~~~ 海 ~~~
卯月「ふわぁ~~……」 プカプカ
かな子「のんびりですねぇ~…」 プカプカ
藍子「昨日のライヴ、たくさん来てくれて、良かったですねぇ…」 プカプカ
かな子「凛ちゃんのサプライズステージも決まって、ライヴも大成功!」
かな子「打ち上げも楽しくって、今日一日はお休み!もう言う事なしですね~」
美穂「あ、あの…!」
卯月「はい~?どうかしたんですか?」
美穂「私達こんなのんびりしちゃって、いいんですか?」
卯月「どういう事ですかぁ~~…?」
美穂「う、卯月ちゃん…。そんなリラックスしきった顔で……」
美穂「じゃなくて…!何と言うか、そのっ、ヤな予感がするんです!私達がこうしてる間にも、百鬼帝国が出てるんじゃないかって…!」
かな子「美穂ちゃんの心配も分かるけど、こうやって羽を伸ばすのも大切だよ~」
美穂「それは、そうかもしれないけど…。でも、私達は、ゲッターのパイロットなんだから…!」
藍子「気にしすぎですよ。もし非常事態が起こったら、研究所から連絡があるんですよね?」
美穂「うん…」
藍子「なら、連絡がないって事は、何も起きてないって事ですから、心配するだけ損ですよ!」
美穂「うぅん…」
卯月「ほら、折角の青い海なんですから、何時までもそんな暗い顔してちゃメッ、ですよっ」
かな子「今日は、わざわざプロデューサーが用意してくれたお休みなんですから。楽しまなきゃ!」
美穂「う、う~ん…。でも……」
卯月「あんまり思い詰めてちゃダメです!気分転換に、あの島まで競争しましょう!」
藍子「あ、あの島って…、あの遠くにちっちゃく見えてるの、ですかぁ?」
かな子「あそこってどのくらい離れてるんです?さすがに無理なんじゃ…」
卯月「為せば成ります!やってやれないことはありません!」
美穂「な、何だか最近、卯月ちゃんが茜ちゃんみたいに…」
ワイワイッ
未央「遊泳してるグループは、何だか賑やかだねぇ」
凛 「未央は珍しいね。卯月達と一緒に行かないの?」
未央「うーん?たまにはね~。それに、1人で遠く見てるしぶりんも気になるし?」
凛 「そう…」
未央「で、実際どうなの?研究所には定時連絡してるんでしょ?」
凛 「うん。さっきは所員の人が出て、こっちは大丈夫だ、ってさ」
未央「アキっちじゃなかったんだ?」
凛 「ま、研究か整備の方で、手が離せないのかもしれないし」
未央「そっか。じゃ、私達もしばらくのんびり出来るね~」
凛 「未央はもう出撃しないでしょ。もし仮に何か起きてたとしても、あっちで解決できる程度って事だろうね」
未央「だね。リーナも頼りになるようになってきたし。そろそろ私達も引退ー?」
凛 「だから、未央は今何もしてないでしょ…」
~~~ 新早乙女研究所 外 ~~~
牛剣鬼「……」
牛剣鬼「━━…鉄甲鬼がしくじったか……」
牛剣鬼「まぁよい。そうでなくては、ワシがここに来た意味がないと言うもの」
牛剣鬼「では、行くとしようか」
━━李衣菜「ちょ~~っと待ったぁ~~~‼」
ギュゥゥンッ
牛剣鬼「…ほぅ…?思いの外出迎えが早いの」
牛剣鬼「さぁ、爪なき鳥を落としても面白くはない。早くゲッターとなれ!」
李衣菜「ネオゲッターチーム参上!こっから先には、行かせない!」
奈緒「……」
李衣菜「あれ?2人ともスルー?」
加蓮「ごめん。努力、根性の次に、熱血系も私のキャラじゃないから」
李衣菜「もぅ~!ノリ悪いなぁ~…」
李衣菜「ま、いっか。奈緒、加蓮!続いてるね!ソッコーで合体、行くよ!」
奈緒「お、おう!」
加蓮「向こうが待ってくれてるのが、癪だけど!」
3機連なって、高度を上げる。
奈緒「……」
━━グシャッ
奈緒「っ…!」
加蓮「ちょっと、奈緒~?」
李衣菜「どうしたの?奈緒!」
奈緒「な、なぁ…やっぱネオゲッター2にチェンジしないか?」
加蓮「はぁ?何を今更…」
奈緒「だって、私が間に入るより、李衣菜と加蓮が下に着いた方が安心出来るだろ?」
李衣菜「大丈夫!奈緒なら出来るから!」
奈緒「な、何を根拠に…」
李衣菜「私は、奈緒を信じてる!」
奈緒「……」
牛剣鬼「何をしておる!年寄りを焦らす作戦か!?」
加蓮「…お爺ちゃんは短気みたいだよ?」
李衣菜「それなら…仕方ない!」
奈緒「お、おい…!何する気だ!?」
加蓮(ふぅん…?)
