どうやら世界は、マッ缶のように甘くは出来ていないらしい   作:さめのひと
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UAが11000件、お気に入りが150件を超えてて遅筆なのが申し訳なくなっているさめのひとです。皆様こんばんわ。

最近仕事が忙しすぎて更新が滞ってますが、なるべく週1更新は維持したいと思っております。

前回に比べると幾分短くなっていますが、本話もよろしくお願いします。


第8話+TIPS

【第8話】

 

 

 

 小町に朋也さんとの邂逅から比企谷隊加入までのあらましを話したら「え?お兄ちゃんが

岡崎さんを助けたとかそんな話小町一切知らないよ!小町的にポイント低い!」

と言われてしまい本日の食卓はトマト料理のみとなったところまでがハイライトである。

 

 小町の料理は美味いんだ。だがトマト、テメェがダメなんだよ。

 トマト、テメェのせいで小町の愛の詰まった美味い料理が台無しじゃないか…

 

 まぁ愛の力、じゃなくて食材がもったいないので完食はしましたよ、えぇ。

 

 さて、そんな風にすごしているとあっという間に一日が過ぎる気がする。

 

 俺も年を取ってきたのかな…

 

 なんて考えながら勉学に励み、キリのいいところまで終わるとそのタイミングを見計らった

かのように俺のスマホが突然震えた。

 

 とりあえず手にとって確認してみると

 

 「国近先輩からLINEなんて珍しいな」

 

 ここ最近ボッチから脱却しつつある(但しボーダー内に限る)俺にボーダー随一の二つのお山

をその身体に持つ国近先輩からLINEだなんて俺がボッチから脱却していなければ即告白して

振られるまである。いや、振られちゃうのかよ…

 

 まぁ、そんな素敵なお山をその身体に抱えながら太刀川隊のオペレーターをやっている国近

先輩だが、何度か合同任務を行った際にはその高い能力に驚愕した。

 

 普段めちゃくちゃぽわぽわしててゆきちゃんに似た属性を感じるのにその能力は流石A級

1位のオペレーターといったところだろう。

 

 伊達にスカウトされてボーダーに入った訳ではないというある意味安心できる要素だったなぁ。

 

 …いや、ゆきちゃんもいざ戦闘となると風間さんばりの殺気を出せるんだけどね。

 

 ゆきちゃんもゆきちゃんで伊達に不良の姐御をやってる訳ではないという事だろう、うん。

 

 そんなことを考えながら俺は国近先輩からのLINEを確認すると

 

 「ハチ君今お暇?暇なら柚宇さんとおしゃべりしましょ~」

 

 となんともゆるふわ感MAXな内容だった。

 

 ってかボッチに対しておしゃべりしましょとか何その拷問。無自覚天然女子怖い。

 

 というよりも無意識に自分のことをボッチと表現するあたりまだボッチからは抜け出せてない

気がする。このままだと国近先輩に告白して振られるまである。やっぱり振られちゃうのかよ。

 

 …とりあえず

 

 「勉強中っす」

 

 とだけ返し、スマホの電源を落とした。

 

 …あの人無駄に可愛いし、つかみどころが無いからめちゃくちゃ緊張するんだよなぁ。

 

 そんなことを考えながら勉強を続ける事早20分。

 

 我が比企谷八幡の部屋のドアが無造作に開け放たれた。

 

 「ごみぃちゃん?柚宇さんから無視されてるって小町にタレコミがあったんだけど」

 

 …俺の弱点をしっかりキッチリ把握した上で一番効果のあるところを突いてきたよあの人。

 唯我と違って伊達にA級1位な訳じゃないということか。

 

 とりあえず、今は目の前の脅威(小町)をどうにかせねば。

 

 「いや無視してないよ俺。ちゃんと勉強中って返事返したからね?」

 「勉強なんて投げ捨ててもいいよ!貴重な小町と有紀寧さん以外の女子とのコミュニケーション

のチャンスを蔑ろにしてどうするの!」

 

 いや、ゆきちゃんがなんで例外なの?家族じゃない女子のゆきちゃんと会話してるじゃん。

家族以外の女子とも普通に会話してるじゃん。え?だったら別によくね?ゆきちゃんはなんで

例外なの小町さん!?

