後スペシャルゲストも出るよ~。
━━ 山岳地。
凛 「マッハ・スペシャル!」
シュンッ
白髪鬼「うっ…!?」
凛 「ドリルアァァーームッ!」
白髪鬼「ぐわぁっ‼」
背後に回り込んだゲッターライガーのドリルアームが、メカ白髪鬼を背中から貫き、打ち砕く。
かな子「やりました!」
卯月「周囲に他の敵の反応はありませんね」
凛 「さ、早く帰ろ。…ライヴに遅れる前に」
━━。
~~~ 百鬼要塞 ~~~
ヒドラー「ぐぬぬ…。おのれぇ~…ゲッターロボGめぇ…!」
百鬼兵「解析班からの報告では、ゲッターロボGの性能は、現存するどの百鬼メカの性能も凌駕しているとの事です」
ヒドラー「呑気な事を…!早急に対抗策を考えんか‼」
百鬼兵「は、はっ!」
ヒドラー「…くそぉ…!」
グラー「苛立っておられるようですな。ヒドラー元帥?」
ヒドラー「グラー博士。コレが苛立たずにいられるか!?百鬼衆は、我らが百鬼帝国が誇る精鋭の筈だ!」
ヒドラー「それをこうも手玉に取るとられるは…!」
グラー「お気持ちお察しします…。ブライ大帝のお考えも分かり兼ねますな?何故こうまでゲッターに執着なさるのか…」
ヒドラー「そうだ!先ずはゲッターを持たない周辺の国から支配し、外堀を固めてからじっくり攻めれば良いものを…!」
グラー「落ち着きなさい、ヒドラー元帥。皇帝侮辱罪は元帥と言えど重罪は免れませぬぞ」
ヒドラー「……」
グラー「しかし、ヒドラー元帥の言う事も尤も。勝ち目のない戦ばかりしていても意味はない。そうですな?」
ヒドラー「…ならばどうすれば良いのだ?」
グラー「簡単な話です。無敵の鎧を壊そうとしても意味はない。ならば、鎧を着ている中の人間を直接、攻撃すれば良いのです」
ヒドラー「…どういう意味だ?」
グラー「ある国に潜伏させたスパイからの情報です。お耳を」
ヒドラー「ふむ…」
グラー「━━」 ヒソヒソ…
ヒドラー「…!それは本当か!?」
グラー「スパイの情報に、間違いはないかと」
ヒドラー「そうか…。フフフ…。ゲッターめぇ…今に見ておれ。必ずや貴様らを…!」
━━。
~~~ 数日後。日本上空 ~~~
李衣菜「━━ウゥッヒョーー!やっぱシミュレーターと本物じゃ、全然違うよね~!最っ高~‼」
ネオイーグル号が、大空狭しとロールを繰り返す。
奈緒「李衣菜!あんま無茶な飛び方して、1号機壊すなよ~!」
李衣菜「だ~い丈夫!こんな高さで墜落しな…━━わわっ!?」
一瞬コントロールを失い、高度を落とすネオイーグル号。
李衣菜「おっとっとっと…。危ない危ない…」
奈緒「ほらな、言わんこっちゃない」
李衣菜「えへへ…」
加蓮「ちょっと~。こっちにぶつかってこないでよね」
奈緒「余計な仕事増やしたらただじゃ済まないからな!」
李衣菜「はいはい。分かってますって!」
奈緒「ったく、飛行訓練の代わりだからって、菜々さんが代わってくれたんだから、気を引き締めて飛べよな~」
加蓮「まぁまぁ、リーナは初飛行なんだからさ。少しは多目に見てあげないと」
奈緒「加蓮…、そんな事言ったってなぁ…」
かな子「奈緒ちゃん達も、大変ですね…」
加蓮「かな子こそ。こんなのがユニットのリーダーじゃ、アイドル活動も大変なんじゃない?」
李衣菜「ちょっと、それってどういう意味~?」
奈緒「あはは!それにしても、豪華だよな。ゲッターGに護衛してもらって、北海道まで遊覧飛行なんてな」
かな子「遊覧飛行って…、これもちゃんとしたお仕事のですよぅ…」
凛 「奈緒も油断してると、李衣菜と一緒に真っ逆さまだよ?」
奈緒「アタシは大丈夫だよ。素人じゃないんだから、そんなヘマしないって」
李衣菜「墜落の引き合いに私を出すのやめてよ~!」
卯月「でも、折角ならアーニャちゃん達も連れてきたかったですね」
凛 「仕方ないよ。早乙女博士の話だと、橘研究所の方から、ゲッターGを指名してきたらしいし」
加蓮「ゲッターGが早乙女研究所を離れるのに、ゲッター斬まで離れるわけにはいかないしね?」
奈緒「にしても、向こうはゲッターGに何の用があるんだ?」
かな子「詳しくは着いてから話すって言ってましたけど、一体何の話なんでしょうね?」
凛 「さぁ、ゲッターGを指名してくる以上、穏やかな話じゃないんだろうけど…」
卯月「百鬼帝国絡みなら、私達だけも気を引き締めていかないとダメですね…!」
凛 「卯月の言うとおり。でも、まだ深くは考えずに行こう」
かな子「分かりました」
李衣菜「あ、折角だから合体しない?ね。1回だけ!」
奈緒「お前はちょっと空気読め!」
凛 「ふふっ。李衣菜には残念だけど、そろそろ目的地が見えてきたよ」
卯月「アレが…ですか?」
かな子「スゴく立派な建物ですね!」
加蓮「ひょっとして、早乙女研究所より大きいんじゃない?」
凛 「それはそうかも。正式な名前は、国際航空宇宙技術公団NISAR…」
卯月「ねいさー…?」
凛 「そ。あくまで民間研究所の早乙女研究所と違って、こっちは世界中に幾つもの支部をもつ国際組織の1つ」
奈緒「へぇ~、スッゴいトコ何だな~…」
凛 「その極東支部。それがここ、橘研究所だよ」
~~~ NISAR極東支部 橘研究所 ~~~