李衣菜「最初に私と奈緒でドッキングする。加蓮はその後に押し込んで!」
加蓮「りょーかい。思いっきり行くから、そのつもりで」 ニヤ…
奈緒「加蓮…顔が悪いぞ……?」
李衣菜「よし…」
ネオイーグル号が速度を落とす。
奈緒「り、李衣菜!?」
李衣菜「じっとしてて!」
奈緒「ッ! 分かった…!」
ゆっくりと機体後部から高度を落として、慎重にネオジャガー号とドッキングする。
李衣菜「ふぅ~~…。一先ず成功~…」
奈緒「ぶっつけ本番だったのか!?」
李衣菜「そりゃぁ、先頭が後ろに下がって合体なんて、普段しないしね」
奈緒(コイツ…)
李衣菜「敵が何時までも待ってくれると思えない。加蓮!」
加蓮「はいきた!」
ドッキングした2機を押し込んで、ネオベアー号がドッキング。
李衣菜「ゲッタァァーーチェェエーーンジッ‼」
高高度でネオゲッター1への変形を終え、豪快に地面に着地。
李衣菜「よぉ~~しっ!合体完了!百鬼帝国!ここからは私のネオゲッター1が相手だ‼」
牛剣鬼「…時間を使わせおって。よもや、素人ではあるまいな?」
李衣菜「それは戦ってみれば分かる事だよ」
牛剣鬼「然り。よい自信を持っておるようじゃ。その意地、鼻先から砕いてやるわ!」
牛剣鬼「我が名は牛剣鬼!嘗ては空の英雄と讃えられし
牛剣鬼「我が剣の錆になりたくば、推して参るがよい‼」
奈緒「コイツ…、今まで戦ってきた百鬼兵と、雰囲気が違うぞ!」
李衣菜「うん。気合いって言うか、気迫って言うか…。とにかく、私にも分かるよ」
加蓮「にしても剣かぁ。不用意に近付くのは危険だよ?」
李衣菜「だったら…」
李衣菜「ショルダーミサイル!」
牛剣鬼「甘いわ!」
初手に放ったショルダーミサイルは、容易く避けられる。
加蓮「真っ直ぐ飛ぶだけのミサイルじゃ、ダメみたいだね」
李衣菜「晶葉か主任に、追尾付けてって相談してみよっかな…」
牛剣鬼「次はこちらから往くぞ!」
牛剣鬼「キェェェエエイッ‼」
奈緒「李衣菜、避けろ!」
李衣菜「分かってる…!」
紙一重。つんのめり、尻餅をつき、不格好になりながらも、メカ牛剣鬼の剣戟を躱していく。
牛剣鬼「えぇい、ちょこまかと…!それでも戦場に立つ戦士か!?」
李衣菜「攻撃に当たりさえしなければ何でもあり、…っとぉ!」
牛剣鬼「ぬっ…!?」
背中のバーニアに火を点け、高く跳躍。ついでと言うように、メカ牛剣鬼を蹴りつけ距離をとる。
奈緒「大丈夫か!?」
李衣菜「このくらい軽い軽い!」
奈緒「無理して傷口開かせるなって言ってんだよ!」
李衣菜「それこそ問題なし!私とネオゲッターの戦いは、まだ始まったばっかだよ!」
李衣菜「研究所!管制室、誰かいる!?」
所員『は、はい…!池袋博士の指示で、待機してあります!』
李衣菜「さっすが晶葉!早速だけど、ポイントL‐05地点に、ライフル射出して!」
所員『了解です!』
李衣菜「…早乙女研究所の敷地は、ゲッターの敷地ってね!」
地下深くから打ち出された、長方形の武装パレットに入った大型ライフルを、ネオゲッター1の手に取る。
李衣菜「いけっ!」 ドォンッ
重低音の銃声が響く。
牛剣鬼「むっ…!これは…」
李衣菜「中身は散弾だよ!これなら、最小の動きで回避なんて出来ないでしょ?」
牛剣鬼「小細工を巡らせてきたか…」
李衣菜「どんどん行くよーー!」
ガンッガンッ
牛剣鬼「━━しかし!」
ガキィンッ
李衣菜「ウッソ……」
