ポケモン世界に転生したので好き勝手に生きてみる   作:にわか党

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 ふかふかのベッドで寝ていた俺は、顔に更にふかふかの感触が乗った息苦しさで目を覚ました。

 目を開くと、視界が白で覆われている。

 

「チルルー」

 

「……」

 

 視界を塞ぐ物を両手で掴んで起き上がる。

 そして、チルットと御対面。

 

「チルチル」

 

「…おはよう御座います」

 

 綺麗に鳴くチルットを抱き締めて散々モフってからベッドを出た。

 そのベッドにはヒマナッツとラルトス、ガーディが未だに寝ている。

 昨日、お風呂に入ってガーディの毛並みは更にふんわり感が増し、寝顔も相まって可愛さが倍増です。

 

「チルチル」

 

「チルットの羽も綺麗ですよ」

 

 ガーディの毛並みを見ていたらチルットが自分の羽を見せる様に広げた。

 元々、チルットは羽を川などで洗う習性がある程の綺麗好き。

 ガーディと一緒に洗ってあげた事が相当嬉しかったみたいなんです。

 その時にチルットのデータもしっかり確認しておいた。

 

『チルット』

性別:♀

特性:しぜんかいふく。

技:つつく、うたう、チャームボイス、コットンガード

 

 特にコットンガードは良い。

 毛玉みたいになるのが可愛らし過ぎた。

 

「チルルー、チルチルー」

 

 チルットの羽を撫でていると、御機嫌に歌い出した。

 もちろん技を使っている訳ではないので眠くはならない。

 前の世界のアニソンとか教えたら覚えてくれないかな。

 

「ヒマ…?」

 

 チルットの歌声でヒマナッツが目を覚まし、それに続いてラルトスとガーディも起きた。

 

「チルルー」

 

「ラルラル」

 

 歌声にラルトスが楽しいそうにしている。

 好きなんですかね、歌。

 ヒマナッツも好きですし。

 

「そろそろ外に行きましょうか」

 

「ガゥ!」

 

 元気良く返事をしてくれるガーディを伴って寝室を出た。

 他の子は、チルットは頭に、ラルトスは肩に、ヒマナッツは腕に抱えている。

 裏庭に出ると、スコルピ達が既に起きてバトル中だった。

 好きですねー。

 ラルトスの練習をする前に、今日は先にヒンバスの尾鰭のケアをしてから草原に行った。

 

「今日はガーディも含めて複数の物をねんりきで操る練習にしませんか?」

 

「ラル!」

 

 少し難易度は上がるが、それだけ上達も早くなるんじゃないかなーと思う。

 

「クゥーン…」

 

「叩き付けられる事はないので大丈夫ですよ。朝の軽い運動だと思って協力して下さいね」

 

 尻尾をぺたんと下げるガーディを撫でる。

 ガーディなら飛ばされても着地出来る程の身体能力がある。

 女の子の為に我慢する事も男には必要なんですよ。

 

「チルットは少し離れてて下さい」

 

「チルルー」

 

 乗っていた俺の頭から離れたチルットは草原の草の上に置いたヒマナッツの隣に飛んで行った。

 そして、ラルトスのねんりきの練習が始まり、俺とガーディは飛ばされる。

 嫌がっていた割にしっかり着地は出来ていた。

 やっぱり能力的には問題なかったみたいですねー。

 

「バトルをしたからか、昨日よりも全然上手になりましたね」

 

「ラルー!」

 

 舌を出して疲れた様子のガーディを抱えてウッドデッキに戻りながらラルトスを褒めた。

 バトルでの経験値的なものが成長を促すようです。

 

「ガーディも頑張ってくれた分、御飯は特盛りにしてもらいますね」

 

「ガゥ!」

 

 途端に尻尾を振って元気になるガーディ可愛い。

 歩きながらモフって楽しみます。

 俺も頑張ったご褒美が必要なのですよ。

 

「テプテプ!」

 

「コル、コル!」

 

 御飯と聞きつけた他の子達も集まって来ました。

 ポケモンに囲まれながら食べる朝食は最高ですな。

 

「エルエル」

 

