ポケモン世界に転生したので好き勝手に生きてみる 作:にわか党
「さあ! 参りますわよ!」
「お手柔らかにー」
森の中の開けた場所で離れて向かい合う俺とカトリーナさん。
結局、バトルの申し込みは断れませんでした。
だって、カトリーナさんの目がマジなんですもの。
「シロー! バトルの前にヘラヘラしない!」
怒られた。
「まったく……気を取り直して、私はこのポケモンでいきますわ」
カトリーナさんが投げたモンスターボールから出て来たのはオノンド。
やっぱり可愛いですわー。
「ノンドー」
手を振ったら振り返してくれた。
癒されますな。
「対戦者のポケモンに手を振るトレーナーが何処にいますの!」
すいません、此処に。
『コレヨリ、シロー様ト、カトリーナ様ニヨル、ポケモンバトル、ヲ、始メマス』
俺とカトリーナさんの中間の位置にいるガンタが審判。
まあ、ラルトスがやる気なんで良いんですがね。
それに、勝てば何でもひとつお願いを聞いてくれるらしいので俺もノリ気だったりする。
『使用ポケモン、ハ、一体。何方カノ、ポケモン、ガ、戦闘不能ニ、ナッタ時点デ、バトル終了トシマス。デハ、バトル開始』
うわー、何か正式な試合って感じですな。
「先手は貰いますわ! オノンド、どくづき!」
「ノーンド!」
オノンドの両手が紫色に光る。
フェアリータイプの対策ばっちりみたいです。
しかも、距離をつめるオノンドのスピードはかなり早い。
ねんりきで捕まえられるか微妙ですな。
「ラルトス、かげぶんしんです」
「ラル!」
ラルトスの姿がブレ、その数が十に増えて突っ込んで来たオノンドを囲む。
「甘いですわよ。オノンド、尻尾で砂を巻き上げなさい」
カトリーナさんの指示でオノンドが尻尾で砂を巻き上げた。
巻き上げた砂は実体の無い分身を見分ける為の物だろう。
「ノンド!」
直ぐに実体のある本物を見抜いたオノンドがどくづきをラルトスに放った。
やっぱり、トレーナーがいるポケモンとのバトルは楽には勝てないみたいです。
「テレポートで回避して下さい」
「ラル」
どくづきが決まる前にラルトスの姿がかき消え、別の場所に現れた。
「テレポートも使えますのね。なら、りゅうのまい!」
「ノーンド!」
オノンドの身体からオーラの様なものに包まれる。
何だあのエフェクト、格好宜しいですな。
まあ、舞うならこっちもチャンス到来。
「ねんりきで捕まえて下さい」
「ラルー」
止まっているオノンドをねんりきで捉えた。
しかし、ねんりきの拘束をオノンドは力尽くで破る。
「ラル!?」
ラルトスが動揺を見せる。
「ラルトス、大丈夫ですよ」
ねんりきで縛れなかっただけで、まだ負けた訳ではない。
積まれたし、不利ではありますが。
「畳み掛けますわよ、どくづき!」
「ノンド!」
さっきよりも素早く距離を詰めたオノンドがどくづきを放つが、テレポートで躱してもらいました。
「やっかいな技ですわね。それなら見えない攻撃なら如何かしら…オノンド、あなをほる!」
オノンドが地面を掘って地中に潜る。
確かに、攻撃のタイミングが分からないとテレポートで躱すのは難しい。
「ラル、ラル…?」
「落ち着いて下さい、ラルトス。焦りは禁物です」
「…ラル!」
ラルトスが頷いて地面の様子を伺う。
姿は見えなくても攻撃が来るタイミングを計る事は出来る、多分。
「ラルトス、テレポートです」
「ラル」
俺の指示でラルトスがテレポートを使い、その姿を消す。
「ノンドッ!」
次の瞬間、地中からオノンドが出て攻撃するが、空振りに終わる。
カトリーナさんが装うポーカーフェイスも若干崩れた。
「ラルラル!」
回避が成功してラルトスは嬉しそうですな。
「なかなかやりますわね」
「恐縮です」
「ですが、避けてばかりでは勝てませんわよ」
御尤も。
では、攻めてみましょう。
「ラルトス、ねんりきで周りの岩をオノンドへ飛ばして下さい」
「ラッル!」
ねんりきを使ってそこそこ大きな岩をひとつずつオノンドに飛ばしていく。
「あなをほるで躱しなさい!」
「ノンド!」
再び、オノンドが地面を掘って地中に潜る事で飛来する岩を躱した。
でも、逃がしません。
「ねんりきで地面ごと吹き飛ばしてみましょうか」
「ラルー…!」
ラルトスのねんりきでオノンドが潜った辺りの地面が噴火の様に吹き飛び、オノンドが土と共に宙を舞う。
直ぐに体勢を立て直したオノンドは少し離れた場所に着地した。
「…冗談みたいな威力ですわね」
俺もそう思います。
「次で決めますわ」
必殺技とか出してくるんですかね?