奈緒「散弾をまとめて切り払いやがった…!」
李衣菜「そんなのってありぃ?」
牛剣鬼「端から飛び道具に頼ろうと言うのが、既に検討違いよ。この牛剣鬼、間合い外からの攻撃など幾度も想定しておるわ!」
加蓮「ま、そりゃそうだよね」
李衣菜「悠長に言ってる場合?どうすんの、これ…」
加蓮「…飛び込む?」
奈緒「これから投身自殺するみたいに言うなよ!あたしはごめんだからな!」
加蓮「でも、ネオゲッター1の操縦は、リーナなんだよね~」
奈緒「えっ……」
李衣菜「うおぉぉぉぉおおお‼」
メカ牛剣鬼目掛けて、ネオゲッター1が走り出す。
奈緒「うわぁぁぁあああああ!?このバカぁぁぁぁあああああ━━‼」
牛剣鬼「策もなく飛び込んでくるか…。愚か者め!」 ブォンッ
李衣菜「ッ!」
振り抜かれた剣に対し、差し出した前足に踏ん張りを効かせ、上体を前に倒し空を切らせる。
牛剣鬼「むっ!?」
李衣菜「…トラァァーーーイッ‼」
奈緒「茜か!?」
屈み込んだ状態から、思い切りよく踏み込み、タックルで組つく。
━━。
茜 「プゥワッション━━‼」
響子「きゃっ!?今の、くしゃみですか?」
茜 「誰かが私を呼んでいる気がします‼」
響子「どういう事ですか…?」
━━。
李衣菜「こんだけ近付いたら、自慢の剣は振れないね?」
勢いのまま、メカ牛剣鬼を押し倒す。
牛剣鬼「ぐっ……!?」
李衣菜「はぁああっ‼」
牛剣鬼「狙いが単調!」
李衣菜「!?」
マウントポジションで振り下ろされた、ネオゲッター1の拳を受け止める。
牛剣鬼「上を制したとて、ワシを降した事にはならん!」
単純な力比べ。ネオゲッター1は、遠く劣っている。
李衣菜「ぐぁっ!」
加蓮「体勢を立て直して!相手の攻撃がくる…!」
牛剣鬼「せぇいっ!」
李衣菜「!」
倒れた姿勢から、ネオゲッター1を横方向に1回転させて、大上段の一撃を躱す。
牛剣鬼「ぬんっ!」
李衣菜「そら!」
咄嗟に、手前に落ちていた大型ライフルを掴み、メカ牛剣鬼に放る。
メカ牛剣鬼の剣が、ライフルを両断する間に、ネオゲッター1を後方に1回転させて立ち上げる。
牛剣鬼「仕留め損ねたか」
李衣菜「ふぅ~…!間一髪~…。これで何とか、仕切り直しだね」
奈緒「バカ野郎!寿命がいくらあっても足りねぇよ!こんな戦い方!一緒に見てる方がハラハラしてくる…!」
李衣菜「そう~?割とみんなこんな感じだと思うけど…」
奈緒「凛はそんな戦い方しないよ!」
牛剣鬼「いくら逃げおおせようとも勝筋など見えてこんぞ」
牛剣鬼「いい加減に、覚悟せよ…!」 チャッ
李衣菜「へへっ…!スゴみ効かせたって無駄だよ!勝負はまだまだこっから、どう転ぶかなんて分かんないんだから!」 ググッ
奈緒「けど現実問題どうすんだよ?このまま長期戦って言ったって、ネオゲッターのプラズマエネルギーはそんな持たないぞ?」
李衣菜「一か八か…、プラズマサンダーを使うよ」
奈緒「正気か?相手はまだピンピンしてるのにか?」
李衣菜「ギリギリまで接近戦して、隙を見つけて撃つ。隙があるかは分からないけど…」
奈緒「思いっきりギャンブルじゃねぇか、それ」
加蓮「でも悪くないね。何もしないよりは、面白そう」
李衣菜「でしょ?奈緒はとにかく、何時でもプラズマサンダーを使える状態にしておいて」
奈緒「…了解…!」
牛剣鬼「ゆくぞぉ‼」
メカ牛剣鬼が来る。
李衣菜「…ッ!」
李衣菜(相手に圧されるな…。私…!)
