「ンマー……驚いた……おめェさん、何者だ?」
「俺の名はソラ。あんたに頼みがあって探してたんだ」
身内大工達の身体能力が高いとはいえ、正真正銘”空を飛ぶ人間”は初めてなのだろう。
まぁ、俺も目の前にいきなり空飛ぶ人間が現れたら驚くしな。
「ほいコレ、ココロばーさんの紹介状」
「ココロバーさんから?どれどれ……「ふねみてやんなよ ココロ(^ε^)-☆Chu‼」
ビリビリッ‼
「って、おい‼なんで破く⁉」
「キスの顔文字が不愉快だった」
「え~……」
「ンマーいいさ。誰か人を寄越してやるからソイツに……」
「あ~、出来ればあんまり大人数は……」
ただの船じゃないからな。見る人は少ない方がいい。
「なにか訳アリの船か?……まァいいさ、気晴らしにはなるだろう」
どうやら見てくれるみたいだ。よかったよかった。
ここで違う奴、特に政府側の人間は勘弁だったしな。
アイスバーグさんを連れてマクシムまで戻る。俺としては普通に歩くつもりだったが、
その時にせがまれて空中を歩くことになった。島全体が見渡せる高度まで上る。
「ンマー、これは大変気分がいいな……悪魔の実の能力か?」
「ご名答……自然系”ソラソラ”の実。俺は空人間だ」
「”空”……なんとも理解しにくいが……」
ウォーターセブンを眼下に見据え、感慨深げに話す。
「このような景色が見れるのなら、悪くない能力だ」
「そうっすか。そりゃよかった。下りはもっと面白いですよ」
「なにィ……」
「”空中回廊”」
空中をレーン状に固定し、滑りながら降りれるようにする。
一旦滑り出すと、ジェットコースターに乗っている気分だ。
俺が前を滑り、後ろからついてきてもらう。
「ンマ―‼‼‼これは気持ちいい‼‼‼」
アイスバーグさんもご満悦のようだ。見事にバランスをとって滑空している。
そんな事を考えていると、すぐにマクシムが見えてきた。
傾斜を緩やかにし、減速する。っと、着地成功。
「これは素晴らしい‼もう一回乗せてくれ‼」
「あ~、先に船見てくださいよ。その後なら……」
「絶対だぞ‼」
どうやら予想以上に気に入ったらしい……これ制限しないと何回も頼まれそうだ。
「で、見て欲しい船ってのは……」
そう言いながらマクシムを見る、が会った時くらい驚いている。……急にこちらを向くと、
「おめェ……こんなもんどこで手に入れた……」
と、若干ドスの効いた声で尋ねてきた。やっぱ見せんの失敗だったか……
「……空島スカイピア」
正直に答える。そうすると一転、なんともいえない表情になった。
「空島……だと……」
そういうと、何かを考えるように黙ってしまった。
「ここまでの技術……」とか「まさか古代…」とか物騒な呟きが聞こえる。
「おめェよ……この船で何をする気なんだ?」
「なにも」
咎めるような問いかけに躊躇わず答える。あまりの即答にこっちに振り向く。
「俺はただ、自由に生きたいだけだ。この世界を」
「………」
視線が交錯する。しばらくすると緊迫した空気を崩すように息を吐いた。
「ふう……そうかい。んで、この”空飛ぶ船”を俺に見せて、どうしたいんだ?」
「見ただけでわかるのかよ……あんたも大概化けモンじゃん……」
とりあえず、この船が空を飛ぶこと、海に浮かばないこと、
どうにか海を進めないかと、相談することにした。
その過程で内部も見せることになったが、この人なら大丈夫だろう。
一応、製作者の許可もとったしな。
結論から言うと……かなり無理矢理の方法を教えられた。
正直驚いた。俺じゃなんで沈むのかもわからなかったから。
沈む理由は簡単だった。ただの過積載。中に詰まっている機械が重すぎた。
考えてみれば簡単な話だが、これを削ると飛べなくなるので本末転倒だ。
まずは余計な部分を徹底的にカットし船体を軽くしろ、と言われた。
ああ、その過程でイイモノが見つかった。これはラッキーだ。
それでも駄目なら最終手段があるらしい。それが、
「左右に一隻ずつ、船を接続しろ」
とのことだった。要は三胴船のような形にすることで、
足りない浮力を補え、という事らしい。
……なんでタダで船が手に入ったのに追加で二隻も買うんだ……
それなら俺かエネルが頑張って、長時間電力を補給出来る手段を身につけたほうがいい。
そんなわけで、マクシムの改造は見送ることにした。
ふと気になり、これをもう一隻作れるか聞いてみたら、
「作れるが、肝心の飛行機能が使えないんじゃ意味がない」
やはり、雷のロギア級のエネルギー源がなければ宝の持ち腐れのようだ。
「色々ありがとうございました」
「ンマー、気にするな……おれもこんな珍しい船に触れられて満足だからな」
かなり長い時間拘束してしまったが、全然気にしていないようだった。
そのあたりは、造船技師としての性だろうな。
「これからどうするんだ?」
「少なくとも、記録が溜まるまではゆっくりしますよ」
「そうか、近々アクア・ラグナが来るからな。それまでには船を……」
そこまで言いかけて止める。実際どんな波が来ても飛んで逃げれるから関係ない。
「お察しの通り」
「まぁ、必要なら倉庫の一つくらい貸してやる」
「お、そりゃありがたい」
あそこにもっていく必要はないしな。わざわざ政府の奴らに見せることもない。
「飛行船か……いつか作ってみたいもんだ」
まぁ、現状じゃオーバーテクノロジーもいいとこだしな。
「暇になったら本社に来い。茶ぐらいは出してやる」
「了解です。それじゃ今日はホントにありがとうございました」
そういうと、アイスバーグさんは帰っていった。
結構ためになる話も聞けたし、来たかいがあるってもんだ。
さて、これからちょっとだけ平和かな……取り敢えず、修行だな。
「さて……今日か……」
「何がだ?」
いつもと違う様子に、不思議そうにエネルがこちらを見る。
アクアラグナ襲来の日、行動に移ることにする。
「自由に生きる為に、世界と戦うのさ」
「ほう……世界とは、また大きく出たものだ」
獰猛な笑みを浮かべる。そろそろ身体が疼いているのだろう。
「その前に、接触しておく奴がいる。エネルもよく知ってる奴だよ」
「…………麦わら」
不満そうに顔を歪める。
「いきなり喧嘩すんなよ。むしろこっちに留まらせた恩人って思っとけ」
「ふん……」
あまり納得はしていないようだが、ここは我慢してもらおう。
「まぁよい……本当の狙いは誰なのだ?」
「一回、格上の覇気使いとやりあっておきたくてな」
この能力で、どこまで経験不足をカバー出来るか知っておきたい。
だからこそ、狙うのはやはりあの男。
「世界三大勢力、海軍本部”大将”青キジ」
お読みいただきありがとうございます。
マクシムは悩みましたが、あくまでも飛行船として運用します。
主人公のターゲットまではしばらくかかりそうです。
次回はついに麦わらの一味との邂逅です。
エネルが暴れないことを祈りましょう。
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