ゲッターロボサーガ デレマス版   作:E.T.c

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第25話『激闘!!明日を信じて!』

~~~ 神重工業 社長室 ~~~

 

社長「……」

 

社員「社長!どうしてこんなところに!?早く避難を!」

社長「避難?その必要はないさ」

社員「は…?」

社長「最早ここに戦略的利点は少ない。他の要所を攻めている百鬼帝国にここを攻めてくるのは、本当に最後の時くらいだからな」

社員「ですが、社長の身に何かあれば私共は…!」

社長「ふふっ…、心配は要らんよ。1人の方が逃げ延びるにしても気が楽だからな」

社長「それに、ここには預かっている大切なものもあるからな。それを返すまではここを離れるわけにはいかん

社員「そうなのですか…?」

社長「君は早く避難したまえ。せめて自分の家族くらいは安心させてやるんだ」

社員「は、はい…っ!社長もどうかご無事で!」 タタッ

社長「……」

 

社長「━━…つまらん人生だったな…」

 

山崎「━━失礼します」

社長「…? 山崎、お前も避難しないのか」

山崎「それはお互い様でしょう?」

社長「そうだな。それで、用件はなんだ?」

山崎「社長に会いたいと言うお客様をお連れしました」

社長「こんな時にか?アポイントもないだろう」

山崎「はい。ですが……」

 

「失礼します!」

 

社長「君は…」

山崎「貴女…!」

社長「いや、いい」

山崎「社長…?はい…」

 

ツカツカ

 

「無礼を承知ですいません!ですが、緊急の用件だったので」

社長「…ふっ……。そうか、そう言うことか」

「まさかここにいるなんて思いませんでしたけど」

社長「ここには、大事な預かりものもある。それを置いたまま、私だけ逃げるわけにもいかんからな」

「それは…?いいえ、お願いしたい事があって今日はここに来たんです!」

社長「そうか。…ふっ」

 

社長「私も丁度、君に渡したいものがあったところだ」

 

~~~ ウザーラ内部 ~~~

 

長老「━━出来ない…だと!?ふざけるな!」

男 「ふざけてなどいません!心清らかな者を手に掛けるなど、私には出来ません!」

 

凛 「アイツ…」

 

長老「心清らかな者だとぉ…?」

男 「えぇ!この少女は、私に現代人の暮らしを言って聞かせてくれました。それは、我々が望んでいた、豊かに恵まれた暮らしでした!少女は他人の幸せを、自分の幸せであるかのように私に聞かせてくれました!」

男 「少女は、これからその命を奪おうとする私に、怒りも恨みの眼差しも向けず、これでいいのか、と問いただしました」

男「そして、最後の瞬間まで憎悪を向けず、友の身を案じていました。最後までです!清く透き通った心の持ち主でなければ、そんなことあり得ません!」

長老「だからなんだと言うのだ!?そやつとて、このウザーラに攻撃を加えたではないか!」

男 「不幸な考えの行き違いです!意思疏通など出来ていなかったのだから、誤解が生じるのは当然です!」

男 「それに、彼女達は色んな人達の為に戦っていると言っていた!この世界に暮らす様々な人々の、大切な人の、そのまた大切な人を守る為の戦いだと!」

男 「我々の、アトランティスの戦いは、支配と権力を得る為のもの!そんな戦いを続けていた、我々の方が野蛮ではないのか!?」

長老「黙れ!下賎な下等種族の小娘などに懐柔されおって…。もういい!」

 

パネルを操作し、ガラスの仕切りを開く。

 

長老「貴様がやらぬのであれば、私がやるまでの事!」

男 「……っ!」

 

パリィン

 

長老「!? …貴様、今何をし…うぐっ━━!?」

 

副臣「……うごぉ…!」

 

かな子「な、何ですか!?この人達、突然苦しみだして…」

凛 「理由はどうでもいいよ。とにかくチャンスだ」

 

凛 「━━はっ!」

副臣「ぐぅっ…!」

 

副臣の鳩尾に蹴りを一発放ち、拘束から逃れる。

 

凛 「かな子、大丈夫?」

かな子「はい…。少し、手首が握られ過ぎて痛いですけど、それより卯月ちゃんを!」

凛 「分かってる。卯月ッ!!」

 

駆け寄り、揺り起こす。

 

卯月「━━…ん……あれ…?凛ちゃん、かな子ちゃん?」

卯月「無事だったんですね…。良かったぁ…」

凛 「うん。卯月も大丈夫だから」

卯月「…?何があったんです?」

かな子「分からないんです。突然皆さん、苦しみだして…」

 

男「突然じゃない。私が、アトランティスを壊滅させたウィルス、そのサンプルを割ったからさ」

 

卯月「えっ…!?」

男 「あぁ、安心してほしい。このウィルス自体は既に自然界にも存在していて、高い免疫力を持つ君達には、無害と言っていい」

卯月「でも、貴方は…!」

男 「構わんさ。これでウザーラを管理するものがいなくなれば、アトランティスも本当に終わりだ」

凛 「アンタはそれでいいの?」

男 「…君達には未来がある。私達の未来は、とっくに終わっていたんです」

かな子「おかしいですよ…!もっと、時間をかけて、ゆっくり話し合えば、幾らだって方法はあったんじゃないんですか!?」

男 「そうかもしれない。だが、病を克服したアトランティスが、君達の新たな敵になったら?」

かな子「それは…」

男 「私はね、もううんざりなんだよ。争いの度に、多くの人が傷付くのも、顔も素性も知らぬ人々を蹂躙し、増長していく祖国を見るのも」

卯月「……」

男 「私の体の限界も近い…。その前に、君達に返さなくてはならないものがある」

かな子「もしかして、ゲッター?」

男 「そうだ」

凛 「まさか、壊さず残してるとはね」

男 「長老達は、君達の体を奪った後に、侵略の尖兵として使うつもりだったらしい…。修理も万全にしてある」

凛 「理由は聞かなかった事にしておくけど、都合はいいね」

男 「こっちだ。着いてきてくれ」 ヨロ…

卯月「私の肩に掴まってください」

男 「…ありがとう。最後まですまない…」

 

長老「━━……ま、待て……」

凛 「…まだ生きてたの」

男 「気にする事はありません。…それより、先を急ぎましょう」

かな子「は、はい!」

長老「う…うぅ…━━」 ドロォ…

 

━━ 通路。

 

男 「さぁ…、もうすぐ、この隔壁を越えた向こうに、臨時に格納庫として使用している空間があります」

卯月「大丈夫ですか…?さっきよりも、顔色が随分悪く…」

男 「…君は、本当に優しいね。こんなになっても、まだ私を助けようと?」

卯月「助けてもらったんです!当然じゃないですか!」

男 「…そうか…。…ふふっ」

 

ズゥゥゥン…

 

通路全体に、振動が伝わる。

 

男 「…何だ?この揺れは…」

かな子「ウザーラが動き出したんじゃ…?」

男 「いや、こちらからの指示もなしにウザーラが動き出すはずがない」

男 「…外部から攻撃を受けている…?」

卯月「外部からって、一体誰が…?」

凛 「決まってるよ。こんな時に、空気も読まずに出てくる連中って行ったら……」

 

激しい轟音がして、目の前の外壁が吹き飛ぶ。

 

卯月「ゲホッゲホッ…!だ、大丈夫ですか?」

男 「…私は大丈夫だ…。しかし、ウザーラの装甲を突破してくるとは…、何者だ…?」

 

「へっへっへっ…。思った以上に苦戦したが、中に入っちまえばこっちのもんだぜ」

 

かな子「顔中角だらけの人!」

凛 「やっぱり百鬼帝国!」

「あン?ンだよ、早速見つかっちまうと運がねぇな。死にな!」 ドゥッ

男 「危ない!」 ガバッ

卯月「きゃっ…!」

凛 「ッ…!」 パンパンッ

「おぉっ…!?テメェも銃を隠し持ってやがったか…!」

 

『五本鬼、何をしている。さっさと目的を果たせ』

 

五本鬼「チッ…!言われなくても分かってるよ!」

五本鬼「運が良かったな!今のところは命を預けといてやる!俺にはやんなきゃなンねぇ事があるかんな…。あばよ!」 ダッ

 

凛 「…待て!」

男 「いや、放っておいて問題ない…。奴はゲッターとは正反対の方に行ってくれたからな…」

卯月「しっかりしてください!」

男 「私の事ももういい…。卯月くん、これを最後の隔壁を開ける鍵だ」

卯月「そんな事より!今すぐ傷の手当てを!」

男 「ふっ…。手当てをしても無意味だ。私ももうすぐ、病で死ぬ。ウザーラの外装を破壊された今、ウザーラの内部にもウィルスが蔓延するだろう。これでアトランティスは本当にお仕舞いだ」

