ゲッターロボサーガ デレマス版   作:E.T.c

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幕間『真編』
前編『虚空からの襲撃者』


作業員『━━…このパネルはダメだな…。マーク!そっちはどうだ?』

作業員2『ダメだ!第2、第4パネルもイカれちまってる!』

作業員『ったく、百鬼帝国との戦いが終わったばっかだってのに勘弁してほしいぜ!』

作業員3『ボヤくなボヤくな。それよりとっとと作業終わらせて、地球を見下ろしてのティータイムといこうぜ』

作業員2『そいつはいい!こんな時でもないと見下すなんてできないからな!』

作業員『流石に女房の尻に敷かれ続けるのも飽きたってか?』

作業員2『まさか。俺の女房は安産型で、そりゃあもう最高の座られ心地だぜ!』

作業員『へーへー。ごちそうさんで』

作業員3『お前ら真面目に作業しろよ…。━━ん?』

作業員『? どうした?』

作業員3『ありゃぁ…何だ?』

作業員2『え…?━━あぁああああ━━!?』

 

━━。

 

~~~ 東京都内 ~~~

 

 

━━百鬼帝国との戦い決着から一ヶ月。

 

美波「━━アーニャちゃん、用意はいい?」

アーニャ「Да…やっとここまで、これましたね!」

美波「えぇ!みんなに見てもらいましょう!ラブライカのステージを!」

アーニャ「最高のライヴ、最高の思い出にしましょうね!」

桃華「ラブライカのお二方、出番でしてよ」

 

美波&アーニャ「「はいっ!」」

 

千枝「美波さんとアーニャさんのライヴ、千枝もここから応援してますっ!」

美波「ありがとう。私達も、L.M.B.G.のライヴ、楽しみにしてるわ」

仁奈「仁奈達ももちろん頑張るでごぜーますよー!楽しみにしててくだせー!」

アーニャ「Да…ワタシ達が、ファンのみんなを盛り上げて来ますね」

美波「それじゃあアーニャちゃん、行くわよっ!」

 

ワァアアアア━━

 

━━ ライヴ会場。

 

みく「うぉおおっ!始まったにゃ!美波ちゃ~んっ!!」

瑞樹「ライヴ前は色々言われてたけど、盛況なようじゃない」

菜々「ですね~。ナナもお客さん、心配してたんですけど、杞憂だったみたいですね」

みく「まだまだライヴ会場はちっちゃいけど、こうやって少しずつでも日常を取り戻していけたら、それでいいにゃ」 フンス

菜々「百鬼帝国も残党は確認されてないんですよね?なら、後はインベーダーさえ何とかできればホントに平和ですね!」

瑞樹「…そうね」

菜々「? どうかしたんですか?」

みく「どうせまた鉄甲鬼とか言う百鬼衆のことでも考えてたんでしょ」

瑞樹「違うわ。…ただ、本当にこのまま終わりなのかしら、なんてね」

菜々「まだ新しい敵が出てくるんですか?」

みく「そんな、地底からだって出てきたのに、これ以上ドコから出てくるって言うにゃ?」

瑞樹「そこよ。そもそも百鬼帝国だって、ドコから来たのか分からないわけでしょう?」

菜々「確か、ブライは宇宙から飛来してきた宇宙船を改修して要塞にしたって、言ってましたね」

瑞樹「と言うことは、その宇宙船を作った存在が、この宇宙の何処かにいると言うことよ」

菜々「うぅ…。いい加減血生臭いこととは縁遠い存在になりたいですよ」

瑞樹「あら?卯月ちゃん達はともかく、私達は何時だって、ゲッターを降りてもいいのよ」

みく「戦いたくないなら、無理しない方がいいにゃ。引き際を誤ると、ズルズルと引っ張られってちゃうよ?」

菜々「うぅ~…。だ、ダメです!ゲッターを降りる時は、やっぱりみんなで一緒じゃないと!」

みく「ま、それは一理あるにゃ」

瑞樹「ここまで一緒に来たんだものね。今更、お先に一抜け、なんて無責任なことは言えないわ」

菜々「ナナ達はもう、後戻りできないところまで来ちゃったんですね…」

 

美波「みんなー!ありがとうっ!!」

 

瑞樹「…と、辛気臭い話が過ぎたわね」

みく「そうにゃ!ライヴは楽しまなきゃ損にゃ!アーニャちゃーーんっ!!」

菜々「み、みくちゃん…!あんまり目立つような真似は…。ナナ達も一応、お忍びで来てるわけですから~…」

瑞樹「取り敢えず、人数少な目で来たのは正解だったみたいね」

菜々「まぁ、ナナ達が非番だっただけで、後の人達はみんな忙しかったんですよね…。えっと、確か…」

瑞樹「丁度、今の時間は、早乙女研究所で真ゲッターロボへのエネルギー供給試験が行われてる頃ね━━」

 

~~~ 早乙女研究所 地下区画 ~~~

 

早乙女「……」

 

凛 「…ゲッタードラゴンの増幅装置の調子は?」

所員「良好です。真ゲッターロボの真ゲッター炉心への接続も問題ありません」

凛 「そう…。この実験が失敗すれば、研究所はもちろん、この辺り一帯が一瞬で吹き飛ぶわけだから。扱いは慎重に」

所員「はい」

主任「そうならねぇように、整備は万全にしてある。余程装置に負荷を掛けねぇ限り心配はないはずですぜ」

凛 「整備班の人達を疑ってるわけじゃないけど…」

所員「早乙女博士、エネルギー供給準備完了しました」

早乙女「うむ。では、真ゲッターへのエネルギー供給を開始してくれ」

所員「はっ!」

 

ウゥ…ゥゥンッ……

 

所員「エネルギー供給開始ッ!」

主任「各部に異常は?」

所員「ありません!予定通り、順調です」

早乙女「よし、エネルギーレベル上昇だ」

所員「はっ!」

凛 「……」

 

ズォオオオオオッ━━

 

「「オォッ」」

 

所員「やった!真ゲッターのエネルギーがアップしてるぞ!」

早乙女「真ゲッターのエネルギーレベルは?」

所員「ゲイン50をいったところです」

早乙女「ドラゴンの増幅器の出力を上げろ!」

所員「こ、これ以上は無理ですっ!」

早乙女「80はいかんのか!?」

 

バスッ バスッ ボスンッ

 

主任「いけねぇ!これ以上はドラゴンが爆発しちまう!」

凛 「実験中止!エネルギー全面カット!」

所員「は…はっ!」

 

ヒュゥゥ…ゥン……

……。

 

主任「…収まったか?」

早乙女「…ふぅ」

凛 「今回の実験は、ここまでだね」

早乙女「…せめて80まではいきたいところだったが」

所員「しかし、前日の20%から考えると、一気に30%アップです。新記録ですよ!」

早乙女「記録よりも、事実を進めなければ。何の意味もない」

所員「ですが…」

主任「博士。それじゃあ、ウチらはこれから真ゲッターとドラゴンの点検作業に入ります」

早乙女「うむ。よろしく頼む」

主任「はい」

 

ツカツカ━━

 

スタスタ

 

