いを認識しているということは割と高位の『眼』なのかもしれない。
……それほどの『眼』となると、もし悪魔サイドに認知されたら狙われかねない。
ただでさえあちらに恨みを買っている紫輝の周囲に居るだけでも危険なのだ。
そんな人材がいると知ったら、いくら境界が強固な日本でも危険が伴ってくるだろう。
ますますもって、これからの裏活動は慎重に行わなければならない。
「合意の上なら席を外すが……そうでなければ問題行動だぞ、幹比古。」
「えっ……あ、ごめん! まさか精霊の色を見分けられる人がいるなんて思わなかったからつい……」
達也のツッコミを受けて慌てて離れる幹比古。
初心な反応に達也だけでなく、思考に耽っていた紫輝も苦笑していた。
「そういや、前に言ってたよなそんなこと。 確か『水晶眼』つったっけか。」
「断言はできないけど、その可能性はある。 精霊の性質や力量を色調で視ることが出来るということは、その源である神霊を見ることが出来るということなんだ。 少なくとも、神霊に関与するならば必須不可欠な、いわば巫女だね。」
「ということは、その神霊を制御することが目的ならば美月は喉から手が出るほど欲しい人材……ということなんだな?」
幹比古の説明から、美月の持つ『眼』の有用性、需要は達也でもすぐに理解できた。
もしその需要から些細な情報流出でゴタゴタが発生したら面倒この上ないので、このような物騒な質問をしたわけなのだが。
「そうなるね。 ただ、今の僕には神を御する力なんてないし、しようとも思っていない。 だから、他の術者に知られないよう柴田さんの眼については決して口外しないよ。」
「俺もこのことは胸の内に留めておく。 大事にするのは本意ではないからな。」
「下手すると4月の時以上の事態になりかねないからなあ。 ……まあ、当事者が状況を理解していないのは、若干頂けないわけなんだが。」
幹比古、達也、そして紫輝の間で水晶眼のことは緘口令が敷かれたが、当の美月があまり状況を飲み込めていないようだった。
天然だと言われればそれは微笑ましいのだが、事態が事態なので紫輝が改めて簡潔に説明して事なきことは得た。
8月1日。 一高の代表チーム一行が九校戦の会場、富士へ出発する日。
その集合場所にて、一行は一人遅れている者を待っていた。
ただ、遅れているとは言っても寝坊や時間の間違いなどのミスから来るものではない。
十師族としての用事が急に入ってしまったことが原因なので、彼女には何の非は無い。
それでも待たせるのは本意ではないからか、先に行って構わないと連絡を入れたのだが、残りのメンバーの満場一致で彼女を待つ、ということになったのだ。
そしてたった今、そのメンバーの最後の一人が集合場所に到着した。
「ごめんなさーい!」
「これで全員揃いましたね。」
「遅いぞ、真由美。」
遅れていた最後の一人……真由美を迎えたのは集合チェックを行っている達也と、形だけの叱責をする摩利。
一つだけ空欄になっていた場所にチェックを入れて、改めて全員集合であることを確認する。
「本当にごめんね、達也君。 私一人のためにこんな暑い中待たせちゃって。」
「まだ午前中ですから問題ないですよ。 それに、家の事情とお聞きしていますので。」
そう答える達也は、確かに汗一つかいている様子はなかった。
実際は汗を発散する魔法を用いていたのだが……それを差し引いても、この程度の暑さで根を上げるほど柔ではない。
「ところで達也君。 これ、どうかな。」
サマードレスを纏った今の自分を見せるためにその場でクルリと一回転する。
スタンダードに可愛らしいその仕草は、真由美の容姿も手伝って並の男性ならば魅せることが出来るだろう。
……が、今の相手はそう一筋縄ではいかない。
「とても良くお似合いですよ。」
何せ、シスコンの権化でありとある事情により精神面が普通の人間とは異なる達也なのだから。
こちらもまたスタンダードに、かつ微笑を見せながら褒める。
そこに照れや恥じらいなどは当然のようになかった。
「ありがと。 でも、恥ずかしがりながら褒めてくれたらよりよかったんだけどなー……。」
真由美も負けじとばかりに上目遣いで達也に詰め寄る。
彼女の猫を被った姿しか知らない者が見たら夢か幻かと目を疑う光景だろう。
なかなかに大胆とも言える行動だが、この行動が裏目に出てしまう。
「……大変だったようですね。お察しします、会長。」
達也の表情はどこか真由美を労わるようなものになっていた。
予想外の反応に、流石の真由美も先ほどまでの余裕はなくなっていた。
「えっ? た、達也君?」
「どのような用事だったのかは存じませんが、バスの中へ行きましょう。 少しは休めると思います。」
「ちょ、ちょっと待って! 何か勘違いしていない!?」
そう、真由美のこの行動をストレスが溜まっていることから来るものだと思ってしまったのだ。
普通に考えればあまりに斜め上の発想だ。
紫輝がその場に居れば間違いなく腹を抱えて笑うことは想像に難しくない。
困惑する真由美を他所に、達也はそそくさと作業車に戻っていった。
