5/7 強調するところ直すの忘れたため編集。
都会からかなり離れた森。
その森の奥にある山に口を広げる洞窟。
その中で行われているのは修行という名の殺し合い。
剣戟の音と強大な気がぶつかってできる風が中から流れてくる。
中には二人の剣士が戦っている。
これは修行の最終試験ということだ。
片方は弟子、もう片方は師でお互いの剣を、気をぶつけあっている。
曰く、その剣の流派は鬼の剣だと言う。
その剣は大気を纏い、ありゆる物を断ち切ると言われた伝説の剣術。
無明神風流殺人剣。
今の時代伝承者が生まれようとしていた。
ふと、洞窟から音が消える。
しかし、洞窟から流れる気は治まらずむしろ増していく一方である。
嵐の前の静けさのような静謐さ。
この状態がいつまで続くのかと思った次の瞬間、洞窟の中の強大な気が膨れ上がり、
------朱雀-------
洞窟の中から濃密な気で出来た赤い鳥が飛び立っていった。
洞窟周辺の重苦しい空気は消えた。
しばらくすると中から背中に人を背負った男が洞窟の外に出てくる。
「・・・ったく。
体弱い癖に無茶するんだからな。
まあ、でもおかげで奥義は会得出来た。
感謝するぜ、親父。」
「ゲホッ、ゴホッ!
・・・いえいえ、気にする必要はありませんよ。
これも無明神風流の運命。
仮に死んだとしても息子に業を継げたのならば本望ですよ。」
狂志郎と呼ばれた男は背負った人を近くの木に座らせた。
二人とも長い髪で今人を背負ってきた男、狂志郎と呼ばれた方は黒く長い髪の方は刀を担ぎながら呆れたように返答する。
「アホか、そんなことになったら母さんが悲しむだろうが。
滅多なこといってんじゃねえよ。」
もう一人の男は長い白髪に穏やかな雰囲気を纏った優男で、苦笑いを浮かべた。
名を壬生村正といい、本業は刀鍛冶。
本人も世界でも屈指の剣士であり、刀鍛冶においても世界中から刀剣の制作やメンテナンスの依頼が来る。
まあ、本人はやる気がでないと依頼を受けないため実際こなしている依頼数は少ない。
しかし、多額の金を積んででも依頼をかけてくるためかなりの稼ぎを持っている。
「ははは、そうですね。
まだ、妻を・・・朔夜を置いて逝くのは勘弁願いたいです。」
ふう、と息をつく白髪の男。
黒髪の狂志郎と呼ばれた男も近くに切りかぶがあったため、そこに座って一息つく。
黒髪は名を壬生狂志郎といいまだ少年と言えるような風貌である。
二人とも疲れたのか森に流れる清涼の空気と風で休んでいた。
◆ ◆ ◆
俺達は休みを入れてある程度体力が回復してきた。
そんなときに親父が真剣な顔をしてこちらを向いた。
「さて、狂志郎。
これで貴方への奥義の継承は終わりです。
今日から貴方が無明神風流17代目当主です。」
「は?
いやいや、待てよ!
確かに四神の奥義は会得したけど、まだ秘奥義を教えてもらってないぞ!?
なのに当主なんて名乗っていいのかよ?」
「ええ、貴方の疑問はもっともでしょうね。
・・・しかし、無明神風流の秘奥義は初代当主が会得していただけで詳細が伝承されていないのです。
伝えられているのは、『無我に到り、信念を持ちし者が黄龍を呼ぶであろう』というこの言葉のみです。
私はとうとう習得はできませんでしたよ。」
「おいおい、まじかよ・・・。
ってことはあれか?
初代当主とやら以外は会得してないのか?」
俺が親父に問いかけると頷いた。
元々、体が弱い親父だったが剣の才能はすさまじく、また努力家だった。
・・・しかし、親父は体にハンデは背負いつつも歴代で最強と呼ばれた使い手だった。
そんな親父ですら会得できないほどの業なのか。
「しかし、狂志郎。
貴方は恐らく歴代でもあなたほど風に愛された伝承者はいません。
あるいは貴方ならば、会得可能かもしれません。」
「・・・。
まあ、いいさ。
仮に会得出来なくても、強いのは業じゃねえ。
この俺自身が強ければそれでいい。」
そう、俺は最強の称号と大切な家族と友を守れる力があればそれでいい。
俺がそう思っていると察しているのか親父は微笑んでいた。
「ふふ、貴方らしいですね。
さてと、そろそろ帰りましょうか。
流石に私も疲れましたよ。
朔夜も待っていることでしょうし。」
「ああ、そうだな。
あー、腹減ったー。」
「ああ、そういえば忘れていました。」
ポン、と唐突に思い出したかのように手を叩く。
「あ?
なんか忘れものか?」
今日の飯なんだっけなー、から揚げだっけ。
「狂志郎、貴方川神に戻ってもらうので宜しくお願いしますね。」
今日の夕飯のこと考えてたら爆弾発言された。
「・・・・・・はぁ!?
なんだって急に川神に戻るなんて話が出てくるんだよ!?」
振り返って親父を見るといつもの優しい微笑みでこちらを見ており、
「いやー、川神鉄心殿から頼み事をされてましてね。
なにやら、百代さんが伸び悩んでおり対戦相手に困っているという相談を受けてましてね。
まあ、私自身で解決できればいいのですが、何分この体ですし遠出は避けたくてですね・・・。」
「・・・百代ねぇ。
また、懐かしい名前を聞いたな。」
俺は今でこそ京都に住んでいるが元々は東の川神に住んでいた。
あの時は、遊びに修行と充実した日を過ごしていた。
風間翔一がリーダーをやる風間ファミリーと言われるグループメンバーと良く修行の合間に遊んだものだ。
その時の同い年ということとお互い、武闘家だったこともあり、それなりに仲が良かった。
川神鉄心といえば武神として世界に名高い武闘家だ。
その孫娘が川神百代と言われる少女だ。
武神の孫娘だけあって才能に満ち溢れた少女でまだ若輩ながら最強の武神の称号を引き継いだらしい。
俺が川神を離れてから襲名したらしいから噂で聞いてるだけだが。
「・・・で?
俺は川神に行って何をしろってんだよ?」
「別に特別なことは何もしなくていいです。
あっちで学生生活を楽しみ、力試しでもしてくるといいですよ。
川神は世界中から強者が集う街です。
貴方の修行にもなるでしょう。」
「はあ?
そんなんでいいのかよ?
依頼受けてるって言ってたじゃねぇか?」
「ええ、別に具体的に何をしろとは言われてませんから。
恐らく鉄心殿も恐らく武を高めあえるものがいれば解決できるのではないか、ということだと思いますよ?それに貴方もいつかは川神に戻るつもりだったでしょう?」
「まあ・・・そうだな。
色々と心残りっつうかやりたいことあったからな。」
川神を修行で離れたのは割りと急なことだったので未練はある。
それに・・・。
「あいつとの決着も付けてないしな。」
百代は恐らく俺にとっての最強のライバルだ。
そして、今最強の称号を引き継いだというなら百代を倒すことで俺の目標の達成に近づく。
そんなことを考えていると修行が終わり、収まっていた気があふれた。
「こらこら、気があふれていますよ。
目が
まあ、その反応から察するにこの件に関しては賛成ということでよろしいですか?」
俺は親父の言葉に頷く。
まあ、単純にあいつらに会いたいのもあるしな。
(さて、これから楽しい日々になりそうだな)
心のなかでそう思っている俺の目は血のように紅く輝く目になっていた。
書き貯めしないので更新は遅いです。
それでも良ければ見ていただけると嬉しいです。