ゲッターロボサーガ デレマス版   作:E.T.c

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第13話『大海獣決戦!・後編 相伝、大雪山おろし!!』

~~~ 早乙女研究所 会議室 ~~~

 

卯月「━━晶葉ちゃん!!」

 

晶葉「…おぉ、卯月。お帰り」

卯月「あ…ただいま帰りました…って、そんなこと言ってる場合じゃ…!」

凛 「未央達がやられたって、聞いたけど?」

晶葉「まぁな」

かな子「そんな…気楽な…!」

晶葉「落ち着け。私達が慌てても仕方ないだろう」

卯月「相手は百鬼帝国ですか?」

晶葉「いや、まったく別の脅威だ」

卯月「まったく別の、脅威…?」

晶葉「そうだ。あんなもの、敵とは呼べん。厄介な災害だよ」

凛 「どういう事?」

晶葉「これを見てくれ」 ブゥン

 

会議室の大型スクリーンを点ける。

 

かな子「これは…、恐竜…?」

卯月「クラゲ…じゃないですか?ほら、脚が一杯生えてますし」

凛 「晶葉これが…?」

晶葉「ゲッター3及びネオゲッター3のカメラ映像に残された脅威だ」

凛 「これが未央達を…!」

晶葉「卯月達が帰ってくるまでに個人的に調べてみた。白亜紀以前…ジュラ紀に生息していたとされる、ドラゴノザウルスという種に酷似している」

かな子「酷似しているって…、同種じゃないんですか?」

晶葉「ドラゴノザウルスの全長は大きいもので、20mそこそこ。しかし今回現れたものの全長は目測でも500mは超えている」

卯月「ご、500m…!?そんな大きな恐竜がいるんですか…?」

晶葉「通常の生物の進化で、そこまで巨大な進化を遂げる事は、まずないだろう」

卯月「じゃあ、どうして…?」

晶葉「…これを見てくれ」 ピッ

 

リモコンで映像を切り替える。

 

晶葉「ゲッター3に付着していた、ドラゴノザウルスと思われるモノの肉片、その遺伝子の解析映像だ」

卯月「……難しい事はよく分かんないんですけど、これで巨大化の原因が分かるんですか?」

晶葉「それが直接的な原因かは分からない。だが、原因の1つがあると、私は考えている」

卯月「…?」

晶葉「分かりやすく言うと、有害物質に対する抗体だ」

かな子「抗体…」

晶葉「現代とジュラ紀とでは、海の水質は大きく異なる。特に、現代の海は人間による開発や自然破壊によって、大昔には存在しなかった有害物質が汚染している」

晶葉「ドラゴノザウルスがそれらの有害物質に対抗するため、その体に幾つもの抗体物質を作り、その結果巨大化したとしても不思議ではない」

かな子「昔は存在しなかった体に悪いものに立ち向かうために、体を大きくして強くしたって事ですか?」

晶葉「簡単に言えばそういう事になるな」

凛 「それじゃあ、今のドラゴノザウルスは人間が作ったようなものって訳?」

卯月「そんな…!」

晶葉「…残念ながら、凛の言うとおりかもしれんな。人間は、少し地球に対して独善的に改造しすぎたのかもしれん」

凛 「そもそも、そんな巨大な生物が今の今まで何処に潜んでいたのかってのも、気になるよね」

晶葉「だが、いるものは事実として受け止めなくてはな。受け止めた上で、作戦を講じなくてはならない」

卯月「…倒すんですか?そのドラゴノザウルスを」

晶葉「私の話を聞いて同情したのか?だが、巨大に進化するしか生きる術がなかった以上、奴は現代に不適合な存在なんだよ」

晶葉「我々の手で葬る事が、せめてもの償いだ」

卯月「そんなの…!人間の勝手な理屈じゃないですか!」

かな子「…卯月ちゃん……」

晶葉「なら、ドラゴノザウルスを見逃すか?あいつはゲッターを下した。未央達に重症を負わせたんだ。一番容態の酷いものは、未だ目を覚まさん」

卯月「でも…」

凛 「未央達だけじゃない。ドラゴノザウルスは、もっと多くの人を襲うよ」

卯月「そんなの、まだ決まった訳じゃ…!」

晶葉「いや、既に襲われている」

卯月「!?」

晶葉「今分かっている時点で、ドラゴノザウルスの主な食料とされているのは、原油だ」

凛 「原油の元々を考えれば、自然ではあるね…」

晶葉「その為、海外へ原油を運ぶタンカーが、既に何隻も奴に沈められている。奴にとっては原油が目当てだろうが、当然乗組員も犠牲になっている」

卯月「……」

晶葉「電気の普及が進んでいるとはいえ、まだ生活の一部を化石燃料に頼っている以上、このまま原油が狙われ続けるのは国際的な混乱を招く」

晶葉「それだけじゃない。そんな化け物がのさばっていては、貿易業も成り立たず、生活物資のほとんどを輸入に頼っているこの国はいずれ枯渇する」

晶葉「ドラゴノザウルスの存在が、どれだけ社会に対して弊害を生んでいるか、少し考えれば分かるだろう?」

卯月「晶葉ちゃんの言っている事は分かります。けど…!」

凛 「卯月」

卯月「凛ちゃん…!」

凛 「私達は、たくさんの人の笑顔を守る為に、その障害になる脅威と戦うって、そう決めたはずだよ」

卯月「……」

凛 「卯月の気持ちは痛いくらい分かるよ。卯月は優しいし、ドラゴノザウルスを生んだのは私達人間だよ」

凛 「だけど、私達は戦わなくちゃいけない。人間の勝手で生んだものと、人間の側に立つ者として」

卯月「……」

 

晶葉「━━…私も少し頭を冷やしてくる。斬チームは、今は格納庫だったか」

晶葉「斬チームも揃い次第、ドラゴノザウルス撃滅作戦の概要を説明する。色々思うところはあると思うが、今は少し、休んでおけ」

 

━━。

 

~~~ 格納庫 ~~~

 

美穂「これが、ゲッター3…?」

 

大破を通り越して、スクラップ同然となったゲッター3を見上げる。

 

李衣菜『派手にやられたよ。まったく…』

美穂「整備班の人も大変だね…」

李衣菜『大将曰く、1から作り直した方が早いってさ。こんなになったんじゃ、無理もないけど』

美穂「それだけ激しい戦闘だったって事だよね…」

李衣菜『そうだね…。…くそっ』

美穂「李衣菜ちゃん?」

李衣菜『あぁ、いやゲッターがこんなになるまで戦ってる時に、何してるんだろうなって』

李衣菜『今の私、全然ロックじゃない。…これじゃあ、ここに来る前と何も変わってない』

美穂「そんな事…」

李衣菜『いっけね!こんなところで油売ってる時間もなかったんだった。ゴメン美穂、そう言うわけだから!』

美穂「あ…!」

 

