ポケモン世界に転生したので好き勝手に生きてみる   作:にわか党

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サン・ムーンの御三家が公開され、テンションの高い私です。

今回はエッグカップの続きとなります。

シローさんとポケモン達の活躍をお楽しみ下さい。
 


0030

 

「コマタナ、メタルクローです」

 

「コマタッ!」

 

 コマタナの両手の刃が銀色に光り、相手のガントルへと炸裂します。

 いわタイプのガントルにはがねタイプの技であるメタルクローはこうかばつぐんです。

 

「ガン……」

 

「ガントル、戦闘不能! よって勝者、シロー選手!」

 

 崩れ落ちたガントルを戦闘不能とみなした審判の判定で会場が沸騰する。

 

『シロー選手、ついに決勝へと駒を進めてしまいましたー! 何という快進撃! 初戦の公式戦最速記録から誰も彼の勢いを止める事が出来ません! 試合前の予想がピタリと当たったオウカさん、シロー選手のポケモン達をどう見ますか?』

 

『そうだね、彼のポケモン達は良く育てられているね。強さだけじゃなく、全員をあのコンディションにしてくるのはベテラントレーナーでも難しいよ。何より、ポケモン達と彼の息の合いようは、その信頼度の高さが伺えるんじゃないかな』

 

 それほどでも。

 照れますわー。

 

『なるほど! そして、オウカさんも期待の超新星シロー選手に対するは大会優勝経験のあるマグレン選手です! カラクチ氏はこの試合をどう予想しますか?』

 

『まあまあの実力はあるようだが、所詮はビギナーズラック。優勝候補筆頭のマグレン選手には遠く及ばん。決勝はマグレン選手の完全勝利が見られる事だろう』

 

 先ほど黙らせたのにもう復活していたおっさん。

 もう一度黙らせたろか。

 コマタナをモンスターボールへ戻し、控え室に戻る為にフィールドを後にします。

 俺達に割り当てられた控え室に向かう途中、通路に背を預ける無駄に派手な男がいました。

 誰だったか。

 通り過ぎようとするとその男が俺達の進路を阻むように立ち塞がる。

 

「何かご用ですか?」

 

「ご用も何も次の対戦相手にちょっとした忠告をな」

 

 どうやらこの派手な男が俺の次の対戦相手らしいです。

 

「はあ、忠告ですかー」

 

「ああ、そうだ。初戦にマグレで公式戦最速記録なんて出して調子に乗っているようだが、大会優勝経験のある俺様にはそんなはったりは通用しないぜ? 決勝でボロクソに負ける前にさっさと辞退するんだな」

 

 果てしなく面倒くさい奴みたいです。

 適当に受け流してさっさと控え室に行きましょ。

 

「ま、ヒマナッツなんて弱いポケモンを手持ちに入れてる時点でトレーナーとしては話にならないけどな! あっはっはっは!」

 

 去っていく派手男。

 そして、奴の言葉に俺の腕の中でシュンとなるヒマナッツ。

 一緒に聞いていたキルリアはもちろんチルットも激怒状態。

 派手男の言葉を反芻し、涙を浮かべるヒマナッツを見て俺は決意します。

 

 “宜しい、ならば殲掃だ”

 

 ウチの子を泣かす?

 この世界に転生して怒りを覚えたのは初めてでした。

 あ、りゅうのいかりじゃないですよ?

 シローのいかりです。

 それはともかく、奴は俺達のげきりんに触れてしまった。

 泣かす、絶対に泣かす。

 次の試合はもはや試合ではありません。

 奴の精神を破壊し尽くすフルボッコタイムでごさいます。

 取り敢えず、落ち込むヒマナッツは撫でて励まします。

 

「次の決勝(ファイナル)、出てもらえませんか?」

 

「ヒマ……?」

 

「ヒマナッツがバトルでも活躍できるところを見せて見返してやりましょう。キルリア、手伝ってもらえますか?」

 

「キル!」

 

 キルリアのやる気のガッツポーズ。

 いかん、怒りが若干引くところでした。

 可愛さも時には罪ですな。

 

「チルル?」

 

「すみませんが、チルットは応援でお願いします」

 

「チル」

 

 直ぐに納得してくれたチルットは俺の頭上で再び眠ります。

 大丈夫、チルットの分までやってやりますから。

 ケチョンケチョンにしてやりましょう。

 慈悲はない。

 

「あ、シロー選手こちらでしたか。すいません、少し時間が押していて試合開始を早めさせていただきたいのでフィールドへ向かってもらえますか?」

 

「そうですか、分かりました」

 

「お願いします」

 

 あの派手男と1秒でも早くバトルが始められるなら是非もない。

 俺は係員の案内に従い、フィールドへと向かいます。

 フィールドへ入ると観客席は今日一番の盛り上がりを見せていました。

 いつもならうるさいと感じるところですが、この歓声が奴の自尊心を粉々にするのにひと役かってくれるでしょうから今は有難いです。

 そして、俺が出てくるタイミングを見計らっていたようにふんぞり返ってフィールドに出てきた派手男。

 そんな余裕のある顔をしていられるのも今の内ですよ?

