【完結】艦隊これくしょん 提督を探しに来た姉の話   作:しゅーがく

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第13話  情報収集①

 

 私が『柴壁』に入って、約2ヶ月と半分が経ちました。

もう、季節は夏至を通りすぎてしばらく経った9月。まだまだ暑く、陽も長いです。

訓練は今日の、小銃などを使った総合射撃訓練を経て、修了しました。私の来たての頃とは違い、小銃はまだ難しいですが、拳銃や短機関銃は操作に戸惑うこと無く、扱う事が出来ます。

 身体もある程度鍛えさせられましたが、出るところは出て、引っ込むところは引っ込みました。少し気になっていたお腹周りも、結構そぎ落とし、くびれが出ました。

ですけど、目に見えて筋肉が付いたようには見えません。洋服を着たら、普通の女性にしか見えないそうです。

 

「何処の配属になるんでしょうね」

 

 沖江さんには、あれ以来仲良くしてもらっています。教官ではありますが、ほとんど出る事が無かったんです。ですから、友人みたいなものですね。同い年ですし。

 

「どうでしょうね。私的には、番犬に来て欲しいです」

 

 どうやら沖江さんは、私が番犬になることを期待しているみたいですね。約2ヶ月間の付け焼き刃で、行けるのなら申し分ないでしょうね。特筆すべき能力は、私には備わってないですからね。

ですけど、それはたった2分で裏切られました。

 武下さんから、私の配属が連絡されたんです。

 

「天色 ましろ二等兵は、只今を以って『血猟犬』へ配属します」

 

 私の配属先連絡は、その一言だけでした。

もっと何か言うべき事があるのではないかと、思いましたが、武下さんはそれだけを言って、私に書類を渡したんです。

 勿論、その結果には、私を含めて聞いていた全員が固まってしまうものでした。

どういった意図で、たった2ヶ月の訓練をした、なよなよの女を特殊部隊みたいなところに放り込んだんでしょう。

 

ーーーーー

 

ーーー

 

 

 『血猟犬』に配属になりましたので、『血猟犬』での全体ミーティングが開かれました。

 

「『血猟犬』初の新人です。では、挨拶を」

 

 巡田さんはそう言って、私に場所を開けました。

 

「この度、こちらに配属されました、天色 ましろです。よろしくお願いします」

 

 私がそう自己紹介をすると、集まっていた人たちはかなり動揺しました。

それもその筈です。『柴壁』に入って、ずっと下の名前で呼ばれていましたからね。気付かないのも、当然のことです。

 驚いた先輩たちは、一斉に床に正座します。この光景も何度も見てきましたが、未だに慣れませんね。

全員が一斉に頭を下げます。鈍い音が響いきました。床に頭を打ち付けたんでしょう。

 

「頭を上げて下さいっ!」

 

 慌てて私は、皆さんにそう言います。

何に関して、頭を下げているのか分かっていますからね。

 

「そもそも、あなた方が責任を感じる必要はないと思うのですが?」

 

 取り繕ったかのような言葉を言います。

そもそも、紅くんがどんな状況だったのかも、私は知らない訳ですからね。

 紅くんが撃たれた状況は、巡田さんから聞いています。警備を突破され、拉致られて、誰もいない廃工場で撃たれた、と。そして、巡田さんはそれをただただ見ていることしか出来なかったんです。

そこの詳しいところは、私は知りません。出るに出れない、状況だったとは思いますけどね。

多分、相当切迫していたんでしょうね。

 それはともかくとして、果たすべき事をしていたのなら、謝る必要はないと思うんです。

 

「そうでしょうか?」

 

 巡田さんは、私はに訊いてきます。

初めて会った時にも、私は巡田さんに言ったと思うんですけどね。

 

「はい」

 

 私がそう答えると、巡田さんは話し始めました。

 

「……座学で聴いているとは思いますが、『血猟犬』、諜報班の任務は、体外的な諜報活動です」

 

「情報収集や諜報活動、鎮守府侵入者の監視、敵勢力の排除、紅くんの直掩ですよね?」

 

「はい。そこでましろさんには、情報収集を専門に行ってもらおうと思います」

 

 話を聞く限り、重要度が割りと低い任務ですね。

 

「分かりました」

 

「はい。ということですので、付いてきて下さい」

 

「ん?」

 

どういう事でしょうか。巡田さんがそんな事を言うなんて、思いもしませんでした。

 

「どういうことですか?」

 

 私が訊くと、巡田さんは答えてくれます。

 

