空人と雷人   作:シャインベルク

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第5話 アイスバーグさん

 

 「ンマー……驚いた……おめェさん、何者だ?」

 

 

 「俺の名はソラ。あんたに頼みがあって探してたんだ」

 

 

 身内大工達の身体能力が高いとはいえ、正真正銘”空を飛ぶ人間”は初めてなのだろう。

まぁ、俺も目の前にいきなり空飛ぶ人間が現れたら驚くしな。

 

 

 「ほいコレ、ココロばーさんの紹介状」

 

 

 「ココロバーさんから?どれどれ……「ふねみてやんなよ ココロ(^ε^)-☆Chu‼」

 

 

 

 ビリビリッ‼

 

 

 「って、おい‼なんで破く⁉」

 

 

 「キスの顔文字が不愉快だった」

 

 

 「え~……」

 

 

 「ンマーいいさ。誰か人を寄越してやるからソイツに……」

 

 

 「あ~、出来ればあんまり大人数は……」

 

 

 ただの船じゃないからな。見る人は少ない方がいい。

 

 

 「なにか訳アリの船か?……まァいいさ、気晴らしにはなるだろう」

 

 

 どうやら見てくれるみたいだ。よかったよかった。

ここで違う奴、特に政府側の人間は勘弁だったしな。

 

 

 

 

 

アイスバーグさんを連れてマクシムまで戻る。俺としては普通に歩くつもりだったが、

その時にせがまれて空中を歩くことになった。島全体が見渡せる高度まで上る。

 

 

 「ンマー、これは大変気分がいいな……悪魔の実の能力か?」

 

 

 「ご名答……自然系”ソラソラ”の実。俺は空人間だ」

 

 

 「”空”……なんとも理解しにくいが……」 

 

 

 ウォーターセブンを眼下に見据え、感慨深げに話す。

 

 

 「このような景色が見れるのなら、悪くない能力だ」

 

 

 「そうっすか。そりゃよかった。下りはもっと面白いですよ」

 

 

 「なにィ……」

 

 

 「”空中回廊”」

 

 

 空中をレーン状に固定し、滑りながら降りれるようにする。

一旦滑り出すと、ジェットコースターに乗っている気分だ。

 俺が前を滑り、後ろからついてきてもらう。

 

 

 「ンマ―‼‼‼これは気持ちいい‼‼‼」

 

 

 アイスバーグさんもご満悦のようだ。見事にバランスをとって滑空している。

そんな事を考えていると、すぐにマクシムが見えてきた。

傾斜を緩やかにし、減速する。っと、着地成功。

 

 

 「これは素晴らしい‼もう一回乗せてくれ‼」

 

 

 「あ~、先に船見てくださいよ。その後なら……」

 

 

 「絶対だぞ‼」

 

 

 どうやら予想以上に気に入ったらしい……これ制限しないと何回も頼まれそうだ。

 

 

 「で、見て欲しい船ってのは……」

 

 

 そう言いながらマクシムを見る、が会った時くらい驚いている。……急にこちらを向くと、

 

 

 

 

 

 「おめェ……こんなもんどこで手に入れた……」

 

 

 と、若干ドスの効いた声で尋ねてきた。やっぱ見せんの失敗だったか……

 

 

 「……空島スカイピア」

 

 

 正直に答える。そうすると一転、なんともいえない表情になった。

 

 

 「空島……だと……」 

 

 

 そういうと、何かを考えるように黙ってしまった。

「ここまでの技術……」とか「まさか古代…」とか物騒な呟きが聞こえる。

 

 

 「おめェよ……この船で何をする気なんだ?」

 

 

 「なにも」

 

 

 咎めるような問いかけに躊躇わず答える。あまりの即答にこっちに振り向く。

 

 

 「俺はただ、自由に生きたいだけだ。この世界を」

 

 

 「………」

 

 

 視線が交錯する。しばらくすると緊迫した空気を崩すように息を吐いた。

 

 

 「ふう……そうかい。んで、この”空飛ぶ船”を俺に見せて、どうしたいんだ?」

 

 

 「見ただけでわかるのかよ……あんたも大概化けモンじゃん……」

 

 

