ゲッターロボサーガ デレマス版   作:E.T.c

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第17話『その名は真ゲッターロボ!』

 

李衣菜「ウゥ…ッッヒョォォォーーー‼エンジン新しくして、私の可愛い娘ちゃんはますます上機嫌だね…っと!」

 

雲1つない快晴の空を、ネオイーグル号が飛行機雲を生んで上昇していく。

 

奈緒「おいっ!相変わらずだけど調子乗んなって!今日はお前の慣熟飛行も兼ねてるけど、1番の目的はネオゲッターを新早乙女研究所に運ぶ事だっての、忘れるなよなぁ‼」

李衣菜「分かってるって!未央が抜けた穴埋めるためにも、早くゲッターに慣れないとね!」

 

ギュォオオ…ン…ッ

 

奈緒「…っはぁ~~…。全っ然分かってないって…」

加蓮「ふふっ。結成早々気苦労?奈緒」

奈緒「あのなぁ…。ゲッター壊されて1番困るのはあたしらだろー」

 

李衣菜「ヒャッハー‼」

 

奈緒「……ったく、アイツをパイロットに推薦した奴誰だよ」

加蓮「んー…、消去法じゃない?」

奈緒「畜生…。消去法で貧乏クジかよ~~~‼」

 

~~~ 新早乙女研究所 所長室 ~~~

 

晶葉「━━…だから、それは報告書の通りだと言っているだろう?」

 

晶葉「何?話が違う?それならこちらも同じ事をそっくりそのまま同じ言葉をお返しするぞ」

 

晶葉「いいか?今は本人がいないだけで、私の言葉は早乙女博士本人の言葉と受け取ってもらわなければ」

晶葉「その為の利権と保証を、博士から預かっている。それを証明して見せろ?なら、博士に直接連絡を取ってみるんだな」

 

晶葉「━━…取れるものならば、だがな」 ボソッ

 

晶葉「ともかく、そちらが今示した意向を撤回しないなら、こちらにだって考えがある」

 

晶葉「いいか?ゲッター線の研究とゲッターロボの開発技術は今は我々が独占している」

晶葉「何れゲッターG開発技術を、国連経由で世界に提供するにしても、そのオリジナルは我々が保有していると言うことに変わりはない」

晶葉「ふむ…。これを言っても分からないか?ゲッターの技術を、世界に向けて売り出せば、買いたいと言う人間ぐらい、すぐに見つかる」

晶葉「分かるな?取引先は、いつでも変えられる」

晶葉「尤もその場合、この国の安全は保証できませんがなぁ?」

 

晶葉「……」

 

晶葉「そうだ。はじめからそう言っていればいいんだ。全く、無駄な時間を取らせるな」

 

ガチャンッ

 

晶葉「……子供が相手だと思って足元を見おって…」

 

コンコン

 

晶葉「…誰だ?」

凛 『晶葉?私』

晶葉「凛か…。開いている」

凛 「失礼するよ」 ガチャッ

晶葉「外が騒がしかったようだが?」

凛 「あぁ、ちょっとだけ面白いものがね」

晶葉「面白いもの?」

凛 「李衣菜がネオイーグルの新型エンジンをオーバーヒートさせて、機体を空中3回転させて新研究所の敷地内に墜落。迫力満点のアクロバット・ショーだったよ」

晶葉「……。新型エンジンはまだデータが少ない。丁重に扱ってもらいたいものだがな」

凛 「荒れてるね。さっきも扉の向こうから、物騒なのが聞こえてたけど?」

晶葉「外まで漏れてしまっていたか…、いかんな…」

凛 「相手はまた政府の?」

晶葉「あぁ。言ったことも、無論ただの脅しだよ。連中だってそこは分かっていると思うが」

凛 「それでも予算の削減って?全く懲りないんだね…」

晶葉「政府としても、軍の再編成だけでなく、地域の復興、インフラ整備…、政治の仕事には金が掛かる」

凛 「けど、百鬼帝国がいる限り、いくら復興を急いだって。インベーダーだって出てきてるんだし」

晶葉「敵を倒せ悪を蹴散らせだけで、求心力の得られない時代だ。戦わない人間にとっては、悪を倒して得られる平和より、今目先の安全の方が大事なものだ」

凛 「それで復興を銘打って自分の得点稼ぎ…。全く逞しいんだね、政治家って」

晶葉「そうでなければ国民の暮らしを預かって、政など出来はしない。連中の頭の下げる相手は、その辺にいる中間管理職のサラリーマンより多いかもしれない」

凛 「…この戦いの先を見据えているだけ、前向きってことなんだね」

晶葉「それが例え自身の地盤と地位を維持するだけのものでもな。政治家と言うのは実際に戦っている私達よりも明確に、平和と言う結果を国民に見せなければならない。彼らも彼らで苦しんでいるのさ。だからと言って、私達への支援を打ち切らせるつもりは、毛頭ないがな」

凛 「平和は黙ってるだけじゃ得られない、ね。特に今の時代は。息苦しいね、何か…」

晶葉「戦争と平和は二律背反という事だ。平和を守るために武装した筈が、何時の間にか誰かの平和を奪っている」

凛 「私達みたいに?」

晶葉「……すまないな」

凛 「こっちこそごめん。別に晶葉が悪いわけじゃないよ」

 

パイロットヲダスゾー リーナァブジカァ!? ヘヘッ、スイマセン… コノバカヤロウガァ‼ ギャーッ!!?

 

晶葉「李衣菜が救出されたようだな」

凛 「機体の方も損傷は軽いみたいだし、ギリギリでダメージ・コントロールできたみたいだね」

晶葉「土壇場と咄嗟の時の判断力は、凄まじい奴だ」

凛 「本人自体、無駄にタフにできてるみたいだしね」

晶葉「”ロック”だけにか?」

凛 「……」

晶葉「コホン…それで、凛の方の用事はなんだ?」

凛 「あぁ、これ。この間やったパイロット全員のバイタルチェックの結果と、チーム別の訓練の報告書」

晶葉「むっ、すまないな。凛にもこんな管理職みたいな事をさせて」

凛 「別にいいよ。こう言うのも、職業体験みたいなものだし。ね、晶葉所長?」

晶葉「嫌味のつもりか?…所長代理だ」

凛 「もう所長みたいなものでしょ?あれから博士から連絡は?」

晶葉「…昨夜一度だけあったな。研究所移設の、進捗状況の確認のようなものだったが」

凛 「…早乙女博士はさ、今、何してるんだろうね?誰もいなくなった研究所で、たった1人で」

晶葉「さぁな。昨日の電話も、心ここに非ず、という感じだった。きっと1人になって、誰にも邪魔されず、研究に没頭しているんだろう」

凛 「目の前にある百鬼帝国の脅威に、宇宙からの敵…。博士も何かを感じてるって事だよね…」

晶葉「そうだな。様々な脅威に備えるためにも、私達は一層、ゲッター線を究明しなければならない。…そんなところに来ているんだな」

凛 「私達は今まで、ゲッター線に頼って戦ってきたけど、肝心のゲッター線の事は何も分かってない」

晶葉「…ゲッター線とは何か、か」

凛 「それ単体で何十倍にも増幅される無尽蔵の夢のエネルギー…。ただそれだけなら、どうして私達みたいな小娘が選ばれたの?」

晶葉「ゲッター線適正…。凛達はそう言われて、ゲッターに乗せられたのだったな」

凛 「それなら、ゲッターを量産する意味は何?」

晶葉「確かに、ゲッター線適正の話が事実なら、ゲッター量産化計画と辻褄が合わん」

凛 「……ひょっとしたら、ゲッター線適正、はじめからそんなもの無かったのかも…」

凛 「私達は、私達のプロデューサーや早乙女博士でもない、他の誰かに選ばれたとしたら…!」

晶葉「…やめよう。憶測で語るのは、好きじゃない」

凛 「…ごめん。熱くなりすぎた」

晶葉「いいさ。博士の手伝いじゃないが、私達にも何か分かる事があるかもしれない」

晶葉「ゲッター線とは何か、それを私達の方でも調べてみようじゃないか」

 

━━。

 

凛 「それじゃあ、私はそろそろ行くよ」

晶葉「引き留めて悪かったな。これからの時間は…レッスンか?」

凛 「うぅん。午後からだけでも、授業受けてこようと思って」

晶葉「真面目だな。私も、人の事を言ってはいられんか」

凛 「晶葉もたまには学校の友達に顔出してあげなよ。アイドル活動の方も、忙しくなってると思うけど」

晶葉「心に留めておくよ。どこに百鬼帝国が潜んでるかもしれない。道中は気を付けてな」

凛 「晶葉こそ。今の晶葉の敵は、百鬼帝国だけじゃないんでしょ?」

晶葉「心配無用だ。私には、コイツがいる」

 

ウサッ ウサッ

 

凛 「…ウサちゃんロボ…。使えるの?」

晶葉「コイツは護身用に開発した特別仕様さ。どんな仕様かは、お披露目する時のお楽しみだな」

凛 「そんな機会ない方がいいけど…。それじゃ、またね」

晶葉「あぁ、いってらっしゃい」

凛 「…ん。いってきます」

 

ガチャッ バタン…

 

晶葉「……ふぅ」

晶葉「…━━」

 

━━凛 『……ひょっとしたら、ゲッター線適正、はじめからそんなもの無かった…?』

━━凛 『━━…プロデューサーや早乙女博士でもない、他の誰かに選ばれたとしたら…!』

 

晶葉(そうなのか…?もしそうだとしたら、私達を選んだ誰かとは……。博士…━━)

 

晶葉(ん?…これは、卯月のバイタルチェックのレポートか…)

晶葉「? この数値は…━━」

 

