ポケモン世界に転生したので好き勝手に生きてみる 作:にわか党
「モノレールからの景色も良いですねー」
「ヒマー」
「ラルラル」
今はランチタイムを過ごした丘からモノレールで移動中。
これから、くさタイプのポケモンを放牧している牧場を見に行くところです。
「シローは景色を眺めるのが好きなんですの?」
「ええ、綺麗な景色は心を豊かにしてくれますから」
「確かにこの街の景色は良いですわね」
髪を耳にかけながら景色を眺めるカトリーナさんも自然溢れる景色に負けず良い眺めるですな。
それから直ぐにモノレールが目的の駅に着き、出た先には一面に牧場が広がっていた。
街中よりもくさタイプのポケモンだらけ。
「キレイハナにドレディア、あっちにはラフレシアがあんなにいっぱい。素晴らしいですねー」
ウチの島もこれくらい多くのポケモン達で賑わって欲しいものだ。
「ポケモンを見る時のシローは何だか子供みたいですわ」
「そうですかね」
クスクスと上品に笑われた。
いやいや、こんなに多くのポケモンを一遍に見れたら誰でも嬉しくなりますよ。
牧場だけでなく、その上をモンメンやワタッコなどが群れをつくって飛んでいる光景は特に。
「あそこにはヒマナッツの進化形のキマワリがあんなにいっぱいいますよ」
俺の指差した先には五十匹程のキマワリが日光浴していた。
「ヒマー」
「ヒマナッツも進化したいですか?」
「ヒマヒマ!」
ぶんぶんと左右に身体ごと揺らして拒絶を訴える。
ピカ様と同じ考えなんですねー。
「進化を嫌がる子もいるとは聞きましたが、本当でしたのね」
「ヒマ…?」
不安そうに腕の中から見上げてくるヒマナッツを目線が合う様に持ち上げた。
「進化が嫌ならしなくても良いんですよ」
今のままでも超絶可愛いですし。
「ヒッマ!」
頭の葉っぱも擦り付けてスリスリされました。
口元が緩みまくりますわー。
そんな俺得イベントの後も牧場のポケモン達を見て回った。
「シロー、あちらでメェークルに乗れるみたいですわ。行ってみましょう」
「楽しそうですが、カトリーナさん服装的に大丈夫なんですか?」
今日の彼女はミニスカート。
見える危険性大ですよね。
「それなら心配いりませんわ」
カトリーナさんがその場でくるりと回ってみせる。
それによってスカートの裾がはためいた事で、それが普通のスカートではなく、スカートの様なショートパンツだと理解した。
「こういった物をキュロットスカートというのですわ。勉強になりまして?」
「ええ、まあ」
得意げな表情とその長い脚をガン見出来ましたし。
先を行くカトリーナさんを追ってメェークルに乗れる場所に行くと、牧場主のお爺さんが柵内に入れてくれた。
お爺さんが口笛をひと吹きし、メェークルが二匹来る。
「カトリーナさんは乗馬の経験とかありそうですね」
「実家のギャロップにはよく乗っていましたわ。そう言うシローは経験ありますの?」
「いえ、今日が初めてですよー」
「そう。では、経験者の私が手本を見せて差し上げますわ」
再び得意げな顔でメェークルに近付き、撫でてから素早く乗ってみせてくれた。
カッコいいですわー。
「ほー、なかなか上手いもんじゃのぉ」
お爺さんも褒めている。
早速、俺も乗ってみる事にします。
「ヒマナッツとラルトスも一緒に乗りますが大丈夫ですか?」
「メェー!」
撫でながら聞くと、快く了承してくれた。
思わず抱き締めてしまう可愛さ。
「ヒマヒマ!」
「ラルー」
前にヒマナッツとラルトスを乗せ、その後ろに俺が跨ってメェークルが歩き出す。
前のふたり共楽しそうですな。
「……」
そして、何故か隣に来てカトリーナさんから睨まれています。
「何か?」
「何でもありませんわ! 別に、初めてで上手く乗れないシローに格好良く手解きしようと思っていたのに、余裕で乗れていて計画が狂ったなんて事は絶対にありませんから!」
ダダ漏れ過ぎなところが可愛い人ですわー。
何やかんや言ってゆったり歩くメェークルの上で言い訳しておきます。
「いやー、最初に見た手本が良かったからですよ」
「ま、まあ、そういう事にしておいてあげますわ」
満更でもなさそうな顔。
この人、素直というかいつか騙されないか心配になりますな。
「ヒマー」
「ラルラル」
「そうですね、風が気持ち良いですねー」
メェークルに乗りながら牧場に吹く柔らかな風に御機嫌なヒマナッツとラルトスを柵の近くで待機しているガンタはカメラに収めているのだろう。
後でじっくり拝見させて頂きましょ。
のんびりとした時間が流れ、メェークルでの散歩を充分に楽しんでから降りた。
「乗せてくれて、ありがとう御座いました」
「ヒッマ!」
「ラルラル!」