橘 「皆、早乙女研究所からよく来てくれた。ようこそ、橘研究所へ。歓迎するよ」
凛 「お久し振りです、橘博士」
橘 「おぉ、凛くん。久し振りだな。ネオゲッターの試験運用以来か…」
奈緒「何だよ。凛はここに来たことあるのか?」
凛 「うん。元々、ネオゲッターはここで開発されたのは宇宙開発用ロボが元になってるから。その試験運用の時に何度か、ね」
橘 「3機に分離する変形マシンなど、私の所にはノウハウがなかったからね。科学者である晶葉くんや、直にゲッターに乗っていた凛くんの意見はとても参考になったよ」
加蓮「ふ~ん。それじゃ、今回はネオゲッターの里帰りって訳?」
凛 「こっちにはネオゲッターの改装に直接関わった人達もいるから」
橘 「ネオゲッターにより本格的なオーバーホールを行うのならば、こちらが最適、というわけだ」
李衣菜「オーバーホール?それじゃあ、整備の為にネオゲッターをわざわざ北海道に運んだって事ですか?」
凛 「うん。G鉱石の錬成が出来るのは、日本じゃここくらいだけみたいだからね」
李衣菜「G鉱石?」
橘 「北極でのみ採掘される強力な磁力を発する鉱石だよ」
橘 「柔軟なゲッター合金ではないネオゲッターロボは、その磁力を応用した形状記憶合金によって、合体・分離等、各種変形を行っている」
卯月「へぇ~…。だから私達のゲッターより見た目頑丈そうなんですね」
凛 「けど、その分ゲッター合金と違って金属疲労があって、定期的に装甲を全部張り替えないといけない、らしいよ?晶葉が言うには」
かな子「だから、ネオゲッターをここに運んで、オーバーホールって事なんですか?」
加蓮「それなら、最初からネオゲッターだけここで使ってればいいのにね」
奈緒「だな、そっちの方が面倒がなくていいもんな」
橘 「尤もな意見なのだがね。ここも、国際組織に所属する以上、色々な制約があってな。そう簡単にもいかないんだよ」
奈緒「大変なんだな。大人って」
卯月「それで、橘博士。私達まで呼んだのはどうしてなんですか?」
李衣菜「確かに。ネオゲッターの整備だけでいいなら、卯月達は必要ありませんよね?」
橘 「……」
かな子「橘博士?」
橘 「その事については別室で話そう。Gチームの諸君は着いて来てくれたまえ」
卯月&かな子「「? …了解」」
李衣菜「あの…、私達は…」
凛 「李衣菜達は自由にしてて。この研究所の中でも、見学してればいいよ。それじゃ」
スタスタ
奈緒「見学してればいいって言われてもさ…」
李衣菜「右も左も分かんないんじゃ…ねぇ?」
加蓮「ま、テキトーにブラブラしてて良いって事でしょ~?一応入構証は貰ってるんだし」
奈緒「あ、加蓮待てって!どこ行くんだよ!」
加蓮「こんな所でぼんやりしてより、中歩いてた方がいいじゃん?ひょっとしたら、アタシ達みたく、暇そうにしてる人がいるかもしれないし」
奈緒「暇そうにしてる人って…」
李衣菜「ははっ…!それは言えてるかも」 タッ
~~~ 橘研究所 所長室 ~~~
橘 「さて、先ずは私の呼び掛けに応じてくれて、ありがとう」
凛 「博士、前置きはいいよ。本題は何なの?」
橘 「ははは。相変わらず手厳しいな、君は。…では」
卯月「何かあったんですね?」
橘 「うむ。実は、つい先日、この北海道上空に未確認の航空機が侵入、研究所近辺の山岳地帯に墜落してな」
卯月「未確認の航空機…?」
凛 「まさか、百鬼帝国!?」
橘 「……。うむ、私達もそうではないかと仮定している」
かな子「それで、その航空機がどうかしたんですか?墜落したんですよね?」
橘 「…実はな、航空機が墜落した付近にあった、1つの集落…そこに住んでいた数十名の住人が、原因不明の変死を遂げ、集落は壊滅した」
卯月「壊滅…!?」
凛 「原因不明って、言ったけど…?」
橘 「住人の死因は不明。…いや、不明と言うことにされている」
かな子「されている、って…、橘博士は、その原因が何か分かってるんですか?」
橘 「……。墜落した機体には、宇宙細菌が積まれいたんだ」
かな子「宇宙細菌…って、何なんです?」
橘 「我々が人類が遠くない未来、宇宙に進出した際、必ず脅威となるとされているものだ」
卯月「人類の…脅威…?」
橘 「そうだ。おそらく、集落にはそれが蔓延したのだ」
凛 「どうしてそんなのが分かるの?」
橘 「我々の間で研究されていた宇宙細菌と、犠牲となった者の症状が酷似している。犠牲者の報告を受けた時、私は間違いなく宇宙細菌だと確信した」
かな子「そんな危ないのが蔓延してるんだったら、こんな所で悠長にしてる場合じゃないんじゃ…」
橘 「心配はいらんよ。その宇宙細菌は大気に含まれる窒素に弱く、外気に触れると数分と経たず、死滅する」
橘 「現状で、地上に蔓延してる宇宙細菌はほぼ無いと言っても良いだろう」
卯月「そうなんですか…。良かったぁ…」
橘 「しかし、私は今回蔓延した宇宙細菌が全てではないと推測している」
凛 「墜落した機体から漏れ出た宇宙細菌が、全部じゃないって事?」
橘 「宇宙細菌はカプセルに入れて、厳重に保管されていた筈だ。それこそ、ちょっとやそっとの衝撃では壊れないように、しっかり封がされていた筈だ」