卯月「そんな簡単に、生きる事を諦めないでください!」

男 「……本当に、どうして君は…。私は、一度でも君を殺そうとしたんだよ?自分達が生き残る為に」

卯月「…誰かが生きたいと言う願いを、誰かが否定するなんて出来ません!だって、みんな生きたいじゃないですか!」

凛 「……」

かな子「卯月ちゃん…」

男 「…ふふっ…ふふふ…。本当に尊い人だ…。君のような人間に出会えた事は、私の最期の幸運だったのかもしれないね」

卯月「しっかりしてください!」

男 「気にしないでください。命を諦めるわけではなく、運命を受け入れるんです。悔いはありません」

卯月「でもぉ…!」

男 「私はここで死ぬ。この国のやり方を私は快く思っていなかったが、それでも私の生まれた故郷なんだ。最期の時を、共にさせてくれ」

卯月「……」

男 「そして、出来る事なら、私の願いを聞いてほしい」

卯月「はい…」

男 「アトランティスと共に、ウザーラを破壊してくれ」

かな子「ウザーラを破壊!?」

男 「ウザーラは、アトランティスの民達が希望と、平和への祈りを込めて築いた守護神だ。それを破壊の使徒にされるのは許せない」

卯月「……」

男 「だから、ウザーラと共に、葬ってくれ。争いに身を窶した愚かな一族を…」

卯月「…分かりました…っ!」

男 「頼んだ…よ━━」

 

卯月「……」

凛 「行こう」

かな子「こんな事、繰り返しちゃいけないって思います。終わらせなくちゃ、ダメです。きっと」

卯月「はい!」

 

━━。

 

五本鬼「ここが制御室か?…えらく簡単な造りだが…」

 

五本鬼「まぁいい。このガレリィ博士が作った服従回路を使えば…!」

 

ウザーラ≪━━!!?≫

 

五本鬼「ふはははっ!!ウザーラよ、俺のものになれ!」

ウザーラ≪━━≫

五本鬼「大人しくなった…。やった、やったぞ!」

 

一本鬼『作戦は成功したのか?五本鬼』

五本鬼「おう、アニキ!見ての通りだ。ウザーラは今俺の手足のように動くぜ!」

一本鬼『よくやった。これで栄誉は俺達のもの!』

五本鬼「あぁ…、そうだ、な!」

 

三本鬼『!? ぐぁあああっ!?』

 

ウザーラの巨大な口が、メカ三本鬼を捕らえる。

 

一本鬼『五本鬼!?何をしている!?』

五本鬼「言った筈だぜアニキ!今ウザーラは俺の意のままだと!」

三本鬼『や、やめてくれぇええ!!』

五本鬼「その証拠を、見せてやるよ!」

 

メカ三本鬼を噛み砕き、粉砕。

 

一本鬼『三本鬼ぃ!…五本鬼、貴様ぁ…!』

五本鬼「もううんざりなんだよ!テメェらにアニキ面されるのも、見下されんのも!」

一本鬼『まさか…、この為にわざわざ自分からウザーラに潜入すると志願したのか!?』

五本鬼「そうよ!俺が言わなくたって、どうせアニキ達は俺に擦り付けてくるだろうからな」

五本鬼「何が”俺達”だ!これは俺の成果だ!俺だけの名誉だ!!」

一本鬼『わ、分かった…!俺が悪かった!ウザーラはお前のものだ!だから命だけは…!』

五本鬼「うるせぇ!そんな言い逃れが通用するかよ!」

一本鬼『ひぃっ…!』

五本鬼「くらぇええ!!」

 

重力光線が、メカ一本鬼を内側から破壊する。

 

一本鬼『ぎゃあああ~~!!』

五本鬼「ふふふっ…!ウザーラ、素晴らしい力だ。これがあれば、百鬼帝国だって、地球だってまとめて俺のものだ!」

 

五本鬼「━━!?」

 

ウザーラの下腹部から爆発が生じ、ゲッタードラゴンが姿を見せる。

 

五本鬼「ゲッターめ…!生きていたのか!」

 

かな子「ゲッター…、修理されて万全、と言うより、前より動きがよくなってません?」

凛 「きっとアトランティスの技術で改修されたんだと思うよ。でも、それ以外は代わりない」

凛 「何時でもいけるよ、卯月!」

 

卯月「━━ゲッタァァーーシャァァアインッ!!」

 

ゲッタードラゴンが光を纏う。

 

五本鬼「うぉっ!?何だ、このエネルギー量は…!ゲッタードラゴンに、こんな技があったとは…!」

 

かな子「い、いきなりシャインスパークなんて…!」

凛 「ウザーラを倒すにはこれが一番だと思うよ」

かな子「けど、エネルギーの上昇が止まりませんよ!大丈夫なんですか、これ!?」

凛 (ドラゴン号のエネルギーが限界寸前まで上がってる…。卯月の怒りに呼応してるの?)

凛 「ゲッターを、卯月を信じよう。私達も覚悟決めるよ!」

かな子「…はい!」

 

五本鬼「ふっはっはっはっ!どんな技で来ようとも、このウザーラがあれば…!」

ウザーラ≪……≫

五本鬼「ど、どうした…!?ウザーラ、俺の言う事を聞け!何故動かない!?」

ウザーラ≪━━!!!≫

 

かな子「ウザーラが…、抗ってる…?」

凛 「ウザーラ自身も、百鬼帝国の言いなりになるのは嫌みたいだね」

卯月「いきます!凛ちゃん、かな子ちゃん!」

凛 「分かった!」

かな子「はいっ!」

卯月「シャイン━━!」

 

卯月・凛・かな子「「「スパァァアーーークッ!!」」」

 

━━カッ

 

膨大なゲッター線を纏ったまま突撃。

 

五本鬼「━━!!??」

 

シャインスパークを纏ったゲッタードラゴンが、ウザーラにぶち当たり、突き破り、貫いた。

 

ドワオッ

 

周囲を吹き飛ばすほどの凄まじい熱量と衝撃。その中に断末魔の叫びもなく、ウザーラはその中に消えた。

シャインスパークの生んだ光炎を見下ろし、ゲッタードラゴンは悠然と空中に立つ。

 

卯月「……」

凛 「アトランティスの最期、か…」

かな子「今日まで生き延びてきたのに、随分呆気ないんですね…」

卯月「…あの人が、託してくれたからです。アトランティスの人達の分の、未来を」

凛 「でも、シャインスパークを使っても、ゲッタードラゴンのエネルギーが残ってるなんて、アトランティスの技術には、感謝しなきゃいけないみたい」

かな子「そうですね…。コックピット周りもそのままみたいで……あぁ!?」

卯月「ど、どうかしたんですか!?」

かな子「入れておいたお菓子…、全部ダメになってます…」 ズーン…

卯月「えぇ…」 ズルッ

凛 「まぁ、私達が捕まってから、大分日にちが経ってるみたいだし、仕方ないね」

かな子「うぅ~…。勿体ないです~…」

卯月「あ、あはは…」

凛 「…今頃、日本は大変な事になってるかもね」

卯月「…百鬼帝国。終わりにしなきゃいけませんね」

かな子「グスン…。行きましょう!アトランティスとお菓子の弔い合戦です!」

凛 「お菓子は関係ないと思うけど…━━」

 