富士へ向かう高速道路は混んでいることはなく、一高代表の面々を乗せたバスと作業車は快適に走行していた。
1時間半遅れての出発であったが、元々時間に余裕は見ているので問題は無いだろう。
「全く、達也君は私のことを何だと思ってるのかしら。 折角隣に誘おうかと思ったのにさっさと作業車に逃げちゃうし。」
真由美は出発前のやり取りが原因で完全に不貞腐れていた。
まあ、躁鬱状態とでも判断したかのような同情を向けられては無理もないだろう。
「的確な判断です。 会長の美貌の魔力の餌食になるのを避けたのでしょう。 ……と言っても、司波君は魔法を無効化する技術に長けているようですし、通用しないでしょうが。」
そんな状態の真由美を相手にするのは、作戦スタッフとして参加する鈴音だ。
この状態の真由美の相手も慣れたものなのか、淡々と本気のような冗談を告げていた。
「リンちゃんまで……。 こんな時紫輝君がいたら一緒に乗ってくれたのに……。」
「獅燿君ですか……彼がいた場合、確かに司波君を困らせることは出来るかもしれません。 が、その場合多分会長も巻き添えになると思いますよ。 彼は司波君とは別の意味で曲者ですので。」
「もう、リンちゃんまで……。」
司波兄妹の迎えに来ることもある都合上か、生徒会面々+摩利は割と紫輝と接する機会は少なくない。
その中でよく深雪を手玉に取っている光景を見かけるし、魔法暴走モードに入ってもハリセン一発で空気を変えるという芸当を何度も見ている。
暴走深雪対策要員というピンポイントすぎる役職のためだけに紫輝を生徒会に招きたいという意見もあったくらいだ。 なお、発案者は意外なことにあずさだったりする。
早い話、人付き合いの上での空気の読み方、または間合いの取り方が上手いのだ。
そんな紫輝の汎用的スキルを客観的に目の当たりにしてきているから、先ほどの鈴音の推論はほぼドンピシャと言ってもいい。
分かってはいるものの、それでも真由美は更に不貞腐れるしかなかった。
「会長……。」
背を向けて丸まっている真由美に心配そうな声がかかった。
ブランケットを手にしている生徒会の逆紅一点、服部だ。
「え、はんぞー君?」
「司波がお疲れのようだと言っていたのですが、どうやら杞憂ではなかったみたいですね。」
「ちょっと待って、私は別に疲れてるわけじゃないのよ?」
達也だけでなく、服部にまで勘違いされるとは思ってもみなかったのだろう。
誤解を解こうと否定するも、大真面目に心配している側からすればそれは逆効果と言えた。
「我々に心配を掛けたくないとばかりに無理をなさって体調をますます悪化させては元も子もありません。 というわけで、その……。」
傍から見れば言ってることは正論なのだが、段々歯切れが悪くなっている。 というか少々顔が赤い。
原因は今の真由美の格好にある。 具体的に言うと、姿勢の問題でスカートから太ももがのぞいているという点。
服部はその真面目な性格から想像がつくかもしれないが、至って純情。 更に真由美を女性として意識している。
ただ、今この場でそのような兆候を見せるのは明らかな失敗だった。
「服部副会長。 何処を見ているんですか?」
何せ、第三者である鈴音がいるのだから。
「い、市原先輩!? わ、私はただ会長にブランケットでもと思いまして……。」
「なるほど、会長にブランケットを掛けてさしあげるんですね? でしたら、どうぞ。」
明らかに挙動不審になる服部に対し、真顔で冗談を告げる鈴音。
更に真由美もスイッチが入ったのか、服部の更なる反応を引き出そうと恥ずかしがるような演技を見せる。
無論、服部にその仕草が演技であることを見抜く余裕などなく、二人の掌の上で踊らざるを得なかった。
「……一体何をやってるんだ、あいつらは。」
そんな3人のやり取りを、摩利はやや離れた席から見物していた。
と言っても、服部が弄られるという光景はよく見るので今更横槍を入れるつもりはない。
ただ、この場に服部を弄るであろう役割の人物が一人少ないことについてはある意味安堵しているが。
いつまでも見ても面白いものではないので、視線を隣に座る女子の方へ向けた。
「……花音。 たった2時間の移動なのに我慢できないのか?」
「摩利さん、あたしだって子供じゃないんですしそれくらいは待てますよ! 」
と言う割には明らかに何かに不満があるのか、あまり機嫌が良くなさそうだ。
彼女は千代田花音。 百家の本流千代田家の直系で、アイスピラーズ・ブレイクに出場する2年生だ。
何故機嫌が悪そうなのか、それは誰が聞くまでもなく続けてくれた。
「でも今年は啓も技術スタッフに選ばれたからずっと一緒だと思ってたところにこれなんですから、少しくらいガッカリしてもいいじゃないですか! 何で技術スタッフは作業車なんですか! このバスだって席はまだ空いてるのに!」
啓というのは、彼女の許婚の五十里啓のことだ。
2年生で同じく百家本流の直系。 それでいて見ている方が疲れるくらいに仲が良い許婚同士。
それこそ一緒にいる時間は司波兄妹よりも長いのではと思ってしまうくらい。
ここぞとばかりに不満を爆発させる花音に、さしもの風紀委員長もため息を吐くくらいしか出来なかった。
