ゲッターロボサーガ デレマス版   作:E.T.c

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今回はちょっとしたゲスト登場。何かコレジャナイ感がありますが…。


第8話『新たなる敵、百鬼帝国』

~~~ 格納庫。 整備ドック ~~~

 

プシュゥゥ…

 

晶葉「━━う~…む…」

 

「やっほ~。難しい顔して、またパソコンとにらめっこ?」

 

晶葉「…加蓮。珍しいな。1人か?」

加蓮「ううん。途中まで奈緒と一緒だったけど、あんまり遅いから置いてきちゃった」

晶葉「遅いって、ドコにだ?」

加蓮「んー、麓。今研究所手前の登り坂上がってきてるんじゃない?」

晶葉「麓とは…、車を使えば良いだろう?」

加蓮「いや、いい天気だったし?何かここ来てから、体の調子がいいんだよね~」

晶葉「全く…。付き合わされた奈緒が不憫だな」

 

『晶葉ー。大将見なかったー?』

 

晶葉「ん? いや、こちらには来ていないが…」

 

『ホントー?…んじゃぁドコ行っちゃったんだろうなぁ…』 キュイィィィン…

 

加蓮「…今のビィトに乗ってたのって、リーナ?」

晶葉「あぁ。喜ばしい事に、今ゲッターチーム各員に欠員は出ていないからな」

晶葉「だから、コックピットだけゲッターと同じにしたビィトに乗せて、訓練代わりに整備を手伝わせている」

加蓮「ふぅん…。主任は喜びそうだね」

晶葉「マシンの馬力は役に立つからな。思わぬ補充になっただろう」

加蓮「それで?晶葉は何とにらめっこしてたの?」

晶葉「これか?これは、ゲッター斬の各スペックの数値を洗い直していたところだ」

加蓮「あ、ハンバーガーあるじゃん。一個頂戴」 パクッ

晶葉「別に構わんと言うか、もう食べているのかと言うか…、話を聞く気ないだろ」

加蓮「だって専門的な事は分かんないしー?…ゲッター斬のスペックなんて見て、どうするの?」

晶葉「……。まぁ、今度ゲッター斬を近くの工場に預ける事になってな。それで、先方にデータが見やすいように、整理をな」

加蓮「成る程ねぇ。それってここじゃ出来ないの?」

晶葉「ウチには稼働してるゲッターだけでも3機もいるし、ゲッターGの建造も追い込みだからな。作業員は割きたくない」

加蓮「そう言えば、格納庫は賑やかになったよね。毎日人が動いてる」

晶葉「百鬼帝国とか言う奴等の為に、1日も早く戦力を整えなくてはいけないからな。ネオゲッター、旧ゲッターのオーバーホールも、急ピッチだ」

加蓮「大変なんだ~。あ、ポテトも貰っていい?」

晶葉「お前、意外にマイペースだよな」

 

ウゥゥゥゥ…ン ウゥゥゥゥ…ン…

 

加蓮「ん? 非常警戒のサイレン?」

晶葉「そのようだな…って、それは私のコーラだぞ!」

加蓮「堅い事は言わない言わない。これから出撃かもしれないし…」

 

所員『日本政府からの通達!先頃、日本領空内にて、所属不明の戦闘機を確認。尚、戦闘機とのコンタクトは不能!待機中のゲッターチームに出動要請!!』

 

加蓮「━━ね?」

晶葉「…卯月とかな子は地方ロケで、テスターチームは各々仕事中か」

加蓮「斬チームは、ゲッターが整備中で出撃できないんでしょ?」

晶葉「分かったが…。人のは盗るんじゃない」

加蓮「ごめんっ♪」

 

加蓮「それじゃあ出撃準備に行くね~。そのうち凛も来ると思うし」

晶葉「…おう。帰ってきたらハンバーガーとコーラくらい奢ってやる」

加蓮「ゼロカロリーはヤだよ?」

晶葉「……分かったから早く行け」

加蓮「はいはい♪行ってきまーす!」

 

奈緒「はぁ…はぁ…はぁ……。やっと着いた~…」

 

加蓮「奈緒遅い~。ほら、出撃だよ」

奈緒「はぁ!?何だよ、今来たばっかで、何も分かんないぞ?」

加蓮「いいから。ほら、あんまりのんびりしてると、また凛が来たときに何か言われるよ?」

奈緒「ちょ…!もう何なんだよ!?一息くらい入れさせろーーーッ!!」

 

~~~ 日本上空 ~~~

 

凛 「━━それで?その所属不明の戦闘機とやらの正体は掴めたの?」

晶葉『いや、相変わらずこちらからの応答には反応なし。空自の偵察機が撮影した所属不明機の映像がコレだ』

凛 「コレは…」

晶葉『70年代頃に開発されたジェット戦闘機に酷似しているが…、こんなタイプの機体を採用している国は、存在しない』

凛 「…百鬼帝国か…」

晶葉『可能性は高い。もちろん、アレが戦力の全てではないだろう。向こうにとってもコレは偵察の可能性がある。戦闘は慎重にな』

凛 「手の内はあんまり見せるなって?」

晶葉『向こうが全力を出した時の為に、こっちも温存しておかないとな?』

凛 「……分かったよ」

 

プツンッ

 

奈緒「…踏んだり蹴ったりだよ…。ホント…」

凛 「奈緒、どうかした?少し疲れてるみたいだけど」

奈緒「何でもねぇよ。さ、さっさと仕事終えて帰ろう。明日も仕事あるんだからさ。アイドルの方の」

凛 「? そう…ならいいんだけど」

加蓮「相手は戦闘機なんでしょ~?なら、余裕なんじゃない?」

凛 「分かんないよ。相手が初めて見るタイプである以上、警戒はしておかないと」

 

前方に所属不明機の機影が見える。

 

凛 「……取り敢えず、ネオゲッター2で行くよ」

奈緒「えっ?良いのかよ。こっちの手の内は見せない方針で行くんじゃなかったのか?」

凛 「あんな偵察機崩れくらい、さっと倒せるでしょ」

奈緒「…しゃーない!やってやりますか!」

 

気合いを入れ直して、フォーメーションを組み直す。

 

奈緒「ゲッターチェンジ!!」

 

ネオゲッター2に合体すると同時に、所属不明機が散開する。

 

奈緒「来るかぁ…?そっちから来るんなら、容赦しないぞ!」

 

機首を反転させ、ネオゲッター2に向かってきた1機に狙いを定める。

 

奈緒「こっちの方が早いんだよ!」 ドシュゥッ

 

右腕に左腕を添えて、ドリルアームガンを撃ち放つ。

 

所蔵不明機『!?!?!?』

奈緒「へへっ!コイツら、全然大した事ないじゃん!」

 

1機撃墜した、ネオゲッター2の背後を、接近したもう1機の所属不明機が機銃で攻撃する。

 

奈緒「そんな豆鉄砲が効くかよ!」 ドシュッ

所属不明機『!?!?!?』

所属不明機『!!』

奈緒「そこぉ!!」 ドウッ

奈緒「おりゃぁ!」 ドドドッ

 

