どうやら世界は、マッ缶のように甘くは出来ていないらしい   作:さめのひと
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最近息絶え絶えになりながら仕事してます。さめのひとです。

短めですが更新します。たぶん今月最後の更新です。


第11話

 

【第11話】

 

 防衛任務を終えた後、俺は比企谷隊の隊室に引き篭もっていた。

 

 小町は太刀川隊室に国近先輩の徹ゲー部隊として召集され、朋也さんは諏訪さんたち麻雀

部隊に呼ばれたので恐らく今夜は徹麻だろうな。

 

 ゆきちゃんは当真さんに狙撃手としての指導をしてもらうため、比企谷隊室を後にしていた。

 

 とりあえず、明日は日曜日で学校は休みなので、小町が徹ゲー部隊に召集されててもいい

ことに安堵しつつ、今日は比企谷隊室で寝ることを決めた俺は、暇つぶしにランク戦ブースへ足

を伸ばすことにした。

 

 すると

 

 「あら、比企谷だ」

 「比企谷君、こんばんわ」

 「ハチさんお久しぶり~」

 

 B級の那須隊のお三方とエンカウントした。

 上から熊谷、那須、志岐だ。

 最年少の日浦の姿は見えない。

 

 「那須隊か、お疲れさん。ってか志岐が本部に居るのは珍しいな」

 「私も偶には報告書出したりとかで顔出さなきゃダメなんですよ、ハチさん」

 

 志岐は年上の男が苦手な筈なのだが、”なんだか私と同じオーラがする”とか言う理由で何故

か俺とは話すことが出来ている。

 

 ボッチ同士割と趣味が合うこともあり、ちょくちょくLineしたりしてる数少ない女子の一人だ。

 

 因みに数少ないもう一人は国近先輩。

 

 最近は一時に比べて頻度が減ったとは言えど、あの人もちょくちょく連絡してくる。

 

 とか考えていたが、一つ気になることがあったので、とりあえず聞いてみる事にした。

 

 「そういや日浦は?」

 「親御さんから出来るだけ早く返すように言われちゃってるから、私たちだけで報告書出しに

行ってたのよ」

 「そうなのか、くま」

 

 なんとなく、太刀川さん風に呼んでみた。

 そういうと、熊谷はこめかみを押さえながら「ハァ」と深いため息をつき、言葉を発した。

 

 「…太刀川さん以外がその呼び方で私を呼ぶとバカっぽく見えるよ?太刀川さんは元々バカ

だし、仕方ないけど」

 

 おいおい、マジか。

 あの人と一緒にされるのはさすがに御免だな。

 

 「あの人と一緒にされるのは不本意だから次からは呼ばん」

 「そうしなよ。比企谷までバカ側になられると私も色々と扱いに困るし…」

 

 太刀川さん滅茶苦茶言われてるな。

 まぁ、レポートをちょくちょく頼まれる俺とか熊谷とかは滅茶苦茶言ってもいい立場だとは思うが。

 

 っとそうだ。小町を那須隊に紹介するって約束だったし、ついでだからアポをとっておくか。

 

 「それはそうと、三人とも。ちょっと時間いいか?」

 

 俺がそう切り出すと、三人はキョトンとしていた。

 

 「あー、とりあえず場所を変えようぜ」

 

 そう言って俺が歩みを進めだすと、三人は異存なしのようで、俺の後に付いてくるのだった。

 

 

 

 

 「で、比企谷。アンタの隊室まで来たからには何かしら話があるんでしょ?」

 

 その熊谷の言葉通り、俺達は今、比企谷隊室にいる。

 

 「私達は兎も角、隊長の体調のこともあるので、手短にお願いしますね」

 

 …志岐の言葉に、場は静まり返った。

 

 「…ハッ!そ、そういうつもりで言った訳じゃ」

 「志岐はとりあえず置いといて、本題に入るぞ」

 

 なんか志岐がうにゅうにゅ言ってるが、気にしたら負けだと思う。

 

 「まず俺の隊のオペレーターについてだが、日浦から何か聞いてたりするか?」

 「比企谷隊のオペレーター?そういや何も聞いたことないよね」

 「私も聞いたことないわ」

 「…」

 

 あー、志岐のヤツふて腐れてやがる。

 とりあえず無視だ無視。

 

 「聞いてないならいい。日浦が約束を守ってる証だからな」

 

 以前に小町と日浦が一緒に居るときに、小町がオペレーターである事について、口を滑らせた

ことがあるので、日浦に口止めした経緯がある。

 

 「どういうことかしら?」

 

 那須が困惑した顔をして聞いてくる。

 

 「いやな、実は俺の隊のオペレーター、妹の小町なんだわ。因みに日浦と同学年で同じクラ

スでもある」

 「「「…えぇっ!?」」」

 

