ゲッターロボサーガ デレマス版   作:E.T.c

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謎の相川さん登場。



第3話『ニュージェネレーション解散!?』

第3話『ニュージェネレーション解散!?』

 

~~~ 早乙女研究所 パイロットルーム ~~~

 

瑞樹「──…よし、と。これでバッチリよ」

卯月(パイロットス-ツ)「あのぉ…、これがゲッターのパイロットスーツ…何ですか?」

菜々「そうですよっ!卯月ちゃんも凛ちゃんも未央ちゃんも、よく似合ってます!」

凛、 「あ、ありがとう…」

未央「でもさ、これ…」

卯月「ちょっと体にぴったり過ぎじゃないですか……?」

晶葉「うむ。しかし、ゲッターはその操縦特性もあって、動きやすい格好の方がいいからな」

みく「普通の戦闘機とかのパイロットが着るような野暮ったいのじゃ無理って訳にゃ」

未央「って言ったってこれ、ほとんど全身タイツって言うか…」

卯月「何だか水着みたいで、恥ずかしい…」

凛 「耐久性とか、ホントに大丈夫なの?」

晶葉「その点に関しては心配無用だ。それで、通常の耐Gスーツと同じくらいのGに耐えれるし、薄いようで、簡単には破れん」

未央「アキっちが言うなら、そうなんだろうけどさ…」

みく「別にコックピットなんて誰かに見られるわけでもないし、堂々としてればいいにゃ」

凛 「流石に、そこまで割り切るのはちょっと…」

瑞樹「まぁ、確かに恥ずかしいものは仕方ないわよね。ほら、これを使いなさい」

凛 「これって…」

未央「薄いチョッキに…スカート?」

菜々「パイロットスーツの上から、それを着るんですよ。そうすればボディラインが隠れます!」

瑞樹「私達も、この年でそんな格好をするのは、流石に恥ずかしいもの。薄手だから、ゲッターの操縦にも差し支えないわ」

卯月「成る程~!ありがとうございますっ♪」

凛 (それにしても、瑞樹さんの言う"達"って…)

晶葉「出撃時に混同しないように、三人それぞれに色分けもしておいたぞ」

みく「卯月ちゃんはピンク、凛ちゃんは蒼色、そんでもって未央ちゃんがオレンジ。三人の個性を揃えた色、みたいな感じでスッゴく似合ってるにゃ!」

未央「へへ~んっ。そうでしょう、そうでしょうっ!」

凛 「なんでそこで未央が威張るの?」

晶葉「まぁまぁ、これで衣装合わせは終わり。各自着方はしっかり覚えておくようにな。最低、2分以内には着替え終われるようにな」

 

卯月&凛&未央「「「了解(っ)!」」」

 

晶葉「よし、では3人には明日から、本格的な実機訓練を行ってもらう。マニュアルによる座学も引き続き行っていくからそのつもりでな。特に未央、お前は講習中に寝過ぎだ」

未央「えー!だって講習の授業ペースが早過ぎるんだもんっ。ちょっとは生徒を労ってよ、晶葉せんせぇ」

晶葉「残念だが、お前達に優しく講義している時間的余裕はない。乗ると決めた以上弱音は許さん。覚悟と気概は見せてもらうぞ」

未央「ぶーっ。ワカリマシター」

卯月「未央ちゃんっ、あとで甘いものでも食べに行きましょう?」

未央「おぉっ、しまむーは優しいな~!私の仲間はしまむーだけだよ…っ!」ダキッ

卯月「ふぇっ…!もう~、未~央~ちゃ~んっ」 イチャイチャ

凛 「まったく、簡単に餌付けされるんだから…」

未央「んー?どうかしたのかい、しぶりんっ?」

凛 「…別に」

未央「もーぅ!そんないじけなくてもいいじゃん!可愛いなぁ、もうしぶりんはっ!」ダキッ

凛 「っ!?ちょっと、いきなり抱きつかないでよ…」

未央「そんな照れるなよ~♪私としぶりんの仲ではないか~♪」

卯月「すっかり機嫌も良くなって、良かったですね。凛ちゃん!」

凛 「な、なんで私が…っ!」

未央「ふっふっふ~…!良いではないか、良いではないか~」

凛 「未央、ちょっといい加減に…!手付きが、女子じゃない!」

 

晶葉「……やれやれだな。一体誰の爪の垢を煎じて飲ませてやればいいんだ?あの3人に」

みく「別に、今に始まったことじゃないにゃ。この状況でもマイペースを崩さないなら、神経の太さはみく達以上にゃ」

菜々「そうですよ!仲良き事は美しきかな、って奴ですっ!!」

瑞樹「二人の言うとおりよ。距離感は確かにちょっとアレかもしれないけど、何処に居ても自分達を見失わないのが、チームワークの維持にも繋がるのよ」

晶葉「そのようなものか…。人とのコミュニケーションの仕方は、私にはよく分からんな」

瑞樹「その人に合った、色んなやり方があるものよ。何時か晶葉ちゃんにもわかるわ」

 

━━。

 

こうして、卯月、凛、未央3人の一人前のゲッターパイロットになるための訓練の日々が始まった━━。

 

…… 会議室。

 

晶葉「━━…であるからして、この場合は焦って操縦桿を引くのではなく、手放すのが正解であって……」

未央「Zzz…」

晶葉「言ってる傍から寝るな!本田ぁ!!」

 

…… シミュレーター・ルーム。

 

アーニャ「アー…、今のでは、бесполезный……ダメ、です…。リンの速度が速過ぎます」

凛 「分かったよ、アーニャ。もう一度はじめからお願い」

アーニャ「да。よろこんで」

美波「卯月ちゃんの方は?少し休憩にする?」

卯月「い、いえ!こっちも始めから、相手してください!」

美波「ふふっ、気合いバッチリね。それじゃあシミュレーション、始めるわよ!」

 

…… 夜、上空。

 

卯月「うわぁ…!夜の空って、ホントに真っ暗…」

凛「研究所の周辺じゃ、地上に街灯もないし、周囲を見渡しても、あるのは星明かりだけ」

卯月「綺麗…」

未央「うっひゃ~!これじゃ計器から目が離せないや!」

瑞樹「暗いところには、自然に慣れてもらうしかないわね」

みく「今日は初めての夜間飛行だから、みく達のサーチライトを見失わないように気を付けるにゃ」

菜々「皆さーん?しっかり着いて来て下さいねー?」

凛 「うん。宜しく頼むよ、テスターチーム」

瑞樹「頼まれたわ。それじゃ、夜間飛行訓練、開始!」

 

~~~ 早乙女研究所 管制室 ~~~

 

晶葉「──3人とも、夜間飛行訓練も問題はなさそうだな…」

早乙女「…訓練は捗っておるか?」

晶葉「早乙女博士!…今のところは、と言ったかんじですね」

早乙女「これは、なかなか厳しいようだな」

晶葉「恐竜帝国が何時襲ってくるとも分かりません。彼女達の成長はめざましいですが、現状では、不安要素を多く残していると、言わざる終えません」

早乙女「ふむ…」

 

晶葉が見つめていたコンピュータのディスプレイに視線を落とす。

 

早乙女「ゲットマシンの操縦には、なかなか慣れんか」

晶葉「ゲットマシンはゲッターとはまた感覚が違いますからね。2回目の戦闘で感覚で扱って見せたとは言え、それだけではこの先の戦いには勝てません」

早乙女「ゲットマシンの操縦は、戦闘機のものと同じ。空軍パイロット並の専門知識が必要になる。時間が掛かるのは止むを得んが…」

晶葉「後は、3人が何処までやってくれるかです。私も専門家じゃない以上、偉そうには言えませんからね」

早乙女「うむ。色々なものを背負っているからと言って、急いてはいかん。彼女達が倒れることは、私としても本意とするところではない」

晶葉「分かっているつもりです。そう言えば、博士はどうして管制室に?確か、政府の担当官から連絡が来ていたのでは?」

早乙女「あぁ…。政府のお偉方連中にせっつかされてな。儂も、気分転換が必要だと思ったまでじゃ」

晶葉「ははは…。気持ち、お察しします」

早乙女「恐竜帝国との戦いを終わらせたいという気持ちは皆一様だと思うのだがな。政府の椅子に座る連中は、たった2回の戦闘だけでゲッターを、百戦錬磨の英雄だと思っているらしい」