李衣菜「だぁあああ━━!」
ガッ
牛剣鬼「ッ!むぅぅ~…!?」
ガードするようにクロスさせた両腕を突き上げ、振り下ろさんとしたメカ牛剣鬼の腕を受け、止める。
李衣菜「ショルダーミサイルッ!」
その距離でショルダーミサイルを命中させ、双方の視界は爆煙で曇る。
牛剣鬼「目眩ましか?…小癪な…!」
剣を振るい、爆煙を切り払う。
牛剣鬼「っ…!?」
その先には、両手の狭間に青白いプラズマ光を湛えるネオゲッター1。
李衣菜「小癪でも充分だよ…ッ!」
李衣菜「プラズマサンダァァーー‼」
至近距離から、プラズマサンダーを叩き付ける。
━━爆発。
奈緒「やったか!?」
加蓮「磁気嵐でレーダーが…。倒したと考えるのは早計だよ」
李衣菜「…みたいだね。来るよ…!」
黒煙の中から姿を現すメカ牛剣鬼。その姿は、
奈緒「ほ、ほとんど無傷…冗談キツいって……」
李衣菜「……ッ」
牛剣鬼「そんなものか?」
李衣菜「…何?」
牛剣鬼「そんなものかァァア!?」
李衣菜「ッ!? ぅわっ…!」
黒煙を巻き上げて姿を覗かせた、メカ牛剣鬼の剣が、ネオゲッター1の脇腹を打ち据え、吹き飛ばす。
加蓮「きゃあっ!」
うつ伏せの状態で地面に落下。衝撃がコックピットに走る。
李衣菜「大丈夫!?加蓮…!」
牛剣鬼「そんなものか?そんなものなのか?ゲッターよ」
李衣菜「くっ…!」
牛剣鬼「今のが貴様らの最大の攻撃か?ならば…」
牛剣鬼「貴様らに用などないわぁ‼」
李衣菜「ッ!」
踏み込みと同時に振り下ろされた剣を横に飛んで躱す。
牛剣鬼「ふんっ!」
が、直後にメカ牛剣鬼はその剣をネオゲッター1目掛け投じる。
李衣菜「ぐぁっ…!?」
回避行動と姿勢制御が間に合わず、真っ直ぐ伸びた剣が右肩のアーマーを破砕させ、バランスを崩したネオゲッター1はその場に転倒。
李衣菜「ぐっ…ぐぅぅ…!」
何とか身を起こすも、アーマーを破砕した衝撃は、右腕全体に拡がっており、右肩から血のようにオイルが垂れる。
李衣菜「あっはは…!派手にやられちゃったかな…?」
奈緒「見た目のやられ方が派手なだけだ!ネオゲッターの右腕はまだ辛うじて動く!」
李衣菜「奈緒…、ありがと。それが分かれば…!」
ネオゲッター1が、戦闘態勢をとる。
李衣菜「はぁ…はぁ……。ッ!」
一歩踏み込んで加速し、万全な左の拳を振りかぶる。
牛剣鬼「その程度で…!」
李衣菜「わわっ…!」
ネオゲッター1の拳を払い、腕を掴み、メカ牛剣鬼が体を捻ってそのままネオゲッター1を投げ飛ばす。
ズゥゥン…
地面に大の字で横たわり、倒れ伏すネオゲッター1を余所に、メカ牛剣鬼は自身が投じた剣のもとへ。
牛剣鬼「なんと他愛のない…。やはり素人か」
李衣菜「……へへっ。そうやって油断させる作戦かもよ?」
牛剣鬼「そう考えるものが、簡単に口に出すのか?」
李衣菜「さぁ。どうかな…?」
奈緒「おい、大丈夫なのか?息荒いぞ…?」
李衣菜「大丈夫大丈夫!ちょっと頭がクラクラしてるだけ…!」
ネオゲッター1を立ち上げ、気合いを入れ直すように戦闘態勢をとる。
李衣菜(本当は大丈夫じゃないけど…。…っ痛ぅ……)
右の脇腹。応急処置を施していた患部から、赤い滲みが拡がっている。
牛剣鬼「どうした?動きが鈍いぞ」
奈緒「李衣菜…、ホントは…!?」
李衣菜「大~丈夫だって!さ、仕切り直しだ!」
加蓮「……」
李衣菜「いっくぞ~‼」
ネオゲッター1を走らせ、突撃。
牛剣鬼「…一思いに楽にしてやろう。来いっ!」