クルクルと回転するように動きながら、迫り来る敵を次々に撃破していく。

 

奈緒「後1機!フフン!気分はニュータイプって感じだな」

凛 「調子に乗らない。ほら、最後のが来るよ!」

 

所属不明機『!!』 バシュッ

 

奈緒「何だよそんな攻撃!」 ヒョイ

加蓮「あ、そっちは…」

 

ネオゲッター2がヒラリと躱したミサイルが、その先にあった高速道路を破壊する。

 

奈緒「…あっちゃぁ~…」

凛 「走ってる車がいなくて良かったね」

奈緒「な、何で下にあるって教えてくれなかったんだよ!?」

凛 「普通回りを見ながら戦うもんでしょ?」

加蓮「あ~ぁ、コレはまた、公共事業費がかさんで国会で問題になるね…」

奈緒「何言ってんだよ!」

凛 「また税金が上がるよ?それでもいいの?」

奈緒「うぅ…。畜生~~!」 グワッ

 

右腕のドリルを一杯に回転させ、所属不明機に迫る。

 

加蓮「八つ当たりだ」

奈緒「うるせぇ!━━こんにゃろっ!」 ギャルンッ

 

ドリルアームが、所属不明機を砕き、辺りは静けさを取り戻す。

 

奈緒「はぁ…はぁ…はぁ……」

加蓮「お疲れ~奈緒。戦闘はこれで終わり?」

凛 「一応、報告を受けたのは5機だったし、周囲に敵らしい反応も見られないから…。これで終わりだね」

加蓮「了解了解~。それじゃあ道路の再建は道路工事の専門家に任せるとして、アタシらは帰りますか」

奈緒「あぁ…」

加蓮「まだ気にしてるの?奈緒のお陰でネオゲッターの損傷は少なくてすんだんだし、結果オーライだって」

奈緒「対価デカ過ぎだろ…」

加蓮「人的被害が出てないし、いーんじゃない?高速使って移動する人には、ちょっと迷惑かもだけど」

凛 「ん?そう言えば…この道路…。こっち方向って確か…━━」

 

~~~ 某県市街地 ビジネスホテル内 ~~~

 

卯月「本当にありがとうございます!凛ちゃん達のお陰で、助かっちゃいました!」

かな子「ロケが終わって帰る途中、帰りの高速道路が敵襲で壊されたって聞いて、どうしようってプロデューサーも頭を抱えてたんです」

卯月「それを凛ちゃん達がホテルの手配とか素早くやってくれて…」

凛 「その事はいいよ。半分以上、こっちの責任みたいな所はあるし」

晶葉「それに、ここには元々宿泊する予定だったからな。大した苦労はなかったさ」

美穂「あの~…。本当に良かったんですか?晶葉ちゃん達は…」

晶葉「何、これから行く工場に事情を話して、夜勤の者が使う休憩室を貸してもらえることのなった」

晶葉「私はそっちを使う。どうせ作業員と一緒に作業しなくてははならないんだ。そっちの方が都合がいい」

 

響子「あ、プロデューサーさん!」

新P「おう」

智絵里「それで…、あの、皆さんのご家族に連絡…着いたんですか?」

新P「あぁ。一先ず、事故でお前らが帰れなくなった事と、何日か娘さんを預かる事に関しては、了承をもらってきたよ」

美穂「何日…。そんなに掛かるんですか?」

新P「高速が破壊された影響でな…。下の国道の方は車でごった返してるぞ」

新P「車の量がいきなり増えた影響で、事故とかも起きてるみてぇだし、マトモに通れるようになるには、2、3日は掛かるな」

卯月「そんなに…」

凛 (奈緒は連れてこなくて正解だったかな…)

かな子「私達はここで足止めになるんですね…」

新P「ん。ま、なっちまったもんは仕方ねぇし、何とかって敵共のせいにしといて、お前らは仕事の疲れを休めてくれ」

新P「ちょっと落ち着かねぇと思うがな」

卯月「はい。プロデューサーは…?」

新P「幸いパソコンは持ち歩いてるからな。事務所から書類をデータで貰って、仕事する事は出来る」

響子「こんな非常事態なのに、大変ですね」

新P「俺にとっちゃ嬉しい悲鳴みたいなもんよ。お前らが売れてきた証拠だからな」

かな子「そう言えば、李衣菜ちゃんもCDが出たんでしたっけ?」

新P「あぁ、やる気はあるし、見た目も歌も運動能力も悪くねぇ。全く、いい拾いもんさせてもらったよ」

凛 「いや、そんな感謝されることは何も…」

新P「そういや李衣菜か…。アイツどうすっかな…。俺が直接見れない以上現場の移動とか……チクショ」

 

新P「俺は事務所の連中と電話で話してくる。お前ら、外出は好きにしていいが、何が起こるか分からねぇ。必ずまとまって行動しろよ!」 タタッ

美穂「はいっ!…ってもう行っちゃった…」

卯月「忙しそうですね…。ちゃんと休めているんでしょうか…?」

響子「今度、みんなで何かお礼しませんか?」

かな子「良いですね!手作りのお菓子をプレゼントするとか…」

智絵里「私、プロデューサーに感謝したい事…、たくさん、あります…」

 

凛 「…それじゃあ晶葉、私はそろそろ行くよ」

晶葉「うむ。気を付けてな」

卯月「あれ?凛ちゃん帰っちゃうんですか?」

凛 「うん。百鬼帝国が動き出したんだ。早く戻って警戒と準備をしなくちゃ」

かな子「あの、私達も一緒に…」

凛 「卯月達はこっちに残って。その方が、みんな心強い」

卯月「それは…。…分かりました。気を付けて下さいね」

凛 「うん。二人も。それじゃ」 スタスタ

 

晶葉「さてと、お前達、これからどうする?」

卯月「これから…ですか…?……どうしましょう?」

響子「そうですね…。こんな事になるなんて、誰も思いませんでしたから…」

美穂「プロデューサーは外出してもいいって言ってたけど…」

智絵里「この街の事、あんまり詳しくないし、プロデューサーさんの言っていたとおり、何か起こったら…」

かな子「でも、気分転換は必要ですよ?」

晶葉「そうか…。確かに今日はもう遅いしな。しかし…」

卯月「? 晶葉ちゃん、何か提案があるんですか?」

晶葉「もしお前達が良ければ、だが、明日工場見学でもしないか?」

 

5人「「「工場見学?」」」

 

━━ 翌日。市街地

 

卯月「へぇ~…。神重工業、ですかぁ~」

晶葉「そうだ。国内シェア90%。日本自衛隊はもちろん、民間にも普及しているBT‐23の整備、開発を一手に引き受ける重機メーカーだ」

晶葉「日本国内での大型ロボの普及は、この神重工業が皮切りになったと言っても過言ではないな」

かな子「大企業なんですね…。元からロボットの開発をしてたんですか?」

晶葉「いや、元は作業機械の製造会社だったらしい。神重工業の体制が現在の形になったのは、今の社長に代替わりしてかららしい」

響子「と言うより、ホントに私達まで一緒に来ちゃって良かったんですか?部外者なんじゃ…」

晶葉「心配はいらない。お前達には、いつも卯月達を借りてしまって申し訳ないと思っているからな」

晶葉「こんな事で、そのお返しになるとは思っていないが…」

智絵里「そんな…、借りているなんて、そんな事…。卯月ちゃん達は、ホントに立派なお仕事をしているだけで…」

美穂「智絵里ちゃんの言うとおりですよ!それにこうして、全く一緒にお仕事出来ないって訳でもないですし…」

美穂「私なんて…ドジだし、体力もある方じゃないですから、卯月ちゃん達ホントにスゴいなっていつも尊敬してるくらいで…」

卯月「尊敬なんて…。美穂ちゃんだって、毎日レッスン頑張ってるじゃないですか!」

響子「そーですよ!この前なんて、苦手だったステップを克服して、トレーナーさんに誉められてたじゃないですか!」

美穂「それは…そうだけど…。まだまだ出来ないことも多いし、私なんて全然…」

晶葉「やれやれ、外野の私が口を挟むのもアレだが、もう少し自信を持った方がいいんじゃないか?」

美穂「うぅ…」

智絵里「あ、あの…!私も、いつも美穂ちゃんにレッスン、分からないところ教えてもらったり、一緒にお話したり、いつも元気もらってます…!」

智絵里「だから、あの…あんまり気落ちしないで下さい!み、美穂ちゃんは…私のあ…憧れ、ですから…!」

美穂「智絵里ちゃん…」

 

晶葉「さてと、それではここから、中に入るぞ。廊下から工場内を見るだけだが、工場と通路の間にはガラス1枚しかないからな。一応、騒音には注意してくれ」

晶葉「後、工場内には何かとあるからな。場内の撮影も遠慮してくれよ」

 

5人「「「はい(!)」」」

 

晶葉「よし、それでは行こうか」

 

━━ 神重工業内。

 

響子「━━!」

智絵里「うぅ…」

美穂「そ、外からだとそうでもなかったけど、中に入るとやっぱりスゴい音ですね…」

卯月「そうですか?私達がいつも研究所で聞いてるのと、あまり変わらないような…」