李衣菜を乗せたBTが遠ざかる。

 

美穂「……」

 

茜 「美穂さーーーんっ!!」

美穂「茜ちゃん…!アーニャちゃんも…」

アーニャ「Добрый вечер…こんばんは、です。ミホ」

茜 「お一人で…何やら黄昏ていたようですが!何かあったんですか!?」

美穂「べ、別に黄昏てたは…。……ちょっと…怖くなっちゃって」

茜 「怖く…?ですか!」

美穂「うん…。ほら見て、これ、ゲッターなんだよ?」

茜 「ボロボロですね!最早鉄屑です!」

美穂「う、うん…。そうなんだけど、そんなハッキリ…」

アーニャ「アー、ミホは、ゲッターをこういう風にした、相手が怖い…ですか?」

美穂「…うん。これから、そんなのとこれから戦うのかなーって」

美穂「それにね、さっき李衣菜ちゃんが来たんだ」

アーニャ「リーナ、が…?」

美穂「悔しがってた…。ゲッターに乗って、戦えないって。私、それに何も返してあげる事が出来なくて」

美穂「ダメ、だよね…?李衣菜ちゃんの分も戦ってあげるとか、私が仇討ちしてあげるとか、そういう事、言ってあげれるようにならなきゃ、って分かってるのに…」

アーニャ「でも、怖い?」

美穂「……。先に戦ってたみんなは無事だったけど、私は、何時もみたいに変なところでドジして、死んじゃうんじゃないかとか、2人を巻き込んじゃうんじゃないかって」

茜 「う~~む…!それは気負いすぎではありませんか!?」

美穂「…え?」

茜 「私も!当然アーニャさんも!死ぬつもりなんてありません!!でも、人は死ぬ時には死ぬんです!それを恨む事なんて出来ません!」

茜 「ならば一蓮托生ですっ!私は美穂さんに命を預けます!美穂さんも私に命を預けてください!!」

アーニャ「Да…勿論、ワタシもですっ!」

美穂「茜ちゃん…アーニャちゃん…!」

茜 「心配しなくても、私達は勝ちますから!晶葉さん達が立案してくれた作戦に賭けましょう!」

アーニャ「アキハ…作戦…。そうでした!アカネ、ミーティングの事、忘れてます」

美穂「ミーティング?」

茜 「そうでした!これから、今後の動きについて説明すると!晶葉さんが言っていました!」

アーニャ「それで…、ミホも、連れてきてほしいと。一緒に行きましょう?」

美穂「う、うん…。分かった━━」

 

━━ 会議室。

 

凛 「ただいま」

卯月「奈緒ちゃんと加蓮ちゃんの様子はどうでした?」

凛 「…2人共、戦闘のダメージは抜けきってない、って感じだったよ。加蓮はまだ眠ったままで、奈緒は起きてたけど、無理に気丈にしてた」

卯月「奈緒ちゃんらしいですね…」

かな子「他の人達は…!」

凛 「テスターチームと未央ならもう大丈夫だって。さっきリハビリがてら、歩いてる瑞樹さん達に会ってきたよ」

卯月「何と言うか、スゴいですよね…」

凛 「伊達に丈夫さで選抜されてないからね。瑞樹さんとみくは、強引に使った大雪山おろしの影響で、気絶してただけってのもあるし」

かな子「あの、菜々ちゃんは大丈夫だったんですか?奈緒ちゃんや加蓮ちゃんと同じく、ネオゲッターのプラズマを受けたんですよね…?」

凛 「それが…、本当に何でもない感じで挨拶されて、ちょっとビックリした…」

かな子「それって、体が丈夫とか以前に、スゴい回復力じゃないですか?」

凛 「ホント。ドラゴノザウルスとやらもビックリの回復力だよ」

 

茜 「皆さん!お待たせしましたー!!美穂さんを連れてきましたよ!」

 

凛 「茜…。これで斬チームも全員か。後は博士達を待つだけだね」

「その必要はない」

美穂「さ、早乙女博士…!?何時の間に…」

早乙女「今しがた、茜くんが走っていくのが見えての」

凛 「それでナイスタイミングって訳」

晶葉「再三言うが非常時以外、研究所内は走るのは禁止だぞ。大事な機材を運んでる時だってあるんだ」

茜 「善処します!」

晶葉「まったく…。では、揃ったところで話を始めよう」

早乙女「みんな、腰を下ろして、ゆっくり聞いてくれ」

卯月「博士、ゲッターの整備は…?」

早乙女「作業員を総動員して、早急に対処しておるが、破損具合が酷い。特にネオゲッターは、新たな装甲を橘研究所から取り寄せなければ足らんくらいだ」

美穂「旧ゲッターの状態も見てたけど、あれをすぐに終わらせるっていうのは、作業員の人も大変だと思うよ」

凛 「ドラゴノザウルスには、ゲッターGとゲッター斬の2機で挑むしかないって事か…」

早乙女「身も蓋もない言い方だが、ゲッターGを初めに出撃させなくて良かったのかもしれん」

早乙女「ドラゴノザウルスに関して、何の情報もない状態で戦ったのであれば、ゲッターGとて負けていたかもしれんからな」

かな子「そんな相手と…、ゲッター2機だけでどうやって戦うんですか?」

晶葉「確かに。ドラゴノザウルスは相当な再生能力を持っている事も先の戦いで確認されている。並大抵の火力では歯が立たないだろう」

晶葉「くわえて、有害物質への抗体を持っている為、毒物や化学兵器も、何処まで通じるか分からない」

早乙女「現状で、海中のドラゴノザウルスに対して、有効な手段は限られているだろう」

凛 「海中で手段がなければ、奴を海上に誘き出せばいい」

かな子「そんな無茶苦茶な…」

晶葉「いや、凛の言うとおりだ。相手が得意の土俵で、戦う必要はないのだからな」

早乙女「これを見てくれたまえ」 ピッ

茜 「これは…電波塔ですか!?」

アーニャ「Нет…電波塔のみたいなのが、4つ…。ただの電波塔ではない、ですね?」

晶葉「アーニャの言うとおり。これは、アメリカが開発した戦略兵器、プラズマディファレーターだ」

卯月「戦略兵器…!?」

晶葉「そうだ。この4本のタワーで囲まれた500m四方の空間に、凝縮したプラズマエネルギーを放出、超高密度のプラズマフィールドに敵を閉じ込め、プラズマの超光熱で一気に焼き払う戦略兵器だ」