奈緒「よ」

凛 「奈緒。加蓮に、李衣菜も。冷やかしに来たの?」

奈緒「違うって。定時の哨戒を終えた、報告に決まってるだろ?」

凛 「…そう。で、結果は?」

李衣菜「いつも通り異常なし。快適なフライトだったよ」

加蓮「ま、インベーダーが現れたりしたら、こっちにも連絡が来てるわけだけどね」

奈緒「そっちは…、また失敗か?」

凛 「失敗じゃない。昨日より30%、エネルギーを上昇させる事が出来たよ」

奈緒「へぇ~。そりゃスゴい」

李衣菜「そう言えば、最近研究所が賑やかだよね。何してるの?」

加蓮「…リーナ、今研究所で何してるか知らないの?」

李衣菜「え?あぁ最近アイドル活動も忙しくなってきて色々てんやわんやだから…」

加蓮「まぁ、実はアタシもよく知らないんだけど」

奈緒「お前らなぁ…」

加蓮「じゃあ奈緒説明して」

奈緒「まったく…。いいか、分かりやすく科学的に言うとだな…」

李衣菜「うんうん」

奈緒「今のままじゃ、真ゲッターにエネルギーがどうしても足りないんだよ」

加蓮「どういう事?」

奈緒「真ゲッターロボな。アレ、メチャメチャエネルギーを使うらしいんだ。だから、研究所にあるゲッターエネルギーだけじゃエネルギーが賄えなくて、真ゲッターも本来の性能を引き出せない」

加蓮「ふぅん」

奈緒「そこで、早乙女博士達が考えた訳だよ」

李衣菜「分かった!ゲッタードラゴンのゲッター線増幅装置を使ってエネルギー供給するんだね?」

 

奈緒「……っ」 ズコッ

 

奈緒「まぁ大体分かりやすく言うとそんな感じだよ…」

加蓮「それで、真ゲッターは本来の性能を発揮出来るの?」

奈緒「一応、理論上はな」

凛 「…確かに、分かりやすく科学的な説明だったね」

奈緒「…い、いやぁあたし、理系とか専門外だから、こういう説明はどうも…」

凛 「ううん。専門外にしては分かりやすく、いい説明だったと思うよ。…肝心なところは李衣菜に持っていかれたわけだけど」

奈緒「それは言わないでくれよ…」

凛 「けど、ゲッタードラゴンの増幅装置を使っても、エネルギーを100%にする事は出来なかった」

早乙女「宇宙から降り注ぐゲッター線を集めるだけでは、真ゲッターにエネルギーを満たすのに3年はかかってしまう」

李衣菜「さ、3年…!?3年後っていったら、私も奈緒も大学生だよ?」

加蓮「そんな時間は、待ってられないって訳ね」

奈緒「その割りには凛、何か一安心って感じじゃないか?」

早乙女「……」

凛 「元々、真ゲッターを使う事には反対だよ」

李衣菜「そうなの?でも、真ゲッターがあればインベーダー相手もグッと楽になると思うけど…」

凛 「インベーダー相手に、手段なんて選ぶ必要なんてない。だけど、真ゲッターの力は明らかに私達には過ぎた力だと思う」

加蓮「そうだね。百鬼要塞を一撃で吹き飛ばしたのも、あれでまだ本来の力を出しきってなかったって訳だもんね」

奈緒「だとしたら、真ゲッターが100%…本来の性能を引き出したらどうなるんだ?」

凛 「…早乙女博士。今までずっと黙ってきたけど、やっぱり真ゲッターは封印するべきなんじゃないの?」

早乙女「……それは出来ん」

凛 「どうして?」

早乙女「これからの戦いには、真ゲッターの力が必要になるからだ」

凛 「……。インベーダー相手には、ゲッタードラゴンだって成果を上げてる。博士はこれ以上の敵が現れると、そう思ってるの?」

早乙女「お前達には、まだ分からん」

 

ツカツカ…━━

 

凛 「……」

李衣菜「ま、まぁ真ゲッターの本来の力がどういうモノなのか、まだ誰も分からないんだしさ。余計な心配しすぎじゃない?」

凛 「…万が一が起きた時、その時はもう手遅れかもしれないんだよ」

奈緒「凛…」

 

所員「渋谷さん。そろそろ時間です」

 

凛 「もうそんな時間?分かった。すぐに支度する」

加蓮「これからお出掛け?」

凛 「お出掛けって言うか…。新研究所の方で、新型ゲッターの最終テストなんだ。それに立ち会ってくる」

加蓮「忙しいね~。倒れない程度に頑張りなよ」

凛 「うん。せっかく倒れるなら、かっこよくライヴ中がいいかな?」

奈緒「あたしらに迷惑かかるような事言うのやめてくれ…」

 

ウゥゥゥゥゥン…!

 

未央『インベーダーが接近してるよ!待機してるリーナ、かみやん、かれん!スクランブル出撃だよ~━━!』

 

凛 「やっぱり来たか…」

加蓮「ゲッター線増幅装置を使ってエネルギー実験してるんだもんね。こっちから呼び寄せてるようなもんか…」

奈緒「って言うか今管制室にいるの未央なのか…」

李衣菜「名指しで指名されたね。急がなくっちゃ!」

凛 「こっちの相手は取り敢えず任せるよ。何かあったら、呼んでくれれば」

李衣菜「こっちは任せて!インベーダーなんてネオゲッターでけちょんけちょんにしてやるからっ!」 タッ

奈緒「とにかくゲッターに急ぐぞ!そんな時間もないはずだしな」 ダッ

加蓮「それじゃあ凛も気を付けてね~」

 

タッタッタッ…

 

凛 「…さてと、私も急がなくちゃ」

 

━━ 。

 

李衣菜「はっ、はっ、はっ…!……あ」

 

芳乃「……」

 

李衣菜(えっと…、あの子って確か…)

芳乃「依田は芳乃、でしてー」

李衣菜「わぁっ!?」

芳乃「何故そこまで驚くのでしてー?」

李衣菜「え…あ、っと、ごめん。まさか気付いてると思わなくて…」

芳乃「この場がにわかに慌ただしくなっておりましてー。虚空より破壊者が来るのでしょー?」

李衣菜「破壊者…。まぁ、インベーダーにはピッタリだと思うけど…」

芳乃「……」

李衣菜「えっと、真ゲッターを見てるの?」

芳乃「はいー。その目をー」

李衣菜「目…?」

李衣菜(そう言えば、意識して見た事なかったな…。真ゲッター、カメラアイに目があるんだ)

 

真ゲッター>……

 

李衣菜「真ゲッターの、目…」

 

真ゲッター>……

 

李衣菜(何だろ…。ずっと奥まで引き込まれるような…。ゲッターの目の奥……)

 

真ゲッター>……!

 

李衣菜「…げ、ゲッターは何を見てるの?」

芳乃「全てをー」

李衣菜「全て?」

芳乃「過去、現在、未来ー。その中にある生命の巡りをー。一所より出でー、同じ場所に還ってゆくー。その巡り合わせの中にあるもの全て、でしてー」

李衣菜「??……?難しくて分かんないや」

 

奈緒「おい!李衣菜ッ!何してんだ早く出撃するぞー!!」

 

李衣菜「ご、ごめん…!そうだったインベーダーが来てるんだった。急がなきゃ!」 ダッ

 

