~~~ 百鬼帝国 道場 ~~~
鉄甲鬼「………」
牛剣鬼「………」
鉄甲鬼「ッ!」
牛剣鬼「!」
カッ━━
鉄甲鬼「せいぃぃぃッ‼」
牛剣鬼「キェェェイッ!」
ザンッ
━━。
鉄甲鬼「━━…ぐっ…!」 ドサッ
牛剣鬼「ふふふ…。まだまだ青いの。鉄甲鬼。気合いばかりが先行して、精細さが欠けておるわ」
鉄甲鬼「牛剣鬼様も、相も変わらぬ剣の冴え。空の英雄と謳われた技巧は、一線を退いても健在だと、思い知らされました」
牛剣鬼「世辞はよさぬか。身の程は弁えているつもりだ」
牛剣鬼「今は貴公が前線で指揮する身。そのような若い世代の者達に、己一代で磨きあげた技の全てを授ける事が、残された余生でワシが為すべき事よ」
鉄甲鬼「ありがたい話です。しかし、聞いた話ですが、今度出陣なさると?」
牛剣鬼「………」
鉄甲鬼「牛剣鬼様?」
牛剣鬼「少し一息淹れよう。茶を用意してくれんか?」
鉄甲鬼「…分かりました」
牛剣鬼「……ふぅ」
鉄甲鬼「牛剣鬼様…。此度の出陣、志願された理由は、先の牛餓鬼殿の件が原因ですか?」
牛剣鬼「……息子が戦場で死んだのは、戦士として誇らしいよ。牛餓鬼の死は、ワシの中で納得しておる」
鉄甲鬼「では…」
牛剣鬼「年寄りの冷や水みたいなものだ…。ワシもここで老いさらばえて果てるより、戦場に死に場所を探そうとな」
鉄甲鬼「牛剣鬼様…それは…」
牛剣鬼「ふふふ…。案ずるな、鉄甲鬼よ。これでも百鬼帝国に、ブライ大帝に忠誠を誓った身。その忠義は褪せん」
牛剣鬼「我が身果てるとなれば、素っ首にかじりついてでも、ゲッターを地獄の供に連れて参るわ」
鉄甲鬼「はっ…!流石の忠義、感服いたしました」
牛剣鬼「それで、のう鉄甲鬼。お主に頼みがあるのじゃ」
鉄甲鬼「何で御座いましょう?この若輩者に遂げられるものなら、如何様にでも」
牛剣鬼「儂の行く戦場に、立ってはくれぬか?」
鉄甲鬼「は…?しかし、私の百鬼メカは…」
牛剣鬼「その事については承知しておる。此度の戦は、連中の拠点である早乙女研究所を直接攻めるのが、作戦の第一段階だ」
鉄甲鬼「ゲッターに乗っていない、丸裸の連中を先に仕留めるのですね」
牛剣鬼「うむ。同時に、連中の持つゲッターに関する情報、あわよくば研究所そのものを手に入れる事が目的でもある」
牛剣鬼「無論、連中も何の抵抗もなしとはいかぬであろう。最悪、研究所が手に入らぬと判断した場合、ワシが百鬼メカで研究所を破壊する」
鉄甲鬼「成程。つまり、牛剣鬼様は、後方で陣頭指揮を執られるという事ですね」
牛剣鬼「そうじゃ。そこで突入部隊の戦闘指揮を鉄甲鬼、お主にやってもらいたい」
鉄甲鬼「承知致しました。そういう事であれば、不肖、この鉄甲鬼、牛剣鬼様に微力ながらお力添え致しましょう」
牛剣鬼「うむ。よろしく頼むぞ。ふふっ、ゲッターを操る奴等め、精々首を洗って待っておるがよいわ━━」
~~~ 海岸 ~~~
卯月「よ~~しっ!未央ちゃん!いっきますよぉ~!」
バシィッ
未央「ブベラッ!?」
美穂「み、未央ちゃん!?大丈夫!?」
未央「いった~~…。しまむー、今のビーチボールの衝撃じゃなかったよ?一体何したの?」
卯月「そ、そうですか…?普通にサーブしたつもりなんですけど…」
美穂「ビーチボールのサーブであんなに飛ばないと思うけど…」
茜 「うぉぉおおお‼いいサーブですね!卯月さん!では、次は私と勝負です‼」
卯月「いいですよ!それじゃあ、いきますね!」
バシィッ バシンッ バシィッ バシィッ バシィィンッ
茜 「あっはっはっはっ━━!」
卯月「あっはははっ━━!」
美穂「……え、え~…っと…」
未央「いやぁ~スゴいねぇ~…。今どっちがスマッシュ返したの?」
美穂「えっと…、ど、どっちでしょう?」
未央「そもそもスマッシュをスマッシュで返すのってルール上どうなの?それとも、常人にはスマッシュに見えてるだけで、あれホントはトスだったり?」
美穂「あ、あははは…」
未央「笑って現実逃避しないでよみほちー…」
新P「━━おい、お前ら!午後からステージもあんだから、ここで体力使い切るなよ!」
未央「あぁ、それなら大丈夫だよ、しまむーのプロデューサーさん」
新P「あ?」
未央「そのうちビーチボールが持たなくて終わりだと思うから」
パァァンッ
未央「ほら」
新P「……」
美穂「あ…あ、でも、ありがとうございます!プロデューサーさん!」
美穂「ライヴは午後からなのに、早く現地入りして、私達にこんな素敵なリフレッシュの時間をくれて…」
新P「ん?あぁ、研究所の連中からも、頼まれてた事だしな…」 ボソッ…
美穂「はい?」
新P「何でもねぇよ。お前らみてぇな学生共はもう夏休みだし、丁度いいだろ?」
響子「美穂ちゃーん!未央ちゃーん!プロデューサーさんも!こっちに来てゆっくりしませんかー?」
藍子「冷やしておいたスイカも、食べ頃ですよ~?」
未央「だってよ、行こ!みほちー」
美穂「うん!プロデューサーさんも…えいっ」 ムギュッ
新P「あ、こら腕掴んで…、引っ張んなって!」
響子「……」
藍子「あ、あの~?響子ちゃん?何だか急に表情が険しく…」
響子「…何でもないですよ?」 ニコー
藍子「ヒッ…」
凛 「……」
凛 (…神隼人社長とゲッターとの間に、目立った関係はなかった…。じゃあ私の夢に出てきたのは…)
