ポケモン世界に転生したので好き勝手に生きてみる 作:にわか党
本日も更新です。
村へ寄って行かないかという老婆の誘いを次の機会にと断り今はヘリのある場所へガンタと向かっています。
早く帰ってうちの子達と戯れないといけないので。
さっさと帰宅です。
「ところで何処まで付いて来る気ですかねー」
『シロー様モ、御気付キ、デシタカ』
「ええ、まあ」
無駄に鋭いチート感覚の御蔭ですけどね。
「そろそろ出て来て貰えませんか、ミズチさん?」
後ろを振り返り木々の陰に潜んでいる人物へ声を掛けます。
出て来たのはやはりミズチさんで何故か大きな荷物を背負っていました。
「何処か旅行にでも行く途中ですか?」
「違ぇよ」
違いました。
では、何処へ行くんですかね?
「アタシはお前を認めないって言っただろう」
「はい、聞きました」
「それでもバトルに負けたからには宝玉はやる。が、お前がそれを悪用しないとは信用出来ねぇ」
「しませんよ?」
「そんなヘラヘラした顔で言われて信じられるか」
すいません、これがデフォルトなんです。
「だから、アタシが付いて行ってお前を見張る事にした」
「あ、はい、良いですよ」
「……いいのかよ」
え、だって、こんな褐色美人が付いて来てくれるんですよ?
断る訳ないじゃないですかー。
まさに俺得。
「じゃあ、行きましょうか」
「チッ、そういう軽いところがイラつくんだよ」
悪態も何のその。
スキップしそうなほど物凄い軽い足取りで俺はヘリのある場所へ移動を再開しました。
数分歩くとヘリを置いた場所へと着きました。
「何もねぇじゃねぇか」
「ありますよ、ガンタ」
『ハイ』
ガンタの操作によりステルスで見えないヘリが開きます。
「……」
ミズチさんぽかーん。
何も無いところから急に現れた機内に驚いています。
まあ、そうなりますよね。
俺は開いたヘリへ先に乗り込みミズチさんへと手を差し出しました。
「さあ、乗って下さい」
「……フン」
予想はしていましたがミズチさんは俺の手は取らずに自分で乗り込み席へと着きました。
何処までも手厳しい。
手持ち無沙汰になった手を引っ込めて俺も席へと座ります。
『ソレデハ、離陸、致シマス』
静かに離陸したヘリは一気に上空へと達し島へと向かって進み始めました。
眩い星々が散らばる夜空を超スピードで飛行するヘリ。
隣を覗くとミズチさんが何かに耐えるようにシートの肘掛けを固く掴んでいます。
俺の視線に気付いたミズチさんが親の仇でも見るかの如くにらんできました。
「……何見てやがる」
「いえ、手を握ったりしたほうが良いのかと」
「握り潰すぞ」
口調は変わりませんが地上での威圧感がまるでありません。
「それにしてもミズチさんが高い場所が苦手とは意外です」
「……アタシに苦手な物なんてねぇよ」
何ですか、このギャップ。
萌えますな。
『御安心下サイ。私ガ、操縦シテイル限リ、墜落スル事モ、コノ様ニ、1回転シタトシテモ、酔ッタリ、重力ヲ感ジル事モ、有リマセン』
「おい! 止めろ! 普通に飛ばせ!」
確かに身体的には不快感を全く感じませんが視界的な恐怖はまた別の話です。
ミズチさんの目尻には若干涙が浮かんでいます。
口には出しませんが、ガンタさんぐっじょぶです。
「そろそろ着きますよ」
「……やっとか」
やっとっていうか、まだ数分ですけどね。
恐る恐るミズチさんが見えて来た島を窓から見下ろします。
「あの島にお前の家があるのか?」
『イエ、アノ島全体ガ、シロー様ノ、所有物デス』
「……は?」
再びフリーズするミズチさん。
こうして改めて島全体を見ると本当に広いです。
まだ行った事のある場所はほんの一部。
今度皆んなで島の探検でもしますかね。
『着陸、致シマス』
ヘリがヘリポートの上空に来たところで高度を下げ始めました。
揺れの無い見事な着陸の後、我先にとミズチさんが外へと飛び出します。
「はあ……地面だ」
数分ぶりの地面にめちゃくちゃホッとしているようです。
ちょっと面白いと感じている俺です、はい。
「大丈夫ですか?」
「……余裕だっつーの」
「そうですか。では、行きましょうか」
ヘリに積んでいたミズチさんの荷物を持ったガンタを伴い庭を通りながら館へと向かいます。
その後を追って来るミズチさんは借りて来た猫のように大人しく辺りをキョロキョロと見渡していました。
館へ入りそのまま裏庭へ向かいます。
裏庭へ出るといつものバトルをしている音はなく皆んなが池の周りへ集まっていました。
「フィーン! フィーン!」
「ヒママ!」
「コル、コル!」
「ミーロ」
