ポケモン世界に転生したので好き勝手に生きてみる 作:にわか党
「知らない天井だ…」
「いや、ここ天井ないから」
そう、目の前にいるでっかい翼が背中にジョイントされている美青年の言葉通り、俺がいる場所には天井がない。
それどころか床や壁もない真っ白な空間に俺は浮いている。
「いやいや、この翼パージ出来ないから」
「さらっと心の声へのツッコミありがとうごザマス。して、此処は何処で、何故私はここに?」
「それは、かくかくしかじかで」
「まるまるうまうまなんですね、ワカリマセン」
それで理解出来るのは相手の心を読める人だけだ。
「御尤も」
ウンウンと頷いているが、貴方の事ですからね?
「おい」
よく分からない人物とよく分からない掛け合いをしていると、第三者の声がしたので振り向く。
なんということでしょう、真っ白で何も無い空間だと思っていたそこには真っ黒で凶悪なフォルムをしたアンチマテリアルライフルを構える無表情な美少女ちゃんがいるではありませんか。
しかも、御丁寧に俺と翼付き美青年どちらも狙えるように両手に一丁づつときたもんだ。
「さっさと話を進めろ。クソムシが」
「「Yes, ma'am.」」
ちょっとブルっちまったぜ。
よく見ると、この無表情な美少女ちゃんにも翼があった。
そして、アンチマテリアルライフルを向けられた状態で翼付き美青年の説明を聞く。
説明は要約して次のような内容だった。
・翼付き美青年は俺がいた世界の神様
・危険物所持美少女は神様を補佐する天使
・俺は面白い死に方で死んだ
・俺の死に方を神様オモシロ映像選手権に出したら見事に一位を獲った
・神様鼻高々
・御礼に俺を好きな条件で転生させてくれる
・美少女天使ちゃん仕事を増やされイライラ
イマココ。
「おけ、把握」
「君のおかげで僕も神の中で有名になっちゃったよ」
しかし、俺には自分がどうやって死んだのかという記憶はなかったりする。
「ああ、何ならその時の映像見せようか?」
「だが断る」
自分が死ぬとこ見るなんてノーサンキュー。
「てか、神様ってそんないっぱいおるもんなんすねー」
「まあねー。君のいた日本だけでも八百万の神とか言ってたでしょ?」
「ああ、はいはい。言います、言います」
「まあ、そんな多いと僕みたいな世界任されてても底辺な神がいたりするんだよねー、はっはっは」
「笑い事じゃねーよ。そのクソムシの補佐しなくちゃならねーこっちの身にもなれや」
「ゴメンナサイ」
この神様と天使様、どっちが上司か分かんなくなってきた。
「そっちのクソムシもさっさと希望言って消えろ。存在ごと消すぞ」
「リョーカイデアリマス」
この御方に逆らえるの誰よ、いるなら連れてきなさいよ。
「でも、君が心の中で美少女って言ってるから照れ隠しも入ってるんだけどね。彼女」
「なるほど、ツンデレカワユイという訳ですな」
「然り、然り」
パンッ!