~~~ 学校 ~~~

 

凛 (━━…早乙女博士…。日本が誇る宇宙開発研究者で、ゲッター線を発見、研究する第一人者か……)

凛 (……。ネットに書いてあるような情報はこんなのばっか)

凛 (ゲッター線にせよ、早乙女博士の事にせよ、一般常識程度の事以外は書かれていないか…)

凛 (1番近くにいた私達以上の情報なんて、はじめから期待するだけ無駄だったかも)

 

ツンツン

 

学友「凛…!凛…!」 コゴエ

凛 「…ん?何?」

 

「ン゛ン…ッ!」

 

凛 「…先生」

先生「久々に登校してきたと思えば、私の授業中に携帯とはいい度胸だな?」

凛 「……スマホですよ」

先生「機種の話をしているんじゃぁない!」 ガッ

先生「これは没収しておく。放課後職員室に取りに来なさい!」

凛 「……」

先生「分かったな…!?」

凛 「…はい」

 

━━ 放課後。

 

学友「いやぁ、災難だったね~、凛?」

凛 「そうでもないよ。悪いのは、こっちだし」

学友「お、発言は優等生。で、スマホ返してもらえた?」

凛 「うん。2、3小言付きで」

学友「うわぁ~…、くわばらくわばら」

学友2「気を付けなよ~?特に数学の佐山先生、凛に目付けてるから」

凛 「みたいだね。今度から気を付けるよ」

学友「にしても珍しいね?凛が授業中にスマホ見てるなんて」

凛 「ちょっと気になる事があって。そういう時って、悪いと思ってもやっちゃわない?」

学友「あー分かる分かる。どーしても気になる時って、あるんだよねー」

学友2「ふぅん?ね、そんな事より帰りどっか寄ってかない?」

凛 「うーん…。明日は朝から仕事だし、親にも顔見せたいから、あんまり遅くまでは、付き合えないけど」

学友2「お、いいよいいよ~。凛がいるってだけで、マンネリ化した女子会も盛り上がるから」

学友「それちょっとあたしに酷くない?」

学友2「まぁまぁ。それじゃあ、レッツゴー!だよ!」

凛 「…ふふっ」

 

━━━。

 

━━ そして夜。凛の実家。

 