 ポケモンフーズを早々に食べ終えたナエトルが池の水を飲みに行くのが見える。

 昨日も昼寝から起きた後、よく水を飲みに行く姿を見た。

 水を飲む事でナエトルは背中の甲羅が硬くなるらしい。

 

「スミー」

 

 スボミーもポケモンフーズを食べ終わり、こちらに近付いて来た。

 ナエトルとはまだそこまで仲良くなれなかったが、スボミーは一緒に遊んで直ぐに仲良くなれた。

 近付いて来たスボミーを抱き上げる。

 

「御飯は美味しかったですか?」

 

「スミスミ!」

 

 頷いた事でスボミーの蕾から花粉が舞うけど気にしない。

 こんなに可愛いんですもの。

 

『シロー様、コーヒー、ヲ、ドウゾ』

 

「ありがとう」

 

 朝食を食べ終えた俺にガンタがコーヒーを淹れてくれる。

 超絶美味しいコーヒーを飲みながらスボミーを撫でたりくすぐったりしてイチャつきます。

 癒されまくりです。

 

「ほら、スボミーも皆と遊んでおいで」

 

「スミー」

 

 朝食を食べ終わった皆がじゃれている方へスボミーを離すと、てくてくと皆の輪に入っていった。

 さて、俺も出掛ける準備をしますかね。

 ひとりで洋館に入り、二階に行って服を着替える。

 今日もガンタがコーディネートしてくれた服が準備されていた。

 ありがたやー。

 服を着替えて戻って来た裏庭には、朝食の片付けを済ませたガンタが待っていた。

 

『既ニ、ヘリ、ノ、準備モ整ッテ、オリマス』

 

 今日の予定は昨日の内に伝えてある。

 

「なら、そろそろ行きましょうか」

 

 遊んでいるポケモン達の中から、今日連れて行く子を呼ぶ。

 連れて行くのは、ヒマナッツ、ラルトス、チルット、ガーディ。

 

「コル…」

 

 選ばれなかったスコルピが落ち込んでしまう。

 

「スコルピには残る皆をまとめる役をやって欲しいんです。俺もまだこの島は全然見て回っていませんし、誰かが迷子になったりしたら大変でしょう?」

 

「コルコル!」

 

 それなら任せろと元気になったスコルピが頷く。

 まあ、ミニガンタもいますけどね。

 

「御飯はミニガンタが用意してくれますし、果物や木の実も自由に食べていいですので。お留守番、よろしくお願いしますね」

 

 木陰で寝ていたナエトル以外の子達の元気な返事を聞き、俺達はヘリポートへ向かった。

 ヘリに乗り込んで離陸した直後、ガーディがそわそわし出した。

 飛んでるのが怖いみたいです。

 俺の膝の上にいるラルトスがその様子を見て呆れたように溜め息を吐く。

 ガーディが可哀想なので、一度モンスターボールに戻した。

 

『シロー様、ソロソロ目的地ガ、見エマス』

 

 ガーディを戻して少し経ち、目的の場所に着いた。

 下には牧場や森が多く周りにある海に面した街、カロス地方のヒヨクシティが見える。

 ヒヨクジムがあるらしい木はビルよりも大きい。

 近くの森にヘリを着陸させ、ガーディを出してから街へ向かう。

 

「ヒーマ、ヒーマ」

 

 くさタイプのポケモンが過ごし易い環境の土地なので、ヒマナッツは御機嫌。

 愛らしく頭の葉っぱを揺らしながら歌っています。

 

「街が見えて来ましたねー」

 

 森を抜け、草原を進んだ先に海とヒヨクシティが見えてきた。

 都会ではないが、綺麗な街並みで落ち着いた雰囲気の街である。

 

「ヒマナッツと同じくさタイプのポケモンがいっぱいですよ」

 

「ヒマヒマー」

 

 街に入り、すれ違ったトレーナーに連れられたポケモンはくさタイプがほとんどだった。

 皆いきいきしていますな。

 高まってくる。

 

「ラルラル」

 

 肩にいるラルトスが道に店を開く移動アイスクリーム屋さんを指差した。

 

「食べたいんですか?」

 

「ラル」

 

