ポケモン世界に転生したので好き勝手に生きてみる   作:にわか党

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読者の方々並びにお気に入り、感想、評価をして頂いた方、本作品をお読み頂きありがとうございます。

最近、巷ではポケモン総選挙なるイベントが行われているようですが、ポケモンを1匹だけ選ぶ事など私には難題過ぎました。
ミレニアム賞金問題に入れてもいいくらいです。
せめて、せめて6匹で……。

余談が過ぎて申し訳ありません。

今話もどうかお楽しみ下さい。


0024

 座ってポケモン達と戯れていた俺の背後から地面を突き破って現れたのは全体的に丸く青い体色に腹部は赤、頭部には左右に突起、大きく開いた口には鋭い牙がずらりと並ぶフカマルでした。

 

「フカーッ!」

 

 あなをほるで開けたらしい穴から飛び出して俺へと迫る。

 このまま噛まれても超スペックの体を持つ俺にはたいしたダメージではないんですけど、そうなるとキルリアは多分フカマルをありったけのサイコパワーでぶっとばす恐れがある。

 それはあまり見たくないんですよね。

 なので、モノズを撫でていた手を離し、フカマルが接近して来る方向へと向ける。

 その手はちょうどフカマルの鼻先に触れ、少しだけ腕を引いて向かってきた衝撃を相殺しました。

 

「フカ? フカ?」

 

 何が起こったのか分からない様子のフカマル。

 空かさず俺はそんなフカマルの鼻先を撫でます。

 

「よーし、よーし。良い子ですねー」

 

「フカーァ」

 

 ツボを押さえた完璧な撫でテクニックでフカマルは地面に転がり気持ち良さそうに目を細めています。

 ここですか、ここがいいんですか?

 フヒヒ、撫でまくりです。

 俺得です。

 

「だ、大丈夫ですか!?」

 

「ええ、ご覧の通り特に怪我などはしていませんよ」

 

「キル? キルル?」

 

「本当ですよ」

 

「キルゥ」

 

 心配してくれたキルリアも撫でます。

 ラルトスの時とはまた違った撫で心地ですねー。

 

「すいません。このフカマルは悪戯好きで我々も手を焼いていて」

 

「そうなんですかー。でも、良い子ですよ」

 

「村長であるオジジ様にしか今まで他の誰にも懐かなかったのですが……」

 

 確かに気分屋な感じが伝わってきますね、この子。

 でも、そういう子ってやけに可愛く思えるのって俺だけですかね?

 

「フカァー」

 

「気持ちいいですか?」

 

「フカ、フカ」

 

 腹這いのままコクコクと頷く姿にトキメキます。

 ほらほら、もっとサービスしますよ。

 

「ほっほっほ。少年、お主なかなかのテクニックの持ち主じゃな」

 

 誰もいないと思っていた方向から声がした。

 振り向いた先にはジレンさんと同じような服装の長く白い髭を蓄えた小柄なお爺さんが居た。

 感覚も超スペックの俺が気付かなかったとは。

 

『私ハ、気付イテ、イマシタ』

 

 なら俺にも教えておいてくれませんかね、ガンタさん?

 

『特ニ、害ハ無イ、ト、判断シマシタ』

 

 ……さいですか。

 

「オジジ様! おられたのですか!」

 

「うむ。またフカマルが逃げ出したと聞いたのでな、追って来たのじゃよ」

 

 なるほど、この子は脱走の常習犯のようです。

 

「少年、名は何と申すのかの」

 

「シローです」

 

「ふむ、聞き覚えの無い名じゃな。お主ほどのトレーナーが無名とは面白い」

 

 なーんか一人で納得しているお爺さん。

 竜の里の村長らしいですが、ボケたりしてませんよね?

 

「よいっしょ、と」

 

「フカ?」

 

 足に乗せていたキバゴとヒマナッツを下ろして立ち上がり、腹這いに寝そべっていたフカマルを持ち上げてオジジ様の近くに立たせてあげた。

 

「悪戯はほどほどにしてくださいね」

 

「フカー?」

 

 最後に屈んで頭を撫でた後、立ち上がってヒマナッツを抱え直す。

 ジレンさんからそろそろ他の場所への案内に移りたいという感じが見えるので名残惜しいですがキバゴ達との戯れは終わりです。

 気持ち的にはがまんの技を覚えそうな勢いですが。

 

「では、ジレンさん。次の場所の案内をお願い出来ますか?」

 

「はい、もちろんです」

 

