ゲッターロボサーガ デレマス版   作:E.T.c

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第7話『新たな舞台へ!』

 

北米大陸、アラスカ。

全世界に宣戦布告をしたランドウが、最も戦力を投入し、激戦区となっている。

その日も、プルドーベン油田3キロの地点に、第7騎兵団・海兵隊およそ45000の戦力が集結し、ランドウを迎え撃ち激しい戦闘が繰り広げられていた。

各所で弾ける弾丸、火薬。響き渡る銃声、怒号、爆音。雪と氷に覆われた白銀の大地は、黒煙と炎、血とオイルに彩られていた。

戦車や航空機、迫撃砲に高射砲。あらゆる戦力を以て迎撃するアメリカ軍を嘲笑うように、戦火の中を進軍するメタルビーストの軍勢は、ゆっくりと確かな歩みで、油田へと侵攻していく━━。

 

~~~ 新早乙女研究所 談話室 ~~~

 

奈緒「━━…ランドウの奴ら、無茶苦茶じゃないか」

橘 「北米大陸は、ランドウの拠点であるベガゾーンのある北極から程近い事も手伝って、徐々に戦線が拡大しているな」

晶葉「ランドウがベガゾーンを占拠した時、真っ先にアメリカ軍によって制圧されると思っていたが」

加蓮「けど、向こうもそれは予期してた?」

橘 「アメリカ軍の制圧作戦を察知し、それを迎え撃っただけでなく、追撃と同時に北米大陸の3分の1を手中に納めた。今のところ、ランドウの思惑通りに事が運んでいると見ていいだろう」

奈緒「いくらアメリカ軍も百鬼帝国との戦いで疲弊してたからって、そんな思い通りに運ぶもんなのか?」

晶葉「こちらの予想以上に、ランドウが戦力を充実させていたと、そう言うことだろう」

李衣菜「くっそ~。ゲッターなら、メタルビーストだろうとメカザウルスだろうとけちょんけちょんに出来るのに~!」

晶葉「恐竜帝国にせよ百鬼帝国にせよ、本格的な侵略よりゲッターの打倒を優先していた。だからこそやり易い点はあったが…」

橘 「ランドウに限っては、ゲッターに対する拘りがない。故に、世界各地に戦力を派遣して、確実な侵略を行っている」

晶葉「このまま奴らの思い通りの侵略を許してしまえば、最後には日本を包囲されてしまう」

奈緒「そうなったらどうなるんだ?」

加蓮「考えなくっても、外国から支援を受けられなかったらアタシ達であれだけの戦力を相手にするのはムリだって」

李衣菜「四方囲まれてフルボッコにされちゃうんだ」

奈緒「…なぁ、こっちからアメリカに支援するってのは出来ないことなのか?」

晶葉「どうだろうな…。ランドウの侵略が、日本にも全くないと言うわけでもない」

橘 「これまでの散発的な襲撃は、ゲッターを日本に留めておくための措置なのかもしれんな」

奈緒「あたしらが日本から動いたら総攻撃を仕掛けるぞって、脅しみたいなもんか?」

李衣菜「ゲッター斬や他のゲッターの使用許可はまだでないの?」

晶葉「出ないどころの話じゃないさ。日本政府は、これまでのネオゲッターの活躍から、無理に他のゲッターを使用する必要はないと判断してる」

加蓮「それ、状況見えてるの?ネオゲッターだけじゃ、今の日本は守れても、ランドウを打倒するなんてムリな話だよ」

橘 「それだけ早乙女研究所の消失が響いているのだろう。諸外国にしても、ゲッターの参戦には、消極的な姿勢のものが多数だ」

李衣菜「何も、ゲッターだけが要因で起こった事故じゃないのに…」

晶葉「起こってしまえば、原因など些末なものだ。それに、簡単に日本の支援を許してしまうのは、これまでの強国としてのプライドが許さんのさ」

加蓮「プライドとか体裁で、大事なモノは守れないと思うけど」

 

ランドウ『━━この放送を見ている世界各国の人々よ。如何かな?我が軍団の戦闘力は?世界最強と謳われたアメリカ軍だろうと、我が軍団の前ではご覧の通りだ』

 

李衣菜「ランドウ…!」

 

ランドウ『後3週間でアラスカ・カナダは我らランドウの領地となる。そして、3ヶ月後にはアメリカ大陸全土を手中に収める事をここに宣言しよう!』

ランドウ『国連加盟国の諸君らは、この戦いに参加するも、自国の防衛に専念するも諸君らの自由だ。尤も、戦いに参加する余裕があれば、だがな』

 

晶葉「ランドウめ…。アメリカ以外にもメタルビーストを襲わせておいて、よく言う」

 

ランドウ『3か月後、アメリカの大地に星条旗はたなびかん!白銀のアラスカの大地が焦土と化した時、誰がこの星の支配者であるかを知るであろうッ!!』

 

奈緒「くっそ~!好き勝手言いやがって…」

加蓮「でも、アイツの言ってる事が事実だとしたら、アタシ達にも残された時間は少ない」

李衣菜「行こうよ!私達でアメリカへ!行ってランドウに思い知らせてやるんだ!自分達がどれだけ大言壮語を言ってるのかってね!」

晶葉「待て。気持ちは分からんでもないが、今は落ち着け」

李衣菜「晶葉!政府の決定なんて待ってられないよ!その間に、もっとランドウの被害が増えるかもしれないんだよ?」

橘 「ネオゲッターは現状で日本の貴重な防衛戦力だ。それを簡単に外すわけにはいかない」

晶葉「それとも、李衣菜達だけで勝手にネオゲッターを持ち出してみるか?アイドルが国家反逆者とは、前代未聞だが、そんな事で有名になりたいわけじゃないだろう?」

李衣菜「うっ…それはそうだけど…」

 

ウゥゥゥゥンッ ウゥゥゥゥンッ

 

所員『━━メタルビースト出現!ネオゲッターチーム、スクランブル!!』

 

橘 「……。ご覧の通りだ。今この国は、君達の力を必要としている」

李衣菜「……」

奈緒「仕方ない。一パイロットのあたしらが考えたってどうしようもないんだ。今は目の前の敵を倒すことに集中しよう」

李衣菜「…うん」

加蓮「ほら、リーダーがそんなんじゃ締まんないでしょ。シャキッとして」

李衣菜「うん…!」

橘 「よし、ネオゲッターチーム、出撃!」

李衣菜「よぉーし、ランドウの奴ら、この国には指一本だって触れさせないんだからぁ‼」

 

━━。

 