「オノンド、ドラゴンクロー!」
「ノンドー!」
オノンドの手から爪の形をした光が伸びる。
フェアリータイプのラルトスにはドラゴンクローは効果が無い筈なんですが。
「その岩を砕いてラルトスにぶつけなさい!」
「ノーンドッ!」
効果の無い技に油断した事で俺の指示が遅れ、ドラゴンクローで砕かれた岩がラルトスに直撃した。
「ラ、ル…」
自分のミスでボロボロになったラルトスを見て自己嫌悪で押し潰されそうですわ。
それでもラルトスが立ち上がろうとしている姿を見て今は余計な感情を切り離した。
「ギブアップをお勧めしますわ」
「ラル、ラル」
カトリーナさんが俺に向けて勧告するが、ラルトスがそれを拒否した。
俺の為に勝つんだという気持ちが伝わってくる。
やばい、泣きそう。
そして、傷付いたラルトスが完全に立ち上がり、オノンドと向き直ると身体が光り出した。
光るラルトスで身体は大きくなっていき、その姿を変える。
「キル!」
ラルトスは人間の少女の様な姿のキルリアに進化した。
『キルリア』
性別:♀
特性:トレース
技:テレポート、かげぶんしん、サイコキネシス、ドレインキッス
大きくなっても愛らしさは変わりませんな。
覚えていたねんりきがサイコキネシスに変わり、更に新しくドレインキッスを覚えていた。
「キルリア、いけますか?」
「キッル!」
強気な眼差しで頷くキルリアとオノンドに向き直る。
「狙い澄ましたように進化しましたわね。ですが、私としても強い相手とのバトルは大歓迎ですわ」
心底楽しそうにカトリーナさんが笑う。
もはや戦闘狂。
「さあ、バトル再開ですわ! オノンド、りゅうのまいからのどくづき!」
「ノーンド!」
更に舞ったオノンドがどくづきを繰り出してくる。
「キルリア、ドレインキッスです」
「キールー!」
キルリアが片手で投げキッスをすると、ハート型の光がオノンドに向かう。
「躱しなさい!」
オノンドがドレインキッスを躱す。
「サイコキネシスでドレインキッスをオノンドに追尾させて下さい」
躱されたドレインキッスをキルリアがサイコキネシスで操り、倍以上のスピードでオノンドに直撃した。
「ノンドッ!?」
背後からの奇襲にオノンドが足を止める。
ドラゴンタイプのオノンドにフェアリータイプの技であるドレインキッスは効果抜群。
追加効果でオノンドに当たった光がキルリアに戻り、体力を回復させた。
「オノンド! 貴方ならまだやれる筈ですわ!」
「ノーンド!」
カトリーナさんの声でオノンドが立ち上がる。
この人達カッコ良過ぎですわー。
「キルリア、サイコキネシスです」
「キル!」
立ち上がったオノンドを今度はサイコキネシスで縛る。
「ノ、ン、ドッ」
ねんりきは破られたが、サイコキネシスの拘束は破れないみたいですな。
「りゅうのまいでパワーを上げて拘束を打ち破りなさい!」
動けないオノンドの身体をオーラが包む。
残念ですが、やらせません。
「サイコキネシスで浮かべて叩き付けて下さい」
「キッル!」
指示と同時にオノンドが物凄いスピードで宙を舞い、地面に叩き付けられた。
叩き付けられた地面はオノンドを中心にクレーターを作った。
ガーディの時よりひどい有様。
「ノンドー…」
『オノンド、戦闘不能。ヨッテ、勝者、シロー様』
ガンタの勝利宣言でバトルが終了し、カトリーナさんがオノンドをモンスターボールに戻した。
「キルキルー!」
飛び付いて来たキルリアを受け止め、褒めちぎってあげた。
「さっきは俺の所為で傷付けてしまってすいませんでした」
「キル! キルキル!」
離れてから謝ると、首を左右に振って俺の所為ではないと一生懸命伝えてくる。
なんて優しい子なんでしょ。
「シロー、今日は素直に負けを認めますわ」
キルリアの頭を撫でていたところにカトリーナさんが歩み寄って来た。
「次は必ず私が勝ちますからね!」
あ、次とかあるんですね。