 

 とりあえず言い訳はしておこう。

 

 「でも小町。費用のことと小町のことを考えて俺は国公立に志望校変更したんだからほら。

俺の貴重な勉強の時間を削るってのは国公立に受かる可能性を削る自殺行為だからね?」

 

 いや、勉強そのものはキリのいいところまで終わってはいたんだけど。

 

 「どーせごみぃちゃんのことだからキリのいいところで終わってたクセにまた勉強に手をつけた

パターンでしょ?小町分かっちゃうんだからね?」

 

 流石我が妹、鋭い。スコーピオンよりも鋭いんじゃね?

 まぁ、対俺限定ではあるが。

 

 「とにかく、柚宇さんに今から連絡してあげて!小町に連絡来たときすごく寂しそうな声だった

んだからね!」

 

 「女の子にはやさしくしないとだめだからね!」と言い残し小町は俺の部屋を後にした。

 

 いや、小町さん。せめてドアは閉めていってください。

 

 …とりあえず小町に釘を刺されたので俺は部屋のドアをしめてからスマホを起動し、LINEを

確認してみる。

 

 「ハチくん冷たいなぁ」

 「そんなこと言わずにお姉さんと楽しい時間を過ごしましょ~」

 「ハチくん?」

 「あれ?」

 「お~い」

 「お姉さん寂しいんだぞ(TωT)」

 「ハチくん、無視はいけないんだぞぉ」

 「ハチくんお願いします、返事だけでもください」

 「さすがに寂しいです」

 「もう知らない!小町ちゃんに言いつけてやる!(`・ω・´#)」

 

 …なんか悪い事した気分になってくる。

 ちゃんと勉強中だと残したはずなのになぁ。ハチマン、ヨクワカラナイ。 

 

 まぁとりあえず後が怖いし返事は返しておこう。

 

 「普通に勉強してました。ってか頼みますから小町を使って強引に連絡しようとしないでくだ

さいよ。小町のヤツ、怒ると怖いんですからね…(涙」

 

 伝えたい内容は伝えたので俺としてはもうスマホの電源を切っても何ら問題はないのだが、愛

しのマイシスターこと小町様の雷がわが身に振り注ぐのを回避すべく俺は国近先輩からの返事

を待つことにした。

 

 ちなみに国近先輩は、小町の存在とその意義を”ちゃんと”知ってる数少ない人の一人である。

 

 あのゆるふわ雰囲気の魔力に取り込まれていつの間にか喋らされていたんだったよな。

 …国近先輩は魔女かなんかなのだろうか。

 

 「ふっふっふ、小町ちゃんに連絡したら大体ハチくんとおしゃべりできるからねぇ」

 

 …国近先輩は何故か俺によくコンタクトを取りたがるのだ。

 

 太刀川隊の作戦室で国近先輩に誘われてゲームをしてたら小町共々いつの間にか仲良く

なっていた。ついでに出水とも。

 

 そんなこともあってか、実際国近先輩も小町と仲がいいみたいだ。

 

 まぁ、玉狛支部の宇佐美と国近先輩はオペレーターとしての小町の師匠でもあるから、ある意味

仲がよくて当然っちゃ当然だが。

 

 さて、そろそろ返事をしないとまた小町に連絡されてしまうことに気づいてしまった俺は早々と

返事を返すことにした。

 

 「というか偉く小町に気に入ってますよね、国近先輩って。兄としてうれしい限りですので今後

とも小町のことをよろしくお願いします」

 

 …これは、こればっかりは俺の本心だ。

 

 国近先輩みたいなやさしくてぽわぽわした人が小町と仲良くしてくれるのであれば俺としては

何一つ文句の付けようが無い。

 

 そんなことを考えているとスマホに通知が来た。

 

 「そうね~。兄妹共々よろしくってことで(>ω<´)ノ」

 「というわけでハチくん、柚宇さんとお話しましょう(`・ω・´)」

 

 なんでこの人は俺とそんなに話したがるのだろうか。

 

 これが俺じゃなくてタダの一般男子だったら勘違いしちゃうところだよ? 