凛 「━━うん、うん。もう分かったから!お弁当はいらないって!」

凛 「やんなきゃいけない課題残ってるから!それじゃ!」

 

バタンッ

 

凛 「…ふぅ、全く。帰ってくる度にお弁当用意しようとするんだから…」

凛 「明日は仕事終わったらそのまま研究所だから、家に戻って弁当箱置いてる時間なんてないのに…」

凛 (それで研究所の方に弁当箱溜まっちゃって…、アレ研究所引っ越す時一緒に持っていっちゃったなー…)

凛 (帰る時に持ってこようって思ってるのに、いつも忘れちゃうから、卯月達にも迷惑掛けて━━…)

 

━━卯月『研究所からお仕事に行く時に、これがあると食堂からおかず詰めてお弁当代わりにできて便利なんですよー♪』

━━かな子『そういう訳なので、またお弁当箱、借りちゃいますねっ♪』

 

凛 「……そうでもないかも」

 

ボフンッ

 

ベッドに横たわる。

 

凛 「……」

凛 (何だか、今日は何時もより疲れたな…。久々に友達に会って、騒いで…)

凛 (1年くらい前まで、アレが当たり前の日常だったはずなんだけど……)

凛 「…ヤバ……眠っ…。課題…やん…な、きゃ……」

凛 「……」 Zzz

 

━━━━━

━━━

━。

 

凛 『━━…ここは…━━』

凛 『━━夢?』

凛 『でも、何もない…。一体ここは…━━』

 

『━━ゲッターから離れた感想は、どうだった?』

 

凛 『誰ッ!?』

『誰でもいいだろう?…フッ、物足りないって顔じゃないな。まだ飢えてはいないか』

凛 『名前を名乗らないんだったら、顔ぐらい見せたら!?』

『ゲッターの事を知りたいんだろう?』

凛 『!?』

『今のお前さんには、何一つ知る事は出来んだろうがな』

凛 『何で!?何を根拠にそんな事を…!』

『お前さんの手は、もうどっちも一杯だからさ』

凛 『…手……?』

『…家族、学校、友人。そして、アイドル。お前は色んなモノを持ち過ぎているのさ』

『ゲッターに触れるには、お前が今持っている全てを捨てるだけの覚悟がいる』

凛 『全てを、捨てる…!?』

『お前さんはそっちの世界の”俺”だからな。いずれ分かるさ。島村卯月の事も』

凛 『卯月…?卯月がどうしたの!?』

『いいか。全てを知りたければ島村卯月を守れ。そして彼女と共に戦え!そうすれば自ずと答えに辿り着く』

凛 『ちょっと待って!どうしてそこに卯月がいるの!?卯月がゲッターに選ばれたのは、偶然じゃないの?』

『…そう、島村卯月が選ばれたのは、必然だ』

凛 『必…然……!』

『もう彼女はゲッターから逃れられない』

凛 『!? 逃れられないって…、どういう事…!?』

『全てはこれからだ、渋谷凛。島村卯月を守れ。それがお前がゲッターに乗る理由だ』

『お前が彼女と向かう先に、お前が求める答えがある…━━』

凛 『待って!まだ聞きたい事は…━━うっ…何…?…意識が…━━』

 

━━━。

 

凛 「━━…ッ!」 ガバッ

凛 「はぁ…はぁ…はぁ……。今のは…」

 

ハナコ「…クゥン…」

 

凛 「…ハナコ。入ってきてたの?」

ハナコ「ハッ…ハッ…」

 

ギュウ

 

抱えあげると、こちらを心配するかのようにじゃれついてくる。

 

凛 「ふふっ、くすぐったいよ。……」

凛 (全てを捨てる覚悟、か…)

 

ハナコ「…?」

 

凛 (あの声…、前に一度聞いた事がある)

凛 (…そう、ゲッターのオーバーホールで訪れた工場の社長…。確か、名前は……)

凛 「神…隼人…━━」

 

~~~ 翌日 某スタジオ ~~~

 

凛 「……おはよう…」

奈緒「おう、おはよう凛…って、どうした!?ひどい顔だぞ?」

凛 「ちょっと寝不足で……」

凛 (結局アレから一睡も出来なかった…)

加蓮「声も酷いし…。そんなんで大丈夫?」

凛 「大丈夫…。仕事になればスイッチ入るから…」

奈緒「ホントかぁ~?」

加蓮「ま、凛なら大丈夫でしょ~。要領いいし、慣れてるし」

奈緒「…それもそうだな」

奈緒「けど、本気で辛かったら言えよ~?今凛に倒れられたら、あたしらだけじゃなく、みんな困るんだからな」

凛 「うん、ありがとう」

加蓮「お、奈緒、お姉ちゃんみたい~」

奈緒「少なくとも2人よりは年上だよ!」

加蓮「そうだっけ?」

凛 「たまに忘れるよね」

奈緒「あぁもうとっとと行くぞ!3人揃って遅刻とか、恥ずかしいだろ」

加蓮「分かってるって。待ってよ~、奈緒ー?」

凛 「……」

 

卯月「…凛ちゃん?」

 

凛 「…あ…、卯月」

卯月「偶然ですね!…何だか、目の下に、スゴい隈が出来てますけど…?」

凛 「…奈緒達にも言われた。寝不足なだけだから、心配しないで」

卯月「そうですか?なら、いいんですけど…」

卯月「凛ちゃんに、奈緒ちゃんもここにいるって事は、トライアドプリムスのみんなで、撮影のお仕事ですか?」

凛 「うん。テレビ雑誌の表紙をね。そのあと、ちょっとしたインタビューもだけど。卯月達も?」

卯月「はい!私は美穂ちゃん響子ちゃん達と一緒に、週刊紙のグラビアです!」

凛 「そっか、頑張って」

卯月「はいっ!お互いに頑張りましょう!」

凛 「うん、それじゃ…━━」

卯月「撮影終わる時間が近かったら、一緒に帰りましょうね」

 

凛 「━━…卯月」

 

卯月「……はい?」

 

凛 「……いや、やっぱりなんでもない」

 

卯月「……?」

 

スタスタ…

 

━━『もう彼女はゲッターから逃れられない』

 

凛 (私は、何で…。卯月…━━)

 