 3人とも同じタイミングでハモったな。

 

 「ちなみにオペレーターとしての師匠は国近先輩と玉狛の宇佐美だ」

 「比企谷って妹いたの!?」

 「おう、俺とは似ても似つかない天使だぞ」

 

 三人は目をまん丸にして驚いていたが、とりあえずスルーする。

 

 「とりあえず話を続けるぞ。まぁ、そんなこんなでオペレーターとして一人前になるまでは、

基本的にボーダー内での人との交友は避けさせてたんだ。俺の隊に入って活動してもらう以上

きっちり仕事はしてもらわないと困っちまうからな」

 「それでボーダー内のオペレーターのトップ2を師匠にして鍛えられてたのね…」

 

 那須はものすごく納得した表情をしている。

 

 「そういうこと。それで、最近はオペレーターとしての仕事も一丁前にこなせるようになって

きたからか、そろそろ師匠以外と交友させろ!とやかましくてな。つー訳で、俺としては

女子隊の那須隊なら安心して紹介できるから、妹に紹介したいと思ってな」

 

 なんかやっと言いたい事を言えた気がする。

 

 「私は別に構わないよ。けど、比企谷の妹となると捻くれてないかちょっと心配だけど」

 「安心しろ。俺には似ても似つかぬ、出来のいい妹だ」

 「ハチさん、言ってて悲しくならないんですか」

 「うるせぇオヤジギャグ子」

 「…」

 

 またふて腐れてしまった。

 

 「比企谷君、あんまり小夜子ちゃんいじめないであげて」

 

 那須が嗜めるような目で此方を見つつ、そう言ってくる。

 

 「いや、でもなぁ」

 「うんうん、あれはねぇ」

 

 なんと、熊谷まで同調し始めた。

 少し志岐が哀れに思えてきたぞ。

 

 「くまちゃん先輩もハチさんも酷いっ!」

 「はいはい、小夜子ちゃん、どうどう」

 

 那須からもこんな扱いとは…

 少しどころか結構哀れだな、志岐のヤツ。

 

 「私は動物じゃぁな~いっ!」

 「人間だって動物だろ…」

 

 そんな言葉が、俺の真後ろから聞こえてきた。

 

 「朋也さん、いつの間に?」

 

 まぁ声だけで自分の隊の人間くらいは分かるけどな。

 

 「ん?いや、ついさっき。とりあえず冷蔵庫に入れてるレッ○ブル取りに来ただけだぞ」

 

 本当に徹夜で麻雀するつもりなのか麻雀隊は。

 

 それはいいとして、朋也さんが来たという事は

 

 「…」

 

 やっぱり、志岐が青い顔をしてガタガタ震えながら白目をむいていた。

 たぶん女子がしていい表情じゃないぞこれは。

 

 「あっ…岡崎先輩」

 「ん、熊谷か。ってか日浦以外の那須隊が勢揃いじゃねぇか」

 「あー、ほら。小町に那須隊紹介する約束してますからね」

 「なるほどな。そういや防衛任務出る前にそんな事言ってたな」

 

 そういって朋也さんは、缶に入ってるレッド○ルを一気に煽った。

 

 「お、岡崎先輩、レッドブ○飲まないとやってられないほど辛いんですか?」

 

 熊谷が聞くが、何故かその顔は微かに赤い。

 

 …これは、ひょっとしてそういうことなのか?

 

 「ん、まぁな。諏訪さんたちと徹マーだしこんなもんじゃねえの?」

 

 対する朋也さんは、そんなことは意にも介さず、という感じである。

 

 もし俺の予測通りなのだとしたら、熊谷、哀れなり。

 

 「あー…あんまり無理はしないでくださいね」

 「ん、サンキュ。んじゃまぁ、戻るわ」

 

 そう言って冷蔵庫から○ッドブルをもう一本取り出した。

 

 「お疲れ様です、朋也さん」

 「お、岡崎先輩。お疲れ様です!」

 「岡崎さん、あんまり無茶しちゃだめですよ?」

 「…」

 上から俺、熊谷、那須、志岐の順だが、志岐はちょっとくらい慣れやがれ。

 

 「はは、志岐は相変わらず、か。まぁとりあえずお疲れさん」

 

 そういって朋也さんは比企谷隊作戦室を後にした。

 

 「…ハッ」

 「いやお前どんだけ苦手なんだよ」

 

 俺はそう突っ込まざるを得なかった。

 

 「というか、熊谷はあれか、えっと…そういうことなのか?」

 「ひ、比企谷!?」

 「そういうことと考えて間違いないわ、比企谷君」

 「ちょ、玲まで!?」

 「あー、その話は那須隊の中では当たり前の事実になってますからねぇ」

 「気絶してた小夜子には言われたくない!」

 「うっ…」

 