晶葉「縋るモノがなければ、尚更そうなりますよ」

早乙女「まったく、本来自分達が縋り付かれる存在だと言うことを忘れておるな」

晶葉「ははっ。弁論や理屈で、恐竜帝国は倒せませんよ」

早乙女「その通りかもしれんが、ならば資金援助ももう少し渋らないで貰いたいがな。お陰で、プロトゲッターの整備は滞っておる」

晶葉「プロトゲッターと言えば、博士」

早乙女「何じゃ?」

晶葉「実は、私なりにプロトゲッターの改良を考えていたんです」

早乙女「プロトゲッターの改良だと…?」

晶葉「はい。恐竜帝国との初陣で、改めてプロトゲッターの力不足を感じました。更なる戦いに備え、戦力強化は急務だと思います」

早乙女「それ故の改良、というわけか…」

 

手渡された資料に目を通す。

 

晶葉「どうでしょうか…?資金難、という問題も、この研究所にある廃材を利用して、ある程度は工面できるはずです」

早乙女「…確かに。これならば、儂が以前開発して破棄した試作品の部品でなんとかなりそうだな…」

晶葉「もし私に一任して下さるのであれば、博士に手間はかけさせまん。どうでしょう?」

早乙女「分かった、いいだろう。この案にある設計図に、特別な問題点は挙げられない。晶葉君にも、科学者としてよい経験になるじゃろう。君に一任するから、やってみなさい」

晶葉「っ!はい…っ!」

早乙女「だが、根を詰めてはいかんぞ。君もまた、まだ人から教えを乞う立場だと言うことを忘れずにな。己の興味しか集中できん人間に、精神的進歩も望めんからな」

晶葉「分かりました。助言、肝に銘じておきます」

早乙女「うむ。よろしく頼むぞ──」

 

~~~ 早乙女研究所 談話室 ~~~

 

未央「っっはぁぁ~~!!つっかれたぁ~……」

卯月「今日の訓練も、一段とハードでしたね…」

凛 「お茶持ってきたけど、…飲む?」

未央「おっ、しぶりんサンキュー!」

卯月「…ありがとうございますっ」

未央「ゴックゴックゴッ…ッ!ぷっはぁ~!生き返るぜぇ~っ!!」

凛 「……未央、少しだらしないよ。ここ、プロダクションと違って、普通に男性職員の目もあるんだしさ」

未央「おっと。これは失礼。また未央ちゃんが、無意識のうちにこのナイスバディーな魅力で職員さん達を誘惑しちゃった?」

凛 「………」

未央「わ~ぉ…。しぶりんの目付きがスッゴいクール…」

凛 「…とにかく、気を付けて、ね?」

未央「ぶー!だって、そうは言うけどさぁ、ここに来てから訓練、仕事、訓練、レッスン、訓練、学校だよ?これじゃいくら未央ちゃんが体力自慢でも身が持たないよぉ~」

凛 「それは、確かにそうかもしれないけど…」

未央「過重労働だ!労働基準法違反だ!!未央ちゃんは断固として抗議する所存であるっ!!……って感じだよ~…。まったく……ん?」

卯月「………」

凛 「卯月?」

卯月「え……?あぁ、はい…!どうかしたんですか?凛ちゃん?」

凛 「どうかしたって、別に…。それよりも、大丈夫?」

卯月「え?…はい、すいません…。少し、ぼぉっとしちゃって…」

未央「しまむーがボーッとしてるのはいつもの事だけどさ…。ホント大丈夫?なんか、顔色悪いよ?」

卯月「そんな事…、大丈夫ですよ…!ほら、この通り…。島村卯月、元気一杯ですっ」 ダブルピース

凛 「……」

未央「……」

卯月「もぅ!二人揃って、心配し過ぎですっ!…あ、そろそろ私、明日の準備をしなくちゃいけないので、お先に失礼しますね?」

凛 「う、うん……。おやすみ」

卯月「おやすみなさい」

 

一人、宿舎に向かって歩き去っていく卯月。

 

凛 「…心配だね、卯月」

未央「うん。……それにしても何か忘れてる気が……あーーっ!!」

凛 「どうかした?いきなり飛び上がったりして……」

未央「国語と理科と近代史!明日までに課題やらなきゃいけないの、忘れてた~…」

凛 「はぁ、そんな事…」

未央「そんな事って、酷いよしぶりんっ!私の進路の単位に関わってくるんだよ!?」

凛 「自業自得でしょ?ま、頑張んなよ」

未央「えー!しぶりん冷たーい!『私が手伝ってやろうか(キリッ)』位言ってくれたって、罰当たんないじゃん?」

凛 「え、イヤだよ…。第一、通ってる高校が違ったら、教えてる範囲も違うんじゃない?」

未央「そんなマジレス…。えぇい、何時からそんな正論ぶちかますようになったんだ!しぶりんそれでもアイドルなの!?」

凛 「リ ア リ ス トだ、よ」

未央「……」

凛「そんなシラケないでよ…。振ったのそっちじゃん」 カァ…///

未央「いやまさかしぶりんがやるなんて、思わなくてさ。何かごめん」

凛 「あ、謝らないで…!余計惨めになる!」

未央「それじゃあ課題手伝って、ね?滑った罰ゲーム!」

凛 「だから滑った訳じゃ…。でもまぁ、いいよ。手伝う」

未央「やった!やっぱり持つべきものは掛け替えのない親友と、背中を預けられるチームメイトですなぁ~」

凛 「どっちも私でしょ、それ…。…一つだけ、私からもお願い聞いてもらってもいい?」

未央「んー?はいはいー!何でもどうぞ?この不肖、本田未央。親友でチームメイトのしぶりんが脱げとお命じになるのならシャツの一枚や二枚━━!」

凛 「待って、そう言うことじゃないから。言ってもいないのに脱ぎ出さないで、ここ共有スペースだから。待って、待てステイ。……」

未央「…しぶりんクールな視線で見下ろすのは禁止だぜ…。癖になっちゃう…」 モジモジ…//

凛 「まったく…。人が大事な話したい時に、一々茶化すんだから」

未央「え?大事な話…って?」

凛 「…うん。あのさ━━」

 

~~~ 翌朝 卯月私室 ~~~

 

卯月(━━…う……ぅん……。もう、朝……。起きなきゃ……)

 

カーテンの隙間から、陽光が差し込む。

 

卯月(う…っ。朝日、眩しい…。お布団、気持ちいい……。あと、五分だけ…何て、いきませんよね…。はぁ…)

 

諦めの吐息を吐いて、上体を起こす。

 

卯月「う……っ。ぁ…!体、おも…っ。昨日の疲れ、まだ抜けてないのかなぁ…?」

 

「きゃっ……!」 ドテンッ

 

足をもつれさせて、盛大に転ぶ。

 

卯月「痛たたた…。うへっ…えへへへ…。私って、ホントドジだな~…」

 

ふらりと立ち上がり、時計を確認する。

 

卯月「いっけない!そろそろ送迎の車が出ちゃう!急いで準備しなくちゃ…!」

 

そう思い立ち、着替えを始める。

 

~~~ 市街地 通学路 ~~~

 

卯月「………」

「しーまむーらさーんっ!おっはよー!」

卯月「ぅあ…?相川さん……。おはようございます……」

相川「あっらぁ~!朝から辛気臭い顔して、どしたの?」

卯月「…そんな酷い顔してますか?」

相川「そりゃもう、推しの限定ガチャで盛大に爆死したみたいな顔してるよ?」

卯月「相川さんの言うことって時々よく分かりません…」

相川「あ~、まぁまぁ!私の事よりそっちだよ。…もしかして、仕事で何かあった?」

卯月「いえ、そう言うわけでは…」

相川「ふぅん。ま、島村さんって頑張りすぎるとこあるから、適度に息抜き、ちゃんとしなきゃダメだよ~?」

卯月「そ、そうですね…、気を付けます。…ふふっ」

相川「仕事の話と言えば、この間のラジオ、聞いたよ~?スッゴく面白かった!」

卯月「あっ、そうですか?…ありがとうございますっ」

相川「いやいやぁ~。いいんだって、今の私にはラジオ聴くくらいしかファンとしてしてやれることないんだから」

相川「でも、こうなってくるとあれだな~。卯月雲の上の人になったみたいで、なんか、こう、遠くの人?みたいな」

卯月「そんな事ないですよぉ~…。相川さんは私の大切な友人ですから」

相川「うおっ…!嬉しいこと言ってくれるじゃん。 感動した!今度ファンレターと一緒に差し入れで駅前の抹茶タルト入れとくから!」

卯月「あ、ありがとうございます…?……あれ?」 フラァ…

相川「ちょっと島村さん、ホントに大丈b…って、島村さん!?」

 

相川さん……そんな血相変えてどうしたの?

あれ……?声が…出ない……。体……動かない……。

意識が……━━。

━━━━━。

…………

………

…。

 