かな子「ちょっと研究所よりも騒々しいくらいですよね…。やっぱり研究所の格納庫よりずっと大きいですから」

晶葉「元々あそこは軍の施設でも、整備工場でもないからな」

響子「早乙女研究所って、宇宙線の研究施設でしたよね?」

晶葉「そうだ。宇宙から降り注ぐ未知の宇宙線、ゲッター線についての調査と究明を目的としている。時々忘れられるが」

卯月「今ではゲッターロボが4機もありますからね」

美穂「自衛隊の人達より戦力があるような…」

晶葉「現状、ゲッター線をエネルギー変換し、ロボットの動力源として運用しているのは早乙女研究所だけだしな。その気になれば、世界征服だって出来るんじゃないか?」

智絵里「せ、世界征服……?!」

晶葉「もちろん、そんな事の為にゲッター線を使うつもりはないがな」

響子「へぇ…。やっぱり研究者っていうだけあって、考えもしっかりしてるんですね」

晶葉「…一応言っておくが、私はお前達と同じアイドルだぞ?」

智絵里「え……」

響子「えぇ~!?」

晶葉「そんなに驚くかな」

響子「えっ、だっていつも白衣着てるし…、事務所で見たこと全然ないし…え?本当に?」

かな子「本当らしいですよ?私もはじめて聞かされた時はビックリしましたけど…」

智絵里「私も、ちょっとビックリしました…」

美穂「私も…。てっきり研究所のお手伝いさんなのかと…」

晶葉「揃いも揃って…。まぁ、今はアイドル活動は休止状態だから、致し方あるまい」

卯月「でも、レッスンくらいはした方がいいと思いますよ?研究所にも、待機中の時の為に、簡易レッスンルームがあるんですから」

晶葉「う、うむ…。善処する」

響子(あ…。これ結局やらないパターンですね…)

晶葉「……さ、さぁ先へ進もう」

かな子(話題を反らしましたね…)

美穂「…それにしても、スゴい数作ってるんですね」

晶葉「あぁ、日本国内での需要はそう多くないが、それでも1日に300機ほど製造されている」

かな子「やっぱり、自衛隊に行くものが多いんですね」

智絵里「ホントですね…。あれにも、あっちのにも…自衛隊のマーク…」

晶葉「百鬼帝国の襲来を受け、日本国内でも再軍備が決定したからな」

晶葉「今はドコも、恐竜帝国との戦いで"手"が足りん」

響子「ビィトだけで、足りるんですか?」

晶葉「無論戦力は微々たるものさ。しかし、日本での戦闘用スーパーロボットの開発は制限されているからな」

晶葉「ゲッターロボだけが、特別例外なんだよ」

かな子「私達が頑張らなくちゃいけないって事ですよね…!」

晶葉「うむ。今は数が用意できないが、ゲッターの量産計画も軌道に乗りつつある。それまでなんとか…。すまんな」

卯月「そんな謝らないで下さい!選ばれたっていうのは偶然ですけど…、やるって決めたのは、私達ですから!」

美穂「……」

晶葉「そう言ってもらえるとありがたい━━っと、着いたな」

卯月「ここは?」

晶葉「ここは、我々早乙女研究所協力してもらう為に作ってもらった仮設整備場だ」

かな子「仮設…ですか…?」

晶葉「ゲッターのサイズでは、例えゲットマシンでもビィト用のドックには収まりきらないからな」

晶葉「私達は屋外でも構わないと言ったのだが、先方がそれでは預かる意味がない、と言われてな」

響子「何て言うか、スゴい協力的なんですね?」

晶葉「お陰で、万全な状態でゲッターを整備出来るが…。ここには現在預けているゲッター斬と、それ以前に預けていたものがもう1機ある」

卯月「もう1機、ですか?」

晶葉「それを、改修が始まる前に見せておこうと思ってな。特にお前には馴染みが深いはずだ」

卯月「私に…?何だろう…」

晶葉「まぁ、見てからのお楽しみという事で、早速中に入ろう」

 

ガチャッ

 

━━ 仮設整備場。

 

美穂「━━…これって…」

智絵里「白い…ゲッターロボ、ですか…?」

かな子「コレは…、私もはじめて見ました。卯月ちゃん、コレって…」

卯月「プロトゲッターですね!」

かな子「プロトゲッター?」

晶葉「ゲッターロボの試作機。分かりやすく言えば、お前の乗っているネオゲッターやゲッター斬の、お爺ちゃんみたいなものだよ」

かな子「へぇ~…。そんなゲッターが…」

卯月「研究所で見なかったので、廃棄されちゃったのかと…」

晶葉「まさか。恐竜帝国との決戦の時に活躍したコイツには、まだまだ戦える力が残っているさ」

晶葉「ただ、これから激化する戦いには、力不足なのは間違いない。そんなところに神重工業から改修作業をウチでやりたいって言う連絡を受けたのさ」

卯月「それで、ずっとここに預けているんですか…」

晶葉「先日、本格的な改修用の設計図案が出来たと聞いてな。折角だし、この姿を知る者に最後見てもらおうと、な」

卯月「そうですか…。プロトゲッターが…」

かな子「卯月ちゃんにとっても、思い入れのあるゲッターなんですか?」

卯月「はい…。プロトゲッターには、色んなピンチを助けてもらいましたから」

晶葉「モニター越しによく見ていたから、自分が乗っていたゲッターより覚えているんじゃないか?」

卯月「ふふっ、そうかもしれません」

 

「━━晶葉さん?」

 

晶葉「ん?あぁ、これは…山崎さん。整備場の視察ですか?」

「はい。出張中の社長に代わって…。そちらの方々が昨日言っていた?」

晶葉「はい。アイドルグループ『ピンク・チェック・スクール』のと、後輩のアイドル達です」

響子&美穂&智絵里&かな子「「「は、はじめまして…!」」」

卯月「はじめまして!えっと、晶葉ちゃん。この人は…?」

晶葉「あぁ、紹介がまだだったな。この人は━━」

山崎「はじめまして。社長秘書をしている、山崎です」

卯月「社長の秘書さんだったんですか~…。私は…」

山崎「島村卯月さん。それにそっちの子が、三村かな子さん。二人の活躍は、よく耳にします。もちろん、両方の意味でね」

卯月「ありがとうございます♪」

かな子「あ、ありがとうございますっ!」

晶葉「ゲッター斬の調子はどうですか?それと、コイツ(プロトゲッター)の調子も」

山崎「どちらも良好ですよ。特にプロトゲッターの方は、晶葉さんが来てくれたお陰で格段に作業ペースが速まりました」

山崎「流石に、ゲッター線については私共の方ではノウハウ不足だったので、とても助かります」

晶葉「早乙女博士の研究レポートを参考にしたまでです。私のした事なんてほとんどありませんよ」

山崎「ご謙遜を。聞けばあのゲッターロボ斬は、晶葉さんが基本設計をなさったそうで。ご自身の実力の賜物でもあるでしょう?」

晶葉「そんな事は…あるのかな?アハハハッ!」

 

響子「何だか、年下とは思えませんね。晶葉ちゃん」

智絵里「年上の人にも、あんな堂々と話してて……。私なんか、同い年の人でも、初対面の人とはムリなのに…」

卯月「晶葉ちゃんは、普段から早乙女博士や整備主任さんみたいな大人の人に囲まれているので…、特別だと思いますよ」

かな子「それにしても、あの山崎さんって人、スゴいですね…」

かな子「社長の代わりに、工場の視察をして、仕事内容までしっかり頭に入ってるなんて…」

山崎「みな、毎日している事です。特別な事ではありませんよ」

かな子「や、山崎さん…!?」

山崎「それに、部下の目線に立って、と言うのは、社長の理念でもありますから。現場の空気を知らなければ、社員が望むものも分かりません」

卯月「社員一人一人が、大切な仲間みたいなもの、ですか?」

山崎「仲間、というよりは、家族…ですね。世知辛い話ですが、会社が利益を得る為にも、社員はかけがえのない存在ですから」

美穂「家族…」

山崎「えぇ。優秀であっても、そうでなくとも。社の営業に関わる、大切な人達ですから」

響子「何か良いですね…。私、感激しちゃいました!」

山崎「ふふっ、有難う御座います」

山崎「さて、それではここからは私が、皆さんを案内しますね?」

卯月「え?晶葉ちゃんは…」

晶葉「すまんな。連れてきて申し訳ないが、ゲッター斬の調整を手伝わなければ」

かな子「成る程…。でも、迷惑じゃないですか?」

響子「山崎さんもお忙しいんじゃ…?」

山崎「いえ。先程もお話ししたとおり、今は視察の途中です。迷惑などにはなりませんよ」

かな子「そうなんですか?それじゃあ…」

卯月「はいっ。よろしくお願いします♪」

4人「「「お願いします!」」」

山崎「ふふっ。こちらこそ。それでは、ビィトの整備ドックの方から行きましょうか?」

 

━━。

 