 まぁ、熊谷も志岐も弄りすぎると拗ねるからこの辺にしておこう。

 

 「まぁ、話を元に戻すが。ウチのオペレーターの紹介は次の防衛任務被ってる日で、と思ってるんだが、那須隊のほうはそれでも大丈夫か?」

 「ん、茜ちゃんがどうなのかはわかんないけど、私達3人は大丈夫よ」

 「そうね。元々比企谷君に指導してもらう予定の時間だったしね」

 「茜ちゃんはポジションの関係上、ハチさんじゃ指導出来ないし、しょうがないですよ」

 

 口々に返事を返してくるが、概ね良好な返事が返ってきた。

 

 「御三方ともありがとな。あと熊谷、必要なら朋也さんとの場くらい軽く誘導して作ってやらん

事もないが?」

 「ちょっ!?ひ、比企谷!その話はまた今度に、玲とか小夜子には恥ずかしくて聞かせらん

ないし!」

 「わかったわかった。落ち着け落ち着け」

 

 熊谷は意外とこういうのに弱いらしい。というか否定しないということは、場は作ってほしいの

かやっぱり。

 

 だがまぁ、今朋也さんフリーだし、熊谷美人だし。

 

 双方お得なんじゃないのかこれ?

 

 「あー、でもどうだろ。あの人の朴念仁っぷりはハンパじゃないからなぁ」

 「...ハチさんが言うんですかそれを」

 

 志岐が小声でぶつぶつ何か言ってるが、聞き取れない。

 

 「ん?志岐。なんていったいま」

 

 とりあえず聞き返してみる。

 

 「いや、ハチさんは岡崎先輩のことを朴念仁って言う資格はないな、と思いまして」

 「いや、俺元ボッチだぞ?ボーダーで仲いい人できるまでひたすらボッチだったんだぞ?人の

視線には敏感だし、なんだったら人の観察を趣味にしてたことから人の好悪の感情なんてわか

りやすいまであるぞ」

 

 そういうと、志岐だけでなく、那須と熊谷までため息をついた。

 

 俺が誰かから熊谷が朋也さんに向けてるような感情を向けられてるってのかよ…?

 

 いや、この腐り目だぞ?ないない。

 

 俺が女だとして、こんな腐り目の性根腐りきった人間なんて横に連れて歩きたくないし。

 

 「まぁ、ソイツは置いといて。小町の件はよろしく頼む」

 

 俺がそういうと、口々に返事が返ってきた。

 

 「おっけ。速攻で仲良くなっちゃうから」

 「比企谷君が何か頼む事自体珍しいから、偶にのお願いくらい聞いてあげないと」

 「というかハチさんの妹さんってハチさんの宝物みたいなもんですよね。それを預かるとなると

…これは責任重大だなぁ」

 

 上から熊谷、那須、志岐である。

 

 「志岐、んな身構えなくてもいいと思うんだが。別に野郎じゃなかったら危ない事に遭う心配も

ないだろうしな」

 「結局そこなんですね」

 「うっせ。まぁ、3人とも長々とすまなかったな。とりあえず、話したい事は全部話せたし、

意外な事実も聞けた事だし、やることが増えるってのも大変だなぁ」

 

 そういいながら、俺は熊谷に目線を向ける。

 

 「な、何もしなくていいから!」

 「大丈夫。悪いようにはしねぇよ」

 「そ、そうじゃなくて!」

 

 あ、やべ。ちょっと涙目になってる。

 

 「分かった分かった。まぁ続きはLineでな」

 「比企谷君も引き際を分かってきたようね」

 

 クスクス笑いながら那須が言葉を放つ。

 

 「まぁ、人の女カッコカリを泣かせちゃダメでしょ」

 「ハチさんがまともなこと言ってる」

 「確かに比企谷君の言う通りね」

 「ちょっと、なんか公然の事実扱いなんですけど…?」

 

 あれ、違ったのか?

 

 「まぁそれは置いといて」

 「置いとくなし」

 「お?まだ弄られたりないのか?」

 「…スミマセンデシタ」

 

 理解してくれたようで何より。

 

 「まぁ、そんなわけで、俺はそろそろ寝るわ。那須隊長の体調のこともあるから御三方とも

気をつけてな。お疲れさん」

 「最後の最後に弄るのやめて貰えませんか!?」

 

 志岐がその後もぶつくさ文句言ってたが、とりあえずそのまま帰っていった。

 

 

 

 

 ―そうして、今日という日が終わる。

 

 そして、この日を境に歯車が噛み合い、物語が始まっていく。

 

 きっかけは、5月初頭に起きる、とある事件から始まるのだった―




今回は岡崎のヒロインとして、くまちゃんが登場しました。

clannad側のキャラで出すキャラがやっと確定したので、仕事に余裕が出来ればトントン拍子にストーリーが進むと思います。







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