~~~ 恐竜帝国 マシーンランド ~~~

 

バット「━━キャプテン・ザンキ!」

ザンキ「ははっ!こちらに……」

バット「うむ。次の戦、貴様に任せる」

ザンキ「はっ!遂にこの日が…!キャプテンの名を背負う者として、必ずや将軍バット様、ひいてはゴール様の期待に応えて見せましょう!」

バット「既にゲッターの手により、数多のメカザウルスが破壊された。その雪辱を晴らし、恐竜帝国に勝利の栄光をもたらすためにも、爬虫兵を統べるキャプテンの中でも、百戦錬磨の将と謳われるザンキ、貴様にならゲッターの首、狩り取ってくることも容易かろう?」

ザンキ「無論!この日のために、ガレリィ長官より賜ったメカザウルスを改造しておいたのです。必ずやゲッターの首を、玉座の前に掲げてみせましょう!」

バット「それでこそキャプテン!良き心意気、期待しておるぞ?」

ザンキ「はっ!必ずや、この命に代えましても!全ては、恐竜帝国そして、帝王ゴール様のためにィイ!!──」

 

~~~ 市街地 都立総合病院 ~~~

 

卯月「━━…うっ、う~…ん…?…ここは……」

「あら…。目が覚めた?」

卯月「あ、ママ…」

卯月母「おはよう。大変だったのよ?貴女がいきなり倒れたって、学校の先生から連絡が入って…」

卯月「倒れ、た…?それじゃあ、ここって…」

卯月母「病院よ。卯月のクラスメイトだった…えーっと、誰だったかしら…」

卯月「相川さん?」

卯月母「そうっ。その、相川さんって方が、連絡してくれたみたいよ?あとで感謝しなきゃね」

卯月「そうだったんだ…」

卯月母「…お医者様が言うには、過労だそうよ」

卯月「過労…」

卯月母「最近忙しいって言うのは聞いてたけど…、ちょっと無理しすぎなんじゃない?いくらなんでも女子高生の卯月が過労で倒れるなんて…。最近は家に帰ってこないことも多いし…」

卯月「う…うぅん…!そんな事、ないよ?その…最近は、ちょっと寝るのも遅くなっちゃてて…それで、少し寝不足だっただけだから」

卯月母「そんな事言って…。また同じようなことがあったら、お母さん心配よ?」

卯月「もう大丈夫!私は、大丈夫だから…」

卯月(ゲッターのパイロットになったことは、ママ達にも内緒…だもんね。心配掛けられないって…)

卯月母「本当に?」

卯月「うん。…みんな頑張ってるの。みんな、私と同じように、うぅん。私よりもずっと。だから、私も、もっともっと頑張らなくちゃ。こんなところでへばってなんていられない…!」

卯月母「卯月…」

 

「お邪魔しまーす」

 

卯月「あ、未央ちゃん、凛ちゃん!お見舞いに来てくれたんですね?」

卯月母「あら、卯月のお友達?」

卯月「うん。アイドルの…」

卯月母「そう。娘がいつも、お世話になってます」

未央「あ、ぃや…、あははは…!こちらこそ、いつも娘さんにお世話になってます!」

凛 「あの、少し3人で話したいことがあるので…」

卯月「え…?」

卯月母「分かったわ。…それじゃ卯月、お母さん帰るけど…また何かあったら、すぐに連絡をいれるのよ?」

卯月「あ…、うん。来てくれてありがとう…。ママ」

卯月母「どういたしまして。…それじゃあ、あとはお願いね?未央さんと、凛さん?」

凛&未央「「はい(っ!)」」

 

病室をあとにするのを見送る。

 

凛 「あれが卯月のお母さんか…。面と向かってちゃんと挨拶したの、はじめてな気がする…」

未央「へへっ…!優しそうな人だったね?しまむーにそっくり」

卯月「そ、そうですか?えへへ…、ありがとうございます」

未央「いやいや。そんな事よりもびっくりしたのなんのって!しまむーが倒れたって…」

卯月「…そうですね。心配させちゃって、ごめんなさい…」

未央「ホントだよー!もうっ、無茶してない、大丈夫なんて私達に言っておいて…。心配して千葉からゲットマシンで直行しようと思ったんだからね?」

卯月「え…えぇ……」

凛 「…未央の言うことは、半分冗談だとしてもさ、本当に心配したんだから。私たちの間で、気を使ったり、隠し事したりするの無しにしようって、約束したじゃん」

卯月「あうぅ…。ホントにごめんなさい」

凛 「今回は過労で済んで良かったけど…、もっと取り返しのつかないことになったかも知れないんだから…。もっと自分の体を労りなよ」

未央「まぁまぁしぶりん。しまむーも反省してるみたいしさ?あんまり責めないで…。しまむーも、しぶりんの気持ち分かってあげなきゃダメだぞ?」

卯月「はい…。だけど、やっぱり自分が情けないです…。このくらいの事で倒れちゃうなんて…」

未央「そ、そんな事ないよぉ~。しまむー、私達の中で一番頑張ってるじゃんっ」

卯月「…ありがとう、未央ちゃん。でも、自分でも分かってるんです。凛ちゃんも未央ちゃんも、二人とも私なんかよりすっと頑張ってる…。私が2人の頑張りに応えるためにも、もっともっと頑張らなきゃ、って。こんなところで寝てちゃ、駄目なんだ…!」 グッ…

未央「あ、しまむー!」

卯月「あ…、きゃあっ!」

 

バタンッ

 

上手く立ち上がることが出来ず、ベッドの上から転倒。

 

未央「あ~ぁ、言わんこっちゃない。そんな体で、無理してもダメだって…」

凛  「未央」

未央「えっ、何?しぶりん」

凛 「……」

未央「…しぶりん、目が怖いよ」

卯月「大丈夫です、未央ちゃん。ちゃんと、一人で立てますから…っ」

凛 「卯月…」

未央「あ、そゆこと」

卯月「…私って、ドジだから、ミスも多いし、合体する時も二人にタイミングを合わせてもらって…。私が、二人の足を引っ張っちゃいけないんです。これから戦うって言うなら尚更、2人に甘えるわけには、いかないんです!」

未央「……」 チラッ

凛 「……ん」

卯月「…? どうしたんですか?未央ちゃん、凛ちゃん…。2人で顔合わせて…」

未央「そうだね、しまむーの言う通りだ。こんな風にされるの、ホントに迷惑」

卯月「え、…え?未央ちゃん、今、なんて…」

凛  「私も同感。いっつも一人で無茶するし、その事を言っても、ちっとも聞いてくれない」

卯月「凛ちゃんまで…。どうしたんですか、そんな事!」

 

未央「いい機会だから、はっきり言うね」

凛  「ゲッターから降りてくれないかな?卯月」

 

卯月「…え?い、いや…!何で、そんなのイヤです!」

未央「またぁ?もう我が儘に付き合わされるの、勘弁してほしいんだよね」

卯月「っ!」

凛  「人には得て不得手があるって。どんなに頑張っても、出来ないことは出来ないよ」

卯月「そんな…!見捨てないで!私、まだ頑張れますから!」

未央「頑張る。頑張る頑張るって、ウンザリなんだって!」

卯月「っ…!未央、ちゃん…」

未央「そんなに頑張ってどうするの!?立派なパイロットになって、一人前のパイロットになって?それで死ぬまで戦うつもり?」

卯月「そ、それは…」

凛  「…そんなに頑張りたいなら、卯月のやりたいことで、卯月の好きなことで頑張ればいい」

卯月「凛、ちゃん…」

凛 「私達は、それを影から見守ってるから」

卯月「そ、それじゃあ…!2人は、2人はどうするんですか…?」

凛 「私達は、ゲッターのパイロットをするよ。アイドルは、平和になった後の世界で、きっと出来るから」

卯月「そんな…!そんなのっ!…そんなのって、ないです!それなら、私も一緒に!」

未央「だーかーらー!それはもう無理なんだって。私達が限界。分かってよ”卯月”」

卯月「っ!…もう、終わり、何ですか?」

未央「そう、終わりだよ、お終い。これから、私達はパイロットとして、卯月は、アイドルとして生きるんだ」

卯月「それって…!」

凛 「応援してるよ。頑張ってね」

卯月「ま、待ってください!凛ちゃん、未央ちゃん!!」

未央「へへっ、シー・ユー・アゲイン!また逢う日まで、さ!」

 

ガラッ

 

卯月「未央ちゃん…。凛ちゃん…」

卯月「……」

 

卯月母「──…卯月?さっき卯月のお友達が、血相変えて出ていったけど、何かあったの?」

卯月「…あ、ママ」

卯月母「卯月?」

卯月「あはっ…。2人に嫌われちゃいました、私…」

 