━━━━。

 

~~~ 早乙女研究所周辺 ~~~

 

ヒドラー「くらぇえいっ!!」

 

振り下ろされたトマホークが、無人のビィトを破壊する。

 

ヒドラー「どうした!さっきまでの威勢は?お人形遊びはもう終わりか?」

 

未央「くぅ~!いよいよ厳しくなって参りましたよ、っと!」

 

ボタンをスイッチし、再び無人ビィト隊を展開。

 

ヒドラー「むっ!小賢しい…」

未央「最終最後のBT隊!これが全滅したら、私は自爆スイッチを押すよ…!」

 

自爆スイッチのロックを解除しつつ、覚悟を決めてシートに腰を下ろす。

 

ヴー ヴー ヴー ヴー

 

未央「んぉ?こんな非常事態にメール…事務所から?そもそも通信規制だってされてるのにどうやって…」

 

『もし近くにラジオがあったら、チャンネルを346chに合わせてみてください。出来るだけ音量を上げて、みんなに聞こえるように!』

 

未央「ラジオ…音量上げてって、ここには私しかいないけど…」

未央「ってこれ、事務所所属のアイドル全員に一斉送信なんだ。だから事務所からわざわざ…」

 

爆音と衝撃が響く。

 

未央「~~~っ!…っとぉ!正直余裕なんてないけど、折角だしラジオラジオ!」

未央「自爆スイッチより先にスイッチ・オン!」

 

『━━━━』

 

藍子『━━……あー、あー、これもう入ってますか?…入ってますね』

 

未央「ナイスタイミング!この声ってあーちゃん?…もしかしてこれって!…よしっ!」

 

━━ 橘研究所周辺。

 

加蓮「くっ……!」

 

ネオゲッター3が後ろに倒れ込む。

 

奈緒「大丈夫か、加蓮!」

加蓮「大袈裟すぎ。戦いはまだこれからだよ…!」

李衣菜「エネルギー系統に問題はなし!ガンガン行っちゃえ!」

加蓮「オッケー。研究所のみんなくらいは守ってみせるよ…!」

 

未央『━━あー、あー、マイクチェック~!音量大丈夫~?』

 

奈緒「何だぁ?」

李衣菜「これって、早乙女研究所からの通信!?」

未央『お、かみやん、リーナ!元気にしてるかい?』

美穂『な、何?何かあったんですか!?』

アーニャ『賑やかになりました、ね』

みく『回線全部開いて通信してるにゃ!?』

菜々『ちょっと今忙しいんで、お話なら後回しにしてもらえませんかねぇ!』

未央『おうおう通信は良好のようだね。今忙しくしてるそこのアナタ!DJ未央ちゃんから粋なサウンドをお届けするよ!』

奈緒「何だよ!フザケテんなら切るぞ!」

加蓮「奈緒、ちょっと静かにして!」

奈緒「アタシが怒られんのかよ…」

未央『まぁまぁ。まずはこれを聞いてくれたまえ!』

李衣菜「?」

 

藍子『━━…皆さん、こんにちは。皆さんは、今何をして過ごしているでしょう?』

 

茜 「この声は…!藍子ちゃん!?」

美穂「でもどうして?ラジオって今は戦況情報以外封鎖されてるんじゃ…」

 

藍子『外は今…、騒がしくって大変ですね…。東京でも雲が出てきて、生憎のお天気で気持ちも曇ってしまいそうです』

 

菜々「こんな時に、ラジオの生放送をやるなんて…!」

瑞樹「よくやるわ。だけど、よくやってくれたわ」

 

鉄甲鬼「戦闘に集中しろ!」

 

ガンッ

 

みく「うにゃ~…!」

鉄甲鬼「戦いに無関係なものに何の意義がある!?」

瑞樹「貴方も聞きなさい!平和を願う、当たり前の日常を守ろうとする人達の声よ!」

 

藍子『みんな、今はきっと大切な人と一緒にいると思うんです。家族とか恋人と寄り添いながら、不安や恐怖に耐えていると思います。この辛い時が、早く過ぎてくれるように祈ってると思います』

 

藍子『悲しい時、嫌な時間って、過ぎていくのが長く感じますよね』

 

藍子『だから、これからの時間を皆さんに取って緩やかな時間になってくれれば、そんな思いを込めて』

 

藍子『この辛い時間が、早く過ぎて、何も変わらない当たり前の平和な明日が来る事を信じて、このラジオを送ります』

 

藍子『高森藍子のゆるふわラジオ。生放送の拡大版、スタートです♪』

 

━━。

 

~~~ プロダクション 事務所 ~~~

 

藍子『それではまずはお便りを…。これまで全然ラジオをお届けできなかったので、皆さんからのお便りがたくさんあるんですよ━━』

 

ポジパP「━━いやぁ、すまないねぇマキノくん。君にも危ない橋を渡らせてしまって…」

マキノ「構わないわ。電波ジャックなんて、大した事じゃないし」

マキノ「けど、良いのかしら?こんな事、貴方だって只じゃ済まないわよ」

ポジパP「そうだねぇ。まぁ、私に出来る事は、みんなの分の責任を取るくらいだからね。いいんじゃないかな」

マキノ「気楽なものね。それが貴方の処世術なのは、分かっていたけど…」

ポジパP「……」

 

藍子『━━♪』

 

マキノ「…素敵な笑顔ね」

ポジパP「藍子くんは強いからね。どんな状況でも笑顔でいられる、笑顔になれる。だから、周りも自然に笑顔になってしまえるんだ」

ポジパP「本人は気付いてないみたいだけど。でも、だからこそなんじゃないかな」

マキノ「まるで太陽のようね…。さてと…」

ポジパP「避難するかい?それなら、避難所まで送るよ。私じゃ頼りにならないかもしれないけど」

マキノ「お構い無く。それに、あんな姿を見せられて、黙って引き下がれると思う?」

ポジパP「それは…」

マキノ「ラジオにゲストは付き物でしょう?私も私なりに、お手伝いしてみるわ。アイドルとしてね」

ポジパP「…ありがとうねぇ」

マキノ「礼なら、全てが終わった後、まとめて払ってくれればいいわ。貴方なりの形でね。それじゃ」

 

ポジパP「全てが終わった後、かぁ…」

 

ポジパP「……勝ってもらいたいねぇ。未央くん、茜くん━━」

 

~~~ 早乙女研究所 周辺 ~~~

 

未央「いやぁ、あーちゃんも頑張ってるんだなぁ~。私も、負けてられないね!」

ヒドラー「ほらっ!雑魚はこれで最後だ!」

未央「…っと、思ってるうちに…。イッツァピ~ンチ…」

ヒドラー「覚悟したか!全軍進めぃ!!」

未央「…え、えぇい!来てみろ!こっちには自爆スイッチだってあるんだぞぉ!」

ヒドラー「何ィ!?」

未央「へ…へへ…ッ!いいぜぇ、どうせ死ぬんだ。だったら最後にデカい花火打ち上げて、アンタら諸とも死んでやる!」

ヒドラー「くだらんはったりを!」

未央「どうかな?私は恐竜帝国と無理心中した事だってあるんだよ!」

ヒドラー「ぬぅ…!」

未央「どうするの!?いくらゲッタードラゴンったって、大出力のゲッターエネルギーの爆発には耐えられないよ!」

ヒドラー「爆発する前に貴様を吹き飛ばしてくれるわっ!

ヒドラー「ゲッタービー…━━!」

 

「ゲッタービーム!!」

 

ヒドラー「ぬぉっ!?」

百鬼兵「わ…わぁああああ!!?ヒドラー様…助け…━━」

 

上空から降り注いだ閃光を受け、百鬼ドラゴンが爆ぜる。

 

ヒドラー「新手だと!?奴等のゲッターは既にないはず…!」

 

「甘く見るな!量産型ドラゴンは貴様ら百鬼帝国の力だけではない!」

 

未央「アキっち!…に、白いゲッタードラゴン?」

晶葉「あぁ。何とか間に合ったようだな」

ヒドラー「チッ…!人間共もドラゴンの量産を進めていたか」

晶葉「と言っても、これは新研究所にあったゲッタードラゴンの予備パーツを組み上げて造った急造品だがな」

晶葉「起動までは何とか間に合ったが、塗装までには手が回らなかった」

未央「だから色が白いんだ。けど、ゲッターの操縦、大丈夫?」

晶葉「心配は無用。私用に調整した耐Gスーツもある。ここからは私が研究所を守る!」

ヒドラー「ふんっ!たかが一機で、同じドラゴンを相手に出来るものか!」

晶葉「フフンッ!性能頼みのお前達に、性能の最大限の引き出し方を教えてやる!」

未央(一番ドラゴンを使えるのは、しまむーだと思うけど…)

未央「まぁいいや!アキっちとにかく頑張って!私も出来る限りの援護はここからやるよ!」

晶葉「うむ!私も実戦経験は少ないからな。背中は頼んだぞ!」

未央「おう!本当の戦いは、ここからだぜぇ~!」

 

~~~ 橘研究所 地下シェルター ~~~

 

藍子『━━それでは、特別ゲストに八神マキノさんをお迎えしたところで、どんどんお便りを紹介しちゃいたいと思います♪』

マキノ『ラジオネーム『名無しのピエロ』…。貴方のラジオって、リスナーのジャンルは問わないのね』

藍子『はいっ♪何時も色んな人から応援してもらってます!』

 

ありす「……藍子さんも、マキノさんも、みんな、スゴいな…」

ありす「私は……」

 

