ポケモン世界に転生したので好き勝手に生きてみる 作:にわか党
《天才怪盗紳士現る!》
《厳重な警備とシステムを華麗にすり抜け、プリズムタワーよりライトストーンを盗む》
《盗まれたライトストーンは翌日には返却、指名手配のポケモンハンター10人と共に》
《賛否両論分かれる彼にファンが擁護を込めて名付けた名はその姿とかけて「怪盗ホワイト」》
《熱烈な女性ファン急増中》
「すごい賑わいですねー」
『流石、我ガ主デス』
清々しい朝日を浴びてネットニュースの記事を読みながらガンタ特製のパンケーキを頬張る。
昨日はライトストーン入手の後でポケモンハンターをガンタと捕まえに行った為、今日は少し遅めの朝食。
ちなみにヒマナッツに言ったご褒美は俺が作ったポフィンです。
皆、美味しそうに食べてくれました。
ああ、あとポケモンハンターを贈ったのは免罪符ではなく、単純にあれがいる為に俺が遭遇するポケモンが減ったら腹立つってだけですよ。
「ヒマー」
「キルル」
「ガゥ?」
そして、ポケモン達はと言えば皆揃ってライトストーンの周りを囲んで不思議そうに見ている。
ネットニュースでは警察に返却されて来た事になっているんですけど、実は返してなんかいません。
返したのはガンタが精巧に作った真っ赤な偽物。
ガンタ曰く、レシラムを操る力以外はミクロ単位の傷まで同じに作った模造品で偽物とバレる事はありえないらしいです。
流石なのはあなたですから。
「さて、これは仕舞いに行かないとですね」
パンケーキを食べ終えて立ち上がり、ポケモン達に囲まれたライトストーンを持ち上げた。
「ヒマ?」
「何処に持っていくのか気になるんですね。地下に宝玉の安置場所があるらしいですよ」
昨日、ガンタに聞いた事をヒマナッツに教え、頭に乗るチルットとキルリアも伴って地下へと向かう。
他の子達は泳いだり寝たり、バトルマニア組はバトっていたりで裏庭にいるようです。
ガンタの案内で地下へとエレベーターで向かう俺達。
他の施設よりも安置場所は更に下の最下層にあるらしいんですよ。
『此方デス』
静かなキャタピラーの後に続くと、そこは弱い光で照らされた神殿でした。
最奥部には像が囲む丸い部屋。
像は、グラードン、カイオーガ、レックウザ、パルキア、ディアルガ、ゼクロム、レシラム、何故か中央に神様。
ここ作ったのはあんたですか。
天使様にはバレたくないって言ってましたしね。
『ライトストーン、ヲ、レシラム、ノ、像ニ』
「はいはーい」
持っていたライトストーンをレシラムの像に近付けると浮かび上がり、像の頭上に浮遊したまま止まった。
何ですか、その無駄に格好良いギミック。
そう思っていると直後に何処からか鐘の音が鳴り響いた。
『シロー君! 僕は信じていたよ、君が宝玉を集めてくれると! 感謝の印にご褒美として支給されるモンスターボールの種類を増やしちゃいまーす! 今後も宝玉を集めてくれる度にご褒美があるから宜しくねー!』
嬉しい誤算きました、これ。
ご褒美あるなら速攻やってましたよ。
うし、次の宝玉集めのモチベーション上がります。
「では、上に戻りましょうか」
「ヒッマ!」
「キルキル」
「チルルー」
意気揚々とエレベーターで地上へ上がる。
裏庭へと出るとバトルの音が聞こえてくると思ったら妙に静かでした。
何かあったんですかね?