 

 性質の悪いことに国近先輩は自分の容姿レベルの高さやスタイルの良さを自覚してない節が

あるから尚更である。

 

 「お話しましょうっていわれてもボッチの俺に話題提供なんて無茶振りするつもりですか?そう

いうのは出水とか米屋とかのほうが得意だと思うんですけど」

 

 そう返すと直ぐにLINEの通話が掛かってきた。

 

 …出なきゃだめだよな。小町の阿修羅モードは見たくないし。

 

 そう思い直し俺は、画面に表示されている緑のボタンを押した。

 

 「やほ~、ハチくん。なんか言いくるめられそうだったからとりあえず掛けたよぉ!」

 

 この人俺のことを本当に分かってらっしゃる。

 

 「お疲れ様です国近先輩。言いくるめるだなんてそんなそんな」

 「いつもの回避パターンじゃん。お姉さんにいつまでも通じるとは思っちゃいかんよ少年」

 

 とりあえず取り繕った結果、一瞬で看破されてしまった。

 

 ってか毎度毎度言いくるめて通話を回避してる所為かなんかもうその手が通じない気がしてきた

のは俺だけだろうか?

 

 言いくるめる前に通話掛けられたら俺回避手段持たないからね、うん。

 

 「というか、どうしたんです?暇つぶしなら小町でも出水でも俺以外に候補なんざたくさんいた

でしょうに」

 「ん?ハチくんの声が聞きたくなっただけだけどぉ?」

 

 なんでこの人は俺を全力で勘違いさせようとするんですかね。

 

 ってか国近先輩の今の言葉だけを取るともう既に恋人同士の会話になってる気がするのは

気のせいだろうか?

 

 「そういうのは国近先輩を好きでいる他の男子にやってあげてください。たぶん咽び泣きながら

吐血しつつ大喜びすると思いますよ」

 「はっはっは~。そんな勘違いは悲劇しか生まないのだよワトソン君」

 

 え、何?俺は勘違いしないってわかりきってるから安心して思わせぶりな発言が出来るって事?

 

 それはそれで嬉しいような悲しいような。

 

 「まぁ、声が聞きたくなったという目的はもう達成しましたね。じゃ、俺の役目はもう終わり

ってことっすかね」

 「ツレないなぁハチくんは。ハチくんが認定した美人さんとお話できるというのにそれを自ら

ぶん投げてくのはお姉さんどうかと思うぞぉ」

 

 以前にそんな話をしたことがあるようなないような。

 

 実際国近先輩は美人だが、俺からそんな話をしたのをキッチリ覚えられてるのはちょっと恥ず

かしい。なんで過去の俺はそんなことベラベラ喋っちまったんだ…

 

 というか、国近先輩には本音を喋らせる謎の力がある気がするんだよなぁ。

 本当に謎の多い先輩である。

 

 そんなことを思いながら会話を続けていく。

 

 「緊張してますからね。なんで早くこの緊張状態から逃れたいまでありますし」

 「逃げたら小町ちゃんに泣きつくからねぇ?」

 

 どうやら俺に逃げ道など無かったようだ。

 

 「俺を緊張させてそんなに楽しいんですか、そうですかドS先輩」

 「ど、ドSて人聞き悪くない?」

 「だって俺の逃げ道ひたすら潰して迫ってきますし」

 「それでドS認定なんだぁ!?」

 「ってか国近先輩今年受験生ですけど勉強大丈夫なんですか?」

 「うぐぅ、痛いところ突いてくるねハチくんってばぁ」

 「いや、現実を直視しましょうよ先輩」

 「ハチくんのいけずぅ」

 

 いや、事実確認って大事だと思うんですよ先輩。

 

 現実を見据えないといろいろと大変だから、ほら。

 

 「ま、まぁお姉さんはほらボーダー推薦枠使えるだろうから大丈夫っしょ」

 「いや、なんかもう国近先輩が第二の太刀川さんになりそうで怖いんですけどそれ」

 

 ちなみに太刀川さんは戦闘と餅以外のことに関してはボンクラと言って何一つ差し支えがない。

 

 大学のレポートがヤバイときに偶に俺とか出水とかがヘルプに呼び出される始末だし。

 

 「い、いくらなんでもあそこまでひどくないもん!」

 

 …太刀川さんが哀れに思えてきた。

 

 年下の女子にここまで言われちゃってるけど、ボーダーのトップアタッカーが。

 

 とりあえず太刀川さんのことから一旦離れよう。

 

 「まぁ、可能性もありますよって話な訳で。国近先輩やればできるタイプだと俺は思ってますし」

 「ハチくんがほめてくれた!なんか捻デレさんにほめられるのも悪い気がしないねぇ」

 

 捻デレというのは小町が作った俺を指す言葉で、”捻くれて、デレデレ”の略らしいが…

 国近先輩まで使ってくるとは思ってなかった。てか小町め、なんで広めてるんだよ。

 