 再びジレンさんの後に続く俺達。

 

「キバー!」

 

「モノモノー」

 

「タッベイ!」

 

 ヒマナッツとキルリアと一緒にキバゴ達に手を振ってお別れをします。

 連れて帰りたかった……割とマジで。

 

「ん?」

 

 歩き出そうと足を踏み出した時、何やら片方の足に重みが増したのを感じます。

 体感にして20kg前後。

 

「フカ」

 

 視線を下に降ろすとこちらを見つめるフカマルさんが足をホールドしていました。

 言ったそばから悪戯ですか、と思いきやどうもそうではないみたいですな。

 

「ふむ、どうやらフカマルはシローが気に入ったみたいじゃの」

 

 と、いう事はー?

 

「どうじゃろう。このフカマルを連れてってやってはくれんか?」

 

 うぉっし。

 来ました俺得展開。

 そんなの断る訳ないじゃないですかー。

 

「ただし、竜の里で育てたポケモンをおいそれと渡すのはちとマズイのでな。シローのトレーナーとしての実力を示してはくれんか?」

 

「と言いますと?」

 

「何、簡単な事じゃ。お主がフカマルを使用してそこのジレンとポケモンバトルをしてくれればええ。それを見てフカマルを渡しても問題無いトレーナーだと儂とジレンが納得すれば良しという事じゃ」

 

 把握した。

 これは本気で挑まなければならない件ですな。

 

「バトル形式は?」

 

「お主が決めると良い。それで良いな、ジレン」

 

「私はかまいません」

 

 オジジ様の無茶振りにも笑顔で返すジレンさん紳士っすわー。

 俺が決めて良いというなら決めましょう。

 

「では、フカマルともう一体を使用してのダブルバトルで構いませんか?」

 

「ほう、会って間もないポケモンでのダブルバトルを申し出るとは」

 

「私はそれで構いませんよ」

 

「ならば両者、バトルの準備を」

 

 準備としてまずはフカマルのデータを見せてもらいました。

 まだ俺のポケモンじゃないんで図鑑つかえないんですよねー。

 性別は背鰭の切り込みで♂だとわかるんですけど。

 

『フカマル』

性別:♂

特性:さめはだ

技:あなをほる、ドラゴンクロー、すなかけ

 

 ふむふむ、なるほど。

 ここはタッグの相手はこの子でいきますか。

 

「チルットお願い出来ますか?」

 

「チルル」

 

 ずっと俺の頭上にいたチルットが畳んでいた羽を伸ばして羽ばたく。

 どうやらやってくれるみたいです。

 

「チルー」

 

「フカァ」

 

 飛翔したチルットがフカマルの頭上で旋回する。

 挨拶ってところですかね。

 仲良しタッグでいきましょう。

 

「私はキバゴとタツベイでお相手します」

 

 ジレンさんはさっきのキバゴとタツベイですか。

 

『僭越ナガラ、私ガ、審判ヲ務メサセテ、頂キマス』

 

 開けたスペースで向かい合う俺とジレンさんの間に位置取るガンタ。

 

『使用ポケモン、ハ、二対。何方カノ、ポケモン、ガ、二体共ニ戦闘不能ニ、ナッタ時点デ、バトル終了トシマス。デハ、バトル、開始デス』

 

「キバゴ、りゅうのいかり!」

 

「キーバー!」

 

 開始直後の先制攻撃が来ました。

 

「フカマルはあなをほるで地中へ、チルットは上空へ高度を上げて下さい」

 

「フカ!」

 

「チール」

 

 キバゴから放たれた青い閃光をフカマルは地中にチルットは上空へと躱す。

 出会ったばかりでもフカマルは素直に指示を聞いてくれました。

 

「地中と上空からの挟み討ちですか。なかなか良い作戦ですね」

 

「恐縮です」

 

「ですが、初めてのタッグで上手くいきますか?」

 

 その問いには笑みを浮かべるだけで返す。

 なるようになるでしょ。

 

「チルットに狙いを絞りますよ。キバゴ、もう一度りゅうのいかり! タツベイはりゅうのいぶき!」

 

「キバー!」

 

「タッベーイ!」

 

 二つの攻撃がチルットへと迫る。

 

「チルット、翼を畳んで急降下です」

 

「チルッ!」

 

 ふわふわと飛んでいたチルットが広げていた翼を畳み、急降下する。

 その緩急の激しい動きでキバゴとタツベイの攻撃は外れます。

 ただ、急降下の勢いを止める必要がありますな。

 

