【完結】艦隊これくしょん 提督を探しに来た姉の話   作:しゅーがく

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第2話  行方

 

 紅くんが失踪して1ヶ月が経ちました。警察は紅くんを一応、探してくれている様です。高校生が移動できる範囲での捜索ですけどね。それでも全然見つからないと、先日連絡がありました。

 ですので、私は私自身で紅くんの捜索を始めたのです。手始めに失踪した動機です。私が見ていた限りでは、無かったと思います。高校3年ですので、大学受験の事で何かあったのではと母に聞きました。ですが、志望校のボーターよりもかなり上に居るそうです。それでも勉強をしている姿はよく目にしてました。快調に進んでいる姿を見てますので、そう言った悩みでは無いと判断しました。保険で友人関係などを紅くんの友人に聞きましたが、問題ないとの事です。紅くんがどう思ってるかは分からないので、グレーですけどね。

学校関係では無いとなると、それ以外となります。そちらに関しては、ほとんど外出しない紅くんを私は見てますので、ないと思います。

 次に失踪原因です。こちらも結論を先に言えば、動機と同じです。目立った原因が見つかりませんでした。

 そんな事を数ヶ月しながら私は、艦これを始めていました。紅くんが失踪した時、パソコンに点いたままだった事から調査目的で始めました。自分のアカウントで、自分のパソコンでプレイしています。

 

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 紅くんの失踪の調査は全く進みません。この約半年間、何度も心が折れそうになりましたが、その度に持ち直しています。何度も何度も、動機や失踪原因を考えいます。そんな中に、ある失踪原因が浮上してきてました。ですがそれは、現実味の無いものでした。

『紅くんの失踪した状況を鑑みて、パラレルワールドに行ってしまったのではないか』というものでした。お父さんとお母さんにその趣旨を伝えるも、それはあり得ないと一蹴されてしまいました。ですが、これが何の情報も無かった紅くんの失踪に、最も説明がつきます。

ですので、紅くんの友人に会って話してみました。私が考えついた失踪原因を聞いて貰ったところ、それはないと一刀両断されました。それは当然でしょうね。『パラレルワールド』なんて信じる方がおかしいです。

 一方、警察の方は約半年が経っても、捜査の進展はないようです。全く情報が入って来ないと聞きました。捜査をしている人の電話は、もう5ヶ月以上鳴ってない様です。

捜索願を出したあの時から、何も変わってないと仰ってました。

 

 もし、紅くんが『パラレルワールド』に行っていたらどこの『パラレルワールド』にいるのでしょうか。タイムスリップや場所だけの移動、全く分からない世界等、様々あるでしょう。目星がつきません。そんな事を考えている私はじっと、紅くんのパソコンの画面を見ています。約半年前の、あのままです。

 『パラレルワールド』に関して調べてみました。皆さんは紅くんの失踪先を、『パラレルワールド』だなんて思ってません。ですが、『パラレルワールド』へ消えてしまった具体例はあるんです。それもいくつも。そして、消えてしまった後、帰ってきた人の証言も残っています。それを幻想や夢物語、筋が通らないと言う人は大勢います。確かに、そうなのかもしれません。量子力学、量子物理学、素粒子物理学的観点から見れば、あり得ない事なのかもしれません。ならどうして、『パラレルワールド』に行ってしまった人が大勢いるのでしょうか。

物理法則を信じる事は、正しいことです。ですが、その物理法則を逸脱する事例が起きる事もあるのでは、と私は思います。その例が『運』なのではないでしょうか。1番身近な例だと私は思います。

 

 

 紅くんが消えた『パラレルワールド』が『艦これ』だったなら。そんな風に考える事が増えました。パソコンの画面が点けっぱなしだった、それだけの理由です。

私は前例が無いか、調べますけど勿論、ある訳がありません。

フィクションの小説は数えきれない程あります。ですが、ノンフィクションはひと握りもありません。ある訳がありません。当たり前です。

 私はもう1度、紅くんが失踪した状況を確かめます。

失踪の前夜は確かにいました。私の記憶では午後9時まで、目の前にいました。嘘ではありません。問題は、午後9時から朝までの約10時間です。その間に何があったのでしょうか。

確実なのは、パソコンで艦これをやっていた事です。そして居なくなったのが、朝ではないことです。前者は、部屋で見つけた唯一の手がかりです。後者は、私の予測です。紅くんの性格を、考慮した上での事です。

靴を履かずに出て行った、窓から外に出たとは考えられません。紅くん自身の変調もあり得ないでしょう。精神的な異常でしたら、きっと事前に私かお母さんに知らせているでしょうから。知らせて無かったとしても、それが急に来ることなんてあり得ません。午後9時までに、何か変調がなければなりません。

 結局、私の紅くん捜索は手詰まりになっていました。もし、なんて仮説を立てるばかりです。紅くんのパソコンでログインされたままの艦これの画面を、ただ呆然と眺めているだけです。

右上の資材の数値だけが変わる画面を眺めているだけです。絵が、赤城さんが呼吸をしている様に動き、たまに声を出すだけです。放置ボイスというらしいです。

 そんな画面を眺めていると、ある異変に気付きました。

触ってもないですが、右上にある開発資材とバケツの量が変わっているのです。発見した時は『戦果報告』を見ただけです。それからは、そのままにしておくと決めていたので、増減するはずがないのです。

なのにも関わらず、数字が変動しています。

 

(どうしてでしょうか?)

 

 そう思いながら注視していると、また、開発資材の数字が変わりました。触ってもいないのに、どうしてでしょうか。

艦これはやっているのである程度は分かりますが、開発資材が勝手に増減する事はありません。ですけど、実際に目の前で勝手に増減しているんです。

 

(一体、どうなってるんですか?!)

 

 私は自分のパソコンで確認のために、艦これの開発資材の増減に関する記述を調べました。やはり、勝手に増減はしないみたいです。

 

(何かが起きてるんですね。バグという可能性もありますが……)

 

 何かが起きている事に、間違いはないんです。ですが、原因が分かりません。それが特異的なものかなんて、ひと目見れば分かる事なんです。

 その刹那、紅くんのパソコンの画面が光り始めました。そして、そこに見えたモノが私の目に焼きつきました。

赤城さんは後ろを向き、その正面に立っている白い服の男の人です。こちらを向いているので、顔は分かります。その顔に私は見覚えがあります。いいえ。私が探していた人です。

そうして私は、パソコンの放つ光に包まれていきました。

 

 




 今回で世界から離れて艦これの世界に転移します。
少し変な事を書いてますが、深夜ノリのところもあるのでお気になさらず。

 ご意見ご感想お待ちしてます。

2016/05/14 リメイク版に更新しました

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