ゲッターロボサーガ デレマス版   作:E.T.c

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第19話『彼女達の刃(後編)』

~~~ 海 ~~~

 

卯月「ふわぁ~~……」 プカプカ

かな子「のんびりですねぇ~…」 プカプカ

藍子「昨日のライヴ、たくさん来てくれて、良かったですねぇ…」 プカプカ

かな子「凛ちゃんのサプライズステージも決まって、ライヴも大成功!」

かな子「打ち上げも楽しくって、今日一日はお休み!もう言う事なしですね~」

美穂「あ、あの…!」

卯月「はい~?どうかしたんですか?」

美穂「私達こんなのんびりしちゃって、いいんですか?」

卯月「どういう事ですかぁ~~…?」

美穂「う、卯月ちゃん…。そんなリラックスしきった顔で……」

美穂「じゃなくて…!何と言うか、そのっ、ヤな予感がするんです!私達がこうしてる間にも、百鬼帝国が出てるんじゃないかって…!」

かな子「美穂ちゃんの心配も分かるけど、こうやって羽を伸ばすのも大切だよ~」

美穂「それは、そうかもしれないけど…。でも、私達は、ゲッターのパイロットなんだから…!」

藍子「気にしすぎですよ。もし非常事態が起こったら、研究所から連絡があるんですよね?」

美穂「うん…」

藍子「なら、連絡がないって事は、何も起きてないって事ですから、心配するだけ損ですよ!」

美穂「うぅん…」

卯月「ほら、折角の青い海なんですから、何時までもそんな暗い顔してちゃメッ、ですよっ」

かな子「今日は、わざわざプロデューサーが用意してくれたお休みなんですから。楽しまなきゃ!」

美穂「う、う~ん…。でも……」

卯月「あんまり思い詰めてちゃダメです!気分転換に、あの島まで競争しましょう!」

藍子「あ、あの島って…、あの遠くにちっちゃく見えてるの、ですかぁ?」

かな子「あそこってどのくらい離れてるんです?さすがに無理なんじゃ…」

卯月「為せば成ります!やってやれないことはありません!」

美穂「な、何だか最近、卯月ちゃんが茜ちゃんみたいに…」

 

ワイワイッ

 

未央「遊泳してるグループは、何だか賑やかだねぇ」

凛 「未央は珍しいね。卯月達と一緒に行かないの?」

未央「うーん?たまにはね~。それに、1人で遠く見てるしぶりんも気になるし?」

凛 「そう…」

未央「で、実際どうなの?研究所には定時連絡してるんでしょ?」

凛 「うん。さっきは所員の人が出て、こっちは大丈夫だ、ってさ」

未央「アキっちじゃなかったんだ?」

凛 「ま、研究か整備の方で、手が離せないのかもしれないし」

未央「そっか。じゃ、私達もしばらくのんびり出来るね~」

凛 「未央はもう出撃しないでしょ。もし仮に何か起きてたとしても、あっちで解決できる程度って事だろうね」

未央「だね。リーナも頼りになるようになってきたし。そろそろ私達も引退ー?」

凛 「だから、未央は今何もしてないでしょ…」

 

~~~ 新早乙女研究所 外 ~~~

 

牛剣鬼「……」

牛剣鬼「━━…鉄甲鬼がしくじったか……」

牛剣鬼「まぁよい。そうでなくては、ワシがここに来た意味がないと言うもの」

牛剣鬼「では、行くとしようか」

 

━━李衣菜「ちょ~~っと待ったぁ~~~‼」

 

ギュゥゥンッ

 

牛剣鬼「…ほぅ…?思いの外出迎えが早いの」

牛剣鬼「さぁ、爪なき鳥を落としても面白くはない。早くゲッターとなれ!」

 

李衣菜「ネオゲッターチーム参上!こっから先には、行かせない!」

奈緒「……」

李衣菜「あれ?2人ともスルー?」

加蓮「ごめん。努力、根性の次に、熱血系も私のキャラじゃないから」

李衣菜「もぅ~!ノリ悪いなぁ~…」

李衣菜「ま、いっか。奈緒、加蓮!続いてるね!ソッコーで合体、行くよ!」

奈緒「お、おう!」

加蓮「向こうが待ってくれてるのが、癪だけど!」

 

3機連なって、高度を上げる。

 

奈緒「……」

 

━━グシャッ

 

奈緒「っ…!」

 

加蓮「ちょっと、奈緒~?」

李衣菜「どうしたの?奈緒!」

奈緒「な、なぁ…やっぱネオゲッター2にチェンジしないか?」

加蓮「はぁ?何を今更…」

奈緒「だって、私が間に入るより、李衣菜と加蓮が下に着いた方が安心出来るだろ?」

李衣菜「大丈夫!奈緒なら出来るから!」

奈緒「な、何を根拠に…」

李衣菜「私は、奈緒を信じてる!」

奈緒「……」

 

牛剣鬼「何をしておる!年寄りを焦らす作戦か!?」

 

加蓮「…お爺ちゃんは短気みたいだよ?」

李衣菜「それなら…仕方ない!」

奈緒「お、おい…!何する気だ!?」

加蓮(ふぅん…?)

