ポケモン世界に転生したので好き勝手に生きてみる 作:にわか党
正直舐めてた。
神様ってやつを。
確かに、安全な庭付きの家をくれると言っていたし、俺もそれを喜んだ。
駄菓子菓子、こうなるとは予想出来なかった。
「まさかの無人島…」
俺に与えられた家は豪邸と呼ぶに相応しい大きさで、更に馬鹿デカい無人島全てが庭だった。
まさかの神様クオリティにドン引きだ。
そして、天蓋付きのベッドで目覚めた俺にそれらを教えてくれたのは、某ロボットアニメのタンクに良く似たロボット。
『名前ハ、ガンタ、デス』
「まんまですね?」
まあ、俺も男の子であるからして、タンクは好きだ。
そのキャタピラーに痺れます。
「確認すると、ここは無人島で俺とガンタしかいない。しかも、ポケモンもいないと」
『捕捉シマス。コノ島ハ、シロー様が承認シタ人間、或イハ、ポケモン、ダケガ入ル事ガ出来マス。ソレ以外ハ、島ヲ囲ム霧ガ結界ト成リ、侵入者ヲ阻ミマス』
何それ超便利。
引き篭もり放題という事ですね。
「あー、でも、ポケモンもいないんすかー」
目覚めたら直ぐに逢えるもんだと思ってたよ。
『ポケモン、ハ、イマセンガ、ポケモン、ガ、入ッテイル、モンスターボール、ヲ、預カッテオリマス』
わーい、先に言って欲しかったよ。
『入ッテイル、ポケモン、ハ、ヒマナッツ、デス』
……泣いた。
「それは、神様が御選んだので?」
俺は座っていた天蓋付きベッドに突っ伏したままガンタに尋ねた。
『御選ビニナッタノハ、天使様デス』
テメーにはそれがお似合いだ、という天使様の声が聞こえくるようだ。
だが、ポケモンには違いない。
「ヒマナッツが入ったモンスターボールは?」
『コチラデス』
ガンタの腹部が開き、そこに入っていたモンスターボールが手渡された。
本物のモンスターボールだ。
持ってみるとかなり軽い。
「ではでは、ごたいめーん」
モンスターボールを開く。
「ヒッマ!」
丸っこい感じのフォルムに、黄色と焦げ茶色のシマシマ、つぶらな瞳、そして、頭上の葉っぱ。
何が言いたいかというと。
「何コレ可愛すぎて辛いんですけど」
そのまま抱き締めてスリスリ。
「ヒマヒマ!」
凄く喜んでいるのが何となく伝わってくる。
これが、神様の言っていたポケモンの気持ちが分かる能力か。
ヒマナッツからもスリスリ。
可愛さが限界突破してますな。
合計種族値最弱とか、もうどーでもいいですわ。
「今日から君は俺のポケモンになります。そこんとこ宜しいですかね?」
「ヒマ!」
「ヒマナッツ可愛いよヒマナッツ」
お日様の匂いがしますよ、クンカクンカ。
天使様もこの可愛さで選んだのだろう。
以外と女の子なんだからー。
ヒマナッツの可愛さを堪能しながら、割と重要な事を思い出した。
「ガンター、この島から出る移動手段は?」
『潜水艦ト、ヘリ、デノ移動ガ可能デス』
ここは何処ぞの軍事基地か。
「ガンタが動かせるんだよね?」
『ハイ。又ハ、オートパイロット、デモ、動キマス』
「食べ物とかは?」
『木ノ実、果物類ハ、コノ島ニ自生シテイマス。ソレ以外ハ、コノ島ヲ出テ、材料ヲ買ッテ来クレバ、私の調理機能デ様々ナ料理ヲ御出シ出来マス』
一家に一台は欲しいガンタさん。
「ヒマナッツは……水だけですかー」
ヒマナッツが何を食べるのか考える前に、最初から知っていたように知識が頭に浮かんできた。
それに、1.8kgあるらしいヒマナッツを持っていても全然重さを感じない。
流石、チートな身体。
「じゃあ、買い物にでも行ってみましょうか」
『ソノ前ニ、何カ衣類ヲ着用スル事ヲ、推奨シマス』
言われて気付く。
そういえば、俺って今マッパでした、やぁだー。
『衣類ノアル部屋に御案内致シマス』
ヒマナッツを抱えてガンタの後に続いて進む。
案内された部屋には所狭しと服が並んでいた。
「ガンタ、ガンタ。コーディネートの機能があったりなんか」
『アリマス』
やっぱりあるんですね。
ガンタが俺に与えられた一番のチートなのかもしれない。
『コーディネート、完了デス』
「なんか、これ良い服過ぎない?」
ガンタにコーディネートしてもらった服は全体的に俺が着慣れない良い服であった。
「似合います?」
『トテモ、御似合イデス』
「ヒマ! ヒマ!」
ヒマナッツもそれに同意してるし、いいか。