「情報収集は、私が直接指揮をしていますので。それに、諜報班とうものの元は、帯書き的な情報収集活動をしていた私たちの事を指しているんですよ」

 

 巡田さんがそう言うと、後ろから5人が目の前に並びました。

どうやら、巡田さん直属の部下みたいですね。

 全員が名を名乗り、私はあるところに連れて行かれました。

そこは約2ヶ月間、ずっと目にしてきた施設でした。

 

「寮……ですか?」

 

「はい」

 

 巡田さんは、そう言って頷くだけです。

 

「えっと……どういう事ですか?」

 

「情報収集をするにあたって、この格好では目立ちます」

 

 巡田さんは自分の着ている迷彩服を指さしました。

 

「確かにそうですね」

 

「ですので、私服に着替えていただきます。その代わり、こちらの用意している服に着替えていただくんですけどね」

 

 私に有無も言わさず、巡田さんの部下の1人である、南風(みなかぜ)さんが私の腕を掴みました。

 

「着替えに行きますよ。これから任務ですので」

 

 ニコニコと笑いながら、私を引っ張る南風さんに、私は苦笑いしながら引かれる他ありませんでした。

 

ーーーーー

 

ーーー

 

 

 私が着せられるのは、てっきり普通の私服だと思ったんですけど、何も着せられませんでした。いつもの、迷彩服です。装備はかなり外されたんですけどね。

腰に拳銃が刺さっているだけです。

 

「あの……体外的な情報収集活動をするんですよね?」

 

「はい。そうですよ?」

 

「なら、この格好は目立つのでは?」

 

「えぇ。ましろさんには別働隊として、私たちが出来ない分野の情報収集をしていただこうと思っています」

 

 そう、巡田さんは言います。ちなみに巡田さんの格好は、白いカッターシャツに、黒いパンツです。

 

「どういった情報収集を? 格好から察するに、鎮守府から出ないでするみたいですけど?」

 

「そうですよ。ましろさんには、『艦娘たちの精神状態が、どう変化したかの調査』をしていただきます」

 

 思考が追いつきませんでした。巡田さんの発した、言葉の意味が分からなくなったんです。

 

「紅提督が鎮守府に居なくなって、かなりの時間が経ちました。居なくなった直後は、かなり荒れていました。ですが、現在はどうなっているかは分かりません。なので、現在の状況を調査する必要があるんです」

 

 巡田さんは説明をしてくれます。

 

「この調査の目的は、『艦娘による暴走』の有無を知る事です」

 

 巡田さんは、平然とそう言いました。

暴走。つまり、何かを爆発させて暴れるという事でしょうか?

 

「『提督への執着』ですか?」

 

 そんな状況に陥る、一番の原因になるであろう事を私は言いました。

 

「そうです」

 

 巡田さんは頷きました。

 

「ですので、ましろさんにはその任を任せたいと思います。外に出ないですから、危険も少ないですし」

 

「危険が少ないとは?」

 

「えぇ。……ヘタしたら、艦娘に殺されてしまいますからね」

 

 そう、巡田さんは澄まし顔で言います。

とんでもない事を口走ったのに、他の5人は笑っていました。私だけなんでしょうか。怖い、と思ったのは。

 

「ど、どうしてですか?」

 

「『提督の執着』が発現する事を、起こしてしまったんですよ。怒りを買った対象が」

 

 巡田さんは言います。

 

「どんな相手であろうと、彼女たちは殺意を剥き出しにしますよ」

 

「どんな相手にでも、ですか?」

 

「はい。貴女にも、向けるでしょうね。ですが少なくとも、赤城さんは大丈夫でしょうね」

 

 多分、私の正体を知っているからでしょうね。

その自身がどこから来ているかは分かりません。ですけど、それは確信出来るんです。

赤城さんは、私に手を掛けないと。

 

「そうですね……」

 

「では、よろしくお願い致しますね」

 

「了解しました」

 

 敬礼を交わすと、私は本部棟と食堂、艦娘寮が連なっている建物に向かいました。そこに入るのも、何時ぶりでしょうか。

 

ーーーーー

 

ーーー

 

 

 これまであった事の話から、艦娘の行動が気になるのは確かな事です。ですけど、動いた事がないんです。一体、どうなっているんでしょうね。

私は巡田さんから与えられた任務遂行の為、艦娘のところに顔を出しに行きます。とりあえず、赤城さんと話をしなくてはいけませんね。

 

 





 前回の投稿から、かなり時間が空いてしまいましたね。申し訳ありません。
リアルの方で忙しかったので、全然書けませんでした。ただの言い訳ですねwww

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