~~~ ベガゾーン ~~~

 

ランドウ「……」

 

パチ…パチ…パチ…パチ…

 

大男「素晴らしい演説でしたよ。プロフェッサー・ランドウ」

 

ランドウ「何じゃ、来ておったのか」

大男「えぇ。我々の計画の経過報告も兼ねましてね」

ランドウ「それで?望みのモノは手に入ったのか?」

小男「事態はそう簡単な話ではないよ!あれは今地下深くで眠りにつき、ゲッター線の反応も極限まで抑えているんだ。それを見つけ出すのは、砂浜で形の違う砂の粒子を見つけ出すのに等しい。僕達の科学力を以てしてもね」

ランドウ「ならば見つけ次第報告すればよい。一々些末な報告など聞いていられるか!」

大男「当たりは着けました。直にいい成果報告が出来るでしょう」

小男「ただ、その為には…」

ランドウ「フンッ。ワシに連中の目を引き付けさせろ、と言うのか。言われんでも今更ランドウの進軍を止めるつもりなどない」

大男「頼みますよ。プロフェッサーの戦いに、この世界の…いや、この宇宙の命運がかかっているのですから」

ランドウ「貴様らも、要らぬヘマをして、尻尾を連中に出さぬことだな」

 

ツカツカ━━。

 

小男「━━…やれやれ、困った男だね。本当に彼をのさばらせておいていいのかい?」

大男「今のうちは構わないよ。あの男の深い業は、利用するに足る価値がある」

小男「我々の手を煩わせず、この世界を破壊すると言うんだね?」

大男「それが出来れば良し。出来なくても、彼の業が、ゲッターの更なる進化を促すことに変わりはない」

小男「更なる進化…。フフフッ…。胸が躍るね、コーウェン君」

コーウェン「そうだね、スティンガー君」

 

コーウェン「果たして、これから人類が迎えるものこそ、明日と言う希望なのか…」

スティンガー「はたまた、破壊という名の…」

 

コーウェン・スティンガー「「絶望なのか!それは、この戦いを乗り越えた先にある━━!」」

 

━━。

 

~~~ オホーツク海 ~~~

 

奈緒「ゲッタァーチェーーンジッ!!」

 

奈緒「ドリルアーム!━━おりゃあッ!」

 

オホーツクの海底から、日本に侵攻しようとするメタルビーストの軍勢に飛び込んだネオゲッター2のドリルアームが、敵勢を一度に貫き粉砕する。

 

海竜型メタルビースト≪━━!!!≫

 

奈緒「おっと!オープンゲット!」

 

最後方に控えていた海竜型メタルビーストが放った、先端を鋭利に尖らせた触手の攻撃を、ネオゲッター2を分離させて回避。

 

加蓮「ゲッターチェンジ━━!」

 

海中でネオゲッター3に変形し、海竜型メタルビーストに渾身の拳を叩き込み、

 

加蓮「プラズマブレイク!」

 

プラズマブレイクを放射。メタルビーストを肉塊以上に粉々に砕き、破壊した。

 

奈緒「へへっ、ざっとこんなもん、ってか?」

加蓮「ふふっ…。確かに、ランドウがいくらメタルビーストを送り込んできたって、ネオゲッターの相手にもならないんじゃ、ね」

李衣菜「私達の力を甘く見ないでよね!メタルビーストだってランドウだって、みんなネオゲッターでやっつけてやるんだから!」

 

橘 『ネオゲッターチームの諸君、聞こえるか?』

李衣菜「橘博士!見てくれましたか?今の戦い!メタルビーストの軍団を、日本に上陸させる前に全滅させましたよ!」

奈緒「李衣菜は何もしてないけどな」

李衣菜「そ、それは言いっこなしだって…。2人の勝利はチームの勝利だよ…」

橘 『…残念だが、敵戦力に上陸された』

李衣菜「あら…?」

橘 『そちらは囮だったようだ。今ダイノゲッターを敵が上陸した秋田に向かわせた』

加蓮「敵戦力って言うけど、メタルビーストじゃないの?」

橘 『今のところは何とも言えん』

奈緒「何だよそれ?被害とか出てないのかぁ?」

橘 『うむ。被害らしい被害は何も。出現したものもこれまでのメタルビーストとは、毛食が違うらしい』

奈緒「毛食が違う?」

橘 『上陸した敵の様相は、高さと直径が20メートル程のドーム状の物体らしい』

李衣菜「それが、新しいメタルビースト?」

橘 『メタルビーストなのか、或いはランドウの新たな兵器か…同様のモノが、他にも青森や岩手など、東北地方の都市を中心に上陸している」

奈緒「どれもこれも攻撃らしい事は何もしてこないのか?」

橘 『うむ。各所に派遣された自衛隊からの報告によれば、物体は都市中心部まで移動後、あらゆる行動を停止。目立った破壊行動は見られないが、代わりに、物体の周囲に粘糸のようなモノを張り巡らせているらしい』

加蓮「何それ?こっちを待ち構えて、糸で雁字搦めって作戦?」

奈緒「案外爆弾かなんかだったりしてな。周囲の糸が導線で、触れたらドカン、みたいな」

李衣菜「それ、シャレになってないと思う」

橘 『……』

李衣菜「ともかく、何があるか分かんないのは事実だし、ネオゲッターも近くの青森まで行ってみようよ」

奈緒「近くのって言える距離じゃないけど、李衣菜の言うとおりだな」

加蓮「なら急ご。嫌な予感がしてきた…」

 

~~~ 秋田市内 ~~~

 

