ルーミア航海録   作:グランド・オブ・ミル

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ルーミアと麦わらの一味

 

 

 

 

 

 

グランドライン 海上

 

ザザー、ザザーと波の音だけが響く。360度どこを見渡しても見えるのは水平線のみ。見上げれば青い空に白い雲。時々カモメが飛んでいるのが見える。あ、あのカモメ帽子かぶってカバン持ってる。あれがかの有名なニュース・クーだろうか。

 

さて、海上からこんにちは。ルーミアです。あの日おじいちゃんに言われ海に出てみていろんな事がありました。ある時は町を襲うモーガニアの海賊と戦い、ある時はピースメインの海賊と宴(ただし、私はジュース)をし、ある時は海王類とケンカをし、それはもう海賊ライフを満喫させてもらいました。

 

まあ私の思い出ポロポロはこの辺でいいだろう。今私はかつてない窮地に陥っている。波に揺れる小舟、からっぽの食料庫、そして私は海のど真ん中。

 

そう、遭難だ。

 

おじいちゃんに用意してもらった小舟で海に出て、たくさんの思い出を作ったとこまでは良かった。そこまでは良かった。だが問題はその後だ。これはおじいちゃんも私もすっかり失念していた。

 

シャボンディ諸島には記録(ログ)がない。

 

グランドラインは特殊な海で、通常のコンパスは使い物にならない。そこで「記録指針(ログポース)」という特殊なコンパスに島の磁場を記録させて次の島へ、という具合に地道に航海しなければならない。

 

ところがシャボンディ諸島は前述の通り「ヤルキマン・マングローブ」という樹が集まっただけの諸島であり、磁場は存在せず、記録指針(ログポース)ではたどり着けないのだ。

 

「うぅ・・・そもそもグランドラインを逆走なんてするからこんな目にあうんだ。」

 

シャボンディ諸島はグランドラインの前半と後半の境に位置する島である。海賊達は皆そこで船をシャボンコーティングし、海底1万メートルにある「魚人島」を経由してグランドライン後半の海「新世界」へと旅立っていく。

 

そのため、普通に航海していれば記録指針(ログポース)が機能しなくても自動的にシャボンディ諸島には着くはずなのだが、ルーミアはグランドラインを逆走していた。

 

それというのも、レイリーがそうするように言ったからである。いくらシャボンディ諸島の賞金稼ぎに圧勝できるようになったからといっても1人で新世界に送ろうという気はなかったらしい。

 

だが、そのせいで記録指針(ログポース)がシャボンディ諸島とはまったく違う島を指してしまうようになり、帰れなくなってしまった。

 

「困ったなぁ・・・食料ももうないし、このまま飢え死にするしかないのか・・・ん?」

 

ほとほと困り果てていると一隻の船を見つけた。ルーミアの小舟より何倍も大きく、船主にライオンの顔がついている。海賊旗を掲げているので海賊船だろう。

 

その船を見たルーミアは驚き、そして喜んだ。なぜなら彼女はそれが誰の船なのかを知っていたから。

 

「サウザンドサニー号!」

 

 

 

 

 

ルフィ達「麦わらの一味」はウォーターセブンを出発し、順調に航海を続けていた。彼ら自身は釣りをしたり、お風呂に入ったり実に呑気なものだが、今世界から注目されている海賊のひとつである。

 

「おい!海に誰かいるぞ!」

 

ちょうど釣りをしていた狙撃主のウソップが叫ぶ。

 

「ありゃあ・・・子どもか?」

 

「もしかして遭難者かも!とにかく船に引き上げてあげましょ!」

 

航海士ナミの指示で彼らは海上の子どもを引き上げた。そして食堂へ案内し、コックのサンジが料理を振る舞う。

 

「もぐもぐ・・・ん~♪久しぶりのご飯!美味しいのだ~♪」

 

子ども、ルーミアは心底美味しそうに食べる。

 

「お前、何であんなとこにいたんだ?」

 

船長のルフィの質問にルーミアは修行中に遭難したことを伝える。

 

「修行とはいえ孫娘を海に出すとは・・・とんでもねぇじいさんだな。」

 

「まるでルフィのじーさんみてぇだ。」

 

「あはは、おじいちゃんはスゴい海賊だから鍛え方も厳しいのだ・・・あ!そうだ!この船の船長は誰なのだ?お願いがあるのだ。」

 

「ん?どうしたんだ?」

 

「この船がシャボンディ諸島に着くまで乗せてほしいのだ!」

 

「ああ、いいぞ。」

 

「本当!?ありがとうなのだー!!」

 

ルフィのやけにあっさりとした了承にルーミアはルフィの手をとって上下にぶんぶん振りながら喜ぶ。そんなルーミアの年相応な様子にほのぼのしていると

 

ドン!ドォォォン!!