芳乃「……」

芳乃「……。いずれ分かるのでしてー。この生命と存在を賭ける戦いの只中にいればいずれー…━━」

 

~~~ 衛星軌道上 ~~~

 

卯月「━━ッ!」

 

コックピット内。急上昇による重力圏からの離脱で、機内の計器や機器が細かく振動する。

 

卯月「~~~…!」

 

ブレる計器を確認し、ペダルと操縦桿を操作。機体を急停止。

 

バッ

 

宇宙に向かうように手足を広げ、大の字に宇宙に存在を示す。

 

卯月「━━…研究所の格納庫から、単機での大気圏離脱までに32秒…」

卯月(…遅いな)

 

晶葉『どうだ、卯月?新型の、ゲッターD2の具合は?』

卯月「え…?あ、はい!良好だと思いますよ…?」

 

━━ 新早乙女研究所 管制室。

 

晶葉「そうか。そちらでゲッターに異常は確認出来るか?」

卯月『いえ、今のところ特にはありません』

凛 「D2のエネルギー出力は?」

所員「今のところ、セーフティゾーンをキープしてます。暴走の危険性はないかと」

凛 「…そう」

晶葉「よし。そのまま軌道上での機動テストを開始してくれ」

卯月『分かりました!島村卯月、飛行テストも頑張りますっ!』

 

凛 「取り敢えず、テストは何事もなく済みそうだね」

晶葉「あぁ。実際、操縦は基本に忠実。それでいて限界性能を引き出せるんだ。卯月以上にゲッターのテストパイロットに相応しい奴もそうはいないな」

かな子「何はともかく、完成して良かったですね。ゲッターD2」

かな子「━━っ゛!あいたたたぁっ…」

莉嘉「もうっ!だから急に動かないでって言ってるのにぃ~!」

かな子「ご、ゴメンね、莉嘉ちゃん」

凛 「…さっきから気になってたけど、その足の包帯、どうしたの?」

かな子「はい…。レッスン中に足を挫いちゃって…」

莉嘉「それで全治一週間くらいだって」

晶葉「成る程な。大事じゃなかっただけ良かったじゃないか」

凛 「まったく、何時も怪我だけは気を付けて、って言ってるのに…」

かな子「ごめんなさい…」

莉嘉「ライヴも近いから、張り切りすぎちゃったんだよ!ね?」

晶葉「そうか…。ライヴには間に合いそうなのか?」

かな子「はい…。ぶっつけ本番になるかもしれませんけど」

晶葉「それなら安心だな。ぶっつけ本番には慣れているだろう?」

かな子「な、慣れてるわけじゃないですよ…?」

凛 「ともかく、足がそれなんじゃしばらくゲッターには乗せるわけにはいかないね」

かな子「う…はい…」

晶葉「まぁ、何時インベーダーが攻めてくるか分からないとは言え、ゲッターD2が完成すれば戦力の穴は埋まる」

莉嘉「そうなの?」

凛 「今のところ、ゲッターD2は1人で操縦出来るように調整してあるからね」

美穂「確か、前に晶葉ちゃんが使ってたドラゴンを改造したんだよね?だから?」

晶葉「それもある。が、合体機構をなくす事で、機体の構造強度自体を高める事が出来るのは、量産型ドラゴンで証明されたからな」

凛 「変形出来なくなったから局地戦闘能力は落ちるけど、その分、単体での能力を高めるって事だよね」

晶葉「うむ。卯月に合わせて改良したゲッター線増幅装置も良好のようだし、当面の問題はクリアされたわけだ」

凛 「出来れば、真ゲッターを使うのはなるべくなら避けたいからね…」

晶葉「あの力は過剰だ。政府の方でも、諸外国から圧力があったらしいし、直に真ゲッターロボは封印されるだろうな」

茜 「折角造ったのですし!少しもったいない気もしますね!」

凛 「必要以上の力を使わないに越したことはないよ」

 

Prrrr…

 

晶葉「…こちら早乙女研究所。……はい、分かりました。念のため警戒しておきます。では━━」

 

ガチャッ

 

美穂「誰からだったんですか?」

晶葉「橘研究所だ。NISAR北米支部の人工衛星と、連絡が取れなくなったらしい」

茜 「? その連絡がどうしてここにまでくるんですか?」

晶葉「連絡が取れないくらいなら問題も小さいんだがな…」

凛 「何かあったって事…」

晶葉「人工衛星は、軍事衛星のレーダーからも姿を完全に消したらしい」

かな子「それって…!」

晶葉「恐らくは撃墜された…。何者かによってな」

茜 「インベーダー以外の敵があり得るんですか!?」

凛 「インベーダーはゲッター線を狙う」

晶葉「それに対して、今回消えた衛星は、ゲッター線とは無縁の衛星だ。インベーダーに襲われる理由はない」

晶葉「今NISAR北米支部の方では、原因を調査中だ。まずはその結果を待とう」

 

卯月『それなら、私が行きましょうか?』

 

凛 「卯月…。聞いてたの?」

卯月『はい。ゲッターD2は今丁度衛星軌道上にいますし、衛星が消えたポイントの座標を送ってもらえれば…。機動テストのついでにもなります!』

凛 「どうする?」

晶葉「ふむ…」

莉嘉「危なくない?あのゲッター、完成したって言っても実戦テストもしてないじゃん!」

卯月『莉嘉ちゃん、心配してくれてありがとうございます。でも、このまま何もしないでいるのも落ち着かないんです』

晶葉「…確かに、仮に未知の敵襲だとしても、事前にデータ収集は必要か…」

凛 「決まりだね」

卯月『分かりましたっ!』

美穂「卯月ちゃん…、無茶はしないで…」

晶葉「美穂の言うとおりだ。もし戦闘状態に入ったとしても、試作機は絶対に持ち帰ってくれよ」

卯月『はいっ!それでは、ゲッターD2北米方向に進路を変えてテストを続行します!』

晶葉「衛星の座標データは今送る」

晶葉「…北米支部に連絡を忘れるなよ。後々の混乱は避けたいからな」

所員「はっ!」

美穂「な、何だか慌ただしくなってきたね…」

茜 「むぅ…!嫌な予感がしますッ!」

美穂「何事もないといいんだけど…」

かな子「……」

莉嘉「かな子?卯月が心配?」

かな子「うん…。でも、きっと大丈夫だよね」

莉嘉「そうだよ☆何たって百鬼帝国だってやっつけちゃったんだもん!今更どんなのが来たってへっちゃらだよ!」

かな子「うん。そうだよね。…きっとそう」

かな子(卯月ちゃん…)

 

━━━。

 

卯月「━━…そろそろ座標地点です」

晶葉『分かった。そっちのレーダーになにか反応はあるか?』

卯月「いえ、まだ何もありません」

晶葉『こちらも同じだ。だが、警戒は怠るなよ』

卯月「了解ですっ。…あ、何か見えてきましたよ。あれは……」

晶葉『……衛星の破片か…。これで、衛星が何者かの襲撃を受けた事は確定したわけか』

卯月「……」

晶葉『今回ばかりは卯月の責任じゃない。あまりに気に病むな』

卯月「……はい」

晶葉『周囲にあるのは残骸だけか?』

卯月「ちょっと待ってください…。…熱源反応があります」

晶葉『熱を発する反応だと?衛星の動力がまだ生きてるのか?』

卯月「分かりません。丁度、この真上…」

 

ゲッターD2が宇宙を見上げる。そこには、

 

卯月「何ですか?…アレは」

晶葉『……。姿はセミの幼体に似ているな…』

卯月「どうしてそんなのが宇宙にあるんですか?」

晶葉『私にも分からん。近付けるか?』

卯月「行ってみます」

 

少しずつ高度を上げ、目標と同じ位置に。

 

晶葉『昆虫にしては大きいな…。ゲッターとほぼ同サイズとは…』

卯月「これ、何で出来てるんでしょう?機械みたいにも、そうじゃないようにも見えますよ?」

 

ジジ…

 

卯月「動きました!」

晶葉『動いた…?生きて、いるのか…?』

卯月「どうしましょう?攻撃しますか?」

晶葉『待て!こちらから仕掛けるのは危険だ』

卯月「それなら…」

晶葉『ゲッターの映像からでは判断できない。抵抗が確認できなければ、研究所まで確保してくれ』

卯月「りょ、了解です…!」

 

腫れ物に触れるように、慎重にゲッターD2の腕を目標へ。

 

ジジ…ジ……

 

『━━ゲッター…。ニン…ゲ…ン……』

 

卯月「喋った!?…ゲッターの事を言ってる…?」

晶葉『今のは通信じゃないぞ?一体どうやって…』

 

『ニン…ゲン……。霊長…。貴様らが、霊長だと……』

 

卯月「え?…え…?何の事ですか?どういう事なんです!」

 