~~~ 百鬼要塞 ~~~

 

ヒドラー「ブライ様。偵察に出ました偵察部隊ですが、どうやら全滅したようです」

ブライ「━━そうか。それで?肝心の情報は掴めたのか?」

ヒドラー「はい…。それが、連中はネオゲッターロボのみが出撃し、1つの武装のみで我が方の戦闘機を撃破したと…」

ブライ「あくまで手の内は見せん、と。フフフッ…。小賢しい連中だ」

ヒドラー「私もそれに同意いたします。どうせ我らに殲滅される命…。人間共には潔さと言うものはないようですな」

ブライ「……。グラー、グラー博士はいるか?」

グラー「こちらに。ブライ様」

ブライ「お前の開発した百鬼メカの調子はどうだ?」

グラー「はっ。準備は万端。何時でも人間共に総攻撃を仕掛ける事は可能です」

ヒドラー「では直ぐに打って出ましょう、ブライ様。人間如きに遅れを取るわけにはいきませぬ!」

ブライ「逸るな。まずは忌むべきゲッターロボ。奴等を滅ぼさん事には始まらん」

ヒドラー「はっ…。しかし…、お言葉ですが…ブライ様がそこまでゲッターに執着される理由が分かりませんが…」

ブライ「お前が知る必要はない。ただ、これから我らが覇道を進むのに、障害となる。それだけを分かっていれば良い」

ヒドラー「は……はっ!失礼しました!」

ブライ「それに、我々が簡単に殲滅させてしまってはつまらんだろう?ショーは始まったばかりなのだ。先ずは楽しまなければ」 スッ

 

ブライ「━━我が百鬼帝国の栄えある百鬼衆共よっ!」

 

ブライ「遂にゲッター線の使者、ゲッターロボとのショーをはじめる時が来た!」

ブライ「その戦いの先鋒…。我こそはという者はいるか!我こそはこの百鬼の長、ブライにゲッターロボの首級を捧げ、永劫の名誉と英雄の称号を獲るに相応しいと思う者は名乗りを上げぇぇいいっ!!」

 

「それなら俺が行くぜぃ!」

 

ブライ「……ほう、一角鬼。貴様か」

一角鬼「応ッ!先鋒とあっちゃ黙ってられねぇ!ブライ様、その大役…是非この一角鬼に!!」

ブライ「…うむ。百鬼衆の一番槍と謳われる一角鬼ならば、この役、適任であろう。やってみせぃ!」

一角鬼「へへっ…!ゲッターロボの首を必ずやブライ様の元に…百鬼、ブラァァァアアイッ!!」

 

百鬼衆「「「百鬼、ブラァァァアアイッ!!」」」

 

ブライ「フフフッ…」

 

━━ 百鬼要塞 通路

 

「━━…一角鬼」

 