晶葉「そのプラズマ出力は、ネオゲッター4機分に相当すると言われている」

かな子「ネオゲッター4機分…!?そんな兵器が開発されていたなんて…」」

早乙女「プラズマディファレーターを使用するには、この4本のタワーを建設する必要がある。タワーは使用時以外格納しておく事は出来るが、兵器としては運用性に乏しい」

凛 「でも、今回の敵に対しては最適って訳?」

早乙女「うむ。ドラゴノザウルスを所定の位置に誘導さえ出来れば、容易に発動できる上、核のように周辺への被害は少なくて済む」

晶葉「今回はドラゴノザウルスのサイズを考慮して、1km四方の長大なプラズマディファレーターを敷設する」

美穂「で、でもそんなものを一体何処に造るんですか?まさか日本じゃ…」

晶葉「心配には及ばん。作戦にはこの無人島を使う」 ピッ

アーニャ「無人島、ですか?」

晶葉「あぁ、この無人島は先日、海底火山の噴火によって出来たもので、人間は勿論あらゆる生物が存在しない事は調査済みだ」

凛 「そこにその戦略兵器とやらを設置して、ドラゴノザウルスを誘導するのは分かったけど…」

茜 「問題は!どうやってそのドラゴノなんちゃらを陸に上げるか!ですね!!」

美穂「確かに、500mも大きいものを陸に上げるなんて、ゲッター2機でも大変そう…」

早乙女「それについても、一応作戦は講じてある。…晶葉くん」

晶葉「はい。水棲生物であるドラゴノザウルスを陸地に上げるのは並大抵ではない。ただ、前回の戦闘から、私はある可能性を見出だした」

卯月「それは…、何ですか?」

晶葉「あぁ」

 

晶葉「ゲッターポセイドンによる大雪山おろしで、ドラゴノザウルスを目標地点に投げ入れる」

 

かな子「そ、そんなの無理ですよぉ!」 ガタッ

晶葉「無理じゃない。実際、先の戦闘でゲッター3は大破した状態からドラゴノザウルスに対して大雪山おろしに成功している」

アーニャ「ゲッター3の2倍、以上のパワーのゲッターポセイドンなら、余裕、という事ですね?」

かな子「でも、大雪山おろしって、未央ちゃんが何日も頑張って身に付けた必殺技なんですよね?」

凛 「うん。一見単純に力任せに投げ飛ばしてるように見えて、間合いやタイミングを測るのには、十分な練習と経験が必要になる」

卯月「作戦の開始まで、私達にはどのくらいの期間があるんですか?」

晶葉「プラズマディファレーターの設置には資材の輸送を含めて10日、試運転やテストに4日…」

美穂「合わせて14日…2週間くらいあるんですね」

早乙女「その間、日本の自衛隊と米軍が協力して、ドラゴノザウルスによる被害を最小限に抑える為の陽動作戦を実施する」

晶葉「かな子にはその間、大雪山おろしを習得する為の特訓を行ってもらいたい」

かな子「2週間で、大雪山おろしを…」

凛 「2週間を長いととるか短いととるか…」

卯月「私達も、感覚だけなら分かるんですけど…」

 

「そういう事なら、任せてよ」

 

凛 「未央…、寝てなくて大丈夫なの?」

未央「へへっ、後輩に大事な必殺技を教えようってのに、おちおち寝ていられませんってね!」

卯月「でも、酷いケガです…。杖まで突いて…」

未央「恐竜帝国との決戦に比べたら、大した事ないよ」

未央「それでみむっち、大雪山おろしを覚えなきゃってわけだけど…」

かな子「そ、そうですけど…」

未央「任せて!バッチリ形にしてあげる!」

かな子「でも、本当にいいんですか?そんな簡単に…」

未央「急を要する事態だからね。それに、今のしまむーとしぶりんの相棒は、みむっちだから」

早乙女「話はまとまったかの?」

かな子「…はいっ。未央ちゃん、よろしくお願いします!」

未央「おう!任された!」

早乙女「斬チームには、自衛隊と共に陽動作戦にも参加してもらう」

美穂「陽動…。つまり、ドラゴノザウルスがタンカーとか、船を襲わないようにすればいいんですね?」

晶葉「ゲッター2機を容易く退けた相手だ。くれぐれも無茶はするなよ」

茜 「リョーカイですっ!!」

アーニャ「Да…任せてください」

美穂「卯月ちゃん達の分も、私が頑張らなくっちゃ!」

早乙女「よし、斬チームの出撃は明朝だ。今日は各自、体を休めておくように」

未央「私達は早速特訓始めようか?シミュレータールームに行こっ!」

かな子「分かりました!」

卯月「私達も出来る範囲でサポートします!」

凛 「時間はないけど無理は禁物だよ。かな子が倒れたら、意味ないんだからね」

 

晶葉「……」

早乙女「不安か?晶葉くん」

晶葉「えぇ、作戦に関しては、まぁ半々と言ったところでしょう。かな子達がうまくやってくれれば、問題はありません」

晶葉「問題は、百鬼帝国に一切動きが見られないという事です」

早乙女「我々にとっては都合がいいが、楽観視はできん、か」

晶葉「ただでさえゲッターが2機しかいない以上、最悪の事態は想定するべきです」

早乙女「そうじゃな。今は作戦が無事に成功することを願おう━━」

 

━━。

 

かな子「それで、レッスンルームに来ましたけど…」

凛 「床の上に畳を敷いて、ここで特訓する気?」

かな子「シミュレーターじゃなくて良いんですか?」

未央「いいのいいの。ゲッターでやる前に先ず、体で経験しないとね?わたしもそうだったし」

凛 「でも、未央はケガしてるよね?その体で柔道なんて出来るわけないし」

かな子「そうですよね。胴着にも着替えてませんし…。私は、さっき着替えましたけど…」

未央「私は謂わばコーチだよ?みむっちの相手はちゃんと違う人に頼んであるって」

かな子「違う人って…?」

未央「ま、入ってきてもらおうか。どうぞ~」

 

卯月「押忍!島村卯月、柔道でも空手でも頑張ります!」

 

かな子「う、卯月ちゃん…!?」

凛 「前に教わった…有香じゃないの?」

未央「うん。今回はスケジュールが合わなくてね」

かな子「卯月ちゃんは柔道とか、経験あるんですか?」

卯月「はい!前に学校で習った事があります!」

凛 「それって体育の授業だよね?ホントに大丈夫?」

未央「まぁしまむーだから、為せば成るって。一先ず1回組み合ってみよう?」

凛 「そういうノリでいいんだ…」

卯月「それじゃあかな子ちゃん、よろしくお願いしますね!」

かな子「は、はいっ!よろしくお願いしますっ!」

未央「ではお二方、見合って見合って…」

凛 「それ相撲」

未央「━━ファイッ!」

 

