ポケモン世界に転生したので好き勝手に生きてみる   作:にわか党

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「賢過ぎると早死にする。良い人生勉強になったろ…と言っても死んじまってからじゃ意味ねーだろうけどな。ぎゃっはっはっは!」

 

「いえいえ、しっかり学びましたよ。高笑いするおっさん程、見苦しい物はないと」

 

「ッ!?」

 

 おっさん、びっくりしとります。

 死んだと確信していたんですね、残念です。

 咄嗟にオウカさんを抱えて避けました。

 

「シロー君、助かったのは君のおかげだけど、そろそろ降ろしてほしい」

 

 抱え方は所謂お姫様だっこなだけにまだ降ろしたくなかったが、自重した。

 割と鍛えているんですねー。

 

「ちっ…まあ、いい。そのスコルピをこっちに渡せ! そいつは俺の獲物だ!」

 

 汚い指をスコルピに向けないで欲しい。

 

「抵抗するなら今度は外さねーぞ」

 

「ゲロゲ」

 

 おっさんの横の草陰から出てきたのはガマゲロゲ。

 さっきのはこいつのはかいこうせんだろう。

 外す気なんてなかったくせにー。

 

「ポケモンハンターか。こんなところにもいるとはね」

 

 オウカさんが呟いたので思い出した。

 そういえば、いましたねそういうの。

 

「ハンターは依頼があれば何処にでもいるぜ? 平和ボケしたお前らが知らないだけでなあ」

 

 うわー、おっさんの泥沼みたいなしたり顔とか誰得ですか。

 やだやだ。

 

「今度は私に任せてくれるよね?」

 

 反論は受け付けないという顔のオウカさんに、どうぞどうぞと手振りで伝える。

 こういう時の女性には逆らわない主義だ。

 

「どうやら大人しく渡す気はなさそうだな」

 

「お生憎様、そんな気は毛頭ない」

 

 きゃー、オウカさん男前過ぎてくらくらしますわ。

 抱いて欲しいー。

 

「おもしれえ。ギタギタに畳んじまえ、ガマゲロゲ!」

 

「返り討ちにするよ、フライゴン!」

 

 フライゴンがオウカさんの前に飛んで来て、ガマゲロゲと相対する。

 両者共に睨み合い、一触即発の雰囲気。

 

「フライゴン、ばくおんぱ!」

 

 最初に仕掛けたのはオウカさん。

 

「フラーイ!」

 

 大きく息を吸い込み、フライゴンがばくおんぱのモーションに入る。

 対するガマゲロゲはジャンプしてフライゴンの上を取った。

 

「ゲロゲッ!」

 

「こっちも攻撃だ! ガマゲロゲ、はかいこ、ほげっ!?」

 

「ゲロ!?」

 

 おっさんの指示が途中で止まった事で隙が生じる。

 

「フラー!」

 

 そこに炸裂するフライゴンのばくおんぱ。

 空中で直撃したガマゲロゲは吹き飛び、木に激突して目を回し、戦闘不能。

 

「て、てめー、舐めた真似を…!」

 

 こちらを睨んでくるおっさんの鼻にはガンタからいくつか貰っておいた薔薇の造花が刺さっていた。

 投げたの俺ですけど。

 あんなおっさんも、花でも添えればマシになると思ったけど逆効果でした。

 予想以上に酷い。

 

「こんな言葉を聞いた事がありますか? 正義が必ず勝つんじゃない、勝った者が正義なのだ」

 

 堂々と胸を張って言ってやりましたよ、ええ。

 これは公式の試合でも何でもない。

 おっさんを拘束出来ればそれでこちらの勝利だ。

 

「言ってる事が完全に悪役のそれだよ」

 

 オウカさんに呆れた表情で言われた。

 勝てば官軍ってやつですよ。

 

「もういい! 遊びは終わりだ!」

 

 遊びじゃなかったくせにー。

 おっさんが着ているジャケットの内側からゴツい銃を取り出した。

 こういう奴って短気で困りますわ。

 

「先ずはてめーからだ! その整った顔に風穴開けてやんよ!」

 

 微妙に褒められたけど、相手がおっさんなだけに鳥肌立った。

 くそ、精神攻撃とは小癪な。

 