李衣菜「チェーンナックル‼」
メカ牛剣鬼の剣に、チェーンナックルを絡めさせる。
李衣菜「これでアイツの剣を…!」
牛剣鬼「…ふんっ!」
李衣菜「あ…ちょっ…!」
メカ牛剣鬼が剣を捻り、鎖をしならせ、ネオゲッター1を引き寄せる。
李衣菜「わっ…!」
牛剣鬼「死ねぇい!」
奈緒「李衣菜ッ!」
李衣菜「~~~っ‼」
寸前で上体を反らし、メカ牛剣鬼の剣戟がコックピットの表装を削る。
李衣菜「……!」
李衣菜「風通しがよくなったね…!」
奈緒「んな事言ってる場合か!?」
李衣菜「このっ…!」
メカ牛剣鬼の鳩尾を蹴りを放つ。
牛剣鬼「ぬんっ!」
剣の腹が、ネオゲッター1の頭部を打ち、横に倒す。
牛剣鬼「はぁああっ‼」
李衣菜「ギッ…!」
振り下ろされた剣を、張りつめた剣で持ち手を押さえ、寸前で受け止める。
牛剣鬼「この…!覚悟を決めぃ!」
李衣菜「ギギ…!そう簡単に、誰が諦めるって!?」
グググ…
奈緒「押し負けてるぞ!」
加蓮「ネオゲッターのパワーじゃ、ね…」
牛剣鬼「こんなもので…、この程度の実力の者に、牛餓鬼は負けたと言うのか!?」
李衣菜「牛…餓鬼…?」
牛剣鬼「ふっ…。敵であれば知らぬのも無理なかろう…」
奈緒「お前みたいにたまに名乗ってくる奴もいたけどな」
牛剣鬼「牛餓鬼はまだ百鬼衆の一員ではない」
牛剣鬼「かつて百鬼兵の1人として、貴様らに勝負を挑み、そして死んだ」
加蓮「ふぅん…。で、その大した事ないのがどうしたって?」
牛剣鬼「牛餓鬼は…牛餓鬼はワシの倅だった!」
李衣菜「え…?」
奈緒「何…だって…?」
牛剣鬼「ワシも戦士としてならした男。立派に務めを果たした死であるならば、戦士として納得できよう」
牛剣鬼「しかし!1人の親として、倅を殺した者達を許す事など出来ん!」
奈緒「親が仇討ちって訳か…」
牛剣鬼「牛餓鬼を討ったのは、実力から見て貴様らではなかろうが、ゲッターの首を牛餓鬼の墓前に捧げる!覚悟せぃ!」
加蓮「好き勝手な事言ってくれちゃって…!」
奈緒「身に覚えのない恨みで殺されてたまるかってんだ!」
李衣菜「━━…けるな…!」
加蓮「リーナ?」
李衣菜「ふざけるなぁあああ‼」
牛剣鬼「!?」
ネオゲッター1の力が増す。
奈緒「おい…、それ以上は……」
李衣菜「お前達の、お前らのせいで、どれだけの人が家族と離れ離れになったと思ってるんだぁあ‼」
チェーンナックルの鎖が千切れるのも厭わず、メカ牛餓鬼を押し切り、頭突きで突き飛ばす。
牛剣鬼「ぐぅ…っ!?」
李衣菜「ただちょっと離れただけじゃない、もうずっと、一生会えなくなった人だっているんだぞ!?それなのに…!」
右手でメカ牛餓鬼の頭を掴み、左手を失った左の腕で殴り付ける。
李衣菜「アンタだけ仇討ちって言うかぁああッ!!」
ゴスッ ガンッ ズガッ
牛剣鬼「ぐふっ…!?おぉ…!」
李衣菜「このっ…!」
加蓮「ちょっとリーナ…!落ち着きなって…!」
李衣菜「うぅぁあああ‼」
奈緒「ダメだ…!こっちの声聞こえてない!」
牛剣鬼「素人が…!舐めるなぁ‼」
ネオゲッター1を蹴り飛ばす。
李衣菜「うぐっ…!」
牛剣鬼「単純な怒りなどで、この牛剣鬼を越える事など出来ん!」
李衣菜「はぁ…っ!まだだ…!アンタみたいな奴に絶対負けない!」
奈緒「少し落ち着けよ李衣菜!一体どうしたってんだ!?」
李衣菜「誰だって戦いたいんだよ!みんな…家族を、大切な人を奪われて!」
李衣菜「なのに!戦う力もないから!仇討ちだって出来ない人はたくさんいるんだよ!」
