俺と由比ヶ浜は学校を出て雪ノ下の家に向かった。
俺がスタスタと雪ノ下の家に歩いて行くと由比ヶ浜が尋ねたきた。
「比企谷くん…携帯のマップ見ないでよく道がわかるね?」
しまったー…やらかした…どうしよう…あいつん家に何回か行ったことがあるから自然と足が進んでしまっていた。
何とか誤魔化さなければ変態ストーカー扱いにされてしまう…
「由比ヶ浜…お前…」
俺は真剣な目で由比ヶ浜を見つめた。
「ん??」
「本当に千葉県民か??」
「はえ?」
突然の返しに由比ヶ浜は困惑していた。
「ど、どういうこと?」
「千葉県民かどうかを聞いているだけだ。」
「う、うん。一応千葉県出身だけど…」
「そうか…俺も千葉県出身だ。」
「うん…」
「だからそういう事だ。」
俺は止めてた足を動かして雪ノ下の家に向かった。
「え!?え??どういうことなの!!??」
由比ヶ浜はバタバタと走って俺の横に並んできた。そして歩きながらこちらの方を見つめムーっと言っていた。
「比企谷くん…また前みたいに話をはぐらかそうとしてるでしょ。」
まずい…バレてた。だがタイムスリップの話をしたらややこしくなるし…やはりここは強気でこちらが正論ぽく持っていかないとバレてしまう。
「はぁー…お前は千葉県民のくせに携帯マップを見ながらしか行動出来ないのか?俺はな、住所さえ教えてもらえればすぐにどんな場所でも行ける知識は持っている。」
「な、何でそこまで…」
「俺は千葉を愛しているからな。」ドヤ
由比ヶ浜は呆れた様子でため息をついていた。
「お前にはガッガリだよ。そんな浅い意識で千葉県民やってんじゃねぇーよ!」
「なんか真面目に説教されてる!?普通の女の子はそこまでの意識なんてないよ!!」
「フッ。最近の若い千葉県民はこれだから困る。」
「いや…比企谷くんも若いし……はぁーもういいよ…早く雪ノ下さんの家に行こう。」
そう言って呆れながらまた、ため息をしていた。よし!何とか誤魔化した!!
2人は並んで歩きながら雪ノ下の家に向かった。
……………………………
雪ノ下のマンション前
「で、デカイね…」
「そうだな…」
お前もデカイけど…それを考えるのは後にしよう。俺と由比ヶ浜は雪ノ下の家の前まで着いていた。
オートロック式のマンションなので紙に書いてあった部屋の番号を由比ヶ浜が押した。
ピンポーン
「……」
「……」
「出ないな…居留守か?」
「それならまだいいんだけど…もしかしたら本当に体調悪いのかも…」
まぁいないならいないんでいいんだけど…てか前もこんな感じな流れだったな。あの時は文化祭の準備だったっけ。
そんな事を思い出していると反応があった。
ガチャ
「はい。」
「あっ、雪ノ下さん!?私、由比ヶ浜です。あ、あの大丈夫?」
「えぇ。大丈夫だから」
大丈夫だからって何だよ。大丈夫だから帰れって言うつもりか。こいつは。
前とやりとりほとんど一緒だな。それなら俺があの時と同じように…
インターホンのカメラの前に立って話しかけようとしたら…
「いいから開け………」
ガチャ
「…………」
「あっ切れた。」
あんにゃろーー!!顔覗かせたら即切りやがった!!何でだよ!そしてもう一度部屋番を打ち込んでインターホンを鳴らした。
ピンポーン
ガチャ
「あっ出た。」
「何かしら?」
「いや、いきなり切るのは酷くないですかね?」
「いきなりそんな犯罪まがいな目をしてる人が画面から出てきたら誰だって恐怖で切ってしまうに決まっているでしょう?」
おいやめろ!昔近所に回覧板を渡しに行こうとしてそこの父親が出てきて俺を締め出されそうになったこと思い出しちゃうだろーが。でも後日ちゃんと謝ってきたけど…そん時のうちの両親が爆笑していたことを今でもはっきり覚えている。マジで親なのか?