ガッ

 

卯月「っ!」

かな子「…!」

 

凛 「さて、体格ならかな子の方が若干有利だけど…」

 

卯月「うぅ…せいっ!」 グワッ

かな子「きゃっ……!」

 

未央「キレイな背負い投げ!」

凛 「やっぱりゲッターでの戦闘がある程度活かせれてる…!」

 

かな子「ガッ…━━!」

 

未央「決まったーーー!!」

凛 「言ってる場合!?かな子変な声出してたけど…」

卯月「大丈夫ですか?かな子ちゃん?かな子ちゃん!?」

かな子「━━」

未央「ありゃ?気絶しちゃってる?」

凛 「…これは、前途多難だね。色々と━━」

 

~~~ 数日後 空母甲板上 ~~~

 

茜 「う~~ん!いい朝ですね!!ここでの生活も慣れてきました!」

美穂「作戦が終わる度に研究所に帰るわけにはいかないもんね。ゲッターも、甲板の上で整備を受けて…」

茜 「しかし…!ここにいると自分がアイドルである事を忘れてしまいそうです!早くステージの上に戻りたいですね!」

美穂「ふふっ。そうだね。ここ、男の人ばっかりでちょっと怖いし…。あ…みんな一生懸命戦ってるのは分かってるんだけど…」

茜 「ですね!ここが私達の居場所というわけではないですからね!」

美穂「例の兵器の設置も順調みたいだから、後は研究所にいるかな子ちゃん達だね」

茜 「そっちの状況は分かりませんが!きっと大丈夫でしょう!作戦本番までに必ず完成させてくれます!」

美穂「ふふっ、信頼してるんだ?」

茜 「はいっ!未央ちゃんを信じてますから!!」

 

アーニャ「доброе утро…おはようございます…。アカネ、ミホ」

 

美穂「アーニャちゃん、おはよう」

茜 「おはようございます!!それで、今日の予定はなんと!?」

アーニャ「あー…、今日は艦隊全体のпоставка…補給、です」

美穂「じゃあ、今日は陽動おやすみ?」

アーニャ「そうですね。一応、私達は、戦闘機隊と一緒に、ドラゴノザウルスの監視をします」

茜 「分かりました!今日この近くを通る船はありますか!?」

アーニャ「нет。今日は、この周辺海域を航行する、船舶はない、と…」

美穂「ドラゴノザウルスに狙われそうな船がいないなら、気持ち楽なのかな?」

アーニャ「Да…ワタシ達の出撃は11時と、17時…後深夜から明け方までです」

美穂「夜間監視もあるんだ…。時間空いた時にしっかり睡眠とっておかなきゃ…!」

茜 「夜は暗いですし、何もありませんからね!うっかり眠ってしまいます!」

美穂「私達の誰かが起きてれば、ゲッターも墜落する事はないもんね」

茜 「最初の出撃は11時ですか…!まだかなり時間が空いていますね!早速寝直しますか!」

美穂「あはは…。それもいいけど、ちょっと勿体ないかも…」

アーニャ「それなら…あー、また、釣竿、借りてきましたよ」

茜 「お!いいですねー!では、今日も食料確保に協力といきますか!!」

美穂「ここに来て毎日それなってるけど…、ホントに良いのかなぁ?自衛隊の人、みんな忙しくしてるのに…」

アーニャ「Да…でも、ワタシ達に出来る事…ここでは、少ないですね…?」

美穂「……私達って、ホントに何も出来ないんだなぁ…」

茜 「当然です!私達はアイドルですからね!」

美穂「…クスッ…。そう、だよね…」

茜 「あぁ!そうと決まれば、出撃に向けて英気を養いましょう!」

アーニャ「ワタシ達で、大漁、ですっ♪」

美穂「ふふっ。茜ちゃん、またすぐ走り出さないでくださいね?」

茜 「はいっ!善処します!」

 

━━━。

 

━━ 早乙女研究所。

 

かな子「……」

未央「みむっち、今日からシミュレータでの練習を始めていくよ」

かな子「はいっ!よろしくお願いします!!」

未央「うん!作戦開始まで4日…。みむっち自身の方ではそれなりに形になってきてはいるから、あとはその感覚をゲッターに活かすだけだよ」

かな子「はいっ!出来る限りで、やってみせます!」

未央「よし、それじゃあ特訓開始だ!しまむー、シミュレータをスタートさせて!」

 

卯月『分かりました!2人の健闘を祈ります!』

 

ブゥン…

 

かな子「!? ゲッタードラゴンが相手ですか!?」

未央「みむっちには悪いけど、時間がないからいきなり実戦形式でやらせてもらうよ!」

かな子「それ以前に、未央さんドラゴンを扱えるんですか!?」

未央「多少の違いはあれど同じゲッターだからね!シミュレータくらいなら、私にでも!」

凛 『シミュレータでも性能のデータは実機とほぼ同じなんだ。動かしてるのが未央だからって油断してると返り討ちに合うよ!』

かな子「了解です!」

未央「しぶりんが地味に酷い…」

かな子「やぁ!」

未央「ん? おっと━━」

 

正面から突っ込んできたゲッターポセイドンを怯なす。

 

かな子「えい!えい!えいっ!」

未央「甘いよみむっち!そんな大振りに動いたんじゃ、百鬼メカだって捕まってくれないよ!」 ブンッ

 

ゲッタードラゴンの放ったローキックが、ゲッターポセイドンの足を払い、転倒させる。

 

かな子「あうっ!」

未央「さ、早く立ち上がって!特訓はまだ始まってもいないよ!」

かな子「うぅぅ…!うわあああ!!」

 

両手を地に着けて、跳び跳ねた動きですかさずゲッタードラゴンに組み付く。

 

かな子「えぇーーいっ!」

未央「……えい!」

かな子「きゃっ…!」

 

組み付いた勢いで、大雪山おろしに持っていこうとした、ゲッターポセイドンの軸足を再び払い、逆サイドへと転げ倒す。

 

かな子「うぅ…!」

未央「踏み込みが足りん!」

未央「その時の運や勢いで出来るほど、大雪山おろしは簡単じゃないよ!」

かな子「…す、すいません…!」

未央「謝るより先に立つ!本番の相手はドラゴンより巨大な化け物なんだから、ドラゴンくらい簡単に投げられるようにならなきゃ免許皆伝には程遠いよ!」

かな子「は、はいっ!」

未央「それじゃあもう1回最初から!」

かな子「はい!」

 

卯月「…スゴい熱と迫力ですね…。未央ちゃん」

凛 「そりゃ、あと4日で後輩に大雪山おろしを授けなきゃいけないわけだし。未央なりにも焦ってるんでしょ?」

卯月「向こうの方では、施設の設置が終わってる頃ですか…」

凛 「うん。確か今日から晶葉や橘博士も立ち会って、起動試験が始まるはずだよ。それで問題がなければ、後は私達だけだ」

卯月「大雪山おろしを扱い慣れてもいないのに、いきなりピンポイントに投げ込むなんて…」

凛 「無茶でもやるしかない。実力で足りない分は、後は運に頼るしかないよ」

卯月「今更ですけど、本当にかな子ちゃんがやらきゃいけないのかな?今回だけポセイドンに未央ちゃんが乗るとか…」

凛 「最初に合体してから、未央を乗せれば、出来るかもしれないけど。でも、今日みたいな状況が、今回だけとは限らないから」

卯月「…この後の、先の事を考えてって事ですか?」

凛 「そんな時、都合よく未央がいてくれるとは限らないから。これはかな子の為でもあるし、これから先の事為でもあるんだよ」

卯月「でも、体を壊したら何にもならないですよ…。せめて私達にも何か出来る事があれば…━━そうです!」

凛 「何処に行くの?」

卯月「お茶とお菓子を用意するんです!何時もかな子ちゃんがしてくれた事、今こそ返さなくっちゃ!」 タタッ

凛 「行っちゃった…。まったく、何かしてないと落ち着いていられないんだから…」 フフッ…

 

凛 「━━ん?…博士から通信…?まさか…!」

 

早乙女『━━凛くん、訓練は順調かね?』

凛 「…良好とは言えないね」

早乙女『そうか…』

凛 「何かあったの?」

早乙女『うむ。実はドラゴノザウルスが進路を変え、プラズマディファレーターを設置している無人島に接近しておる』

凛 「いきなり…?どうして…」

早乙女『詳しい事は分からん。施設設置の為に船舶が複数出入りしているところを感付かれたのかもしれん』

凛 「島に向かう船舶の燃料を狙って、って訳…。陽動艦隊、ゲッター斬はどうしてるの?」

早乙女『あぁ、タイミングの悪い事に百鬼帝国の勢力に遭遇してな。ゲッター斬はそっちの対応に追われている』

凛 「百鬼帝国…!…ここ暫く大人しかったのに、いきなりだね」

早乙女『元々こちらの都合に合わせてくれる連中ではない。現状を踏まえ、作戦本部はドラゴノザウルス殲滅作戦を強行すると決定した』

凛 「本当に…?プラズマディファレーターも、今日設置が終わったばっかなんだよね?試運転もなしに、ぶっつけ本番でやる気?」

早乙女『仕方あるまい。ゲッターを欠いた今、陽動艦隊にドラゴノザウルスの進路を変えさせるだけの余力は残されていない』

早乙女『それよりも問題は…』

凛 「私達だね」

早乙女『…そうじゃ。プラズマディファレーターが上手く作動しても、大雪山おろしが成功しなければ意味はない』

凛 「やってみせるよ」

早乙女『……その言葉、信じてもいいんだな?』

凛 「私達はゲッターチームだから。出来ないなんて言ってられない」

早乙女『分かった。すぐに出撃準備に取りかかってくれ』

凛 「了解」

 

ピッ

 

卯月「凛ちゃん…」

凛 「聞いてたの?なら、話は早い」

卯月「いくらなんでも無謀です!」

凛 「不測の事態は、想定してたはずだよ」

卯月「でも、何も今強行しなくても…!」

凛 「いや、今じゃなきゃダメなんだ」

卯月「どうして…?」

凛 「ドラゴノザウルスが島に向かってるって事は、少なくとも島が戦場になる」

凛 「もし万一でも、プラズマディファレーターが破壊されるような事になれば、次はいつ作戦を決行できるか分からない」

凛 「チャンスは二度、ある訳じゃない私達は1回のチャンスに全力を尽くすしかないんだよ」

卯月「……」

 

凛 「かな子、未央特訓を中止して。出撃だよ」

かな子『出撃って…、どういう事ですか?』

凛 「状況が変わったんだ。作戦の結構が早まった」

未央『マジぃ…?まだ大雪山おろし半分も完成してないよ?』

凛 「でも、やるしかない」

かな子『……』

卯月「かな子ちゃん…」

かな子『分かりました。すぐに出撃の準備をします』

卯月「!! 良いんですか!?」

かな子『よ、良くはないです…。不安だけど…不安で一杯だけど、でも、ゲッターに乗って戦うってそういう事の連続だと思うから…!』

かな子『だから、やります!大雪山おろし…ぶっつけ本番で、完成させます!』

未央『いよっ!よく言ったみむっち!みむっちももう立派なゲッターチームの一員だね』

かな子『そ、そうですか…?』

未央『そ!だから最後に、大雪山おろしを成功させる一番のコツを教えてあげる!』

かな子『コツ…。何ですかそれは…!』

未央『ふふふ…!それはね~…ズバリ!気合!!』

かな子『き、気合ですかぁ?!』

凛 「未央も、はじめはそれで大雪山おろしを成功させたわけだしね。以外と洒落になってないかも」

かな子『そ、そうなんですか…。分かりました!私、気合で頑張ってみます!』

凛 「よし、ゲッターGチーム、出撃だよ━━!」

 

