ポケモン世界に転生したので好き勝手に生きてみる 作:にわか党
やって来ました、シンジ湖。
「でっかいどー」
「ヒマ?」
「いえ、言ってみたかっただけです」
ピンカンの空から注がれる日光で輝く大きな湖を前に少し解放的になってしまいました俺です。
肩が定位置になってきたラルトスも首を傾げている可愛い。
「皆も出してあげますねー」
四つのモンスターボールから、スコルピ、ダンバル、タテトプス、そして湖にヒンバスを出した。
それぞれ身体を伸ばしたり辺りを見回したり愛らしい仕草を見せてくれていますな。
「コル、コル!」
「大丈夫ですよ。今から野生のポケモンをゲットしに行きますから、遭遇したらスコルピにはバトルをお願いしますねー」
「コルッ!」
尻尾をびゅんびゅん振ってやる気のアピール。
癒されまする。
まあ、他の子達もバトルしたいと思っているのでスコルピだけに任せるわけにはいきませんけど。
「ヒ、ヒッ!」
「ヒマヒマ!」
勢い良く水面からジャンプしたヒンバスが上げた水飛沫をヒマナッツが被りに行ってはしゃぐ。
可愛いですが俺の腕から温もりが消えてしまいました。
娘を嫁に出す親ってこんな気持ち?
ウチの子は誰にも渡しません。
「ヒ、ヒ、ヒ!」
ヒンバスの再ジャンプ。
またヒマナッツを喜ばす為だと思ったが、今回は様子が違った。
「タマローッ!」
ジャンプしたヒンバスの後から丸いフォルムのオタマロが飛び出して来た。
早速の遭遇です。
「コルコルッ!」
勇んでスコルピが前に出るのを尻尾を掴んで止めた。
「スコルピ、相手は水の中です。ここはヒンバスに任せましょうねー」
「コル…」
がっくり尻尾を垂れ下げるスコルピに変わり、俺が湖に近付く。
「相手はやる気の様ですよ。どうしますか、ヒンバス」
「ヒ、ヒ、ヒッ!」
やってくれるみたいです。
なら、俺も全力でサポートしますよ。
「タマロー!」
いきなりのオタマロから放たれたバブルこうせん。
「躱して下さい」
「ヒッ!」
一直線に飛んで来た大きな泡の光線をヒンバスは余裕を持って躱せた。
スピードは断然こっちが上ですな。
「ヒンバス、あまごいです」
「ヒ、ヒ!」
上を向いたヒンバスとオタマロの周囲に雨が降り出す。
相手も同じ特性の可能性があるが、違う場合はこっちが一方的に恩恵を受けられる。
「続いて、たいあたり」
「ヒッ!」
さっきの二倍のスピードでのたいあたり。
対するオタマロは急に速くなったヒンバスの動きに驚いて対応が遅れる。
どうやら特性はすいすいじゃない様子。
「タマロッ」
ヒンバスのたいあたりが決まってオタマロにダメージが入った。
「直ぐに距離を取って下さい」
「ヒ、ヒッ!」
スピードアップを利用しない手はない。
パワーはあっちが上なら当たらないようにヒットアンドアウェイで攻めてみましょ。
「ターマロー!」
いっぱいに開けた口から今度はりんしょうで衝撃波を放ってくる。
「また躱して下さい」
「ヒッ!」
再度、回避の指示にヒンバスが水中に潜って躱した。
上手く下を取れましたね。
「たいあたり」
大口を開けていた事で視界が狭まって生まれたオタマロの死角からスピードに乗ったヒンバスのたいあたりが下から決まる。
俺の作成を理解しているようにヒンバスが直ぐにオタマロから離れた。
「タ、タマロ!」
ダメージは確実に蓄積されているみたいですけど、まだゲットのタイミングではないですねー。
「ターマロッ!」
俺の考えが正しかったらしく、オタマロから泥の弾が三つ飛んで来た。
マッドショットですか。
「ヒ、ヒ、ヒ」