 

『さあ! ただいまより決勝(ファイナル)バトルが開始されようとしています! 方や、優勝経験者のマグレン選手! 対するは初出場にして公式戦最速記録を打ち立てた今大会のダークホース、シロー選手! 今から始まるであろう激戦を前に私、昂ぶる気持ちを抑えられません!』

 

 激戦?

 司会の方には残念ですがそうはなりませんよ。

 俺はヒマナッツを抱える手とは逆の手をスッと挙げた。

 

『おっと! どうしたのでしょう、シロー選手が手を挙げて何か発言を求めています!』

 

「ふっ、降参するなら受け入れてやるが?」

 

 派手男は当然無視して発言します。

 

「先ほど時間が押していると伺ったのでこのバトル、シングルではなく一気に3体を出すトリプルにしませんか?」

 

『おおっと、ここでシロー選手からのトリプルバトルの提案です! マグレン選手はこれを受けるのかー!?』

 

「何かと思えば最後の悪あがきに俺様のペースを乱そうという魂胆か? そんなものは無意味だ! いいだろう、トリプルバトル受けてやる!」

 

『マグレン選手トリプルバトルを承諾したー! これは面白い展開になってきました!』

 

 はい、思った通り誘いに乗ってきました。

 単細胞で助かります。

 でも、まだ俺からの提案は残ってるんですよねー。

 

「では、俺はキルリアとヒマナッツ、この子達ふたりでお相手します」

 

 トリプルバトルに2体のポケモンで挑むという俺の発言に歓声はざわめきに変わります。

 

『トリプルバトルを提案したシロー選手、何と使用ポケモン3体に対して2体で相手をすると宣言しました!』

 

『バカな! 思い上がりも甚だしいわ!』

 

 ムッツリ評論家の言う事も無視です。

 派手男は何やら顔を伏せて震えとります。

 寒いのですかな?

 

「俺様に対してハンデだと……? 巫山戯るのも大概にしろ!」

 

 いつもは巫山戯ている俺ですが今は真面目なんですがね。

 

「怖いですか?」

 

「何ッ!?」

 

「2対3で戦って負けるのが怖いなら断ってもらっても構いませんよ?」

 

 ちょうはつ入りました。

 派手男は顔を真っ赤にして更にプルっています。

 

「上等だ! その思い上がった自らの無謀さを死ぬほど後悔させてやる!」

 

 馬鹿は扱いやすいです。

 俺は宣言通りキルリアとヒマナッツをフィールドへ送り出します。

 

「ヒマ……」

 

 抱えていたヒマナッツを下ろすと不安そうな表情で見上げてきます。

 俺は屈んでヒマナッツの頬の辺りを優しく撫でます。

 

「俺はヒマナッツとキルリアの力を信じています。ヒマナッツも俺を信じて一緒に戦ってもらえませんか?」

 

「ヒッマ!」

 

 不安な表情から一変、太陽と同等の輝きを放つ笑顔に変わったヒマナッツ。

 キルリアと共にフィールドの中央へ近づいていきました。

 可愛さ的には既にワールドチャンピオンですな。

 

「俺様のポケモンはこいつらだ!」

 

 派手男が投げたモンスターボールから3匹のポケモンが出てきます。

 

「キザン!」

 

「スカンー!」

 

「ヘル!」

 

 出てきたのはキリキザン、スカタンク、ヘルガー。

 あくタイプですか。

 キルリアのサイコキネシス対策でしょうね。

 フェアリー技も考慮に入れているところを見るに無能ではないようです。

 

「これより決勝(ファイナル)バトル、シロー選手対マグレン選手のトリプルバトルを始めます。どちらかのポケモンが全て戦闘不能になった時点で試合終了です。それでは、試合開始!」

 

 ついに始まりました。

 では、先手はいただきましょう。

 

「キルリア、サイコキネシスです」

 

「素人め! あくタイプにエスパータイプの技は効かん!」

 

 知ってますー。

 攻撃に使うんじゃありません。

 

「キルー!」

 

 サイコキネシスを自分にかけてふわりと浮かび上がるキルリア。

 高度を上げていき、スタジアムを見渡せる位置で静止した。

 

「左手の観客席、5段目右から10列目のトレーナーが抱えるロコンの特性をトレースです」

 

「キル!」

 

 準々決勝まで進んでいた女の子のトレーナーの抱えるロコンはその試合で特性を把握済み。

 

『ここでフィールドのひざしがつよくなってきたー!』

 

 彼女のロコンは特性がひでり。

 それをトレースしたキルリアも同じ特性ひでりになり、ひざしがつよくなったのですよ。

 

「ヒーマー!」

 

 そして、ようりょくその特性を持ったヒマナッツは素早さが2倍。

 

