ポケモン世界に転生したので好き勝手に生きてみる   作:にわか党

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 所々に光る苔の生えた洞窟、カロス地方はコウジンタウン近郊にある輝きの洞窟内に俺達は訪れていた。

 昨日はヒンバスとスコルピを島へ連れて行き、夜まで皆で遊んで早くに寝た。

 島では裏庭の池にいてもらう事になったヒンバスに付き合い、スコルピも外で寝るという優しい一面も見れた。

 

「コル、コル」

 

 今も俺の手伝いをしているスコルピのデータは昨日帰ってからポケモン図鑑でしっかり調べている。

 

『スコルピ』

性別:♂

特性:スナイパー

技:ミサイルばり、どくどくのキバ、つめとぎ

 

 優しさのある奴だが、バトルは大好き。

 昨日もラルトスとバトルをしたいと言ってやらせてあげた。

 勝敗はねんりきのパワーが炸裂したラルトスの圧勝。

 相性の悪さが大きかったですな。

 

「なかなか見つかりませんねー」

 

 そして、今日はというと、輝きの洞窟での化石発掘をする事にした。

 昨晩にガンタから化石からポケモンを再生する設備もあると聞き、それは是非活用しようとここまでやって来たのだ。

 午前中も探し回ってみたが見つからず、昼食を挟んで午後も探している。

 

「ラルー」

 

「ヒマヒマ」

 

 ヒマナッツとラルトスも探してくれているが見つからない。

 そろそろ出て来て欲しいなー。

 しかし、見つからなくてもガンタには化石についてはまだ頼っていない。

 発掘はロマン。

 頑張って自分で見つけてこそ感動を得られる。

 それに、こうやって皆で化石を探しているのも楽しいし。

 

「コル、コル」

 

 スコルピも触肢を使って探してくれている。

 力が強い為、探し始める前に慎重にと言ったのをしっかり守り、掘る時も凄く丁寧だ。

 ウチの子達は良い子ばかりで本当に可愛いですわー。

 

『シロー様』

 

 もう少し奥の方へ進もうとした時、ガンタに肩を掴まれて止められた。

 何でっしゃろ?

 

『今、踏モウトシマシタ場所ニ、ポケモン、ノ、反応ガ、アリマス』

 

 何ですと?

 俺は地面を観察してみた。

 

「何もいないけど?」

 

『地面ニ埋マッテ、仮死状態ニ、アル様デス』

 

 じめんタイプか、いわタイプのポケモンが冬眠でもしているんですかね。

 今は春だけども。

 

「取り敢えず、掘ってみましょうか」

 

「コル!」

 

 スコルピが掘ってくれるそうです。

 

「ラルー?」

 

「コル、コルッ」

 

 ラルトスが手伝おうかと聞いたら、俺に任せとけとスコルピが地面を掘り始めた。

 男らしい。

 

「ヒマヒマー」

 

 俺の腕の中でヒマナッツが頭の葉っぱを揺らし、可愛らしく応援する。

 きっとガンタはこの様子も撮ってくれている筈。

 

「スコルピ頑張って下さいー」

 

「コルッ!」

 

 ヒマナッツの応援に続く様に俺も応援。

 地面を掘るスコルピが更に掘るスピードを上げた。

 器用に爪を使うもんだ。

 

「コル?」

 

 しばらくしてスコルピが掘るのを中断した。

 掘っていた場所からは青い鉄っぽい物が見えてる。

 その周りを更に掘っていくと徐々に埋まっていた物の正体が露わになっていった。

 青色の鋼鉄の体躯に球体の頭部から伸びた脚には三本の爪。

 

「これは、ダンバルですね」

 

 今気付いたけど、最初に見えた時にポケモン図鑑で確認すれば早かったなー。

 

『コノ辺リノ、地面ノ様子ヲ見ルニ、落盤デ崩レタ、土ヤ岩ニ、閉ジ込メラレ、自ラ仮死状態ニ成ル事デ、生キ長ラエタト、思ワレマス』

 

「大変だったんですねー」

 

「ヒマー」

 

 ガンタの推測に俺とヒマナッツが、うんうん頷く。

 実際に自分がそうなったらと思うと身震いする。

 

「コル、コル」

 

 スコルピが爪でツンツン触って反応を見る。

 

「何の反応も無いと…生きてはいるんですよね?」

 

『生命反応ハ、確カニ、アリマス』

 

 昔の家電みたいに叩いても動き出したりしないでしょうし。

 どうしようか考えながら観察していたダンバルの身体が不意に動きを見せる。

 ふわりと浮かび上がり、天井近くで止まる。

 仮死状態から復活したと思ったが、よく見ると違うみたいだ。

 宙に浮かぶダンバルの目は開いておらず、意識というものが感じられない。

 

「何だか嫌な予感がしますね」

 

「ラル…」

 

 ラルトスも俺の意見に同感らしい。

 その予感は当たり、突然、俺の足下へダンバルが突っ込んで来た。

 

「危なかったです」

 

「ヒマー」

 

 ヒマナッツを守りながら躱す事には成功した。

 しかし、ダンバルの意識が正常に戻った様子は無い。

 

『恐ラク、アレハ、自衛プログラム、ノ、様ナ物デス。強イ衝撃ヲ与エ、意識ヲ覚醒サセレバ、収マルカト』

 

 ダンバルは昔の家電だった。

 

「コル! コル!」

 

 ガンタの説明を聞き、自分がダンバルの目を覚まさせてやるとスコルピが俺達を庇う様に前へ出た。

 ダンバルは、はがねタイプを持っているから相性は最悪だというのに…。

 

「スコルピのやる気を買いましょう。ガンタはヒマナッツとラルトスのガードを」

 