~~~ 総合病院 屋外 ~~~

 

未央「はぁ…はぁ…っ!待ってよ、しーぶりーん…っ!待ってってば!」

凛 「……」

未央「はぁ…はぁ…はぁ……。まったく、嫌われるのってやっぱイヤだね。メンタル的によくないよ」

凛 「……」

未央「おまけに、しぶりんはちょっぴり本音漏らしそうになるし…。しまむーに嫌われる事でゲッターパイロットやめさせる大作戦、半分失敗だよ?」

凛 「…未央だって、本音言いかけてたじゃん」

未央「あれ、そうだっけ?まぁいいか、これでしまむーも、わざわざ戻ってこようとは思わないよね」

凛 「…だといいけど」

未央「…だよねぇ。しまむー、あれで結構アクティブだから。このくらいじゃ引き下がらないかも」

凛 「ちょっと、何無責任に言ってるの?これ以上、卯月に無茶をしてほしくない、卯月にはアイドルでいてほしいって、そう思ったから、未央に今回の事、相談したのに…」

未央「そりゃぁ、そうだけどさ。でもさ、今回の事って、冷静に考えると私達の勝手な願いを、しまむーに押し付けただけだよね?」

凛 「それは…」

未央「だからさ、次はしまむーが一方的になっても、私達は文句言えないよ。もししまむーが、私達の願いとは逆方向の答えを出したとしたら、その時は…」

 

ヴーー ヴーー ヴーー

 

未央「ん、あれ?…ごめん、私の携帯だ……っと、アキっち…?」

凛 「晶葉?何か、ヤな予感がするね」

未央「へ、変な言い方やめてよ…。…っと、はぁい、もしもしアキっち?貴女のちゃ・ん・未・央☆だぞっ♪」

 

晶葉『……掛けてきたのは私だが、早速切って良いか?』

未央「まったまた~!未央ちゃんの場を和ます粋なジョークじゃないっ!アキっちったら、頭が固いんだから」

晶葉『そういうキャラ付けは、ウチの所ではウサミン星人一人で充分だ。…それより、本題に入りたいんだが、いいか?』

凛 「メカザウルスが出たんでしょ」

晶葉『凛も一緒か、都合が良い。お察しの通り、敵襲だ。君達ゲッターチームに出撃要請が入っている』

未央「分かった!すぐに準備するよ」

晶葉『まぁ待て。今お前の携帯のGPSで、現在地を特定している。そこに無人のゲットマシンを飛ばすから、そこで待っていてくれ』

未央「そうなんだ…。あ、でも今病院にいるからここにゲットマシン着陸させたら、色々迷惑かも」

晶葉『…何?…確かにそのようだな。何故病院に?』

凛 「卯月が倒れたんだよ。…過労でね」

晶葉『何だと!?それでは、イーグル号には…』

凛 「…そっちから、美波かアーニャを乗せてよ」

晶葉『分かった。前日に予備パイロットとの合体訓練をしていて正解だったな。しかし、卯月が過労で倒れるとはな…』

凛 「…それで、この戦闘が終わったら晶葉に話しておきたいことがあるんだ」

晶葉『話…?』

未央「その辺りは始めたら立て込みそうだから、帰ってからってことで」

晶葉『あぁ、話の件は分かった。取り敢えず今は…そうだな、そこから少し移動したところに広めの公園がある。ゲットマシン2機くらいなら着陸させられそうだ。今地図データを送るからちょっと待ってくれ』

凛&未央「「分かった(!)」」

 

晶葉との通信が途絶え、代わりに周辺のマップが未央の携帯に送られてくる。

 

未央「…よしっ!行こう、しぶりん!」

凛 「うんっ!」

 

~~~ 総合病院 屋上 ~~~

 

卯月母「──…そう、そんな事があったの」

卯月「私、全然駄目ですよね。年上なのに…。2人にあんな風に言われるなんて…」

卯月母「そうねぇ。確かに、先輩としてなら、情けないわよね」

卯月「うぅ~~っ。そんなはっきり言わなくてもぉ~」

卯月母「けど、どうして2人がそんなこと言ったのか、ちゃんと分かってるんでしょ?」

卯月「……」

卯月母「ねぇ、卯月?」

卯月「ママ…」

卯月母「全部、お母さんに正直に話してみない?」

卯月「え…?」

卯月母「貴女が嘘を吐いてることくらい、お母さんには分かるわよ。今までそんな、隠し事なんてしてこなかった卯月が…」

卯月「……」

卯月母「きっと、私を心配させないため、何でしょう?けど、そうやって一人で抱え込んでいても、卯月。貴女に良いことなんて一つもないわ」

卯月「けど…、それは…」

卯月母「卯月?」

 

ウウゥゥゥゥゥゥゥゥンッ!!

 

卯月「これは…!?」

卯月母「非常警報!?こんな時に、嫌ね…」

卯月(メカザウルスが来るんだ…、この市街地に…)

卯月「凛ちゃん、未央ちゃん…!」

卯月母「先ずは自分の心配をしなさい。ここも危ないかもしれない、シェルターに避難しましょう」

卯月「それは…」

卯月母「さぁ早く!」

卯月「あ…、あぁ…!」

卯月(私は、一体どうしたら…)

 

~~~市街地 上空 ~~~

 

未央「ベアー号、発進完了~!さぁて、今日の敵はどいつだぁ?どこからでも掛かって来なさ~いっ!」

美波「まだ会敵までには時間があるわ。落ち着いて」

凛 「イーグル号には、美波が乗ってるの?」

美波「えぇ。卯月ちゃんほどじゃないかも知れないけど、宜しくねっ」

未央「オッケーだよ、ミナミン!それよりも、緊張してない?」

美波「ふふっ、大丈夫よ未央ちゃん。ちょっと怖いけど、自分でやるって決めたことだもの!二人の足を引っ張らないように、やってみせるわ!」

凛 「うん。その意気だよ。……と、そろそろ敵が見えてきた…!」

未央「あれだね!何か昔の人が書いたスタンダードな恐竜って感じだけど……」

美波「…でも、頭にドリルが付いて、右腕のあれは…何て言うのかしら。あれもドリル?」

凛 「見た目の感想は良いから、戦闘態勢、合体フォーメーション!」

未央&美波「「了解!!」」

 

『フフフ…!ハハハハハッ!!遂に現れおったな!待っていたぞ、ゲッターロボ!』

 

未央「喋った!?」

凛 「あのメカザウルス、人が乗ってる…?」

 

『いかにもッ!我こそは、バット将軍に仕える爬虫人軍一の猛将と謳われるキャプテン・ザンキッ!!』

 

ザンキ『恐竜帝国の頭脳、ガレリィ博士より賜り、我自身が改造を施した、この究極のメカザウルス・ゼンⅡの力を以て、その憎きゲッター線の使徒、地獄に送ってくれるわ!!』