翔 「ありすちゃーん!」

ありす「翔さん…」

翔 「はい、配給品持ってきたよ。一緒に食べよ?」

ありす「あ、ありがとうございます…。あの…!」

翔 「李衣菜ちゃん達なら、まだ頑張ってるよ。みんな、諦めてない」

ありす「…そうですか」

翔 「……」

翔 「にしてもスゴいよね。こんな時でもラジオ放送なんて。流石アイドルって言うの?ボクにはとても無理だな~」

ありす「……そうですね」

翔 「…ボクは、ありすちゃんの歌が聴きたいな」

ありす「私の歌…。無理ですよ」

翔 「ありすちゃん…」

ありす「私、明るい歌なんて持ってませんし、みんなを元気にするなんて、笑顔にするなんて…無理、です」

ありす「私一人じゃ…」

 

「でしたら、一人でなければ、何の問題もありませんわね」

 

ありす「え…」

「ありすちゃん、ようやく見つけました」

ありす「桃華さん、千枝さん…。それに、皆さんも…。どうして…」

桃華「ふふっ。そんなの簡単ですわ」

みりあ「ありすちゃんが、北海道でアイドル活動してたって聞いたから、みんなで応援に来たんだよ!」

千枝「そしたら百鬼帝国の襲来があって、みんなで避難しようってなったんだけど…」

薫 「藍子お姉ちゃんのラジオを聴いて、やっぱり行こうってなったんだよ!」

ありす「で、でも…!今は百鬼帝国だって攻めてきてて、大変なのに…!第一、家族はどうしたんですか!?」

千枝「プロデューサーさんが説得してくれたんです」

ありす「プロデューサーさんが…?」

 

L.M.B.P「( `・ω・‘)b」

 

ありす「…まったく、あの人は…」

桃華「あら、私達の両親を説得する姿は、惚れ直すほどでしたのよ?」

ありす「担当アイドルを危険に晒すなんて、非常識ですっ」

薫 「でも、また会えたね!」

ありす「それは…」

仁奈「みんなで集まれば怖くねーですよ!プロデューサーも守ってくれやがるです!」

みりあ「だから、一緒に歌おっ」

ありす「……」

桃華「ありすさん。さっきの貴女の言葉、訂正させていただきますわ」

ありす「えっ?」

桃華「明るい歌だから元気になれる、静かな歌だから元気になれない、そんなの関係ありませんわ」

桃華「大事なのは心です。わたくし達が心を込めて歌えば、例えそれがどんな歌でも、届いた人は笑顔になれるはず」

桃華「それがわたくし達、アイドルの仕事ではなくて?」

みりあ「やろうよ!例え百鬼帝国がいたって、楽しい時間に出来るよ!」

ありす「皆さん…。本気、何ですか…?」

薫 「モッチロン!」

千枝「きっと、こういうのは、私達じゃないとできないと思うから」

ありす「そうですか…」

 

翔 「ありすちゃん」

ありす「翔さん…」

翔 「思いっきり、歌えばいいと思うよ!ゲッターは必ず、守ってくれるって!」

ありす「━━はいっ!」

 

━━。

 

加蓮「━━ぐっ…」

 

メカ巨獣鬼に突き飛ばされ、ネオゲッター3が後方に崩れる。

 

加蓮「まだまだ…。ここから先へは行かせないよ…!」

奈緒「一旦落ち着け!闇雲に行ったって勝てないぞ!」

加蓮「分かってる!奈緒はちょっと黙ってて!」

奈緒「分かってないだろ!」

李衣菜「喧嘩は後!加蓮、前ッ!」

加蓮「━━ッ!?」

 

横倒しのネオゲッター3を踏み潰さんと、振り下ろされたメカ巨獣鬼の脚を両腕で受け止める。

 

加蓮「ぐっ…うぅ……」

李衣菜「マズいね…。エネルギーを!」

奈緒「分離しろ、加蓮~!」

加蓮「今分離したら、リーナがぺしゃんこだよ」

奈緒「どっちにしたってこのままじゃ全員ぺしゃんこだろ!」

李衣菜「もうちょっと耐えてて!もうちょっと…!」

 

『~~~♪』

 

李衣菜「…何…?何の音…?」

加蓮「この音、研究所の方から!」

奈緒「スピーカー使ってんのか!」

李衣菜「私達にも聞こえるようにしてくれてるんだ」

 

『~~~♪』

 

加蓮「ねぇ、この曲って…」

奈緒「あぁ、『in fact』だな」

李衣菜「ありす…」

 

『━━ホントの、私を、誰も知らない━━』

 

加蓮「いい歌だよね。…ふふっ」

奈緒「のんびり聞いてる余裕もないんだけどな」

李衣菜「けど、このライブを邪魔させるわけには、いかないよね!」

奈緒「そうだな!」

加蓮「そうだね」

李衣菜「プラズマエネルギー、両腕部に集束!加蓮、何時でもいけるよ!」

加蓮「うん。それじゃ…!」

 

操縦桿を握る手に力を込めて、メカ巨獣鬼の脚を持ち上げ、

 

加蓮「~~~!えいっ!」

 

豪快に放り投げ、転倒させる。

 

加蓮「さっきの仕返しだよ!」

李衣菜「こいつを倒すのは私達の仕事だ!」

 

「それは俺達も同じだぜ!」

 

李衣菜「BT隊!?」

奈緒「ビィトじゃデカ物の相手は無理だ!後退して!」

BTパイロット「おっと、お嬢ちゃんにそう言われたんじゃ、俺達だって黙って下がれないぜ!」

奈緒「でも…!」

BTパイロット2「アイドルが自分の仕事してんのに、俺達が後ろで寝てたんじゃぁ、また給料泥棒って笑われちまう!」

BTパイロット「自分で守りたいもんを自分で衛る!だからこその自衛隊だぜ!」

加蓮「…無茶はしないでよ。貴方達に何かあったら、後ろで歌ってくれてる子達に申し訳ないから」

BTパイロット‘s「「「おうっ!!」」」

 

巨獣鬼《━━ッッ!!》

 

メカ巨獣鬼が身を起こす。

 

加蓮「みんな、行くよ!」

BTパイロット‘s「「「了解!!」」」

BT隊長「各機、狙いを目標の脚を狙え。我々で動きを封じるんだ」

 

バラララララッ

 

巨獣鬼《━━!!?》

 

BT隊長「今だ!」

加蓮「はぁっ!」

 

ガンッ

 

ビィト隊の射撃に合わせ、距離を詰めたネオゲッター3が渾身の右ストレートで打ち倒す。

 

奈緒「よっしゃ!」

加蓮「これで…!プラズマブレイク!」

 

倒れ伏したメカ巨獣鬼にプラズマブレイクを落とし撃破。

 

加蓮「よし、次!」

李衣菜「焦らなくても、どんどん来るよ!」

加蓮「…第二波は容赦ないみたいだね」

奈緒「いくら士気が高くっても、ビィトとネオゲッターだけじゃじり貧になるぞ…」

 

「なら、俺も混ぜてもらっていいか?」

 

奈緒「誰だ!?」

「橘信一。橘博士の息子で、翔の兄貴だ」

李衣菜「そのロボットは…?ネオゲッターに似てる…」

信一「これは、言わばネオゲッターの兄貴。ウチで開発してた作業ロボットのプロトタイプさ」

李衣菜「ネオゲッターの兄貴…。そんな機体が…」

信一「元々開発してたのは、ネオゲッターに改修されたからな。だから以前に開発してたコイツを再利用しようとしてたのさ」

信一「ちょっと起動するまでに時間が掛かっちまったが」

奈緒「成る程な~。けど、戦闘用じゃないって事は…」

信一「確かに武装は施されてないが、パワーと性能は折り紙つきだ。足手まといになるような真似はしない!」

加蓮「パワーがあるなら、十分じゃん」

李衣菜「だね。折角だから、それを貸してあげるよ」

 

ネオゲッター1時に放棄した、ソードトマホークを指す。

 

信一「良いのか?」

加蓮「ネオゲッター3じゃそれは使えないし」

奈緒「何もないよりは全然いいからな」

信一「…ありがとう。大切に使わせてもらう」

李衣菜「よし、ダブルゲッターで一気に一気に形勢逆転だぁ!」

信一「俺のもゲッターなのか?」

李衣菜「そりゃ、ネオゲッターのお兄さんだからね!」

信一「そうか。…ふっ」

李衣菜「よっしゃーー!派手に決めてやるぜ~!」

加蓮「行くのはリーナじゃ、ないけどね!」

 

━━。

 

アイドル達のゲリラ的なライブ活動は、北海道に留まってはいなかった。

高森藍子のラジオを端に発し、全国へと散っていたアイドル達が己の活動へと繋げる切っ掛けとなった。

 