一角鬼「ぁん?何でぇ、鉄甲鬼かよ。野郎の見送りなんざ要らねぇぜ」

鉄甲鬼「女が来ないのはお前の日頃の行いだろう。昨日も呑んで暴れたそうじゃないか」

一角鬼「…チッ。耳の早ぇ奴。ありゃ俺のせいじゃなくってな、半月鬼が挑発したのが悪ぃんだよ」

鉄甲鬼「乗ったのはお前だろう?胡蝶鬼がまたぼやいていた」

一角鬼「そうかよ。で、まさか世間話をする為に引き留めた訳じゃねぇんだろ?」

鉄甲鬼「……」

一角鬼「出番代わってほしいってんなら聴けないぜ?先鋒の大役は、この一角鬼様が拝命したんだからな」

鉄甲鬼「それについては、俺も納得している。こちらとしても異はない」

鉄甲鬼「だが、しくじりは許されない前哨戦だ。…油断するなよ?」

一角鬼「応!優しい事で、俺の心配か?涙が出てくるぜぃ…!」

一角鬼「心配しなくても人間相手だ。下手打ったって負けやしねぇ。俺が遅れなど、取るまいよ!」

鉄甲鬼「…だといいのだがな……」

一角鬼「ハンッ!お前はここで指でもくわえて、俺の活躍を目に焼き付けてくれりゃぁそれでいいんだよ!!」

鉄甲鬼「……。分かった。旨い酒を用意して待っている。必ず帰ってこいよ」

一角鬼「それこそ要らねぇ心配だ!ちょっくら一暴れしてくらぁ!待ってろよ、人間共!!」

 

~~~ 市街地 ~~~

 

早朝の市街地をけたたましい破壊音が揺るがす。

 

━━ホテル 一室。

 

卯月「ふわっ……。地震ですか…?」

かな子「う、卯月ちゃん!そんな呑気なこと言ってる場合じゃ…!」

卯月「あ…。かな子ちゃん。おはようございまふ…━━」

かな子「おはようございます…って、だからそんな呑気なこと言ってる場合じゃないんですって!また寝ないで下さい~!」

卯月「うぅ…ん…あと5分……」

かな子「あと5分待ってたら死んじゃいますよ!━━敵襲ですっ!」

卯月「ふぇ…。て…敵襲!?」

かな子「窓の外を見てください!」

卯月「っ!!」 ガバッ

 

窓に外から見える市街地では、頭に1本角を生やした体躯のいいロボットが暴れ回っている。

 

卯月「アレが…百鬼帝国のロボット…?」

かな子「今プロデューサーさんが美穂ちゃん達の確認に行ってて…。あとは卯月ちゃんだけです!早く避難しましょう!」

卯月「うわぁ待ってください!寝癖が…」

かな子「命と髪の毛、どっちが大切なんですか!?」

卯月「それは…、もちろん髪の毛です!」

かな子「……。3分…3分だけですからね!」

卯月「はいっ!急いで準備しちゃいますから!」

 

━━ 1F ロビー。

 

卯月&かな子「「お待たせしました!!」」

新P「遅ぇぞ!」

卯月「すいません!!」

かな子「私達以外は、みんな避難出来たんですか?」

新P「あぁ。俺達も急ぐぞ。あのデカブツが何時こっちに向かって来るか…」

智絵里「うぅ……」

美穂「智絵里ちゃん!きっと大丈夫だから、避難所まで頑張ろう?」

智絵里「美穂ちゃん…」

新P「おい!お前らもなにやってんだ行くぞ!!」

響子「あ、待ってください!プロデューサー!…━━」

 

直ぐ近くで破壊音が響き、百鬼帝国のロボットがビルの隙間から姿を見せる。

 

響子「きゃあ!!」

新P「五十嵐っ!大丈夫か!?」

響子「私は大丈夫です!美穂ちゃんと智絵里ちゃんは…」

美穂「私は大丈夫です!」

智絵里「ひぅ……っ」

響子「智絵里ちゃん!どうしたの!?」

智絵里「い…いや……っ…。助けて……動けません……」

美穂「智絵里ちゃん!しっかり!」

新P「どうした!?」

響子「智絵里ちゃんが…動けなくなっちゃって…!」

新P「んだと!?待ってろ!直ぐ行く!!」

 

一角鬼「がはははっ!ゲッターはまだかよ?こんなんじゃ、この辺が廃墟になっちまうぜ」

 

卯月「うぅ…。ゲッターがあれば…」

かな子「ネオゲッターは…凛ちゃん達はまだですか!?」

 

一角鬼「おらよぉ!!」

 

卯月&かな子「「!?」」

 

ロボットの右腕が、ビルを破壊するために振るい上げられる。

 

ガキィィンッ

 

卯月「━━…?あれ…?」

かな子「見てください!アレって…」

卯月「プロトゲッター!!」

 

プロトゲッターが、ロボットを羽交い締めにしている。

 

一角鬼「コイツ…!?」

『ふふっ。間一髪だったな』

 

卯月「その声…晶葉ちゃんが動かしてるんですか?」

晶葉『そのとおりだ。っ!!』

 

力任せに、ロボットを押し倒す。

 

一角鬼「ぐわぁっ!」

晶葉『やはり工場に泊まらせてもらって正解だったな…』

卯月「ゲッター斬はどうしたんですか?」

晶葉『茜とアーニャの準備に時間が掛かる。こっちの方が早かったのさ!』

かな子「晶葉ちゃん!敵が起きます!」

 

一角鬼「ふ…フフフ…!聞いてたのと色が違うが…。会いたかったぜぇ…ゲッターロボ!」

晶葉「百鬼帝国…。プロトゲッターとはいえ、これ以上の勝手は黙ってられんぞ!」

一角鬼「フフ!やはりこの街にゲッターがあるって言う情報は正しかったみてぇだな!」

晶葉「何…?こっちの情報を把握しているだと?どうやって仕入れたかは知らんが…!」

晶葉「ゲッタートマホーク!!」

 

プロトゲッターがトマホークを構える。

 

晶葉「聞いても答えてはくれんだろうしな!」

 

プロトゲッターがロボット、メカ一角鬼に肉薄。

 

晶葉「くらえっ!」

 

大上段に、トマホークを振り下ろす。

 

ガキンッ

 

晶葉「何っ!?」

一角鬼「…おう。こんなもんか?」

晶葉「コイツ…ゲッタートマホークを片手で…」

一角鬼「こんなもんかよぉゲッターロボ!!」

 

受け止めたゲッタートマホークをそのまま、片手でプロトゲッターを放り投げる。

 

晶葉「ぐわぁぁ…!!」

一角鬼「つまんねぇ…。つまんねぇぞ!こんなもんじゃねぇだろ!?ゲッターロボよぉ!!」

晶葉「っ…!」

 

智絵里「いやぁぁ!!」

新P「緒方!ちゃんと立たねぇとホントに死んじまうぞ!」

智絵里「死…。死ぬ…?いやぁ!!」

響子「もうっ!プロデューサー!余計なこと言わないでください!」

新P「わ、悪い…」

美穂「い、急がないと…!さっきの衝撃で…天井が崩れそう…!」

新P「分かってるよ!ほら、立て!緒方!」

智絵里「いや…!いやっ!いやぁぁ!!」

響子「ダメ…!恐怖で混乱してるみたい…」

美穂「……」

 

美穂「智絵里ちゃんっ!!」

智絵里「!!」

響子「美穂…ちゃん…?」

美穂「怖いのはみんな一緒だよ?私だって怖いもん。ほら…」 ギュッ

智絵里「美穂、ちゃん…。手…震えて…」

美穂「ね?でも、こうやって手を繋げば…。えいっ」

智絵里「あっ…」

美穂「うんっ。立てたね」

響子「美穂ちゃん、スゴいです!」

 

ピシッ ピシッ

 

美穂「ぁ…」

智絵里「み、美穂ちゃん…。ありが…━━」

美穂「智絵里ちゃんっ!!」 ドンッ

智絵里「え……?」

 

勢いよく、プロデューサーに向かって智絵里を押し出す。

 

ズ シャ ァ ッ…

 

一瞬の出来事だった。

 

智絵里「え…え……?」

 

視界一杯に崩れ落ちた瓦礫が広がる

 

新P「小日向……」

響子「ぃ…いやぁぁぁぁぁあああ━━!!」

 

かな子「う…そ……」

卯月「━━っ!!……」

かな子「卯月ちゃん?」

 

卯月「私と代わってください!晶葉ちゃん!」

晶葉「卯月!?━━…ぐぅ…!?」

 

メカ一角鬼に蹴飛ばされ、ビルに崩れ掛かる。

 

卯月「私がプロトゲッターに乗ります!!」