凛 「まったく…。口上が長いんだよ」

美波「Ⅰも知らないのに、いきなりⅡだなんて言われても…」

未央「ホント!暖気だか鈍器だか知らないけど、あんたの思うようになんかさせないッ!ゲッターロボが相手になってやる!」

ザンキ『望むところ!さぁ、早くゲッターロボに合体しろ!!』

凛 「合体する時間をくれるって言うの?バカにして…っ!」

美波「それだけ、自分の実力に自信があるのかも。気を付けていきましょう」

凛 「分かった。でも、美波さんはまだ実戦経験がない。地上戦には地上戦、ここはゲッター2で勝負する!」

未央「りょー解っ!ミナミン、しぶりんのリードについてって!」

美波「えぇ!分かったわ!」

 

ジャガー号を先頭に、3機のマシンが空中で連なる。

 

凛 「チェーンジゲッターー!2ッ!!」

 

合体した、ゲッター2が地上に降り立つ。

 

ザンキ『ふん…。随分と華奢な、頼りない奴が出てきたな…』

未央「見た目で判断しないことだね?しぶりん、ゲッター2の速さを見せちゃってよ」

凛 「言われなくっても…!ゲッタービジョン!」

 

叫び、右の操縦桿を倒す。ゲッターが高速移動を始め、ゼンⅡを中心に円を描くように取り囲む。

 

ザンキ『うむぅ!?これは…!』

 

ゲッター2の高速移動の中心で、ゼンⅡは右往左往。

 

凛 「今だ…!ゲッタードリル!!」

 

ギュルイィィィィィンッ!!

 

ゲッタードリルが唸りを上げ、ゼンⅡの背後目掛けて、突進していく。が、

 

ガギンッ

 

凛 「!?」

未央「ウソォ!」

美波「ゲッタードリルが…メカザウルスの装甲に、阻まれた!?」

ザンキ『ふむ…蚊が刺したか?』

 

振り向き様にゼンⅡが左の腕を振りかぶり、ゲッター2に降り下ろす。

 

凛 「っ…!」

 

ゲッタービジョンの高速機動でゲッター2を引き、攻撃を躱す。

 

美波「きゃあっ!」

未央「大丈夫!?ミナミン!」

美波「え、えぇ…。慣れない重心移動で、ビックリしちゃっただけだから…」

凛 「ゲッターキック!」

 

ゲッター2がゼンⅡの体を蹴り上げ、距離を取る。対するゼンⅡにダメージが入った様子はない。

 

凛 「な、何て固さなの!?」

ザンキ『そんなものか?…温い、生温いぞぉ!!』

未央「奴の攻撃が来る……!躱して!」

凛 「言われなくっても…ーつ!」

 

ゼンⅡの頭部からドリル型のミサイルが放たれ、ゲッター2目掛けて飛来する。凛はそれを巧みに躱していく。

 

ザンキ『はははっ!小賢しいな!小躍りするのが好きと見える!』

凛 「ぐっ…!」

ザンキ『だが、俺は余興は好かん!!』

凛 「!?」

 

ゼンⅡの右腕のドリルが回転し、生まれた旋風がゲッター2の挙動を乱す。

 

凛「う…っく…!」

未央「し、しぶりん…!しっかり!」

凛 「ドリルストームみたいな技を…!」

美波「凛ちゃん、前!!」

 

 

体勢の崩れたゲッター2に、ゼンⅡが迫る。

 

ザンキ『受けるか?我が必殺の一撃!』

凛 「……あぁ…!」

ザンキ『ハンドソルド!!』

 

回転する右腕、ゼンⅡのハンドソルドがゲッター2の鳩尾を深く抉り、ゲッター2の体を遠く離れたビルまで吹き飛ばした。

 

美波「きゃあああぁぁっ!!」

 

土煙を上げながら、アスファルトの地面に沈み込むゲッター2。

 

未央「痛つつつ…っ。しぶりん、ミナミン生きてる?」

美波「えぇ、何とか…」

凛 「こっちも…。まだ視界がグラグラするけど…」

未央「あいつ、強いね。これまで戦ってきた奴とは段違いだ」

凛 「だからって、ここで逃げるわけにはいかないんだ!」

 

憎々しげに視線を上げる。ゆったりとした動作でゼンⅡはこちらに近づいてくる。

 

凛 「ドリルストームッ!!」

 

高速回転させたドリルから竜巻を発生させ、ゼンⅡを巻き込む。

 

ザンキ『何の小細工だ?』

凛 「ドリルミサイル!」

ザンキ『フンッ!』

 

ドリルストームに乗じて撃ち出したドリルミサイルも、ゼンⅡの尻尾に軽く撃ち落とされる。

 

ザンキ『全く、全くもってつまらん!期待していたゲッターが、まさかこの程度の相手だったとは……!!』

 

凛 「くっ…!まだまだぁ!卯月の未来を守るって、決めたんだ!こんな相手くらいッ!!」

ザンキ『はははははぁッ!気合いは十分だなぁ!だが、気合いだけでは勝負には勝てぬぞ!!』

未央「自分が一番戦いを楽しんでるくせに、偉そうな事を…!」

美波「でも、あの人の言っている事に間違いはないわ。気合いが空回りしているわ、凛ちゃん!」

未央「それは確かに、言えてるかも!しぶりん、スピードで勝てないならパワー勝負だ、ゲッター3で相手だよ!」

凛 「…そうするしかないみたいだね。──オープンゲット!」

ザンキ『ほぅ、まだ楽しませてくれるか』

 

ゲッター2は3機のマシンに分離。隊列を組み替えて、再度連なる。

 

未央「チェンジゲッタァー3ィ!!」

 

ザンキ『フンッ!今度のは、何と歪な……』

未央「あー!ゲッター3をバカにしたなぁ!?私のゲッター3をバカにするのは、このパワーを見てからにしろぉ!!」

ザンキ『力比べか、面白い!!』

未央「パワーアームッ!!」

 

気合い一発。ゲッター3のパワーアームと、ゼンⅡの両腕が組み合う。

 

未央「ギ…ギ、ギ、ギ…!」

ザンキ『ほぅ、さっきの奴より味はある!』

未央「へっへっへっ…!少しは見直してくれた?」

ザンキ『あぁ、少し、な!!』

未央「うわぁっ!」

 

パワーアームをそのまま持ち上げられ、地面へと叩き付けられる。

 

未央「うぐぅ…!」

凛 「何やってんの、未央…」

ザンキ『味のある相手だがそれまでだな!力だけで、この俺のゼンⅡには勝てん!』

美波「これは、次はいよいよ、私の出番かしら…?」

未央「イッツァ、ピ~ンチ…。流石の未央ちゃんも、冷や汗出ちゃうよ…」

 

~~~ 総合病院 屋外 ~~~

 

卯月「はっ…はっ…はっ…!」タタタッ

卯月母「どうしたの、卯月!早く、急いで…!」

卯月「あ…ま、待って…!ママ!」

 

卯月母「卯月…?」

卯月「はぁ…はぁ…はぁ……」

卯月母「…卯月、メカザウルスはそこまで来てるのよ?早く避難を」

卯月「ゲッターの、パイロットだったの。私」

卯月母「え?」

卯月「何て、信じてもらえないよね。今は、ゲッターを下ろされちゃったし」

卯月母「もしかして、さっきの友達との話って…!」

卯月「戦いたいとか、戦いたくないとかそういうのは、正直言ってよく分かんない。巻き込まれたみたいな感じだし…。だけど、何て言うのかなぁ…」

卯月母「卯月、貴女…!」

卯月「分かってる、ちゃんと分かってるつもり。ママには心配してほしくない。私だって、危ないことはしたくない。だけど…」

卯月母「…だけど?」

卯月「気付いたの。結局それって、周りを言い訳にしてるだけだって」

卯月母「それでいいじゃない」

卯月「ママ…?」

卯月母「周りを言い訳にしたって、いいじゃない…。逃げ出す口実にしたって、いいじゃない。後で取り返しの付かないことになって、家族が哀しむより、ずっとマシよ!」

卯月「…ママ」

卯月母「卯月、貴女は良い子よ。お母さんとお父さんの、自慢の娘。誰かにやれって言われたら断れない、優しい子」

卯月「……」

卯月母「だから、責任に感じているんでしょ?自分がやらなくちゃって、そんな事ないのよ」

卯月母「危ないことは、それが出来る専門の人達がいる。誰かが無理しなくちゃいけないことなんて、この世にはないんだから」

卯月「…そう、だよね。きっと、そう…」

卯月母「そうなのよ。貴女が逃げたって、誰も貴女を責めたりしない、悪く言ったりしない。だから、お母さんと逃げましょう?」

卯月「…ごめんなさい」

卯月母「卯月?」

卯月「私がここで逃げたら、誰に責められなくても、悪く言われなくても、きっと私は、自分で自分を許せないから」

卯月母「……!」

卯月「だから、ごめんなさい!パパとママの自慢の娘は、悪い子になります!」 ダッ

 

踵を返して母親に背を向け、メカザウルスと、ゲッターのいる方へと走り出す。

 

卯月母「あ…!待って…!待ちなさい、卯月ぃ!!」

 