……そして、そんな花音とは別ベクトルだがほぼ同じことに不満を持つものがここにも一人。
「み、深雪? その、お茶でも飲まない?」
「ありがとう、ほのか。 でもごめんなさい、私はお兄様みたいにわざわざ炎天下に外で待っていた訳では無いからそれほど喉は渇いていないの。」
真由美のように誰かをからかったり、花音のように爆発しているわけではない。
ただ、何もしていないにも関わらず冷気を纏っているのか周囲の体感温度を下げている。
要するに、一歩間違えれば魔法の暴走を発生させかねない状態の深雪である。
「こら、お兄さんのことを思い出させてどうする。」
「今のは不可抗力だよ! うう、こんな時獅燿君がいてくれたら……。」
「それはそうだけど、いないものはしょうがないよ。」
健気にそんな深雪にも友人としての気遣いを見せたが、余計に事態を悪化させてしまったほのかと、それをこっそりとダメ出しする雫。
深雪が放つ圧力+冷気を前にして、ほのかは早速この場に居ない紫輝にSOSを送っていた。
確かに、紫輝がいればそれこそ色々な手段を用いて深雪の気を紛らわせたり、落ち着かせたりできるだろう。
獅燿紫輝が司波深雪暴走対策要員だということは、生徒会面々だけでなくこの二人……というよりエリカ、レオ、美月も含めたいつメンの共通認識だった。
「遅れている人は分かっているはずなんだから、外で待つ必要なんて無いはず……なんでお兄様がそんなお辛い思いを……。 しかも機材で狭くなった作業車で移動だなんて、それではゆっくりお休みになれないじゃない……。」
声量は小さいが、それでも何故か二人の耳には入ってしまう深雪の呟きには内容以上の暗鬱さが漂っていた。
ここまで行くと、和装させて雪女でも演じさせたいところである。
触らぬ神に祟りなしと言わんばかりにそっとしておくのも手だが、残り時間ずっと体感温度を下げるのは好ましくない。
そんな義務感と共に、彼女は行動を起こした。
「深雪。 そこが達也さんの立派なところとも言えるよ。 こんな炎天下の中だし、バスの中で待っても誰も何も言わなかったはずなのに選手の乗車を確認するという仕事を手を抜かずにこなしたんだよ。 面倒な雑用をここまでしっかりこなすなんてそうそう出来るものじゃない。 達也さんは本当に凄いし素敵だと思う。」
最近紫輝の影響もあってある程度深雪の対応が出来るようになった雫が口にするのは、歯が浮くような言葉の数々が。
紫輝のように重たい空気を換気するとばかりな大胆な行動は出来ないから、ここは深雪の機嫌を良くする常套手段の『達也の褒め殺し』を使う。
これらを平然と言える辺りは流石と言えるだろう。
「そう……そうよね。 本当にお兄様は変なところで真面目で、お人好しなんだから……。」
底冷えするような空気は明らかに霧散して、周囲の体感温度も元に戻っていく。
ミッション成功を確認した雫はVサイン、そしてほのかも安堵のため息をつく。
それからは暫くの間、バスの中は軒並み穏やかな空気になり(あくまで軒並みだが)、順調に目的地へ向かっていた。
……対向車線の大型車が事故を起こすまでは。
『(……見るからに意図的だな。 随分と念入りな工作で反吐が出るぜ。)』
一足先に九校戦の宿舎となるホテルに到着している紫輝。
一人というわけではなく、エリカ、美月、レオ、幹比古も同行しているのだが。
本来なら一般の人間はこのホテルに入れないのだが、そこで出番となるのがコネだ。
とは言っても、紫輝のではなく、エリカの……千葉家のコネなのだが。
その気になれば紫輝の『仮面の悪魔狩り』のコネでも行けなくはないが、使わないで済むならそれに越したことは無い。
既にチェックインは済ませ、紫輝はネヴァンを経由して一高のバスに何か起こらないかを監視していた。
今現在、対向車線の大型車が第三者から見た上では怪しい挙動で事故を起こして、その残骸が一高のバスの行く手を阻んでいるところを確認したところだ。
『(あの挙動の不自然さはベオウルフでも分かるレベルね。 悪魔は絡んでいなさそうなのが救いだけれど。)』
『(……だが、突然こんな状況になったら腕白な連中がみんな残骸に魔法を放って地獄絵図になりそうだな。)』
その後、紫輝の言う通り魔法が多量に放たれ、同一対象に対する無秩序な事象改変が行われ、その全てが相克するという無法地帯が完成してしまった。
結果、恐ろしいまでのサイオンの嵐が発生して正常に魔法を発動させるのが極めて困難な状況と化している。
……が、紫輝は焦りを見せることは無い。
バスの後ろ……作業車にはこの空間を一瞬で正常化できる力の持ち主がいるのだから。
『
恐らく、誰が何をしたのかを確実に分かっているのは監視している紫輝以外では深雪のみだろう。
もしかしたら三巨頭は何があったかは気づくかもしれないが、それが彼によるものだと確実に行き着く者はいない。
実際に相対した上で放たれても、理解するのは難しい魔法なのだから。
その後は深雪が炎上した大型車を消火、克人がファランクスで防御して事なきことを得た。