凛 (いや、夢の中の声はそっちの世界って言ってたし、もしかしたら別の世界って事も……)
凛 「ふっ…。流石にそれはないよね…」
かな子「落ち着きませんか?」
凛 「…かな子、ちょっとね。ここ何日か、研究所で忙しくしてたからかな」
かな子「凛ちゃんくらいの歳で、ワーカーホリックはダメですよ。たまにはゆっくりしないと。かき氷をどうぞ?」
凛 「ありがとう。でも、どうしても研究所の事が過ちゃって。…気になる事もあるし」
かな子「最近、晶葉ちゃんとよく何か調べ物してますよね。それですか?」
凛 「まぁね。まだ答えに辿り着いてないから、ここで話す事は出来ないけど…」
かな子「ふふっ。いいんですよ。そんな事も全部、今は忘れちゃいましょう♪」
凛 「かな子…」
かな子「いいじゃないですか~。たまの時間に、こうしてのんびりリゾートライフ!気持ちも晴れやかになりますよ!」
凛 「…うん、そうだね」
かな子「天気も待ってくれてたみたいに快晴で、こんな気持ちのいい天気の下で食べるスイーツは、また格別、美味しいですね♪」
かな子「はぁ~~っ♪もうずっとこうしていたいなぁ~」
凛 「かな子…」
かな子「さ、凛ちゃんも一緒に」
凛 「……冷たいものばっか食べてると、代謝落ちるよ?」
かな子「……」
凛 「私が言うのもなんだけど、かな子、さっきから動いてないし、それだとますます……」
かな子「……う…」
凛 「う…?」
かな子「うぅ…っ、誰ですか…!私が忘れようとしていた事を思い出させようとする人は…!」
凛 「忘れようとしてたんだね…」
~~~ 新早乙女研究所 敷地内 ~~~
みく「にゃあ~。今頃卯月ちゃん達は、南国バカンスを楽しんでる頃かにゃ…」
瑞樹「正確には浜辺でのサマーライブよ」
みく「でもライブまでの待ち時間とかは遊んでるんでしょー?」
瑞樹「それは、前に折角の旅行を台無しにしちゃったもの。今度こそ楽しんできてほしいじゃない?」
みく「ま、みく達も研究所が避暑地代わり。都内じゃあ猛暑なんて言ってるけど、山の中にある研究所は涼しくて快適にゃぁ~」
菜々「ですねぇ~。ナナもお外にいるのにほとんど汗かかなくて…」
瑞樹「化粧直しも少なくて、助かるわね」
菜々「ホントですよ~!これが都内だったら何分に一回化粧室に行かなきゃ…って、何を言わせるんですか!?瑞樹さん!」
瑞樹「私が言わせたんじゃないわ。勝手に落ちたのよ」
菜々「ぐぬぬぬ…。な、ナナはまだ若いですから!直すのに手間の掛かるメイクなんてしてません!ナチュラルメイクです!」
みく「…ナナちゃん、ここじゃファンの目はおろかメディアの目もないんだから、たまには素直になった方がいいと思うにゃ」
菜々「それはありえません!みくちゃんだって、プライベートだからって猫キャラやめますか!?」
みく「猫"キャラ"じゃないにゃ!みくは何時だって猫ちゃんの妖精だもん♪だから戦闘中だってこれはやめられないにゃ!」
瑞樹「何というか、そう言うところは本当に尊敬できるわ。貴女達」
莉嘉「あっははは!待てー、アーニャちゃん!くぅらえ~☆」
アーニャ「リカ…!鉄砲、2丁は卑怯、です…!」
莉嘉「わははは!卑怯もらっきょうもあるものか~!」
パシャッ パシャッ
みく「…楽しそうにゃぁ」
瑞樹「みくもやって来たらどう?水鉄砲でサバイバルゲーム。きっと楽しいわよ?」
みく「うにゃぁ、みくには今日までに終わらせなくちゃいけない課題があるから、それが終わるまでは遊べないにゃ!」
瑞樹「それでさっきから小さく唸ってたのね。分からないところがあったら、力になれるわよ?」
みく「本当にどうしようもなくなったら頼りにしてるにゃ」
菜々「しかし、計画表まで立てて、本当に真面目ですねぇ」
みく「休み明けにはテストもあるにゃ!ゲッターとアイドルのお仕事で学校抜ける事多いけど、だからってクラスのみんなに置いていかれるわけにはいかないの!」
ビュオンッ━━
みく「ぎにゃーー!?みくの課題がぁ‼」
パシャンッ
莉嘉「あ、ごめん。いきなり目の前に飛んでくるから」
みく「うにゃ~~~!!!みくの課題が水浸しにゃぁぁあ‼」
瑞樹「莉嘉ちゃんを怒鳴っても仕方ないわよ」
みく「研究所のスレスレを低空飛行してるバカは何処の誰にゃぁぁぁああああ‼」
アーニャ「アー、あれは…ネオイーグル、ですね」
菜々「李衣菜ちゃん達、新生ネオゲッターチームは実機で合体訓練中でしたね」
みく「リーナチャンのぶわぁかああぁぁぁあああああ━━━━━ッ!!!!」
━━ 上空。
李衣菜「ヘ━━…クシュン!今誰かに最高にロックって言われた気がする…」
奈緒「何バカな事言ってんだ?いいから早くこっちに高度を合わせてくれよ」
李衣菜「へへっ、ごめんごめん!低空でチキンレースするの割りと楽しくて」
奈緒「それでこの前、地面スライディング滑走して、格納庫にダイナミック突入して主任に殺されかけたの、もう忘れたのか?」
加蓮「奈緒、そろそろいい?こっちは準備できてるけど」
奈緒「お、悪い。何時でもいいぞ!」
加蓮「ん。それじゃ━━」
計器類をチェックしながら、ネオジャガー号にネオベアー号をドッキングさせる。
加蓮「━━…ふぅ」
李衣菜「よーっし!次は私の番だぁ~!」
奈緒「おい!お前の場合はもう少しゆっくり、落ち着いてやれよ。いいな?」
李衣菜「分かってますって!心配しなくても…!」
奈緒(ホントに分かってんのか~…?)