~~~ 市街地 大通り ~~~

 

未央「──ゲッターミサイル!!」

ザンキ『ミサイルっ!』

 

ゲッター3の肩から放たれたミサイルと、ゼンⅡの頭部からのミサイル同士がぶつかり合い、周囲を黒煙が包み込む。

 

未央「げぇっ!煙幕で全然見えない…!?」

凛 「レーダー見て!真正面っ!!」

ザンキ『フンッ!!』

 

黒煙を振り払って姿を見せた、ゼンⅡの尻尾がゲッター3を強かに打ち付ける。

 

未央「う…わぁっ!!?」

美波「大丈夫!?未央ちゃん!」

未央「へへっ…!へーき平気っ!タフが取り柄のゲッター3!そう簡単にはやられません!」

凛 「何て自慢げに言ってるけど、勝算はあるの?」

未央「それは、とりあえず…こう、やってみる!」

 

ゲッター3の両腕のパワーアームをゼンⅡに向かって伸ばし、羽交い締めにする。

 

ザンキ『むぅっ!これは…!?』

未央「そおぉ…りゃっ!!」

 

力任せに宙へ持ち上げて、そのまま近くのビルに叩きつける。

 

未央「へっへ~んっ!どぉだ~!ゲッター3、パワーで勝機がなくても、物理的衝撃なら、ダメージを与えられるはず!」

凛 「…後でビルのオーナーから苦情来ても知らないよ」

美波「確かに今ある中では最善かもしれない(ビルの被害はともかく…)。でも…」

 

倒壊したビルから起こった土煙の中から、再びゼンⅡが姿を現す。

 

凛 「あんまりダメージ受けた様子ないね」

未央「ウソォ~ン…。今ので致命傷くらいにはなるはずだけど…」

凛  「頼りにならないダメージ計算だよ…」

ザンキ『キャプテンが乗り込むメカザウルスだぞ?この程度の衝撃で倒れるものか!』

凛 「それで、次の手は?他にまだあるんでしょ?」

未央「えっ、う~ん…と…。つ、次の手は…」

美波「次の手は?」

未央「に、逃げるんだよ~ぉ…?」

ザンキ『次はこちらの番だぁーーーっ!!』

未央「ひゃ…!」

美波「未央ちゃん避けて!!」

未央「ゲッター3に回避なんて、無理…」

凛 「諦め早っ!」

ザンキ『ハンドソルドッ!!』

 

ゼンⅡのハンドソルドによる一撃で、低重心で重量感のあるゲッター3が宙を舞う。

 

未央「が…ぁっ!あ゛、あぁぁっ!!」

 

キャタピラの下半身をゼンⅡに向けて、背中から地面に倒れ伏したゲッター3。

 

未央「やっば…!押しても引いても、立てない…っ!」

凛 「ちょっと未央!しっかりやってよ!」

未央「んなこと言われなくっても、分かってるけど…!この、この…このっ!」

 

虚しく空中で回転するゲッターの無限軌道。

 

ザンキ『グハハハッ!!我が帝王・ゴール様っ!ご覧になっておいでですか!?このザンキが、憎きゲッターの息の根を止め、その首を貴方様に献上致しますぞッ!!』

 

未央「このぉ…!好き勝手言ってくれちゃって!」

美波「未央ちゃん、分離よ!オープンゲットして、一旦態勢を整えましょう!」

未央「そっか…その手があった!」

 

はっ、と気付いて、分離合体用のレバーに手を伸ばす。

 

ザンキ『死ねぇぇぇぇぇぇぇぇえええいっ!!』

凛 「ダメ…!間に合わない!!」

未央「!?」

 

一瞬の違いか、ゲッター3目掛けてハンドソルドが振り下ろされる━━、

 

 

「━━待って下さいっ!!」

 

ザンキ『むぅ!?何奴』

凛 「こ、この声は……!」

 

寸での所でハンドソルドが止まる。

 

卯月「はぁ…。はぁ、はぁ…はぁ……!」

 

未央&凛「「卯月!!?」」

 

未央「…ど、どうして…!こんなところに来たのさ!卯月っ!」

凛 「そうだよ、早く避難して!!」

卯月「イヤですっ!」

未央「え?」

卯月「わ、私だって…私だって、う…うんざr……」

美波「な、何があったの?卯月ちゃん?!」

卯月「やっぱり言えません~!!」 ピャ-ッ

美波「えぇ…」

ザンキ『えぇい、無力なサル共の小娘が、このキャプテン・ザンキの戦に割って入るとは!』

 

起き上がれないゲッター3に背を向け、卯月の正面に立ちはだかる。

 

未央「に、逃げて!しまむぅー!!」

卯月「うぅ…っ!」

ザンキ『何をしに来たかは知らんが、死に急ぎたいのならば、そうしてくれるッ!』 グォッ

 

ゼンⅡのハンドソルドが、振り上げられる。

 

未央「させるかぁっ!!」

ザンキ『ぬ、ぬぅ!?』

 

倒れた姿勢のまま、パワーアームを伸ばし、ゼンⅡを拘束。

 

ザンキ『き、貴様……っ!まだ…!?』

未央「ゲッター3は男の子ッ!これが私の底力ぁ!!」

 

ゼンⅡとゲッター3の力が拮抗する。

 

凛 「今の内に早く!逃げて、卯月っ!!」

卯月「…逃げません!!」

凛 「え…っ」

卯月「私は逃げませんよ」

未央「しまむー…卯月っ!言ったじゃん!私達に、卯月はいらないって」

美波(いらない…?…そう言うこと、なの?)

卯月「そんなの、関係ありません!」

凛 「関係、ない…?」

卯月「はい…っ。凛ちゃんの勝手にも、未央ちゃんの勝手にも、私が従う必要なんて、無いんです!」

未央「そんな、勝手な……」

卯月「必要とされなくたって良い、2人に嫌われたって、私…構いません!それでも、私、分かったんです!」

凛 「…何を」

卯月「アイドルとか、友達とか、家族とか…。みんな大切で、大事だから!私が、守りたいって!」

凛 「そんなの、卯月じゃなくても出来るでしょ」

ザンキ『えぇいっ!離せ、離さんかっ!!』

未央「あんたは…!ちょっと大人しくしてよっ!!」

 

パワーアームの力を込め、ゼンⅡの体をキツく縛り上げる。

 

ザンキ『うぐぅ…!?』

未央「そうそう、良い子だ」

凛 「卯月は、トップアイドルになるんでしょ?」

卯月「…はい。その夢は、今だって変わりません」

凛 「だったら…!」

卯月「でも、私が目指すアイドルは、私が思い描いたアイドルの姿は、私一人じゃ、意味無いんです!」

凛 「そんな事…!」

卯月「パパやママ、友達に支えられて、隣に凛ちゃん達がいてくれて…。みんな手を取り合って、笑い合える。それが、私の目指すアイドルです」

卯月「だから、私の隣には”アイドル”の渋谷凛と、本田未央がいてくれないと、イヤなんです!」

未央「イヤって、子供じゃないんだよ?そんな、わがまま…」

卯月「そうです。これは、私のわがまま。でも、気付いちゃったんです。ゲッターに乗って、はじめてメカザウルスと戦った、あの日に」

未央「何を…」

卯月「…何も出来ないと思ってた。わたしは、何の力もないちっぽけな女の子で、あんな大きな、メカザウルス相手には逃げることしか出来ないって、今まではそう思ってたんです」

卯月「でも、違う。私でも戦える!私が、守りたいって思った人達を、みんなの笑顔を守ることが出来る。ゲッターの力で!」

美波(……)