『(警察も来たようだな。 これなら、相手もそうそう手出しはできねぇだろうし監視終了でいいな。 サンキューな、ネヴァン。)』
『(まぁ、これもまた私の仕事だから構わないわ。 ……ただ、4月の時のような熱いプレイも忘れないようにね。 さもないと、貴方で発散してしまうわよ?)』
『(ハハ、ミイラにはなりたくないから忘れないようにするぜ。)』
そんな約定を交わしてネヴァンによる監視を終える。
手持無沙汰になったので、フロントにいる皆の元へ合流する。
フロントならば達也、深雪と合流するのに手間がかからない。
先ほどの監視結果についても情報共有しておくのも早めに済ませたいからだ。
(そこから先は……今日滑りに行くのはギリギリ行けるか、ってところだな。)
今日の夜のとある行事の時間から逆算しても、何とか滑りに行けるかどうかというところだ。
可能な限り滑って鈍らせないようにしたいので、少しでも氷に乗れるならそれに越したことは無い。
と、思考に耽っている内にフロントに到着した。
「お、来た来た。 って言っても、あっちはまだっぽいね。」
「案外誰かが止むを得ない事情で遅刻して出発が遅くなってるのかもしれねぇな。 まあ、ここで待ってれば大丈夫だろ。」
実際そうなっていることを知っているからこその推測まがいの返答だが、誰もそこには突っ込まない。
唯一事情を察した幹比古は苦笑していたが。
「そういえば紫輝、観戦の合間にも練習するんだってな。 大丈夫なのか、場所とか。」
「幸いそう遠くない場所にリンクがあるんだなこれが。 話は通してあるからちょっとは融通効くし、問題ないぞ。」
「獅燿君も大変ですよね、九校戦の後すぐに国際試合だなんて……。」
美月の呟きに全員がうんうんと首を縦に振る。
ちなみに、九校戦の後に向かうのはUSNAのコロラドだ。
割と強行軍なスケジュールだが、紫輝にとっては割と日常茶飯事なので本人は特に苦は無いのだが。
「あ、言うの忘れてた。 例の件、紫輝君は表に出ることになるけど大丈夫だよね?」
「むしろ表の方が俺はいいな。 他の出場者の顔を見物出来るし……まあ、そう面白そうなのがいるとは思えねぇが。」
「紫輝が裏方作業というのも想像できないし、適切だと思うよ。」
例の件とは何なのか……それはすぐに分かることだ。
このように、一高の代表メンバーが到着するまで5人はフロントで雑談を交わしていた。
代表メンバーを乗せたバスが宿舎であるホテルに到着したのは昼過ぎであった。
大型車の故意的な事故(大半が故意的とは知らないが)により、更に30分ロスしてしまったので計2時間ほどの遅れだ。
とはいえ、元々東京から富士というさほど遠くない移動だったので時間的には何も問題はなかった。
生徒たちはバスを降りて次々に宿舎へ移動している中、一人の男子は溜息を吐いていた。
「随分と元気がねぇな、服部。 どうかしたのか?」
「桐原……ああ、ちょっとばかり自信を無くしてな。」
気落ちしていた男子……服部に話しかけたのは桐原。
同学年でも気が許せる存在が相手だからか、服部は気落ちする様を特に隠すつもりもなかった。
「おいおい、試合は明後日だぞ。 2年エースが自信喪失していてどうする。」
「お前は何も感じなかったのか、さっきの事故の時……。」
先ほどの事故の話が出て、桐原は何故服部が落ち込んでいるのかは理解した。
去年からの付き合いで、服部の人となりはそれなりに理解できている桐原だからこそ分かることだ。
「あれは危なかったな。 で、お前は魔法発動してなかっただろ。 あれはいい判断だったと思うぜ? それを何も出来なかったって責めるのは違うと思うがな。」
「だが、司波さんは冷静に対処していた。 単純な力比べなら俺は彼女に敵わない……。 だが、魔法師の優劣は魔法力だけでは決まらない。 なのに、魔法力だけでなく魔法師としての資質も年下の女の子に負けたとあってはな……自信も無くすさ。」
服部の言い分に、桐原は表情には出さずも内心で驚いていた。
まさか彼の口から『魔法師の優劣は魔法力だけで決まるものではない』という言葉が聞くことが出来るとは思ってもいなかったのだ。
知らないところで成長している友人に感心しながら、桐原は再度口を開く。
「そういうのは場数がものを言うからな。 その点、あの兄妹は特別だろう。 特に兄貴……あれは十中八九やってるな。」
「やってる……? 実戦経験がある、ということか?」
司波兄妹は場数を踏んでいる。 そんな桐原の推測に服部も思うところはあった。
4月に行った模擬戦で一蹴されたこと、またその時の達也の戦い方が実戦慣れしているソレであることに思い至ったのだ。
「4月のテロ事件覚えてるだろ? あの時、俺は司波兄妹と一緒に戦ったんだ。」
「それは本当か?」
「ああ。 妹は見てはいねえが、兄貴の方はなかなかやばかったな。 親父とか親父の海軍時代の知り合いと似た……いや、それ以上だな。 濃密な殺気をコートを羽織るかのように身に纏ってたぜ。」
軍人よりも雰囲気がそれっぽいと聞いた服部は思わず絶句してしまった。
普段の達也も確かにどこか高校生らしくないが、まさかそんな顔を隠しているとは思ってもいなかった。