隊長「……」

隊員「隊長。全隊、配置に着きました」

隊長「うむ。ごくろう。住民の避難は?」

隊員「はっ。5キロ四方の住民の避難は完了しています」

隊長「そうか。……」

隊員「あれ、何なんですか?」

隊長「俺に分かると思うか?」

隊員「それは…」

隊長「兵器ならもっとマシな姿をしてる。あんな凹凸はおろか装甲の繋ぎ目もないドームなんて、どうやって作ったのかも分からん」

隊員「素直に怪獣って言ってくれた方がまだ説得力がありますね」

隊長「どちらにしろ自衛隊はコテンパンにやられるのがセオリーだな。…全隊に攻撃指示を」

隊員「こ、攻撃するんですか…!?」

隊長「当然だ。ランドウだがリンボーだか知らないが、連中は自衛隊の実力を舐めてる。たまには我々の力を連中に見せつけねばな」

隊員「ほ、本部の決定を待ってからの方がいいのでは…」

隊長「バカ言え。本部の決定を待ってる間に、目標が動き出したらどうする?責任を取らされるのは俺なんだぞ?」

隊員「ですが…」

隊長「苦情は作戦が終わってから受け付ける。ここの指揮官は俺だぞ?黙って俺の言うことを聞け!」

 

タタタッ

 

隊員2「隊長!早乙女研究所より通信が入っています!」

隊長「あァ?この大事な時に何だってんだ?」

 

ガチャリ

 

隊長「あ~、もしもし?」

橘 『中佐、早乙女研究所、所長代理の橘だ。そちらのメタルビーストの状況を教えてもらえるかね?』

隊長「動きも何も。ラッシュの渋滞みたいにピクリとも動かないんで、今こっちから攻撃を仕掛けてみるところだ」

橘 『危険ではないかね?敵の目的も分からない以上、こちらから動くのは…』

隊長「……ハァ…。敵が動き出してから、被害が増えるのと、その前に事前に被害を抑える事、どちらが賢明かは明白でしょう?」

橘 『……ならば、せめてゲッターが到着するのを待ってくれ。敵の反撃を想定しても、そちらの方が安全だ』

隊長「……。出来るだけ急がせてくださいよ」

橘 『無論だ。至急そちらに向かわせるようにする』

隊長「では、こちらは作戦に戻りますので」

 

ガチャ━━

 

隊長「よぅし、戦車部隊前進開始!射程に入り次第砲撃開始ッ!」

隊員「げ、ゲッターの到着を待つのではないのですか!?」

隊長「現場の判断だ。目標がゲッター到着以前に行動を始める危険性があると判断した」

隊員「早乙女研究所の忠告は…」

隊長「ふんっ。戦闘を知らん科学者に、戦い方なぞ分かるか」

隊員「……」

隊長「なまじゲッターなぞ所有しているから、知識もないのに付け上がる。日本を守るために誰が戦ってるのか、それを連中に改めて教えてやらなくてはな」

 

整然と並んだ戦車が、ドームまでの距離を詰め、張り詰めた一本の糸に触れる。

 

ピン━━

 

━━ 秋田上空。

 

橘 『ダイノゲッターチームの諸君。自衛隊がドームを攻撃するらしい』

かな子「こ、攻撃って、いいんですか!?」

橘 『私も悪い予感がする。出来る限り急いでくれ』

ニオン「簡単に言ってくれる。こっちはこれで最大出力だ」

鉄甲鬼「ゲッター2に変形しろ。ゲッター1より最高速度は速いはずだ」

ニオン「分離と変形に時間が掛かる」

 

━━!

 

かな子「━━…っ!?きゃあああ…!」

 

ダイノゲッター1の進行方向から、猛烈な衝撃波と爆風が吹き荒れ、ダイノゲッター1に叩き付けられる。

 

鉄甲鬼「ぐぅ…!?」

ニオン「何だ!?」

橘 『まさか…!展開した部隊が何かしたのか!?』

鉄甲鬼「この衝撃…。それに、前方に見えるあの爆発光…。もしや…」

かな子「か、核……爆発…?」

 

━━。

 