李衣菜「最初に私と奈緒でドッキングする。加蓮はその後に押し込んで!」

加蓮「りょーかい。思いっきり行くから、そのつもりで」 ニヤ…

奈緒「加蓮…顔が悪いぞ……?」

李衣菜「よし…」

 

ネオイーグル号が速度を落とす。

 

奈緒「り、李衣菜!?」

李衣菜「じっとしてて!」

奈緒「ッ! 分かった…!」

 

ゆっくりと機体後部から高度を落として、慎重にネオジャガー号とドッキングする。

 

李衣菜「ふぅ~~…。一先ず成功~…」

奈緒「ぶっつけ本番だったのか!?」

李衣菜「そりゃぁ、先頭が後ろに下がって合体なんて、普段しないしね」

奈緒(コイツ…)

李衣菜「敵が何時までも待ってくれると思えない。加蓮!」

加蓮「はいきた!」

 

ドッキングした2機を押し込んで、ネオベアー号がドッキング。

 

李衣菜「ゲッタァァーーチェェエーーンジッ‼」

 

高高度でネオゲッター1への変形を終え、豪快に地面に着地。

 

李衣菜「よぉ~~しっ!合体完了!百鬼帝国!ここからは私のネオゲッター1が相手だ‼」

牛剣鬼「…時間を使わせおって。よもや、素人ではあるまいな?」

李衣菜「それは戦ってみれば分かる事だよ」

牛剣鬼「然り。よい自信を持っておるようじゃ。その意地、鼻先から砕いてやるわ!」

 

牛剣鬼「我が名は牛剣鬼!嘗ては空の英雄と讃えられし武士(もののふ)なり!」

牛剣鬼「我が剣の錆になりたくば、推して参るがよい‼」

 

奈緒「コイツ…、今まで戦ってきた百鬼兵と、雰囲気が違うぞ!」

李衣菜「うん。気合いって言うか、気迫って言うか…。とにかく、私にも分かるよ」

加蓮「にしても剣かぁ。不用意に近付くのは危険だよ?」

李衣菜「だったら…」

 

李衣菜「ショルダーミサイル!」

牛剣鬼「甘いわ!」

 

初手に放ったショルダーミサイルは、容易く避けられる。

 

加蓮「真っ直ぐ飛ぶだけのミサイルじゃ、ダメみたいだね」

李衣菜「晶葉か主任に、追尾付けてって相談してみよっかな…」

牛剣鬼「次はこちらから往くぞ!」

牛剣鬼「キェェェエエイッ‼」

奈緒「李衣菜、避けろ!」

李衣菜「分かってる…!」

 

紙一重。つんのめり、尻餅をつき、不格好になりながらも、メカ牛剣鬼の剣戟を躱していく。

 

牛剣鬼「えぇい、ちょこまかと…!それでも戦場に立つ戦士か!?」

李衣菜「攻撃に当たりさえしなければ何でもあり、…っとぉ!」

牛剣鬼「ぬっ…!?」

 

背中のバーニアに火を点け、高く跳躍。ついでと言うように、メカ牛剣鬼を蹴りつけ距離をとる。

 

奈緒「大丈夫か!?」

李衣菜「このくらい軽い軽い!」

奈緒「無理して傷口開かせるなって言ってんだよ!」

李衣菜「それこそ問題なし!私とネオゲッターの戦いは、まだ始まったばっかだよ!」

 

李衣菜「研究所!管制室、誰かいる!?」

所員『は、はい…!池袋博士の指示で、待機してあります!』

李衣菜「さっすが晶葉!早速だけど、ポイントL‐05地点に、ライフル射出して!」

所員『了解です!』

李衣菜「…早乙女研究所の敷地は、ゲッターの敷地ってね!」

 

地下深くから打ち出された、長方形の武装パレットに入った大型ライフルを、ネオゲッター1の手に取る。

 

李衣菜「いけっ!」 ドォンッ

 