李衣菜「だから、私はそんな人達の代わりになるって決めたんだ!その為に、ゲッターに乗るって!」
奈緒「李衣菜…」
加蓮「それがリーナの戦う理由って訳…」
牛剣鬼「ふんっ!思いだけでは、成し遂げられぬわっ!」
「そうだな。力があれば、また違うな」
奈緒「この声は…!」
李衣菜「晶葉!」
晶葉「李衣菜の覚悟、確かに聞いたぞ!」
ブロォォオオンッ
牛剣鬼「むっ!何奴!一騎討ちにトラックで乗り込んでくるとは…!」
古田「ひぃ~~!生きた心地がしないッスよ~‼」
晶葉「李衣菜、受け取れ!」
輸送車輌の後部ハッチが開き、突き出した柄が、ネオゲッター1に差し出される。
李衣菜「これって、剣…?」
晶葉「そう!ネオゲッター2の華奢な腕には使えず、ネオゲッター3には必要ない」
加蓮「必要ない、ね…」
晶葉「ネオゲッター1の為に作り上げた必殺剣、その名も、ソードトマホークだ!」
李衣菜「ソードトマホーク…」
奈緒「鍔の部分がトマホークになってる意味は…?」
晶葉「デザイン性には突っ込まないのがセオリーだ」
奈緒「そ、そうか…」
李衣菜「ともかくありがとう、晶葉。これでまた戦える」
加蓮「でももう左手ないよ?どうするの?」
李衣菜「そこは何とか、する!」
片手でソードトマホークを構える。
牛剣鬼「ふんっ…!その状態でこのワシと剣で勝負しようとは」
牛剣鬼「その無鉄砲さ、後悔するがいい!」
お互いに剣を構え、相対する。
晶葉「古田、全速前進だ。今の内に離脱するぞ」
古田「り、了解~!こんなとこからは一刻も早く離れるッス~~!」
ブロォォオオン…
李衣菜「━━…はっ!」
牛剣鬼「セイッ!」
━━ ザンッ
李衣菜「ぐっ…!」
牛剣鬼「ふんっ」
李衣菜「でぇぇぇええいっ‼」
牛剣鬼「!?」
刹那の交差。メカ牛剣鬼の一太刀で左肩口に傷が入るのも構わず、振り返り様に刃を向ける。
牛剣鬼「くっ…!」 ガキンッ
李衣菜「うぅ…ぁあああ━━‼」
鍔迫り合い。気合いでネオゲッター1が勝る。
李衣菜「このぉーーーッ!!」
牛剣鬼「まだ…負けん!」
李衣菜「ぐっ…!」
剣の柄で弾き、ソードトマホークを上げたネオゲッター1の胸部に、深々と剣を突き入れる。
奈緒「李衣菜!?」
李衣菜「まだ…掠り傷ぅううう‼」
しかし、ネオゲッター1は臆する事なく、寧ろ更に、メカ牛剣鬼の剣を体に突き込んでゆく。
李衣菜「これで、もう離さないよッ!」
牛剣鬼「こ、こやつ…!それだけ痛め付けられながら、何故…!?」
加蓮「そりゃ、息子の仇討ちもそうだけど、誇りとか威信なんてもので戦ってるアンタとは、まるっきり違うわけだしね?」
牛剣鬼「何…!?貴様らには、戦士の誇りがないとでも言うのか?」
加蓮「あるわけないじゃん!私達は、戦士じゃなく、アイドルだから」
牛剣鬼「アイドル…!?アイドルとは何だ!?」
加蓮「アンタには一生、分かる訳ないね」
奈緒「取り敢えず、今の李衣菜にあるのは…━━」
李衣菜「お前を倒すって事だけだぁああ‼」
上段にソードトマホークを振り下ろし、剣を握ったメカ牛剣鬼の右腕を肩から切断する。
牛剣鬼「ぐぉぉおお!?」
牛剣鬼「コイツ……。今のコイツを支えておるのは、力なき民人への想念か…!」
牛剣鬼「だが、この牛剣鬼とて想いの強さでは負けん…!」
牛剣鬼「でぃえぇぇぇいっ!!」
李衣菜「っ~~!」
態勢を整え、烈迫のメカ牛剣鬼と正面から打ち合い、轟撃を重ねる。
李衣菜「ぐぅうううう~~…!」