指示がなくとも躱してみせたヒンバスがスピードで翻弄する。
躱すついでに近付き、たいあたりを当てて更にUターンで連続のたいあたり。
絶好調です。
「ターマーロー!」
疲労を見せるオタマロにやっかいな技、ちょうおんぱを使われた。
混乱するのは困ります。
「ヒンバス、全速力からのジャンプです」
「ヒッ!」
敢えて、ちょうおんぱに向かせて当たる前にジャンプさせた。
後は指示しなくてもヒンバスは理解してくれる。
「ターマロッ」
ジャンプからのたいあたりが決まり、オタマロに大きなダメージを与えられた。
そろそろですかね。
「タマロ…」
オタマロが力なく水上に浮ぶ。
チャンス到来、空かさずモンスターボールを投げ付け、オタマロが中に入った。
水面でボタンの点滅と揺れが始まる。
一瞬、それが収まって再度動き出すというフェイントを挟んでゲットが完了。
「ヒ、ヒ、ヒ」
あまごいの効果が切れて雨が止み、浮かんでいたモンスターボールを優しいヒンバスが咥えて持って来てくれました。
「ありがとう御座いました」
御礼を言って受け取り、撫でながら褒めちぎります。
本当に良くやってくれました。
後ろで見ていた皆もヒンバスの大活躍を称賛してくれた。
美しき友情ですな。
「ガンタ、7匹目だけど帰ればモンスターボールから出せるんですよね?」
今ゲットしたオタマロのモンスターボールは小さいままロックが掛かった状態。
『ハイ、可能デス』
やっぱり。
なら、帰るまでオタマロとの御対面はおあずけという事ですねー。
しゃーなしですな。
「では、次のポケモンを探しに行きましょうか」
一旦、ヒンバスをモンスターボールに戻し、今度はシンジ湖を囲む森でポケモンを探す。
そして、数分で次のポケモンが見つかった。
遭遇率高いですな。
「しかも、2匹同時ですか」
1匹は身体を覆い隠す程の蓮に似た葉っぱが特徴のハスボー。
もう1匹は細長い四本の脚を持つアメタマ。
「コルコル、コルッ!」
スコルピが今度こそ自分に任せてほしいと前に出る。
二匹をひとりで相手にするつもりの様だ。
「仕方ないですね。相性の良い相手だからといって油断は無しですよ」
「コルッ!」
やる気満々ですわー。
怪我をさせないようにしないと。
「速攻で行きます。つめとぎからのハスボーにミサイルばりです」
「コルコル!」
掲げた爪が光り、スコルピの攻撃力が上昇する。
更に尻尾からのミサイルばりがハスボーを襲う。
「ハボー」
5発、全弾命中。
効果は抜群でかなりのダメージを与えられた。
「ア、ア、ア!」
アメタマが地面を4本の脚で滑って移動しながらお返しのれいとうビームが来た。
こっちまで冷気が伝わってくる。
「ミサイルばりで迎撃です」
「コルッ!」
迫り来るれいとうビームをミサイルばりが迎え撃ち、威力を落とせたが、完全には相殺出来なかった。
「尻尾でガードして下さい!」
急いで追加の指示を出す。
後ろの尻尾を前に持って来る事でれいとうビームを受け、尻尾だけが凍り付いた。
まともに食らっていたら全身が氷漬けになるところでしたねー。
「コッル!」
スコルピが尻尾を叩き付ける事で氷を砕いた。
俺に似て力技ですな。
「ハーボ」
ハスボーのメガドレイン。
スコルピの身体が緑色に光り、その光がハスボーに吸収された。
体力吸収系の技でハスボーの体力が回復するが、スコルピにはくさタイプの技は効果は今ひとつ。
回復量もそれ程ではなかった筈です。
「ア、ア、ア!」
体力があまり回復出来なかったハスボーは疲れて動けない。
逆に元気なアメタマがシグナルビームを放ってきましたよ。