凛 「だから、戦うって言うの?アイドルの未来を諦めて…」

卯月「諦めません!トップアイドルにだって、絶対なれますよ。平和になったら、きっと!」

未央「へへっ、意外と欲張りなんだ」

卯月「はいっ♪島村卯月、欲張っちゃいます!」

未央「…だってさ、どうする?しぶりん」

凛 「……」

 

バチンッ

 

凛 「!?…な、何…?」

 

ゲッター3が突然分離。

 

未央「ウッソ…。私、オープンゲットなんて言ってないよ?」

美波「いざという時のための、強制分離システム。ゲッターの分離自体は、メイン以外のコックピットからでも出来るのよ」

未央「って事は、ミナミンが」

美波「えぇ。誰かが背中を押してあげなくちゃ、でしょ?」

凛 「……」

美波「何があったかは、聞くつもりもないけど。だけどやっぱり、凛ちゃん達は3人で一つのチームじゃない」

未央「…よぉーしっ!分かった。しぶりん!」

凛 「…何?」

未央「私はもう、覚悟を決めた。私は卯月と行く!」

凛 「……」

未央「しぶりんは?」

凛 「…かだよ」

未央「ん?」

凛 「…バカだよ、みんな。ホント。戦いなんて、いつ終わるか分かんないのに、アイドルなんて、何時まで続けられるか分かんないんだよ?」

未央「でも、夢を諦めた後に叶えたアイドルだって、何年もしぶとく頑張って夢を叶えたアイドルも、私達は知ってるよ?」

凛 「……」

未央「そのために頑張ろうって言うんだ。これ以上、私達が言えること、ないんじゃないかな?」

 

ザンキ『何の話をしているのか分からんが、貴様らの思い通りになど…』

凛 「……させないよ」

ザンキ『ぐぅ…っ!?』

 

ジャガー号のミサイルが、ゼンⅡの足を止める。

 

未央「しぶりん!」

凛 「美波は早く卯月のところに行って!ここは私と未央で引き受ける」

美波「分かった!何とか持ちこたえて、頼んだから!」

凛 「そっちも、卯月の事は任せたよ」

美波「えぇ、任せて──」

 

イーグル号は着陸の態勢に入り、ジャガー号とベアー号はゼンⅡの方へと向かう。

 

凛 「卯月が乗り込むまでの時間を稼ぐよ、未央!」

未央「合点!ミサイル発射~!」

ザンキ『ぬぅ…!?羽虫共が…!そんな豆鉄砲でぇ…!』

 

2機のマシンが弾幕を展開する一方、イーグル号は卯月の待つ地点へとゆっくり降下する。

 

卯月「美波さん…」

美波「さぁ、卯月ちゃん。凛ちゃんと未央ちゃんが待ってるわよ」

卯月「…はいっ」

美波「…何だか、羨ましいな」

卯月「え…」

美波「本気でぶつかり合って、自分の思ってることを正直に言い合えるのが」

卯月「美波さん…?」

美波「若いからとか、子供だからとかじゃない。貴女達3人が、心から信じ合っている証なのよね、きっと」

卯月「えっと…、はい。私は凛ちゃんも未央ちゃんも、みんな大好きだから!」

美波「ふふっ。それなら、ちゃんと卯月ちゃんの手で、守ってあげて?」

 

ハーフフェイスのヘルメットが受け渡される。

 

卯月「…はいっ!ありがとうございますっ、美波さん!」

美波「いってらっしゃい、卯月ちゃん!」

卯月「はいっ!!」

 

パチィンッ

 

ハイタッチを交わして美波に別れを告げ、イーグル号の操縦席に滑り込む。

 

卯月「━━計器に異常はなし。改めてよろしくね、イーグル号…」

 

計器をチェックし、チャームポイントのポニーテールを解いて美波から預かったヘルメットを被る。

 

卯月「…すぅ……。──島村卯月、行きますっ!」

 

操縦桿とフットペダルに力を込め、勢いよくイーグル号は空へと舞い上がる。

 

卯月「凛ちゃん、未央ちゃんっ!!」

未央「しまむーキター!!」

卯月「お待たせしました。━━イーグルミサイルッ!!」

 

イーグル号の機首下部から、二筋のミサイルを撃ち出し、ゼンⅡの足元で土煙を発生させる。

 

ザンキ『目眩ましのつもりか…!この程度…ッ!!』

 

ゼンⅡが土煙を振り払う間に、3機のマシンはイーグル号を先頭に天空へ。三つの心が青空の中で一つになる。

 

卯月「チェェェーンジゲッタァァー1ッ!!」

 

日の光を受け、赤いマントを翻し、ゲッター1がゼンⅡの前に降り立つ。

 

ザンキ『更に姿を変えてきたか…。だが、今更乗組員を一人入れ換えたところでぇ!!』

 

悠然と立ちはだかるゲッター1に、ゼンⅡは自慢のハンドソルドを掲げ、猛然と突撃。

 

ザンキ『ハンドソルドッ!!』

卯月「っ!ゲッターレザー!!」

 

対する卯月は、振り下ろされたハンドソルドを右腕のカッターで受け止める。

 

ガキィンッ

 

ザンキ『…何ッ!?』

卯月「ここからが、ゲッターの本番です!」

 

わずかにゲッターレザーを捻ることで、絡み付いたハンドソルドの刃をへし折る。

 

ザンキ『ば、バカなぁ…!?俺の、ハンドソルドが…?』

卯月「これで、もう怖いものなしですね」

ザンキ『おのれぇ~!このッ!』

 

ブォンッ

 

卯月「ゲッターウィング!」

 

水平に放たれた尻尾の一撃を、翼を広げ、宙に舞い上がることで躱す。

 

卯月「ゲッターキック!!」

ザンキ『ぐぉ…!』

 

そしてそのまま、ゼンⅡの頭部目掛け、後ろ回し蹴りを放つ。

 

ザンキ『小娘がぁ~~ッ!!くらえッ!』

卯月「っ!」

 

ゼンⅡの口から断続的に放たれるミサイルを、空中を縦横無尽に駆ける事で難なく掻い潜る。

 

ザンキ『おのれ、ちょこまかとぉ~!!』

未央「敵さん、随分頭に血が上ってるようですなぁ?」

卯月「ッ! ゲッタートマホーク…!──ブーメランッ!!」

ザンキ『!?』

 

ゲッター1目掛けて飛来したミサイルを、投射したトマホークが悉く蹴散らし、そしてゼンⅡの頭頂の角ドリルを削り取る。

 

ザンキ『うおぉおおおッ!!?俺の角がぁ?!』

卯月「ゲッターパァンチッ!!」

 

怯んだところに急加速。勢いを乗せたゲッターの拳が、ゼンⅡを吹き飛ばした。

 

ザンキ『う、うぐ…ぅ』

 

ゼンⅡの装甲を歪ませながら、それでも尚立ち上がる。

 

ザンキ『な、何故だ…?先程までのゲッターに、こんなパワーはなかったはず…。何故いきなり、これほどのパワーアップを!?』

卯月「貴方には、きっと分かりませんよ!」

ザンキ『何ぃ!?』

凛 「ゲッターは三人の力が一つになってはじめて、100%の力を発揮するロボット!」

未央「つまり━━!!」

 

ゼンⅡの鳩尾にゲッターキックが炸裂し、ゼンⅡがよろける。

 

ザンキ『ぬぐぁ…!』

卯月「三つの心が一つになれば!」

凛 「無敵の、ゲッターの力は……っ!」

未央「百万パワー!!」

 

態勢を崩したゼンⅡの頭部を捉え、地面に叩きつける。

 

ザンキ『が…はっ!!三つの心を一つに、だと…?そんな非科学的なもので、このゼンⅡが負けると言うのか!』

凛 「だから、アンタには一生分かんないんだよ」

未央「しまむー、一気にトドメだ!」

卯月「はいっ!ゲッタートマホークッ!!」

 

ゲッター1がトマホークを大きく振り上げる。

 

卯月「トマホーク、ブゥゥーメランッ!!」

 

勢いよくトマホークを投擲し、ゼンⅡを斬り裂く。

 

卯月「たぁああぁ!!」

 

素早く戻ってきたトマホークを掴み、追撃を加えるため突貫する。

 

卯月「えいっ!」

 

右手に担ったトマホークを水平に振り被るように、一撃。

 

卯月「えいっ!」

 

フルスイングしたトマホークを、すかさず返し、やや振り上げ気味に二撃目。

 

卯月「えぇぇええいっ!!」

ザンキ『ぐおぉっ!?』

 

三撃目はトマホークを両手でしっかりと構え、大上段から力任せに一気に振り下ろす!