牛剣鬼「ぬぅうううんっ!!」
李衣菜「ぃやぁあああああっ━━!!」
ガッキィ…ン……
一瞬が一時にも感じられる刹那。
メカ牛剣鬼の剣が、閃いて宙を舞う。
牛剣鬼「━━!!」
李衣菜「ふんっ!」
ソードトマホークを振り下ろし、メカ牛剣鬼の肩から袈裟に切り開き、致命的な傷を与える。
牛剣鬼「……ふ…ふふふ…。想いの強さが、ほんの僅かに勝っていたと言う事か…」
李衣菜「牛剣鬼…」
晶葉『終わりだな。李衣菜、トマホークサンダーだ』
李衣菜「トマホークサンダー?」
晶葉『ソードトマホークは、ネオゲッター専用の剣。当然、プラズマエネルギーを使えるようになっている』
李衣菜「成る程…」
ソードトマホークを構え直し、メカ牛剣鬼に向かう。
牛剣鬼「自惚れるなよ、小娘…。これから先、想いだけでは絶対に越えられぬ壁が待っておるぞ…」
李衣菜「分かってる。でも、その時は何としても越えてみせるよ。仲間と一緒に」
奈緒「お前…」
牛剣鬼「仲間、か…。ふふふ…、面白い…!」
牛剣鬼「ならば、貴様らのその足掻き、冥土でしかと見届けさせてもらおう…」
李衣菜「うん。息子さんによろしく」 チャキ…
ネオゲッター1が、ソードトマホークを水平に構える。
牛剣鬼(復讐を誓った戦場で、よき眼差しの戦士と出逢う…。なんと数奇な運命であったか…)
李衣菜「でぇぇやぁぁああああ!!」
メカ牛剣鬼の胸に、ソードトマホークが突き立つ。
牛剣鬼「牛餓鬼、今行くぞ…━━」
李衣菜「トマホォォォーーク、サンダァァーーーッ!!」
メカ牛剣鬼を包む、眩く青白いプラズマの閃光。
その光熱は、メカ牛剣鬼を内側から溶かし、砕き、破壊していった。
激しい炎の柱は、爆音を伴って、牛剣鬼の魂を息子の元へと送る。
李衣菜「━━牛剣鬼…。アンタは戦士として立派だったよ」
李衣菜「でも、その戦士としての誇りが、アンタも、牛餓鬼も殺したんだ…!」
奈緒「李衣菜…」
加蓮「……」
ヒュ…ゥゥ…ン…… ガクッ
李衣菜「な、何…!?」
奈緒「エネルギー切れだよ。…ったく……」
李衣菜「エネルギー切れ…?…はは…!良かったぁ……」
奈緒「何がいいんだよ!?ゲッターもこんなボロボロになるまで戦いやがって…」
加蓮「おまけに、これから私達を巻き込む気満々だし。毎回こんなんじゃ、先行き不安だよ?」
李衣菜「あ、あはは…。そこはまぁおいおい、慣れていきますって…」
奈緒「そんなトコまで付き合えるか!お前が慣れるまでに誰か死ぬぞ?」
李衣菜「だ、大丈夫だよ…」
奈緒「はぁ?何を根拠にそんな……」
李衣菜「結構な強敵だったけど、こうしてみんな生きてるんだ……」
加蓮「元気にー、とはいかないけどね」
李衣菜「ははっ、そうだね。…けど、ゲッターの力に、私達の、この悪運の強さがあれば、例えどんな相手が来たって負けたりしない…よ…」
奈緒「……」
奈緒「へっ…!どんな理屈だよ?そりゃ…」
李衣菜「だから…、私達は…━━」
奈緒「!? おい、李衣菜?どうした?」
李衣菜「━━」
奈緒「おい、李衣菜!可笑しな冗談はやめろよ!おい、返事しろ!!」
加蓮「な、奈緒…!リーナの信号が…!」
奈緒「李ぃぃ衣菜ぁぁぁあああ━━!!」
~~~ 翌日 早乙女研究所 ~~~
━━ 医務室。
医者「━━…頭部裂傷、腹部貫通創、大腿骨の複雑骨折。…おまけに出血多量による貧血と。常人であれば全治に1ヶ月以上掛かりますが…」