晶葉「卯月が…?……そうか…。頼む」

 

晶葉「ゲッタービーム!!」

一角鬼「のわっ!?」

 

メカ一角鬼にゲッタービームを撃ち、怯ませて時間を作る。

その隙に卯月をプロトゲッターの手に乗せ、口部のコックピットへ。

 

卯月「晶葉ちゃん!?怪我してるじゃないですか!?」

晶葉「こんなもの…掠り傷にもならんよ。…後を頼む」

卯月「はいっ!任せてください!」

 

卯月と入れ替わり、晶葉はゲッターの手から、地上へ。

 

一角鬼「ハンッ!選手交替ってかぁ?今度の奴は楽しませてくれんだろうな?」

卯月「戦いを楽しむ人…!貴方だけは許しませんっ!」

 

勢いよく操縦桿を倒し、メカ一角鬼へプロトゲッターを突貫させる。

 

一角鬼「うおっ!?…へへっ、中々のタックルだな。さっきの奴よりは、好感触だぜ!」

卯月「~~~っ!!」

一角鬼「おっと!?」

 

メカ一角鬼の懐に、プロトゲッターを深く潜り込ませ、股下に入れた足を突っ張り、背負い投げの要領で持ち上げ、投げ飛ばす。

 

一角鬼「ぐはぁ!!」

卯月「はぁ…はぁ……」

卯月(柔道の授業、真面目に聞いてて良かった…)

 

晶葉「つっ…!派手にやってくれるな…。卯月は…!」

かな子「晶葉ちゃん、ここは危険です!一緒に避難しましょう!」

晶葉「いや、私は金剛号の元へ向かう。そろそろ準備が出来たはずだ」

かな子「分かりました。…無理だけは…しないでくださいね」

 

かな子「皆さん!早くいきましょう!」

響子「…で、でも…、美穂ちゃんが…」

かな子「大丈夫です!きっと無事で…、誰かに助けられてます!」

響子「そんな保証…どこにも……。さ、探してあげないと…!」

新P「…かな子の言うとおりだな。行くぞ」

響子「プロデューサーさん!?美穂ちゃんを…見捨てろって言うんですか!?」

新P「バカ野郎っ!!死にてぇのか!お前ぇは!!」

響子「っ!」

新P「…誰も見捨てろなんて言わねぇよ。だがな、お前がここに残って、何かあって、それで悲しむのは誰だ?」

響子「……。…お父さん…お母さん…」

新P「まだ悲しませちゃいけねぇ奴が山ほどいんだろ?なら、そいつらの為に、死に急ぐような選択はしちゃいけねぇ」

響子「ヒック…。ッン…グスッ」

新P「泣いてんじゃねぇよ。何、あいつは図太い九州女だ。そう簡単にゃくたばんねぇよ」

響子「…プロデューサーさぁん……」

新P「だから五十嵐も、今は自分が生きる事だけを考えろ」

響子「…グスッ…。……はいっ!」

新P「よしっ!緒方!お前も動けるか!?」

智絵里「…あ…あぁ……」

新P「……。俺が担いで行くしかねぇか…。三村、手ぇ貸してくれ」

かな子「は、はいっ!」

 

晶葉「━━さてと、私も急がなくては…!」

 

キィッ バタンッ

 

「ひょっとして、池袋博士かな?」

晶葉「…私を博士と…━━貴方は…」

「もし急ぐのなら、コイツに一緒に乗っていかないか?少々、珍しい拾い物もしたしな」

晶葉「拾い物…?」

「あぁ。その処遇についても、君と相談したい。一緒に来てくれるかな?池袋博士」

 

━━━━。

 

(━━…ん……。私…生きてる?)

 

美穂(体が揺れて……車の中…?でも、どうして…)

 

美穂「━━う~…ん……。ん…ここは…?」

「気が付いたか?ここは、私の私用の車内だ」

美穂「車内…?どうして…?確か私…、ホテルに…」

「確かに、君はホテルの近く、道路のど真ん中に倒れていた」

美穂「道路の真ん中…。どうしてそんなところに…?」

「さぁな。お前さんが言っていたホテル…。正確にはホテルの残骸だったが、アレは酷い壊れ具合だった…」

「瓦礫が落ちてくる衝撃で、道路まで飛ばされてきたんじゃないか?…だとすれば、とんでもない強運か、悪運の持ち主になるが」

美穂「私を…助けてくれたんですか?」

「フッ…。それはどうかな?君がアイドルだと言う事を知っていて、身代金目的で誘拐したかもしれんぞ?」

美穂「ッ!?」

晶葉「その心配はいらない」

美穂「え…!?晶葉…ちゃん…!?」

晶葉「この人は昨日行った神重工業の社長だ。その点は、心配いらんよ」

美穂「しゃ、社長さん…?」

社長「フフッ…。ネタばらしが早過ぎやしないか?」

晶葉「生憎、追い詰められている者をからかう趣味はなくてな」

社長「そういきり立つな。確かに悪趣味だったかもしれんが、緊張している時にリラックスさせるもの大事な事だ」

晶葉「そうかもしれないが…。なぜ美穂まで工場に連れていく必要がある」

社長「君達から預かっているゲットマシンの無事を確認するのが最優先だ。シェルターに寄っている時間はなくてな」

晶葉「本当にそれだけか?貴方の口調からは、それ以外の"裏"を感じる」

社長「そこまで分かっているのなら、答えはもう君の中で出ているんじゃないのか?池袋博士?」

晶葉「……」

美穂「あ、あの~…。喧嘩は…」

晶葉「美穂はゲッターには乗せんぞ」

美穂「!?」

社長「何故、それを君が決めるのかな?」

晶葉「本人の意志だ!!貴方にはそれが分からないのか!?」

美穂「……」

晶葉「確かに、美穂にはゲッター線への適正があった!しかし、本人がゲッターに乗る事を拒絶した!」

社長「では、君が乗って動かす、か?」

晶葉「無論だ」

社長「その折れた右腕を庇って、か?」

美穂「え…?」

晶葉「…っ」

社長「どれだけ自然に振る舞っていても分かる。君はさっきプロトゲッターに乗って戦っていた。それはその時に出来たものだろう?」

美穂「晶葉ちゃん…」

晶葉「こんなもの…怪我の内に入らんさ」

社長「私から言わせれば、怪我をしている者をロボットに乗せて戦わせようとする方が、残酷だと思うが?」

晶葉「だが、戦いには強い意思が必要になる。戦う意思のない者を、ゲッターには乗せられない!」

社長「それを決めるのは、本人だとは思わないか?なぁ、小日向美穂くん?」

美穂「…1つだけ、いいですか?」

社長「何だ?」

美穂「貴方は一体…、何者なんですか?」

社長「私…私か。そんなもの、決まっている」

 

社長「私は、これから先、お前に地獄を見せる男だ」

 

美穂「地獄…」

社長「さぁどうする!?仲間と共に地獄へ落ちるか、自分一人が安全な所で助かるか!」

美穂「私は……」

晶葉「脅しに屈するな!自分の意志を持て!美穂っ!!」

美穂「!? 私…私は……っ!」

 

━━。

 

卯月「ゲッター!ミサイルマシンガン!!」

 

ドウドウドウドウドウッ

 

一角鬼「こんな豆鉄砲が…効くかぁ~~!!」

卯月「っ!やっぱり、プロトゲッターだけだと…!」

 

バラララララッ

 

一角鬼「!? 何だ!?」

卯月「アレは…烈火号に、紫電号!!」

 

茜 「卯月さ~~~ん!!お待たせしましたぁ!!」

アーニャ「金剛号の準備は、まだ…ですけどここからはワタシ達が援護、します!!」

一角鬼「ハンッ!カトンボ風情が…!何が出来る!?」

 

メカ一角鬼の角の先端から、青白いビームが放たれる。

 

茜 「うわっと!!カトンボとは失礼ですね!ゲットマシンは、ただの戦闘機じゃありませんっ!!」

 

ビームを掻い潜りながら、烈火号はメカ一角鬼に迫る。

 

茜 「ミサイル発射!!」

 

至近距離で、ミサイルをお見舞いする。

 

一角鬼「ぬおっ!?何の…これしきっ!」

卯月「まだです!!」

一角鬼「っ!?」

卯月「ゲッターキック!!」

 

ミサイルで怯んだ隙に、プロトゲッターが迫り、空中からの飛蹴りを炸裂。

 