~~~ 無人島 ~~~

 

━━ ガキンッ

 

アーニャ「…っ!」

美穂「アーニャちゃん大丈夫!?」

茜 「空気を読まないのは察してましたが、こんな時でも弁えないとは思いませんでした!」

「はははっ!俺もブライ大帝直々の命令で、あの古代生物の捜索に出て、まさか貴様らがこんな事してるとは思いもしなかったぜ!」

 

黒塗りの百鬼メカがゲッター紫電に迫る。

 

「大したもんだぜあの古代生物はよ!あれを本格的に俺達の制御下におけりゃあ、ゲッター打倒だって夢じゃねぇぜ!!」

「だがその前に、テメーの首はこの闇竜鬼が獲る!そうすりゃ俺にも箔が付くってもんだ。もう他の百鬼衆共にも笑わせやしねぇ!」

茜 「残念ですが!私達の首はそんな叩き売りはしていませんので!」

アーニャ「ゲッター影分身!!」

 

ゲッター紫電が無数の分身の中に掻き消える。

 

闇竜鬼「ふん!上だな」

アーニャ「!?」

 

正確に打ち出された右腕のチェーンアンカーが、急降下で迫ったゲッター紫電に突き刺さる。

 

アーニャ「アァッ!?」

 

姿勢を崩され、地に叩き落とされるゲッター紫電。

 

