がっこうぐらし!~おわりのはじまり~   作:Archer SHO

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読者様よりめぐねぇの本名の漢字の誤記の報告があったため修正しました。不快になられた方にはご迷惑をおかけしました。申し訳ございません。


かんげい

~私立巡ヶ丘学院高等学校、生徒指導室~

 

~午前10時~

 

コンコン

 

ドアをノックする音で少年は目が覚めた。ドアを開け、入ってきたのは、

 

「おはよう、亮。眠れたか?」

 

胡桃だった。

 

「おう、おはよう胡桃。久しぶりに安心して眠れたよ」

 

とは言ったものの、少年は昨日胡桃に生きて会えたうれしさのあまり抱きついてしまったことについて冷静になって思い出して、恥ずかしさのあまり転げまわってなかなか寝付けなかったのだが…

 

「そか。あぁ、そうだ。昨日ろくに自己紹介もできてなかっただろ。生徒会室まで着いて来てくれよ、飯もあるしさ」

 

「分かった。用意するからちょっと待っててくれ」

 

「おう、早くしろよー」

 

「わぁーてるよ」

 

昨日、生徒会室に案内された後、どうやらトイレに隠れていた生存者の1人が倒れたらしく、バタバタしていた中、少年は胡桃にひとまず今日は生徒指導室で休むように言われたのだ。

 

「さて、行くか」

 

少年は、昨日着ていた服の変わりに、部屋の奥にあった巡ヶ丘高校の男子用のカッターシャツとスラックスを着て、ホルスターやらの付いた帯革などをその上から装備していた。

 

「おまたせ」

 

「おう。ん?その制服どうしたんだよ?」

 

「部屋の中にあったから勝手に着たけど…マズかったか?」

 

「いんや、そういうことならいいんだ。ただ昨日と服装が違ったからさ」

 

「そういうことか」

 

胡桃と雑談しながら生徒会室に入るとそこには、

 

「あら、起きたのね。確か、篠山くんだったわよね」

 

「ん?あぁ、昨日の」

 

そこには昨日の私服の女の子がいた。制服を着ていたためすぐには分からなかったが。

 

「わたしは若狭悠里、よろしくね?あ、あと昨日はありがとう、くるみを助けてくれて」

 

「いんにゃ、当たり前のことをしただけだよ」

 

「…な~にカッコつけてんだよっ!」

 

どすっ

 

少年は隣にいた胡桃にわき腹を殴られた。

 

「痛ってぇ!なにすんだよ!」

 

「ふんっ」

 

「あらあら」

 

そういうやりとりをしていると、生徒会室のドアが開き、

 

「あれ?男の子?はっ!もしかして新入部員!?」

 

入ってきたのは猫耳のようなものがついている帽子をかぶった女の子だった。

 

「新入部員?いったいなんの…」

 

なんのことか聞こうとしたら胡桃に引っ張られ、耳元で

 

(おい!理由は後で説明するから今は話あわせてくれ!)

 

(…おう)

 

「?くるみちゃん、どうしたの?」

 

「い、いやなんでもねぇよ!あ!そうだ!こいつアタシの幼馴染なんだけど、ぜひ学園生活部に入部したいんだってよ!!なぁ亮!!」

 

「…まぁ、そういうこと…かな?」

 

「へぇ~!そーなんだ!!ねぇねぇ!君、名前は?」

 

「俺は篠山亮。3年だ。えぇと、君は…」

 

「わたしは丈槍由紀!りょーくんと同じ3年だよ!!よろしくね!」

 

「お、おうよろしく」

 

(こいつ同い年かよ!!てっきり1年か何かかと…)

 

「あ、めぐねぇ。りょーくん起きたよ」

 

由紀は誰もいない場所に向かって話しかけていた。

 

少年は胡桃に

 

(お、おい、あの子大丈夫なのか?)