一角鬼「ぐわぁ…!?」

茜 「アーニャさん!同時攻撃です!行きましょう!!」

アーニャ「Да!タイミングは、合わせます!!」

 

ガードの崩れたメカ一角鬼にすかさずミサイルを2機同時に撃ちだし、当てる。

 

一角鬼「ぐおぉぉ!?小賢しい小手先の戦術でぇ…!!ふざけるなぁ!!」

 

メカ一角鬼の口のカバーが開き、無数のミサイルが周囲に撃ちだされる。

 

茜 「い゛ぃっ!!?」

アーニャ「キャッ…!」

卯月「茜ちゃん!アーニャちゃん!」

アーニャ「大丈夫、です…。少し、驚いた、だけ…」

茜 「ですが!これでは迂闊に近付けません!!」

卯月「…どうしたら…!」

アーニャ「!? 皆さん!金剛号です!」

茜 「本当ですか!?」

卯月「晶葉ちゃん、間に合って……アレ?」

茜 「金剛号の軌道が可笑しいですね?アレではまるで素人…」

 

「きゃあぁぁぁぁああぁぁぁ…!」

 

卯月「この声…!美穂ちゃん!?」

 

美穂「っ!!…ち、ちゃんと飛んでぇ~~っ!!」

卯月「どうして美穂ちゃんが…」

晶葉『━━…私の判断だ』

卯月「晶葉ちゃん!?今どこにいるんですか?」

晶葉『神重工業の仮説ドックだ。たった今、美穂を金剛号に乗せて、送り出してやったところだ』

卯月「何で…何で美穂ちゃんを乗せたんです!?」

晶葉『それは…』

美穂「それは私の意志だよ!卯月ちゃん!」

卯月「美穂ちゃん…!?」

美穂「私…戦うの、嫌で適性検査で適正があった時…、逃げました」

美穂「でも…!卯月ちゃんとか、かな子ちゃんとかみんなが戦ってる姿を見て、私、思ったんです!逃げちゃダメだ、逃げたら、何にもならないんだって…!」

卯月「そんな事…!誰でも出来る訳じゃありません!誰だって、逃げていいんです!」

美穂「これ以上…!誰かの後ろに隠れ続けたら、きっと…、大事なものも見えなくなっちゃうんです!何にも出来なくなっちゃうんです…!」

美穂「私…そんなの嫌です!!」

卯月「美穂ちゃん…」

晶葉『無駄だ卯月。美穂の意志は堅い。美穂自身で、出した答えなんだ』

卯月「…そんな……」

 

ガタタンッ

 

美穂「あ゛ぁあん…!お願い…金剛号…!言うこと聞いて…!」

 

一角鬼「へっ!何だよ、やっと3機揃ったかと思ったら、とんだ期待外れみてぇだな…!」

一角鬼「とっとと沈みな!!」

 

卯月「いけない…!金剛号を守らなきゃ…!━━っ!」

 

強引にメカ一角鬼にタックルを食らわせ、押し倒す。

 

一角鬼「おぉっ!?コイツ…!」

卯月「やらせません!美穂ちゃんも誰も!」

 

美穂「うぅ~~~…!」

茜 「えぇ~~と…小日向…美穂、さん!でしたっけ?まずは深呼吸しましょう!!」

アーニャ「力任せでは、ゲッターは、動かせません…リラックス、しましょう。ね?」

美穂「あぅ…。ごめんなさい…」

茜 「謝る必要なんてありません!私達は仲間じゃないですか!」

美穂「仲間…」

アーニャ「そうです。どうして、とか、誰、なんて、まだ分かりません」

茜 「でも!守りたい大事なものの為に飛ぶんです!!それなら!私達はもう仲間です!!」

美穂「…はい……はいっ!」

茜 「アーニャさん!初めての美穂さんは真ん中にしましょう!ゲッター紫電です!!」

アーニャ「Да!低速合体…やってみせます!」

 

烈火号と紫電号が空中で一度大きく宙返りをし、速度を金剛号に合わせて、紫電号を先頭に、烈火号が最後に続く。

 

美穂「あ、あの……」

茜 「えいっ!」

美穂「きゃっ…!」

 

先ずは烈火号が金剛号とドッキング。速度を落としながら、紫電号が迫ってくる。

 

茜 「美穂さん!初めてで、怖いのなら代わりますよ!」

美穂「うん…ううん」

美穂(私がやるって、決めたんだもん…!)

美穂「私がやります!!」

茜 「分かりました!!」

アーニャ「……」

 

紫電号の後部が、目前まで迫る。

 

美穂(逃げない…!逃げない逃げない…逃げないもん!!) グッ

 

操縦桿を握る手に力が入る。そして、

 

ガキィンッ

 

茜 「アーニャさん!!」

 

アーニャ「チェンジ!ゲッタァァーシデンッ!!」

 

ゲッターが変形する。

全体に細身のシルエット。色は紫と薄紫が基調で、間に金剛号の黄色のアクセント。

右腕はシャープなドリル。左腕は、ハサミのように上下に別れたマジックハンドになっている。

 

一角鬼「雑魚が!しゃらくせぇ!!」

卯月「きゃあっ!!」

一角鬼「!?」

 

プロトゲッターを押し倒したメカ一角鬼の目の前。高層ビルの屋上に、颯爽と降り立つゲッター紫電。

 

美穂「これが…ゲッターのコックピット…」

茜 「覚悟はいいですか!?美穂さん!」

美穂「……はい!」

 

一角鬼「へへっ!ようやくお出ましかよ?待ちわびたぜ…!おらぁ!!」

アーニャ「…ゲッター影分身!!」 ヒュンッ

 

メカ一角鬼のビームを受けたゲッター紫電の姿が空中に掻き消える。

 

一角鬼「残像だとぉ!?本物はどこだ!?」

アーニャ「こちらですッ!!」

一角鬼「っ!」

 

高速で回り込んだのは、背後。

 

アーニャ「ぃやぁああ!」

 

空中での、後ろ回し蹴りを。

 

アーニャ「Урааа!!」

 

着地して、左のマジックハンドを閉じて、勢いよくかち上げる。

 

一角鬼「うごぉお!?」

アーニャ「ウヅキさん!大丈夫ですか!?」

卯月「アーニャちゃん…。私は大丈夫です…」

アーニャ「一気に行きましょう!!」

卯月「はいっ!!」

 

プロトゲッターがミサイルマシンガンを構え直し、ゲッター紫電は、ドリルにエネルギーを収束させる。

 

卯月「えぇぇぇいっ!!」

アーニャ「蛇旋光っ!!」

 

ミサイルマシンガンの銃撃に合わせ、ドリルに溜めたエネルギーを放射状に放つ。

 

一角鬼「うおぉぉぉっ!?」

 

ミサイルマシンガンの実弾と蛇旋光の光弾が、メカ一角鬼の装甲をボロボロに破壊していく。

 

一角鬼「バカな…!?負ける!?俺が…人間風情に…っ!!」

 

シュンッ

 

一角鬼「うっ…!?」

 

メカ一角鬼の目の前に、ゲッター紫電が姿を現す。

 

一角鬼「……鉄甲鬼…すまねぇ━━」

アーニャ「千!極ッ!針ッッ!!」

 

ギュルルゥゥゥンッ

 

ゲッター紫電のドリル、千極針が、メカ一角鬼を貫き、メカ一角鬼は事切れたように崩れ落ちる。

 

アーニャ「……」

 

ゲッター紫電がメカ一角鬼の元から離れた直後、メカ一角鬼は巨大な爆炎となり、消滅した。

 

美穂「……終わった…?」

茜 「勝った…!勝ちましたよ!美穂さん!アーニャさん!!」

アーニャ「フフッ…!победа…勝利、みんな無事…。嬉しい、ですね♪」

美穂「そっか…。私、戦って…勝ったんだ…。何もしてないけど……良かった…」

卯月「美穂ちゃん」

美穂「…卯月ちゃん」

 

卯月「……」

美穂「……」

 

茜 「あぁ~あの!卯月さん!これは…ですね…!」

卯月「美穂ちゃんを、よろしくお願いしますね」 ニコッ

茜 「…へ!?」

アーニャ「да…任せて、下さい…」

美穂「あの…それじゃあ……っ」

卯月「誰も、やりたいって言うのは、止められませんから♪」

アーニャ「良かった…ですね♪」

茜 「はいっ!!大団円!終わり良ければ全て良しです!!」

卯月「そうですね…。帰りましょう!みんなが待ってる、私達の場所へ!」

美穂「━━はいっ!」

 