異変はバトルをしていたスコルピ達の所みたいです。
バトルをしていたのはスコルピ、ダンバル、タテトプス、コリンク、ガーディ。
その中のコリンクの姿が光り出しています。
あれは進化の光ですな。
「ルクッ!」
コリンクはルクシオに進化した。
お約束のポケモン図鑑タイム。
『ルクシオ』
性別:♂
特性:いかく
技:スパーク、たいあたり、スピードスター、かみつく
新しくかみつくも覚えていますな。
「ルック!」
進化して体が大きくなり、頭部に黒い毛並みが追加されたルクシオが走ってきた。
星のようにも見える尻尾の先端が左右にせわしなく動いて、得意げな表情で「褒めて」という感情が伝わってきます。
「よく頑張りましたね。おめでとう御座います」
屈んでヒマナッツを抱える手とは反対の手でルクシオの頭を撫でます。
「ルクゥ」
気持ちよさそうに鳴くルクシオにノックアウトされましたわ。
むしろ俺にとってのご褒美でした。
「ヒマ!」
「キルキル」
ヒマナッツとキルリアも一緒にルクシオを撫でて褒めてあげています。
優し可愛いですな。
他の皆からも祝福を受けるルクシオは少し照れ臭そうです。
「コル、コル!」
「ダンバルッ!」
「テプー!」
進化した事で更に強くなったルクシオにスコルピ、ダンバル、タテトプスは早速バトルを申し込んでいます。
「ルック!」
ルクシオはそれに受けて立つようですな。
進化して以前より好戦的になっているんですかね。
元気なのは良い事です。
それからルクシオはスコルピ、ダンバル、タテトプスの順にバトルをしました。
コリンクの時と比べてスピードが上がったようで相手を翻弄しながらのバトルスタイルはなかなかですな。
一撃の威力も上昇し、防御が得意なタテトプスもスピードに乗ったルクシオの攻撃には苦戦しているみたいでした。
「スミスミ」
「ヒママ」
ルクシオ達のバトルを観戦しながら俺はヒマナッツとスボミー、ナエトルと戯れます。
今もお昼寝中のナエトルは撫でても無反応。
こういうマイペースなところもまたこの子の良い所です。
水辺の子達は優雅に泳ぎ、メェークルはキルリアを乗せてお散歩。
今日も穏やか朝が過ぎていきます。
「ルクー……」
スコルピ達とのバトルを終えてすっかり疲れたルクシオは若干グロッキーなご様子。
三連戦でしたからね。
直ぐにオボンの実をあげると寝始めました。
進化したばっかりですし。
「さて、そろそろ出掛けますか」
『畏マリマシタ』
今日の手持ちはヒマナッツ、キルリア、チルット、スコルピ、ダンバル、タテトプスです。
後半のスコルピ達はモンスターボールに入れ、ヘリポートへと向かった。
いつものようにチルットを頭に乗せたままヘリへ乗り込み、キルリアは膝の上、そのキルリアがヒマナッツを抱えてヘリが離陸します。
「ヒママ?」
キルリアに抱えられたヒマナッツがこちらを向き、何処へ行くのか気になっているように葉っぱを揺らす。
「今日はイッシュ地方に行ってみようかと思ってるんです」
「ヒマ?」
「イッシュの何処かは着いてからのお楽しみです」
それからしばらくヒマナッツ達とイチャつきながらのフライト。
時々、ひこうタイプのポケモンを見かけますが、ステルス機能で誰もこちらには気付きません。
それにスピードが違い過ぎて通り過ぎるのも一瞬ですしね。
『シロー様、目的地ノ周辺、上空ニ、到着致シマシタ』
「もう着きましたか」
本当に早いですな。
ガンタに着陸を命じて降り立ったのは森の中。
ヘリから降りて体を伸ばしたりします。
「ふぅ。では、行きましょうか」
『ハイ、此方デス』
ガンタが先行して行くのに俺達は付いていく。
道の途中、見かける木や岩には爪の跡や砕かれた物が多数あった。
これから向かう場所にいるポケモン達が付けた跡でしょう。
彼らはタイプ的に気性の荒い子や好戦的な子が多いですから。
『シロー様、目的地ガ、見エテマイリマシタ』