「ということは、司波さんもなのか?」
「それはわからねぇな。 まあ、妹の方もただの女の子ってわけはねぇだろ。 ……まあ、司波兄と同じくらいか、下手すればそれ以上のヤツが同じ1年にまだいるんだが。」
「待て、そんなヤツが1年の中にまだいるのか!?」
「ああ。 多分お前も顔と名前は知ってると思うが……獅燿だ。 獅燿紫輝。」
桐原から告げられた名を聞いて、服部は再度絶句してしまう。
時折深雪を迎えに行っては回りすぎる口で弄り、時には達也やその他も巻き込む飄々とした1年生。
模擬戦の時から只者ではないというのは知ってはいたが、普段が普段だから達也以上にイメージが難しい。
「アイツも戦ったところは見たことはねぇし、そこまで話したことはないんだが、ふとした時に一瞬だけ顔を見せたんだよ。 その一瞬だけでも分かっちまった。」
「相当の実戦経験がある……ということか?」
「いや、そんなもんじゃねぇな。 むしろああいう修羅場がアイツにとっての日常なのかもしれねぇ。 それでいて普通の日常にも適応できている。 仮面の使い分けが相当キッチリ出来ているヤツだな。」
「仮面……か。」
普段の紫輝しか知らないから、そこまでイメージは出来ない。
しかし、仮面という言葉を聞いて妙にしっくり来たのは何故だろうか。
普段の飄々としている様子も仮面であり、根と言える部分……それが桐原が今断言したようなところなのだろうか。
「にしても、『魔法師の優劣は魔法力だけでは決まらない』……お前の口からそんな言葉が出たなんて知ったら、会長は大喜びだな。」
「っておい、何でそうなる……!」
空気を入れ替えるように茶々を入れる桐原。
真由美の名前を出されたからか、服部は気恥ずかしくなって早足になる。
「ブルームだウィードだ、そんなのは入学試験前の話じゃねぇか。 現に二科生の中でも出来るヤツは普通にいる。 ……今年の1年は特にそうだしな。」
それだけ言うと、桐原も後を追うようにしてホテルの方へ足を向けた。
時同じくして、達也と深雪もホテルの方へ並んで歩いている。
達也は先ほどの事故が故意的に発生させたことを理解しており、またその心当たりもある。
よって、その件についてありのままの事実を深雪に伝えていた。
「先ほどのことは、事故ではなく故意的なもの……だったんですか?」
「車の飛び方が不自然だったからね。 感知されないようにしていたが、小規模の魔法展開の痕跡が三回分あった。 タイヤをパンクさせて、次に車体をスピンさせる。 最後にガード壁をジャンプ台にするために跳び上がらせる。 この3つの魔法が、いずれも車内が発生源だった。」
根拠はまさに紫輝と全く同じ理由だった。
ただ、紫輝はいきなりスピンを始めた時点で『どこぞの唐突にスピンを起こすレースゲームじゃあるまいし』と苦笑しながら単純な事故ではないと分かったのだが。
「車内から……ということは。」
「そう、使用者は運転手。 要するに、自爆攻撃だ。」
「何て非道な……!」
達也が独自に調べた結果を積み上げた結果を告げられ、深雪は悲痛と怒りが入り混じったような顔をしていた。
自爆攻撃をけしかける輩に純粋な怒りを抱き、それに逆らいもせず忠実にこなした者には同情もする。
紫輝ならば後者を抱くこともないが、それこそが深雪の美点なのだと達也は特に何も口を挟むことは無い。
そんな何とも言えない空気の中、二人はホテルのフロントに入ると早速二人に声がかかった。
「やっほー、1週間ぶり。 元気にしてた?」
「ようやっと来たか。 往路で何かあったのか?」
片方は想定していたことだが、まさか彼女までもがいるとは思ってもいなかった。
紫輝とエリカの姿を視認して、深雪は思わず目を丸くしていた。
「エリカ? もしかして、紫輝に誘われたのかしら。」
真っ先に思いつく推測だが、それは外れのようだ。
エリカのドッキリが成功した時のような表情で分かる。
「むしろ誘ったのは私。 同じホテル泊りでも、近い方がいいじゃない。 あ、勿論言わずもがなだけど応援だからね。」
「俺としても取れる宿が遠目なところが多かったから大助かりさ。 リンクに行くのもここからの方が都合はいいしな。」
「まあ、紫輝は確かにそうね。 ……でもエリカ、競技そのものは明後日からよ?」
今日あるのは、九校戦参加者同士の顔合わせになる懇親会のみだ。
その二日後の8月3日から競技がスタートして、8月12日に最終競技のモノリス・コードで締める。
なお、深雪たちの晴れ舞台となる新人戦は8月6日から8月10日に行われる。
そのことを指摘してもなお、エリカの不敵な笑みは消えない。
「まあ、その時になれば分かるわよ。 ねー、紫輝君?」
「ははは、そうだな。 その時のお楽しみってことで。」
それどころか、紫輝まで便乗して如何にも何かを企んでいる表情をしている。
割とトラブルメーカーなエリカと、紫輝が共闘するのは何かが怖い。
「深雪、先に行ってるぞ。」
達也は他のエンジニアを待たせてしまっているので、先に行くことにした。
深雪と違ってリアクションが無いから若干不満なエリカだが、そこは達也だから仕方ないと割り切った。