『ふざけるな‼』

 

バキィッ

 

卯月「きゃっ!?」

 

セミの幼体の背中が割れ、中から何かが弾け飛ぶ。

 

卯月「な…何があったんですか…?今のは一体…」

晶葉『卯月!早く態勢を立て直せ!アレは━━!』

 

晶葉『機械仕掛けのセミだ!』

 

卯月「!?」

セミ『我らこそ、霊長!』

晶葉『向かってくる!奴は敵意を持った敵だ!迎撃しろ!』

卯月「分かりました!━━…ッ!」

 

正面に飛び込んできたメカセミを、両腕をクロスさせて防御。

 

卯月「~~~!…速いッ!?でも!」

卯月「ゲッターライフル!」 ジャキンッ

 

ゲッターD2の手首から、銃身の長いライフルを取り出し狙いを定める。

 

卯月「!」 バシュゥッ

セミ『━━!』 ヒュンッ

卯月「躱された!?━━!」

 

その後も偏差をつけて2、3度射撃を繰り返すが、全て躱される。

 

晶葉『なんて速さだ…!ゲッターD2を上回るとはな!』

卯月「…まるで後ろに目でもついてるみたいですね」

セミ『……』

卯月「?」

 

ゲッターD2に向き直ったメカセミが、左右の羽を高速に振動させる。

 

卯月「…!きゃっ!」

 

羽の振動で発生した振動波を、ゲッターD2を翻して躱す。

 

卯月「あ、危ない所でした…」

セミ『…!』

卯月「射撃がダメなら…!」

卯月「ゲッタートマホークッ!!」

 

ゲッタートマホークを抜き打ち、メカセミに対する。

 

セミ『‼』

卯月「うっ!」

 

体当たりしてきたメカセミを、トマホークで向かい打つ。

 

セミ『ギ…ギ……!』

卯月「~~!固い…!」

セミ『滅せよ!ゲッター‼』

卯月「~~~…!…やぁあっ!!」

 

ガキィンッ

 

トマホークを振り抜き、メカセミを弾き飛ばす。

 

卯月「はぁ…。な、何とか躱せましたけど…」

卯月(今の一撃だけで、トマホークが壊れちゃいました…。残りの予備は一本…)

卯月「このゲッターじゃ…。厳しいかもしれません…!」

 

━━。

 

美穂「卯月ちゃん!」

凛 「マズいね…。一旦戻したら?」

晶葉「言っても聞かないだろう。間違いなく、アイツが衛星を破壊した犯人だ」

凛 「でも、あのスピード…。ライガーと同じか、それ以上…」

茜 「美穂ちゃん!私達も出撃しましょう!」

美穂「でも、アーニャちゃんがいないよ…」

茜 「ゲッター烈火だけで何とかします!このままでは卯月さんが…!」

 

『ならん‼』

 

凛 「…!早乙女博士!」

早乙女『ゲッター斬は今出撃してはならん』

茜 「何故ですか!博士!」

早乙女『奴等は次元を越えてやってきた!ゲッターを倒すために!』

晶葉『次元を越えて…?確かに、衛星でも月の基地でも、その動きを察知する事ができなかったが…』

早乙女『お前達の常識の通じる相手ではない!』

茜 「なら!このまま黙って見てればいいんですか!?そんな事できませんっ!!」

美穂「あ、茜ちゃん…!待って!」

早乙女『止まらんか‼』

茜 「!!」

早乙女『……。晶葉くん、凛くん。真ゲッターロボを出動させる』

晶葉「ですが、あの力は…!」

早乙女『あの敵は真ゲッターでなくては倒せん!例え倒せたとしても、多くの犠牲が出る!』

早乙女『犠牲を抑えて勝利するには、真ゲッターの力を使うしかないのだ‼』

晶葉「しかし…!」

凛 「分かったよ」

晶葉「凛…!」

凛 「今更、力なんて恐れないよ。例え危険な力だったとしても、それは使うものの気持ち次第で何とかなる」

早乙女『納得してくれたか』

凛 「勘違いしないで。私は卯月を助けたい。そのために真ゲッターを使えって言うなら、そうするだけだよ」

早乙女『今はそれでいい。真ゲッターは既に研究所を発っている。直に君の元に着く』

凛 「分かった」

かな子「あの、私も…」

凛 「かな子は怪我の療養に専念して」

かな子「そんな!こんな怪我くらい、何ともありませんっ!」

莉嘉「ダメだよ!これ以上悪化したら、ライヴにも出られないって、先生にも言われたじゃん!」

かな子「ライヴ…!それでも、卯月ちゃんの命には変えられません!」

早乙女『心配するな。かな子くんの事情も、こちらで把握している』

早乙女『既に3号機には、こちらでパイロットを乗せて、そちらに向かわせている』

かな子「そ、そうなんですか…」

早乙女『凛くんと卯月くんにははじめて合わせてもらう事になるが、上手くやってくれ』

凛 「分かった。かな子の分も頑張ってくるから。ここで待ってて」

かな子「…はい」

凛 「それじゃ、行ってくる」

 

━━。

 

バサァッ

 

凛 「……真ゲッター…。本当にこの力が必要になる時が来るなんてね…」

 

「お待たせいたしましてー」

 

凛 「…芳乃…、3号機に乗ってるの?」

芳乃「如何にもー。此度はわたくしがー、かな子さんの代わりを勤める次第でしてー」

凛 「最初に真ゲッターを私達に届けたのも芳乃だったっけ」

芳乃「では参りましょー。卯月さんも凛さんもー、ここで失われてはいけないのはー、変わらないのでしてー」

凛 「…うん。よろしく頼むよ」

 

着陸した真ゲッター1に、素早く乗り込む。

 

芳乃「ぱいろっとすーつというものはー、少々キツくー。息の詰まるものでしてー」

凛 (そう言えばパイロットスーツはしっかり着てるんだ…。何か新鮮)

芳乃「してー、如何様に参りましょー?」

凛 「…先ずは卯月に合流するのが先だ。1号機はまだ無人だから、自動操縦にして、ゲッター2で行くよ。こっちに合わせられる?」

芳乃「お任せをー。この身は既にゲッターに委ねております故ー」

凛 「…言ってる事はよく分かんないけど、ともかく分離するよ」

 

凛 「オープンゲット!」

 

真ゲッター1を分離させ、真ジャガー号を先頭に、隊列を変更。

 

芳乃「……」

 

瞑想するように、瞳を閉じ、シートの中央で手を合わせている。

 

凛 (操縦桿に触れないで…。思念でゲッターを動かしてるとで言うの?)

芳乃「ゲッターに意思を伝えー、応じてもらっているだけでしてー。何も難しい事ではなくー」

凛 (…こっちの考えを読むのもデフォルトって訳…。でも確かに、機械とは違うけど、正確な動き…)

芳乃「それでは参りますよー?」

凛 「何時でもいいよ」

芳乃「ではー」

 

先に真イーグル号とドッキングした真ベアー号と合体。

 

凛 「チェンジゲッター2ッ!」

 

しなやかに細い両脚が伸び、僅かに盛り上がった肩に、右は巨大なドリル、左はハサミのような爪。旧ゲッター2に姿が酷似した真ゲッター2に変形する。

 

凛 「うおぉ━━!」

 

背中の大型ブースターが火を噴き、加速。

 

凛 「━━ッ!?」

凛 (やっぱりライガー以上の加速…。けど、使いこなしてみせる…!)

凛 「…ッッ!あ゛あぁぁ━━ッ!」

 

ドリルアームを突き出して、大気を切り裂くように進んでいく。

 

凛 (待ってて卯月…。今、行くから…!)

 

━━。

 

卯月「━━!!」

 

ガギンッ ガギンッ

 

ゲッターD2が、肉薄するメカセミ相手に刃こぼれしたトマホークで応じている。

 

セミ『‼』

卯月「きゃあっ!?」

 

メカセミの前脚の攻撃に、トマホークが根本から折れる。

 

卯月「っ…!これ以上は…」

セミ『終わりだ!ゲッターの眷属‼』

 

メカセミの両前脚が振り下ろされる。

 

卯月「きゃあああああっ!!」

 

ゲッターD2は勢いのままに落下。衛星軌道上の高々度から、天高く煙柱を生む衝撃を放って地面に墜落。

 

卯月「…!…!! ゲッターD2はもうダメですか…!?」

 

「卯月ッ!」

 

卯月「その声は、凛ちゃん!」

凛 「まだ生きてるの!?」

卯月「はいっ!ゲッターD2はダメになっちゃいましたけど…」

凛 (ゲッターに乗った状態で、あの高さから落ちて無事…?)

卯月「真ゲッターを持ってきてくれたんですか?」

凛 「うん。3号機には芳乃が乗ってる」

芳乃「よろしくお願い致しますー」

卯月「そうですか…。分かりました!今、そっちに乗り換えます」

 