何で今日はこんなに目のことでここまで言われなきゃいけねーんだよ。帰ったらマジ泣きしよ。
「はぁー。いいから開けろ。話がある。」
「………えぇ。分かったわ。今開けるから待っていて。」
ガチャ
雪ノ下が切ると自動ドアが開いた。俺たちは雪ノ下のいる部屋に向かうためエレベーターに乗った。
………………………
雪ノ下の部屋の前
ピンポーン
由比ヶ浜がインターホンを鳴らした。
すると雪ノ下が出てきた。前と同じような白い服装で多分部屋着なんだろうか。
「どうぞ。中へ」
雪ノ下に言われ靴を脱いで入っていく。すると雪ノ下を見て違和感を感じた。
「おい雪ノ下…お前その手…」
すると雪ノ下はササっと手を隠し何もなかったかのように話す。
「な、何かしら。私の体をジロジロ見つめて。発情期ですか?このヤロー。」
「お、おい。落ち着け。キャラぶれぶれだぞ。銀さんかよ。じゃなくて…お前の手…包帯がしてあるぞ。どうしたんだよ。」
雪ノ下の手には包帯でグルグル巻きにされていた。
「べ、べ、別にあなたには関係ないでしょ。ちょっと怪我しただけよ。」
「いやお前…その巻き方は…もしかして折れてるのか?あの時か!?おもいっきり殴った時に。」
「うっ……///」
「お前馬鹿だろ?加減くらいしろよ。自分の骨が折れてまで殴るってやっぱり馬鹿だろ。」
「だ、黙りなさい!!私だって初めて人を殴ったのよ?加減とか知ってるわけないでしょ!!」
「ってことは休んだ理由ってのは折れたからただ病院に行ってただけってことか?」
「ええ!そうよ!こんな情けない所を1番見られたくないあなたに見せてしまったわ。ちなみに全治1ヶ月よ。」
「いや知らねーよ。ったく心配して損したよ。」
「あら?貴方が私の心配?どういう犯罪風の吹き回しかしら?」
「いや犯罪風って…まだ犯罪犯してねーから…」
「いや…まだって…」
由比ヶ浜がジト目で見てきた。ため息をしながら由比ヶ浜が雪ノ下に説明をした。
「雪ノ下さんが比企谷くんを殴ってそれを気にして学校に行きづらくなったと思って心配して様子を見にきたんだ。」
すると雪ノ下はフッと笑って自信満々に告げた。
「そういうこと…由比ヶ浜さん。私はそんな事で気にしたりしないわ。」
「いや、気にしろよ」
俺のツッコミを無視して話を続けた。
「お見舞いに来てくれ事には感謝するわ。ありがとう。だけど大丈夫よ。この男をどのように屈服させてやるか明日はどのように精神を追い込もうかとかを今日はずっと考えていたのよ。」
イヤこえーよ!!何考えてるんだよ!今時の女子高生の頭ん中じゃねーよ!
「だからあなた達が心配してるような事はないわ。明日には学校は行くし、部活にも出るわ。だから…そう……あとは…」
雪ノ下がモジモジしながらこっちを向いて話してきた。
「そ、そ、その比企谷くん。昨日はごめんなさい…」
と頭を下げてのまさかの謝罪だった。俺は困惑して止まってしまっていた。すると由比ヶ浜から背中を押され…
「ほら!比企谷くんも!」
「あ、あぁ…その俺もあの時は言い過ぎた…悪い…」
俺も頭を下げて謝った。
「えぇ別に気にしてないわ。」
開きなおったかのように話した。
いや嘘つけよ…気に触ること言ったから殴ったんだろーが!
はぁーまぁいいや。
「だけど勘違いしないで。暴力した事には謝るけれどそれ以外で謝ってる訳ではないから勘違いしないでちょうだい。いいかしら?」
「へいへい…」
「ふふ、よかった…仲直り出来て!」
ったく、こいつの心は鋼か何かかよ?とりあえず関係は元通りになったしまた振り出しか…しんど…
「あっそういえばコレ。学校のプリント…机の上に置いとくね!」
「ええ。ありがとう由比ヶ浜さん」
「あともう一つ気になった事があって…」
すると由比ヶ浜は雪ノ下の耳元で小さな声で話していた。
「今日は比企谷くんの事ずっと考えてたんだね…」
「な?!べ、別にそういう意味ではなくて//」
「ふふ。じゃ今日はもう帰るね!おやすみ!雪ノ下さん」
「じゃ…」
俺と由比ヶ浜は別れの挨拶をしてマンションを出た。
「うっ〜//」
雪ノ下はリビングでうずくまっていた。
帰り道は由比ヶ浜と途中まで歩いて帰っていた。
「お前、最後雪ノ下になんて言ったんだ?だいぶオロオロしてたけど…」
由比ヶ浜はふふーんと言いながらあざとい笑顔で言ってきた。
「なーーいしょ!唐変木には教えなーい!」
「由比ヶ浜…お前…」
真剣な目で由比ヶ浜を見つめた。由比ヶ浜もハッとして目をオロオロしていた。
「べ、別に……そういう意味じゃ…」
「お前……よく唐変木っていう言葉知ってたな?俺ちょっと感動したよ。」
「なっ//酷過ぎたよ!私だってちゃんと試験受けて総武高に入学したんだからね!私の事ちょっと馬鹿にしてるでしょ!!」
「うん。最近はわりと…」
「ふーんだ!さっきの事は絶対に教えないもんね!じゃ私ここだから帰るね!べーーっだ!!」
「おう。じゃあな…」
俺も別れの挨拶をして帰って行った。だんだん由比ヶ浜のキャラが変わっていっている。ちょっと残念だが過去の時の由比ヶ浜に戻ったみたいで安堵していた俺がいた。
やっぱりあいつはただの馬鹿の方が似合ってるな。
そして俺は千葉の夕日を見ながら途中でマックスコーヒーを買って家に帰っていった。