「正義は必ず勝つ!みんな、アタシと一緒にゲッターを応援しよう!」

 

「フフーン。ここに避難した人は幸運ですね!何せこんなかわいいボクと一緒なんですから!」

 

「ヘーイ!!暗い顔してるわね!こんな時こそダンサブルよ!!」

 

アイドル達の声は多くの人々に伝播し、百鬼帝国に反抗する人々へ勇気を与えた。

人類の反撃が始まる━━。

 

━━。

 

~~~ 九州地方 ~~~

 

藍子『ラジオの前の皆さん。今、日本の色んな所でアイドルによるゲリラ・ライブが行われてるみたいです』

藍子『そしてなんと、岩手の”ライブ会場”と中継が繋がってるみたいです!志希さ~ん!』

志希『━━はいは~い。こちらは某学校の体育館。体育館にざっと500人くらい避難してま~すっ。会場は大盛り上がりだよ~』

 

美穂「…みんな、頑張ってるんだ」

アーニャ「Да…そうですね。みんな、戦っています。武器を使わない、自分なりの方法で!」

茜 「尚更私達は負けられませんっ!━━火斬刀ッ!」

 

火斬刀を突きの構えで、合体百鬼ロボット目掛け、突進。

 

茜 「ったぁーーー!!」

輪魔鬼「なんの!」

茜 「ッ━━!?」

 

合体百鬼ロボットが、5体に分離し、ゲッター烈火の攻撃を躱す。

 

輪魔鬼「とったぁーーー!!」

 

ゲッター烈火の背後に回ったメカ輪魔鬼が、ドリルを回転させ迫る。

 

ヒュンヒュンッ

 

輪魔鬼「ガッ!?」

美穂「な、何…!?」

茜 「ゲッタートマホークです!」

アーニャ「あのトマホークは、旧ゲッターのです!」

美穂「でも、旧ゲッターは、研究所の防衛をしてるはずじゃ…」

アーニャ「…!あれを…!」

 

指差した先、曇天の上空に、

 

美穂「黒い…ゲッターロボ…?」

輪魔鬼「おのれ…。新手か?まだゲッターがいたとは…!」

茜 「スゴい悪人顔です!」

輪魔鬼「今のうちだ!」

 

5体の百鬼メカが、再び合体百鬼ロボットに合体する。

 

黒いゲッター〉 キッ

 

合体した合体百鬼ロボットに鋭い視線を向けた黒いゲッターが、片手にゲッターマシンガンを構え、乱れ撃つ。

 

輪魔鬼「ぐわっ!」

茜 「武装は旧ゲッターとほとんど同じみたいですね!」

美穂「でも、一体誰が操縦を…?」

 

「みんな!待たせたわね!」

 

茜 「この声は…!」

アーニャ「ンミナミィッ!!」

美波「久し振りね、アーニャちゃん!」

美穂「美波さん!?撮影で抜けたんじゃ…」

美波「こんな非常事態じゃ、撮影も何もないもの」

美波「それに、何かあったら帰ってくるって、約束したから!」

アーニャ「ミナミ…!」

茜 「そのゲッターは?」

美波「これはブラックゲッター。神重工業で改修されて生まれ変わった、プロトゲッターの新たな姿よ」

茜 「ブラックゲッター…!そのままのネーミングですね!」

美穂「あと、見た目がなんと言うか、その、悪役みたいな…」

美波「わ、私の趣味じゃないのよ?きっと社長か、神重工業の人の…!」

 

輪魔鬼「お喋りはいい加減にしねぇか!!」

 

茜&美波「「ッ!」」

 

合体百鬼ロボットの突進を、左右に跳躍して回避。

 

輪魔鬼「貧弱なゲッターが1機増えたところで!まとめて返り討ちにしてくれるわ!!」

美波「そう簡単にはやらせないわよ!」

茜 「この流れは…!アーニャさん!」

アーニャ「Да!任せてくださいッ!」

茜 「オープンゲット!!」

 

アーニャ「チェーンジゲッター!紫電ッ!」

 

ゲッター紫電が、ブラックゲッターの隣に立つ。

 

美波「アーニャちゃん…。戦場のラブライカ、特別ステージの開幕よ!」

アーニャ「Да、ミナミとなら、どんなステージだって、出来ます!」

輪魔鬼「こちらには百鬼メカの軍団だっているわ!行けぃ!」

 

美波&アーニャ「「ッ!」」 ダッ

 

ブラックゲッターと、ゲッター紫電が飛び出すのは、同時。

 

アーニャ「千極針!」

美波「ゲッタースパイク!」

 

ゲッター紫電が自慢のドリルを、ブラックゲッターは拳に着いたカイザーナックルのようなスパイクを突き立て、敵陣に突撃。

 

アーニャ「Урааа!!」

 

それぞれに百鬼メカを粉砕。

 

美波「ゲッタァァーーレザーブレェェーードッ!!」

 

左腕の大型のブレードカッターを構え目前に立った敵を切り裂く。

 

美波「ゲッタートマホーク━━!」

 

ゲッターウィングを翻し、ブラックゲッターを背後に回転させ、

 

美波「ブーメランッ!」

 

トマホークを投じる。

 

茜 「ブラックゲッターは、格闘武器が多めのようですね!」

美穂「茜ちゃん好きそうだね…」

 

殺到する百鬼メカの軍団。対する2体のゲッターは、敢然と立ち向かう。

ブラックゲッターが宙返りで飛び、その後方からゲッター紫電が千極針で敵を貫く。ゲッター紫電の背後に回ったブラックゲッターが、ゲッター紫電の死角を取ろうとした敵を返り討ち。

ブラックゲッターとゲッター紫電の距離は、装甲のほとんどが接するような距離。少しでも動きが狂えば衝突しそうな近距離を、紙一重で躱し合い、抜け、場所を入れ替わり立ち替わりもっとも近くの敵を攻撃する。

 

アーニャ(ミナミの動きが、分かる…!)

美波(私とアーニャちゃん、互いのゲッターのポテンシャルが違っても、そんなの関係ない!)

 

アーニャ&美波「「はぁっ!!」」

 

背中合わせに、それぞれ百鬼メカを撃墜。

 

美穂「スゴい…。息ぴったり!」

茜 「ラブライカの絆の力と言う奴ですか!」

輪魔鬼「ぬぅ…!」

 

その一糸乱れぬ動きに、思わず舌を巻く。

 

美波「次は大物を…!行くわよ、アーニャちゃん!」

アーニャ「Да!ミナミッ!」

 

跳躍。左右に分かれ、合体百鬼ロボットに迫る。

 

美波「スパイラルゲッタービームッ!!」

アーニャ「蛇旋光!」

輪魔鬼「ぐふっ…!」

 

双方から放たれる眩い光が、合体百鬼ロボットを打つ。

 

輪魔鬼「なんの…!これしきぃいーー!!」

 

バラララララッ━━

 

爆煙の中から立ち上がる合体百鬼ロボットに、ゲッターマシンガンによる弾丸の雨を降らす。

 

美波「行って!アーニャちゃん!」

アーニャ「千極針!━━Урааааа!!」

輪魔鬼「その手は、喰わん!」

 

合体百鬼ロボットを分離させ、5体の百鬼メカでゲッター紫電を包囲。

 

輪魔鬼「先ずは貴様から血祭りに…!」

美波「…こっちの思う壺よ?」

輪魔鬼「!?」

 

ブラックゲッターが、右腕でメカ輪魔鬼の体を抑え、動きを封じる。

 

美波「ゲッタースパイク━━!」

 

左のゲッタースパイクでメカ輪魔鬼の装甲を打ち、貫通。

 

美波「アンド、ブレードッ!!」

 

突き入れた左腕の、レザーブレードを引き、内側から切り裂き、メカ輪魔鬼を破壊。

ブラックゲッターの左腕に、血の様にこびりついたオイルが垂れる。

 

アーニャ「━━ゲッター影分身!」

 

ゲッター紫電が、高速移動の分身の術で、包囲していた百鬼メカを逆に包囲。

 

アーニャ「Урааааааа━━!!」

 

ゲッター紫電が、残りの4体の百鬼メカを破壊するのは、ほぼ同時。

 

美波&アーニャ「「ッ!」」」

 

2体のゲッターが着地すると同時に、上空に百鬼メカ5体分の爆炎が咲く。

 

Fooooooooo━━!!

 

美波「な、何…!?」

 

周囲、そして無線のスピーカーから響く拍手と歓声。

 

未央『いやぁ、流石みなみん、アーニャン!バッチリ中継させてもらったよ!』

美波「ちゅ、中継って…!一体どうやって…!」

BTパイロット「自分のカメラ映像を提供しました!」

美波「カメラ映像って…」

BTパイロット「自分達がお二人の動きを邪魔してはいけないと思いましたので!」

美穂「それで、ずっと撮影してたんですか?」

BTパイロット「はいっ!」 ケイレイッ

美波「そんな悠長な…」

未央『いやいや、だけどどこのシェルターも、大盛り上がり。自衛隊の士気も爆上がりだよ!』

アーニャ「ワタシ達の特別ステージ、たくさんの人に、見てもらえたんですか?」

未央『もちっ!公共放送じゃなかったのが惜しまれるくらいだね!』

美波「…まったく……」

アーニャ「ワタシ達の戦いで、みんな、元気になれましたね。ミナミは嫌、でしたか…?」

美波「アーニャちゃん…。ううん。こういうノリも大切よね」

アーニャ「Правильно!ワタシ達の一勝が、人類のとって貴重な一生です!」

美穂「で、でも…私達と美波さんで、ここは何とかなるかもしれないけど、他のところは…!」

美波「それなら心配要らないわ」

茜 「どう言うことですか?」

美波「頼もしい仲間は、私だけじゃないから。━━ふふっ」

 

━━。

 