ゲッターD2のハッチをこじ開け、真ゲッターに乗り移る。

 

凛 「本当に大丈夫なの?」

卯月「はい!この通り、ピンピンしてます!早速真ゲッター1に合体しましょう!」

芳乃「凛さんもここまでの移動でお疲れでしょー?ここは卯月さんに任せた方がよろしいかとー」

凛 「…分かった。頼んだよ、卯月!」

 

凛 「オープンゲットッ!」

 

卯月「チェーーンジゲッタァーー1ッ!!」

 

真イーグル号を先頭に、真紅の手足に胸部。真ジャガー号の白を同体。旧ゲッター1に姿は酷似するが、コウモリや竜のような黒く大きな翼を担った真ゲッター1が姿を現す。

 

卯月「よし…。このゲッターなら、真ゲッター1なら…!」

凛 「卯月、真ゲッターは早乙女研究所でエネルギー供給を受けて出力が上がってる。扱いは…」

卯月「ゲッターバトルウィングッ!!」 バサッ

 

ドッ

 

凛 「━━!!?」

 

真ゲッター1が翼を羽ばたかせ急上昇。瞬く間に地上は世界地図の様相となり、周囲の景色は仄暗い宇宙へと。

 

凛 「━━…ッ!……っはぁ!…はぁ…はぁ……! 今…、意識が飛んでた…?」

卯月「真ゲッターロボなら、もう負けませんっ!」

芳乃「目標を捉えましてー。右上方40度ー、距離150でしてー」

卯月「ありがとうございますっ、芳乃ちゃん!」

芳乃「お構い無くー。卯月さんはー、心行くままにー、戦ってくださいー」

卯月「はいっ!そうさせてもらいます!」

凛 (なんて上昇速度…。かな子じゃないけど、鼻血が出てきた…) タラァ…

 

卯月「ゲッタートマホーク!!」

 

真ゲッター1が、柄の長い、長大なトマホークを両手に握る。

セミ『━━‼』

 

両前脚を振り上げて、メカセミが来る。

 

凛 「━━ッ!?」

卯月「ッ!」 クンッ

 

トマホークの柄で、メカセミの前脚を受け止め、

 

卯月「はぁあっ!!」

 

勢いよく薙ぎ、メカセミを打ち払う。

 

セミ『ギギィ…!』

卯月「!」

 

態勢を直し、対峙しようとする途上のメカセミに追随。

 

セミ『!?』

卯月「やあっ!!」

 

ズァッ

 

横一閃。散々武器として扱ってきた前脚を切断。

 

卯月「ッ!」

 

くるり、と手首で柄を回転させ、上段に持ち上げたトマホークを一気に振り下ろす。

 

ザンッッ

 

縦一閃。メカセミの本体を頭部から後部に掛けて真っ二つに切り裂く。

 

セミ『ギ…ギャア…。よ、よくも…ッ』

卯月「……」

芳乃「一件落着、でしてー」

凛 「……!…」

凛 (私だけ…、状況に着いていけてなかった…)

セミ『しかし…!これでは終わらん!私の…我々の意志は…ッ!━━』

 

メカセミはそこで事切れた。

 

凛 「コイツ…死んだの…?」

芳乃「死んだ、という言い方が正しいのかは分かりかねますがー、倒したものとみてー、間違いはないでしょー」

卯月「あの最後の言葉…、どういう意味だったんでしょうね」

芳乃「それは直に分かりましてー」

凛 「…ッ!?晶葉、聞こえる?これって…!」

晶葉『あぁ、こちらでも状況を観察しているが…、こんなものをこの目で見る日が来ようとはな…』

凛 「空間が、歪んでいく…!」

卯月「まるで、SF映画みたいですね!」

凛 「みたいじゃなくてまんまだよ!」

芳乃「彼方よりの襲来者ー、来たりてー」

 

空間を歪めて、奈落の底のように奥の見えないワームホールを抜けて、それは姿を現す。

 

晶葉『これは…材質も構造も理解できないが…、戦艦、なのか?』

 

凛 「さっきの奴と雰囲気が似てる…?」

 

「艦蟲長!ワープアウト成功です!」

 

卯月「あの戦艦からの声ですか!?」

 

「うぅ…っ!我々の他、友軍は幾つ残った!?」

「…友軍反応……ありません!」

「な、何だって!?」

「恐らく、他の艦は時空の歪みに巻き込まれ、消滅してしまったものと!」

「我々だけが残ってしまった…違うな。他の友軍が盾となり、我々を繋いでくれたのか…」

「か、艦蟲長!アレを…!」

「アレは、真ゲッターロボ!」

「おのれ…。この時間軸で既に真ゲッターの覚醒は果たされてしまったか…!」

「ど、どうするんですか!?」

「……。戦う。戦わねばならん!」

「しかし…!真ゲッターの覚醒を阻止できなかった時点で、我々の作戦は失敗したも同じです!」

「まだだ!例え真ゲッターがいたとしても、ゲッターの起源、そこを絶てばまだ我々に勝機はある!」

「我々は勝たねばならんのだ!我々をこの時代に送り出してくれた同胞達のため…、何より、我々の宇宙の未来のために、ゲッターとその眷属は葬らねばならん!!」

「全艦戦闘配置ッ!!我々の持てる戦力をもって真ゲッターロボをこの宙域に釘付けにする!」

「同時に、攻撃部隊発進!早乙女研究所に辿り着き、その全てを破壊するのだ!!」

「「「了解ッ!!!」」」

 

凛 「戦艦が動いた!来るよ、卯月!」

卯月「と言うことは、あれもやっぱり敵…!」

 

真ゲッター1がトマホークを構え直すと同時、戦艦からの無数のメカセミの軍団が放たれる。

 

凛 「これはまた…、大した歓迎だね…!」

卯月「何機かはこっちじゃなくて違う方に飛んでいってます!」

芳乃「彼らの狙いはー、早乙女研究所ー」

凛 「本当なの!?」

芳乃「彼らは時空を越えて訪れしー、進化を拒みし者ー。この宇宙を悪意で満たす者ー。放っておいてはなりませぬがー」

卯月「━━ッ!」

 

セミ『行かせぬぅ‼』

 

メカセミの軍勢が、真ゲッター1の前に立ち塞がる。

 

芳乃「やはりー、易々とは行かせてはくれませんねー」

凛 「能天気に言ってる場合!?研究所が危ないかもしれないんだよ?」

芳乃「その為にもー、先ずは振りかかる火の粉を払うのが先決でしてー」

卯月「分かりましたっ!」

 

真ゲッター1のトマホークが唸る。

 

セミ『ギィ!』

 

しかし、メカセミの軍勢は、巧みな連携飛行で真ゲッター1を翻弄する。

 

卯月「……ッ!ゲッターバトルウィング!!」

 

真ゲッター1の翼を大きく広げ、機体を中央にきりもみ回転。巨大な気流の乱れを作り、メカセミの飛行を阻害し、

 

卯月「トマホーク…!ブゥーーメランッ!!」

 

ズアァッ

 

同時に幾つも投射されたトマホークが、メカセミの軍勢の内何機かを斬り伏せる。

 

セミ『…!…!!』

卯月「ゲッタービームッ!!」

 

シュパッ シュパッ

 

真ゲッター1の額からのゲッタービームを薙ぎ払い、体当たりを敢行したメカセミを真っ二つに切り裂き破壊。

 

卯月「ゲッタァァーーレザァァアーー!!」

 

ズワォッ

 

真ゲッター1自ら肉薄し、迫った一体のメカセミを腕のレザーカッターで両断。

 

凛 「これだけやっても、レーダー上で全然数を減らさないなんて…!」

卯月「こんなに密集されると、ストナーサンシャインも使えません!」

芳乃「なればー、戦場(いくさば)を変えましょー」

凛 「変えるって…、そんな簡単に言ったってそんな場所…」

芳乃「わたくし達がー、獅子身中の虫となるのですー」

凛 「え…。…成る程」

卯月「どういう事ですか?」

凛 「あの戦艦の中だったら、好き勝手暴れられるって事」

卯月「成る程…」

芳乃「卯月さんー、一旦分離致しましょー」

凛 「…私の出番だね」

卯月「お願いしますね!━━オープンゲット!」

 

凛 「チェンジゲッター!2ッ!」

凛 「ドリルアァァーームッ!!」

 

合体直後にドリルを唸らせ、メカセミの大群を掻き分け戦艦内部に突撃。

 

「真ゲッターが艦内に侵入!」

「至急迎撃部隊を向かわせろッ!真ゲッターの好きにさせるなッ!!」

 

卯月「ずいぶん広い通路…」

凛 「侵入される事も考えてあるって訳だね」

芳乃「ですがー、この狭さならー、宇宙で戦うより易いでしょー」

卯月「…!熱源反応…!迎撃機が来ますよっ!」

凛 「うん。向かってくるなら、正面からドリルで風穴開けるだけだよ」

 

凛 「さぁ、何処からでも…おいで!」

 

━━。

 