李衣菜「……」
奈緒「……」
李衣菜「……。あぁ!こう言うのって苦手!勘でいかせてもらうよ…!」
加蓮「ちょ…マジぃ?」
奈緒「李衣菜、待て…!」
ガシャァンッ
加蓮「ッ…!」
奈緒「~~!?」
李衣菜「…ふぅ~~!どう?李衣菜の実力、パーフェクトでしょ?」
奈緒「チッ…。ゲッターチェーーンジ‼」
掛け声に合わせ、ネオゲッター2に変形する。
李衣菜「オッケー、オッケー!んじゃ、次はネオゲッター1に合体いくぜぇ~!」
奈緒「お前この野郎!加蓮をサンドイッチにする気か!?」
李衣菜「え、別にいいじゃん?ちゃんと合体できたんだし、結果よければオールオッケーって事で」
奈緒「なるかよ!」
李衣菜「えーっ!?」
奈緒「第一、タイミングが早いんだよお前は!そんなのも計れないで、よくパイロットになろうと思ったよ!」
李衣菜「そうかなー?私の計算だと、奈緒の降下タイミングも早かったような…」
奈緒「ま…!?あたしが悪いって言うのかァ?」
加蓮「あっははは!そこまでにしときなって奈緒もリーナも。それとも何ー?2人とも、喧嘩するほど仲がいいって感じ?」
奈緒&李衣菜「「それはない!」」
加蓮(息ピッタリじゃん……)
~~~新早乙女研究所 所長室 ~~~
晶葉「━━ふむ…。現状で、新型のエンジンに換装したネオゲッターの出力は30%の上昇か」
主任「えぇ。それで、旧ゲッターよりは性能が上がる筈だ」
晶葉「それでもゲッター斬には及ばず、か。これ以上手を加えることはできないか?」
主任「無理を言っちゃいけねぇですぜ晶葉ちゃん!新型のエンジンを改造っても、パイロットの負担を考えると…」
晶葉「そうか…。ゲッターエネルギーで動いていない以上、パイロットに負荷の掛かる改造はできないか…」
主任「他のゲッター系列とは勝手が違いますからね。そうなるとまたパイロットスーツに手を着けなけりゃならなくなりますよ」
晶葉「なら、前に打診していた武装の方はどうなっている?」
主任「あっちは概ね晶葉ちゃんの設計図通り。後はテストして、実際にネオゲッターに持たせた時どう作動するか…」
晶葉「そうか。百鬼帝国の攻勢は、日に日に増している。なるべく早い段階で実践で使えるようにしてくれ」
主任「分かってます。が、こっちとしちゃ、もう少し丁寧に準備を進めたいトコでもある」
主任「何せ、その武器を使うのが、アイツだからなぁ…」
バァンッ
奈緒「晶葉ッ!いるかァ!」
主任「お、神谷ちゃん。どうした?血相替えて」
晶葉「せめて、ノックぐらいしてもらいたいがな」
加蓮「ホントだよ~…。帰ってくるなり、ここに一直線なんだもん。まったく」
奈緒「それどころじゃないって!メンバーを替えてくれ!」
晶葉「…?メンバーを、か?…加蓮とは特に問題ないと思ったが」
奈緒「李衣菜の方だよ!あんなのとこれ以上チームを組めるか!」
晶葉「…まぁ、そう言うだろうとは思っていた」
主任「リーナの奴ぁ、どうも熱が入ると周りが見えなくなるところがあるからな」
主任「リーナがネオゲッターのパイロットになってから、ネオイーグルの損傷が増えたぜ」
奈緒「なら、なんで!」
晶葉「他に乗り手がいないからな」
奈緒「晶葉だってパイロットの訓練を受けているだろ!?」
主任「バカ言っちゃいけねぇ!晶葉ちゃんは、今この研究所にとって欠け替えのねぇ存在だ!」
主任「もし何かあった日にゃあ…!」
晶葉「……と、いう事だ。私も手助けになるのなら、ゲッターに乗って戦う気概はあるのだが」
晶葉「何分、この研究所でやらなければならない事があるのでな」
奈緒「……」
晶葉「まぁ、李衣菜も今まではビィトで1人、訓練してたわけだしな。チームプレーに不馴れな部分もあるだろう。それを、察してやれ」
奈緒「察してやれ…って、フォローはあたしらってかぁ!?」
晶葉「当然だろう。お前の方が、ゲッターパイロットとしてキャリアがあるんだからな」
奈緒「…けどなぁ、このままじゃネオゲッターだって、あたしらだってどうなるか…」
晶葉「…生きてるじゃないか」
奈緒「は?」
晶葉「ネオゲッターは開発の試験段階で、何人も脱落者を出している」
晶葉「しかし、現在のネオゲッターチームは数度の訓練で3人とも生存している」
晶葉「それだけでも優秀なチームだとは思えないか?」
奈緒「……っ」
加蓮「……」
━━ その夜。
奈緒『━━ここは…━━』
奈緒「━━ゲッターのコックピット…?」