重低音の銃声が響く。

 

牛剣鬼「むっ…!これは…」

李衣菜「中身は散弾だよ!これなら、最小の動きで回避なんて出来ないでしょ?」

牛剣鬼「小細工を巡らせてきたか…」

李衣菜「どんどん行くよーー!」

 

ガンッガンッ

 

牛剣鬼「━━しかし!」

 

ガキィンッ

 

李衣菜「ウッソ……」

奈緒「散弾をまとめて切り払いやがった…!」

李衣菜「そんなのってありぃ?」

牛剣鬼「端から飛び道具に頼ろうと言うのが、既に検討違いよ。この牛剣鬼、間合い外からの攻撃など幾度も想定しておるわ!」

加蓮「ま、そりゃそうだよね」

李衣菜「悠長に言ってる場合?どうすんの、これ…」

加蓮「…飛び込む?」

奈緒「これから投身自殺するみたいに言うなよ!あたしはごめんだからな!」

加蓮「でも、ネオゲッター1の操縦は、リーナなんだよね~」

奈緒「えっ……」

李衣菜「うおぉぉぉぉおおお‼」

 

メカ牛剣鬼目掛けて、ネオゲッター1が走り出す。

 

奈緒「うわぁぁぁあああああ!?このバカぁぁぁぁあああああ━━‼」

牛剣鬼「策もなく飛び込んでくるか…。愚か者め!」 ブォンッ

李衣菜「ッ!」

 

振り抜かれた剣に対し、差し出した前足に踏ん張りを効かせ、上体を前に倒し空を切らせる。

 

牛剣鬼「むっ!?」

李衣菜「…トラァァーーーイッ‼」

奈緒「茜か!?」

 

屈み込んだ状態から、思い切りよく踏み込み、タックルで組つく。

 

━━。

 

茜 「プゥワッション━━‼」

響子「きゃっ!?今の、くしゃみですか?」

茜 「誰かが私を呼んでいる気がします‼」

響子「どういう事ですか…?」

 

━━。

 

李衣菜「こんだけ近付いたら、自慢の剣は振れないね?」

 

勢いのまま、メカ牛剣鬼を押し倒す。

 

牛剣鬼「ぐっ……!?」

李衣菜「はぁああっ‼」

牛剣鬼「狙いが単調!」

李衣菜「!?」

 

マウントポジションで振り下ろされた、ネオゲッター1の拳を受け止める。

 

牛剣鬼「上を制したとて、ワシを降した事にはならん!」

 

単純な力比べ。ネオゲッター1は、遠く劣っている。

 

李衣菜「ぐぁっ!」

加蓮「体勢を立て直して!相手の攻撃がくる…!」

牛剣鬼「せぇいっ!」

李衣菜「!」

 

倒れた姿勢から、ネオゲッター1を横方向に1回転させて、大上段の一撃を躱す。

 

牛剣鬼「ぬんっ!」

李衣菜「そら!」

 

咄嗟に、手前に落ちていた大型ライフルを掴み、メカ牛剣鬼に放る。

メカ牛剣鬼の剣が、ライフルを両断する間に、ネオゲッター1を後方に1回転させて立ち上げる。

 

牛剣鬼「仕留め損ねたか」

李衣菜「ふぅ~…!間一髪~…。これで何とか、仕切り直しだね」

奈緒「バカ野郎!寿命がいくらあっても足りねぇよ!こんな戦い方!一緒に見てる方がハラハラしてくる…!」

李衣菜「そう~?割とみんなこんな感じだと思うけど…」

奈緒「凛はそんな戦い方しないよ!」

牛剣鬼「いくら逃げおおせようとも勝筋など見えてこんぞ」

牛剣鬼「いい加減に、覚悟せよ…!」 チャッ

李衣菜「へへっ…!スゴみ効かせたって無駄だよ!勝負はまだまだこっから、どう転ぶかなんて分かんないんだから!」 ググッ

奈緒「けど現実問題どうすんだよ?このまま長期戦って言ったって、ネオゲッターのプラズマエネルギーはそんな持たないぞ?」

李衣菜「一か八か…、プラズマサンダーを使うよ」

奈緒「正気か?相手はまだピンピンしてるのにか?」

李衣菜「ギリギリまで接近戦して、隙を見つけて撃つ。隙があるかは分からないけど…」

奈緒「思いっきりギャンブルじゃねぇか、それ」

加蓮「でも悪くないね。何もしないよりは、面白そう」

李衣菜「でしょ?奈緒はとにかく、何時でもプラズマサンダーを使える状態にしておいて」

奈緒「…了解…!」

 

牛剣鬼「ゆくぞぉ‼」

 

メカ牛剣鬼が来る。

 

李衣菜「…ッ!」

李衣菜(相手に圧されるな…。私…!)