~~~ 旧早乙女研究所 周辺 ~~~

 

晶葉「━━ゲッタートマホーーークッ!!」

 

腰を低く落とし、相手の腰の境目にトマホークの刃を食い込ませ、両断。

 

量産型ドラゴン[━━!!]

晶葉「グッ…フ━━!」

 

攻撃の打ち終わり。突き出されたストレートの拳を、体重を乗せた軸の右足を踏ん張り、反動を利用した宙返りで身を翻し躱す。

 

晶葉「カッ…!」

晶葉(…吐血…。今の動きは私には内蔵へのダメージが大きいか…)

晶葉「動き方は分かっても、体が着いてこないのであればままならないな…!」

未央『アキっちあんまり無理しないで!』

晶葉「無理も承知しなければ、勝てないさ」

ヒドラー「ふんっ。たった1機でよく持ちこたえる。だが…」

晶葉「くっ…!━━!?」

晶葉(腕が思うように動かん…。衝撃による硬直か…!)

ヒドラー「思うように動かんようだな。これでお遊びも終いだ!」

晶葉「…っ!?」

 

ガシッ

 

ヒドラー「むっ…!?だ、誰だ!?」

 

晶葉の量産型ドラゴンに振り下ろされんとしたトマホークを掲げる腕を背後から掴む影。それは、

 

晶葉「…ダイノ、ゲッターロボ…!」

ニオン「……」 グググッ

ヒドラー「貴様は…!恐竜帝国の生き残りか!人間の肩を持つのか!?」

ニオン「ソイツを助けてやる義理などない。だが!」

 

量産型ドラゴンの腕を捻り、投げ飛ばす。

 

ヒドラー「ぬぅっ!?」

ニオン「貴様らがこの地上でデカい顔をしているのは我慢ならん!」

ヒドラー「小癪な…!所詮は人間共に負けた下等種族の分際で…!」

ニオン「負けている、という意味では貴様も同じだろう」

ヒドラー「何をっ!」

ニオン「フンッ」

 

晶葉「…何の真似だ」

ニオン「勘違いするな。貴様が死のうが、俺には関係ない」

晶葉「だろうな。百鬼帝国は、私達と貴様らにとって、共通の敵と言うことか?」

ニオン「そうだ。連中を駆逐するには、戦力は多い方が助かるからな」

晶葉「そう言うのなら、ダイノゲッターを置いてってくれ。それは元々私達から奪っていったものだろう?」

ニオン「今更恐竜帝国の技術で改造されたコイツを乗りこなせる人間がいるのか?」

晶葉「大した自信だな。ガッカリさせないでもらいたいものだな」

ニオン「お互い様だ。そんなボロボロの体で、俺の足を引っ張るんじゃないぞ」

 

「お二方喧嘩はそこまででしてー。敵が身内、という訳ではないでしょー?」

 

晶葉「誰だ?」

芳乃「自己紹介は改めて後程ー。今は芳乃と、名前だけ覚えておいてくださいー」

晶葉「あ、あぁ、分かった」

晶葉(人間、か…?一体何者なんだ?)

 

ヒドラー「フンッ!雑魚が二匹に増えたところで!」

ニオン「相変わらず、百鬼帝国の鬼という奴は、楽観的な奴が多いみたいだな?」

ヒドラー「何を…━━ぬっ!?」

 

彼方の上空から、無数のビームが百鬼帝国の量産型ドラゴン群に降り注ぐ。

 

晶葉「このビームは…もしや!」

未央『アキっち!後方から無数の熱源反応だよ!これって━━!』

晶葉「あぁ!」

ニオン「人間共の援軍が到着したようだな」

 

伊賀利「お待たせしました!人類軍の量産型ドラゴン軍団、これより作戦行動に入ります!」

 

━━。

 

晶葉『量産型ドラゴン…!完成していたのか!』

伊賀利『はいっ!と言っても今しがたですが』

未央『でも、何で青色?』

伊賀利『百鬼帝国が奪ったドラゴンを使ってくる事は想定済みですから、識別出来るよう正反対の色で塗装し直したんです』

未央『成る程~。青い方が味方っぽいもんね』

晶葉『ゲッターのパイロットが言って良いことじゃないな』

伊賀利『ここ以外にも、百鬼帝国が出現しているポイント全てに我々のドラゴン軍団が展開して、戦闘を開始しています』

未央『よっしゃー!それじゃ形勢逆転!?粘った甲斐があった!』

晶葉『あぁ、藍子達にも感謝だな。彼女達のお陰で、各地で奮戦している皆も士気を持ち直す事が出来たからな』

伊賀利『まったくです。戦力が瓦解していたら、手遅れになっていたかもしれません』

晶葉『よし、この勢いのまま敵陣を押し返すぞ!』

伊賀利『了解!各機散開、早乙女研究所を守るんだ!』

 

『『『了解ッ!!』』』

 

瑞樹「━━…どうやら、研究所の方は大丈夫そうね」

菜々「これで、ナナ達も自分達の戦闘に集中できます!」

鉄甲鬼「これまでは集中出来ていなかったという事か。ナメられたものだな!」

みく「にゃふっ!?」

 

メカ鉄甲鬼のトマホークの一撃を受けて、ゲッター1が大きく退く。

 

菜々「だ、大丈夫ですか、みくちゃん!」

みく「へっちゃらへっちゃら!大した事ないにゃ!」

鉄甲鬼「覚悟しろ。そのふざけた言葉遣いも出来ないようにしてやる」

みく「猫語はみくのアイデンティティーにゃ!殺されたってやめてやるもんかにゃあ!」

菜々「そうです!ナナだってみくちゃんだって、自分らしさを貴方にどうこう言われる筋合いはありませんよっ!」

鉄甲鬼「…自分らしさ、か」

瑞樹「……」

菜々「戦場だって何処だって関係ないんです!ステージの上だってプライベートだって、何時でも何処でも、ナナは自分を曲げるつもりはありませんよ!」

みく「その通り!でもそれはみくの台詞だから、あんまり盗らないでほしいにゃ」

菜々「あ、ご、ごめんなさい…。つい…」

みく「まぁ、コイツをやっつけちゃえば、誰にも文句言われる事もなくなるにゃ!」

鉄甲鬼「ふざけた事を!常に勝てると思っているのか!」

 

ガンッ

 

みく「トーゼン!負けると思って戦う奴なんている奴なんていないにゃ!」

菜々「そして、ナナ達には勝って、生き残ってやるべき事があるんです!」

瑞樹「未練がある人間は強いわよ。戦う事しか、生きる道を知らない貴方には分からないでしょうけど!」

 

━━ガッ

 

鉄甲鬼「ぐぅっ…!なんのっ!」 ジャラッ

みく「にゃにゃっ!?」

鉄甲鬼「ッ!」

みく「に゛ゃ、あっ…!」

 

ストレートに打ち出されたチェーンアタックを紙一重で躱すも、瞬時にチェーンを振るった一撃を鳩尾に受ける。

 

みく「ッッ゛…!」

 

地面に勢いよく背中を打ち付ける。

 

菜々「あわわ…!直ぐに態勢を立て直さないと…!」

鉄甲鬼「思い通りにやらせるものか!」

 

ガンッ

 