李衣菜「ランドウが核を使ったって!?」

晶葉『情報が錯綜している。今は分析の結果が出るのを待て』

奈緒「街一つ吹っ飛ばす爆発なんて、核以外何があるってんだよ…」

加蓮「それ以前に、秋田の街にいた人達は…!」

李衣菜「くそっ‼」 ガンッ

晶葉『…ゲッター各員は、直ちに帰還してくれ』

李衣菜「帰還って…!敵はまだいるんだよ!」

晶葉『今、ゲッターに出来ることは何もない。相手を刺激しないためにも、帰還して態勢を立て直すんだ』

李衣菜「でも…!」

加蓮「リーナ、晶葉の言うとおりだよ。帰還しよう」

李衣菜「……っ!」

晶葉『お前達の憤りは分かる。だが、感情だけで無闇に動くな』

李衣菜「……。…分かった━━」

 

~~~ 新早乙女研究所 解析室 ~~~

 

所員「晶葉さん、分析結果出ました」

晶葉「結果は?」

所員「爆心地から、放射能等は検知されませんでした」

晶葉「なら、少なくとも、核ではないと言うことか…」

所員「ですが…、爆破地点からおよそ10キロ四方が壊滅…。衝撃波によって、被害は半径20キロにも及んでいます」

晶葉「威力はメガトン級と同等…。そんな兵器を開発できるとは…」

 

橘 「晶葉くん!」

 

晶葉「橘博士。何かあったんですか?」

橘 「あぁ。たった今、日本政府にランドウから映像メッセージが送られてきた」

晶葉「…あの爆破を見せて、政府に恫喝、ですか?」

橘 「その通りだ。政府高官に送られたものと、同じ映像を送ってもらった」

晶葉「……。分かりました。その映像はネオゲッターチームも見て構いませんね?」

橘 「…うむ」

 

━━。

 

ランドウ『日本政府の諸君。我が帝国の力はご覧になっていただけたかな?これはまだ、これから起こる悲劇の、ほんの幕開けにすぎない』

ランドウ『諸君らにプレゼントした兵器はAV58という。一度その地に固定したAV58は、外部からは除去することは出来ん』

ランドウ『AV58を中心に張り巡らされた触覚は、些細な振動をも本体に伝え起爆を誘発する。もちろん、こちらからも爆破を指示する事も出来る』

ランドウ『諸君らには最早、選択の余地などありはしない。AV58が爆破すれば、一瞬にして数万という人間が蒸発する。諸君らが我らに逆らえば、それだけ悲劇は拡大する』

ランドウ『だが、賢明で聡明な日本国民である諸君らならば、これから起こるであろう悲劇を回避する事も出来よう…』

ランドウ『日本人は優秀な種族だ。私としてもその優秀な種族を滅ぼす事は忍びない。かつて同胞として、強国と共に戦った間柄ならば尚更だ』

 

ランドウ『全ての武器を捨て、ランドウの元に跪け』

 

ランドウ『アラスカ戦線のアメリカ軍は壊滅状態。国連に加盟する多くの主要国も、自国に送り込んだメタルビーストの迎撃に追われ動けん。四方を海に囲まれた日本は、既に助けを求めるべき隣人もなくし、孤立している』

ランドウ『今こそ日本政府は、誰に従い、誰と共に未来を歩むべきかを決めるべきである』

ランドウ『故に、これより提示する我らランドウの要求を、冷静に受け止めてほしい』

ランドウ『先ず第一に、自衛隊の海外派遣の即刻中止。派兵中の部隊は、直ちに日本国へ帰還させること』

ランドウ『第二に、日本国内のアメリカ軍基地の撤去。及びアメリカ軍の日本国からの撤退。これから我らと日本は同志となるのだ。敵であるアメリカを助長する行為は一切許さん』

ランドウ『第三に、後日文書で提示する土地、及び現在日本において開発中の軍事ノウハウの提出。軍事援助金として要求する金額を我が帝国に支払うこと。何、これから同志となるのだ。ちょっとした契約金とでも思ってくれ』

 

ランドウ『そして、日本国が世界に先駆けて研究しているゲッター線研究の即時停止。及びゲッター戦力の即刻引き渡し。これは要求ではない。諸君らに我らが行う、最初の命令である!』

 

ランドウ『以上。要求に対しては、諸君らの対外的事情も考慮して返答までに時間を与えよう。しかし、ゲッターの引き渡しに関して、諸君らに考える時間は与えられないッ!』

ランドウ『今より24時間…。それまでにゲッター引き渡しに関し明確な返答が得られなければ、残されたAV58が第2、第3の爆破を起こす!!』

ランドウ『…聡明で優秀な種族である諸君らならば、どうすれば言いか分かるだろう。君達の賢明な回答を期待する━━』

 

プツン━━

 

━━。

 

李衣菜「……」

奈緒「……」

加蓮「……」

 

ニオン「簡単に言えば隷属しろ、と言うことか。大仰な物言いで、何を言うのかと思えば」

鉄甲鬼「だが、ランドウの言うことにも真実は含まれている。現状の事態に対し、日本は今協力できる相手がいない訳だからな」

かな子「これから、どうなっちゃうんでしょう…」

晶葉「決まっている。この世に命以上に大事なモノなどありはしないのだからな」

加蓮「ふざけないで。なら、黙ってアイツの言いなりになっていいって言うの?」

晶葉「加蓮…。意外だな。加蓮からそういう意見が出るとは」

加蓮「命が大切って言うのは否定しない。だけどランドウは人の命を平気で踏みにじる。そんな奴が、黙って言いなりになったところで、大人しくするとは思えない。この要求を飲んだら、日本はランドウのカモにされるだけだよ」

晶葉「言いたい事は分かる。だが実際、ランドウは一瞬で数万の命を奪える。それはお前達だって見ただろう」

加蓮「それは…」

奈緒「……。ランドウの狙いは、ゲッターを奪って、ゲッターでこの国を滅ぼす事、なんじゃないか?」

加蓮「奈緒…」

晶葉「奈緒もゲッター引き渡しには反対か」

奈緒「連中はメタルビーストに追われて、ヨーロッパもアメリカも日本の手助けが出来ないって言ってた。けど、それは連中だって同じなんじゃないか?」

奈緒「メタルビーストがヨーロッパやアメリカに出払ってるから、今までだってこっちにまともに戦力を送ってこれなかった。だけどゲッターを渡すってことは、みすみすあっちに戦力をタダで渡しちまうことになる」

かな子「ゲッターが悪魔になる…?」

奈緒「アメリカでもヨーロッパでも、向こうの戦いが一段落すれば、連中はすぐに日本に攻撃してくるだろ?もしそうなったら、日本にゲッターがなかったらどうなるんだ?」

晶葉「……。奈緒の言っている事は、推測にすぎない。AV58という兵器が、この国に甚大な被害を及ぼす事は間違いない事実なんだ。仮に人的被害を回避できたとしても、爆発によって失われた土地の補填はどうする?住む土地を奪われた人達は、今後何処で生活していけばいい?」

奈緒「損失とか補填とか、そういうのは分かってるつもりだけどさ。その結果、住む土地も住む人も、みんな奪われたんじゃ話にならないじゃないか!」

李衣菜「落ち着きなよ、奈緒」

奈緒「李衣菜!お前だって、アイツらのしてることが許せないって思ってるんだろ!?」

李衣菜「許せないよ!だけど、AV58を上陸させた時点で、私達の負けなんだ」

奈緒「お前…」

李衣菜「…橘博士」

橘 「何かね?」

李衣菜「橘博士も、やっぱり晶葉と同じ意見、何だよね?」

橘 「…私は、一介の科学者にすぎん。そんな私に、多くの人命を預かる決定を下すことなど出来んよ」

李衣菜「……ッ」

 

タッ━━

 

奈緒「おいっ!李衣菜、待てよ…━━」

加蓮「待って。奈緒」

奈緒「加蓮…」

加蓮「リーナの手、血で滲んでた」

奈緒「…!」

加蓮「あの映像を見た、最初から。ずっと拳を握り締めて、耐えてたんだよ。悔しいのは、みんな一緒」

奈緒「だけど、だけどさ!ゲッターを渡すなんて出来るわけないだろ!?そんな事したら、AV58が爆発する以上の被害が出るかもしれないんだぞ?」

加蓮「分かってる。だけど、今のアタシ達に何が出来るの?アタシ達は、ただのパイロット…ううん。それ以下のただの女子高生だよ。…何にも出来ない」

奈緒「加蓮…、お前までそうやって諦めるのか!?」

加蓮「……。そう言えばさ、ダイノゲッターはどうなるの?」

ニオン「あれは元より恐竜帝国で開発したものだ。整備を貴様らにさせても、それ以外の手出しはさせん」

加蓮「とか言って、元はこっちで造った量産型ゲッターでしょーが」

ニオン「答えは変わらん。ダイノゲッターは俺達のモノだ」

加蓮「ふぅん…」

奈緒「何考えてんだ」

加蓮「別にー。ゲッターで戦えなくなるなら、アタシ達もお役御免だね。研究所からも、所員登録抹消しちゃっていいよ」

橘 「……!」

奈緒「加蓮…!お前、何言って…!」

晶葉「それもそうだな。パイロットでない民間人を、研究所に置いておくわけにはいかないしな。莉嘉はたまに遊びに来るが」

奈緒「お前ら…!本気なのか!?」

加蓮「いーじゃん。これからはこんな山奥に来て、何時来るか分かんない敵の為に、貴重な時間削って待機してなくていいんだから」

奈緒「加蓮…!見損なったぞ!」

加蓮「あ~はいはい。アタシは元々正義感かざして戦うのなんてゴメンだし。奈緒だって、気に入らない事があるなら好きにすればいいじゃん?」

奈緒「…! あたしの、好きに…?」

加蓮「そ。あ~、解放されたと思ったらお腹空いてきちゃった。最後の記念に食堂行って何か食べて来よ」

奈緒「……」

晶葉「自室の整理も忘れるなよ」

加蓮「分かってるって。着替えとか、今日中に持ち帰れそうなのはちゃっちゃとまとめて帰るから」

晶葉「やるなら李衣菜の分も頼む。アイツはこれからレッスンがあるからな」

加蓮「りょーかい。あ~ぁ、楽になるまでが大変だなぁ」

 

スタスタ━━

 

橘 「…行ってしまったな」

晶葉「すいません、橘博士。色々迷惑を掛けると思います」

橘 「構わんよ。君達の行動の結果が、黒と出ようと白と出ようと、責任は早乙女博士からこの場を引き継いだ私がとる」

晶葉「有難う御座います」

奈緒「……」

 

奈緒(…気に入らないなら、好きなようにやる…!あたしが、今やりたいことは…!)

 

━━。

 