闇竜鬼「俺のメカ闇竜鬼は、全身がレーダーの役割を持っている。小細工は通用せん!」

茜 「くぁ~~!ゲッター紫電では相性が悪いですか!?」

美穂「向こうの反応も早いし、おまけにレーダーに映りにくくて、しっかり見てないと見失っちゃいます!」

アーニャ「おそらく、あの黒い色が、特殊な塗料なのでしょう…。本来は隠密行動用なのでは…」

茜 「両腕のアンカー以外は武器らしいものも装備してませんしね!」

美穂「相手のレーダーを掻い潜って近付いて、アンカーで捕縛する…?」

アーニャ「Да…きっと、ドラゴノザウルスを捕縛するために出てきたんですね…」

茜 「烈火にチェンジしますか!?」

アーニャ「Нет…相手が捕獲に優れていると推測できる以上、1対1の状況で、チェンジするのは危険、です」

美穂「じゃあ、このまま紫電で戦うしか…!」

闇竜鬼「お喋りはそこまでにさせてもらうぜぇ!!」

アーニャ「っ!!」

 

射出されたチェーンアンカーを寸でで躱す。

 

アーニャ「…蛇旋光!」

闇竜鬼「チィ…ッ!前が見えん!」

 

蛇旋光を広範囲に放って目眩ましにし、ゲッター紫電はその中を正面から突っ切る。

 

アーニャ「千極針ッ!!」

闇竜鬼「くぅ…!?」

 

咄嗟に身を仰け反らせたメカ闇竜鬼の表面を千極針が削る。

 

茜 「やりました!小細工がダメなら、正面からに限りますねっ!」

 

≪グギャォォォオオ!!≫

 

アーニャ「いけない…!ドラゴノザウルスが…!」

美穂「だ、大丈夫ですっ!」

 

ゴォオッ━━!!

 

美穂「Gチームが来ました!」

 

━━。

 

かな子「チェンジ、ポセイドーーン!!」

 

空中で合体したゲッターポセイドンが海中へ潜行する。

 

ドラゴノザウルス≪……≫

卯月「間近で見ると更に大きく見えますね…!」

凛 「これは、未央達も苦戦する筈だよ。かな子、まずは落ち着いて攻めるよ」

かな子「はいっ!…落ち着いて…深呼吸……」

橘 『Gチームの諸君。聞こえているかね?私だ。橘だ』

卯月「橘博士!」

橘 『今こちらで、プラズマディファレーターのエネルギーをチャージしている最中だ』

橘 『装置を作動させるには後10分は掛かる。それまでなんとか時間を稼いでくれ』

卯月「了解です!」

凛 「聞いた通りだ。先ずは10分、こいつの足を止めるよ」

かな子「足を止めるって言っても、1機だけでどうやって…」

凛 「ポセイドンのパワーと火力を信じる!」

かな子「わ、分かりましたぁ!」

 

凛の言葉に気圧されるように、ゲッターポセイドンをドラゴノザウルスに飛び込ませ、

 

かな子「えぇいっ!」 ガンッ

 

その顔面に、渾身の拳を叩き込む。

 

ドラゴノザウルス≪ギャアアアッ!!?≫

卯月「入った!?」

かな子「い、いえ…!あの表面、何か柔らかくて…手応えがありません!」

ドラゴノザウルス≪キシャァァァアアッ!!≫

凛 「かな子避けて!」

かな子「え…━━きゃああ!」

 

反撃と言うように、真横から打ち込まれた触手の竜頭の一撃がゲッターポセイドンを打ち据える。

 

かな子「うぅ…」

卯月「流石ゲッターポセイドンですね…。あれ一発くらいじゃ、機体はビクともしません…」

凛 「一発くらいじゃ、ね。何発も喰らうとそうはいかないよ。かな子!」

かな子「は…はい!」

 

態勢を立て直し、ゲッターポセイドンを海中で浮遊させ、追撃に襲い掛かる竜頭を躱していく。

 

かな子「うぅ…っ!ストロングミサイル!!」

 

正面に迫った竜頭に、ストロングミサイルを抱え、叩き込む。しかし、

 

卯月「ダメです!すぐに再生が始まってます!」

かな子「こ、これじゃあ数が多すぎてじり貧ですよぉ!!」

凛 「弱音は最後の最後に吐く!取り敢えず距離を開けて!」

かな子「り、了解!」

 

足裏のスクリューを使い、大きく後ろへ後退。岩礁へ足を着ける。

 

凛 「そこでゲッターサイクロン!」

かな子「ゲッターサイクロン!!」

 

ゲッターサイクロンが海中に作り出した海流の乱れが、竜頭の挙動を乱す。

 

かな子「これは…」

凛 「これで向こうの触手の攻撃は凌げる」

ドラゴノザウルス≪グギャァァアアア!!≫

卯月「ドラゴノザウルスが、触手を大きく開いて…!」

凛 「マリン・ボルテックスが来る…!かな子!」

かな子「はい!」

 

両足をキャタピラへと変形させて、ゲッターポセイドンが海底を駆ける。

 

ドラゴノザウルス≪ギャオォォオオ!!≫

 

ドラゴノザウルスの下部から放たれたマリン・ボルテックスが、海底を打ち、岩礁を抉る。

 

卯月「うぅ…。スゴい引力…。引き込まれます…!」

かな子「でも、ポセイドンのパワーなら…!」

 

ひたすら操縦桿を前に倒し、強引にマリン・ボルテックスの引力から抜ける。

 

かな子「レバーが軽くなった…?な、何とか…」

卯月「反応が遅れてれば、私達もあんな風に…」

 

海中を漂う岩塊に視線を送る。

 

凛 「言ってる場合じゃない。まだ戦闘中だよ。気を引き締めて!」

かな子「は、はい…!」

 

ドラゴノザウルスに向き直る。

 

凛 「…プラズマディファレーターの方は、順調だといいけど…」

 

━━。

 

闇竜鬼「成る程!それがお前らの狙いか!」

美穂「あ!百鬼メカがプラズマディファレーターの方に!」

アーニャ「行かせません!」

 

メカ闇竜鬼の正面に立ちはだかる。

 

闇竜鬼「どきな!」

 

メカ闇竜鬼の剛腕が、ゲッター紫電を打ち据える。

 

アーニャ「キャアッ!」

茜 「無茶です!ゲッター紫電では、耐久戦は持ちこたえられません!」

アーニャ「……それでも、コレは破壊させません!」

 

ゲッター紫電を起こし、メカ闇竜鬼に向かい、千極針を突き出す。

 

アーニャ「ハァ!!」

闇竜鬼「!」

アーニャ「!?」

 

腰を屈め、ゲッター紫電の攻撃を躱し、

 

闇竜鬼「━━フンッ!」

 