 とりあえず、この船が空を飛ぶこと、海に浮かばないこと、

どうにか海を進めないかと、相談することにした。

 その過程で内部も見せることになったが、この人なら大丈夫だろう。

一応、製作者の許可もとったしな。

 

 

 

 

 

 結論から言うと……かなり無理矢理の方法を教えられた。

正直驚いた。俺じゃなんで沈むのかもわからなかったから。

 

 

 沈む理由は簡単だった。ただの過積載。中に詰まっている機械が重すぎた。

考えてみれば簡単な話だが、これを削ると飛べなくなるので本末転倒だ。

 まずは余計な部分を徹底的にカットし船体を軽くしろ、と言われた。

ああ、その過程でイイモノが見つかった。これはラッキーだ。

それでも駄目なら最終手段があるらしい。それが、

 

 「左右に一隻ずつ、船を接続しろ」

 

とのことだった。要は三胴船のような形にすることで、

足りない浮力を補え、という事らしい。

 ……なんでタダで船が手に入ったのに追加で二隻も買うんだ……

それなら俺かエネルが頑張って、長時間電力を補給出来る手段を身につけたほうがいい。

 

 

 そんなわけで、マクシムの改造は見送ることにした。

ふと気になり、これをもう一隻作れるか聞いてみたら、

 

 

 「作れるが、肝心の飛行機能が使えないんじゃ意味がない」

 

 

 やはり、雷のロギア級のエネルギー源がなければ宝の持ち腐れのようだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 「色々ありがとうございました」

 

 

 「ンマー、気にするな……おれもこんな珍しい船に触れられて満足だからな」

 

 

 かなり長い時間拘束してしまったが、全然気にしていないようだった。

そのあたりは、造船技師としての性だろうな。

 

 

 「これからどうするんだ?」

 

 

 「少なくとも、記録が溜まるまではゆっくりしますよ」

 

 

 「そうか、近々アクア・ラグナが来るからな。それまでには船を……」

 

 

 そこまで言いかけて止める。実際どんな波が来ても飛んで逃げれるから関係ない。

 

 

 「お察しの通り」

 

 

 「まぁ、必要なら倉庫の一つくらい貸してやる」

 

 

 「お、そりゃありがたい」

 

 

 あそこにもっていく必要はないしな。わざわざ政府の奴らに見せることもない。

 

 

 「飛行船か……いつか作ってみたいもんだ」

 

 

 まぁ、現状じゃオーバーテクノロジーもいいとこだしな。

 

 

 「暇になったら本社に来い。茶ぐらいは出してやる」

 

 

 「了解です。それじゃ今日はホントにありがとうございました」

 

 

 そういうと、アイスバーグさんは帰っていった。

結構ためになる話も聞けたし、来たかいがあるってもんだ。

 

 

 さて、これからちょっとだけ平和かな……取り敢えず、修行だな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「さて……今日か……」

 

 

 「何がだ?」

 

 

 いつもと違う様子に、不思議そうにエネルがこちらを見る。

 

 

 アクアラグナ襲来の日、行動に移ることにする。

 

 

 「自由に生きる為に、世界と戦うのさ」

 

 

 「ほう……世界とは、また大きく出たものだ」

 

 

 獰猛な笑みを浮かべる。そろそろ身体が疼いているのだろう。

 

 

 「その前に、接触しておく奴がいる。エネルもよく知ってる奴だよ」

 

 

 「…………麦わら」

 

 

 不満そうに顔を歪める。 

 

 

 「いきなり喧嘩すんなよ。むしろこっちに留まらせた恩人って思っとけ」

 

 

 「ふん……」

 

 

 あまり納得はしていないようだが、ここは我慢してもらおう。

 

 

 「まぁよい……本当の狙いは誰なのだ?」

 

 

 「一回、格上の覇気使いとやりあっておきたくてな」

 

 

 この能力で、どこまで経験不足をカバー出来るか知っておきたい。

だからこそ、狙うのはやはりあの男。

 

 

 

 

 

 「世界三大勢力、海軍本部”大将”青キジ」

 

 

   

 

 

 

 

 




お読みいただきありがとうございます。

マクシムは悩みましたが、あくまでも飛行船として運用します。

主人公のターゲットまではしばらくかかりそうです。
次回はついに麦わらの一味との邂逅です。
エネルが暴れないことを祈りましょう。

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