~~~ プロダクション レッスンルーム ~~~

 

ベィ~ン…

 

拓海「何だよそりゃ?お前やる気あんのかァ?」

李衣菜「……はぁ」

夏樹「ホント大丈夫か?体調悪いなら、レッスン中止にするか?」

李衣菜「う、ううん…!大丈夫、大したことないから…」

拓海「大丈夫って感じじゃねぇだろ。レッスンにも身が入ってねぇし、ギターの音もふやけてやがる」

李衣菜「う゛っ…。ほら、朝にちょっと出撃があって、その疲れがちょっと残ってるだけだよ!」

夏樹「そういや、ニュースでやってた。大変だったな」

拓海「そんなにヤベェ相手だったのか?」

夏樹「そういう話じゃないよ。日本のあちこちにデカい爆弾が置かれて、ランドウがゲッターの引き渡しを要求してるんだ。渡さなきゃ、爆弾を爆破させるってさ」

拓海「はァ?何だよ、そりゃ。随分ちゃっちぃ脅しすんだな」

夏樹「ちゃっちぃって、東北の方じゃ、相当の被害が出たみたいだぜ?」

拓海「本気でやる気ならとっくに全部爆弾爆発させてんだろ。ゲッターなんざ必要なら、日本をどうにかした後、いくらでも手に入れられらぁ。連中には、それだけの力があるんだろ?」

夏樹「…そうかもしれないな」

拓海「要は、向こうに舐められてんだよ。まさか、本当に引き渡すってんじゃねぇだろうな?」

李衣菜「……」

拓海「おい、まさか…!」

李衣菜「仕方ないよ。脅しでもなんでも、それでみんな助かるなら」

拓海「リーナ、テメェ…、それを黙って見てるんじゃねぇだろうな…!」

李衣菜「…どうすればいいの?これは、私一人の問題じゃないんだよ?」

拓海「バカッ!ならテメェは、ゲッターをランドウなんかに簡単に渡してやってもいいってのか!?」

夏樹「やめろよ。だりーがそんな事、思ってるわけないだろ?」

拓海「……。どうだか。喉元にナイフ突きつけられたからって簡単に降参しちまうような奴だ。ンな軟弱な神経してる奴、ゲッターがなくなってよかったとか内心思ってんじゃねぇのか?」

夏樹「おい、言い過ぎだぞ!」

拓海「アタシなら、政府を敵に回したって絶対に渡さねぇ!敵に渡しちまうくらいなら、この手でぶっ壊してやるッ!」

李衣菜「…自分で戦ったこともないのに、勝手なこと言わないでよ!」

拓海「何ィ…?」

李衣菜「拓海に戦いの辛さが分かるの?まともにメタルビーストに向き合ったこともないのに、自分の考えだけ押し付けないで!」

夏樹「だりー…。お前…」

李衣菜「血ヘドを吐いて、目の前で大勢の命が奪われる瞬間を見てみなよ。命の重さが分かるから」

拓海「…あぁ。確かに喧嘩以外、まともな戦いなんざしたことはねぇ。命の重さなんて、実際に戦ってるリーナほど分かったつもりでもねぇさ」

拓海「だがな!このままじゃオメェも、アタシら全員、ランドウに血ヘドを吐かされ続けることになるってのは分かる!アタシらはずっとランドウの言いなりになって、誰だって逆らう事が出来ねぇようになる!」