橘 「今回の墜落で壊れず、残った宇宙細菌があっても可笑しくはない」
卯月「分かりました!それを探す調査に、私達が同行すればいいんですね?」
橘 「その通りだ。百鬼帝国が関わっているとすれば、必ず連中も出てくるだろう。そうなったら、私達ではどうしようもない」
かな子「確かに、向こうも百鬼メカを出してくる可能性は考えられますね…」
橘 「うむ。どうかな?私達に、力を貸してはくれんか」
凛 「橘博士には、コレまでにもお世話になってるし、何より、そんな危険なものを百鬼帝国の手に渡すわけにはいかないよ」
卯月「任せてください!宇宙細菌の脅威から、一緒にみんなを守りましょう!」
橘 「……。…うむ。そうだな…」
凛 「……」
━━ 橘研究所内。
「さて、と。コレで研究所の中は全部かな…」
李衣菜「ありがとうございます!えっと…」
翔 「橘翔。こちらこそ、今をときめくアイドルの道案内なんてさせてもらって光栄だよ」
李衣菜「そんな…。今をときめくなんて…」
翔 「そう謙遜しないで?ボクでも知ってるよ。キミ、最近メジャーに出てきたロッキング・ガールの子でしょ?」
李衣菜「ユニット名まで覚えてくれてるなんて…」
奈緒「何顔赤くしてんだよ」
李衣菜「い、いいじゃん。別に…」
翔 「ふふっ。ボクもコレでも女の子だからね。ああいう、キラキラした世界にも憧れたりするよ」
加蓮「だったら1回オーディション受けてみたら?アタシでも出来てるんだし、翔さんなら、意外と良いトコまでいけるんじゃない?」
翔 「む、無理だよ…!そう言うの、向いてないし…。それに、今の仕事も小さい頃からの憧れだからね」
奈緒「そうだ、よかったのか?宇宙船外活動の訓練中だったんだろ?」
翔 「うぅん。訓練は一段落して、これから一息つくところ。だから施設の案内の終点もほら、談話室」
加蓮「あぁ、成る程」
翔 「━━あ♪」
李衣菜「…あっ!いきなりどこ行くんです?翔さん…って……」
翔 「あ~りすちゃん♪」
ありす「…翔さん。こんにちは」
翔 「ありすちゃんも、珍しいね?こんな所で。散歩?」
ありす「…そんなところです。ずっと部屋に籠っているのも、退屈なので」
翔 「何だ~。言ってくれれば、ボクが案内してあげたのに」
ありす「翔さんは訓練だったでしょう。私にかこつけて、サボろうとしないでください」
翔 「あはは…。別にサボろうとしてたわけじゃ…」
李衣菜「翔さん…この子は…?」
翔 「あぁみんな。ごめんごめん。この子はボクの親戚の橘ありすちゃん」
ありす「はじめまして。橘…ありすです」
李衣菜「ありすちゃんかぁ…。私は…!」
ありす「知ってます。貴女は多田李衣菜さん。隣が神谷奈緒さん、一番後ろが北条加蓮さん。…で、合ってますよね?」
奈緒「うぉっ!?アタシ達の事まで知ってんのか」
加蓮「もしかして、アイドル好き?」
ありす「そういうわけではありませんが…」
翔 「ありすちゃんはこう見えても、アイドルだったんだよ?」
李衣菜「え!?ホントに!?」
ありす「……」
翔 「まぁ、今は休業中なんだけど…」
加蓮「そうなんだ?」
ありす「…不本意ながら」
翔 「東京は危ないからってねぇ…。ありすちゃんの両親が。せめて自分の娘くらい安全な所にって」
奈緒「それでか…」
翔 「ここなら、最低限の防衛設備もあるし、いざって時には核にも耐えるシェルターがあるから…。親戚のつてって事で、ウチで預かってるんだ」
李衣菜「そうだったんだ…。大変なんだね?」
ありす「…別に、大変じゃありません。両親とは、コレがあればいつでもテレビ電話で会えますからっ」 つタブレット
奈緒「ははっ、そうか」
加蓮「いい時代になったね~。ホント」
ありす「……。それじゃあ、私はそろそろ失礼します」 スッ
翔 「あ、ありすちゃん!待って!」
ありす「……何ですか?」
翔 「えっと…、そうだ!今日これから、みんなで山にでも行かない?」
奈緒「みんなでって事は…アタシ達も?」
翔 「もちろん!折角北海道まで来たんだし、北海道の自然を感じていきなよ!」
李衣菜「う~ん…。そう言われればそういう気もしますけど…」
翔 「ね、お願い!ボクに協力して!」 コゴエ
李衣菜「えぇっ!?ってか翔さん顔近…」 コゴエ
翔 「実はありすちゃん、ここに来てから、まだ上手く馴染めていないみたいなの」 コゴエ
李衣菜「え…?」
翔 「私達に気を遣ってるみたいで…、こっちから話しかけても距離を置こうとするし…」 コゴエ
翔 「ね?こういう所にいると、外からのお客さんもお偉いさんばっかりだし、私達を助けると思って…。ね?」
加蓮「いーんじゃない?別に」
李衣菜「加蓮…」
加蓮「どうせネオゲッターの整備が完了するまで、ウチらも暇なんだし。ここで所員さんの邪魔になるよりは、外に出た方が気分転換になるんじゃないかな?」
加蓮「ね、奈緒?」
奈緒「お、おぉ…!おぉ?」
李衣菜「う~…ん…。じゃあ、行こっかな…!そうしよう!」
翔 「ありがとう!この恩は、必ず返させてもらうからね!」
ありす「話はまとまったんですか?翔さん」