~~~ 数時間後。ビルの外 ~~~

 

奈緒「う~~~…んっ!今日の仕事はこれで終わり~」

響子「本当におんなじ時間に終われるなんて、奇遇ですね」

加蓮「ふふっ、実はちょっと待ったんだけどね~」

響子「そうなんですか?」

加蓮「そ。凛がどうしてもって言うから」

凛 「仕事前に卯月にあった時、一緒に帰ろうって話してたし、私が仕事終わって様子見に行ったら、もう少しで終わりそうだったから」

美穂「な、何だか悪いです…」

奈緒「気にすんなよ!どうせあたしらはこれからフリーなんだし、ちょっと待つくらい大した事ないって」

加蓮「折角みんな集まってるんだし、これからどっか遊びにいかない?」

卯月「良いですね~!何処に行きましょうか?」

美穂「あ、私は、この後斬チームで夜間警戒班でお仕事が入ってるから、研究所に行かなきゃ」

加蓮「え~、残念」

美穂「ゴメンね?埋め合わせは、絶対するからっ」

凛 「あんまり気にしなくていいよ。警戒任務、頑張って」

美穂「うん。それじゃあ」

奈緒「おう、またな~」

 

響子「あの…、実は私も…」

卯月「響子ちゃん?何か予定があるんですか?」

響子「はい。予定って言うほど大袈裟なものじゃないですけど、お買い物と、明日の準備がちょっと…」

卯月「分かりました。それじゃ、また明日、ですね」

響子「はい。お疲れ様です!」

 

奈緒「…結局いつものメンバーが残ったな」

加蓮「アタシはこの面子でもいいけど、他に誰か誘ってみる?」

凛 「って言っても、みんな仕事だったりで、結局来れる人もいないと思うけど」

卯月「あ、それならさっき連絡来たんですけど、未央ちゃんも近くで仕事あったみたいですよ?連絡とってみますか?」

奈緒「結局いつものメンバーかぁ~」

 

━━ カラオケボックス。

 

未央「━━…ずっと強く、そう強く、あの場所へ~♪走り出そう~~!」

 

卯月「未央ちゃん上手です~!」 パチパチ

凛 「…で、何で私の歌?」

未央「いいじゃないしぶりん。カラオケ来てまで別に自分の持ち歌ってもないじゃん?」

凛 「それはそうだけどさ」

未央「って、次誰もいれてないの?」

加蓮「ちょっと休憩~。デュエットとかで結構歌ったし」

奈緒「こうしてゆっくりするのも久し振りだしな。ここ数日は研究所の移設で忙しかったし」

未央「そうだね~。私も何だか人の温もりが懐かしいよ」

奈緒「今は前の研究所で早乙女博士と2人だもんな」

未央「そーそー。早乙女博士に助手として引き抜かれちゃったからさ~」

加蓮「それにしても、何で未央なんだろうね?早乙女博士の仕事手伝ってる人って結構いるんでしょ?それこそ、晶葉だっていいわけじゃん?」

未央「まぁアキっちには新研究所の方を任せたいって、最初から博士は言ってたし、ホントの所員の人にも、アキっちのフォローをしてほしいってことでしょ」

加蓮「ふぅん、そんなもんなのかな…?」

未央「そうそう。でもさ、誰もいない食堂で1人で食べるご飯ってね、寂しいよ…?ただっ広い食堂でさ。支度も何も全部自分でやるの」

奈緒「それは…、寂しいな。確かに」

卯月「でも、何だかんだ言っても未央ちゃん、こっちの研究所にもたまに顔出してますよね?」

未央「うん。まぁ、基本は早乙女博士から連絡来たら顔出す感じだし」

凛 「一々移動するもの大変なんだから、そっちでずっと待機してればいいのに」

未央「え゛っ?…ヤだよ」

奈緒「何で?」

未央「えっ、それは~…その、何て言うかな~」

加蓮「煮え切らないな~。ハッキリ言っちゃいなよ」

未央「う~…ん…。変だと思わない?」

凛 「それは、言ってみないと」

未央「う~…ん…。実は、さ……」

卯月「はい…」

未央「幽霊、出るんだよね。最近。研究所に」

加蓮「はい?」

奈緒「未央、早乙女博士と2人っきりがそんなにイヤなのか?」

未央「違うって!本当なんだって!私見たもん!この目でハッキリと!」

未央「薄ぼんやりした変なのが廊下の角曲がっていくトコ!」

奈緒「薄ぼんやりって…、結局分かんないんじゃんか」

卯月「見間違いとかじゃ、ないんですか?」

未央「しまむーまで…。私はホントに見たの!信じてよ!」

奈緒「黙れ!お前は1週間の謹慎だ!」

加蓮「何それ?」

凛 「…ともかく、そんなにイヤなら、他の人に代わってもらえばいいんじゃない?」

未央「だから、そんなんじゃないって…。それに、博士の仕事の手伝いって、新型ゲッターのテストパイロットみたいなもんだから、他に代わりって言っても誰もいないし…」

卯月「えっ?新型ゲッター、ですか?」

未央「うん。あれ?私はてっきりしぶりんかアキっち辺りが知ってると思ったんだけど…?」

奈緒「何か聞いてるか?凛」

凛 「いや、私は何も…」

未央「へぇ~…。じゃあ博士はみんなに内緒にしてるんだ」

凛 「…具体的には、どんな事してるの?」

未央「どんな事って言われても…、コックピットに入って、起動試験とか、簡単な挙動とか。…変わった事はしてないと思うけど?」

凛 「……」

奈緒「けど、新しいゲッター造るだけなら、別に研究所分けなくてもよくないか?」

加蓮「研究所が動いてると、政府の目があったりして煩わしいんでしょ」

奈緒「そのゲッターの開発に専念したいってことか?」

未央「私が助手に選ばれたって言うのも、そういうのがあると思うよ?ほら私、腕に後遺症もあるから、健康なパイロットを抜くより、使いやすいんじゃないかな」

卯月「かもしれませんね。百鬼帝国の攻撃も激しくなってきてますし」

奈緒「そうだな。そういう意味じゃ、未央はテストパイロットに適任なのか」

未央「その通り!だから研究所がちょっと不気味でも、我慢して博士に協力しなきゃ!」

 