拓海「それを阻止できんのは、ゲッターだけじゃねぇのかよ!?」

李衣菜「……っ」

拓海「いいか、今のテメェは、弱気になって逃げ腰になってるだけだ!目の前に爆弾をちらつかされて、縮み上がってるだけなんだよッ!」

李衣菜「……」

拓海「命の重さがなんだ!?それを一番軽視してんのはどいつだ!?テメェはそれをほっといて、黙ってられんのかよ!?」

夏樹「……。その辺で止めとけよ。拓海」

拓海「何だよ、水差すんじゃねぇよ、夏樹!」

夏樹「お前の言い分も分かるさ。だけど、誰だってお前みたいに強い訳じゃないんだ」

拓海「戦ってんなら、弱いも強いもねぇだろうが!それとも何か?一回死ぬ思いすりゃぁ、あとは逃げたっていいってのか?」

夏樹「逃げたっていいだろ?何でそこまでして傷付いて、戦わなきゃならないんだ?」

李衣菜「ふ、2人共…!喧嘩はダメだって…」

拓海「あのなぁ…!出来るんなら、アタシだってこいつの代わりに戦ってやりてぇよ。だが、ロボットに乗って戦うなんて、誰にだって出来るわけじゃねぇ」

拓海「乗って、戦うってのは、責任を負うってことなんだ!一番前に立って戦う奴が諦めちまったら、後ろにいる連中はどうすりゃいい?メタルビーストブッ飛ばすことも出来ねぇ奴は、一緒になって諦めるしかねぇだろ!」

李衣菜「……!」

夏樹「だからって、アタシらが戦うことを強制してもいいのかよ?それは傲慢なんじゃないか?」

拓海「それがどうしたってんだ!アタシは生きることを諦めたくねぇ。だったら傲慢になったって構わねぇ!」

夏樹「お前はそれでいいかもしれないけどさ。傷付いて、辛い思いするのは李衣菜なんだぜ?」

拓海「そんくらいの覚悟ぐらい、とっくに出来てんだろうが!でなきゃ、今まで何で戦ってきたってんだ?遊び半分で戦ってたわけじゃねぇんだろが!」

夏樹「……お前なぁ…!」

李衣菜「もういいよ。なつきち」

夏樹「だりー…」

李衣菜「ありがとうね。私のために、言ってくれて」

夏樹「…だりーのため何かじゃないさ。だりーに傷ついてほしくないってのは、アタシの我が儘さ。やっぱカッコ悪いよな。さんざんお前のこと、誇りだとかなんとか言っててさ」

李衣菜「それでもだよ。私って幸せだと思う。私のために、本気で言い争ってくれる人が、2人もいるんだもん」

夏樹「ははっ…」

拓海「ケッ…!」

李衣菜「うん。だからこそ、2人のことちゃんと守りたいって思った」

夏樹「…出来るのか?」

李衣菜「…ホントはね?AV58が爆発するの見て、戦うのが怖くなった訳じゃないんだ。全部、私の言い訳」

夏樹「……」

李衣菜「勿論、死ぬのが怖くないって訳じゃないよ。今回の事で、それを改めて実感したけど、怖いのは、死ぬことだけじゃないの」

拓海「どう言うことだ?」

李衣菜「……私ね、誰かのためって戦ってるつもりなんてなかったんだ。全部自分のためで、私がロックでいるために、いようとするために、ゲッターを利用してたんだ。誰かのためって言うのは、卯月達がやってくれる。私はその中に混じって、一緒にいるだけで、自分勝手なのを誤魔化せるって思ってたんだ」

李衣菜「けど、卯月達もいなくなって、今日本を守れるのはネオゲッターだけで…。たくさんの人の命を、私が背負わなきゃいけない。もしここで私達が負けちゃったら、もっとたくさんの人が死んじゃう…。そう思うと、戦うのが怖かった。たくさんの人の命と、責任を背負うのが怖かったんだ」

李衣菜「あははっ…。ホント、ロックじゃなかったよね…。今までやりたいようにやってて、やりづらくなったから、今度は逃げようとして…。こんなの、誇りなんて言ってもらう価値ないよ」

拓海「ホントだぜ。ったくよ。ロックバカのお前が、尤もらしく悩みこんでんじゃねぇぜ」

李衣菜「ちょっと…!その言い方は酷くない?」

拓海「なら少しは自信持てよ。何のために戦ってようが、どんな理由を背負ってようが、お前はお前だろ?お前らしく、ロックに行きゃぁいいんだよ!」

李衣菜「拓海…!」

夏樹「お前らしく、か…」

李衣菜「なつきち…」

夏樹「ホントにいいんだな?もう、元には戻れなくなるかもしれないんだぜ?」

拓海「お前はホント、水差すよな」

夏樹「大事なことだ!怖いなら怖いでいいんだ。戦いから逃げ出したって、何かが変わる訳じゃない。普通のアイドルに戻るだけなんだ。その事に、誰も文句は言わないんだぞ?」

李衣菜「……。分かってる。戦うことがロックとか、そう言うことを私も思ってるんじゃない」

李衣菜「けどね?なつきちや、拓海…プロデューサーさんに事務所のみんな。私のことを想ってくれてる人がたくさんいるんだ。そういう人達を、守りたいって思った。今の私なら、それが出来る」