立ち上がり際即座に投じられたトマホークがゲッター1を再び地に伏せる。

 

みく「にゃふっ!?」

鉄甲鬼「まだだ!」

 

態勢を立て直せないでいるゲッター1に、メカ鉄甲鬼のビームが直撃。

 

みく「にゃああぁぁぁあああっ!!?」

 

みく「にゃ…うにゃぁ…。ゲッターの表装は前のまんまだから、ちょっとくらい手加減してほしいにゃ…」

瑞樹「話が通じる相手じゃないわよ。…立てる?」

みく「ゲッターはまだ動けるにゃ。瑞樹さん達は…?」

瑞樹「菜々さんが重傷よ」

 

菜々「星が見えます~…」 フラフラ

 

鉄甲鬼「うおっ━━!」

みく「…ッ!━━ゲッターマシンガン!」 ジャコッ

 

上空から急降下で迫るメカ鉄甲鬼を、両腕に構えたゲッターマシンガンで迎撃。

 

みく「ゲッターウィング!」

 

マシンガンを撃ちっぱなしで、素早く上昇。

 

鉄甲鬼「チィ…ッ!こんな鉄砲玉を…!」

みく「にゃっふふ!フルオート武装の命中補正が高いのは常識にゃ!」

瑞樹「例えゲッターGを研究してても、旧ゲッターまでは知り尽くせていないでしょうしね」

みく「みく達にしか出来ない戦い方を教えてやるにゃあ!」

鉄甲鬼「雑魚を調べる必要などないッ!」

みく「その慢心が敗因って言ってやるにゃあ!」

 

みく「スパイラルゲッタァァアービィィーームッ!!」

 

マシンガンを収納し、周囲にゲッタービームを拡散させる。

 

鉄甲鬼「下手な鉄砲をいくら撃ったところで!」

みく「もう一つ!みく達の取って置きを見せてやるにゃぁ!━━ナナちゃん!」

菜々「━━ハッ!ここは…ウサミン星ですか!?」

瑞樹「残念ながら地球よ。シャキッとして!」

菜々「は、はいっ!いい加減シリアスになりたいと思います!」

みく「それじゃシリアスは一生無理にゃ…。━━オープンゲット!」

 

バシュンッ

 

瑞樹「チェンジゲッター!2ッ!」

鉄甲鬼「どんな形態で来ようと…」

瑞樹「オープンゲット!」

鉄甲鬼「!?」

 

ゲッターに合体し、狙いを付けられる微妙なタイミングで分離し。

 

菜々「チェーーンジゲッターーースリィイ!!」

菜々「オープンゲット!」

 

またも直ぐ様分離。鉄甲鬼の周囲を旋回して飛行し合体。それを繰り返す。

 

菜々「チェンジゲッター!━━オープンゲット!」

 

瑞樹「チェンジゲッター!━━オープンゲット!」

 

みく「チェンジゲッター!━━オープンゲット!」

 

鉄甲鬼「こちらを撹乱するつもりか!…だが!」

 

ゲットマシンの動きに注視し、捕捉。

 

鉄甲鬼「俺の動体視力をもってすれば、この程度!」

 

瑞樹「チェンジゲッター━━!」

鉄甲鬼「そこだ!」

 

機影が重なる。瞬間に間合いを詰める。

 

鉄甲鬼「悪足掻きもこれで終わり…━━…!?」

鉄甲鬼(ゲッター2の脚…イーグル号がない…!?)

鉄甲鬼「何処だ!?」

 

みく「こっこにゃぁぁ~~んっ!!」

 

声が響いたのは、上。

 

鉄甲鬼「!?」

みく「ミサイル急降下爆撃にゃぁああ~~!!」

 

急降下で間合いを詰め、ほぼゼロ距離からミサイルを撃ち込む。

 

鉄甲鬼「がぁ…!」

 

菜々「旧ゲッターにだけ出来る、非常用の2機合体です!」

瑞樹「━━ゲッタードリル!」

 

下半身のないゲッター2が、ベアー号の推力のみで往く。

 

ギャルルルゥゥンッ

 

鉄甲鬼「がっ…!ぐぅ…。だが、所詮は2機分のエネルギー…。それではこの鉄甲鬼の装甲を抜く事は出来ん!」

みく「それならこれでどうにゃ~!」

 

急降下爆撃から、態勢を直したイーグル号が、素早くベアー号の下にドッキング。

 

鉄甲鬼「この状態から、合体だと…!」

瑞樹「ナメてもらったら困るわ。私達は、テスターチーム」

菜々「合体訓練なら、卯月ちゃん達以上に繰り返してきてます!」

みく「ギリギリの狭い空間でも、嵐の中でも、合体するだけなら朝飯前にゃあ!」

瑞樹「これがゲッターに乗り続けた、経験の差よ!ただ戦闘能力を調べただけで、ゲッターを分かった気にならない事ね」

 

ギュゥゥゥンッ

 

ゲッタードリルが、メカ鉄甲鬼の表装を砕き、貫いた。

 

鉄甲鬼「ぐぉおおっ!?」

瑞樹「……」

 

ドリルを深々と突き刺し、動力部を破壊したところで、引き抜く。

 

鉄甲鬼「っ…!?」

 

力を失ったメカ鉄甲鬼はそのまま落下。続いて、ゲッター2も着地。メカ鉄甲鬼の喉元にドリルの切っ先を突き付ける。

 

瑞樹「また、油断したわね」

鉄甲鬼「……」

鉄甲鬼「俺の負けだ。殺せ」

みく「…随分と潔いんだね」

鉄甲鬼「俺は、戦いに誇りを持って生きる戦士だ。足掻く事を美しいとは思わん」

菜々「でも、それでホントにいいんですか?…死んじゃったら、全部おしまいなんですよ?」

鉄甲鬼「……全て、虚しくなったのだ」

菜々「虚しく…?」

鉄甲鬼「俺が信じ、仕えた国は、存在しなかった。俺自身の命すら、戦うために作られたものだった」

瑞樹「……」

鉄甲鬼「だから、考えるのはやめにしたのだ。戦いの中に生き、そして死のうと」

みく「安っぽいにゃぁ…。そんなんだから殺してくれなんて、都合が良すぎるにゃ」

鉄甲鬼「俺の百鬼メカは敗れた。俺自身も満身創痍だ。戦えない者は、百鬼帝国には不要な存在だ」

鉄甲鬼「だから、殺せ。お前達が出来ないというなら、俺は自分で命を絶つだけだ」

菜々「そんな…」

瑞樹「……」

 

瑞樹「━━…ねぇ、貴方がくれた白い帽子、南風が飛ばした━━♪」

 

菜々「瑞樹さん…?」

 

瑞樹「『もう、要らない。やっと気付いた。髪なびかせ、小さくなるの見てた━━♪』」

 

みく「Angel Breeze…。瑞樹さんの曲…」

鉄甲鬼「曲…。これが、この女の歌う歌、なのか」

みく「うん。バラードっぽくアレンジしてるけど、そう」

 

瑞樹「『風の行方を、追いかけるよりも、向かい風の中、歩き出すの━━♪』」

 

鉄甲鬼「……」

 

瑞樹「『何が待ってるの?風の向こう側。行ってみたい。きっと、天使が遊んでる』

瑞樹「『”虹色の夢と、新しいときめきを”』━━」

 

瑞樹「━━…私は、戦場だって歌うわ。踊る事だって、やろうと思えば出来るわ。アイドルだもの」

鉄甲鬼「…アイドル、か。俺達の中には無かった概念だ」

瑞樹「そうでしょうね。アイドルだけじゃなく、貴方は私達の事は何も知らないでしょ?」

鉄甲鬼「…冷静に考えれば可笑しなものだ。俺達は、お互い知りもしない者達を滅ぼそうと躍起になっていた訳か」

瑞樹「そうね。可笑しなものね。こうして話し合えば、分かり合えるかもしれないのに」

鉄甲鬼「……」

瑞樹「…命って、奪い合うために存在してるわけじゃない筈よ。自分の生き方を簡単に決めてしまうのは、早すぎるわよ」

みく「…瑞樹さん…、どうしてそこまでコイツに肩入れするの?」

瑞樹「……。正直ね、はじめて鉄甲鬼と話した時、昔の私に似てるなって思っちゃったのよ」

瑞樹「若い内なんて目の前にあるものだけが世界で、妙な使命感に突き動かされて、がむしゃらに走ってる内に年齢ばかり重ねちゃって。他にどんな世界があるかも見向きもしないんだから」