ヒマナッツとラルトスと一緒に御礼を言ってメェークルの頭を撫でた。
「メェー!」
撫でられたメェークルは嬉しそうに鳴いてくれた。
この子もお持ち帰りしたいんですけど。
直ぐ隣ではカトリーナさんもメェークルと戯れ中。
美人とポケモンのツーショットは映えますな。
「あっちの森に野生のメェークルがおるよ」
メェークルが気に入ってしまったのでお爺さんに生息している場所を聞いた。
今度、ゲットしに来よう。
「それくらい付き合って差し上げますわ」
付き合ってくれるらしいです優しい。
牧場を後にしてお爺さんが教えてくれた森に行ってみます。
メェークル以外のポケモンも見受けられますな。
「ガゥ!」
捜索を手伝ってもらっていたガーディが走って行った。
「見つけたみたいですねー」
後を追いかけた先にはちゃんと野生のメェークルがいた。
ガーディ、出来る子。
「メェー」
野生でも可愛い。
警戒心が薄いのか近寄って来たので撫でておきます。
「シロー、ゲットしませんの?」
「そうでした」
あまりの可愛さに目的を見失うところだった、危うし。
「えーっとですね、ゲットされてくれりすると嬉しいのですが如何でしょう」
「メェー」
反応は悪くない。
ただちょっと迷ってる感じが伝わって来ましたね。
「メェー!」
少し離れて嘶かれた。
アタイをゲットしたかったらバトルで勝ってみせな、と言いたいみたいですな。
こうなった時も想定して、くさタイプに有利な子を連れて来ておいて良かった。
「ガゥ!」
ガーディがやってくれるらしい。
超良い子。
「ラルラル」
「ガゥ!?」
前に出たガーディが浮いた。
ラルトスがねんりきを使っている様子。
浮いていたガーディが俺の隣に下された。
「ラッル!」
肩にいたラルトスが飛び降りてメェークルと対する。
自分がやりたかったのね。
「クゥーン…」
うん、分かったからそんな悲しげな目で見つめないで。
「いいですか? やる気になっている女性には逆らわない方が身の為ですよ」
「それはポケモンに教えるような事ではありませんわ」
そうですかね?
男として大変役に立つアドバイスだと思うのですが。
「メェー!」
なんて事を考えている内にメェークルのつるのムチがラルトスに向かって来た。
しかし、申し訳ない。
「ラルトス、ねんりきです」
「ラル!」
つるのムチごとメェークルの身動きをねんりきで封じた。
多分、ウチの子達の中で最強はラルトスですわ。
「メェー! メェー!」
何とか動こうとしている様だか、メェークルは全く動けない。
「浮かばせて回してあげなさい」
「ラールー」
俺の指示通り、浮かんだメェークルが空中でぐるぐる回る。
あ、もうその辺で。
「メェー…」
地面に下されたメェークルは目を回して倒れた。
そこへモンスターボールを投げ、メェークルが光に包まれて中へ入る。
少しの間、ボタンの点滅と揺れを繰り返し、ゲットが完了した。
「ラルラル!」
無邪気な笑顔つぁ褒めてとモンスターボールを持って来てくれたラルトスの頭を撫でてあげる。
完全にトラウマなガーディはその笑顔に怯えて震えとります。
気持ちは分からなくもない。
だか、可愛いは全てが許されるのだ。
「今のは上手に出来ましたねー」
「ラルー!」
俺みたいに吹っ飛ばなかったですし。
バトルの緊張感とかが逆に良かったんですかね。
ラルトスから受け取ったモンスターボールから早速メェークルを出す。
外傷はなかったので元気なままだ。
「メェー」
「ラルラル」
アタイの負けよ、とラルトスとつるのムチで握手しているメェークルにポケモン図鑑をかざしてみる。
『メェークル』
性別:♀
特性:そうしょく
技:つるのムチ、はっぱカッター、やどりぎのタネ、じならし
バトルの時から思ってたけど、平均よりも大きめの子だ。
「メェー」
「あ、どうも」
ラルトスと握手していたつるのムチが俺にも来た。
「俺はシローです。今日からよろしくお願いしますね」
「メェー!」
片膝を付いていた俺に頭を擦り付けて応えてくれたが、立派な角が鎖骨に当たってちょっと痛い。
挨拶も終え、ゲットに付き合ってくれたカトリーナさんに向き直った。
何故か物凄く良い笑顔。
「随分と早い決着でしたわね」
「ラルトスは元々ポテンシャルが高い子みたいで、不安定だったねんりきのコントロールをあれから毎日練習してましたから強いですよ」
「ええ、それは見ていて充分に分かりましたわ。ですからーー」
そして、カトリーナさんが前に会った時に見た笑みを浮かべた。
続く言葉が大体分かりますわー。
「シローとラルトスに正式にバトルを申し込みますわ」
あーもう、やっぱり。
誰よ、さっき強いとか余計な事言ったの…………俺でした。