ポケモン世界に転生したので好き勝手に生きてみる 作:にわか党
『本日ノ、ランチ、ハ、マトマノ実ヲ使ッタ、本格タコス、デス』
ガーディをゲットしてからシンジ湖の湖畔に戻り、今はランチタイム中。
差し出されたバスケットからタコスを一つ掴んで口へ運びながら、ヒマナッツのあまいかおりで呼び寄せた野生のポケモン達を眺める。
ビッパにムックル、コロボーシ、チェリンボが二、三匹ずつ、ウチの子達と一緒にポケモンフーズを食べている。
「ヒマヒマ!」
ポケモンがいっぱいでヒマナッツも楽しそう。
俺はそのポケモン達とヒマナッツを見て楽しみます。
そして、多くのポケモン達の中に珍しいポケモンが一匹だけ紛れていた。
「エルゥ…」
土が固まって出来た甲羅に頭からは葉っぱの生えた枝、早くにポケモンフーズを食べ終えて呑気に寝てしまったナエトルを俺はタコスを食べながら観察する。
ナエトルはシンオウ地方の新人用ポケモンの一体。
野生で見かける事は稀だ。
「ウチの子になって欲しいですねー」
のんびりしている姿が癒されますわ。
「チルー」
「むぐ?」
眠るナエトルに癒されながら絶品タコスを頬張った俺の頭が急に重さが増した。
取り敢えず、そのままタコスを食べ切ってから頭上を触ると、何やらふわふわな感触が。
「チルル」
それにこの鳴き声は、ひこうタイプのポケモン、チルットですかね。
『シロー様ノ、髪ノ色ガ、羽ノ色ト似テイルノガ、気ニ入ッタ様デス』
まあ、それでなくてもチルットは人の頭に乗る事がありますし。
ガンタからチルット用のポケモンフーズを貰い、一つずつ頭上のチルットの前に差し出す。
「チルチル」
嘴で啄んでポケモンフーズを食べた。
傍にいるガンタがこの光景も撮影してくれている筈なので、後で確認するのが楽しみですな。
「チル…チル…」
頭上でポケモンフーズを鱈腹食べたチルットから寝息が聞こえる気がするのですが…。
「ガンタ、これ寝てますよね?」
『ハイ、熟睡デス』
動けなくなりました。
「ラルラル?」
ラルトスが自分がねんりきで追い払おうかと聞いてくる。
それだけは止めたげて。
「でも、動けないのは困りますねー」
小さい状態の空のモンスターボールを一つ取り出した。
それを膨らませ、ボタンをチルットに押し付けて中に入れてみました。
手の上でボタンの点滅と揺れが一秒程で止まってゲットが完了する。
「…やけに早かったですね」
自分のポケモンフーズを食べ終えたラルトスもぽかんとしているくらいですよ。
ラッキーだったという事にして他のポケモンフーズを食べ終えた野生のポケモン達にも勧誘してみます。
「ムック」
そして、只今ムックルにプイッと断わられたのを最後に皆森へ帰ってしまいましたわ。
この作戦、あんまり上手くいきません。
「ヒマヒマ」
がっくり肩を落とす俺の服を引っ張るヒマナッツが指し示した場所には、未だにナエトルが昼寝していました。
起きてから勧誘しようと思って後周りにしていたのを振られ過ぎた事で忘れるところでしたな。
ナイス、ヒマナッツ。
「あのー、ちょっとだけ良いですか?」
「エル…?」
眠そうに目が半開きのナエトルの前に空のモンスターボールを差し出した。
「えっとですね、宜しければゲットさせて頂けないかと。ウチの子になれば、さっきのポケモンフーズが毎日食べられますし、家がある島には昼寝に最適な場所がいっぱいありますよ?」
「エル…」
じーっと俺を見上げ、考え中なのが伝わってきますね。
少しの間、見つめ合いが続いてナエトルが鼻先でモンスターボールのボタンを押した。
赤い光に包まれてモンスターボールに入り、直ぐにゲットが完了する。
「ナエトルも早いですね」
「ラル…」
それを見ていたラルトスが呆れた様に溜め息を吐いた。
溜め息を吐くラルトスも可愛いですな。
「後はバトルでゲットするとしましょうか」
「テプ、テプ!」
「ダンバルッ」
次こそは自分達の出番だと言いたいのでしょうね。
分かっていますとも。
湖に出していたヒンバスには再びモンスターボールに戻ってもらい、俺達は午前中と同じ森の中でポケモンを探していきます。
「見つけました」
「テプ?」
見つけたポケモンは草に隠れている為、タテトプスには分からない様子。
小石を拾い、隠れているポケモンに当たらない奥の方に投げる。
「スミー」
出て来たのは、スボミー。
愛らしい頭頂部のねじれた蕾が特徴的。
「タテトプス、お願いしますね」
「テプ!」
タテトプスが勢い良く前に飛び出す。