~~~ 早乙女研究所 敷地内 ~~~

 

李衣菜「━━おりゃあああっ!!」 ザンッ

 

インベーダーの神経中枢をソードトマホークで叩き潰す。

 

李衣菜「ふぅ…。一丁上がりっと」

奈緒「大分慣れて来たじゃんか。損傷軽微でインベーダーを全滅させるなんてな」

李衣菜「えっへへ~。そりゃ、私だって成長しますって」

加蓮「調子に乗るのは早い早い。リーナは操縦が乱暴で、乗ってるこっちが大変なんだから」

奈緒「あ、それは言えてるかもな」

李衣菜「もぉ~、上げて落とすのはなしでしょ!?」

奈緒「あっはは。…ん?なんだ、あれ?」

加蓮「待って…。無数の反応が研究所に近付いてるみたい」

奈緒「近付いてるって、インベーダーじゃないのか?」

加蓮「違う…。何…これ…?見たことない」

李衣菜「あれって…虫!?」

奈緒「でっかい虫だぁ!」

加蓮「虫ぃ~!?」

奈緒「何だ?加蓮は虫駄目なのか?」

加蓮「だ、ダメって言うほどじゃないけど…。あんな大きいの、苦手じゃなくても無理だって…」

奈緒「確かにそうかもなぁ…」

李衣菜「2人共!のんびり話してないで、敵だよ!」

奈緒「お、おう…悪い」

加蓮「アレと戦うの…?冗談でしょ?」

李衣菜「冗談抜きでいくよ!空中戦だ、ゲッター2だよ!」

奈緒「分かった!」

加蓮「待って!一番大きいのが降りてくる…」

 

ズウゥゥ…ン……

 

加蓮「これは…」

李衣菜「…莉嘉が見たら喜びそうな見た目だね」

奈緒「本気であいつと戦うのかよ?」

 

カブト『ギィイイイ━━‼』

 

李衣菜「飛んでる虫も何とかしなきゃいけないのに…!」

奈緒「あいつら、研究所にくっついて何をする気だ?」

加蓮「もしかして、卵を生んでる?」

奈緒「だったら生物なのか?」

李衣菜「考えるのは後!先ずはこのカブトムシを、研究所に近付ける訳にいかない…!」

 

ソードトマホークを構え直し、戦闘態勢をとる。

 

奈緒「し、習性って、あたしらの知ってるカブトムシでいいのかな?」

加蓮「さぁ?こんな大きいんだし、食性は肉食かも」

奈緒「勘弁してくれ…」

李衣菜「何はともあれ…分かんないんだったら、飛び込んでみるに限る!」 グッ

 

操縦桿を握る手に力を込め、ネオゲッター1を前進。

 

李衣菜「でぇりゃぁぁあああッ!!」

 

ガ…ギンッ

 

奈緒「~~~!」

李衣菜「かったい!」

カブト『ギギィ‼』

加蓮「リーナ避けて!」

李衣菜「えっ、無理…」

 

ドワッ

 

メカカブトの複眼から放たれた閃光が、ネオゲッター1を射抜く。

 

李衣菜「うわぁあ!?」 ガンッ

奈緒「いててて…。さっき誉めたのなしな」

李衣菜「元々上げて落とされてたよね?」

加蓮「前見て!!次が来るっ!」

李衣菜「え━━?」

 

眼前にメカカブトの角。

 

ゴギャァアッ━━

 

李衣菜「うぐっ…あぁ…!」

 

装甲を貫かないまでも、勢いと衝撃で早乙女研究所の外壁に叩きつけられる。

 

李衣菜「へ…へへへ…っ。なかなかのパワーじゃん。ネオゲッター3以上かも」

加蓮「ネオゲッターの装甲に助けられたけど、二度目はないよ」

李衣菜「分かってるって。こっちも丁度、エンジン暖まってきたトコ!」

 

額と口元の血を拭い、バイザーの割れたヘルメットを脱ぎ捨てる。

 

奈緒「怪我しないとエンジンかからないとか、難儀だな…」

加蓮「ホント。地獄まで付き合う気はないからね?」

李衣菜「もちろん!だからこそ負けられない!必ず勝ってみせるッ!」

 

━━ 研究所内。

 

所員「う、うわああああっ!!?幼虫だ!幼虫が入ってくる!」

所員2「コイツら…、研究所を食い尽くすつもりか?」

所員3「火炎放射器だ!火炎放射器でコイツらを焼き払うんだ!」

 

早乙女「……」

所員4「早乙女博士!博士も早く避難を!奴らの狙いは間違いなく、ここのゲッタードラゴンですっ!」」

早乙女「儂は残る。逃げたい者だけ逃げればよい」

所員4「何を言ってるんですか!?博士なくして、誰がゲッターの研究を続けるんです!?」

早乙女「分からんのか!?今がどんな時か!」

所員4「どういう事です!?」

早乙女「いいから見ておけ!」

 