 

ザンキ『うぅ……、おのれおのれおのれぇ!!』

 

全身にダメージを受け、満身創痍のゼンⅡの身を低くし、辺り構わず突撃する。

 

凛 「まずい…!卯月、空中に回避だよ!」

卯月「分かりましたっ……」

ザンキ『させぬわぁ!!』

 

マントを広げ、空中の逃れようとするゲッター1にミサイルを放ち、牽制する。

 

ザンキ『くぅらえぇぇいっ!!』

卯月「…っ!きゃあぁぁぁ!?」

 

ゲッター1に飛び付き、勢いのまま、ビルの残骸へと押し倒す。

 

凛 「ぐっ…!まだこれだけパワーを残してるなんて…」

未央「もぅ!無茶苦茶過ぎぃ!!」

 

両腕、両脚ともにゼンⅡによって拘束され、全く身動きが出来ない。

 

ザンキ『認めぬ…認めぬぞ!このゼンⅡこそが、地上で最強のメカザウルスなのだ!それを、たかが小娘如きに!』

凛「随分と、傲慢だね」

ザンキ『余裕を見せていられるのも今の内よ!』

卯月「くっ…!」

 

拘束されているゲッター1の装甲が軋みを上げ、ゼンⅡに踏みつけられる両脚の装甲には亀裂が生じる。

 

ザンキ『フハハハハハ!!泣け、叫べ!己の無力の前にみっともなく喚き散らすが良いっ!!』

 

卯月「っ…!」

未央「あ~らら、ゲッターロボの大ピンチ?流石の未央ちゃん達も一貫の終わりなの~?」

凛 「未央、ふざけすぎ」

ザンキ『その余裕が何時までもつかな?』

未央「えー?そっちこそ、こんなことくらいで、もう勝ったつもり?」

ザンキ『何を言う!追い詰められているのは貴様らだぞ!貴様らこそ、いい加減に覚悟を決めるんだな!』

未央「…本当に、もう…。何て言ったらいい?」

凛 「さぁ?『相手が勝ち誇った時、その相手は既に敗北している』とで言ってみたら?」

未央「お、それはちょっとカッコいいかも」

ザンキ『何時までもふざけおってぇ…!これで息の根を止めてくれる!』

 

ゼンⅡの口内にエネルギーが溜められていく。

 

凛 「はぁ…。ホント、下調べが甘いよ、恐竜帝国!」

ザンキ『何を?!』

未央「ゲッターの必殺技はッ──!!」

 

カシャン

 

ゲッター1の腹部中央が円形に口を開ける。

 

ザンキ『しまっ━━!?』

 

一瞬。

 

卯月「ゲッタァアー…!ビィィィームッッ!!」

 

放たれた一筋の閃光。ゼンⅡの頑強な表面装甲を穿ち、恐竜の肉体を焼き、その輝きはゼンⅡの体を貫いて尚宙を引き裂く。

 

ザンキ『ぐ…っ、おおおぉぉぉぉ!?なんとぉお!こんなことがぁアアアアアッ!!』

 

叫びはそのまま断末魔の響きとなり、メカザウルス・ゼンⅡは爆散した。

 

━━。

 

未央「た、倒した……」

凛 「なかなかの強敵だったね…」

卯月「…はい。これから、こんな敵が増えるんでしょうか?」

未央「さぁ?でも、私達三人にゲッターの力を合わせれば、どんな敵だって怖くないよ!」

凛 「………」

 

コンピュータのディスプレイに視線を落とす。視線の先は、各ゲットマシンの出力値だった。

 

凛 (…さっきはノリであんなこと言ったけど、美波が乗ってた時より、イーグル号の出力が上がってる…?これが、あのザンキとか言う奴が言ってた、急激なパワーアップの理由?)

 

卯月「…?凛ちゃん、どうかしましたか?」

凛 「卯月…。うぅん、大したことじゃないよ。…それより、ホントに良かったの?」

卯月「はいっ!多分、後悔はしません。だって…」

未央「だって…?」

卯月「未央ちゃんと凛ちゃんが、いてくれますから♪」

凛 「……」

未央「えぇ~いっ、照れること言ってくれるぜ!しまむーは」

卯月「え、えぇっ…。そんな、可笑しな事言ってませんよね?私…」

 

━━くぅ…

 

卯月「……ぁ…」

凛 「…今の、何?」

未央「プッ…!あっははっ!しまむー…!お腹空いた?」

卯月「あ、あの…。ちょっと、笑わないで下さい…っ!朝から何も食べてないのっ!だから…」

凛 「それでよくゲッター動かせたね……」

未央「あははは!ふ…ふひひひ……っ!あー、お腹、お腹痛い……っ」

卯月「も、もう未央ちゃんっ!笑わないで下さいってば~~!!」

未央「あっはっはっ!ヒ-!ごめんごめんっ。それじゃ、晩御飯の時間だし帰ろうか、私達の場所に!」

卯月「…はいっ!」

 

凛 「……」

晶葉『━━ははっ!まぁ良かったじゃないか。無事に丸く収まったみたいで』

凛 「晶葉…」

晶葉『これでもう、戦いが終わった後の話、と言う奴は必要なくなったかな?』

凛 「…知ってたの?何を話すか」

晶葉『卯月が疲労を重ねていた事については、早乙女博士も懸念していた。それに今回の病院送り。大体検討は尽く』

凛 「うん…。まぁその通り何だけどさ…」

晶葉『何だ?卯月が戻ってきたのが、不満か?』

凛  「いや、そうじゃないよ。…取り敢えず、ね。丁度いい、今データを送るから、ちょっと見てくれない?」

晶葉『データ、だと…?これは、ゲッターエンジンの出力値か……これは…』

凛  「やっぱり、正常な数値じゃないんだね」

晶葉『計器の異常じゃないのか?でなければ、こんな…』

凛 「それは、専門じゃないからよく分かんない。けど、私のジャガー号と未央のベアー号は正常値みたいだったから、どうなのか気になって」

晶葉『そうか…。機材のトラブルかもしれない。今はこの数値の事は、忘れていてもいいだろう』

凛 「そう。晶葉に任せちゃっていいかな?」

晶葉『あぁ。それよりも、今日の敵の事があったんだ。これから恐竜帝国との戦いは、一層激しくなっていくだろう。今は先ず、体を休めることだけ、考えてくれ』

凛 「分かった。何か分かったら教えてよ」

晶葉『うむ。では、私はこれで一度失礼する』

凛 「うん。それじゃ…」

 

凛(ゲッターロボ、か…。私達が選ばれたのは本当に、偶然だったのかな…)

 

~~~ 数日後 都内某所 ~~~

 

卯月「━━…ついにこの日が、来ましたね」

未央「もう本番前だけど、ホントにこれで良かったの?」

卯月「…はいっ!多分、今の私達じゃ両方上手くやろうなんて、やっぱり無理なんだと思います」

凛 「でも…」

卯月「良いんですよ!それに、アイドルとして、みんなを笑顔にするなら、戦いが終わってからの方がきっと良いに決まってますから!」

凛「…うん、そうだね。それじゃあ、行こう!私達の足跡を残しに…っ!」

未央「あー!ズルいしぶりん!そうやってカッコ良く締めるのは、リーダーである私の勤めじゃん!」

凛 「分かった分かった。ほら、ファンのみんなが待ってるんだから。手短に、ね?」

未央「うー!…ニュージェネレーション、行くぞぉ!!」

卯月「はいっ!」

凛 「ふふっ…行こう!」

 

3人「「「生!ハム!メローンッ!!」」」

 

ワァァァァァアアァァァッ!!

 

その日━━、

 

アイドルユニット・ニュージェネレーションズは、その活動を休止した。

 

つづく




次回予告!!

ゲッターロボのパイロットとして、新たな道を歩み始めた三人。しかし、その一人、未央はゲッター3に対して、一つの不満を持つのだった。

果たして、未央はゲッター3の不満を見事解消することができるのか!?

次回!ゲッターロボ×CG
第4話『大雪山おろし』に、チェンジゲッター!
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