ガンタの言葉に前方を見ると、中央のゼクロムとレシラムの石像を囲むように緩い勾配の丘が並ぶ地形に木の柵や木造の家があるどこか懐かしい感じのする村。
草原のような丘には数多くのドラゴンタイプのポケモン達が仲良く遊んだり昼寝をしたりしている。
「キルー?」
「ここは竜の里と言ってドラゴンタイプのポケモンとそのエキスパートであるトレーナー達が暮らす場所なんです」
キョロキョロと辺りを見回すキルリアに説明してあげた。
右を見ればキバゴにジヘッド、左を見ればガバイトにオノノクス。
ドラゴンタイプのポケモンオンパレード。
何ぞ、この楽園は……。
モフりたい、激しくモフりたい。
「観光の方ですか?」
駆け巡る衝動に耐えながらドラゴンポケモン達を見ていると後方から声を掛けられた。
振り向いた先にいたのは民族衣装的な服を着た男性。
「はい。先日、連絡をしたシローという者です」
「ああ、君が。話は聞いています、私はこの里のトレーナー兼世話役のジレン。早速、案内をしましょう」
「お願いします」
ガンタが事前に連絡を取ってくれたおかげでスムーズに案内してもらえるようです。
「竜の里ではドラゴンタイプのポケモンの育成をしている事はご存知かと思いますが、その他にもドラゴンタイプに最適な環境や食事の研究など様々な事が行われているんです」
「そうなんですかー」
ジレンさんの案内で竜の里内を見て回っております。
俺達は一軒の大きな建物に案内されました。
「ここはポケモンのタマゴを管理する場所です」
その言葉通り、建物内に入ると籠に入れられた多くのポケモンのタマゴ。
全部がドラゴンタイプのポケモンのタマゴらしいです。
ぶっちゃけ超欲しいんですけど。
ただ世話をしているのは子供達が多いようですな。
「この里の子供達はまずタマゴの世話から学びます。そうする事で生命というものを肌で感じ、良いドラゴン使いになる為の第一歩を踏み出す訳です」
何それ羨ましい。
俺もここの子供っていう事にしてもらえませんかね?
そうですか、駄目ですか。
「では、外のドラゴンポケモンと少しコミニケーションを取ってみましょうか」
来ました。
待っていましたよ、この時を。
さあ、早くドラゴンポケモンをクンカクンカしにいきましょうか。
ヒマナッツ達を伴って外に出た後は広い丘に案内されました。
そこにいたのはキバゴにモノズ、タツベイがいます。
こちらを興味あり気に見ている姿はたまりませんな。
「この子達は好奇心旺盛で知らない方やポケモンでも仲良くなれると思いますよ」
「キババ!」
我慢出来なかった様子でこちらに向かい、てってっとキバゴが走って来ます。
走り方が可愛すぎて倒れそうになるのを堪えてヒマナッツとは逆の手で抱きかかえました。
「ヒマヒマ!」
「キババ、キバ!」
俺の腕の中で戯れ出すふたりに失神寸前です。
「こんにちは、俺はシローといいます」
「キッバ!」
両手を挙げて笑顔のキバゴ。
あ、やばい。
ポーカーフェイスが崩れそう。
「モノモノ」
「ベイッ!」
モノズとタツベイも近付いて来ました。
俺は地面に胡座で座り、足にキバゴとヒマナッツを乗せて空いた両手でモノズとタツベイを撫でます。
この子達も可愛いですな。
「キル、キルキール」
「モノモノ」
苦手タイプである筈のキルリアとも仲良くしてくれています。
可愛い上にいい子とは、テイクアウトをお願いしたい。
「君はドラゴンポケモンを育てた経験が?」
「いえ、生憎とまだトレーナーに成り立ててドラゴンタイプの子はゲットしていませんよ」
「本当ですか? 確かに人に慣れ易い子達を選びましたが新人の方にこれほど懐いたのは初めてなんです」
神様能力の賜物ですな。
キバゴ達から撫でて欲しい場所などが伝わってくるんですよね。
「おや?」
そのまましばらく戯れていると何かが近付いてくるのが感じられた。
しかも、どうやら地面からのようです。
恐らくはポケモン。
何でしょうな?
「フカーッ!」