『了解シマシタ』

 

 抱えていたヒマナッツをガンタに預け、ラルトスと共に下がらせる。

 

「無理と判断したら止めますからね。行きますよ、ミサイルばりです!」

 

「コッル!」

 

 俺の指示でスコルピの尻尾の爪から光の矢がダンバルへ襲い掛かる。

 全弾命中。

 それでも、宙に浮かぶダンバルにはあまり効いていない。

 今度はダンバルが攻撃を仕掛けたスコルピへ、とっしんして来た。

 

「躱して下さい!」

 

「コル!」

 

 横っ飛びでダンバルのとっしんを躱し、スコルピは壁へ張り付いた。

 

「もう一度、ミサイルばり!」

 

「コル、コルッ!」

 

 再度、スコルピの尻尾の爪から光の矢が放たれ、ダンバルへ命中する。

 たいして効いた様子を見せないダンバルが壁に張り付くスコルピへ突っ込む。

 

「下へ!」

 

「コルッ!」

 

 短い指示でも理解してくれたスコルピがダンバルのとっしんを張り付いていた壁から落ちる事で躱す。

 スコルピに躱されたダンバルはとっしんの勢いのまま硬い岩の壁に激突した。

 頭部が壁に突き刺さってダンバルの動きが止まった。

 

「今です、ダンバルを尻尾の爪で挟んで拘束して下さい」

 

「コル、コッル!」

 

 壁に突き刺さったダンバルの真下にいたスコルピから尻尾が伸び、先端に生えた一対の爪でダンバルをしっかりと挟む。

 ダンバルがやっと壁から抜けてもスコルピは決して離さない。

 

「そのままジャンプです!」

 

「コッル!」

 

 尻尾の爪でダンバルを挟んだスコルピが跳躍。

 その高さは壁ギリギリ。

 

「回転で勢いをつけてダンバルを地面へ叩きつけて下さい!」

 

 スコルピは空中にいる間での指示も正確に捉え、一回転した勢いを利用してダンバルを地面へ叩き付けた。

 洞窟内に響く衝突音。

 ダンバルが叩き付けられた場所は土煙が舞い、しばらくの静寂が訪れる。

 

「コル…コル…」

 

 重いダンバルを拘束して叩き付けるというハードな動きをしたスコルピのスタミナ消費は激しい。

 どうかこれで目を覚まして頂きたい。

 

「ダン…?」

 

 舞っていた土煙が晴れたそこには赤い目を確かに開けて浮かぶダンバルがいた。

 

「ようやく、目を覚ましてくれた様ですね」

 

「コル…」

 

「スコルピ、お疲れ様です。凄くカッコ良かったですよ」

 

 俺の足下へ戻ってきてぐったりするスコルピを撫でながら精一杯褒めてやる。

 

「コル、コル!」

 

 嬉しいそうに鳴く今のスコルピは可愛い。

 撫でる手触りは硬い甲羅でも、それがまた可愛く思えるんですよねー。

 

「ダン、ダン?」

 

 こちらに近付いてきたダンバルが事情を聞いてきた。

 飽く迄も自衛は仕方なかったというニュアンスを強めた説明をし、ダンバルに事情を飲み込ませた。

 このダンバルからも優しい気持ちが伝わってくるので、気にするなと言っても何処まで意味があるか。

 

「ダンバル…」

 

 案の定、落ち込み、浮遊していた状態から地面に落下してしまった。

 まさか物理的に落ち込んでくるとは。

 

「ダン、ダン!」

 

 ダンバルが必死な喧騒で俺達に謝ってくる。

 まあ、自分を掘り起こしてくれた人間とロボとポケモンに襲い掛かって、結果的に恩を仇で返す形になった訳だしね。

 

「コル、コルコル、コッル」

 

 スコルピがダンバルに気にしないで欲しいと伝える。

 

「ダン…」

 

「もう良いんですよ。それより、ひとりで閉じ込められて大変でしたね。お腹は空いていませんか? もし痛むところがあったら治療もしますから」

 

 今尚、地面にいるダンバルを抱き起こしながら撫でる。

 流石に重い。

 

「ダン、ダン!」

 

 感極まったダンバルが頭部を俺の胸部に擦り付けてくる。

 いや、可愛いよ?

 可愛いんだけども、鋼鉄の頭部が擦り付けられたらそりゃ痛いって。

 

「よしよし。ガンタ、ポケモンフーズを」

 

『既ニ、コチラニ』

 

 もう用意されてたー。

 それでこそ、ガンタ。

 

「どうぞ。取り敢えず、食べて下さい」

 

「ダン!」

 

 ガンタが差し出すポケモンフーズをダンバルがもりもり食べ始めた。

 

「スコルピも怪我はないですか?」

 

「コル!」

 

「それは良かった」

 

 スコルピに怪我がなくて本当に良かった。

 

「ヒマヒマー」

 

「ラルー」

 

 ヒマナッツとラルトスも近寄ってきて、スコルピに労いの言葉を掛けていく。

 ふたりも優しい子です。

 

「スコルピもオレンの実を食べて下さいね。体力が回復しますから」

 

 今日はツナギ姿の俺は、腰に付けたウエストバッグからガンタに入れておいてもらったオレンの実を取り出た。

 それをスコルピの口元へ持っていき、ゆっくりと食べさせる。

 

「コル、コル!」

 

 島で取れたオレンの実だけあって効果は絶大。

 直ぐにスコルピは元気になった。

 

「さっきはしっかり指示に応えてくれて、ありがとうございました」

 

「コルッ!」

 

 再度、スコルピを撫でて御礼を言うと飛び付かれ、下敷きにされた。

 感情表現が情熱的ですな。

 まあ、それも嬉しいんすけどね。

 

 

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