凛 「……」

 

卯月「凛ちゃん、どうかしたんですか?」

凛 「……。いや、何でもないよ。ごめん。次、私が曲いれてもいいかな?」

 

━━。

 

~~~ 旧早乙女研究所付近 ~~~

 

アーニャ「チェンジゲッター紫電ッ!」

 

合体を終えて着地したゲッター紫電と、早乙女研究所に襲来した百鬼メカが対峙する。

 

輪魔鬼「チッ…。随分反応が早ェじゃねぇか…」

美穂「哨戒中に、たまたま百鬼帝国に遭遇するなんて…」

茜 「それにしても、どうして百鬼帝国は前の研究所を狙ってきたのでしょう?」

美穂「単純に研究所が変わった事を知らないんじゃ?」

アーニャ「研究所の機能を移しても、まだここには、サオトメ博士が残ってます。やられるわけにはいきませんッ!」

輪魔鬼「死ねェ‼」

アーニャ「!」

 

頭部の代わりのように突き出たメカ輪魔鬼のドリルを躱して、ゲッター紫電のドリルを突き立てる。

 

アーニャ「千極針!」

 

ガキッ

 

輪魔鬼「クッ!これならどうだ!」

 

メカ輪魔鬼がドリルの先端から怪光線を放つ。

 

アーニャ「━━ゲッター影分身!」

輪魔鬼「コイツぁ…分身の幻術かァ!?本物は一体どいつだってんだ!?」

 

ヒュ…ンッ

 

輪魔鬼「後ろか…ッ!?」

アーニャ「━━Ураааа‼」

 

グギャンッ

 

振り返り様のメカ輪魔鬼の怪光線を掻い潜り、懐に入ったゲッター紫電の千極針が、メカ輪魔鬼の左腕を粉砕する。

 

輪魔鬼「チィ…!俺1人ではゲッター相手には不利か…」

輪魔鬼「ならば!」

 

メカ輪魔鬼は自身のドリルを地面へと突き立て潜行。

 

茜 「なっ!逃げる気ですか!」

アーニャ「Не избежать…逃がしは、しません…!」

 

ゲッター紫電も地中に潜行し、メカ輪魔鬼を追撃。

 

茜 「土の中で相手の位置が分かるんですか!?」

アーニャ「地中用のソナーがあります!位置は、捉えてます!」

美穂「あ、アーニャちゃん…!」

アーニャ「какие?どうか、しましたか?」

美穂「ゲッター紫電のエネルギー量が、急上昇してるの!」

アーニャ「えっ!?」

美穂「もうすぐ臨界だよ!何が原因か分からないけど、これ以上の追跡は…!」

アーニャ「…仕方ありませんね……」

 

追撃の手を止め、ゲッターを静止させる。

 

美穂「あ…、エネルギーの上昇が、止まった…?」

茜 「百鬼帝国には逃げられてしまいましたか…!仕方ありません!一度、新研究所の戻りましょう!」

アーニャ「……。Да…そうですね…」

 

~~~ 夜 早乙女研究所 所長室 ~~~

 

晶葉「新型ゲッター…。未央がそんな事を…」

凛 「ゲッター線研究に疎通してる晶葉じゃなくて、未央が助手に抜擢されたのも分かるよ」

晶葉「しかし、私が博士から聞かされていたゲッター開発計画は、ゲッターロボGで打ち止めになっている筈だが…」

凛 「開発計画の予定にないゲッターを作ってる?」

晶葉「だとしたら私達にも、政府連中にも機密にして、一体どんなゲッターを開発しているというんだ?」

凛 「それは私が晶葉に聞きたい事だよ」

晶葉「…ゲッターGを超えるゲッター…。それがどういうものかは想像できないが、博士が直接携わる以上、それが妥当な答えだろうな」

凛 「早乙女博士は、一体何を考えてそんなものを…」

 

コンコン

 

晶葉「? 誰だ?」

 

アーニャ『アーニャ、です』

 

晶葉「あぁ、アーニャか。開いているぞ」

 

ガチャッ

 

アーニャ「失礼、します…。戦闘終了の報告書、持ってきました。…?」

アーニャ「リンもいたんですね?2人で話し合い、ですか?」

晶葉「そんなところだ。どれ、報告書を預かろう」

アーニャ「はい」

凛 「百鬼帝国に逃げられたって聞いたけど?」

アーニャ「Да…Я сожалею…すいません…。不測の事態が起きてしまって…」

晶葉「コレがそうか…」

凛 「…ゲッター紫電のエネルギー量が急上昇してる?」

晶葉「ある一定の時点で急上昇してるな。臨界点の危険域まで達している」

凛 「それで追撃を断念するしかなかったって訳だね」

晶葉「炉心暴走を起こさせるわけにもいかないしな」

凛 「まして、早乙女研究所の近くで、ね」

アーニャ「спасибо…ありがとう、ございます…」

凛 「そう気を落とさないでいいよ。斬チーム、3人全員に何もなかった事が、一番なんだから」

晶葉「しかし、エネルギー上昇の原因はなんだ?」

アーニャ「Да…研究所の地下に、潜行した時、でした…ね」

晶葉「何…?そうなると、原因は…」

凛 「早乙女研究所の地下だね」

晶葉「丁度、凛が言っていた新型ゲッターと話が繋がるかもしれんぞ?」

アーニャ「? 何の話、ですか?」

晶葉「こちらの話だ。アーニャ、ご苦労だったな。今日のところはゆっくり休んでくれ」

アーニャ「…? 分かりました…。お休みなさい」

 

ガチャッ バタン…

 