「ラル!」

 

「ヒマ!」

 

「コルッ!」

 

 銃を向けられた俺の前にラルトス、ヒマナッツ、スコルピが割って入ってきた。

 なんて優しい子達…。

 

「大丈夫ですよ」

 

 庇ってくれた前にいるラルトス達の更に前に出て続ける。

 

「そんな物、フォークの一本もあれば対処する事は容易い…」

 

 俺は持ってないですけど。

 

「スカしやがって、やれるもんならやってみやがれ!」

 

 銃口が光る。

 うわ、あれレーザーじゃないですか、やぁだー。

 

「では、やってみせましょう…ウチのガンタがね!」

 

 俺がやるなんて言ってませんー。

 フォーク一本で銃と戦える程のチートは俺にはないわっ。

 そして、俺の言葉と同時におっさんへ向かう銀の光。

 コンマ数秒でおっさんの持つレーザー銃に届いたそれは、貫通して銃を破壊した。

 

「なっ!?」

 

 更に先回りしたガンタがレーザー銃を貫いたフォークをキャッチする。

 まあ、ほとんど見えませんでしたがね。

 

『私ナラバ、例エ、小石デノ指弾デモ、対処ハ可能デス』

 

 分かった、分かった。

 ガンタのチートっぷりは世界一。

 

「クソがッ!」

 

 ヤケになったおっさんが腰からサバイバルナイフを抜き、俺に襲い掛かって来た。

 今のガンタの動きを見て俺を人質にでもする気でなのでしょう。

 短絡的ですねー。

 

「死ね!」

 

 違った。

 殺す気満々。

 人質とか考えられる頭もなかったか。

 でも、死にましぇーん。

 

「シロー君!」

 

 オウカさんの叫びでポケモン達が技のモーションに入る。

 それを遮る様に俺は腕を軽く前に出して指を鳴らした。

 その瞬間、おっさんの持っていたサバイバルナイフが造花の薔薇へと変わる。

 

「……」

 

 突然の事に唖然とするおっさんを背後に忍び寄っていたガンタが首トンで気絶させた。

 いや、実はサバイバルナイフを薔薇に変えたのもガンタなんですよねー。

 マジックのタネなんてそんな物でしょう。

 ぶっちゃけ、俺はただカッコ付けて指を鳴らしただけでしたー。

 

「ガンタ、縛り上げて」

 

『了解シマシタ』

 

 指示は迅速に実行され、伸びたおっさんが芋虫の様にぐるぐる巻きにされた。

 

「ラルー!」

 

「ヒマヒマー!」

 

「おっと」

 

 心配してくれたラルトスとヒマナッツが俺に飛び込んで来たのをキャッチ。

 ラルトスは普通に心配だったみたいだけど、ヒマナッツは今の出来事が面白くて喜んでいた。

 ヒマナッツは意外と大物かもしれない。

 

「本物に無茶な子だね、君は」

 

 また溜め息を吐かれた。

 

「警察に今連絡した。直ぐ来てくれるそうだ」

 

「そうですか」

 

 警察かー。

 ジュンサーさんには会いたいけど、事情聴取で色々突っ込まれるのは面倒臭いな。

 

「すいません、俺達この後ちょっと行かなきゃならない所があるので、これ任せても良いでしょうか?」

 

 足下で転がるおっさんを指差す。

 

「構わないよ。君にはヒンバスゲットの借りもあるし、こいつは私が警察に突き出しておくよ」

 

「ありがとう御座います」

 

 二つ返事で了承してくれた。

 

「コル、コル」

 

 ガンタがテーブルや椅子を片付けに行くと、スコルピが俺の足下まで来て何かを伝えたそうに鳴く。

 

「シロー君ともっと一緒に居たいんじゃないかな」

 

「コル!」

 

 スコルピが頷いた。

 それは大歓迎ですな。

 

「一緒に来ますか?」

 

 抱えていたヒマナッツとラルトスを一旦降ろし、モンスターボールをスコルピの目の前に差し出した。

 右の触肢でボタンを押し、スコルピがモンスターボールの中へ入る。

 ボタンの点滅と揺れの後、ゲットが完了した。

 

「スコルピ、ゲットです」

 