~~~ 神重工業 社長室 ~~~

 

社長「…ゲッターは勝ったか」

山崎「そのようで。しかし街も、我が社も、被った被害は甚大ではありません」

社長「仕方あるまい。恐竜帝国との戦いの時もそうだった。戦いとは、そういうものだ」

山崎「……。今回の襲撃で、自衛隊から連絡が。急ぎ、ビィトの整備と増産を行ってほしいそうです。金に糸目はつけないと」

社長「フッ…。軍備に使うその金を、少しでも復興に回せばいいものを…」

山崎「社長…?」

社長「…何でもない。政府連中の顔色を伺いながら、ゲッターの改良も引き続き行う。プロトゲッターの回収を確認次第、作業員に作業に取りかかるよう伝えろ」

山崎「かしこまりました。それにしても、どうしてなんです?社長がそこまでゲッターに引き付けられるのは」

社長「引き付けられる、か…。その通りかもしれんな。私自身にも分からないが、惹かれるんだよ。ゲッターに」

山崎「惹かれる…とは?」

社長「さぁな。しかし興味深いと思わないか?ただの1民間研究所が、アレほどのロボットを何機も作り上げているなんて…」

山崎「社長は、何か裏があると?」

社長「そうじゃない。そうじゃない、が…不自然さはあるな。世界中何処を探したってゲッター線を動力に運用している話は聞かない」

社長「まるで、誰かが早乙女研究所にゲッターを造らせている。そんな気がする」

山崎「それが、ゲッターに惹かれる理由、ですか?」

社長「勿論それだけじゃない。単純に格好いいロボットに惹かれる男心もあるよ」

社長「私が後20年ほど若ければ、私自身が志願して、乗り込みたいくらいだ」

山崎「止してください。会社はどうなるんです?」

社長「フフッ…。人間、余計な権力は持つものじゃないな」

山崎「…社長?」

社長「フッ…。全て冗談だ。私はゲッターの整備ドックの状態を見てくる。君は負傷した作業員の様子を見てきてくれ」

山崎「……。かしこまりました。社長…━━神、隼人社長」

社長「フッ……」

 

つづく

 




次回!!

徐々に戦力を整える早乙女研究所のゲッター軍団!
対する百鬼帝国は、3機の百鬼メカを使った囮作戦を決行し、ゲッター不在の早乙女研究所を、ミサイルによる波状攻撃で追い詰める!
早乙女研究所最大のピンチに、遂にゲッターロボGが、大空へと出撃する━━!

次回! ゲッターロボ×CG 第2部
第9話『発進、ゲッターロボG!!』に、チェンジドラゴンッ!
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