 

(…それも後で説明する)

 

「あっ、めぐねぇが補習するって言ってるからもう行くね。またあとでねー!!」

 

由紀は嵐のように去っていった。

 

「…何にせよ、亮が無事でよかったよ」

 

そう言いながら、胡桃は机の上にあったスタンドライトの電気をつけた。

 

「まさか…電気が来てるのか?」

 

「あぁ、屋上の太陽電池からな。それに水周りやガスも生きてるからシャワーも出るぞ。まぁここ最近曇り続きのせいで電気が貯まってないから今すぐはムリだけど」

 

「明日には入れるはずよ」

 

「そうか」

 

「そういえば亮はどうしてたんだ?銃も持ってるし…あの日学校に来てなかっただろ?」

 

「あの日は寝過ごしてずっと家にいたんだ。だけど次の日にはインフラが全部ダウンして…家を出てからは食糧を求めてずっと北上してきたんだ。銃は途中で事故ったパトカーからな。あぁ、あと胡桃が心配になってここにきたんだ。まぁ、ついでだ、ついで」

 

「…あたしはついでなのかよっ!」

 

胡桃がブオン!と思いっきりシャベルを少年に振りかざした。

 

「うぉ!あっぶねぇなぁ!」

 

「ふっふ~ん、あたしのことをついでなんて言うからだよ。昨日、あたしを見て泣きながら抱きついてきたのはどこの誰だったかな~♪」

 

「なっ!昨日は…その…ていうかそもそも泣いてなかっただろ!!」

 

「どうだったかな~♪」

 

「もう!くるみもこれ以上ふざけないの!!それで、篠山くん。なにか他に聞きたいことはある?」

 

「お前らはどうやって生き残ったんだよ?」

 

「あたしたちはあの日、屋上にいたんだよ。それで助かったんだ」

 

「なんで屋上は安全だったんだ?あのゾンビども、普通に階段とか上ってきただろ?

「…『かれら』は階段を上ったりすることは出来るのは出来るけど、生きてたときに比べるとニガテみたいなのよね」

 

「上の階ほど安全って訳なのか」

 

「ほかには?」

 

悠里に聞かれて少年は、先ほどの猫耳帽子の女の子について思い出した。

 

「…そういえば、なんかいろいろと事情があるっぽいけど、さっきの子。丈槍…だったか?は幽霊でも見えるのか?」

 

胡桃と悠里の2人がさっきと打って変わって暗い顔をした。最初に口を開いたのは、

 

「…あの子の中では事件は起きてないの。学校は平和で、先生やみんなもいて…」

 

悠里だった。

 

「…なるほど」

 

「最初はね、たまにあんな風になる感じだったの。でも、めぐねぇが亡くなってからは…」

 

「…そのめぐめぇってのは?」

 

「現国の佐倉慈先生だよ。ほら、ぽわぽわした優しい感じの」

 

「あぁ、あの先生か。」

 

「この学園生活部を作ったのもめぐねぇなの」

 

「少し落ち着いた頃にめぐねぇとりーさんが考えたんだよな」

 

「ちょっと待ってくれ。その学園生活部ってのはなんなんだ?」

 

「ん?まだ説明してなかったか。…りーさんとめぐねぇが毎日ただ生き残るために暮らすのは疲れるからいっそのこと部活の合宿ってことにしようってなって始まったのが…」

 

「それが学園生活部ってわけか」

 

「ええそうよ。…ねぇ、篠山くん。話は戻るけど…ゆきちゃんのこと。ここにいる間はあの子に合わせてもらえないかしら」

 

「…別にかまわねぇよ。ただ、一応言っておく。今は大丈夫かもしれないけど、そう遠くないうちに丈槍は現実を見ることになる…かもしれない。そのとき、丈槍の心は壊れるかもしれない。そうなったときにどうするか、そうならないためにはどうするか、それも考えるべきだと思う」

 

「…そうね、考えておくわ。篠山くんも考えておいてくれるかしら?」

 

「りょーかい。せっかくの生き残りどうし仲良くやらないとな」

 

「…ありがとう」

 