「ラッルー!」

 

「ヒマー!」

 

 今日、二匹目のゲットにテンション上がりますわー。

 スコルピは少し大きいし、島に着くまではモンスターボールに入っていてもらいましょ。

 

「シロー君」

 

 呼ばれて振り向く。

 オウカさんが何やら小型の端末を操作し、ホログラムが出現する。

 

「私の連絡先だよ。いらないかな?」

 

「いえ、いります。とてもいります」

 

 腕のポケモン図鑑をかざすとホログラムが吸い込まれた。

 無意味にカッコいい。

 

「連絡、待ってるよ」

 

 笑顔が眩しい。

 やっぱり歳上のお姉さんって良いよねー。

 オウカさんと別れ、俺達は森の中のある場所を目指して進む。

 

「ガンタ、反応は?」

 

『コノ先デス』

 

 ラルトスを肩に乗せ、ヒマナッツは抱えて更に森の奥へ入っていく。

 

『着キマシタ』

 

 ガンタは到着を知らせるが、そこには俺の予想していた物は見当たらない。

 

『アノ、ポケモンハンター、モ、馬鹿デハ、ナカッタ様デス』

 

 目から赤い光を出し、ガンタが前方をスキャンする。

 その直後に今まで生い茂る植物が見えていた空間が揺らぎ、別の光景に変わった。

 

『ホログラム、ニ、ヨル、カモフラージュ、デス』

 

 唯の馬鹿なおっさんかと思ったらハイテクな物を使うじゃない。

 ホログラムが消えた場所に現れたのは大きな檻。

 中には捕らえられたポケモン達。

 

「あのおっさん、実は結構なやり手だったんですかね」

 

 捕らえられたポケモンの数は二十は超えている。

 それぞれが怪我をしている事からスコルピと同じく罠に掛かってしまったのだろう。

 

「グマッ!」

 

 檻に閉じ込められているリングマに牙を剥き出しにして威嚇された。

 まあ、自分を罠で捕まえた奴と同じ人間が来たら仲間だと思われても仕方ないか。

 

「ヒマナッツ、ラルトス、俺達は助けに来た者だと説明を御願いします」

 

 今のままじゃ怪我を治療出来ませんしねー。

 

「ヒマヒマ、ヒッマヒマー」

 

「ラルーラルラル、ラッルー」

 

 地面に降りて檻に近付き、閉じ込められているポケモン達に一生懸命、説明してくれた。

 その間に俺はガンタと治療の準備をする。

 

「ラルー」

 

 ラルトスに呼ばれて檻に近付く。

 助けに来た事を信じてくれたポケモン達は警戒が緩んでいた。

 さっき威嚇してきたリングマも大人しい。

 

「ガンタさん、やっておしまいなさい」

 

『了解シマシタ』

 

 ガンタならこんな檻の解錠なんて朝飯前でしょ。

 電子ロックだからさっきみたいにスキャンで解錠するのかと思いきや、そのまま檻の扉に触れた。

 鉄柵に電気が流れていたらしく、触れた手からは電気が迸る。

 それでも御構い無しに扉の鉄柵を握ったガンタはそのまま扉を引っ張って壊した。

 まさかの力技…。

 

『コノ方ガ、早イデス』

 

 さいですか。

 

「よーしよーし、直ぐに怪我の治療をしますからね」

 

「グッマ」

 

 出て来たリングマを座らせ、治療を施していく。

 ヒマナッツとラルトスのおかげで治療中は終始大人しいままでスムーズに他のポケモン達の治療も進んだ。

 

「はい、もう大丈夫ですよ」

 

「エパ」

 

 最後のエイパムの治療を終えた。

 ガンタが大半を担当してくれた為、治療の時間はそんなに掛からなかった。

 捕まっていたポケモン達は治療が終わり次第森へと帰り、今もエイパムも木に登って尻尾を数回こちらに振って去って行く。

 

「俺達も帰りましょうか」

 

「ラル!」

 

「ヒッマ!」

 

 治療を手伝ってくれていたヒマナッツとラルトスを抱き上げてヘリの場所へ向かう。

 早く帰ってヒンバスとスコルピとも戯れるとしましょ。

 

 

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