「チルット、チャームボイスです」

 

「チールーゥ!」

 

 翼を広げ直したチルットの開いた嘴からピンク色の波長がギバゴとタツベイに向かう。

 

「躱しなさい!」

 

 ギバゴとタツベイはチャームボイスを見事に躱しました。

 シュタッ、てな感じで。

 素早い動きです。

 なら次の一手を。

 

「フカマル、飛び出してドラゴンクローです」

 

「フッカ!」

 

 ギバゴの足下から飛び出したフカマルの両手が爪形の光を宿して攻撃のモーションに入る。

 しかし、小さく素早いギバゴはフカマルのドラゴンクローを躱します。

 飛び出した勢いのまま空中で無防備になるフカマル。

 まあ、避けられる事も考えていましたよ?

 

「チルット」

 

「チルチルー」

 

 その一声だけで俺の考えを汲み取ってチルットは動いてくれました。

 空中のフカマルを足で掴み、そのまま下のギバゴへと投げ返す。

 

「フカーッ!」

 

「キバッ!?」

 

 避けて安心していたギバゴにフカマルのドラゴンクローが今度はしっかりと炸裂。

 こうかはばつぐんです。

 

「なんと……」

 

 オジジ様の驚いた呟きが耳に入ります。

 

「キバキ……ッ」

 

 フラつきながらも頑張って耐えるキバゴに俺がクラクラしますわ。

 

「タツベイ、フカマルにずつきです!」

 

 ダイナミックな技を決めた直後で隙のあるフカマルを狙ってきましたか。

 ジレンさん油断ならないですな。

 でも、そうはいきません。

 

「チルット、コトッンガードでフカマルを守って下さい」

 

「チルッ」

 

 ずつきで迫るタツベイとフカマルの間に割って入るチルット。

 その体が膨張していく雲のような羽に包まれる。

 まるで綿アメのようです。

 そこへタツベイがずつきでダイブ。

 俺もダイブしたいのですが。

 

「べ、ベイッ!?」

 

「動けないタツベイにドラゴンクローです」

 

 頭が埋まっているタツベイに向かってフカマルのドラゴンクロー。

 

「フーカー!」

 

「タッベイ!?」

 

 無防備なタツベイのサイドに炸裂。

 キバゴのいる方向へタツベイが飛びます。

 

「キバッ!?」

 

 どーん、と吹っ飛んだタツベイがキバゴにぶつかり、どちらも転がる。

 次でラストアタックですかな。

 

「チルット、キバゴとタツベイにチャームボイスです」

 

「チルルー!」

 

 ピンク色の波長がもつれ合うキバゴとタツベイを包み込みます。

 

「キバ……」

 

「ベイ……」

 

『キバゴ、タツベイ、共ニ戦闘不能。ヨッテ、勝者、シロー様』

 

「チルチルー」

 

 ガンタのバトル終了宣言の後、チルットが直ぐに俺の頭上へ戻って来ました。

 完全に定位置です。

 

「フカ」

 

 てしてし、と走って来たフカマルを頭上のチルットを落とさないように屈んで迎えました。

 

「ふたり共、お疲れ様です」

 

「チルー」

 

「フカァ」

 

 チルットは指先で顎を、フカマルは頭を撫でるとどちらも気持ちよさそうに鳴いています。

 俺達が勝利した事で今日から毎日フカマルとも戯れ放題です。

 割と本気出した甲斐がありました。

 

「初めてのポケモンであんなバトルをするとは驚かされましたよ」

 

 ダメージを負ったキバゴとタツベイをモンスターボールに戻したジレンさんが近付いて来ます。

 

「トレーナーとしての資質、ポケモンとの信頼、どれも文句無しです」

 

「うむ、改めてフカマルを宜しく頼むぞ。お主となら此奴もより成長出来るじゃろう」

 

 合格頂きました。

 フカマルはオジジ様の持っていたモンスターボールに入り、俺のポケモンとして上書きした後に貰い受けました。

 

「フカマル、ゲットです」

 

「ヒママ!」

 

「キルキール!」

 

 今は小さくなってロックが掛かった状態のフカマルが入ったモンスターボールを見せるとヒマナッツとキルリアが新たな仲間に喜んでいます。

 チルットは気にせず既に熟睡中。

 この子もフカマルに負けず劣らずマイペースですな。

 フカマルを貰った後は竜の里観光を続けました。

 

 

 

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