所員「見ろ‼奴ら、ゲッタードラゴンの元に集まって行くぞ!!」

 

早乙女「……!」

所員4「…?ゲッタードラゴンの様子がおかしいぞ…?」

所員「ゲッタードラゴンが…、動いている…!」

 

ズアオッ

 

昆虫軍団『『『ギィィヤアアアアア‼』』』

 

ゲッタードラゴンの胴体から放たれた閃光が、群がった昆虫を焼き払う。

 

早乙女「そうだ。それでいい」

所員4「誰だ!?あの状態のドラゴンを動かしているのは!」

 

「はっはっはっは~!どんなもんだい!正しく、飛んで火に入る夏の虫って奴だね!」

 

所員4「本田さん!?」

 

未央「混乱に乗じて乗り込んで正解だった!私もドラゴンも、まだ戦闘力を失った訳じゃない!」

所員「だ、ダメです!本田さん!今の状態のドラゴンをそのまま動かし続けては…!」

未央「何処からでもかかって来ーい!研究所は、人類の未来は私が守る━━ッ!」

 

━━━━。

 

卯月「━━!未央ちゃん!?」

凛 「どうしたの?卯月」

卯月「…今、未央ちゃんの声が聞こえたような……」

芳乃「……」

凛 「未央の…?そんな通信、私には聞こえなかったけど…」

卯月「いえ、確かに聞こえたんです。何て言ってるのかまでは分かりませんでしたけど、未央ちゃんの声が…」

凛 「…?」

芳乃「…未央さんー…━━」

 

━━━━。

 

李衣菜「えっ、未央?何…?━━くっ…!」

 

メカカブトの角とソードトマホークで鍔迫り合う。

 

奈緒「どうした?」

李衣菜「今なんか声が聞こえなかった?」

奈緒「声ぇ?何か聞こえたか?」

加蓮「ううん。こっちは何にも」

奈緒「何も聞こえないぞ!」

李衣菜「…それじゃあ…私の聞き間違い…?━━うわっ!」

 

角に押され、尻餅をついて倒れる。

 

奈緒「今は戦闘に集中しろっ!」

李衣菜「それも…そうだね!」

 

ショルダーミサイルを眼前に撃ち、メカカブトを怯ませる。

 

カブト『ギイィィ!!?』

李衣菜「このっ…!」

 

上から覆い被さるようにのし掛かり、

 

李衣菜「チェーンナックル!!」

 

チェーンナックルで片目を潰す。

 

カブト『ギィアアァァァ‼』

李衣菜「わわっ!?」

 

角を振り乱し、暴れだすメカカブト。

 

奈緒「は、早く離れろ!」

李衣菜「そうしたいのは山々なんだけど…」

カブト『ギギィイッ‼』

李衣菜「わぁっ!!」

 

振り回した角に当てられ、宙高く飛び上がる。

 

李衣菜「!!」

 

態勢を立て直せず、落下。

 

李衣菜「ぐぅ…」

加蓮「このまま寝てるつもり?」

李衣菜「まさか。いい手を思い付いたよ!」

奈緒「…スゴいヤな予感がするぞ」

李衣菜「まぁ、奈緒達にも少し覚悟してもらわないとだけど」

加蓮「それで勝率あるんでしょ?なら、アタシはやるよ」

奈緒「どーせ止めたってやるんだろ?好きにやれって」

李衣菜「…ありがと。奈緒、加蓮」

 

カブト『ギィッ‼』

李衣菜「━━!」

 

叩き付けられた角をネオゲッター1をローリングさせて避け、立ち上がり、ソードトマホークを握り締め、

 

李衣菜「さぁ、来いっ!」

 

ネオゲッター1を大の字に立たせる。

 

奈緒「馬鹿かァ!?」

李衣菜「いや、これでいい!」

カブト『ギギギィイイッ‼』

 

挑発に乗るように、メカカブトは角をネオゲッター1の鳩尾へ。

 

李衣菜「ぐっ…!」

 

脚を踏ん張り、攻撃を耐える。

 

カブト『ギヤァアッ‼』

 

ブォンッ

 

角を大きく振り上げ、ネオゲッター1を天高く放り投げる。

 

李衣菜「奈緒、加蓮!ネオゲッターのプラズマエネルギーを両腕に!」

奈緒「は?」

加蓮「成る程。そう言うことね」

奈緒「どういう事だよ?」

加蓮「今はリーナの言うとおりにして!」

奈緒「お、おう…!」

 

両腕に込められたプラズマエネルギーがソードトマホークに流れ、青白い稲妻がスパークする。

 

李衣菜「ネオゲッターの自重に、重力落下が加われば…!」

 

ソードトマホークを腰溜めに構え、切っ先をメカカブトの方へ。

 

奈緒「こ、このままぶつかる気かァ!?」

李衣菜「ソードトマホークが折れるか、そっちを貫くか…!」

加蓮「”矛盾”の答え合わせだね」

奈緒「作戦どころか、”手”ですらないぞ!」

 

李衣菜「ロックンロォ~~ル‼イッエェェーーイッ!!」

 

ズシャァアアンッ

 

勢いのままに、メカカブトの背中に落下。鈍い音共に、ソードトマホークは深々とメカカブトの体に突き立った。

 

李衣菜「高密度のプラズマの熱量…ッ、直に喰らえぇええええッ!!」

カブト『ギヤァアアアアア!!?』

 

メカカブトの体内に直接流されるプラズマで、青白い輝きが周囲を覆っていく。

 

『……』

 

真っ黒く焼け焦げたメカカブトが、異様な臭いを放ちながら崩れ落ちた。

 

奈緒「…ったく、分の悪い賭けってレベルじゃなかったぞ?」

李衣菜「でも、賭けに勝てたでしょ?」

奈緒「……運の強さは認めてやるよ。…まったく」

加蓮「次は研究所だよ。取り付いてる虫を払わないと…」

李衣菜「うん?…何これ?」

 

研究所の周囲を、淡い緑の粒子が包む。

 

李衣菜「これ…。ゲッター線だ」

加蓮「大気中のゲッター線量が上昇してる…?これ以上は、ゲッターの中にいても危険だよ」

奈緒「一体研究所で、何が起きてんだ…?」

李衣菜「……」

 

━━…ーナ…。李衣菜…━━。

 

李衣菜(さっきから私を呼んでるの…誰…?)