菜々(ナナもそうだったな~…) ジーン…

鉄甲鬼「…俺にとって、百鬼帝国が全てで、ブライ大帝のために戦い…。そう言うことか」

瑞樹「そう。私には、今の自分に変わる切っ掛けがあった。だから変わろうと思って、輝くことが出来た。そうしてくれる人達に巡り会えた」

瑞樹「だからという訳じゃないけど、親近感を持って、気になったら、放っておけなくなっちゃって」

みく「確かにコイツ、他の百鬼兵にはあんまり見ないタイプなのは確かにゃ」

菜々「そうですね。私達が知ってる百鬼帝国の皆さんは、基本こっちを殺しに来てますからね。そう考えると、こうして落ち着いて話し合ってくれる分、マシだと思います」

鉄甲鬼「ふっ…。可笑しな奴らだ。仮にもさっきまで命の奪い合いをしていた敵同士だというのに」

菜々「確かに敵同士ですけど、ナナ達は戦士じゃないんです」

菜々「ナナ達は、たくさんの人に笑顔を届けるアイドルですからっ。敵味方の壁なんて、ウサミンパワーで楽々越えていけちゃいますよっ♪」

みく「そんな事が出来るのはナナチャンだけにゃ」

菜々「ちょっ…!みくちゃ~ん!」

みく「でもま、瑞樹さんがコイツを生かしておきたいって言うなら別に反対はしないにゃ」

みく「みく達はまだまだ百鬼帝国の連中をやっつけなきゃならないし、体力は少しでも温存しておきたいし」

瑞樹「ごめんなさい。みく、菜々さん」

みく「何で謝るのか分かんないにゃあ。ささ、早く研究所のみんなと合流するにゃ」

瑞樹「…分かったわ。行きましょうか」

鉄甲鬼「……本当にトドメを刺さないつもりか?」

瑞樹「えぇ。勝負はとっくに着いたわ」

鉄甲鬼「俺に生き恥を晒せというのか」

瑞樹「…生きている者が、その命を放棄する事は出来ないわ」

瑞樹「生きなさい。例えそれが恥ずべき事だとしても、それが貴方の償いよ」

 

シュバッ

 

高速移動で、瞬時に消えるゲッター2。

 

鉄甲鬼「……償い、か━━」

 

━━。

 

~~~ 早乙女研究所 周辺 ~~~

 

伊賀利「ゲッターレーザーキャノン、てぇーーーっ!!」

 

号令に合わせ、青の量産型ドラゴン部隊が、一斉射を行う。

 

ヒドラー「ぐぅ~…!人間共め…、調子に乗りおって…!」

晶葉「人間の力を甘く見たな。数と力で押されようと、私達は決して諦めない!」

ヒドラー「━━ッ!?」

 

白の量産型ドラゴンと、ヒドラーの百鬼ドラゴンのトマホークが打ち合う。

 

百鬼兵「━━!?ぐわぁああっ!?」

ヒドラー「何事か!?」

みく「前ばっかりで後ろがお留守だにゃあ!」

瑞樹「私達も参戦させてもらっていいかしら?」

晶葉「テスターチームか!よく来てくれた」

未央『これで勝負はこっちのもんだ~!』

菜々「こっちもギリギリでしたけど」

瑞樹「合流できればこっちのものよ。さぁ、このまま押し返すわよ!」

ヒドラー「ぬぅ~!」

 

ブライ『ヒドラーよ、撤退だ。一度退け』

 

ヒドラー「ぶ、ブライ様…!も、問題ありません!私はまだ戦えますっ!」

ブライ『今回は我々の負けだ。やはり一度に全国を攻撃したのが裏目に出たのだ。此度の戦の敗因は貴様だけにあるわけではない』

ヒドラー「で、ですが…!」

ブライ『既に多くの戦線は崩壊している。一度態勢を立て直さなくてはならん。そのためにお前の力が必要なのだ』

ヒドラー「……承知いたしました」

 

ヒドラー「全機撤退だ!一度退けぃ!」

 

ヒドラーの号令に合わせ、百鬼ドラゴン軍団が撤退していく。

 

伊賀利「逃がすか!」

瑞樹「いえ、伊賀利三佐、深追いはしなくていいわ」

伊賀利「ですが!」

瑞樹「追い払えただけで十分の成果よ。これ以上続けて、戦力を疲弊させるのは得策とは言えないわ」

伊賀利「…了解です」

瑞樹「晶葉ちゃん」

晶葉「あぁ、分かっている。各地に送ったゲッター斬とネオゲッターを戻そう。こちらも、連中の最終決戦に備えなくてはならないからな」

菜々「戦いはこれで終わらないって事ですね…」

晶葉「量産型ドラゴン部隊もしばらく周辺の警戒を頼む」

伊賀利「了解!」

 

未央『待ってアキっち!こっちに接近してる機影があるよ!』

 

晶葉「何?このタイミングで敵襲は考えづらいが…。数は?」

未央『数は1機。この反応って…!』

 

卯月「島村卯月、以下凛ちゃんとかな子ちゃん。ただいま帰還しました!」

 

未央『しまむー!みむっち、しぶりん!』

晶葉「Gチーム…。無事だったか!」

卯月「はいっ!色々ありましたけど、私達もゲッターも、この通りピンピンしてます!」

晶葉「そうか…。何はともあれ、無事でよかった。事情は後で聞くから、今は研究所でゆっくり体を休めてくれ」

かな子「休めてって…、あれ?戦闘は…?」

凛 「ついさっきまで、敵対の反応があったみたいだけど…?」

みく「それはもうみく達でやっつけちゃったにゃ」

凛 「ホントに…?」

未央『もう~。しまむーもしぶりんもちょっと遅い~!さっきまで全国的に滅亡の危機だったんだからね?』

かな子「そんな軽く言われたら、にわかに信じられないですけど…」

晶葉「確かに、未央の言い方はアレだが、危なかったのは事実だ」

未央『ちょっとアキっち、アレって何さアレって!』

みく「まったく、戦闘終わった途端いつものノリじゃ、緊張感もあったもんじゃねぇにゃ」

菜々「あはは…」

卯月「でも良かったです。みんな無事で…」

凛 「そうだね。それと…」

 

ニオン「……」

 

かな子「アレって確か…、前に私達を助けてくれた、ダイノゲッターロボ…?」

凛 「…久し振りだね」

ニオン「あぁ。まだ生きていたか」

凛 「お互いにね」

芳乃「ふふふ。相変わらず素直ではないのでしてー」

卯月「えっ、今の誰ですか?」

 

晶葉「まぁまぁ。お互い言い合いたい事もあるだろうし、積もる話もあるだろうが、まずは一旦帰還しよう」

 

ニオン「……」

凛 「……」

 

晶葉「ゲッターも我々もメンテナンスが必要だ。休息を怠っていい道理は何処にもないぞ。ダイノゲッターも、それでいいな?」

 

ニオン「……」

芳乃「はいー。こちらも貴女方の指示に従いましてー。今は人間も恐竜帝国も関係なくー。お互いに手と手を取り合いー、困難を乗り越えてゆかなければならないのでしてー」

晶葉「分かった。そちらの話も後々聞かせてもらいたいが、先ずは協力してくれた事に感謝する。ありがとう、助かった」

芳乃「お構い無くー」

卯月「えっと、凛ちゃんも、そう言うことなので…」

凛 「うん。私だって、今がどんな状況かくらいは分かってるよ」

ニオン「フン…」

かな子「百鬼帝国との決戦、ですか…」

凛 「まだインベーダーが残ってるとは言え、百鬼帝国との戦いにけりが着けば平和に一歩近付くんだ。正念場だね」

卯月「はいっ!アトランティスの人達のためにも、この戦い、絶対に負けられませんッ!」

 

卯月「島村卯月、まだまだ頑張りますよーッ!!」

 

つづく

 




次回予告!!

遂に、百鬼帝国との最後の戦いの火蓋が切って落とされた!
早乙女研究所上空に出現した百鬼要塞と、百鬼ゲッタードラゴン軍団に立ち向かう、ゲッターGを中心とするゲッター軍団。
卯月達は、百鬼要塞へと侵入し、百鬼大帝ブライを討ち倒す為要塞奥を目指すが、そこで待ち受けていたのは、円盤から手に入れた技術で巨大化を果たしたブライの姿だった。
ブライの圧倒的な戦闘力に窮地に陥るGチームに、遂に、真ゲッターロボが長い沈黙を破り出撃する━━!

次回!ゲッターロボ×CG 第2部最終回

第26話『目覚めの時、真ゲッターロボ!!』に、チェンジゲッター!
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