李衣菜「だぁあああ━━!」

 

ガッ

 

牛剣鬼「ッ!むぅぅ~…!?」

 

ガードするようにクロスさせた両腕を突き上げ、振り下ろさんとしたメカ牛剣鬼の腕を受け、止める。

 

李衣菜「ショルダーミサイルッ!」

 

その距離でショルダーミサイルを命中させ、双方の視界は爆煙で曇る。

 

牛剣鬼「目眩ましか?…小癪な…!」

 

剣を振るい、爆煙を切り払う。

 

牛剣鬼「っ…!?」

 

その先には、両手の狭間に青白いプラズマ光を湛えるネオゲッター1。

 

李衣菜「小癪でも充分だよ…ッ!」

李衣菜「プラズマサンダァァーー‼」

 

至近距離から、プラズマサンダーを叩き付ける。

 

━━爆発。

 

奈緒「やったか!?」

加蓮「磁気嵐でレーダーが…。倒したと考えるのは早計だよ」

李衣菜「…みたいだね。来るよ…!」

 

黒煙の中から姿を現すメカ牛剣鬼。その姿は、

 

奈緒「ほ、ほとんど無傷…冗談キツいって……」

李衣菜「……ッ」

牛剣鬼「そんなものか?」

李衣菜「…何?」

 

牛剣鬼「そんなものかァァア!?」

李衣菜「ッ!? ぅわっ…!」

 

黒煙を巻き上げて姿を覗かせた、メカ牛剣鬼の剣が、ネオゲッター1の脇腹を打ち据え、吹き飛ばす。

 

加蓮「きゃあっ!」

 

うつ伏せの状態で地面に落下。衝撃がコックピットに走る。

 

李衣菜「大丈夫!?加蓮…!」

 

牛剣鬼「そんなものか?そんなものなのか?ゲッターよ」

李衣菜「くっ…!」

牛剣鬼「今のが貴様らの最大の攻撃か?ならば…」

 

牛剣鬼「貴様らに用などないわぁ‼」

李衣菜「ッ!」

 

踏み込みと同時に振り下ろされた剣を横に飛んで躱す。

 

牛剣鬼「ふんっ!」

 

が、直後にメカ牛剣鬼はその剣をネオゲッター1目掛け投じる。

 

李衣菜「ぐぁっ…!?」

 

回避行動と姿勢制御が間に合わず、真っ直ぐ伸びた剣が右肩のアーマーを破砕させ、バランスを崩したネオゲッター1はその場に転倒。

 

李衣菜「ぐっ…ぐぅぅ…!」

 

何とか身を起こすも、アーマーを破砕した衝撃は、右腕全体に拡がっており、右肩から血のようにオイルが垂れる。

 

李衣菜「あっはは…!派手にやられちゃったかな…?」

奈緒「見た目のやられ方が派手なだけだ!ネオゲッターの右腕はまだ辛うじて動く!」

李衣菜「奈緒…、ありがと。それが分かれば…!」

 

ネオゲッター1が、戦闘態勢をとる。

 

李衣菜「はぁ…はぁ……。ッ!」

 

一歩踏み込んで加速し、万全な左の拳を振りかぶる。

 

牛剣鬼「その程度で…!」

李衣菜「わわっ…!」

 

ネオゲッター1の拳を払い、腕を掴み、メカ牛剣鬼が体を捻ってそのままネオゲッター1を投げ飛ばす。

 

ズゥゥン…

 

地面に大の字で横たわり、倒れ伏すネオゲッター1を余所に、メカ牛剣鬼は自身が投じた剣のもとへ。

 

牛剣鬼「なんと他愛のない…。やはり素人か」

李衣菜「……へへっ。そうやって油断させる作戦かもよ?」

牛剣鬼「そう考えるものが、簡単に口に出すのか?」

李衣菜「さぁ。どうかな…?」

奈緒「おい、大丈夫なのか?息荒いぞ…?」

李衣菜「大丈夫大丈夫!ちょっと頭がクラクラしてるだけ…!」

 

ネオゲッター1を立ち上げ、気合いを入れ直すように戦闘態勢をとる。

 

李衣菜(本当は大丈夫じゃないけど…。…っ痛ぅ……)

 

右の脇腹。応急処置を施していた患部から、赤い滲みが拡がっている。

 