『よぉしっ!いっくぞー!』
奈緒『おい…待って…!』
ゴガッ メリメリ…
奈緒『嘘だろ…!待ってくれ……!』
メキッ… バリッバキッ
奈緒『イヤだ……ヤッ…、死にたくな…━━』
━━グシャッ
~~~ ネオゲッターチーム 待機室 ~~~
奈緒「━━わぁぁあああっ!?」
奈緒「はぁ…っ、はぁ……はぁ……はぁ……」
奈緒「今の…夢……?何だってあんな夢を……」
加蓮「ん~~…もう何~?」
奈緒「加蓮、ごめん起こしちまったか?」
加蓮「ごめんじゃないよ~。まして、低血圧なんだから~…」
奈緒「悪かったって。ちょっと、…夢を見てさ」
加蓮「夢…?」
奈緒「そ。ちょっと……ヤな夢、でさ」
加蓮「…ふぅん?ま、何でもいいけど。同室のチームメイトにくらい迷惑掛けないでよね」
奈緒「ごめんごめん、って…李衣菜は?」
加蓮「いないの?…トイレじゃない?」
奈緒「トイレって…、まぁ、そうだよな」 ボフンッ
加蓮「で?どんな夢見たの?
奈緒「何だよ、言わせんのか?」
加蓮「悪い夢は、言った方が気が楽になるんじゃない?」
奈緒「……合体訓練中に失敗して、ゲットマシンにサンドイッチにされた」
加蓮「怖かった?」
奈緒「こ、怖くなんか…」
加蓮「ウソ。奈緒、スッゴい汗掻いてるよ?」
奈緒「誰だって、死ぬのは怖いだろ」
加蓮「だねー。アタシだって、こんな若さで死にたくはないし」
奈緒「最近見た事なかったのに…、李衣菜のせいだな…」
加蓮「…前は結構見てたんだ?」
奈緒「……そりゃぁ、ゲッターの操縦に慣れる前までは、そうやって思ったりするだろ」
加蓮「ふぅん…」
奈緒「どこ行くんだ?」
加蓮「ちょっとトイレ。奈緒ももう寝たら?明日も訓練だよ」
奈緒「分ーってるよ。それじゃ」
加蓮「うん。おやすみ~」
━━ シミュレーター室。
李衣菜「━━…~~!っ!…うっわぁ~~!またダメかぁ~…」
李衣菜「今日はこれで最後に……いや、あともう1回!」
加蓮「へぇ~。以外に熱心なんだ?」
李衣菜「…加蓮。どうして…」
加蓮「トイレの帰りにね。灯りが漏れてるのなんて見たら、気になるでしょ?」
李衣菜「そっか…。ヤなトコ見られちゃったな…」
加蓮「何で?別に、アタシ達に遅れてる分頑張ろうってんでしょ。恥ずかしがることでもないんじゃない?」
李衣菜「いやぁ~…。誰かに頑張ってる姿見られるのって、ロックじゃないし…」
加蓮「…は?……プッ、あははは!何~それ?」
李衣菜「ちょっ…!別に笑わなくたって!」
加蓮「あはは…!ごめん、でも、リーナたまにそんな事言ってるよね?ロックがどう、なんて」
李衣菜「ロックは私の生き甲斐なんだから、意識するに決まってるじゃん!」
加蓮「生き甲斐ね~…。まず、ロックってなんなの?」
李衣菜「え゛っ?ロックって言うのは~…、その、…そう!ロックって言うのは、口で説明出来るものじゃないんだよ」
加蓮「とか言って、リーナがいまいち分かってないんじゃない?」
李衣菜「そ、そんな訳ないって…」
加蓮「……」
加蓮「まさかだけどさ、ゲッターに乗るのもロックだからー、とかじゃないよね」
李衣菜「あっははは!流石にそれは。私だって、ゲッターに乗る意味くらい分かってるよ…」
加蓮(そっか…。流石にそりゃそうだよね)
加蓮「だったら何でパイロットに?」
李衣菜「えっ?またいきなり…。どうして?」
加蓮「いや~?深い意味はないけど。ただ、リーナってわざわざ志願してまでここに来たって聞いたから。何でなのかなーって」
李衣菜「あ…あははは…。そういう事ね。…んーと、何て言ったらいいのかな?」
加蓮「……」
李衣菜「う~~…ん…。…やっぱナイショで」
加蓮「はい~?さんざん待たせておいて、それ~?」
李衣菜「いーじゃんいーじゃん!あんまりそういう事言うのもロックじゃないから!ね?」
加蓮「ね、って…。リーナが思ってる以上に、ロックって万能じゃないから」
李衣菜「う~~~ん…。もういいでしょ!ほら、もう遅い時間だし、加蓮は帰って寝なきゃ!私ももうちょっと訓練に集中したいし!」
加蓮「…アタシも一緒にやっていい?」
李衣菜「はいぃ~!?」
加蓮「どうせ合体シミュレーションでしょ。そう言うのって、1人でやっても意味なくない?」
李衣菜「それはそうだけど…。ちょっと意外」
加蓮「そう?」
李衣菜「うん。加蓮って、もう少しこういう事にドライかと思ってた」
加蓮「ま、努力とか根性とか?そーゆーの、得意じゃないけど。けど、たまにはいーかなって」