 

━━━━。

 

未央「うぅ…!」

 

ズォオオオオ━━

 

所員「だ、ダメだ!ゲッターエネルギーが、周囲を巻き込みながら溶けていく!」

所員4「本田さん、脱出してください!このままでは、本田さんまで!」

 

未央「うぅ━━!まだ…まだだ!まだゲッターは死んじゃいなぁい!!」

 

所員4「増幅装置の暴走が止まらない…!このままじゃ、研究所もろとも…!」

早乙女「そうじゃ!もっと出力を上げろ!ゲッターの力を解き放つんじゃ!!」

所員4「博士!何を言っているんですか!?」

 

未央「うぉおお━━!うあああああ━━ッ!!」

 

ズワァアアアアア━━ッ

 

所員「メルトダウンが始まるぞ!」

所員4「…博士!ここはもう危険です!早く避難を!」

早乙女「まだじゃ!まだ…!」

 

「━━」

 

キッ

 

早乙女「……未央くん…!」

『ここを離れてください。早乙女博士』

早乙女「もう、いいのかね?」

『はい。もう十分です。ここからは、後は私が。博士には、まだそっちでやらなければならない事があるんでしょう?』

早乙女「…うむ」

『なら、これ以上は危険です。早く離れてください』

早乙女「分かった。…最後に一つ、聞かせてくれんかね」

『どうぞ』

早乙女「今の君には、見えているかね?」

『はい。はっきり見えます!』

 

『新しい世界が━━!』

 

━━━━。

 

卯月「新しい世界って…!」

凛 「未央の声…?今度は私にもはっきり聞こえた!」

卯月「何が…、研究所で何が起こってるんですか!?」

 

『あぁ、うん。見える、見えるよ。時間と、空間と、そして私。過去と未来は一つの関係に帰結してるんだ』

 

卯月「! 未央ちゃん、それは…!」

凛 「未央!気をしっかり持って!」

凛 (この声…、通信じゃない。理屈は分かんないけど、尋常じゃない)

 

『心配しないで。私は大丈夫だから』

凛 「大丈夫には聞こえないよ」

『生きているうちは、そう感じるかもね』

凛 「死ぬ気なの?しっかりしてよ!」

『いや、私は死なないよ。私も、ドラゴンも死にはしない』

凛 「じゃあどういう事!?ちゃんと説明して!」

『説明なんて言われても。言葉じゃ難しいかな。多分、卯月は分かってると思うけど』

凛 「え?」

卯月「……」

『この状態になって、はじめて分かった。生命は…、純粋になるほどに、強大な宇宙を求めていく━━』

卯月「……」

『大変だね、卯月』

卯月「そんな事は…ないですよ。今は未央ちゃんの方が大変じゃないですか」

『そんな事無いよ。今のドラゴンは、まだ生まれてすらいない、胎児みたいなものだからね。胎児には母親が必要でしょ?』

卯月「はい…。ドラゴンを、ゲッターをよろしくお願いしますね。未央ちゃん」

『もちろん、任せてよ』

凛 「2人して、勝手に話を終わらせないでよ!」

芳乃「凛さんー。凛さんにもいずれ分かりましてー。今は戦闘に集中をー」

凛 「くっ…!」

『それじゃあね。ちょっと名残惜しいけど。卯月、凛』

卯月「何時もみたいに呼んでくれないんですね」

『それは、再会できた時に取っておくかな。それじゃあ、そろそろホントに行くよ』

卯月「さよならは言いません」

『うん。またね━━』

 

━━━━。

 

ゴォオオオ━━

 

加蓮「研究所に取り付いた虫が、ゲッター線に溶けて消えてく…」

奈緒「おいおい…。ホントにヤバイんじゃないのか!?」

李衣菜「まだ…もうちょっと…!」

奈緒「これ以上ここにいてあたしらに何が出来るって言うんだよ?」

李衣菜「……来た!」

加蓮「アレは、早乙女博士に、研究所の所員?」

奈緒「全員無事だったのか!」

 

早乙女「…ネオゲッター…。成る程、ゲッター線を使っていないネオゲッターだからこそ、この状況下で正常に動けたという事か」

李衣菜「博士!それに所員さん達も!ここから離れます!ネオゲッターの手に乗ってください‼」

 

ネオゲッター1の腰を下ろし、広げた両手に早乙女博士と十数名の所員を乗せる。

 

奈緒「割りとギチギチだな…」

加蓮「新研究所に着くまでは、我慢してもらわないと」

奈緒「李衣菜!慎重に運ぶんだぞ!」

李衣菜「言われなくても分かってるよ!……」

 

ゲッター線の光に包まれる、早乙女研究所を見上げる。

 

李衣菜「未央…。ごめんッ!」

 

コォォオオオオッ━━

 

━━━━。

 

「攻撃部隊と連絡はとれたのか!?」

「依然連絡は途絶したままです!早乙女研究所の様子も分かりません!」

「一体何があったのだ?ゲッターGは倒せたのか!?」

「攻撃部隊と連絡がとれない以上、恐らく…」

「全てが無駄に終わったのか…?」

 

ズウゥゥゥ…ン……

 

「ぐっ…!何事だ!?」

 

ブリッジの正面を破壊して、姿を現したのは、ずんぐりした巨大な鉄の山。

 

芳乃「真ゲッターすりぃー。頼みましてー」

「真ゲッターロボ…!ここまで辿り着いたのか!」

芳乃「進化を拒みし者達ー。何故そこまで進化に抗うのでしてー?」

「当たり前だ!我々は、何者の支配も受けん!」

芳乃「それがー、宇宙を滅ぼす行いだとしてもー?」

「宇宙を汚染しているのは貴様らだろうに…!貴様らさえ宇宙に出なければ、宇宙は我々が支配していた!!」

凛 「呆れた。つまり、支配するのはよくて、されるのは結構ですって?」

卯月「貴方達も、根底はブライや、ゴールと同じですっ」

凛 「芳乃、思いっきりやっちゃって」

芳乃「元よりそのつもりでしてー」

 

胸の前で手を合わせ、祈りを捧げるように、

 

芳乃「火砲展開ー、一斉解放ー」

 

真ゲッター3の膨れ上がった後部が開き、無数のミサイルサイロが姿を覗かせる。

 

芳乃「みさいるー、すとーむをー」

 

ドワッ

 

ミサイルが一斉に放たれ、周囲は爆炎に包まれ、戦艦は空気の張り詰めた風船のように、内側から破裂した。

 

凛 「━━残りの敵機は?」

芳乃「気配はありませんねー。此度の戦はー、終わりでよいかとー」

凛 「そう。……」

卯月「…凛ちゃん……」

凛 「…ねぇ、私達は、正しい事をしてるんだよね?」

卯月「それは…」

芳乃「正しさとはー、誰にとっての正しさなのでしょー?」

凛 「……」

芳乃「正しさとは曖昧なものー。それを貫く信念がなければー、たちまちにー、折れてしまうものー」

凛 「信念…。未央も、信念に従って行ったって事?」

芳乃「それは私にも分かりませんー。ですがー、あの場で未央さんがゲッターに乗らなければー、私達の未来は断たれていたでしょー」

凛 「未央を犠牲にして、私達だけのうのうと生き残って…!そんなの許される訳ないっ!」

卯月「違います。のうのうと残るんじゃありません。残されたからこそ、しなくちゃいけない事があるんです」

凛 「卯月…?」

芳乃「ゲッターの向こう側でしか出来ぬ事ー、残されたからこそ出来る事ー。それらは決してー、同じものではなくー」

凛 「……未央を犠牲にした意識があるなら、ずっと戦い続けろって?」

芳乃「今はそのような認識でも構わないでしょー。ゲッターを駆りー、ゲッターと共に歩むわたくし達はー、如何に辛き物事からもー、目を逸らしてはならぬのでしてー」

凛 「……」

芳乃「さぁ、帰りましょー。芳乃達の居るべき場所へー。戦いの傷を癒しー、更なる戦いへと向かう為ー。剣を研がねばならぬでしょー?」

卯月「…そうですね。少なくとも、今だけは」

芳乃「わたくし達に定めらし刻限もー、もう差し迫っているのですよー?」

 

つづく




次回予告‼

早乙女研究所を巻き込み、巨大なゲッター線の繭となって地下深く潜行したゲッタードラゴン。
ゲッタードラゴンを引き上げるためのサルベージ作戦が行われる中、異空間からの襲来者は更なる進行を仕掛けてくる。
真ゲッターロボを駆り、昆虫軍団を迎撃する卯月達が、突入したワームホールの先で見るものとは?
今、早乙女研究所を発端に、壮大な戦いの幕が上がる━━!

次回! ゲッターロボ×CG 幕間
後編『時は来たれり』に、チェンジゲッター!
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