「お、ようやくご到着か。 ……あれ、達也は?」
「3人揃って戻ったか。 達也はエンジニアの先輩方を待たせるとアレだから先に行った。 会うのは後にしておこうぜ。」
ここで揃って席を外していたレオ、幹比古、美月の3人が合流する。
達也が先に行ってしまっているが、一同は大いに納得していた。
エンジニアは裏方が故にその忙しさは想像に難しくないのだから。
「西城君と美月も来ているのね、ところでこちらの方は……?」
「あ、そっか。 深雪は初めてだったわね。 E組であたしの幼馴染の吉田幹比古、通称ミキよ。」
「お兄さんとは同じクラスで、お世話になっています。 よろしくお願いします、司波さん。」
「こちらこそ、兄共々よろしくお願いします、吉田君。」
最後の余計な紹介をスルーして、互いに会釈を交わす。
無論、彼が先日の期末試験の筆記で紫輝と並んで3位ということは既に記憶から引き出している。
また、古式魔法名門の吉田家の人間であることも認知していた。
そして、最初に目にした時に気にしていた美月の方へ声をかける。
「ところで、美月のその恰好は……もしかしなくてもエリカの入れ知恵?」
「はい、エリカちゃんが堅苦しいのは良くないって言ってたから……でもやっぱりおかしいですよね?」
「似合っていて可愛いとは思うけど、TPOには合っていないと思うの。」
美月が身に纏っているのはキャミソール、確かにやや派手と言えなくもない。
が、この服装を勧めた張本人は口のへの字にして抵抗する。
「えー、そうかな。 紫輝君はどう思う?」
「俺はエリカと同意見だな。 っていうか、これくらいであーだこーだ言ってたらスケートなんてやってらんねぇぜ?」
「おいおい紫輝、流石にスケートの衣装を比較対象にするのは反則じゃねぇか?」
「レオの言う通りだよ、まああんな格好で氷の上に立てることそのものが尊敬に値することとも言えるけど……。」
話が逸れそうになったが、エリカと紫輝陣営の方が旗色が悪そうだ。
着ている張本人もどこかおかしいことに気付いているから、初めから旗色も何もないのだが。
「ところで、ここは軍の施設なのにどうやって潜り込んだの?」
「潜り込んだって、俺を諸悪の根源みたいにジト目で見ながら言うようなことじゃねぇよな?」
「そうだよ深雪、今回は紫輝君は白。 あたし……というより、千葉家のコネを使ったのよ。」
半分は冗談だが、半分は本気という絶妙な加減で紫輝の関与を疑うが、違うと分かって安堵の表情を見せる。
普段が普段だから軍の施設に潜り込んでしかもバレない、またはバレてもどうにか出来てしまいそうだから怖いのだ。
その後、エリカの口からあまり出てこないであろう単語が聞こえて意外そうな表情をする。
「エリカって、そういうのはあまり好きではなさそうに見えるけれど大丈夫なの?」
「嫌いなのはあくまで『千葉家の娘』って色眼鏡で見られて変な反応されることよ。 コネはむしろ使わないと損でしょ。」
「まさにそれだな。 そういうのを躊躇してたら世渡りはままならないもんだ。」
「紫輝なんかもっと容赦なく使うからね……色々と。」
幹比古の呟きに全員が大いに賛同している。
ただ、幹比古が言っているのは裏で行動する際の保険や事前行動のことを主に指している。
普段から気配同調とかを使っては人を驚かせている愉快犯的な行動はそこには含まれていない。
「私もそろそろ行くわね。 また後で。」
「あ、そうか。 待たせちゃってるかもだもんね。 じゃーねー。」
大型車自爆行為でやや気が滅入っていたところだったが、彼らとの会話でだいぶ気分は良くなってきたようだ。
初めから分かっていたが、達也はそれを狙っていたのだろう。
よく気が回る兄に感謝をしながら、深雪も自室へと向かっていた。
その後、紫輝も若干時間が空くことを確認してから、滞在期間初のホーム以外での練習へと向かった。
懇親会の会場となるホールには、全国にある9つの魔法科高校の選りすぐりが集っていた。
そんな中、達也と深雪は特に気負う様子もなく二人で端の方を位置取っていた。
ちなみに、現在の達也は予備のブレザーを着用している。
エンジニア用のブルゾンでは流石に悪目立ちするからなのだが、このブレザー、若干わき腹がキツイとか。
そして、わき腹を気にしながら達也はとある光景を目の当たりにした。
「……なるほど。 流石と言うべきなんだろうな、この場合は。」
二人の目線の先に居るのは、せっせと空になった皿を運んでは空のグラスを持つ者に飲み物を注いだりと手慣れた様子で給仕をこなす幼馴染の姿。
あまりにも溶け込みすぎていて、最初は目を疑いつつ頬を抓ってしまったくらいだ……深雪だけだが。
「深雪さん、ちょっと……ってどうしたの? 幽霊を見たような表情をしているけど。」
「あ、会長。 何でもありません、あまりに不可思議な光景を見て白昼夢でも見ているのか自分を疑っていただけです。」
慌てて視線を外しつつ真由美の呼び出しに応じる深雪。
一体何事かと深雪が視線を向けていた方に目をやるが、彼女にはその原因は視界に入れることは叶わない。