翔 「バーッチリ!今車庫からバイク引っ張ってくるから!」
奈緒「え…、バイク使うのか?」
翔 「もちろんそうだけど…。あ、もしかして、バイクの免許…」
李衣菜&奈緒&加蓮「持ってない(よ)」」」
翔 「あちゃ~…。まいったなぁ…」
ありす「…全然まとまってないじゃないですか…」
翔 「あ、あはは…。…そうだ!」
一同「「「?」」」
~~~ 山岳地帯 ~~~
卯月「そろそろ先行した橘博士達との合流地点ですね」
かな子「でも、流石北海道って感じですよね。緑が豊かで…。あぁ!やっぱりお茶とお菓子を持ってくれば良かったぁ~!」
凛 「もぅ、かな子ってば、ピクニックじゃないんだから…」
かな子「えへへ…♪ごめんなさい…」
凛 「別にいいけど…。一応、警戒は続けておいて。……」
卯月「凛ちゃん、さっきから何か考え事ですか?」
凛 「卯月…。…ちょっとね」
かな子「さっきの橘博士とのお話の事考えてたんですか?」
凛 「うん…。さっきの博士の説明、やけに詳しすぎるな、って」
卯月「そうですか?橘博士も、宇宙開発の科学者なんですし、今回の宇宙細菌の事だって、知っていて当然の事何じゃないですか?」
凛 「……。博士の言動も妙だった。…何か、言いかねているような…」
かな子「博士が私達に隠し事してるって事ですか?」
卯月「まさかぁ~!凛ちゃんの考えすぎですよ!」
凛 「そうだといいけど…」
かな子「考えすぎは良くないですよ。帰ったら一緒に甘いものでも食べてリラックスしましょう♪━━あら?」
卯月「どうかしましたか?かな子ちゃん」
かな子「いえ、百鬼帝国が出たとか、そんなんじゃないですけど…。この辺では、珍しい反応があって…」
凛 「確かに、レーダーに反応がある…。これは……」
卯月「橘研究所の、ビィト…?」
━━。
加蓮「研究所にたまたまあったのはいいけど、よく貸してもらえたよねぇ」
奈緒「ホントな。一時はどうなるかと思ったけど…」
翔 「ま、そこはボクの日頃の行いに感謝って事で!」
李衣菜「それは分かったけどさ…」
李衣菜「何で操縦が私なのさーーーーーーッ‼?」
ありす「…あまり乗り心地はよくないですね」
加蓮「ちょっと李衣菜~。もっと揺れ抑えれないの~?このままだと酔っちゃいそう」
李衣菜「無茶言わないでよ!こいつ山岳用に開発されてるんじゃないんだから…。それに、元々3人乗りなのに無理矢理5人も乗せるから!」
奈緒「じゃあお前山まで歩くか?」
李衣菜「だから!何で!面倒な事は全部私なのさって、聞いてるの‼」
翔 「それは、だって李衣菜ビィトの搭乗経験あるって言うから…」
李衣菜「そりゃぁ…、ビィトは乗り慣れてるけどさ…」
李衣菜「でも、私が普段乗ってたのとは操縦法もだいぶ違うし、…大体一緒だけど」
奈緒「どっちだよ?」
李衣菜「とーにーかーくー、操縦席小さいし、モニターも小さいし見辛いし!も~っぅ!加蓮は車長席行ってよ!」
加蓮「いやほら、アタシが車長席座っちゃうと違う感じになっちゃうし?」
李衣菜「何の話!?」
『━━そこの不審なBT、止まってください!』
奈緒「んぁ?」
李衣菜「この声って…、卯月!?」
卯月「えへへ…♪どうですか?今の、ちょっと雰囲気出てました?」
凛 「そっちの声は奈緒に李衣菜…。みんないるの?」
李衣菜「そっちも勢揃いでって…ゲッタードラゴン!?」
地上を歩くビィトに、低空飛行でゲッタードラゴンが迫る。
ありす「コレが本物のゲッターですか…」
翔 「ボクもはじめても見るけど…、ほぇ~…でっかいね~」
凛 「そっちにいるのは翔。それに、知らない子もいるみたいだけど…」
かな子「凛ちゃん、知り合いの人ですか?」
凛 「うん。橘博士の娘さんだよ。…それで、そっちの女の子の方は…」
卯月「橘ありすちゃんですね!」
奈緒「卯月、知ってるのか?」
卯月「はい。同じアイドルの子ですよね?以前一緒にお仕事した事があります!」
ありす「……確かそれ、私、一度挨拶しただけのような気がしますが…」
奈緒「マジかよ…」
凛 「前にもこんな事があったね。ホント、人の顔を覚えるのは得意なんだから」
卯月「えへへ…。特にアイドルの子は、みんな可愛いですから。すぐに覚えられますよ」
ありす「あ、ありがとうございます…」
奈緒「それで、何でゲッターがこの辺飛んでるんだよ?」
加蓮「この辺で何かあった?もしかして、百鬼帝国?」
凛 「うぅん。まぁ、そうなるかもしれないけど。その為の対策ってトコかな?」
李衣菜「何それ?全然意味分かんない」
かな子「詳しい事は話せないんです。ごめんなさい…」
卯月「とにかく、もし散策するなら、この先は危険なのでやめておいた方がいいと思います」
加蓮「そっかぁ~。それじゃあどうする?引き返す?」
翔 「あ、それなら、この山を下っていったところにきれいな川があるよ。そこなら問題ないでしょ?」
凛 「あんまり山の奥に行かないなら、別にいいと思うけど…」
翔 「行かない行かない!それじゃ李衣菜ちゃん、ボクが案内したげるからヨロシク!」
李衣菜「結局操縦は私…。リョーカイ!みんな、揺れるからしっかり捕まっててよー!」
奈緒「おわっ!お前、そう言うのは揺れる前に言えー!」