李衣菜「そういうノリなんだ…」
加蓮「そ。ノリだよノリ。ノリに合わせて、ちょっとくらい付き合ってもいいでしょ?」
李衣菜「……別に断る理由はないし、別にいいけど…」
加蓮「じゃあ決まり。リーナがミスする毎に、ジュース奢りだからねっ」
李衣菜「はぁ!?…付き合わせるんじゃなかった…━━」
~~~ 翌日 新早乙女研究所 上空 ~~~
李衣菜「よぉーーしっ!今日も張り切っていくぜぇ~~‼」
奈緒「張り切りすぎてネオイーグル墜とすなよな~!」
李衣菜「大丈夫!今日は無事に飛んで帰れそうな気がするから!」
奈緒(それが普通なんだけどな…)
李衣菜「加蓮も着いて来てる~?」
加蓮「バッチリ。仲良くランデブーしてる2人の機影は、見失ってないよ」
奈緒「だから!仲良くなんてしてないだろ!?フツーだ、フツー!」
加蓮「そんなムキに何なくてもいいじゃん」
奈緒「いいから、早く合体するぞ!ネオゲッター3だ。この状態から、加蓮を先頭にフォーメーションを変えながら、合体するんだからな!」
李衣菜「隊列入れ替わる時にぶつかるなって言いたいんでしょ!分かってるって!」
奈緒(…ホントに分かってんのかァ?)
加蓮「やることは分かってるんだから、早速始めるよ!」 グンッ
ネオベアー号が速度を上げ、先頭を行くネオジャガー号とネオイーグル号を追い抜きに掛かる。
李衣菜(加蓮は上からか…。よし!)
ネオイーグル号は速度と高度を落とし、潜り込むようにネオジャガー号の下へ。
奈緒(……) …クッ
加蓮「ちょっ……!?奈緒、何で機首上げて…!?」
奈緒「━━えっ?」
ガンッ
微かに機首を上げた、ネオジャガー号の鼻先と、上空を追い越そうとしていたネオベアー号の下部が接触。
李衣菜「何…?」
加蓮「リーナ!そこ離れて!」
李衣菜「!? …ッ!」
上空の変化を察し、咄嗟にネオイーグル号を旋回させて、隊列から離脱。
接触によってコントロールを失い、失速したネオジャガー号が墜落コースに入るのは、それから程無くだった。
奈緒「わぁぁあああああッ!?」
李衣菜「奈緒ッ!」
加蓮「リーナ、アタシについて来て!」
加蓮「━━!」
ネオベアー号の機首を落として、急降下。
李衣菜「もしかして…、降下しながら合体する気!?無茶苦茶な!」
スピードを上げてネオジャガー号を追い越しに掛かるネオベアー号の後を追う。
加蓮「━━……ぐぅっ…!」
加蓮(凛みたく、繊細な動きが出来る訳じゃないけど━━!)
加蓮「何とかなれ!」
ガゴンッ
墜落するネオジャガー号を強制的にドッキング。僅かに機首を上げて制動を掛ける。
加蓮「リーナ…!早く……っ!」
李衣菜「えぇい、ままよ!」
地面に激突する勢いで、ネオイーグルに急加速を掛けて2機を追い越し、ドッキング。
ガコッ
李衣菜「ゲッターチェンジ‼」
ドォ……ンッ
山中に響き渡る轟音。辺り一体を包み込む土煙。後の、静寂━━。
その中から、ネオゲッター1が姿を現す。
李衣菜「痛たた……。うぅ~~…ん、生きてる~?」
加蓮「…何とかねぇ~…。変形しながら墜落する瞬間、死んだ、って思ったけど」
李衣菜「加蓮が言うと、それ洒落になってないから」
奈緒「………」
加蓮「……。さて、一旦基地に帰ろっか?ちょっとトラブルのあった事だし…━━」
━━ 格納庫。
主任「…ったく、よくもまぁこんな無茶やらかしてくれたな」
晶葉「しかし、咄嗟の判断にしては優秀だな。後2秒合体するのが遅れていたら3人まとめて地獄行きだったが」
李衣菜「それで、ゲッターの調子は?」
晶葉「事故原因になったネオジャガーの損傷自体は軽いな。問題はネオイーグルとネオベアーの方だ」
主任「急加速と強引なドッキングで、エンジンが焼き付いてらァ。この調子じゃ、ラジエーターまでダメんなってるだろうし」
加蓮「それじゃ、今日の訓練は…」
主任「無理に決まってんだろ。今日1日は大人しくしてんだな」
晶葉「ふむ…。丁度いい機会かもしれんな」
晶葉「主任、ネオイーグルの整備は私がするから、主任達整備班はネオベアーの整備とネオジャガーの点検を頼む」
主任「了解。さて、ボチボチ始めますか!」
李衣菜「晶葉は1人で大丈夫なの?」
晶葉「1人じゃないさ。私にはこの、整備用メカニック・ウサちゃんロボがいる」
Mウサちゃん『ウサー‼』
李衣菜「ははっ…。それじゃ、安心だ」
奈緒「………」
李衣菜「…あ~…のさ、大丈夫?ケガとかしてない?」