『ソレカラ、コチラモ、ドウゾ』
ガンタから渡されたのは、黒く硬質な腕輪だった。
なんすかね、これ。
『ソレハ、ポケモン図鑑デス。ポケモン、ニ、向レバ、ホログラム、ノ、ウィンドウ、ガ、出現シ、ソノ、ポケモン、ノ、様々ナ情報ヲ見ル事ガ可能デス』
「科学の力ってすげー、ですね」
早速、ヒマナッツに向けてみた。
ガンタの言った通り、ホログラムのウィンドウが出現し、ヒマナッツのデータが表示されている。
『ヒマナッツ』
性別:♀
特性:ようりょくそ
技:すいとる、せいちょう
覚えている技は、二つだけ。
今のところ、俺にはヒマナッツにバトルをさせる気は微塵もないから別にいいけど。
もちろん、ヒマナッツがバトルをしたいというなら話は違ってきますがね。
「ではでは、今度こそ買い物に出発ー」
「ヒマー」
『移動ハ、潜水艦ト、ヘリ、ドチラニ致シマスカ』
「んー、ヘリ」
「ヒマー、ヒマ」
一々、俺の真似をするヒマナッツの愛くるしさに爆発しそう。
「お金は?」
『コチラニ』
渡されたのはカード。
クレジットカードって事ですかね。
『デハ、ヘリ、マデ、御案内、致シマス』
再度、ガンタに後に続き、広い家の中をヒマナッツを抱えたまま歩くと、これまた広い玄関ホールに出た。
ガンタが開けてくれた扉から外に出て、後ろを振り返って見る。
そこには、白を基調とした美しい外観の洋館がありました。
前の世界なら文化遺産になりそう。
『アチラガ、ヘリポート、ニ、ナリマス』
更に広い庭を越えた先に見えるヘリポートには、流線型の白いボディが眩しいヘリが佇んでいる。
速そうですな。
直ぐに乗り込んで俺とヒマナッツはやけにふかふかのシートに、ガンタは前の操縦席に着く。
しかし、おかしな事に気が付きます。
操縦席には、数個のスイッチがあるだけでスティックもレバーもない。
「…それどうやって操縦するんで?」
俺の質問に上半身だけを半回転させたガンタが、操縦席から何かのコードを引っ張り出した。
『コノ、コード、デ、私ト、ヘリ、ヲ、繋グ事デ、全テヲ直接コントロール可能ニ、ナリマス』
ガンタさんのスペックの高さが止まるところを知らない。などと戦慄していると、シートのひじ掛けからポケモン図鑑と同じようにホログラムが投影された。
ホログラムはマップで、地方や街はアニポケと同じなようだ。
『マップ、ヲ、表示サセマシタ。何処ニ、行クノカヲ、選択シテ下サイ』
「一番遠い場所で、どのくらいの時間がかかる?」
『三十分モ、カカリマセン』
速っ。
マップだとかなりの距離があるみたいなんすけどね。
「なら、行き先はカロス地方のミアレシティにしましょうかね」
マップで見てもデカい街だし、大抵の物は買えそう。
『了解シマシタ。ソレデハ、出発致シマス』
「シートベルトとかは?」
『コノ機体ト、私ノ性能ガ、アレバ、少シノ揺レモ、アリ得マセン。従ッテ、シートベルト、ナド、不要デス』
おおっと、ここでまさかのガンタの特性が『じしんかじょう』である事が判明したー。
『ソレデハ、出発シマス』
窓から外を見ると機体がふわりと浮き上がった。
そのまま高度が上がっていく。
「ヒマー? ヒマ、ヒマ…」
ヒマナッツが不安そうに身をよせて来る姿、たまりません。
更に抱き締めると不安は和らいだが、今度はお腹が減ったみたいだ。
「ガンタさん、水とかないですかねー?」
『コチラニ』
床から伸びてきたアームが握っているのはペットボトル。
「はい、どーも」
このくらいではもう驚かなくてよ。
「ヒマナッツ、水ですよー」
「ヒッマー」
ちょっとづつ水を与える。
つぶらな瞳を細めて喜ぶヒマナッツ。
それを見て愉悦に浸る俺。
和みますなー。
『シロー様、今ノ高度カラナラ島全体ガ見渡セマス』
「見渡しましょう」
「ヒマヒマ」
窓から見た島は予想よりも大きい。
森に草原、湖、山。
砂丘までありますな。
「火山と雪山まで見えるのは、気の所為?」
『気ノ所為デハ御座イマセン。コノ島ハ、全テノ、タイブ、ノ、ポケモン、ガ、快適ニ生活、出来ル、環境ガ揃エラレテイマス』
神様、あーたホントやり過ぎ。
まあ、有難い事は確かですよ?
『直グニ目的地ニ着キマス、ノデ、暫シノ間、上空カラノ景色ヲ、御楽シミ下サイ』
「うぃうぃ」
「ヒマヒマ」
フヒヒ、ミアレに着くまで景色とヒマナッツを堪能しますよ。