「尻尾を使ってジャンプです」
「コルコル!」
今朝見た尻尾をバネの様にしてのジャンプでシグナルビームを避けさせ、アメタマの背後を取る事に成功。
「どくどくのキバ!」
「コッル!」
「ア、アッ!」
紫に光るスコルピの牙がアメタマを捉えた。
フィフティフィフティの確率だった追加効果の猛毒も与えられた様子。
二匹共動けなくなったところで先ずハスボーをモンスターボールを投げ、ゲット完了。
「ア、ア、ア…」
猛毒の効果でぐったりしたアメタマにスコルピは下げさせ、ガンタからモモンの実を貰って近付いて食べさせた。
モモンの実は毒の状態異常を打ち消す効果がある。
「ア、ア、ア…?」
体力の限界なアメタマがモモンの実を食べさせた俺を見上げる。
ゲットした後では島に帰るまで毒状態のままになってしまうので、俺が罪悪感で辛い。
「ゲットさせてもらいますね」
モンスターボールを持ったまま、アメタマにボタンを押し付けて中に入れた。
ゲットが完了しアメタマの入ったモンスターボールがロックされる。
「スコルピ、お疲れ様です」
「コルコル!」
今日は既に三匹ゲット、かなり調子が良い。
2匹を相手に頑張ったスコルピもウザいくらいに褒めまくってあげましたよ。
俺へのご褒美タイムでもありますからね。
「ラル、ラルラル!」
次はラルトスがバトルしてくれるらしい。
「テプ、テプ!」
「ダンバルッ」
タテトプスとダンバルもやりたいとアピールしてきた。
皆、元気いっぱいで嬉しくなりますわー。
次に遭遇したポケモンで誰に任せるか決めると言い、更なるゲットの為にポケモンを探す。
そして、直ぐに見つけた。
「ガウッ! グルルル」
赤と黒が入り混じった体毛にふさふさの尻尾を持つ、ほのおタイプのガーディが遭遇した瞬間に威嚇してきた。
好戦的なガーディに腕に抱くヒマナッツは何故かきゃっきゃっと喜ぶ。
一応、ヒマナッツの苦手なほのおタイプのポケモンなんですがね。
「ここは、タテトプスの出番ですね」
「テプ!」
のっしりと前に出たタテトプスにガーディの口元が吊り上がるのが見えた。
「ワォーン!」
「テプッ!?」
ガーディのひと鳴きでタテトプスがモンスターボールに戻り、ラルトスがバトルに引きずり出されてしまった。
今の技は、ほえるですねー。
面倒な技を使われてしまいましたわ。
「ラルラル!」
急に引きずり出されたにも関わらず、ラルトスは困惑する事無くガーディに対面する。
「では、ラルトスを引きずり出した事を後悔させてやりますか」
「ラッル!」
俺の言葉にラルトスが頷く。
「ラルトス、ねんりきです」
「ラルー」
ラルトスが両手をガーディにかざし、ねんりきで浮かばせる。
「ガゥ、ガゥ!?」
空中でもがくガーディは手足も出ない。
「そのまま叩き付けて下さい」
「ラーッル!」
指示通りガーディの身体が地面へと向かう。
あれれ?
何だか落ちるスピード速く過ぎじゃないですか?
「キャインッ!?」
叩き付けた地面が凹む。
もちろん、そんな衝撃を受けたガーディは、その一撃で戦闘不能。
それを見ていた自分で出て来ていたタテトプスを含めたポケモン達もヒマナッツを除いて絶句。
特に自分もあれを食らった事があるスコルピは少し震えている。
「ラルー!」
満面の笑みで戻って来たラルトスに、まだモンスターボールを投げてなかったと気付いてガーディをゲットする。
「ラルラル!」
「ええ…とっても、良く出来ましたね」
「ラル!」
抱き付いてくれたので、まあいいかと思う事にします。
スコルピ達は、きっともうラルトスには逆らわないでしょうな。