奈緒「…何だよ」
李衣菜「いやぁ~……」
奈緒「言いたいことがあるなら、ハッキリ言えばいいだろ」
李衣菜「いや、いつもは私がミスしてるから、そんなエラい事は言えないよ」
奈緒「……そうだよ。何時もだったら、お前がミスするから…!」
李衣菜「うん。ごめん」
奈緒「あたしだって、ゲッターのパイロットなんてやってるんだ。戦って死ぬならしょうがねぇって思えるさ」
奈緒「けどな、仲間のミスで死ぬなんてみっともないだろ!…そう思ってたのに…ッ!」
李衣菜「………」
加蓮「だったら、ゲッター降りれば?」
李衣菜「加蓮…。流石にそれは…」
加蓮「はぁ…。ホンット、優しいよねー、リーナは。ヘドが出るくらい」
李衣菜「…?」
加蓮「奈緒もいい加減にしなよ。そんな言い訳が何時までも通じる訳じゃないって、奈緒だって分かってるんでしょ?」
奈緒「………」
加蓮「少しは何とか言ったら?」
李衣菜「加蓮、やめなって。奈緒だって、珍しくミスして動揺してるんだからさ…」
加蓮「……。リーナは、ホントに奈緒が失敗したの、今日が初めてだと思ってる?」
李衣菜「何言ってるの?加蓮…。それじゃ、奈緒がいつも失敗してるみたいな…」
奈緒「ッ…!」 ダッ
李衣菜「奈緒!?いきなり何処に…!」
加蓮「追わなくていいよ」
李衣菜「どうして!?」
加蓮「今更恥ずかしくなったって?…バカみたい」 ボソッ
李衣菜「加蓮…、冷たいよ。そういうの」 ダッ
加蓮「……はぁ~…」
~~~ 山中 ~~~
李衣菜「奈緒~~!どこまで行くのさ~!?ちょっと、待ってってば~~‼」
奈緒「………」
李衣菜「……はぁ…、やっと止まってくれたぁ~…」
李衣菜「こんな山奥まで来たら、熊とか色々、危ないよ?研究所に帰ろ?加蓮にも謝ってさー…」
奈緒「…何でだよ!」
李衣菜「え?」
奈緒「何でついて来るんだ!?あたしはゲッターを降りる!もう決めたんだ…!」
李衣菜「………」
奈緒「だから、ついて来るなよ……!」
李衣菜「……本当にそれでいいの?」
奈緒「あン!?」
李衣菜「奈緒だって、自分で決めてゲッターに乗ってたんじゃないの?」
奈緒「関係ないだろ。元々柄じゃなかったんだ。あたしは、普通の女の子で、ただのアイドル。それで良かったんだ!」
李衣菜「そんなのかな子だって、茜だって、…私だってそうだよ。奈緒だけ特別じゃない!」
奈緒「人には出来る事と出来ない事がある!お前でも、みんなが出来るからって、あたしにも出来るなんて思うなよ…!」
李衣菜「…どういう事?」
奈緒「分かってたんだよ…!最初から。自分が臆病だってのは」
奈緒「先輩にリードされて、ようやく出来るようになって…。後輩にだって、気を回せない!」
奈緒「体よくお前に擦り付けてただけなんだ。自分の失敗と、下手さ加減をさ!」
奈緒「加蓮はそれを分かってた。だから、あんな事言ったんだ。アイツは悪くない」
李衣菜「…ごめん」
奈緒「は!?何で、今の流れでお前が謝るんだよ?」
李衣菜「私、バカだからさ。ゲッターに乗れるって、舞い上がっちゃって。訓練でミスしてばっかで、奈緒に余計な気ばっかり遣わせてたみたいだから」
奈緒「そんな事…!お前は、もっと怒ったっていいんだぞ!?」
李衣菜「何で?さっきも言ったじゃん。私は誰かにあーだこーだ、エラそーに何て言えないって」
奈緒「け、けどよ…!それは……」
李衣菜「んー…。それじゃあ……」
ペシッ
奈緒「あだっ」
でこぴん。
李衣菜「これでおあいこ。次からは、一緒に頑張っていこ?」
奈緒「おあいこって…、ってか、次ぃ!?あたしは、今日限りゲッターを降りるんだぞ!?」
李衣菜「降ろさない。奈緒は絶対、私が降ろさせない」
奈緒「…どんな権限があって、そんな事言うんだよ?」
李衣菜「権限なんかないよ。けど、出来ないって、それだけで諦めるなんて、そんなの……」
奈緒「……そんなの?」
李衣菜「ロックじゃないからね!」
奈緒「……」
奈緒「ハッ!バッカじゃねぇの?」
李衣菜「むっ!言うに事欠いてバカって何さー?」
奈緒「ふんっ!相変わらずのバカさ加減に呆れたんだよ!そんな調子じゃ、お前とチーム組みたがる奴なんて、とんだ酔狂しかいねぇな」
李衣菜「むーっ!そんな事…!」
奈緒「だから…━━」
李衣菜「!」
奈緒「だから、お前のバカに、もうしばらく付き合ってやるよ」
李衣菜「……へへっ!」
李衣菜「ありがと、奈緒」