 「捻デレ言わんでください。十中八九小町が発信源なのは分かりますけど」

 「でも語呂いいしハチくんにピッタリの言葉じゃん」

 「いやいや、俺がデレるのは小町に対してだけですから。それも捻くれずに全力でデレるまで

ありますし」

 「その優しさの1割でも良いからお姉さんに向けてくれないもんかねぇ」

 「俺の優しさは小町専用ですから諦めて下さい」

 「ハチくん相変わらずお姉さんに冷たいよぉ」

 

 小町は俺にとって大天使であり唯一無二の存在だ。

 同格の存在なんてきっとこの世には存在し得ないだろう。

 

 「まぁいくら国近先輩が無駄にかわいいとは言っても小町を越えようだなんておこがましい

ですよ」

 「か、かわっ!?…まぁいいや。ハチくんは小町ちゃん好きすぎるよぉ」

 「そりゃ愛しき我が妹ですからね」

 「つれないなぁ」

 「俺なんてそんなもんですよ」

 

 元々ボッチである俺に何か期待をされても困る、というのが正直なところではあるが。

 

 「というか今思ったんだけどね、ハチくん自分のことボッチボッチて言ってるけど比企谷隊を

結成してるくらいだし、最近いずみんやよねやんとかとも仲いいし、ボッチとは程遠くない?」

 

 …最近の俺が考えてることを先輩に指摘されて

 

 「そ、そんなことないでしゅよ!」

 

 盛大に噛んでしまった。

 うわなにこれ恥ずかしいなおい。

 

 「盛大に噛んだねぇ」

 

 …とりあえず居心地が悪すぎるのでとっとと逃げることにした。

 

 「ちょっと俺今から枕に顔を埋めて足をバタバタさせるお仕事があるので切りますね。国近先輩

お疲れ様です」

 「えっ!?ちょっとまっ」

 

 言い終える前に俺は通話を切って早速枕に顔を埋めて足をバタバタさせるお仕事に取り掛か

るのだった。

 

 

 

【TIPS:国近柚宇①】

 

 

 ハチくんが盛大に噛んだあとそれをからかって可愛がろうとしたら速攻で通話を切られて少し

呆然としていた。

 

 しばらくしてから、とりあえず掛けなおしてはみたものの携帯の電源を切っているのか通話に

出る気配が全くしない。

 

 「うむぅ、今頃枕に顔を云々のお仕事でもしてるのかなぁ」

 

 そんなことを思いながら、ハチくんの噛んだときの上擦った声を思い出しているとなんだかそれ

すら愛おしく思えてきてしまう。

 

 「今度は比企谷隊に直接押しかけてみよっかなぁ」

 

 ふと、心の声が口から漏れ出す。

 

 やはりなんだかんだ言っても私は、彼のことが好きみたいだ。

 

 だからこじつけでもなんでもいいから色々話したいし、できるだけ一緒にすごしたいとも思う。

 

 「目下の課題は小町ちゃんへの過度の依存をどうするかだよねぇ」

 

 幸いにも彼の妹の小町ちゃんは兄の恋愛模様をなんだかんだ楽しんでいるようである。

 

 年頃だもんねぇ。そりゃそうかぁ。

 

 「ま、ハチくんは捻デレさんだし、取られる心配も少ないだろうし、ゆっくり距離を

詰めていこうかなぁ」

 

 彼はその特徴的な目のせいかその本質を知らない人からは避けられていることのほうが多い。

 

 ライバルになりそうなのは”みかみか”こと元チームメイトの三上歌歩が少し怪しいくらいだし、

幸いにも彼女はそんなに積極的な性格でもないので今すぐにどうこう、ということもないだろう。

 

 「私は私なりにゆっくりやっていきますかねぇ」

 

 そう思い直し、私は明日のためのアラームを設定し、床につくことにした。




というわけで、国近回でした。

やはりぽわぽわした女キャラは個人的に書きづらいですが、かわいいと思えるのもまた事実。

自分の実力不足故にきちんとキャラが表現できてるかは幾分怪しいところではありますが、そのあたりも含めて温かい目で見ていただけますと幸いです。


ちなみに、サキサキとの絡みをうまいこと思いついたので奉仕部入部は"ナシ"となります。

皆様からも其方のほうがいいとご意見を頂戴していましたが、結果としてご期待に沿える形になりましたので、楽しみにしていただけると幸いです。


評価・感想お待ちしております!







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