ガショガショッ
卯月「あはは♪何だか賑やかで、楽しそうでしたね?」
かな子「そうですね…。話してるだけで、ちょっと気分転換になったかも」
凛 「さ、早く博士達に合流しよう。こうしてる間に、百鬼帝国に襲われてたりしたら大変だし」
卯月「分かりました!それじゃあ、こっちも飛ばしていきますよー!」
━━ 川のほとり。
加蓮「うぅ~~ん♪この時期だと、まだ少し冷たいね…」
奈緒「おーい!川の流れ速いんだから、あんま奥の方行くなよー!」
加蓮「ふふっ、へーきへーき。ほら、奈緒もこっち来なって」
奈緒「わーわー!引っ張るなって!ずぶ濡れになっても着替え持ってきてないんだから…!」
バシャァァンッ
李衣菜「うわぁ…。加蓮のはしゃいでるトコって、初めて見たかも…」
翔 「普段は大人しい子なんだ?」
李衣菜「うぅ…ん…。普段大人しいって言うよりは…。何か聞いた話だと、昔は病弱だったらしいし」
翔 「へぇ~。全然そんな感じしないね?」
李衣菜「ホント、ゲッターは人を変えるね…って、ありすちゃんは?」
翔 「ホントだ。しっかりした子だし、1人で遠くに行ったりとか、危ない事はしないと思うけど…」
李衣菜「何かあると大変だよ。探しに行こう」
翔 「そうだね」
━━。
ありす「……」
ありす「奈緒さん達の声が聞こえなくなりましたか…。それだけ皆さんから離れたと言うことですか…」
ありす「……」
ありす(こうやって歩いても、両親の所に辿り着けるわけじゃ…)
ありす「……何を考えているんでしょう…。ママや、パパは…私の事を第一に考えて、私をここへ…」
ありす(……)
ありす「……。戻りましょう…。翔さん達が心配してしまいます」
キラン
ありす「ん…?アレは……」
スッ…
ありす「何でしょう?カプセル…のようですが…。中には何も入ってないみたいですね…」
アリスチャーン! アリスチャーンドコー?
ありす「この声は…、翔さんに…李衣菜さん」
翔 「あ!ありすちゃんいたー!もう、何してるの?こんな所で」
ありす「すいません…。ぼうっとしたいたら、歩きすぎてしまったみたいです」
翔 「自然は人を行動的にしてくれるって言うけど、あんまり1人で遠くに行ったりしたら危ないよ?この辺りは熊だって出るんだし」
ありす「…ごめんなさい」
翔 「ま、ありすちゃんが無事ならそれで全然オッケーだよ!さ、早くみんなの所に帰ろ?」
ありす「翔さん…」
李衣菜「あたたた…。やっと追い付いた…」
翔 「お、李衣菜ちゃんおっそ~い!そんなんじゃ、ゲッターのパイロットが務まんないぞ?」
李衣菜「そんな事言われても、山の中は歩き慣れてないし…。それより、ありすちゃんは!?大丈夫?怪我とかしてない?」
ありす「はい…。この通り、何ともないです」
李衣菜「良かったぁ~…。ん?何、それ?」
ありす「これですか?さっき川の方で…。上流から流されてきたんでしょうか?」
翔 「確かに、上流の方には集落があるって聞いた事あるけど…。にしてもこのカプセル…。う~…ん」
李衣菜「翔さん、心当たりあるんですか?」
翔 「う~ん。前に父さんの部屋で似たようなのの写真を見たような気がするけど…」
李衣菜「じゃあ、これ橘研究所の?」
ありす「もしくは、研究所に関係のあるもの、という事になりますね…」
李衣菜「でも、ならなんで、そんなのがここに?」
翔 「さぁ…。分かんない」
ありす「ともかく、研究所のものなら、持ち帰った方がよくないですか?」
翔 「そうだね。あー…でも、ビィトに乗せて帰るのはなぁ…」
ありす「揺れますもんね、スゴく。割れたりしたら、どうなるんでしょう…?」
翔 「さぁ?空みたいに見えるけど、何かヤバイウィルスとかだったら目も当てられないなぁ~」
李衣菜「それなら大丈夫!いざという時のために、あのビィト、飛べるから」
翔 「ホント!?それじゃあ、飛んで帰れば揺れは少なめだね!」
ありす(…何で行きの時は飛ばなかったのか、という話ですが…。やめておきましょう)
翔 「よーし、そうと決まったら、早く戻ろっか?あんまりボク達が持ってるのもよくないし」
李衣菜「そうだね。びしょ濡れになってる奈緒達も心配だし」
ありす「あの2人は何をしてたんですか…」
ガサッ
李衣菜「ひっ!?な、何…!?」
翔 「もしかして、熊かな…?ありすちゃん、危ないから下がって…!」
ありす「は、はい…!」 ギュッ
ガサガサッ
李衣菜「や、やっぱりこっちに来る…!?」
翔 「音があんまり大きくないかな…?熊じゃない…?」
ありす「だったら、何なんですか…?」
翔 「よく分かんないけど、歩いてくる音が人間みたいな…」
李衣菜「人間…!?」
「ふふふ…。ようやく見つけた…。感謝するぞ、人間共…!」
ありす「あ、頭に角の生えた人…!?」
李衣菜「百鬼帝国…!誰!?アンタは!?」
ヒドラー「私の名前はヒドラー。さぁ、早くそのカプセルをこちらに渡してもらおうか」
李衣菜「このカプセル、もしかしなくても百鬼帝国の…!?」
翔 「このカプセルはなんなの!?アンタ達、これを使って何をするつもり…!?」