奈緒「バーカ。仕方なく、付き合ってやるんだからな。勘違いすんなよ~?」
李衣菜「はいはい。分かってますって」
奈緒「ホントか~?」
李衣菜「あはははっ!」
奈緒「……へへっ」
ガサガサッ
李衣菜「っ!?」
奈緒「な、何だ?熊かァ…?」
李衣菜「だ、だったら逃げないと…!ゲッターもないんじゃ、私達に勝ち目なんてないよ!」
奈緒「わざわざ熊相手にゲッターは使わないだろ」
李衣菜「悠長に突っ込んでる場合…!?」
「お、何だ?こんなところに、人間の小娘かよ?」
奈緒「コイツら、頭に…角…!?」
李衣菜「百鬼帝国!」
百鬼兵「これから早乙女研究所を攻めるって時に、とんでもない邪魔でも入るかと思ったが、すぐ片が付きそうだぜ」 チャキッ
李衣菜「!?」
百鬼兵「死ねぇ!」
李衣菜「奈緒危ない!」 バッ
奈緒「い゛っ…!?」
バババババババッ
李衣菜「く゛っ……!?」
奈緒「李衣菜!大丈夫か!?」
李衣菜「……か、掠り傷だよ…。それより早く!」
奈緒「お、おう!」
百鬼兵「逃がすかぁ!」
バララララララッ
奈緒「くぅ…!無茶苦茶撃ちやがって…!」
李衣菜「…奈緒、私が時間を稼ぐ。奈緒1人だけでも、研究所のみんなと合流して…!」
奈緒「はぁ!?今のお前1人置いていけるかよ!」
李衣菜「けど…!このまま2人やられるよりマシでしょ?」
奈緒「バカな事言ってねぇで走るぞ。1人なんて、絶対させるないからな!」
李衣菜「奈緒…」
百鬼兵「チィ…ッ!こいつらチョロチョロと…!」
百鬼兵2「何やってる!?相手は小娘2人だけだぞ!」
百鬼兵「フン!黙ってろよ」
百鬼兵「ヒヒッ!これで仕舞いだ…!」
ブロォォ…ンッ ガキャッ
百鬼兵「ゴハァッ!?」
百鬼兵2「な、何だぁ!?」
奈緒「ネオゲッターの輸送車!」
加蓮「奈緒!李衣菜、無事?」
奈緒「加蓮!それに主任さんも。どうしてここに…」
主任「研究所が、百鬼帝国の攻撃を受けてんだ」
奈緒「えっ!?」
加蓮「今、晶葉達が、応戦してる。私達は、ネオゲットマシンと一緒に脱出して、2人と合流しに来たの」
主任「まさか百鬼帝国の別動隊と遭遇してるとはよ。とにかくここから離れるぜ!早く乗りな!」
奈緒「おう、李衣菜、早く!」
李衣菜「うん…」
加蓮「…? リーナ、どうしたの?」
奈緒「敵に撃たれたんだ!早く…手当てしないと…━━!」
~~~ 新早乙女研究所 施設内 ~~~
バララララララッ
警備隊員「ぐわっ!?」 バタッ
鉄甲鬼「ふん、他愛のない。鎧袖一触とはこの事か…」
鉄甲鬼「攻撃部隊前進!このまま連中の格納庫を押さえるぞ」
百鬼兵‘s「「「了解ッ!」」」
瑞樹「ほら、菜々さん!銃の撃ち方は、一緒に訓練したでしょう!?」
菜々「ナナには…、ナナには撃てません!」
瑞樹「訓練でちゃんと出来てたじゃない!」
菜々「げ、ゲッターでロボットをやっつけるのと、生身の相手を撃つのは違いますよぉ!」
瑞樹「…仕方ないわね…。みくちゃん、菜々さんを連れて先に格納庫に逃げなさい」
みく「でも、それだと瑞樹さんが1人になっちゃうよ!」
瑞樹「動けない菜々さんを、庇いながら戦うよりマシよ」
鉄甲鬼「…ここには女と子供が3人だけか?」
瑞樹「早く行きなさい!」
みく「…分かった…。けど、必ず、必ず合流するにゃぁ‼」
タッタッタッ…
瑞樹(こんな時でもキャラを崩さないのは、流石ね)
瑞樹「さて……」
百鬼兵「………」 ジャッ
鉄甲鬼「待て、お前達」
百鬼兵「鉄甲鬼様…?」
鉄甲鬼「下がっていろ。ここは、私1人で充分だ」
百鬼兵「……ハッ!」
瑞樹「…随分優しいのね?」
鉄甲鬼「たった1人で私に立ちはだかるものに、敬意を表するだけの事」
鉄甲鬼「まさか、貴様1人だけで私を倒せるなどと、思っているわけではなかろう?」
瑞樹「さぁ?それは分からないわよ。私にだって、考えがあるんだから」
鉄甲鬼「そうか。では…━━」
鉄甲鬼「━━ッ!」 シュバッ
瑞樹「ッ…!」 チャッ
パァンッ
鉄甲鬼「ムゥン!」 カキンッ
瑞樹「…!」
鉄甲鬼「フンッ!」
瑞樹「カハッ…!」
鉄甲鬼に突き飛ばされ、壁に叩き付けられる。
瑞樹「カハッ…!ゲホッ…ゴホッ…!」
鉄甲鬼「人間風情が…。そんな豆鉄砲など、当たると思うか?」
瑞樹「うぐっ……!」
首を鷲掴みにして、持ち上げる。
鉄甲鬼「随分細いな…。腕も脚も。とても戦士の者とは思えん」
瑞樹「そ…そうね…。元々戦士なんて、大層な者じゃないもの」