李衣菜「だから、守らせてよ!みんなの明日をさ!」 ニッ

夏樹「だりー…」

拓海「へっ、カッコつけてんじゃねぇぞ」

李衣菜「え゛っ…。いいじゃん、ちょっとくらい~」

拓海「一丁前に啖呵切ったって事は、これからどうすりゃいいか、ちゃんと分かってんだな?」

李衣菜「うんっ。2人には、迷惑かけちゃうと思うけど…」

夏樹「迷惑なんかじゃないさ」

李衣菜「えっ…」

夏樹「言っただろ。だりーはアタシ達の誇りだって。そいつのする事を、迷惑になんて思うわけないだろ」

李衣菜「ホントに…?」

夏樹「あぁ。だから、ランドウを思いっきりブッ飛ばしてこいッ!」

李衣菜「うんっ!2人の分もしっかりと、ゲッターの拳に思いを込めてランドウをぶん殴ってくるから━━」

 

~~~ その夜、新早乙女研究所 格納庫 ~~~

 

━━ …タッタッ

 

李衣菜「……ネオゲッターロボ…。お前も、守ってきたものを壊すのは嫌だよね?」

 

「ゲッター相手に何喋ってんの~?」

 

李衣菜「ゲ…。か、加蓮…?どうしてここに…」

加蓮「リーナこそ。こんな夜遅くに格納庫なんかに忍び込んで何してるの?」

李衣菜「……止めないで。目を瞑ってくれると嬉んだけど?」

加蓮「…ってことは、考えることは一緒か…」

李衣菜「え…?」

加蓮「ほら」 ボンッ

李衣菜「わっ!…っとと」

 

投げ渡されたボストンバックを受け取る。

 

李衣菜「これ…」

加蓮「数日分の着替えと、日用品、それに生理用品も。着の身着のままで海外旅行もないでしょ?」

李衣菜「旅行って…。何をするか、分かってるの!?」

加蓮「言ったでしょ。考えてる事は一緒だって」

李衣菜「…! これは私一人の問題でいい!反乱分子になるのは、私一人だけでいいんだよ…!?」

加蓮「なら、その反乱分子に1人追加って事で」

李衣菜「本当にいいの…!?」

加蓮「いいのいいの。丁度海外にも行ってみたかったし」

李衣菜「あ、遊びに行くんじゃないんだよ…?」

 

奈緒「そうだな。あたしらは、ランドウをブッ飛ばしに行くんだ」

 

李衣菜「奈緒まで…!」

奈緒「悪いことをする時は、人数が多いほうがいいって言うだろ?」

加蓮「初耳だけど、って…。奈緒、荷物多くない?」

奈緒「あのなぁ…。着替えと日用品があって、食料がなくてどうするんだ?現地調達は厳しいぞ?」

加蓮「あぁ…!そう言えば、確かに」

奈緒「まったく…。肝心なとこ抜けてんだから。ホント、あたしがいないとダメなんだな」

加蓮「ありがと。でも、結構な量用意したんだね?」

奈緒「まぁな。一応、あたし達6人、これだけあれば何日かは持つだろ」

李衣菜「ん…?6人?」

かな子「小麦粉とお砂糖の量が少し不安ですけどね…。牛乳は日持ちしないから持っていけないし」

李衣菜「か…かかかかな子ぉ!?」

加蓮「ダイノゲッターチームも行くんだ?」

鉄甲鬼「言っておくが、俺達は反乱分子ではないぞ」

ニオン「元々人間共には、手を貸してやってる立場だからな。戦う場所を変えるだけだ」

李衣菜「2人は分かるけど、かな子は?」

かな子「きっと卯月ちゃん達がいたら、同じようにするだろうなって」

奈緒「卯月達かぁ…。そうかもな」

かな子「ううん。それだけじゃありません。私自身、ランドウのすることを放っておけないんです。私に何か出来ることがあるのなら、私が出来ることをしたい!」

加蓮「でも、流石にゲッター2機が抜けるのはマズいんじゃない?」

ニオン「フンッ。貴様らの事情など知ったことか」

鉄甲鬼「むしろ、これで使用が禁止されてるゲッターを使わざるを得なくなるだろう」

奈緒「それもそっか」

ニオン「お喋りは終わりだ。とっとと俺達のマシンに乗り込むぞ」

李衣菜「うん。━━…って、大将…」

 

主任「……」

 

ニオン「どうする?始末するか?」

奈緒「流石に身内は勘弁してやってくれよ…」

主任「オメェら、こんな夜遅くに何コソコソしてやがる?」

李衣菜「私達、これからゲッターを奪って日本から出るよ」

奈緒「政府の決定に従えない過激派が、研究所からゲッターを奪ったって筋書きでな」

かな子「それなら政府の人にも、ランドウにも言い訳になりますよね?AV58の爆破も、時間を稼げると思うんです」

加蓮「おまけにパイロット登録も所員登録も抹消された、組織とは無関係の人間がやってるんだもん。研究所への責任も、少ないはずでしょ?」

鉄甲鬼「それで気に入らなければ、恐竜帝国と百鬼帝国の残党に人質を取られたとでも、何とでも言えばいい」

かな子「鉄甲鬼さん…」

ニオン「ふん…」

主任「お前達…。本気なんだな?」

李衣菜「…止めても無駄だよ」

主任「誰が止めるなんて言った?」

かな子「え…?」

主任「ほらよ」

李衣菜「こ、この仰々しいスーツケースは…?」

主任「応急処置程度なら何とか出来る工具や資材を入れといた。この中で整備の経験があるのはお前だけだからな。ちったぁ役に立つはずだぜ」

李衣菜「役に立つって、大将!」

主任「餞別を渡してぇのは俺だけじゃねぇぞ」

李衣菜「え…?……整備班のみんな…!」

古田「防寒着や毛布もちゃんと持ってかないとダメですよ!」

整備員「李衣菜ちゃん達が準備を終えるまでに、ネオゲッターとダイノゲッターのオーバーホールを終わらせておきました!新品同様に動くはずです!」

整備員2「火器弾薬も十二分に。ソードトマホークと同じ要領で、ネオゲッターには重火器も搭載してます。ランドウ相手に思う存分使ってください!」

奈緒「みんな、仕事が早いんだな」

加蓮「流ッ石、プロフェッショナルだもんね」

李衣菜「みんな、ありがとう!」

主任「ゲッターは俺達が手塩にかけた、子供みてぇなもんだ」

古田「それが日本を壊すところなんて、夢の中でも見たくないッスよ!」

主任「それが俺達の総意だ。分かったらとっとと行け!橘博士達には俺達が言い訳しといてやる!」

 

「ほぅ…。どんな言い訳なんだ?是非聞かせてもらいたいところだが」

 

かな子「晶葉ちゃん…、それに、橘博士も…」

橘 「これだけの人数、いくらコソコソしていても、隠し通せるものではないぞ?」

主任「うっ…」

晶葉「盛り上がっているようだが、お前達の無責任な行動で、どれだけの被害や犠牲が出るのか、想像できているか?」

奈緒「ランドウを野放しにしておいたら、それ以上の被害が出る。あたし達はそう判断したんだ」

加蓮「そ。だからゲッターは奪われたんだよ。政府の正式な決定が出る前に、ね」

橘 「そんな子供の言い訳が、本当に通用すると思うかね?」

李衣菜「子供の言い訳を、大人の言い分にするのが、博士達の仕事でもあるんじゃないですか?」

橘 「……」

晶葉「ふっ…。言い切ったな」

かな子「私達は、死にに行くんじゃないですから。それでも、死ぬ気で戦ってきます」

李衣菜「橘博士も、命を懸けて仕事してくれてもいいんじゃないですか?」

橘 「……ふふっ」

晶葉「お前達、何をボサッとしている!」

古田「……?」

晶葉「私達は、研究所の人間だ。反乱分子からゲッターを守るために、抵抗はしなくてはな」

古田「…はいっ!」

李衣菜「よぉ~し、みんな!捕まる前に早くゲッターに乗り込めぇ!」

奈緒「おう!」

加蓮「うんっ!」

 

ニオン「…茶番だな」

鉄甲鬼「だが、これで行くべき道は決まったな」

ニオン「確かにな。なら、たまには茶番に付き合ってやるか!」 ズァッ

整備員「ぎゃっ!?」

鉄甲鬼「それもそうだ、な!」 ガッ

整備員2「ヒデブッ!」

かな子「ふ、2人共…何してるんですか…?」

ニオン「俺達は政府の決定に背く反乱分子。なら、向こうに負傷者がいないのは可笑しいだろうが!」

かな子「こ、殺しちゃダメですよ~!」

鉄甲鬼「心得ているッ!」

 

主任「リーナ!」

李衣菜「大将…」

主任「…荷物になるだろうが、これも持っていけ」

李衣菜「これって…」

 

拳銃。

 

主任「これからの戦いは、誰もお前を守っちゃくれねぇ。自分の命と、仲間の命ぐらい、自分で守れ」

李衣菜「……うんっ。ありがとっ!」

 

タッタッ━━

 

古田「ゲッターに乗り込まれたッス!」

晶葉「やむ終えんな。これ以上研究所を破壊される前に、ハッチを開け!」

古田「了解ッス!」

 

ミンナーカナラズイキテカエッテコイヨー ガンバレー マケンナヨーッ

 

李衣菜「…ははっ、これじゃあまるで、盛大に見送られてるみたいだ」

奈緒「みんなの思いは、無駄に出来ないぞ」

加蓮「それは分かるけど、その前に先ずは自分のために、ランドウを倒す!行こ、リーナ!」

李衣菜「うんッ!ネオゲットマシン、発進ッ!!」

 

未だ爆発の起こる格納庫から、ネオゲットマシンが飛び出し、それにダイノゲッターが続く。

 

━━。

 

奈緒「よし、先ず強奪は成功だな!」

加蓮「そうやって聞くと、本当の悪者みたいに聞こえるけど…」

李衣菜「このままランドウを倒せなかったら、そうなるかもね」

鉄甲鬼「無論、そのつもりなどないのだろう?」

李衣菜「トーゼンッ。━━あっ」

かな子「どうかしたんですか?」

李衣菜(…道路の上にバイクが2台…。あれって、なつきち達だよね…)

 

 

拓海「見ろよ。ゲッターが飛んでるぜ」

夏樹「あぁ。研究所の方から爆発も聞こえたし、何かあったんだろうな」

拓海「…生きて帰ってこい、ぐれぇ言ってやらなくて良かったのか?」

夏樹「いいんだよ。それを言ったら、だりーが全力で戦えなくなるだろ?」

拓海「はっ…!そうかもな。尤も、生きて帰ってこなかったら、承知しねぇけど」

夏樹「……」

 

夏樹(だりー…。負けるんじゃないぞ…!)

 

 

李衣菜「なつきち、みんな。…いってきます!」

ニオン「先ずはどこへ向かう?」

李衣菜「私達の事を受け入れてもらえそうなところ」

かな子「そんなところあるんですか?」

 

李衣菜「アラスカ戦線だぁ~!!」

 

━━。

 