ヒドラー「貴様らが知る必要はない!早くその小娘の持っているものをこちらに寄越せ!」
ヒドラー「さもなければ…!」 チャキッ
ありす「ひっ…!?」
李衣菜「っ!?…へ、へぇ…百鬼帝国の連中も、銃なんて使うんだ?」
ヒドラー「残念ながら私は戦闘が苦手でね。それに、こっちの方が相手を屈服するのには、実に効果的だろう?」
翔 「ありすちゃん、絶対渡しちゃ駄目だからね…」
ありす「は、はい…」
ヒドラー「あくまで抵抗するか。まぁいい、貴様らを全員殺してしまえば用の済む話だ」
李衣菜「……!」
「お前の思い通りにさせるかよ!」 バッ
李衣菜「━━奈緒!?」
奈緒「くらえっ!」
ガバァッ
ヒドラー「ぐぉっ!?何だこれは…!?」
奈緒「へへっ!びしょ濡れになった上着の両袖に石を詰め込んでやったぜ!コレで上着が絡み付いて、時間稼ぎになんだろ…!」
加蓮「得意になるのはそこまで」
李衣菜「加蓮まで!」
ヒドラー「ぐぬぬ…前が見えん!何処だぁ!」
加蓮「今の内に逃げるよ。こっち!」
李衣菜「分かった!翔さん、ありすちゃん、行こう!」
翔 「うん!ありすちゃん、動ける?」
ありす「だ、大丈夫です…!」
タッタッタッ
ヒドラー「くそぉ…!逃がすか!戦闘部隊に連絡を…!」
━━。
李衣菜「ありがとう奈緒、加蓮!」
奈緒「礼なんかいらないよ。こっちも、凛から連絡を受けて探してたんだし」
李衣菜「凛達から…!?」
加蓮「近くで百鬼帝国が出たって。危ないから、アタシ達は研究所に戻った方がいいって」
奈緒「まさか、もう遭遇してるとは思わなかったけどな」
加蓮「李衣菜達が山の方に入っていくのは、一応見てたから」
ありす「……」
翔 「ありすちゃん、怖い?」
ありす「こ、子供扱いしないでください!怖くなんか…!」
加蓮「…で、今ありすが持ってるのが、連中の狙ってるものって訳…」
奈緒「向こうも躍起になってるって事は、相当ヤバイもんがそのカプセルの中に入ってるって訳か」
ありす「……」
加蓮「息抜きのつもりが、厄介な事に巻き込まれたね~」
李衣菜「ともかく、危険なものだったら何としても守らなくちゃ!百鬼帝国に渡すわけにはいかないよ!」
奈緒「分かってるって!よし、ビィトが見えてきた!」
急いでビィトに乗り込む。
李衣菜「百鬼帝国も動いてるかもしれない。操縦は私がやるから、奈緒は火器管制をお願い。加蓮は索敵、翔さんとありすちゃんは、車長席に!」
奈緒「任せろ!」
加蓮「了解」
翔 「ありすちゃん、しっかり捕まってるんだよ!」
ありす「はい…!」
李衣菜「よし、ビィト発進!」
ギュピーンッ
加蓮「…早速反応。戦闘機が空から来るよ!」
李衣菜「っ!?」
戦闘機による爆撃が、ビィトの周囲の木を焼き払って爆ぜる。
ありす「きゃあ…!と、飛んで逃げた方が速いんじゃ…」
李衣菜「ダメ…。飛べば狙い撃ちにされる」
奈緒「敵の狙いも、アタシらを炙り出す事か」
加蓮「なら、このまま森の中を走り抜けた方が得策だよね」
李衣菜「ホントなら、山の方走って逃げたいけど…」
翔 「あんまり揺れるのはちょっと…」
李衣菜「…だね。奈緒、反転するから、反撃よろしく!」
奈緒「つっても、バルカンくらいしかないけどな!」
ビィトを反転させ、バック走行で森の中を疾走しながら、上空の戦闘機に狙いを定める。
バババババババッ
奈緒「おい李衣菜!もう少し機体を安定させろ!これじゃあ当たるもんも当たらない!」
李衣菜「無茶言わないでよ!ただでさえ悪路走ってるのに、これ以上速度落としたら相手に捕捉されちゃうよ!」
ありす「り、李衣菜さん…!前…!」
李衣菜「え…?」
ガコンッ
僅かに突き出した岩塊に足を取られ、ビィトが一瞬、宙を舞う。
李衣菜「う、うわあああああああっ!?」
落下の衝撃で2回、3回と丸みを帯びたビィトが回転し、幾本の木々を薙ぎ倒してようやく制止する。
奈緒「痛たた…。モニターぐらい見て操縦しろ…」
李衣菜「ご、ごめん…。っ…!ありすちゃん、カプセルは…!」
ありす「な、何とか大丈夫みたいです…。割れてはいません」
李衣菜「そっか…。良かったぁ~…」 ホッ
加蓮「安心してる場合じゃないよ。敵の爆撃が来る…!」
李衣菜「っ!防御体勢…!」
ビィトが手足と頭部を機内に格納し、完全なドーム状の防御姿勢をとる。
李衣菜「~~~っ!」
ありす「きゃっ…!」
翔 「ありすちゃん、大丈夫だからね…」
防御姿勢をとったビィトに、容赦なく戦闘機の爆撃が襲い、コックピットが振動する。
奈緒「どうするんだ!?このままじゃ、いくらビィトが頑丈でも保たないぞ!」
李衣菜「分かってる…!分かってるけど、今防御姿勢を解けば、それこそビィトは木っ端微塵だ…」
加蓮「何か手はないの?李衣菜、ビィトには色々詳しいんでしょ?」
李衣菜(……)
ありす「うぅ……」
李衣菜「…仕方ない。ありすちゃん!翔さん!」
ありす「はい…っ!」
翔 「何!?」
李衣菜「2人でカプセルを挟んで、しっかり守ってください!」
翔 「何をするのか分からないけど、分かったよ!」
李衣菜「よし…。マニュアルでやるのは初めてだけど…」
操縦桿を握りしめ、ペダルを踏み込み、勢いよく左右の操縦桿を前後逆の方向へ。