牛剣鬼「どうした?動きが鈍いぞ」

奈緒「李衣菜…、ホントは…!?」

李衣菜「大~丈夫だって!さ、仕切り直しだ!」

加蓮「……」

李衣菜「いっくぞ~‼」

 

ネオゲッター1を走らせ、突撃。

 

牛剣鬼「…一思いに楽にしてやろう。来いっ!」

李衣菜「チェーンナックル‼」

 

メカ牛剣鬼の剣に、チェーンナックルを絡めさせる。

 

李衣菜「これでアイツの剣を…!」

牛剣鬼「…ふんっ!」

李衣菜「あ…ちょっ…!」

 

メカ牛剣鬼が剣を捻り、鎖をしならせ、ネオゲッター1を引き寄せる。

 

李衣菜「わっ…!」

牛剣鬼「死ねぇい!」

奈緒「李衣菜ッ!」

李衣菜「~~~っ‼」

 

寸前で上体を反らし、メカ牛剣鬼の剣戟がコックピットの表装を削る。

 

李衣菜「……!」

李衣菜「風通しがよくなったね…!」

奈緒「んな事言ってる場合か!?」

李衣菜「このっ…!」

 

メカ牛剣鬼の鳩尾を蹴りを放つ。

 

牛剣鬼「ぬんっ!」

 

剣の腹が、ネオゲッター1の頭部を打ち、横に倒す。

 

牛剣鬼「はぁああっ‼」

李衣菜「ギッ…!」

 

振り下ろされた剣を、張りつめた剣で持ち手を押さえ、寸前で受け止める。

 

牛剣鬼「この…!覚悟を決めぃ!」

李衣菜「ギギ…!そう簡単に、誰が諦めるって!?」

 

グググ…

 

奈緒「押し負けてるぞ!」

加蓮「ネオゲッターのパワーじゃ、ね…」

牛剣鬼「こんなもので…、この程度の実力の者に、牛餓鬼は負けたと言うのか!?」

李衣菜「牛…餓鬼…?」

牛剣鬼「ふっ…。敵であれば知らぬのも無理なかろう…」

奈緒「お前みたいにたまに名乗ってくる奴もいたけどな」

牛剣鬼「牛餓鬼はまだ百鬼衆の一員ではない」

牛剣鬼「かつて百鬼兵の1人として、貴様らに勝負を挑み、そして死んだ」

加蓮「ふぅん…。で、その大した事ないのがどうしたって?」

牛剣鬼「牛餓鬼は…牛餓鬼はワシの倅だった!」

李衣菜「え…?」

奈緒「何…だって…?」

牛剣鬼「ワシも戦士としてならした男。立派に務めを果たした死であるならば、戦士として納得できよう」

牛剣鬼「しかし!1人の親として、倅を殺した者達を許す事など出来ん!」

奈緒「親が仇討ちって訳か…」

牛剣鬼「牛餓鬼を討ったのは、実力から見て貴様らではなかろうが、ゲッターの首を牛餓鬼の墓前に捧げる!覚悟せぃ!」

加蓮「好き勝手な事言ってくれちゃって…!」

奈緒「身に覚えのない恨みで殺されてたまるかってんだ!」

李衣菜「━━…けるな…!」

加蓮「リーナ?」

 

李衣菜「ふざけるなぁあああ‼」

 

牛剣鬼「!?」

 

ネオゲッター1の力が増す。

 

奈緒「おい…、それ以上は……」

李衣菜「お前達の、お前らのせいで、どれだけの人が家族と離れ離れになったと思ってるんだぁあ‼」

 

チェーンナックルの鎖が千切れるのも厭わず、メカ牛餓鬼を押し切り、頭突きで突き飛ばす。

 

牛剣鬼「ぐぅ…っ!?」

李衣菜「ただちょっと離れただけじゃない、もうずっと、一生会えなくなった人だっているんだぞ!?それなのに…!」

 

右手でメカ牛餓鬼の頭を掴み、左手を失った左の腕で殴り付ける。

 

李衣菜「アンタだけ仇討ちって言うかぁああッ!!」

 

ゴスッ ガンッ ズガッ

 

牛剣鬼「ぐふっ…!?おぉ…!」

李衣菜「このっ…!」

加蓮「ちょっとリーナ…!落ち着きなって…!」

李衣菜「うぅぁあああ‼」

奈緒「ダメだ…!こっちの声聞こえてない!」

牛剣鬼「素人が…!舐めるなぁ‼」

 

ネオゲッター1を蹴り飛ばす。

 