~~~ 翌日。 新早乙女研究所 ~~~

 

『━━どう言うことだ!?ちゃんと理由を説明しろッ!』

 

橘 「ですから、先程から何度も申し上げているとおりです、官房長官。ゲッターは、対ランドウ過激派を名乗る連中に奪取されてしまいました」

『早乙女研究所のセキュリティは首相官邸と変わらんはずだ!なのに何故こうも簡単にゲッターが奪われる!?』

橘 「…予定されていたゲッターの引き渡し…。その打ち合わせのため、警備員が数名抜けており、警備が手薄になっていました。その隙を狙われたものかと」

『何故犯人が警備が手薄になることを知っている!?所員の中に内通者がいるのではないか!?』

橘 「我々を疑っておられるのですか?昨夜の襲撃で、私も含め何人もの負傷者が出ているのですよ?」

『……もういい。ともかく残ったゲッターだけでも引き渡しの用意をしろ!今は貴様に責任を追求している場合ではないからな!』

橘 「それが、格納庫を襲撃されてしまったため、残されたゲッターも損壊しており、すぐに引き渡しとは行かない状態です」

『貴様…!』

橘 「つきましては、ランドウにゲッター引き渡し期間の延長と、再度の交渉をお願いしたく…」

『……。全ての問題が解決したあと、然るべき場所で責任の追求があると思えよ!』

橘 「はい…━━」

 

晶葉「……」

 

ツカツカ━━

 

━━ 晶葉自室。

 

晶葉(…李衣菜達は戦場へと向かったか。早乙女博士、貴方はこれも、予め知っていたんでしょうね)

晶葉「…だからこそ、貴方はこれを私に遺した。戦いの激化を予想して、新しいゲッターロボの設計図と、その素体を」

 

ピッ

 

晶葉「早く仕上げなければな…。これからの戦いに必要なる、この力を━━」

 

つづく




次回予告

日本を離れ、アラスカの大地へと上陸した李衣菜達ネオゲッターチームと、ダイノゲッターチーム。
アメリカ軍を蹂躙するメタルビーストやメカザウルス、百鬼メカの軍団に、敢然と立ち向かうネオゲッターロボだったが、彼女らの前に、ランドウから放たれた刺客が立ちはだかる!
果たして、ネオゲッターとダイノゲッターは、戦艦テキサスと合流し、アラスカの戦いに終止符を打つことが出来るのか?

次回 ゲッターロボ×CG 第3部
第8話『アラスカ戦線』に、チェンジゲッター!
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