奈緒「うわぁぁぁぁぁああああああ~~?‼」
爆煙と爆風を振り払って、ビィトが高速回転を始める。
李衣菜「ここまで来たら、せめて一太刀~~‼」
駒のように回転しながら、敵陣の方へ。投下された爆撃の衝撃を利用して、ビィトは空へ。
百鬼兵「なっ…!?」
李衣菜「必殺スピンアタックだぁ~~~‼」
グ ワ オ ォ
回転の勢いとビィトの自重で戦闘機を押し潰し、1機を粉砕して地上に華麗な着地を決める。
加蓮「うぇ…。吐きそ…」
翔 「ありすちゃん大丈夫?顔白いけど…」
ありす「だ、大丈夫で……ウプッ」
奈緒「李衣菜、もうこれ禁止な…」
李衣菜「あはは~…。でも、これで爆撃から抜けられたし、敵も動揺してる。逃げるなら今だね!」
加蓮「そうかもしれないけど、研究所の方に逃げてるけど、ホントにそれでいいの?」
李衣菜「どういう事?」
加蓮「研究所に逃げ込んだだけで、向こうが諦めるとは思えないな~って。もしかしたら、研究所の人も巻き込んじゃうかも」
奈緒「あー、確かにそれは一理あるかもな」
加蓮「ネオゲッターは装甲張り替え中でしょ?爆撃で壊したら大変だよ?」
李衣菜「って言われても、そしたら何処に逃げれば…。ビィトの内蔵エネルギーじゃ、そう遠くには行けないし…」
『━━西だ!』
李衣菜「ん?この声って…」
翔 「父さん!」
橘 「今君達のいる場所から西へ移動してくれ。そこに、ビィトならば入れそうな空洞がある。私達も今そこにいる」
ありす「そこにいる、って…、なら、どうやって私達の現在地を把握してるんですか?」
橘 「彼女らのカメラの映像を受信してね。今、そちらに到着できたようだ」
ありす「彼女…ら…?」
卯月「スピンカッター!」
李衣菜「ゲッタードラゴン!卯月さん!」
後方から敵陣に突っ込んだゲッタードラゴンが、腕のスピンカッターで瞬く間に戦闘機群を一掃していく。
卯月「遅れてすいません!」
かな子「百鬼帝国の足止めに手間取っちゃって…」
凛 「愚痴を溢しても仕方ない。遅れた分、一気に片を付けるよ!」
卯月「了解です!━━ゲッタートマホーク…!」
両肩からトマホークをそれぞれ左右の腕で抜き打ち、
卯月「…ブーメランッ‼」
それぞれを左右に投射。挟撃を掛けようとした2機の戦闘機をそれぞれ破壊。
卯月「っ!」
戻ってきたトマホークを即座にキャッチ。
卯月「はぁっ‼」
直後に上昇し、上空から迫った1機を両断する。
李衣菜「ウッヒョ~!やるぅ!」
奈緒「ゲッターがくりゃ、こっちのもんだな!」
加蓮「今の内だよ。橘博士達と合流しよう」
李衣菜「了解!任せて!」
卯月「……。今ので、近くの戦闘機を一通り倒せましたか?」
かな子「そうみたいですね。右も左も、前にも後ろにもそれらしい影は見当たりません」
凛 「…妙だね。百鬼メカが出てこないなんて」
卯月「そう言えば、そうですね」
かな子「向こうにも余裕がないんでしょうか?」
凛 「まさか。何か百鬼メカを出せない理由があるのか…。それとも使えないのか」
卯月「使えないって、どういう事ですか?」
凛 「さぁ?そこまでは」
かな子「っ!?大型の反応、こっちに向かってきます!」
凛 「一番最初に反応のあった奴だ。卯月!多分これがラストだ、気合い入れていくよ!」
卯月「はいっ!━━マッハ・ウィング!」
ヒドラー「おのれぇ…、やはり私兵だけでゲッターを圧倒する事はできんか…」
ヒドラー(ブライ大帝に内密に計画を進める以上、百鬼衆は使えんと言うに…!)
百鬼兵「ゲッタードラゴン、こちらに向かって速度をあげます。どうなさいますか?」
ヒドラー「決まっておる。対空ミサイル発射だ!」
百鬼兵「しかし…」
ヒドラー「しかしもかかしもあるか!ゲッターに邪魔をされ、人間の女子供にまでコケにされたのだ!」
ヒドラー「このままおめおめと逃げ帰っては、私の立つ瀬がないではないか!」
ヒドラー「ならば、このジェット要塞、ジェロニガンで、ゲッターだけでも血祭りにあげてくれる!」
百鬼兵「りょ、了解です!」
シュババッ
卯月「ッ‼」
ジェロニガンの左右から放たれるミサイルを、巧みなローリングで躱していく。
ヒドラー「今だ!突っ込め!」
卯月「!?」
ミサイルの爆煙から姿を覗かせたゲッタードラゴンに、ジェロニガンが機首から突撃を掛ける。
卯月「くっ…!」
何とか体勢を整え、ジェロニガンを受け止めるゲッタードラゴン。だが、
凛 「要塞が相手じゃ、出力が違う…!」
ジェロニガンの推力に圧され、次第に高度を落としていき、着地。
卯月「~~~‼かな子ちゃん…!踏ん張り、お願いしますっ!」
かな子「任せてください!ふンぬ~~‼」
ギギギッ…
ヒドラー「なかなかしぶとい奴だな…」
卯月「当たり前です!私達は、貴方達に負けるわけにはいかないんです!」
かな子「宇宙細菌なんて、そんなとんでもないモノを使おうとしてる人を、許しておくわけにはいきません!」
ヒドラー「何だ?何を言っている?」
凛 「白々しいよ。わざわざ宇宙から宇宙細菌何てモノを手に入れて、人類を抹殺する兵器を作ろうなんてさ」
凛 「やっぱりアンタ達は鬼そのものだよ!」