李衣菜「うぐっ…!」

牛剣鬼「単純な怒りなどで、この牛剣鬼を越える事など出来ん!」

李衣菜「はぁ…っ!まだだ…!アンタみたいな奴に絶対負けない!」

奈緒「少し落ち着けよ李衣菜!一体どうしたってんだ!?」

李衣菜「誰だって戦いたいんだよ!みんな…家族を、大切な人を奪われて!」

李衣菜「なのに!戦う力もないから!仇討ちだって出来ない人はたくさんいるんだよ!」

李衣菜「だから、私はそんな人達の代わりになるって決めたんだ!その為に、ゲッターに乗るって!」

奈緒「李衣菜…」

加蓮「それがリーナの戦う理由って訳…」

牛剣鬼「ふんっ!思いだけでは、成し遂げられぬわっ!」

 

「そうだな。力があれば、また違うな」

 

奈緒「この声は…!」

李衣菜「晶葉!」

晶葉「李衣菜の覚悟、確かに聞いたぞ!」

 

ブロォォオオンッ

 

牛剣鬼「むっ!何奴!一騎討ちにトラックで乗り込んでくるとは…!」

古田「ひぃ~~!生きた心地がしないッスよ~‼」

 

晶葉「李衣菜、受け取れ!」

 

輸送車輌の後部ハッチが開き、突き出した柄が、ネオゲッター1に差し出される。

 

李衣菜「これって、剣…?」

晶葉「そう!ネオゲッター2の華奢な腕には使えず、ネオゲッター3には必要ない」

加蓮「必要ない、ね…」

晶葉「ネオゲッター1の為に作り上げた必殺剣、その名も、ソードトマホークだ!」

李衣菜「ソードトマホーク…」

奈緒「鍔の部分がトマホークになってる意味は…?」

晶葉「デザイン性には突っ込まないのがセオリーだ」

奈緒「そ、そうか…」

李衣菜「ともかくありがとう、晶葉。これでまた戦える」

加蓮「でももう左手ないよ?どうするの?」

李衣菜「そこは何とか、する!」

 

片手でソードトマホークを構える。

 

牛剣鬼「ふんっ…!その状態でこのワシと剣で勝負しようとは」

牛剣鬼「その無鉄砲さ、後悔するがいい!」

 

お互いに剣を構え、相対する。

 

晶葉「古田、全速前進だ。今の内に離脱するぞ」

古田「り、了解~!こんなとこからは一刻も早く離れるッス~~!」

 

ブロォォオオン…

 

李衣菜「━━…はっ!」

牛剣鬼「セイッ!」

 

━━ ザンッ

 

李衣菜「ぐっ…!」

牛剣鬼「ふんっ」

李衣菜「でぇぇぇええいっ‼」

牛剣鬼「!?」

 

刹那の交差。メカ牛剣鬼の一太刀で左肩口に傷が入るのも構わず、振り返り様に刃を向ける。

 

牛剣鬼「くっ…!」 ガキンッ

李衣菜「うぅ…ぁあああ━━‼」

 

鍔迫り合い。気合いでネオゲッター1が勝る。

 

李衣菜「このぉーーーッ!!」

牛剣鬼「まだ…負けん!」

李衣菜「ぐっ…!」

 

剣の柄で弾き、ソードトマホークを上げたネオゲッター1の胸部に、深々と剣を突き入れる。

 

奈緒「李衣菜!?」

李衣菜「まだ…掠り傷ぅううう‼」

 

しかし、ネオゲッター1は臆する事なく、寧ろ更に、メカ牛剣鬼の剣を体に突き込んでゆく。

 

李衣菜「これで、もう離さないよッ!」

牛剣鬼「こ、こやつ…!それだけ痛め付けられながら、何故…!?」

加蓮「そりゃ、息子の仇討ちもそうだけど、誇りとか威信なんてもので戦ってるアンタとは、まるっきり違うわけだしね?」

牛剣鬼「何…!?貴様らには、戦士の誇りがないとでも言うのか?」

加蓮「あるわけないじゃん!私達は、戦士じゃなく、アイドルだから」

牛剣鬼「アイドル…!?アイドルとは何だ!?」

加蓮「アンタには一生、分かる訳ないね」

奈緒「取り敢えず、今の李衣菜にあるのは…━━」

李衣菜「お前を倒すって事だけだぁああ‼」

 

上段にソードトマホークを振り下ろし、剣を握ったメカ牛剣鬼の右腕を肩から切断する。

 