何せ紫輝は何の違和感もなく給仕として溶け込んでいるので、相当に付き合いが長い者でないと見つけるのは難しいのである。
「お客様、お飲み物でも如何でしょうか。」
「……まぁ、紫輝がああならそうなるな。」
「ありゃ、紫輝君を先に見かけたから予測されちゃったか。」
先に紫輝の姿を見たからこそ、この時のエリカの姿を見ても特に驚くことは無かった。
青を基調としたメイド仕様の給仕服を身に纏い、普段は行わない化粧もされている。
達也から見た第一印象は『化けたな……』という相変わらず淡白なものだったが。
呼び出しから戻ってきた深雪も、エリカの格好には自然に称賛の意を示していた。
「あら、可愛い格好をしているわねエリカ。 関係者ってこういうことだったのね。」
「そういうことよ。 まさか紫輝君があそこまで働き者だとは思わなかったけどねー……御蔭で私たちの仕事がこれくらいになっちゃってさ。」
「アイツは妙なところでスイッチが入るからな。」
今は給仕という仮面を完全に被って、ついでに有力選手の顔を覚えながら妙な横槍が入らないかを見張っているのだろう。
裏事情を把握している達也と深雪は紫輝の意図を完全に理解している。
(恐らく、あちこちの国を渡り歩いている時に身に着けたのだろうが、一体アイツはどんなシチュエーションで悪魔を狩っていたんだ……。)
いっそ深雪とお茶会をしている時にでも尋ねてみようか、そう考えるほどであった。
ただ、紫輝はスケートのこと以外で自分のことはあまり話したがらないので難しいだろうが……。
「そういえばエリカ、『私たち』ってことは貴女と紫輝以外にも誰かが給仕担当ということ?」
「うん、ミキがそうよ。 美月とレオは裏方の方をやってもらってるの。」
エリカが視線を向けた先には、確かにせっせと働く幹比古の姿があった。
……と、そこで視線に気づいたのか一旦空き皿を片付けてからこちらに向かってきた。
「エリカ……君が普通に喋ってる余裕があるなら僕も別に裏方で良かったんじゃないのか? というか何でいきなり変更に……」
「手違いなんだからしょうがないじゃない。それに、紫輝君にばかり負担かけさせるわけには行かないでしょ。 ほら、またお皿空いたわよー。」
「あーもう、分かったよ……。」
何を言っても覆らないと判断して、幹比古はそそくさと仕事に戻った。
エリカとしては意外な反応だったのか、肩透かしを食らったような表情をしていた。
「もう少し食ってかかると思ったのか?」
「うん。 ……多分前までの屈折していたミキだったらそうだったんだろうけど……。 今はちょっとは余裕があるんだよね。 何があったんだか。」
ただ、誰がきっかけを与えたのかは3人とも理解している。
彼と幹比古の付き合いは一高に入学する前と聞いていたし、彼ならばもし以前の幹比古を見たら自分以上にお節介を焼くだろう。
出会ってまだ4カ月ほどだが、そのような光景が浮かぶくらいは彼のことは分かるようになっている。
「……なんだかんだで優しいんだな。」
「ううん、そんなんじゃなくてただの八つ当たり。 本来なら私もミキと似たようなものだったんだけどねー……誰かさんの御蔭でそういうのが薄まったから別の八つ当たりになっちゃってるけど。」
「……事情は聞かない。 後、アイツに文句があるなら直接言った方がいいぞ。」
エリカの表情に影が差すが、達也は特に何も聞くつもりはない。
聞いたところで自分がどうにか出来る話とも思えないし、聞かぬが花という言葉もある。
「……達也君って、冷たいよね。」
「……酷い言い草だな。」
傍から聞けば確かにそうだが、言われた本人とその妹に気分を害した様子はない。
非難しているわけではない、それは雰囲気で察することは出来る。
「でもその冷たさはありがたいのよね。 同情されないから安心して愚痴を零せるから。 ……そういう意味では紫輝君も似たような感じだけど。」
「アイツの場合は言わなくても察してしまうからある意味性質が悪いとも言えるがな。」
「エリカも気をつけるのよ? 下手に付け込まれたら弄られるのは目に見えてるのだから。」
こちらもこちらで酷い言い草だ。 兄妹の容赦のなさにはエリカも若干渇いた笑みを零す。
そして、これ以上サボるのは流石にまずいと思ったのかそそくさと仕事に戻っていった。
その後、深雪と話したくても達也が居なくてそれが出来ない面々を見かねて深雪をそちらに行くよう促した。
なお、その一部始終を見ていた花音は達也のことを大人の対応と評している。(言外には高校生らしからぬ、が入りそうだが)
だが、達也に対して壁を作ってしまう者がまだ多いのは致し方ない。 解決するには時間が必要なのだから。
(……どうやら、ここで仕掛けてくるようなバカはしねぇか。)
テキパキと給仕業務をこなしながら、紫輝は『無頭竜』による暗躍を警戒していた。
ネヴァンの使い魔で外も見張らせてあるので、悪魔絡みの襲撃が発生したら即座に行動する準備は整っている。
だが、ここまで何もないから杞憂に終わりそうで肩透かしを食らっていた。
(……アレが噂のクリムゾン・プリンス、略してクリプリか?)