「ヒマナッツ、せいちょうです」

 

「ヒマ!」

 

 更にひざしがつよい場合にせいちょうを使うとその効果は増し、能力がぐーんと上がります。

 

「小賢しい! キリキザン、れんぞくぎり! スカタンク、アシッドボム! ベルガー、かえんほうしゃ! ヒマナッツに攻撃を集中させろ!」

 

 上空にいて狙いの付けにくいキルリアよりも地上にいるヒマナッツを狙ってきましたか。

 無難な選択ですが、やらせません。

 

「キルリア、テレポートでヒマナッツを移動させて下さい」

 

「キル!」

 

 れんぞくぎり、アシッドボム、かえんほうしゃが迫っていたヒマナッツの姿が消え、技は空振りに終わります。

 テレポート先は言わずともキルリアには俺の考えが伝わっているようです。

 

「ヒッマ!」

 

「すいとるです」

 

「ヒーマー!」

 

「キザンッ!?」

 

 キリキザンの死角にテレポートしていたヒマナッツのすいとるによりキリキザンの体力を奪います。

 まだまだ俺のターンは終わりません。

 

「キッル!」

 

 キルリアのテレポートでまたも姿を消すヒマナッツ。

 

「連続ですいとるです」

 

「ヒッマ!」

 

「スカンッ!?」

 

 今度はスカタンクの死角にテレポートしたヒマナッツのすいとる攻撃。

 その後も次々とテレポートとすいとるで徐々にキリキザン、スカタンク、ベルガーの体力を奪っていきます。

 

『何という攻撃だー! 小さなヒマナッツをテレポートで移動させ、相手に気付かれる前に攻撃する事により付け入る隙を与えないー! あそこまでテレポートを自在に使いこなすポケモンを私、初めて見ました!』

 

『付け加えるなら、ヒマナッツのようりょくそで上がったスピードで技を発動する速さも上がっているからより隙も無くなっているんだ。それに連携も凄い。完全に心が通じ合っているみたいだね』

 

『……』

 

 饒舌な司会者とオウカさんに再度唖然としているムッツリ評論家。

 

「お前ら何してやがる! さっさとそんな奴たたんじまえ!」

 

 派手男は怒鳴り散らすだけで有効な指示を出せていませんな。

 さっきまでの余裕は見る影もない。

 ダメダメです。

 

「キザン……」

 

「スカン……」

 

 そうこうしている間にキリキザンとスカタンクは戦闘不能に。

 

「クソッ! ヘルガー、上にいるキルリアにかえんほうしゃだ!」

 

「ヘル!」

 

 捉えられないヒマナッツからやっと狙いを変えましたか。

 無駄なプライドが邪魔をし、ヒマナッツに拘った所為で判断が遅れましたな。

 ですが、それも無駄です。

 

「キルリア、サイコキネシスでかえんほうしゃを返してあげて下さい」

 

「キール!」

 

 ヘルガーから放たれて上空のキルリアに向かう炎をサイコキネシスで止め、そのままベルガーへとお返ししました。

 ベルガーに返っていったかえんほうしゃによって立ち上がる火柱。

 

「ヘル……」

 

 火柱が消えた跡にはヘルガーが倒れ伏しています。

 

「キリキザン、スカタンク、ヘルガー、3体共に戦闘不能! よって勝者、シロー選手!」

 

 大歓声。

 

『何なんだ、この男はー! 決勝(ファイナル)バトルにおいて2対3のハンデを負いながらもまさかまさかの完全勝利! 予測のつかないその戦術はまさにファンタジスタ! 優勝に相応しい素晴らしいバトルでした!』

 

『うん、彼には終始驚かされっぱなしだよ』

 

『これだけの実力を持った新人の登場に会場からは早くもファンが続出していますね!』

 

『そうだね』

 

『中でも彼のルックスも含めて女性ファンからの歓声が多いようです! 羨ましいぃ!』

 

『……そうだね』

 

 何故かここから見える実況席のオウカさんが笑っているのに目だけが笑っていないように見えるのですが。

 

「何でだ……何で俺様がヒマナッツなんかを使う奴に負けるんだ……」

 

 上空から下りてきたキルリアとヒマナッツを伴いフィールドを横切り、膝を付いて呆然とする派手男へ近づいていきます。

 

「貴方は少し勘違いをしています」

 

「なんだと……?」

 

「全てのポケモン達はそれぞれが等しく可能性を秘めています。トレーナーとはそれを見出し、どんな時にも自分のポケモンを信じ抜く者ではないでしょうか。そうすれば必ず彼らは応えてくれる、俺はそう思います。他人のポケモンを貶す前に先ずはトレーナーとして自らを省みる事をお勧めしますよ」

 

 未だにモンスターボールへ戻っていない疲れ切ったキリキザン、スカタンク、ヘルガーにオレンのみをプレゼントしてフィールドから離れました。

 

 

 

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