ガーディ戦で余程フラストレーションがたまっていたんですねー。
「スミスミー!」
スボミーからの先制攻撃。
頭頂部の蕾から黄色っぽい花粉をバラ撒かれています。
恐らくは、しびれごな。
「タテトプス、まもるです」
「テプー!」
しびれごなを阻む丸いバリアがタテトプスを守る。
バリアは、しびれごなが無くなると同時に効果が切れた。
「ずつきです」
「テプテプー!」
助走を付けたタテトプスがジャンプして突っ込み、スボミーにずつきが炸裂する。
確かな手応え。
「ス、スミー」
ずつきを受けて転がったスボミーが大勢を立て直し、メガドレインを放って来ましたね。
「タテトプス、耐えて下さい」
「テプッ」
回避するよりも耐えて次の攻撃の為に準備する事を選んだ。
「もう一度、ずつきです」
メガドレインを耐えたタテトプスが体力を吸収したスボミーに向かう。
再度、スボミーにずつきが決まり、吹っ飛んだ先の木に激突した。
「スミー…」
木にぶつかった衝撃でスボミーが気絶し、戦闘不能になったのを確認する。
そして、気絶しているスボミーに空かさずモンスターボールを投げます。
ボタン、点滅します。
ボール、揺れます。
それが止まる。
「スボミー、ゲットですね」
「テプテプ!」
タテトプスの背中を撫でて褒めると、硬い顔を足に擦り付けられて嬉しそうにしている。
足なら割と痛くない。
スボミーをゲットして、これで七匹目。
一気に倍以上になっちゃいましたねー。
喜ばしい限りですな。
「まだまだ時間はありますから、もっとゲットしたゃいましょー」
ポケモン達からの元気いっぱいの返事を聞き、上機嫌で森を進む。
次はダンバルの相手を探しますよ。
草の根を分ける様にね。
「リンク!」
「コリンク来ました」
森を進む俺達の前に飛び出して来たのは、頭の毛がちょこんと跳ね、尻尾の先が星型になっているコリンクだった。
可愛らしい見た目と一生懸命に睨み付けてくる瞳がキャップ可愛い。
「ダンバルッ」
「リンク!」
ダンバルがコリンクと対面する。
クリアボディの特性を持つダンバルならコリンクがいかくの特性を持っていたとしても攻撃力は下がらない。
「リンックー!」
コリンクの身体から電気がほとばしり、スパークがダンバルを襲う。
しかし、それをダンバルは避けない。
俺からの指示が無いからではなく、態と受けて耐えるつもりのようです。
「ダンバルッ」
ダンバルがスパークを弾き、コリンクを空中から見下ろす。
「リ、リンク」
全くのノーダメージという訳ではないが、自分の攻撃を真っ向から受けても平然とするダンバルにコリンクは動揺を隠せない。
頭脳派のダンバルの精神攻撃。
なかなかやりますな。
なら、俺も策を弄すとしましょうか。
「ダンバル、地面にアイアンヘッドです」
「ダンバルッ!」
浮遊するダンバルの頭部が光り、地面にアイアンヘッドを叩き付けて激しく土を巻き上げた。
今の指示だけで俺の意図を汲み取ってくれたのが伝わってくる。
本当に頭の良い子ですねー。
「リンク!」
勢い良く舞い上がった土と衝撃音にも臆さないと意気込むコリンクだが、それが逆効果になるとは思わないでしょうな。
ダンバルがいつ攻撃して来ても対応出来るようにコリンクが注意深く睨んでいる先の土埃が直ぐに散る。
「リンクッ!?」
残念ながら、そこにダンバルはもういません。
「とっしんです」
指示と同時にコリンクの真上にいたダンバルが急降下でとっしんする。
コリンクが気付く間もなく、ガラ空きの背中にとっしんが直撃した。
派手な演出は注意を上に向けさせない為のミスリード。
改心の一撃を全く予想していなかった方向から食らうのは普通よりも大きなダメージになる筈。
「リンクー…」
ダンバルが潰しているコリンクは戦闘不能。
一撃での美しい決着でしたな。
「ダンバルッ」
上に乗っていたダンバルが退き、モンスターボールをコリンクに投げる。
恒例の点滅と揺れを繰り返した後に本日八匹目のゲットが完了した。
ダンバルが持って来てくれたコリンクの入ったモンスターボールを受け取ってから他の子達と同じくらい褒めてやりましたよ。
赤い一つ目をにっこり閉じて喜ぶダンバルが可愛くて仕方ないんですけど。
「いやー、皆のおかげでいっぱいゲット出来ましたねー」
今日はこのくらいで帰るとしますか。
過ぎたるは及ばざるが如しって言いますし。
「そろそろ島に帰って、おやつタイムにしましょ」
「ヒッマ!」
頭の葉っぱを揺らして嬉しいそうなヒマナッツの可愛さにくらくらしながら森を進んでヘリがある場所に向かった。