下から打ち上げるように放ったアンカーの拳が、ゲッター紫電の鳩尾にめり込む。

 

美穂「あ…きゃっ━━!」

 

衝撃が、金剛号のコックピットに走る。

打ち上げられたゲッター紫電は、空中で大きく弧を描いて地面に急落下。全身を激しく打ち付ける。

 

アーニャ「ウゥ…。ミホ…ケガないですか…?」

美穂「━━…わ、私は大丈夫…。体丈夫だから…。えへへ」

茜 「しかしマズイですよ…!相手がプラズマなんとかの方に向かってます!」

美穂「は、早く何とかしなくちゃ…!アーニャちゃん!」

アーニャ「подождите…!今、再起動を…!」

闇竜鬼「うらっ!!」 バゴッ

茜 「プラズマなんちゃらが!」

美穂「鉄塔が1本でも破壊されたら…。アーニャちゃん!」

アーニャ「待って…ください…!足が地面の隙間に挟まってしまって…!」 ガンッ ガンッ

 

闇竜鬼「これで終わりだぁ!!」

アーニャ「…!…っ!」

 

━━ブォンッ

 

闇竜鬼「ぐはっ!?」

美穂「あれは━━!」

茜 「ゲッタートマホークです!!」

美穂「でも、ゲッター斬とゲッターG以外で動けるゲッターなんて、研究所には…」

アーニャ「あのトマホークは…まさか━━」

 

アーニャ「ダイノゲッターロボ!?」

 

闇竜鬼「ぐぅ…。ふふふ…、何者かと思えば、人間共に敗北したトカゲ野郎のパチモノゲッターじゃないか」

ニオン「ふんっ。卑怯な手しか使えん鬼共には、その品のない姿はお似合いだな」

闇竜鬼「何を…!」

アーニャ「キャプテン…ニオン…!」

美穂「ニオン…さん…。それがあのゲッターのパイロットの名前…?」

茜 「恐竜帝国のゲッター…何ですか!?それがどうして私達を…!?」

ニオン「勘違いするな」

ニオン「俺は、百鬼帝国とやらの実力がどんなものか、一度手合わせしてみたかっただけだ」

「素直ではないのでしてー」

茜 「何です!?女の人の声…!?」

ニオン「お前は黙っていろ、芳乃。今からでも3号機のコックピットから引きずり下ろしてもいいんだぞ」

芳乃「それはー、あまりいい判断ではないと思いましてー。だいのゲッターの性能が下がってしまいますよー?」

ニオン「……」

ニオン(…確かに、芳乃を乗せてからダイノゲッターのゲッターエネルギーが上昇している…。何者なんだ…?こいつは)

芳乃「他の何者でもなくー。芳乃は芳乃でしてー」

ニオン「……チッ」

ニオン「何をしている女ゲッターロボ!とっとと分離しろ!分離すればそこから抜けられるだろう?」

茜 「ダイノゲッターが百鬼メカの注意を引いてくれれば、ゲッターチェンジする時間ができます!」

アーニャ「信じるしか、ありませんか…!」

 

アーニャ「オープンゲット!」

 

闇竜鬼「ゲッターめ!好きにはさせんぞ!」

ニオン「貴様の相手は俺だ!」

 

ダイノゲッター1が、メカ闇竜鬼に飛び込む。

 

闇竜鬼「ぐっ…!こいつ、ロートルゲッターの当て馬の癖に…!」

 

組み付いたダイノゲッターを、一本背負いの要領で投げ飛ばす。

 

ニオン「チィッ…!」

闇竜鬼「貴様が望むのならばその通りに…!」

ニオン「!?」

闇竜鬼「一番先に葬ってやるよ!」 ズワッ

 

茜 「チェンジゲッター!烈ッ!火ァ!!」

 

茜 「火斬刀!!」

 

ガキンッ

 

ダイノゲッター1に降り下ろされようとしたアンカーアームの一撃を火斬刀が受け止める。

 

ニオン「貴様…!」

茜 「これで貸し借りはなしです!」

茜 「でやっ!!」

 

受け止めた腕を払い上げて吹き飛ばす。

 

闇竜鬼「このぉ…!」

ニオン「海の化け物がこっちに迫っている!さっさとケリを着けるぞ!!」

芳乃「2つの力を合わせましょー」

茜 「合体光線ですね!分かりました!!」

闇竜鬼「1機増えたくらいで…調子に乗るなぁ!!」

ニオン「…バカめ。━━ゲッタービームッ!!」

茜 「斬っ!魔光ぉ!!」

 

2機のゲッターから放たれた2つの閃光が、走り、飛び込んできたメカ闇竜鬼を貫いた。

 

闇竜鬼「…お、俺だって百鬼衆の1人なんだぞ…。こんなところで…!俺がぁ!!」

ニオン「終わりだ!」

茜 「ボンバーーーーッ!!」

闇竜鬼「が…が、があああああぁぁぁぁああああ!!?」

 

爆炎。

辺り一帯に熱と衝撃が広がり、メカ闇竜鬼は黒煙となって消滅した。

 

茜 「やりました!逆転勝利!!貴方のお陰です!!ありがとうございました!!」

ニオン「…驚くほど素直な奴だ」

芳乃「様々形はありましてー。彼女のようにー、そなたとも歩み寄る事もできましょー」

ニオン「人間に降れと言うのか?」

芳乃「降るのではなくー。手と手を取り合いー、共に歩むー、友であるならばー」

ニオン「……ふん」

 

アーニャ「ドラゴノザウルスが来ます。ワタシ達も早くここを離れましょう」

美穂「かな子ちゃん、大丈夫かな…?」

茜 「大丈夫です!心配は要りません!かな子さん達ならば、絶対やってくれますから!!」

 

━━。

 

かな子「━━きゃあ!?」

卯月「かな子ちゃん、しっかり!」

かな子「はいっ!ゲッターサイクロン!!」

 

横倒れになったゲッターポセイドンに牙を剥いて襲い掛かった竜頭をゲッターサイクロンで制し、

 

かな子「えぇーい!」

 

渾身の力で殴り飛ばす。

 

かな子「どれだけ相手しても、数が多くてキリがありません!」

凛 「…博士!プラズマディファレーターはどうなってるんです!?」

橘 『凛くん。少々のトラブルはあったが、問題はない。プラズマディファレーター、いつでも作動可能だ』

卯月「百鬼メカも茜ちゃん達が退けてくれたんですね!」

凛 「聞いた通りだ!かな子、特訓は不十分だったと思うけど…」

かな子「はい…!強引に行っちゃいます!」

凛 「投擲ポイントはこっちで指示するよ。それまでを、お願い」

かな子「…未央ちゃんの大雪山おろしを……」 グッ

 