医者「李衣菜さんの回復能力が異常なのか、既に全身の治癒が進んでいます。経過観察で2週間、様子を見ましょうか」
李衣菜「へへへっ…。昔っからケガが治るのだけは早かったんだよね~」
奈緒「へへへ、じゃねぇよ!ったく~…。変に心配させやがって…」
加蓮「ホンット、医務室にリーナが担ぎ込まれる時なんて、本気で死んだと思って側から離れようとしなかったんだから」
奈緒「あれは…!お前が変な冗談で李衣菜が死んだと思い込ませたからだろ!」
加蓮「だからそれはごめんって。こっちのコンピューターも壊れてて、リーナが信号が表示されなかったんだって!」
奈緒「勘弁してくれよ…。まったく……」
李衣菜「心配してくれたんだ…?」
奈緒「あ…、それは……その…っ」
加蓮「……」 ニヤニヤ
奈緒「なんだよ。…あぁもう、ただ単に、チームメイトが目の前で死なれたら、寝覚めが悪いって、それだけだよ…」
李衣菜「そうなんだ…」
奈緒「当たり前だろ!」
李衣菜「それでもありが…いや、ごめん…」
奈緒「…だぁーーー!もう、気にするなよな!お前の無茶な戦いで、あたしらだって無傷じゃないんだ」
奈緒「ほら、見えんだろ、この頭の包帯!ぱっくり切れちまって…。痕が残ったらどうするつもりだぁ?」
李衣菜「あはは…」
奈緒「笑い事じゃねぇ!アイドルだってのに…、加蓮も、打ち身で酷いんだぞ?」
加蓮「アタシなら別に、ケガくらいなら大した事ないけど?痕残るようなものでもないし」
奈緒「お前なぁ……」
李衣菜「まぁまぁ。もしなんかあったらさ、その時は、私が責任とるからさ!」
奈緒「……は?」
李衣菜「たーかーらー、もし奈緒の頭に傷が残って、アイドル続けられないってなったらさ」
李衣菜「その時は、私が責任とるから!」
奈緒「……」
奈緒「~~~っ///」 カァッ
李衣菜「奈緒?顔赤いけど、どうかした?」
奈緒「……ば、バカ…っ!」
ドタドタ バタンッ
李衣菜「っ!…何なの…?ホント…」
加蓮「……天然ジゴロ…」 ボソ…
李衣菜「へ?なんか言った?」
加蓮「別にー?リーナもこんなで、ネオゲッターもボロボロじゃ、しばらくアタシらも暇になるなーって、それだけ」
李衣菜「う゛っ…!ごめん…」
加蓮「ま、精々大人しくしてるんだね。主任も見舞いに来るって言ってたから」
李衣菜「うわっ、マジかぁ…。色々ありがとね、加蓮」
加蓮「まぁいいよ。愉しいチームになりそうだし」
李衣菜「え?そうかなぁ…」
加蓮「リーナの戦う理由、ちゃんと聞いたから」
李衣菜「え…。あはは……」
加蓮「…それじゃ、奈緒追いかけなきゃ」
李衣菜「うん、それじゃ」
加蓮「今度見舞いに来る時は、ハンバーガーくらい差し入れに持ってくるよ」
李衣菜「それ、自分で食べたいだけじゃないの?」
加蓮「さぁー?それはどうだろ。…じゃね」
ガチャッ バタンッ
李衣菜「…? 加蓮なりの友好表現なのかな?」
李衣菜「にしても、愉しいチームね…へへ…!」
李衣菜「━━ッつつ…!痛いっ…!笑ったら、お腹の傷が…、痛た
…」
李衣菜「え、衛生兵ーーー!!」
つづく
次回予告!!
九州の山中へと哨戒に出撃した斬チーム。
茜達はそこで、百鬼帝国の秘密基地を発見するが、迎撃に出た百鬼戦闘機との戦闘で、金剛号を庇い、烈火号が被弾してしまう。
不時着した茜は、麓の村である兄弟に出会い、彼らの両親や、村人を救うため、兄弟と行動を共にし、秘密基地へと乗り込む━━!
次回! ゲッターロボ×CG 第二部
第20話『非道の魔王鬼!』に、チェンジゲッター!