ヒドラー「何…?……何だ、そう言うことか?あははは!これは傑作だ!」
卯月「な、何が可笑しいんです…!?」
ヒドラー「ならば教えてやろう!その宇宙細菌を宇宙から採取したのは我々ではない!」
かな子「…え?」
ヒドラー「貴様ら人間が、手に入れたものだよ!」
凛 「…!?」
卯月「う、嘘です!そんなの…!」
ヒドラー「嘘なものか。我々も宇宙細菌の存在については知っていたがね、どうしても、本物のサンプルを手に入れる事が出来なかった」
ヒドラー「ところが、ある国のスパイからの連絡で…、その国が宇宙細菌を手に入れ、ジェット機で輸送する事が分かったのよ…」
ヒドラー「後はそのスパイが、ジェット機にちょっと細工をしたって訳さ」
卯月「嘘ですっ‼」
ヒドラー「嘘ではない!何なら、貴様らの傍にいる橘という科学者に聞いてみるといい、そいつなら全てを知っている!」
かな子「どういう事です…!?」
ヒドラー「何故なら、ジェット機が運んでいた宇宙細菌の行く先が、そこの橘研究所だった訳だからな‼」
かな子「そんな…!」
凛 「でも、それならジェット機が橘研究所の近くで墜落したのも説明がつく…」
卯月「つまり、凛ちゃんが気にしてた…、橘博士の隠し事って…」
凛 「今アイツが言った事、まるっとそのまま、だろうね…」
李衣菜「博士!ホントなんですか?博士!」
橘 「……」
翔 「あ、あれだよね、父さん…。ウチ、国際組織だから…、それで仕方なく…。そうだよね?」
橘 「……」
翔 「父さん…!」
ヒドラー「ふはははっ!思い知ったか!それが人間という生き物だ!人間は百鬼帝国という敵を前にしても尚、大量殺戮兵器の開発をやめようとせん!」
ヒドラー「我らよりよっぽど鬼ではないか!」
卯月「━━…れが…!」
ヒドラー「むっ…!?」
卯月「それが何だって言うんですか‼」
グワアァッ
ヒドラー「うおぉっ!?」
卯月「みんな、良い人だっています!悪い人だっています!良い人が悪い人に抵抗するんです!」
卯月「宇宙細菌だって、いつか良い人が越えていきます!私達はそうやって、今日まで進歩してきたんです!」
卯月「宇宙細菌を、悪い事にしか使おうと考えていない貴方達とは、やっぱり違います!」
ありす「卯月、さん…」
加蓮「ま、その通りって言えば、そうだよね」
奈緒「正義は必ず勝つ、って奴だな」
卯月「だから、私は貴方を倒します!私達の力…ゲッターの力で‼」
グォンッ
ゲッタードラゴンをジェロニガンの機首下へと潜り込ませ、足を使ってジェロニガンを空の彼方へ蹴り上げる。
卯月「ゲッタービィィームッ‼」 ズァッ
ヒドラー「ぐぉっ…!ひ、被害状況を知らせぃ!」
百鬼兵「さ、左舷に被弾!メインエンジン損傷…!高度、維持出来ません!」
ヒドラー「サブフライトシステムに切り替えろ!」
百鬼兵「はっ!ですが、サブフライトシステムですと、これ以上の戦闘行動が不可能となります!」
ヒドラー「ぐぬぬぅ…!やむ終えん、撤退する!動ける機関を最大!」
百鬼兵「はっ!」
ヒドラー「おのれゲッターロボめぇ…!この屈辱はいつか必ず…!」
凛 「百鬼帝国が逃げていく…」
かな子「追わなくて良いんですか!?」
卯月「…はい。今日のところは。探していたものは、見つかったようですし」
凛 「そうだね。深追いは禁物だし」
かな子「……そうですね」
~~~ 橘研究所 所長室 ~~~
橘 「今回の件について、日本政府は情報を制限するそうだ。航空機の墜落は、あくまで事故だったと」
凛 「集落の壊滅は、どう説明するの?」
橘 「単に集落で伝染病が蔓延し、手遅れになっただだけ、だそうだ。航空機の墜落と、何ら因果関係はない」
卯月「そんな…!橘博士はそれで良いんですか!?」
橘 「……少なくとも今は、宇宙細菌についての情報を無闇に流すべきではない。宇宙細菌に対して、何の対抗手段も持っていない現状ではな」
凛 「百鬼帝国の相手だけでも大変なのに、宇宙細菌の存在まで知れ渡ったら、不安が増すばかりだもんね」
かな子「理屈は分かりますけど…」
加蓮「それじゃ、博士は宇宙細菌の特効薬を研究するために、ここに宇宙細菌を運ぼうとしたって訳?」
橘 「信じてくれとは言わんよ。だが、卯月くんが言ってくれたように、世の中には善人と悪人がいる」
橘 「私は卯月くんの言う言葉の中で、良い人でいたいと思っているよ」
奈緒「…恐竜帝国とか、百鬼帝国とかじゃなく、人間が滅びる時は、人間自身が原因になるかもな」
李衣菜「それでも、私達は戦うよ。みんなの平和を脅かすような奴等とさ」
卯月「そうですね…。いつかみんなが色んな国の人が安心して、笑顔になれるそんな日が来るまで…━━」
つづく
次回予告!
度重なる出撃やアイドル活動で疲れの色を見せるパイロット新人組。
博士の提案で、休暇が設けられるGチーム、斬チーム、そしてロッキング・ガールズの面々だったが、その頃、百鬼帝国によって甦った古代生物がコンビナートに迫る。
果たして、ゲッターGを欠いたゲッター軍団は、古代生物の脅威を退ける事が出来るのか━━!
次回! ゲッターロボ×CG 第2部
第12話『大海獣決戦!・前編 古代生物の脅威!!』に、チェンジゲッター!