晶葉「……ふぅ。未央の言う謎の新型ゲッターと、ゲッター紫電のエネルギー増加か…」

凛 「早乙女博士が、研究所の地下でゲッターにエネルギーを注入してるとすれば、話は合うね」

晶葉「しかし何故博士は人払いをして、ゲッターを開発する必要がある?」

凛 「全ては研究所の地下、か…。研究所の地下って、あんまり馴染みないんだけど、何があるか晶葉は知ってる?」

晶葉「確か…、博士が政府の煩わしい小言から解放される為の地下研究室と、ゲッター線研究で出た廃棄物の処分場があると聞いたが…」

凛 「聞いた…?行ったことはないの?」

晶葉「ない。と言うより、研究所では博士以外の誰も、地下には行った事はないんだ」

晶葉「完全な未知の領域。ゲッター線の謎があるとすれば、相応しい場所ではあるな」

凛 「博士が1人で研究に没頭できる場所…、それにゲッター線研究の廃棄場か…」

晶葉「ゲッターが生まれ、そして死んでいく場所。差し詰めゲッターの冥府…といったところか」

凛 「珍しいね。晶葉がそんな例え方するなんて」

晶葉「ふふっ、これを見ればそんな例えも出てくる」

凛 「これは、卯月のバイタルチェックの…、コレが?」

晶葉「よく見てみろ。体力、肺活量、筋力。身体能力が軒並み茜並みだぞ」

凛 「……確かに。卯月の見た目全然変わらないから、分からなかった」

晶葉「そもそも茜の時点で、あんな華奢な体であの身体能力は可笑しいんだがな。しかし卯月の身体能力の上昇はもっと妙だ」

晶葉「卯月が戻ってきてから一月毎にバイタルを取ってはいるが、身体能力が向上し始めたのは、丁度ゲッターGに乗り換えた辺りからだ」

凛 「晶葉は、ゲッターと関係があると思ってるの?」

晶葉「何も根拠がないわけではない。私自身、気になって研究所から持ち出した博士の研究資料を洗い直してたんだが…」

晶葉「これを見てくれ」

凛 「随分古い資料だね…。博士がゲッター線を見つけた辺りの…?」

凛 「『ゲッター線進化論』…?人類は地球へのゲッター線の大量照射が原因で誕生したって、書いてあるけど?」

晶葉「恐竜帝国は、ゲッター線の大量照射で地上から地下に追いやられたと聞く」

晶葉「そのあとに進化が進んで類人猿が誕生したとすれば、話が通ずる部分がある」

凛 「でも、話が飛躍しすぎなんじゃない?この資料自体、学会で相手にされなかったみたいだし」

晶葉「そうだな。だが重要なのは進化の部分だ」

凛 「卯月の身体能力の上昇…。ゲッター線で進化したって?見た目は変わらないけど」

晶葉「見た目の明確な変化が、進化の証ではないさ」

凛 「……。そもそもゲッター線は、ごく少量で膨大なエネルギーを生み出す媒体だったんでしょ?」

凛 「それがどうして生物の進化に関わってくるの?」

晶葉「確かに、そこに繋がりはない。だが、何故恐竜帝国はゲッター線に選ばれなかったのか、ゲッターは何故、人類を選ぶのか」

凛 「まるで、ゲッターが生きて意思をもってるみたいな言い方だね」

晶葉「だから言ったんだ。早乙女研究所の地下は、ゲッターの冥府だと」

凛 「…どちらにせよ、全てを知っているのは、早乙女博士だけか…」

晶葉「早乙女博士だって全容を把握していないかもしれない」

晶葉「ゲッター線…。これはひょっとすると、人類の手には負えないものなのかも知れないな」

凛 「……。だとしても、私達はその力で、戦っていかなくちゃいけない」 スクッ

晶葉「何処へ行くんだ?」

凛 「分からない事は分かる人に聞く。授業の基本だよ」

晶葉「ふむ…?しかし今研究所は閉鎖中。警備も厳しくなっている。部外者が立ち入るのは厳しいぞ?」

凛 「大丈夫だよ。私の協力者にお願いするから」

 

~~~ 旧早乙女研究所 敷地内 ~~~

 

未央「━━…お、来た来た。やっほ~~!しーぶり~ん!」

凛 「未央。ごめん、待たせた?」

未央「ん~~、それなりに。でも突然だね。電話じゃダメだったの?」

凛 「うん。電話越しだと、聞き出せないかもしれないし、そもそも繋がるかどうかも分からないから」

未央「ふぅん。ま、とにかくこっちだよ。着いてきて」

 

凛 「……ここ?」

未央「うん。地下への入り口は電子ロックで、解除キーは博士しか知らないからさ。通気孔からだったら、地下まで繋がってると思うんだけど」

凛 「ここから入って、下を目指せってことね」

未央「そゆこと。だけど…」

 

ガシャンッ

 

凛 「…ッ!?ゴホッ ゴホッ…!」

未央「アニメやドラマと違って、結構埃とか溜まってるんだよね~…。蜘蛛の巣も張ってるし…。ホントに行くの?」

凛 「ゴホッ ゲホッ…。…ここまで来て、引き下がれないよ。それじゃ」 ゴソゴソ…

未央「あ、しぶりん!」

 

未央「行っちゃった…。……━━」

 

通気孔内から侵入し、真下に落ちること数回。衣服を雑巾代わりに、通気孔に着いた埃をキレイに拭き取り、頭をはじめ、至るところに蜘蛛の巣を絡み付かせる。

そうして、小1時間ほどの時間を掛けて、ようやく辿り着いた地下らしきフロアに通じるダクトの金具を銃で撃ち抜いて破壊し、廊下へと出た。

 

凛 「━━…こんな事なら、ジャージ着てくればよかったかな…」 ゴホッ

凛 (今まで見たこと無い通路…。だいぶ下に来た筈だし、ここが地下で間違いないと思うけど…)

凛 「博士は一体何処に…」

 

『……』

 

凛 「誰!?」

 

P 『……』

 

凛 「プロデューサー!?」

 

P 『……』 スゥ…

 

凛 「あ、待って!」 ダッ

 

凛 「……いない?…そもそも私達のプロデューサーは…」

凛 「だとしたら、あれは…。前に未央が言ってた…」

凛 「……」

凛 「プロデューサーがこっちに消えたって事は、こっちに行けって事だよね?それなら…」

 

コツコツ…

 