先程のバトルで進化したミロカロスを囲みラプラスやヒマナッツ達は進化を祝い、スコルピ達は早速バトルを申し込み、それをミロカロスは嫌よと断っていました。
「ヒッマ!」
逸早く俺に気付いたヒマナッツが池の方からピョンピョンと跳ねて来てくれました。
近付いたところで勢いよく飛び込んで来たヒマナッツを受け止めます。
「ただいま」
「ヒマ!」
おかえりのスリスリが俺の胸を撃ち抜く。
俺の中のヒマナッツ成分が回復していくのを感じます。
超癒されー。
「チルー」
「サーナ」
「ラァイ」
ヒマナッツに続いて俺が帰って来た事に気付いた皆んなが駆け寄って来てくれます。
チルットは安定の頭上へ着地です。
全員を撫でながらただいまを言い、それからミズチさんの紹介に入ります。
「今日から一緒に暮らす事になったミズチさんです。仲良くしてあげて下さい」
「ヒッマ!」
ミズチさんを紹介して直ぐにヒマナッツが俺の腕からミズチさんへ飛び移りました。
「ヒママヒマ!」
「…………よろしく」
ヒマナッツの愛くるしい挨拶に悶える俺。
そして、初めて会う人にもちゃんと挨拶が出来るヒマナッツ良い子過ぎです。
逆に俺の足にしがみ付いてミズチさんから隠れようとするライチュウも可愛過ぎます。
一通り皆んなと戯れてから裏庭を離れて館の中へと入り地下へ向かって移動。
ヒマナッツとチルット、サーナイト、ライチュウは一緒です。
「……何処に行くんだよ」
「地下です。頂いた宝玉を安置する場所ですよ」
なので、その変質者を見るかのような目は止めて頂きたい。
エレベーターへと乗り込み最下層の神殿へ下ります。
以前来た時と同様、神殿は僅かな明かりが灯り伝説のポケモン達の石像を照らし、その中のレシラムの像の上に浮かぶライトストーン。
ミズチさんは神殿に入ると急に緊張したのか動きがカクカクし出しました。
ちょいちょい面白い。
そんなミズチさんに向き直った俺はガンタから預かって貰っていたあいいろのたまを差し出します。
「これはミズチさんが置いて頂けませんか?」
何というか、それが筋のような気がしますし。
俺の提案に更に緊張した面持ちで頷いたミズチさんがカイオーガの石像の元へあいいろのたまを持って近付いて行きます。
カイオーガの石像の前まで行くとあいいろのたまが浮かび上がり頭上で静止しました。
それから数秒後、そろそろ来ますかね。
『ぱんぱかぱーん! 2つ目の宝玉キターーーー! さっすが、シロー君! 僕の期待以上だよー! さてさて、今回のご褒美はぁ……何と島で全種類の進化の石が取れるようになりまーす! やったー! 嬉しいね! ではでは、次の宝玉も出来るだけ早くお願いねー、ばいばーい!』
何処から聞こえて来たとも分からない神様の声が途絶えます。
ミズチさんは声がした時にビクリと動いたきり微動だにしません。
前に回って覗いて見ると何やら信じられない物を見たような表情で固まっていました。
ライチュウがそーっと尻尾で肩をちょんっと突いてやっと我に返ってくれました。
「……今の声は?」
「神様ですよ」
「嘘だ……オバァから聞いてた神様はもっと威厳があって……」
威厳、あの神様からもっとも遠い言葉です。
想像とのギャップに苦しんでいるみたいですな、残念。
『デハ、ソロソロ、参リマショウカ』
後ろで控えていたガンタの声がした瞬間、落ち込んでいるミズチさんに向けてアームが素早く伸び、細身の胴部をガチャリと拘束してしまいました。
「おい! 何しやがる! クソッ、外れねぇ……!」
逃れようともがくミズチさんですが、当然ガンタの拘束がそう易々と外れる訳もなく無駄に終わります。
『コノ島ニ、居ル以上、働カザル者、食ウベカラズ、デス。貴女ハ、コレカラ、使用人トシテ、私ノ指揮下ニ置キマス』
「ハァ!? 巫山戯んな! おい、お前こいつを何とかしろ!」
「使用人、つまりメイドですか……それ良いですね。ナイスなアイディアです」
「クソが!」
褐色メイド服、何て心躍る響きなんでしょ。
『就キマシテハ、シロー様ニ、仕エル者トシテ、何処へ出シテモ、恥ズカシクナイヨウ、教育スル為、御時間ヲ頂イテモ、宜シイデスカ?』
「宜しいですよー」
『私本体ガ、姿勢、作法、ソノ他諸々、一カラ叩キ込ミマスノデ、完璧ニスルニハ、一週間程ニ、成リマス』
「了解でーす。あ、口調はギャップ的なアレで今のままにお願いします」
『承知致シマシタ』
「アタシを無視すんな!」
『ソレデハ、失礼致シマス』
ガンタアームで持ち上げられたまま暴れ回るミズチさんをガンタが連行して行きます。
それを見送る俺達。
「何だか楽しくなりそうですねー」
「ヒマ!」