牛剣鬼「ぐぉぉおお!?」

牛剣鬼「コイツ……。今のコイツを支えておるのは、力なき民人への想念か…!」

牛剣鬼「だが、この牛剣鬼とて想いの強さでは負けん…!」

牛剣鬼「でぃえぇぇぇいっ!!」

李衣菜「っ~~!」

 

態勢を整え、烈迫のメカ牛剣鬼と正面から打ち合い、轟撃を重ねる。

 

李衣菜「ぐぅうううう~~…!」

牛剣鬼「ぬぅうううんっ!!」

 

李衣菜「ぃやぁあああああっ━━!!」

 

ガッキィ…ン……

 

一瞬が一時にも感じられる刹那。

メカ牛剣鬼の剣が、閃いて宙を舞う。

 

牛剣鬼「━━!!」

李衣菜「ふんっ!」

 

ソードトマホークを振り下ろし、メカ牛剣鬼の肩から袈裟に切り開き、致命的な傷を与える。

 

牛剣鬼「……ふ…ふふふ…。想いの強さが、ほんの僅かに勝っていたと言う事か…」

李衣菜「牛剣鬼…」

晶葉『終わりだな。李衣菜、トマホークサンダーだ』

李衣菜「トマホークサンダー?」

晶葉『ソードトマホークは、ネオゲッター専用の剣。当然、プラズマエネルギーを使えるようになっている』

李衣菜「成る程…」

 

ソードトマホークを構え直し、メカ牛剣鬼に向かう。

 

牛剣鬼「自惚れるなよ、小娘…。これから先、想いだけでは絶対に越えられぬ壁が待っておるぞ…」

李衣菜「分かってる。でも、その時は何としても越えてみせるよ。仲間と一緒に」

奈緒「お前…」

牛剣鬼「仲間、か…。ふふふ…、面白い…!」

牛剣鬼「ならば、貴様らのその足掻き、冥土でしかと見届けさせてもらおう…」

李衣菜「うん。息子さんによろしく」 チャキ…

 

ネオゲッター1が、ソードトマホークを水平に構える。

 

牛剣鬼(復讐を誓った戦場で、よき眼差しの戦士と出逢う…。なんと数奇な運命であったか…)

李衣菜「でぇぇやぁぁああああ!!」

 

メカ牛剣鬼の胸に、ソードトマホークが突き立つ。

 

牛剣鬼「牛餓鬼、今行くぞ…━━」

李衣菜「トマホォォォーーク、サンダァァーーーッ!!」

 

メカ牛剣鬼を包む、眩く青白いプラズマの閃光。

その光熱は、メカ牛剣鬼を内側から溶かし、砕き、破壊していった。

激しい炎の柱は、爆音を伴って、牛剣鬼の魂を息子の元へと送る。

 

李衣菜「━━牛剣鬼…。アンタは戦士として立派だったよ」

李衣菜「でも、その戦士としての誇りが、アンタも、牛餓鬼も殺したんだ…!」

奈緒「李衣菜…」

加蓮「……」

 

ヒュ…ゥゥ…ン…… ガクッ

 

李衣菜「な、何…!?」

奈緒「エネルギー切れだよ。…ったく……」

李衣菜「エネルギー切れ…?…はは…!良かったぁ……」

奈緒「何がいいんだよ!?ゲッターもこんなボロボロになるまで戦いやがって…」

加蓮「おまけに、これから私達を巻き込む気満々だし。毎回こんなんじゃ、先行き不安だよ?」

李衣菜「あ、あはは…。そこはまぁおいおい、慣れていきますって…」

奈緒「そんなトコまで付き合えるか!お前が慣れるまでに誰か死ぬぞ?」

李衣菜「だ、大丈夫だよ…」

奈緒「はぁ?何を根拠にそんな……」

李衣菜「結構な強敵だったけど、こうしてみんな生きてるんだ……」

加蓮「元気にー、とはいかないけどね」

李衣菜「ははっ、そうだね。…けど、ゲッターの力に、私達の、この悪運の強さがあれば、例えどんな相手が来たって負けたりしない…よ…」

奈緒「……」

奈緒「へっ…!どんな理屈だよ?そりゃ…」

李衣菜「だから…、私達は…━━」

奈緒「!? おい、李衣菜?どうした?」

李衣菜「━━」

奈緒「おい、李衣菜!可笑しな冗談はやめろよ!おい、返事しろ!!」

加蓮「な、奈緒…!リーナの信号が…!」

 