 

「うわわっ!!」

 

「何!?」

 

「おい!海軍の軍艦だ!3隻こっちに向かってる!!」

 

大きな音と共に船が揺れ、それに驚いていると甲板で巨大なダンベルを使ってトレーニングをしていたゾロが叫ぶ。

 

「むっ!それはたいへんなのだ!私がやっつけてやるのだ!」

 

「え!?ルーミアあなた!もしかして戦えるの!?」

 

「何言ってるのだナミ!修行中って言ったでしょ!」

 

ルーミアは甲板を蹴り、大きくジャンプする。そして『瞳』に手を添え構えをとる。

 

キュィィィ・・・ン!

 

「サニー号にいるわけだから・・・召喚!獅子座『レオーネ』!!」

 

ルーミアが叫ぶと『瞳』がカッと開き、獅子の紋章を浮かび上げる。そしてルーミアの背後に勇ましく逞しい獅子のオーラが現れる。

 

「何だ!!あいつの後ろにライオンが出た!!」

 

「すっげ~~~~~!!」

 

「能力者だったのか!」

 

船ではウソップが目を飛び出させて驚き、ルフィは目を輝かせ、船大工のフランキーは驚きつつも冷静に分析する。

 

「獅子王爆風波!!」

 

ビュオォォォォ!!!

 

やがてルーミアは軍艦の一隻に向かって巨大な竜巻を3つ繰り出す。竜巻を撃ち込まれた軍艦はそのエネルギーに耐えきれずに沈んでいく。

 

「まだまだいくのだ!召喚!一角獣座『ユニコルノ』!!」

 

ライオンのオーラが消え、今度は凛々しい1本の角を持ったユニコーンのオーラが現れる。

 

「紫電の一閃!!」

 

ルーミアの叫びと共にユニコーンは角に紫の電気を纏い、軍艦の一隻に向かって直進。縦横無尽に暴れまわり、軍艦を沈める。

 

「最後はやっぱりコレ!召喚!天馬座『ペガシス』!!」

 

最後にルーミアの背後に現れたのは天を駆ける馬ペガサス。神々しい翼をはためかせ、堂々としている。

 

「天馬流星撃(ペガシスシューティングスターアタック)!!」

 

ルーミアから指示を受けたルーミアは白い翼をはばたかせ、一旦上空に舞い上がる。そして軍艦にめがけて一気に急降下し、見事に貫いてみせた。

 

一仕事終えたルーミアが船に戻ると

 

「お前すげぇなルーミア!!」

 

「へぇ、なかなかやるもんだな。」

 

「強ぇんだな!ルーミア!」

 

ルフィ達に囲まれる。褒められて悪い気はするわけもなく、ルーミアは嬉しそうに「えへへ」と微笑む。

 

「あなたも能力者だったのね。」

 

「うん!私はシスシスの実の召喚人間なのだ!海軍が出てきても私がやっつけてやるのだ!」

 

「ふふふ、ありがとう。」

 

ロビンに頭を撫でられ、ルーミアは気持ち良さそうに目を細める。

 

麦わらの一味と行動を共にすることになったルーミア。彼女の冒険はまだ始まったばかりである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 





・獅子座『レオーネ』

元ネタ:ロックレオーネ145WB

獅子王爆風波

荒れ狂う3つの竜巻が襲いかかる技。原作から特に変更点はない。

・一角獣座『ユニコルノ』

元ネタ:レイユニコルノD125CS

紫電の一閃

紫の電気をユニコーンに纏わせ、相手に突撃させる技。相手に着弾した後、少しの間暴れまわり周りにもダメージを与える。

・天馬座『ペガシス』

元ネタ:ストームペガシス105RF

天馬流星撃(ペガシスシューティングスターアタック)

ペガサスが翼をはばたかせ、一旦上空に舞い上がり、急降下で突撃する技。原作から特に変更点なし。





次回から原作沿いになっていきます。スリラーパーク編からです。

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