~~~ 研究所地下 廃棄場 ~~~

 

早乙女「……」

 

凛 「見つけた…!早乙女博士!」

早乙女「凛くんか…。そろそろ来る頃だと思っておったよ」

凛 「…?私が来るって、分かってたの?」

早乙女「ふふ…。そんな気がしただけじゃ。最近、妙に勘が冴えてな」

凛 (この人が本当に早乙女博士…?頬がやつれて…、頭も全部白髪頭で……)

早乙女「儂の体を心配しておるのか?それなら、心配はいらんよ」

凛 「!?」

早乙女「勘が冴えとると言ったじゃろう。今なら凛くんの考えている事が手に取るように分かるようじゃ」

凛 「……」

早乙女「体調も、これまでに考えられないくらい、すごぶる調子がいい」

凛 「……」

早乙女「自分の体が、自分のものであって自分じゃない」

早乙女「体が軽い。体だけでなく、魂まで若返った気分じゃ」

早乙女「これもゲッター線のお陰か…」

凛 「ゲッター線の?博士一体何を…」

早乙女「何しろ、この地下一帯のゲッター線濃度は、通常空間の15倍ある」

凛 「!? そんな…!」

早乙女「儂の昔の研究資料を読んだんじゃろう?」

凛 「…読んだよ。あの荒唐無稽で飛躍した科学者どころじゃないイカれた妄想の事?」

早乙女「手厳しいな。だが、儂とて何の根拠もなくあの論文を書いたわけではない」

凛 「根拠…?」

早乙女「”分かる”のだよ。ゲッターを通して、自分が何故今ここにいるのか、人類と言う種が、何をもって今もこうしてこの姿を保っているのかを!」

凛 「早乙女博士…!アンタは、何を考えているの!?」

早乙女「ふふ、凛くん…。君も知りたいんじゃろう?ゲッター線の素晴らしさを!」

凛 「ゲッター線の素晴らしさ…?そんなものを知るために、こんな頭がどうにかなりそうな場所で、たった1人で研究してれば、幻聴だって誇大妄想だってするようになるよ」

早乙女「頭がどうにかなる、か…。確かに、並みの神経の人間ならばそうかもしれんな」

凛 「ゲッター線研究の廃棄場って聞いてたけど、まさかゲッターの墓場だったなんてね」

早乙女「そうじゃ。ゲッターの誕生には、莫大な時間と、多くの犠牲が払われてきた」

凛 「一体どのくらいの人を犠牲にして来たの?私達もその数の中って訳?」

早乙女「そうなるか、ならんかはお前達次第じゃろう。…卯月くんを除いてな」

凛 (また卯月…!)

凛 「どうしてそこで卯月が出るの?卯月が、ゲッターにとって卯月はなんだって言うの!?」

早乙女「ふふ。気付かぬのも無理はない」

早乙女「現に、彼女はゲッターに出会う前までは、何処にでもいる普通の女の子だったのじゃからな」

凛 「そうだよ?卯月は、今も昔も変わらない、ただアイドルに憧れて、みんなに笑顔でいてほしいって願ってるだけの、普通の女の子だよ!」

早乙女「彼女は特別だよ」

凛 「ッ…!」

早乙女「凛くんも知っているじゃろう。卯月くんが乗っただけで、ゲッターの能力は著しく上昇する」

早乙女「彼女には、ゲッター線を増加させる能力(ちから)がある」

凛 「そんなの…!それがどうしたって言うの!?」

早乙女「卯月くんの力が、この先必要になるという事じゃよ」

早乙女「いや、卯月くんの力だけではない。ゲッターも進化しなくてはならん!」

凛 「ゲッターも進化…?」

早乙女「卯月くんの力はゲッターを得て、更に進化を続けている。このまま行けばいずれはゲッターGですら、その力を抑えきれなくなるだろう。かつての旧ゲッターロボのように」

凛 「…恐竜帝国との決戦の時…。卯月が1人で乗ったゲッター1がエネルギーを暴発させたの…、原因は卯月自身だったって言うの?」

早乙女「器が小さすぎるんじゃ。今のままでは、卯月くんを中心に増幅されたゲッター線は溢れてしまう」

 

ゴゴゴ…

 

凛 「何…?地鳴り…?」

早乙女「ふふふ…。彼も求めているのじゃよ…。自身に相応しい、能力を持った御子を!」

凛 (廃棄場の奥…、何かある…。あれは……)

凛 「私達の知らない、ゲッターロボ!?」

早乙女「かつて、刀を鍛える鍛治師は、幾つもの刀を打ったあと、真打ちとなる1本を鍛え上げたという」

早乙女「とすれば、旧ゲッターロボと、ゲッターロボGを経て作り上げられたコレは、まさしくゲッターロボの真打ち、真ゲッターロボと言ったところじゃろう」

凛 「真…ゲッターロボ!?」

 

パァ…ッ

 

凛 「今度は…、廃棄されたゲッター達が…光って…!」

早乙女「この空間は高濃度のゲッター線に満ちていると言ったじゃろう?それに、このゲッター達の残留ゲッター線が反応してこうなる」

凛 (コレが…。この輝きが、ゲッター線…!なんて……!)