操縦桿を握る腕に力を込めて、ゲッターポセイドンを加速させる。

 

ドラゴノザウルス≪グルァアアッ!!≫

卯月「~~~!」

凛 「…っ!」

かな子「あぅ…!ま…まだまだぁ~~!!」 グワッ

 

打ち付ける竜頭が、ゲッターポセイドンの装甲に歪みを生じさせる。

が、勢いは決して衰える事なく、ゲッターポセイドンは進む。

 

かな子「えいっ!捕まえました…!」

 

ドラゴノザウルスの中央の顔面を抑え、海底に1度叩き付ける。

 

かな子「落ち着いて…。後は、気合で━━!」

 

ドラゴノザウルスの表面に拳を突き入れ両腕を安定させ、地に足を着けたゲッターポセイドンが、足裏のキャタピラで回転を始める。

 

かな子「う、う…うぅぅぅぅ~~!!」

卯月「良いですよかな子ちゃん!その調子です!」

凛 「口閉じて!舌噛むよ!」

かな子「うわぁ━━!うわあああああああ!!」

ドラゴノザウルス≪グギャァァアアア!?≫

 

やがて回転は速度を増し、海底に巨大な竜巻を生んで、周囲の岩礁を穿った。

 

━━。

 

橘 「こ、これは…!」

晶葉「あれだけの巨大生物を回転させれば、海上にも影響が出るか…!」

橘 「だがこれは、我々の予測以上だ!」

晶葉「それだけかな子が頑張ってくれていると言う事でしょう?私達も早く避難を!」

橘 「やむをえん、プラズマディファレーターは時限装置で作動させよう」

 

茜 『晶葉さん!橘博士!まだそこにいますか!?』

 

晶葉「茜…!ゲッター烈火か!」

美穂『今避難しても、あの津波からは逃げられません!』

茜 『ですから、ゲッター斬に乗ってください!早く!!』

晶葉「そうか…。分かった。すぐ行く。橘博士!時限装置は?」

橘 「……。よし、大丈夫だ。これで30秒後に作動するはずだ」

晶葉「でしたら、早く!」

橘 「うむ。かな子くん、後は頼む」

 

━━。

 

かな子「うわあああ~~~!!」

凛 「……」

卯月「……」

かな子「~~~!!」

凛 「━━今だ!」

かな子「ッッ!大~雪ぅ~山…!おろしぃぃぃ~~!!」

 

凛の示したタイミングで、豪快にドラゴノザウルスを海上へと打ち上げた。

 

ドラゴノザウルス≪!!?≫

かな子「たぁっ!!」

 

ドラゴノザウルスを追いかけ、プラズマディファレーターのポジションへと、殴り飛ばす。

 

橘 「3…2…1……!」

アーニャ「プラズマディファレーターが作動します…!」

卯月「!?」

 

瞬間、巨大な青白い閃光が辺り一面を照らした。

 

ドラゴノザウルス≪クキャァァァアアッ!?≫

晶葉「成功か!?」

茜 「眩しすぎて何も見えません!!」

凛 「プラズマディファレーターは正常に作動してる…!ドラゴノザウルスが焼けてるよ!」

かな子「やったんですか…?これで、本当に…」

ドラゴノザウルス≪キャァァァアアア…!!≫

卯月「━━…いえ、待ってください!」

 

メカ闇竜鬼の攻撃を受けた1本の鉄塔が、大きな火花を上げる。

 

晶葉「くっ…!もう少しだけ持ってくれ…!」

橘 「いかん!鉄塔が爆発する!」

 

爆発と共に鉄塔が崩れ、バランスを失ったプラズマディファレーターが強制的に停止する。

 

凛 「ドラゴノザウルスは…!」

 

ドラゴノザウルス≪……グァァ…≫

 

橘 「信じられん…!あれだけのプラズマにさらされながら、まだ生きているとは…!」

卯月「かな子ちゃん!ドラゴンに変わってください!」

かな子「卯月ちゃん!?」

卯月「あと少しで、倒せるはずなんです!だったら、ゲッタービームでトドメを刺します!」

かな子「分かりました!」

かな子「オープンゲット!」

 

茜 「私達もお供しますよ~!」 グワァ

 

卯月「チェーーンジ、ドラゴンッ!!」 ガキィン

 

茜 「斬魔光!!」

卯月「ダブルゲッタービィィーームッ!!」

 

2筋の閃光がドラゴノザウルスに照射され、青白い光に包まれていた無人島は、今度は薄緑のゲッター線の光に包まれる。

 

ドラゴノザウルス≪!!!!≫

 

巨大なキノコ雲を生む爆発となり、ドラゴノザウルスは無人島と共に太平洋の海に沈んだ。

 

卯月「……」

晶葉「作戦は成功だな」

凛 「そうだね…。これでこの海域も、また穏やかになる」

アーニャ「もう、巨大生物の脅威に、誰も、怯えなくていいんですね?」

茜 「また私達の相手は、百鬼帝国だけになったわけですか!」

美穂「うん…。でもなんだか、ちょっとだけ可哀想…」

橘 「うむ。言わば、ドラゴノザウルスも現代の被害者だったのだからな」

かな子「私達が環境破壊を続ければ、またドラゴノザウルスみたいな巨大生物が、現れるかもしれませんね…」

橘 「そうならんように、我々は変えていかなければならない人類そのものの在り方を…━━」

 

━━。

 

ニオン「━━フンッ」

芳乃「挨拶はよろしいのでしてー?大切な人がいるのでしょー?」

ニオン「大切な者など何処にもいない。それに、『今はまだその時ではない』んだろう?」

芳乃「然りー。わたくし達と竜の戦士達が刻を同じくするにはー、まだ少々ー、時期尚早でしてー」

ニオン「ふん。お前が何を考えているかは知らんが、そうそう思う通りになどなりはしないぞ」

芳乃「わたくしの意思などはそこにはなくー。あるのはー、巨大な意思のうねりの中にあるー、定め、でしてー」

ニオン「巨大な意思、か。あいつらは、それに飲み込まれていくだけか」

芳乃「今は見守りましょー。竜の子らが、真の戦士となるその時までー」

 

━━━━ 。

 

つづく

 




次回予告!!

ある日、衛星軌道上で破壊された落下物に付着していた物体は、未知の生物の細胞だった。
未知の生物の正体とは何か?それを突き止めるため、Gチームは早乙女博士と共に、連絡を絶ったゲッター線観測施設を目指し、月へと飛んだ!

次回!1 ゲッターロボ×CG 第2部

第14話『ゲッター宇宙へ!未知なる遭遇!!』に、チェンジゲッター!
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