はい、撃たれたー。
眉間をぶち抜かれましたよ。
血とかは出てないみたいだけど、頭が吹き飛ぶ苦痛を更に何倍も濃縮されたような苦痛が今尚襲ってきてる。
「じゃあ、そろそろ君の転生について希望とか聞こうか」
「きびきび答えるであります」
かつてない程の苦痛がやっと収まり、銃口を突き付けられながらどんな希望を言おうか考える。
ちなみに銃口、まだお熱い。
「ある程度の事なら何でもいいよー。君のいたとこと違ってファンタジーな世界とかも大丈夫だし」
「じゃあ、ポケモンがいる世界とか」
自分で言っといて何だけど流石にないか。
「おっけー、おっけー」
はい、あったー。
「そこってやっぱりアニポケとかの登場人物が?」
「少しはいるかもね」
マジですか。
「他には? 赤ん坊からが良いとか、金持ちの親がいいとか、イケメンがいいとか、逆に女になりたいとか」
そんなに細かい感じで言っちゃっていいのか。
「絶対赤ん坊からしかダメなんで?」
「そんな事はないよー。例えば、他にもこっちでその世界用の身体を作ったりとか出来ますし?」
「ああ、じゃあ、それお願いしますわー」
「はいはーい。ではでは、補佐の仕事お願いしまーす」
「…チッ」
舌打ち頂きました。
そして、天使様がおつくりになって下さるんですか。
「僕のしょぼい技術でやられるよりいいでしょ?」
自分でしょぼい言っちゃうんですね。
他の希望を考えながら、美少女な天使様を見て目の保養をしているとライフルがいつの間にか消えていた両手を前に出し、その手が光った。
神様と仲良く大佐になった後、天使様の方を見ると俺の身体と思われるものが出来ていた。
燻んだ灰色の髪に背丈は一般男性の平均くらいで細め。
顔立ちは十代後半くらいの割りかし綺麗な感じ。
「ほむほむ、こういうのが好みなんだね。把握した」
学習しない神様は再度眉間を正確に撃ち抜かれ、のたうち回る。
もちろん見なかった事にする。
「僕、形作るのとかは苦手だけどチカラを込めるのは割と大丈夫だから任せてね」
復活の早い神様にそう言われたので、とりあえず適当に言ってみる。
「高い身体能力と知能、言葉とかポケモンの知識、安全に暮らせる家、そこそこのお金…ちょっと欲張りすぎっすかね?」
「…いや、逆に表紙抜けするくらい少ないね。もっと無理難題を吹っかけてくると思った」
そんないっぱいは急に思い付かないって。
それに、これでも結構な事言ってる自覚あるんすけどね?
「まあ、その方が僕も楽でいいけど。じゃあ、高い身体能力と知能にゴキブリ並みの生命力、色んな知識、安全で快適な庭付きの家、三年は遊んで暮らせるお金、こんくらいはサービスするよ」
ありがた過ぎて涙が出てきそうで出てこないです。
「なんなら、ポケモンの言葉が理解できるようにも出来るけど?」
「ポケモンがしゃべるのは嫌」
「まあ、僕もちょっと嫌だわー。だが、ニャースとミュウツーは除く」
「分かってらっしゃる」
「じゃあ、ポケモンの気持ちがちょっと伝わるくらいにしとくねー」
サービス精神旺盛っすな。
「ついでに、嘘が分かるようにしてー、誰にでもそっくりに変装出来るってのも面白いなー」
あれあれ?
実はただ神様が面白がってるだけなん?
「いやー、神様も結構ストレス溜まるから、発散出来る時にしちゃわないと」
「ストレスごとテメーを蒸発させてやろうか?」
「スイマセンでした。もう終わりにしますんで、マジ」
安定の天使様で長くなりそうだった俺の転生の準備が整った。
「さっき言った以外にも色々追加しておいたからねー。ああ、あと、作った身体は寿命もあって死にはするけど自然治癒力も高いし、病気にはかからないし、老化もしないから」
チートな身体キタコレ。
「でも、こっちで作った身体は子供は出来ないんだけどね」
「このタイミングで結構なカミングアウトっすね。まあ、いいんすけど」
「ついでに言うと、前の世界の家族とか友達とかの記憶は
ふむ、確かに誰の顔も名前も思い出せん。
「僕からはこんなところかな。準備がいいなら転生してもらうけど?」
「何かやっちゃあかん事とかは?」
「そだねー、星の破壊とか考えたら消えてもらうと思うよ」
スケールでかいっすわー。
「逆に女の子のあんな姿やこんな姿を盗撮してきてくれるなら素晴らしい恩恵が「ねーよ」…………」
早業すぎて何があったかまでは分からなかったが、神様が憐れにグチャッとなっているのは確かだ。
まあ、直ぐにさっき同様復活してましたがね?
「僕は死にましぇーん。あー、スイマセン、ゴメンナサイ。ちょっと言ってみたかっただけなんです。だから、そんな殺気を溢れさせないで。じゃあ、君、えーっと、前の名前は記憶から消したから最後に『シロー』という名前をプレゼント! 神から命名とか超嬉しいね!」
「ネーミングセンスの欠片もねークソムシだな」
天使様容赦ない。
遠くを見つめる神様の目尻が若干光って見えるのは俺の気の所為ではないはず。
「じゃあ、シロー君、もう会う事は多分ないけど次の人生楽しんでね。ばいばーい」
「二度と来るなよ、クソムシ」
天使様のツンデレ発言を最後に俺の意識は途切れた。