早乙女「美しいじゃろう?」

凛 「…早乙女博士!アンタはここで、一体何をする気なの!?卯月に何をさせるつもり!?」

早乙女「……」

凛 「早乙女博士ッ‼」

 

早乙女「━━敵が来る」

 

凛 「!?」

 

未央『早乙女博士!そこに、しぶりんもいるの!?とにかく、レーダーに反応があって、インベーダーが降りてくる!真っ直ぐここに!』

 

凛 「インベーダーが…どうして…?」

早乙女「気付いておるんじゃ。自分達の真の敵が、ここにいるという事をな」

凛 「ゲッターが、真の敵…!?」

早乙女「出撃じゃ。じきにゲッターGがここに来る」

早乙女「今奴等に真ゲッターがやられる事があれば、人類の進化は未来永劫闇に葬られる!」

凛 「人類の進化…?」

早乙女「そんな事があってはならん!だから行くのじゃ!凛くん、卯月くんと共に!」

凛 「……!」

 

未央『しぶりん、聞いてる?今新研究所の方に連絡したら、しまむー達が来るって!だから早く上がってきて!』

 

凛 「…分かった。だけど、博士にはまだ聞きたい事が山程あるから。その時は、全部話してもらうよ」

早乙女「必ず、全てが分かる時が来る。儂の口から、真実を聞かずともな」

凛 「ッ!」 ダッ

 

タッタッタ…

 

早乙女「……時は近い、か」

 

~~~ 旧早乙女研究所 近域 ~~~

 

かな子「早乙女研究所が見えてきました!」

卯月「インベーダーが、もう研究所に向かってますね…!」

かな子「前の百鬼帝国の時もそうでしたけど、どうして皆さん、こっちの研究所を狙うんでしょう?何だか、偶然じゃないような気がするんですけど…」

卯月「分からない事は考えても仕方ありません!無人のライガー号を、自動操縦で研究所の正面に着けさせます!凛ちゃんが乗り込むまで、ゲットマシンで時間を稼ぎましょう!」

かな子「…了解です!ちょっと怖いけど…」

卯月「研究所にいる博士にも、未央ちゃんにも手は出させません!」

 

━━。

 

凛 「はっ…はっ…はっ…!」

未央「しぶりーん!博士とは話せた?」

凛 「一応はね」

未央「それで、聞きたい事は聞けた?」

凛 「うん…。半分半分ってトコかな?」

未央「何それ~?」

凛 「今は何も分からないよ。知ろうとしたけど、向こうはもっと奥が深いみたいだった。今はそれしか言えない」

未央「……そっか。それじゃ、頑張って!今の私には、応援する事くらいしか出来ないけど」

凛 「心強いよ。…それじゃ!」

未央「うん!」

 

凛 「━━ライガー号、発進!」

 

ゴォッ

 

かな子「いってくださぁい!ミサイルッ!」 ボシュッ

インベーダー≪キシャァァァアア‼≫

かな子「ひぃ~!やっぱりダメですよ~!ゲットマシンのミサイルじゃ、当たった瞬間再生してます!」

卯月「踏ん張ってください!もう少し…!」

 

凛 「お待たせ、卯月、かな子!」

卯月「凛ちゃん!」

凛 「現状、奴等を倒すには、ゲッター線を過剰に吸収させるしかない」

卯月「つまり、ゲッタービームを撃てるゲッタードラゴンの出番ですね!」

凛 「そういう事。かな子、行くよ!」

かな子「は、はい!」

 

グワッ

 

卯月「チェーーンジゲッタァァーーー‼ドラゴンッ‼」 ガシンッ

 

凛 「一応、計算だと、ゲッターレーザーキャノンでも立て続けに2発当てれば倒せるはずだよ」

凛 「敵の数が多い。ゲッター自体のエネルギーを抑えて戦って!」

卯月「了解です!」

晶葉『それと、聞こえているか、卯月』

卯月「晶葉ちゃん!どうかしましたか?」

晶葉『今回ゲッタードラゴンには、主任に頼んで液体窒素爆弾を搭載させてもらった』

晶葉『今後の調査の為にも、奴等の生きたサンプルがほしい。一体は確保してくれ』

卯月「分かりました!」

凛 「…大丈夫なの?研究所にあんなの持ち込んで」

晶葉『管理は徹底するさ。奴等も生物なら、何か急所になる部分くらい存在するはずだ。それを探らなければ』

 

卯月「ゲッタートマホォォーークッ‼」 ジャキッ

インベーダー≪シャァァアアア…!≫

卯月「はぁ━━!」

 

スバァッ

 

卯月「ッ…!ゲッターレーザーキャノン!」

 

正面に立ったインベーダーを縦一閃に切り開き、そこに、零距離からのレーザーキャノンを連射して叩き付ける。

 

ドワッ ドワッ

 

インベーダー≪ギャアァァ……≫

かな子「ゲッターレーザーキャノン、威力が上がってませんか?」

卯月「晶葉ちゃんが強化してくれたんですね?ありがとうございます!」

 

凛 「…って、卯月は言ってるけど?」

晶葉『まさか。研究所の移設と、所長代理の仕事に精一杯で、そんな余裕はない』

かな子「え?なら、どうして……」

凛 (……) ピッ ピッ

凛 「……。晶葉、このデータを、そっちでも記録しておいて」

晶葉『これは…、各ゲットマシンのゲッターエネルギーの出力値…だが、実数値か?』

凛 「リアルタイムで計測してる。間違いはないと思うよ」

晶葉『そうか…。だが…、うぅむ……』

 

凛 (卯月は、ゲッター線を増幅させる。その力すらも進化してる…)

凛 (増大した卯月の力は、いつかゲッターGを越えて、真ゲッターに…。そのあとは?)

 

凛 「ゲッター線は進化を促すエネルギー…。なら、その進化の果てって…━━」

 

卯月「ゲッタァァーー…!ビィィーーームッ‼」

 

つづく




次回予告!!

ゲッターチームの再編成により、新たに結成されたネオゲッターチーム。
しかし、その結束は、未だどのチームの足元にも及ばなかった。
1人、先走る李衣菜に、苛立ちを募らせる奈緒。そして、いがみ合う2人に呆れ返る加蓮。
問題を抱えるネオゲッターチームの前に、百鬼帝国が新早乙女研究所に襲来する!
Gチーム、斬チームは不在。早乙女研究所絶体絶命のピンチに、果たして、新生ネオゲッターチームは心を合わせて立ち向かえるのか━━!?

次回! ゲッターロボ×CG 第2部
第18話『彼女達の刃(前編)』に、チェンジゲッター!
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