「そ、そういえば亮はなんで北に向かってたんだ?」

 

「昔、胡桃んとこの家族とも一緒にいった男土山のキャンプ場にあるコテージ、覚えてるか?」

 

「あぁ、覚えてるよ。亮が近くの川で足滑らしてびしょぬれになったとこだろ?」

 

「…よくそんなことまで覚えてんな。まぁそこだよ、そこ。…あそこに俺の両親が逃げたはずなんだ」

 

「…そうだったんだな」

 

「そう落ち込んだ顔すんな。あの日母さんは家にいたはずだ。父さんが母さんを迎えに行くって言ってたから、そんときに一緒に逃げてるかもしれないぜ?」

 

「…そう…だよな。うん。うちの家族、みんなしぶとそうだしな!」

 

そんな話をしていると、

 

「はぁ、やっと補習終わったよ~」

 

「あら、ゆきちゃんお帰りなさい。そういえば、めぐねぇに遠足のこと聞いてくれた?」

 

(…遠足ってなんだよ!)

 

少年は心の中で一人ツッコミをいれていた。

 

「あっ!うん!いいけどちゃんと文書にして提出しなさいだってー」

 

「…そりゃ、部活動で遠足ってなりゃあそれくらいしないとダメだろう」

 

少年は遠足がなんなのか分からなかったがひとまず話を合わせることにしたらしい

 

「あ!りょーくん!!入部したの!?」

 

「おう、若狭が良いって言ってくれたおかげでな」

 

「そーなんだ~、じゃー改めてよろしくね!」

 

「あぁ、よろしく」

 

そういって二人は握手をした。

 

しばらくして由紀が生徒会室を再び出て行ったあと、

 

「…で、遠足ってなんだ?」

 

「分かってなかったのかよ…」

 

胡桃に呆れられながら言われた。

 

「実はね、食糧がもうないの。今までは学校の購買部から取ってきてたんだけどそれも無くなっちゃって。だから外に行こうって話になったの」

 

「行き先は決まってるのか?」

 

「一応な。リバーシティトロンっていうショッピングモールだ。1回一緒に行ったことあっただろ?」

 

「いや、覚えてるけどさ。あそこゾンビでいっぱいじゃないのか?」

 

「明日は平日だから『かれら』は少ないはずよ」

 

「…若狭たちはゾンビどものこと『かれら』っていうんだな」

 

「だってこれは現実よ?映画みたいにゾンビって呼ぶのもアレかなって。あっ、別に篠山くんの『かれら』に対する呼びかたを否定するわけじゃないのよ?」

 

「いや、気にしてないよ。俺もその呼び方にする、こういうのは統一したほうが便利だろ?…話が反れたな。足はどうする?」

 

「一応、めぐねぇの車の鍵なら持ってるけど。もしかしたら職員室を探したら他の先生の車の鍵も見つかるかも」

 

「いや、どの車かわかんねぇだろ。…よし、足は佐倉先生の車。運転は一先ず俺がする、免許あるしな。ルートは…まぁなんとかなるだろ。」

 

「うっし。あとはどうやって車まで行くかだな」

 

「正面玄関からはムリだろうな」

 

「3階の避難はしごからまっすぐに降りれば駐車場まで150メートルだけど…その装備で全力疾走よ?大丈夫?」

 

「まぁ、なんとかなるだろ」

 

「あたしも一緒に行こうか?」

 

「いや、胡桃は残っててくれ、もしものときに戦えるやつがいないのはまずい。それに『かれら』に囲まれたら1人だろうと2人だろうと一緒だろ?」

 

「そりゃそうだけど…」

 

「気をつけてね?」

 

「分かってるよ。さて!明日の用意したらさっさと寝るとしますか!!」

 

「そうね、今日は明日に備えて早く寝ることにしましょう」

 

「あたしもそれで賛成だよ」

 

 

 

こうして少年は学園生活部に入部し、次の日の『遠足』に備えるのだった。

 

 

 

…to be continue

 

 

 

 

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