 ならば買いましょう。

 早速、店の前まで行って店員さんにバニプッチアイスを一つ頼む。

 朝食の後なので、一つを皆で食べる事にしましたよ。

 

「ラルー!」

 

「ヒマヒマ!」

 

 バニプッチの形をしたアイスを食べて御満悦のヒマナッツとラルトス。

 少し歩いたところにある噴水の縁に座ってアイスを食べる。

 ガーディとチルットにもちゃんとあげました。

 

「ガゥ?」

 

 アイスを食べ終えても動かない俺に、ガーディが疑問に思った様子で首を傾げた。

 仕草まで可愛い子…。

 

「実は、人を待っているんですよ」

 

 そう、俺はここで待ち合わせしているある人物を待っていた。

 昨日の夜にメールを送ったので、多分来ると思うんですけどねー。

 

「その人が来るまでこれで遊びませんか?」

 

 ガンタを見習ってマジック風に手からゴムボールを出してみた。

 それを見たガーディの目が輝く。

 

「ガゥ!」

 

 尻尾を振り、今か今かとボールが来るのを待つガーディにボールを投げてあげた。

 シュタッとジャンプ一発、上を通り過ぎようとしたボールを口でキャッチしてこっちに持って来た。

 

「よく取れましたねー」

 

「ガゥ!」

 

 次を要求するガーディに、今度は俺の膝にいるラルトスがボールを投げてあげる。

 投げるラルトスを見ても、追うガーディを見ても癒されますわー。

 その様子をやりたそうに見ていた子供達にもやらせてあげると、美しい御婦人方からとても感謝された。

 ガーディ、ぐっじょぶです、

 

「楽しかったですか?」

 

「ガゥガゥ!」

 

 子供達と御婦人方が去ってから満足顔のガーディを撫でる。

 楽しそうで何よりでした。

 

「呼び出しておいて遊んでいるとは、良い御身分ですこと」

 

 聞き覚えのある声に振り向く。

 

「それもポケモンをダシにして貴方は女性と楽しそうに…!」

 

 相変わらず沸点の低い御様子。

 

「誤解ですよ、カトリーナさん。子供達の親御さんに御礼を言われていただけですから」

 

 俺は、今日ここで待ち合わせしていたカトリーナさんに弁解する。

 

「ふん、どうだか! それよりも! 何故シローが私のアドレスを知っていたのかお聞かせ下さるかしら!」

 

 それはもちろんカトリーナさんがポケモンセンターを出て行く時にデータを抜き取ったからです。

 まあ、正直にそんな事は言いませんが。

 

「ウチのガンタに掛かればアドレスを調べるくらい朝飯前ですよ」

 

『当然デス』

 

 さっきいた子供達の中の男の子陣から憧れの眼差しを浴びていたガンタが胸を張る。

 

「だとしても! 何故、私がヒヨクシティにいると知っていましたの!」

 

「ジム戦の記録映像を見れば直ぐに分かりますよ」

 

 各地のジム戦では映像としての記録が取られ、それを挑戦者が同意すればポケモンリーグ公式サイトにアップされるようになっている。

 俺も新人トレーナーとして勉強の為に見ていたりする。

 

「そ、それくらい気付いていましたわ!」

 

 カトリーナさん、顔が真っ赤でしてよ。

 もちろん、紳士の俺は突っ込みませんとも。

 

「それで、何か御用かしら? 私、これでも忙しいのですけれど」

 

「男が女性を誘うのなんてデートに決まってるじゃないですかー」

 

 再度、顔が発火するカトリーナさん可愛い。

 

「あれ? てっきり、デートの誘いを受けてくれたから今日はそういう装いなんだと思ったんですけど」

 

 カトリーナさんの今日の服装は、最初会った時よりも断然女性らしいものになっている。

 

「ち、違いますわ! これは偶然、新しい服を買ったので着てみただけです! 勘違いしないで下さいます!?」

 

 地団駄を踏みそうな勢いでまくし立てられた。

 

「それは残念ですが、とても良くお似合いですよ」

 

「ーーッ! いいから早く行きますわよ!」

 

 早足で先に行くカトリーナさんの後を急いで追う。

 結局、デートはしてくれるみたいです。

 

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