鉄甲鬼「何…?ならば何故我々に立ち向かう?戦士でない者は、逃げるのが道理ではないのか?」
瑞樹「何でかしらね…?私だって、こんな事ごめんだって、思ってるわ。けど…」
鉄甲鬼「けど…?」
瑞樹「貴方今、油断したわね?」
パンッ
零距離から、鉄甲鬼の腹部を撃ち抜く。
鉄甲鬼「ぐぅ……!?」
ドサッ
瑞樹「ゲホッ…!ゴホッゴホッ…!」
百鬼兵「鉄甲鬼様!?…おのれぇ…!」
バババババババッ
百鬼兵「な、何だ!?ぐはぁっ!?」
百鬼兵‘s「うわぁぁあ!?」
晶葉「瑞樹!無事か!?」
瑞樹「晶葉ちゃん…!後ちょっとで、危なかったわね……」
晶葉「生きているのなら上出来だ!後はこの…━━」
ウサちゃんロボ『ウサー‼』 ジャコンッ
バララララララッ━━
百鬼兵‘s「「「ぐわぁーーー!!?」」」
晶葉「迎撃用コンバット・ウサちゃんに任せろ!」
鉄甲鬼「貴様ら…!」
瑞樹「貴方に撃ち込んだのは、晶葉ちゃんの特製の細胞腐食弾よ。早く手当てしないと、危ないわよ?」
百鬼兵「鉄甲鬼様…!他の突入部隊とも、連絡が途絶しています…!」
晶葉「フフン!コンバット・ウサちゃんが役に立っているようだな」
鉄甲鬼「くぅ…!格納庫を目前にしておきながら…!」
鉄甲鬼「……撤退だ!」
鉄甲鬼「女!」
瑞樹「…私?」
鉄甲鬼「最後に貴様の名前を聞かせてもらう!」
瑞樹「名前…川島、瑞樹よ」
鉄甲鬼「川島瑞樹…!我が名は鉄甲鬼!貴様の名、しかと覚えたぞ!」
タッタッタッ…
晶葉「因縁をつけられたな?」
瑞樹「…別にいいわ。今、助かったのなら、ね」 フラッ…
晶葉「大丈夫か!?」
瑞樹「ふふふ…。アイドルやめても、女優で食べていけるかしらね?」
晶葉「あぁ…、そうだな。みくと菜々を逃がして、1人で耐えてみせたんだ。立派な女優だよ」
瑞樹「…ありがと」
ズウゥゥ…ン……
瑞樹「…揺れ?」
晶葉「連中が百鬼メカを出してきたか」
晶葉(研究所は既に防御態勢に入っている…。百鬼メカが目の前にいるとすれば、迂闊に解除してゲッターを出撃させることは出来ないか…)
晶葉「後は頼んだぞ…。ネオゲッターチーム…」
━━━。
李衣菜「……」
加蓮「…酷いね。銃弾は貫通してるみたいだけど…」
主任「ダッシュボードん中に、止血剤が入ってる。それで何とか、応急処置できるはずだ」
加蓮「ありがと」
奈緒「ホントにあたし達にやらせる気か!?李衣菜がこんな状態で、飛べるわけないだろ!」
李衣菜「…私は、やるよ」
奈緒「李衣菜!」
李衣菜「さっき主任から聞いたでしょ?今研究所を守れるのは、私達と、ネオゲッターロボしかいない」
加蓮「リーナ、じっとしてて」
プシューッ
李衣菜「~~~ッ゛!?」
奈緒「ほら見ろ!そんな傷で、戦うなんて出来るわけないだろ!」
李衣菜「出来る!」
奈緒「ッ…!?」
加蓮「━━…これでよし、と。応急処置は済んだよ」
李衣菜「ありがと、加蓮。それじゃ、いこっか!」
加蓮「りょーかい」
奈緒「お、おいおい!本気かよ!?加蓮!」
加蓮「もう考えてる時間もあんまりないしね。百鬼メカはすぐそこだし。アタシはリーナを信じる」
奈緒「………」
李衣菜「よーし、気合い入れて出撃だー!」
主任「待ちな」
李衣菜「大将…?」
主任「お前達のネオゲッターは現状、応急処置が済んだだけの状態だ。ネオゲッターには専用の輸送車があったからこうして持ち出せたわけだが…」
主任「正直、どこまで出来るか分からねぇ。合体の衝撃で爆発しちまうかも知れねぇ」
主任「ネオゲッターの合体は、一度だけだ」
李衣菜「ネオゲッターも私と一緒って訳ね。分かった!」
加蓮「どうするの?」
李衣菜「出撃してすぐネオゲッター1に合体する。相手は地上型だし、そっちの方が対処とれるはずだよ」
加蓮「ん。りょーかい。ほら、奈緒行くよー?」
奈緒「あぁもう!もう好きにしろよさっき!付き合ってやるって言っちまったからな。地獄だって何処だって付き合ってやるよ!」
加蓮「さっき?」
奈緒「こっちの話だよ!」
李衣菜「…ありがと、奈緒。よし、行こう!」
駆け出して、それぞれのマシンに乗り込む。
李衣菜「━━発進‼」
つづく
次回予告‼
新早乙女研究所を舞台に、単身、メカ牛剣鬼に相対するネオゲッターロボ。
援軍も望めず、手傷を負った、満身創痍の状態で、李衣菜達は勝機を見出だす事が出来るのか?
次回! ゲッターロボ×CG 第2部
第19話『彼女達の刃(後編)』に、チェンジゲッター!