【完結】艦隊これくしょん 提督を探しに来た姉の話   作:しゅーがく

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 はじめましての方ははじめまして。続編からの方はお久しぶりです。しゅーがくです。
今回から始まる本作、『艦隊これくしょん 提督を探しに来た姉の話』はあらすじの通りの内容でございます事をご承知下さい。
そして再度、あらすじにあります注意事項をお読み下さい。

 それでは、これより『艦隊これくしょん 提督を探しに来た姉の話』を始めます。


序章
第1話  失踪


 

 今日、紅くんが消えました。いいえ、失踪したのかもしれません。

9月になりますが、私は社会人なものですからいつもの様に仕事の用意をしています。一方で、紅くんは高校生です。昨日まで夏休みでしたが、今日は始業式です。学校に行かねばなりません。

 いつまで経っても起きてない紅くんを心配したお母さんは、私に起こしてくる様に言いました。なので紅くんの部屋の扉を私はノックしました。

ですけど、返事はありません。いつもなら『いま行くー』と、返事をするんですけど、今日に限ってありません。

 私は気になったので部屋の扉を開きました。

 

「紅くん? 準備しないと……」

 

 部屋の中に紅くんは居ませんでした。返事が無かったので薄々分かっては居たんですけどね。

私は部屋に入ってキョロキョロと見渡しましたが、紅くんは居ません。通学に使うかばんも確認しますけど、ありました。制服もハンガーに掛かってます。

パジャマ姿で紅くんは、何処に行ったんでしょうか。

 

「お母さん! 紅くんはもう学校に?」

 

 廊下に出てお母さんに確認を取ります。もしかしたらもう学校に行ってしまったのかもしれません。

 

「まだ行ってないからましろに頼んだの! 居ないの?! 全く……」

 

 お母さんの声が遠ざかりました。多分、私の声を聞くために廊下に出ていたんでしょうね。私の報告を聞いて、リビングに戻ってしまったみたいです。

 紅くんは、たまにこうやっていなくなる事があります。前は突然、喫茶店に行きたいと言って寄り道して学校に行く事がありました。今日はまた違う事で居ないのだろうと思い、私は確認で玄関に向かいます。そこに靴がなければ出掛けてます。勿論、靴を履かずに出かけるなんて事はしません。ですけど、私が玄関を見ると靴はありました。学校用と普段履き用、両方ともです。

 

「お母さん! 紅くんはまだ居るみたいです!」

 

「えぇ?!」

 

 不思議に思いつつ、私は何の気なしに家の中を歩き回りました。ですが、紅くんはどこにも居ません。

今まで忘れてましたが、携帯電話を鳴らせばいいのでは、と思い立ち、私は紅くんの携帯電話に電話を掛けます。コールが鳴り、私はそれを元に家の中を探します。

紅くんの携帯電話があったのは、紅くんの部屋にありました。机の上に置かれていたんです。

 何だか変、そう思いました。こんな事は今までに無かったんです。手がかりがいつも残っていたのですが、今日はありません。

私はお母さんに報告します。再度、確認しましたからね。

 

「やっぱり居ません!」

 

「おかしいねぇ……。でも、そのうち出てくるでしょ?」

 

「かもしれませんね」

 

 私はそう言ってダイニングに向かいます。そして朝食を摂って、家を出ました。仕事に行かなければなりませんからね。

今年から専門学校を卒業して就職しました。なので、まだ1年目です。不慣れな事が多いですが、半年が経ちましたので慣れてきたと思います。

 

ーーーーー

 

ーーー

 

 

 仕事場から家に帰って来れるのは、だいたい午後6時くらいです。新人だと、残業や夜勤は無いみたいですからね。

 今日の私は機嫌がいいです。何故なら金曜日ですからね。私の家の決まりで、金曜日の夜はカレーと決まっているんです。ですけど、それだけで私の機嫌が良くなる訳ではありません。カレーの時はオムレツを乗せるのが好きなんです。それも紅くんの作ったものです。普通にオムレツだけで食べても美味しいんですけど、カレーに乗せるとオムカレーになって、これがまたいいんです。

偶に、紅くんの機嫌が悪いと作ってもらえない事があります。ですが、そんなときには、ジュースを奢ってあげると作って貰えます。そこまでして、オムカレーが私は食べたいんです。

 鼻歌を歌いながらリビングの扉を私は開けますが、そこには誰も居ませんでした。いつもなら紅くんが居るんですけどね。

変だと思い、私は紅くんの部屋に向かいます。扉をノックして開いても紅くんは居ません。朝の状態のままでした。

 

「あれ?」

 

 私は朝みたいにキョロキョロと見渡してみますが、紅くんは居ません。変わっているとすれば、洗濯物が置かれていることだけです。

かばんや制服も朝のままです。どうしてだろうと考えてながら見ていると、私は朝に気づかなかった事に気づきました。

紅くんのパソコンが起動したままになっているんです。気になった私はパソコンの前に座り、マウスを少しだけ動かします。そうすると、ブラックアウトしていた画面が点きました。そして、明るくなった画面には、あるものが映っていました。

 『艦隊これくしょん』とタグに書かれています。紅くんは『艦隊これくしょん』をやっているみたいですね。

画面を見ると、どうやらプレイ途中だったみたいです。『戦果報告』と左上に書かれていて、真ん中に大きく『勝利!! S』と書かれています。マウスで適当なところをクリックしてみると、画面が進みました。女の子がしゃべりだしました。『この勝利で慢心しては……』と言ってるだけです。そして数字が右側中央に出ました。これ以上触らない様に、マウスから私は手を離します。

 

(何故でしょうか……)

 

 そんな事を考えながら、リビングに戻りました。ゲーム画面も離れたら悪いですので、そのままにして置きます。

 

ーーーーー

 

ーーー

 

 

 結局、紅くんは昨日、帰ってきませんでした。今日も、もう午後6時になるというのに、紅くんは帰ってきません。それを不安に思ったお父さんとお母さんは、警察に行くと言って出て行きました。私は、もし紅くんが帰ってきた時の為、家に残っています。

1人、リビングで待っていますが、凄く不安です。

 少しすると、玄関から物音が聞こえたので、私は見に行きました。

帰ってきたのは、どうやらお父さんとお母さんだったみたいです。話を聞くと、捜索願を提出してきた、と言ってました。紅くんが家から出た形跡は無いんですけどね。

お父さんもお母さんも、このことは知っている筈です。それを警察の方に伝えた上での、紅くんの捜索願だったのでしょう。

 私はそのまま私の部屋に行きました。

 私の部屋は、リビングや紅くんの部屋に比べて少し汚いです。掃除のやる気がでないんです。一応、お父さんとお母さんから家事は叩きこまれてます。ですけど、私はやろうとはしません。気付はこんな風になっているんです。

 そんな私はベッドに寝転がり、紅くんの事を考えます。

 

(何処に行ってしまったんでしょうか)

 

 そう考えてしまってますが、少し、気になる事があります。

紅くんのパソコンの事です。紅くんはパソコンを使わないとなると、電源を必ず切る癖があるんです。それが何故、そのままになっていたんでしょうか。このことはお父さんにもお母さんにも話してません。私だけが知っている事です。

 本当に何処に行ってしまったんでしょうか。紅くんは。

 

 




 今回は少なめになってしまいましたがご容赦下さい。最初の内容は殆ど艦これに関係はありませんが、これからですのでよろしくお願いします。

 ご意見ご感想お待ちしてます。

2016/05/14 リメイク版に更新しました

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