何となく三高生徒の割合が多い場所を回っている際に、以前に話題になった一条の跡取りらしき者が目に入る。
どこかからか深雪を遠巻きに眺めた際の会話が聞こえ、そこから後は雰囲気で察した。
紫輝が視界に収めているのは、ややクセがある赤みがかった茶髪の男子、そしてその隣のやや身長は小さいが如何にも参謀という空気を醸し出す男子の二人だ。
「将輝、どうかしたの?」
「……ジョージ。 あの娘……あの女子生徒のことを知ってるか?」
将輝と呼ばれた、紫輝がクリムゾン・プリンスと推測する男子は深雪の方に視界を固定している。
ちなみに、その隣にいる男子がかの『カーディナル・ジョージ』であることは認知している。
「あの娘……ああ、司波深雪さんか。 一高のエースだね。 出場種目は『アイスピラーズ・ブレイク』と『ミラージ・バット』だね。」
「司波深雪……か。」
(……見るからに一目惚れだな。 まあ、正直相手にされるような要素はどこにもねぇから大丈夫だろうが。)
内心で紫輝は将輝をバッサリと斬った。 それはもう空間を斬りかねないくらいの勢いで。
見てくれは悪くはないだろう。 傍から見れば確かにプリンスと言われてもおかしくはない。
しかし、それ以外に紫輝を惹きつけるものは何もない。 実戦経験があると聞いたから少しは期待していたのだが……。
早い話、『凄み』が無いのだ。 血生臭い戦場を駆けた者特有のソレがあまりに薄い。
まあ、紫輝の興味を持つラインが些か高いのも問題なわけなのだが……。
特に見るものも無くなったので別の学校の生徒を見に行くかと思ったところで、見知った顔が居たので足を止める。
(あー、そういえばアイツも三高だったか。 ……お、深雪に話しかけてら。)
割と久しぶりに見る顔だから絡んでやるかとも思ったが、流石に選手同士のやり取りならば邪魔はしない。
ここいらで移動しようかと思ったところで、来賓挨拶が始まるアナウンスが入った。
九校戦は優秀な魔法師のタマゴが集まるからか、その来賓も魔法師界の名士が集うことになる。
ただ、その中で紫輝が興味を持つ者は一人だけなのだが。
「続きまして、かつて世界最強と目され二十年前に第一線から退いてからも九校戦をご支援くださっております九藤烈閣下よりお言葉を頂戴します。」
(お、やっぱりいるのか……九藤閣下)
その名を聞いて、紫輝も壇上の方へ視界を向けた。
九藤烈……この国に十師族という序列を作り出した長老とも言われる人物だ。
魔法師として『最高』にして『最功』。 『トリック・スター』という異名で語られている実力者でもある。
顔を見るのは初めてだが、彼の弟子に当たる人物は二人ほど知っているし、その二人から話は聞いている。
その伝聞から、紫輝の評価はかなり高い。 自身も教えを請いたいと思うくらいだった。
誰もが老師の登場を待つ中、ライトアップと共に現れたのは……。
「あれ、女の人……?」
「何かの手違いか?」
誰がどこからどう見てもドレスを纏った女性が一人いるだけだった。
一体何ごとかと生徒間でどよめきが起こる中、紫輝はすぐに種が分かった。
(普段俺がやってるのとは違うアプローチだな。 あのお嬢さんに意識を向けさせる……ただそれだけの魔法。 そんな精神干渉魔法がこの会場全体に掛けられてるな。)
紫輝は自身を周囲と同調することで認知しづらくしているが、これは意識を別の対象……いわばデコイに向けさせて自分を認識しづらくさせる。
なるほど、確かに『トリック・スター』だ。 現に、紫輝以外で気づいているのは彼が見る限りで知っている顔では達也と真由美のみで、後は知らない顔で3人ほど。
克人や摩利、更に深雪ですら気付いていない。
暫くすると、会場内で6人にしか認識されていない九藤烈は、女性に耳打ちをしてその場を去ってもらった。
「まずは、このような悪ふざけに付き合わせてしまったことを謝罪する。」
本人の声が聞こえたと同時に精神干渉魔法の効力はなくなったようだ。
大半の生徒は突然壇上に現れた烈に対して驚きの表情を見せる以外になかった。
「今のは魔法というよりは手品の類だ。 そして、この手品のタネに気づいたのは見たところ5……いや、6人だけのようだった。 つまり、それは何を意味するか。」
一呼吸置いた後、冷笑とも取れる表情と共に続ける。
「もし私がテロリストだった場合……私を阻むべく行動を起こせたのはその6人だけということだ。」
かなり物騒な例えだが、事実その通りだ。
周囲が顔を真っ青にしたり動揺している中、紫輝は如何にも他人事のように内心で呟く。
このような手品のような魔法1つでも、九藤烈のような使い手ならば凶悪なものに変えられる。
(確かに最功だな。 本当、世界ってのは広いもんだ……こんな使い手がいるんだからな。)
ひたすら感心していると、烈の視線が一瞬達也の方に向かったかと思えば、今度は紫輝の方へ向けられる。
ほんの一瞬だったが、確かに向けられた視線に対して、紫輝はいつもの外連味ある笑みと会釈で返す。
……この意味をちゃんと理解しているかどうかは別として。
「諸君、今私が用いた魔法は低ランクのものだ。 しかし、君たちはそれに惑わされて私を認識できなかった。 このような小さな魔法でも、使い方次第で有効になる。 明日からの九校戦は、まさにその魔法の使い方を競う場となるのだ。 諸君の工夫を楽しみにしている。」
最後に魔法の使い方についてで話を締めた。
大半の生徒は彼の言っていることに戸惑いを覚えながらも拍手を送る。
それに対して、ランク至上主義の魔法師社会のトップである彼が魔法は道具で使いよう、それを口先だけでなく実践してみせたことに素直に称賛を送るのは達也と紫輝のみだった。
ちょっと話の区切れが微妙ですが、字数の関係でここまでです。
最初の場面で出てきた新キャラは『銀盤カレイドスコープ』からのゲストです。
スケート系の作品を何か読みたいと思った中で身内がアニメ版を見てたのでそれに乗じて小説版をまとめて購入。
その中でタズサのキャラが凄い気に入ったのでゲストという形で出すことをいつだったか電車の中で考え付いてしまいました。
本作へのゲスト参戦ということで色々と背景は変わっていますが、根っこはさほど変化はありません。
スケート方面だと準主役級な彼女ですが、現プロットではスケート関係ないとある箇所でも出る予定です。
他にも原作九校戦編から話の流れを調整しました。 まあ、非常に細かいところなんですが……。
そして本作でのクリプリの扱いが決定した瞬間。 どうなるかは大体想像できるとは思います。
一条君が好きな人には申し訳ありませんが、本作ではこのような扱いになります。
リアルの方が安定して、執筆時間も何とか取れそうなので月1更新は最低守れるように努めます。
こんな亀更新な作品ですが、これからもよろしくお願いいたします。