奈緒「李ぃぃ衣菜ぁぁぁあああ━━!!」

 

~~~ 翌日 早乙女研究所 ~~~

 

━━ 医務室。

 

医者「━━…頭部裂傷、腹部貫通創、大腿骨の複雑骨折。…おまけに出血多量による貧血と。常人であれば全治に1ヶ月以上掛かりますが…」

医者「李衣菜さんの回復能力が異常なのか、既に全身の治癒が進んでいます。経過観察で2週間、様子を見ましょうか」

李衣菜「へへへっ…。昔っからケガが治るのだけは早かったんだよね~」

奈緒「へへへ、じゃねぇよ!ったく~…。変に心配させやがって…」

加蓮「ホンット、医務室にリーナが担ぎ込まれる時なんて、本気で死んだと思って側から離れようとしなかったんだから」

奈緒「あれは…!お前が変な冗談で李衣菜が死んだと思い込ませたからだろ!」 

加蓮「だからそれはごめんって。こっちのコンピューターも壊れてて、リーナが信号が表示されなかったんだって!」

奈緒「勘弁してくれよ…。まったく……」

李衣菜「心配してくれたんだ…?」

奈緒「あ…、それは……その…っ」

加蓮「……」 ニヤニヤ

奈緒「なんだよ。…あぁもう、ただ単に、チームメイトが目の前で死なれたら、寝覚めが悪いって、それだけだよ…」

李衣菜「そうなんだ…」

奈緒「当たり前だろ!」

李衣菜「それでもありが…いや、ごめん…」

奈緒「…だぁーーー!もう、気にするなよな!お前の無茶な戦いで、あたしらだって無傷じゃないんだ」

奈緒「ほら、見えんだろ、この頭の包帯!ぱっくり切れちまって…。痕が残ったらどうするつもりだぁ?」

李衣菜「あはは…」

奈緒「笑い事じゃねぇ!アイドルだってのに…、加蓮も、打ち身で酷いんだぞ?」

加蓮「アタシなら別に、ケガくらいなら大した事ないけど?痕残るようなものでもないし」

奈緒「お前なぁ……」

李衣菜「まぁまぁ。もしなんかあったらさ、その時は、私が責任とるからさ!」

奈緒「……は?」

李衣菜「たーかーらー、もし奈緒の頭に傷が残って、アイドル続けられないってなったらさ」

李衣菜「その時は、私が責任とるから!」

 

奈緒「……」

 

奈緒「~~~っ///」 カァッ

 

李衣菜「奈緒?顔赤いけど、どうかした?」

奈緒「……ば、バカ…っ!」

 

ドタドタ バタンッ

 

李衣菜「っ!…何なの…?ホント…」

加蓮「……天然ジゴロ…」 ボソ…

李衣菜「へ?なんか言った?」

加蓮「別にー?リーナもこんなで、ネオゲッターもボロボロじゃ、しばらくアタシらも暇になるなーって、それだけ」

李衣菜「う゛っ…!ごめん…」

加蓮「ま、精々大人しくしてるんだね。主任も見舞いに来るって言ってたから」

李衣菜「うわっ、マジかぁ…。色々ありがとね、加蓮」

加蓮「まぁいいよ。愉しいチームになりそうだし」

李衣菜「え?そうかなぁ…」

加蓮「リーナの戦う理由、ちゃんと聞いたから」

李衣菜「え…。あはは……」

加蓮「…それじゃ、奈緒追いかけなきゃ」

李衣菜「うん、それじゃ」

加蓮「今度見舞いに来る時は、ハンバーガーくらい差し入れに持ってくるよ」

李衣菜「それ、自分で食べたいだけじゃないの?」

加蓮「さぁー?それはどうだろ。…じゃね」

 

ガチャッ バタンッ

 

 

李衣菜「…? 加蓮なりの友好表現なのかな?」

李衣菜「にしても、愉しいチームね…へへ…!」

李衣菜「━━ッつつ…!痛いっ…!笑ったら、お腹の傷が…、痛た

…」

 

李衣菜「え、衛生兵ーーー!!」

 

つづく

 




次回予告!!

九州の山中へと哨戒に出撃した斬チーム。
茜達はそこで、百鬼帝国の秘密基地を発見するが、迎撃に出た百鬼戦闘機との戦闘で、金剛号を庇い、烈火号が被弾してしまう。
不時着した茜は、麓の村である兄弟に出会い、彼らの両親や、村人を救うため、兄弟と行動を共にし、秘密基地へと乗り込む━━!

次回! ゲッターロボ×CG 第二部
第20話『非道の魔王鬼!』に、チェンジゲッター!
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